■東京11R/フェブラリーステークス
[1]①[地]イグナイター(西村淳)
キャリアのほとんどは1400m以下のレースに加え、好走歴のある盛岡ダ1600mコースはスプリンターが好走しやすいコース形態でもあります。(まともなスピードの馬が揃う)多頭数戦の経験も乏しく、この枠ですと馬群にもまれて何もできない懸念が。
[1]②シャンパンカラー(内田博)
昨秋の復帰予定が伸びた理由はハッキリとしていませんが、富士Sに特別登録を済ませたうえ当週まで追い切られていたわけで少なくとも夏負けの類ではなく、しかも木曜になって回避となると何らかのトラブルがあったのでしょう。そこから年内休養で復帰戦がダートという経緯を考えれば、およそまともに勝負を見込んでここに出してきているとは思えません。
[2]③[地]ミックファイア(矢野)
ダートは体力勝負の色が強く、当然ながら3歳馬と古馬とでは大きな差が出ます。ミックファイアにしても強いのはあくまで同世代間でのレースの話で、前走の東京大賞典2.4差⑧着というのが現在地でしょう。それでも前日時点では地方馬3頭の中で人気最上位に推されていますが少なくとも御神本Jは昨年⑥着のスピーディキックの方を上に見ているという話で、中央のスピード勝負についていける戦歴の担保もない現状では手は出しにくく。
[2]④ドゥラエレーデ(ムルザバエフ)
ここ2戦はダート最強クラス+ウィルソンテソーロの後塵を拝し連続③着ですが、何れも古馬との斤量差が1kgしかなかったことを考えれば勝ちに等しい健闘と言えます。但し元々指摘している通りこの馬はラストで切れる脚を使えるタイプではなく、ここ2戦は上がりの掛かるコースで前付けが叶っての好戦。今回初のマイル戦となり位置取りを落とすことは必至で、この馬の良さを生かし切れない懸念が大きいです。
[3]⑤オメガギネス(ルメール)
前走の東海Sは初の関西圏での競馬に加え距離延長の一戦。向こう正面で行きたがるところを良く辛抱しての②着でしたが、スローペースの1800m戦を叩いてここに向かうローテは当初からの理想だったはずです。但し、強い勝ち方を見せた2走前のグリーンチャンネルCは脚抜きの良い不良馬場。良馬場ではレパードSでライオットガールを捕まえ切れなかった経緯もあり、冬場でさらに時計の掛かる砂でどこまでの走りを見せられるかはまだ未知数です。
[3]⑥カラテ(菅原明)
この馬は爪が伸びやすく、暖かい時期になると調整が難しくなります。加えてコーナーワークに難があり、重賞3勝は何れもワンターンのコースで挙げたもの。故にこれらの条件を満たすG1はフェブラリーSとマイルCS程度しかないですが、芝よりコーナー径の小さいダートではまた話も違ってきます。一度見切りをつけたはずのマイル戦に再び戻ってくることで位置取りを落とす懸念も大きいです。
[4]⑦ガイアフォース(長岡)
昨春の始動戦で「マイラーズCか天皇賞か」という普通ならあり得ない二択に悩んだ陣営。いつぞやのキングヘイローやダンツフレームを彷彿とさせますが、その真意は「新装京都のきれいな芝でスピードを活かしたい」というものでした。3歳時に連勝した小倉と中山も3角からスピードに乗りそのまま押し切るレースの出来るこの馬にとって向いていたコースで、そこまでスピードを活かすことにこだわっていたにもかかわらず、適鞍が無さそうと見るやここに使ってきたのは理解に苦しみます。芝の二軍扱いだった昔ならまだしも、今のダート界は最初からダートで活躍することを見越した馬たちが上位を占めており、よほどの大雨でも降らない限りはこの馬の良さを出すレースにはならないでしょう。
[4]⑧セキフウ(武豊)
手前を変えなかったり暑いとやる気を出さなかったりとあてにしずらいタイプなうえ、3歳時のユニコーンS②着時以来東京遠征では大敗続き。武幸厩舎は気性面の問題を矯正するどころか悪化させる傾向があり、ドーブネやウォーターナビレラ等のOP馬も3歳時より適性距離が短くなっています。この鞍上で折り合いの心配をするのも野暮な話ですが、仮にそれがクリアされたとて、セキフウ自身がリミッターを解除してくれるかは走ってみないとわからずで。
[5]⑨ペプチドナイル(藤岡佑)
元々逃げなくても競馬ができるタイプではありましたが、2走前のベテルギウスSでは大外枠から無理をせず馬の後ろに入れて運び、最後にひと脚を使うレースで勝利し進境を見せました。マイルは初めてですが気のいい方ですから追走に手間取ることも無さそうです。ただ、近年の藤岡佑Jは戦法を決め打ちしてくる騎乗が多く、相対的に騎手レベルの低いローカル戦では無双できます(大外ぶん回しの多い丹内Jやイン突きにこだわる鮫島駿Jにも同じことが言えます)が、リーディング上位勢があの手この手のプランBを繰り出してくるメイン場では成績が低下。今年挙げた9勝も全て小倉でのもので、自分の思い通りにレースが運ばないときの脆さはジャックドールの降板劇にも現れています。これは体形などにも起因する個々の騎乗スタイルの問題なので今更どうこうという話ではなく、こういう舞台で積極的に買える騎手ではない、というのが個人的な評価です。
[5]⑩タガノビューティー(石橋脩)
前走の根岸Sは出遅れもそうですが、前半3Fが35.8、4F通過も48.3とまるで2000m戦かと見間違うくらいのスローペースで末脚を繰り出しても追いつけなかったことが痛かったです。この馬自身も35.4で上がってきており、昨年の根岸Sの35.3と大差ない脚を使えてはいました。石橋脩JはクイーンCのテリオスサラでも同様の出遅れをかましており、相対的にもスタートの信頼度が低い騎手であることは間違いないのですが、前走の結果を以てこの馬の能力を低く見積もる理由にはならないはずで、締まったペースの本番は改めて実力を発揮してくれるはずです。
[6]⑪キングズソード(岩田望)
マイルの経験はなく、それ以下の距離も1勝クラス時代に1400mで0.8差⑥着という実績があるのみです。5走前のアンタレスS③着時のように前半のペースが流れると取りこぼすタイプで、1700mの勝ち星も50kgの今村J騎乗時と「小倉の勝ち方を知る」川田Jの手腕で挙げたもの。前走の東京大賞典ではJBCクラシックの鮮やかな勝ち方がウソのような⑤着で、相当騎手を選ぶ馬であることは間違いないうえ、全兄キングズガードも東京コースの重賞(=1600m以下のレース)では(0,0,0,6)。この舞台で前進を望む要素は見当たりません。
[6]⑫[地]スピーディキック(御神本)
末脚は素晴らしいものを持っていますが、中央相手のペースだと使える脚が一瞬で直線の長い東京コースでは脚の使いどころが難しいです。昨年のこのレースでは⑥着と健闘を見せましたが、伸びかけたのは前が壁になり追い出しを待たされた分脚が溜まった結果であり、実際の上がりタイムはレースと同じ36.5でした。前走の東京シンデレラマイルも、2kgのハンデ差とは言えJBCレディスクラシックで2.9差⑧着と歯が立たなかったラブラブパイロ相手にタイム差なし、それも圧倒的な差し有利展開での辛勝だったわけでここでの通用と言われると?
[7]⑬レッドルゼル(北村友)
間隔を開けた臨戦で好走するタイプで、昨年のフェブラリーSも3か月の休み明けで②着と善戦。前走の武蔵野Sは夏負けが尾を引き完調ではなかった中で③着と力を見せており、まだまだここで走れるだけの力量は持っています。本質的にマイルは長いうえ戦法が限られることからどうしても展開や馬場の助けが必要ですが、ダート経験が少なかったり被されたくない馬が内枠に多い今回は前半からそれなりにペースが流れることが想定され、良馬場想定もこの馬には向いてくれるでしょう。但し、この年にして調教で相当行きたがっている面を見せているのは距離延長局面では懸念材料で、陣営もテンションに配慮して木曜追いでソフトに仕上げざるを得なかった点は少なからず割引が必要です。安田隆厩舎最後のG1にもかかわらず、川田JがG1を勝ってもいないサトノグランツの遠征(それもカタールのG3)を優先したあたりもここへの気合の入り方が透けて見えるだけに。
[7]⑭ウィルソンテソーロ(松山)
チャンピオンズCはスタートで出遅れるもレモンポップから0.1差の②着、東京大賞典は積極策でウシュバテソーロから0.2差の②着という戦績を考えれば、ここでは能力最上位というのは疑いないでしょう。そもそも交流重賞3勝、ダートでは掲示板を外したことが無かっただけに「実力馬が実力通りに走った」というだけの話ですが、それでもここ2戦がそれぞれ12番人気、6番人気と伏兵扱いされていたのは、この馬自身にG1経験が無かったこともそうですが重賞未勝利の原Jが鞍上だったということが全てでした。確かに明らかにマイナスな乗り替わりもある中、原Jをはじめ「実力が過小評価されている」タイプの騎手は配当面では妙味しかなく積極的に狙いたいですが、(騎乗経験のある戸崎Jでないのは何故、というツッコミはさておき)実績十分の松山Jが乗るとなればボーナスタイムは終了。この人気が本来のこの馬の実力を示しているというべきで、むしろこれでもまだオメガギネスのお蔭で2番人気に甘んじているという考え方もできます。
[8]⑮ドンフランキー(池添)
33秒台も厭わない速いペースで入り、最後は止まりながらも押し切るという典型的なダートのスプリンターです。ダートではマイル経験はなく、1800mで1.0差⑦着が一度あるのみで距離適性の裏付けには乏しいうえ、直線の長い東京で37秒台の上がりでは間に合わないでしょう。
[8]⑯アルファマム(キング)
折り合い面の課題もあり、良績は1300m以下に集中。2走前の霜月Sはかなりのハイペースで差し有利展開になって届いたもので、今回同じ展開になったとしても初のマイル戦で脚が持つかどうかは未知数です。
<予想>
◎ウィルソンテソーロ
○タガノビューティー
▲レッドルゼル
△オメガギネス
△ドゥラエレーデ
■小倉11R/小倉大賞典 マイネルファンロン
この馬は調教の動きと調子が直結するタイプで、この中間はウッドで長めから時計を出し5F65.2-12.1をマーク。6F以前から時計を出しつつ5F65秒台をマークするのは、21年の新潟記念を勝った時以来の好時計です。障害から戻ってのここ2戦は着順こそ⑦⑩着と地味ですが、2走前の中日新聞杯は0.5差と着差程負けてはおらず、前走の中山金杯にしても最後まで進路が開かなかった中0.7差まで押し上げており力量差はわずか。最終週で直線馬群がばらければあとは伸びるのみで、年齢で軽視するのは危険でしょう。