Special Thanks

当ブログは、広尾サラブレッド倶楽部株式会社様のご厚意により、同倶楽部の所有する競走馬の写真及びWebサイト記載情報の転載許可を頂いております。
ラベル 考察 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 考察 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年11月19日日曜日

【11/19(日)予想】マイルCSの全頭評価

■京都11R/マイルチャンピオンシップ

[1]①ソウルラッシュ(モレイラ)

純粋な時計比べは苦手ですが、機動力に長け馬場も不問というタイプ。近10年の内京都開催で勝ち馬の最速の上りは2015年モーリスの33.1ですが、これは中間に12.5と極端に緩む区間があった分。次点のトーセンラー(2013年)が33.3で、安田記念や近3年の阪神開催が32秒台の末脚が必要な舞台だったことを考えれば「ここ数年のマイルG1で好走できていなかった馬にもチャンスがある」と考えられます。この馬自身古馬になってからは安定して33.5前後の末脚を毎回使えてはおり、あとは相手関係やペース的にそれで間に合うかというところが着順を左右している現状。ここはセルバーグが絶対ハナ宣言をしており中間が緩むことはまず無さそうで、レースの上がりが34秒台に突入することが見込まれるこの舞台なら台頭可能でしょう。

[1]②ビーアストニッシド(和田竜)


2019年産(現4歳世代)が最初のアメリカンペイトリオット産駒は「2歳>3歳>4歳」という成績の現状。仕上がりが早い一方で早期に稼いだ賞金に見合う成長を見せられておらず、この馬も多分に漏れず展開が嵌った2走前の安土城S以外はスプリングS以降掲示板にすら載れていません。適性はここにあるかと思いますが、この鞍上では巧妙に内を突くようなセコイ騎乗も期待できなさそうで。

[2]③ダノンスコーピオン(団野)

陣営が語る通り、右トモを気にしている様子で近走は成績もついてこず。右回り、坂の上り下りがある京都コースでは現状力を発揮するのは難しそうです。

[2]④エエヤン(M.デムーロ)

3勝は全て中山。その3戦いずれもが前半35秒以上を要する緩い流れのレースで、それを切ると(0,0,0,2)。かといってペースを鑑みて距離を延ばすと脚が使えず。この舞台では苦しいです。

[3]⑤ジャスティンカフェ(坂井)

毎回前週の金曜にしっかり負荷をかけたうえで最終追いに臨むスタイルですが、前回の毎日王冠は折り合い面も重視してか最終追いをソフトに。ただレースではいつもの爆発力が見られず⑦着に敗れてしまいました。距離自体はエプソムCでもこなせているだけに気持ちの問題なのか、陣営は今回あえて最終追いでも気持ちを乗せた追い切りにシフト。ただ個人的にそれ以上に気になるのはこれまでよかった頃は金曜→当週をウッド→ウッドでこなしていたところ坂路→ウッドとしている点。従前ほどびっしりやれなくなっている点を見ると心と体がフィットしていない様子がうかがえ、騎乗経験者も複数いるのにここに来てわざわざテン乗りの坂井Jというのも少々不可解。

[3]⑥ダノンザキッド(北村友)

能力はG1級ですがみなぎる気合が空回りするタイプで、今年も休み明けの中山記念で⑪着と大敗した後連戦となった大阪杯・QE2で③⑤と好走し、中7週で臨んだ宝塚記念は⑬着。休み明けでみなぎっている今回は見送りが妥当でしょう。

[4]⑦エルトンバローズ(西村淳)

前走の毎日王冠は苦手な左回りが懸念でしたが、ラチ沿いを走れたこともあってかスムーズで、後続の仕掛け遅れに助けられた分もあって勝ち切りました。右回り替わりはプラスでマイルにも適性はありますが、上位人気勢が本気で勝ちに来るレースをしていたらどうだったかというレースの結果を基に3番人気になってしまうのは少々押し上げられすぎかと…

[4]⑧ソーヴァリアント(池添)

メンタル面で難しい馬がリングバミとチークピーシーズで素直に走るように。前走の富士Sは初のマイル戦でしたが流れに対応し、直線では外に持ち出しての③着と格好は付けました。ただこのレース自体が最後外を回した馬による上位独占という決着で、ナミュール・レッドモンレーヴとの脚色の差は明らかでした。今回も同様のレースをするはずですが、大箱タイプの大型馬だけに前走以上のパフォーマンスというのは半信半疑です。

[5]⑨シュネルマイスター(ルメール)

持てる脚は一級品。前が開くか、時計勝負になるかというところで惜しいレースも多いですが、いつも自分の脚は使えています。3走前のマイラーズCでは新設コースで時計の速い芝コースで差しきっており、内に閉じ込められる不利がなければここも確実に差しては来るでしょう。ただ、どうしても脚質的に運の要素が強いと言う点では先週のブレイディヴェーグと同様で。

[5]⑩マテンロウオリオン(横山典)

溜めても古馬戦で差しきれるだけの脚はなく、かと言って位置を取りに行くと甘くなる現状。この枠ではインを立ち回るのも難しく。

[6]⑪セリフォス(川田)

前走の安田記念はレーンJが先行策を選択。折り合えてはいたものの外差し有利の馬場には抗えず②着に敗れましたが、あれだけの脚を使えるのであれば京都コースでは間に合ったはずで、今回シュネルマイスターとの比較で前を取れるのはプラス。ただし、あくまでもここは香港マイルへの壮行戦。叩いて良化という概念を好まない中内田厩舎には珍しく「何とか間に合った」という表現をしており、最終追い切り後の川l田Jのコメントも同様でした。力はあるので外せはしませんが、言い訳の立つ一戦であることもまた事実です。

[6]⑫レッドモンレーヴ(横山和)

最終追いを手控えるのは2走前の安田記念⑥着時と同様。エアグルーヴ牝系で左回りの大箱向きという特性からもここでは強調できません。

[7]⑬セルバーグ(松山)

前走の関屋記念は逃げたレースとしては初めて着外に沈む結果に。陣営は引き付ける逃げを打ったことが敗因とコメントしており、今回は後ろに脚を遣わせる狙いから遠慮なく飛ばしていくとのこと。京都は構造上中間が元々緩みにくく、必要以上に飛ばしてしまうと4角の下り坂もあり最後に止まってしまう懸念があります。同型こそ居ませんが二の脚の速いバスラットレオンを意識して飛ばしてしまうと3F目まで10秒台が続く消耗戦になる可能性すらあり、流石にこうなるとマイルでしか逃げきっていないこの馬には苦しいでしょう。

[7]⑭バスラットレオン(鮫島駿)

芝のレースを使うのは2月のサウジ①着以来。昨年ゴドルフィンマイルを勝って以来ダート参戦も増えましたが国内線では芳しくなく、やはり海外の土に近いダートでスピードを活かすのが合っており、本質的にダート馬というわけではないのでしょう。鍵を握るのは6走前の阪神C。3F目まで10秒台が続くスプリント戦に近いラップを先行し0.2差の④着しましたが、今回セルバーグが飛ばせばこのようなラップになることが想定されます。今回のメンバーで同様のラップを経験した馬はこの馬含め3頭(シュネルマイスター/スプリンターズS⑨着、マテンロウオリオン/スワンS⑦着)と少なく、しかも掲示板内に好走したのはバスラットレオンのみ。前走のJBC スプリントは空馬に邪魔されまともにレースができなったこともあり度外視して良く、セルバーグを深追いしすぎずに番手をスムーズに運べれば押しきりも。

[8]⑮イルーシヴパンサー(岩田望)

得意の左回りでも末脚を繰り出せなくなっている現状。立て直しに時間がかかっている様子で、ここも大望は難しく。

[8]⑯ナミュール(藤岡康)

前走の富士Sでは外差し有利展開も相まってきっちり差し切り。ただ元々左回りが得意なタイプで、この舞台代わりだけならまだしもムーアJが乗れなくなってしまったのは完全に想定外。一瞬の切れを活かしたいがゆえ本来の理想は内目の枠でもあり、藤岡康Jにとっては久々のG1チャンスとはいえ乗りこなすハードルは低くありません。

〈予想〉
◎バスラットレオン
◯ソウルラッシュ
▲シュネルマイスター
△セリフォス
△ナミュール
△エルトンバローズ

2023年3月17日金曜日

【3/18(土)予想について】※3/18(土)09:00追記

前提から申し上げますと

「ストライキが決行されている状態で開催された場合、馬券の購入は見送る」

ことといたします。

賃金体系の問題は当事者間の話し合いで決めることが前提につき私が口をはさむことでは無く、思うところはたくさんありますがその点についての論評はここでは控えさせていただきます。

一方で、本来お世話をしている担当者がつかない状態でレースに向かわされる馬たちへの影響というのは定量的に測れないうえ、我々からすればどの馬がその影響を受け、どの馬が受けていないのかの見分けが不可能であるがゆえ、不確定要素の大きい中での競馬開催に財産を投じるのはリスクが高いと判断する次第です。

こんな場末の個人ブログを見に来てくださるくらい競馬に精通された方なら周知かと思いますが、馬は繊細な生き物であり、また人間が思う以上に人間のことを理解しています。突然見ず知らずの人間に餌を与えられたり体を洗われたり、そういった微妙な環境の変化が及ぼすストレスは無視できないはずで、メンタル面の変調に起因するパフォーマンスへの影響を考えると馬券購入の難易度はかなり高くなると思料されます。

従いまして、正規の厩舎スタッフを欠いた状態で競馬開催がされた場合は、馬券の購入対象として相応しくないと判断し見送ることといたします。

尤も、この手の労働争議というのは水際のタイミングまで交渉がなされ、一定の譲歩を引き出したうえで解決するケースも多いものです。記憶に新しいところでは2014年に相鉄HD系の各社(相模鉄道・相鉄バス)が始発からストライキに突入したものの、午前7時ごろに妥結を見、順次営業を再開していった例があります。鉄道会社をはじめとした交通インフラは影響度合いの大きさもあり他業種と比較しても特に労組の力が強い業態故一概に同じようには言えないですが、調教師会も馬主から財産を預かって運用する立場である以上その管理体制を維持できない状態を放置するのは本意ではないでしょうから、とにかく今はただ一刻も早い解決を願うのみです。

[3/18 9:00追記]

中山で「事故による出走取消」が既に2件発生しており、表に見える形で影響も出始めている模様です。残念ながら今日の開催については通常の形ではできなかったということで、正式に見送りといたします。

但し、レースが開催されている以上は公式に記録として残り、過去戦歴のストックとしての扱いを変えるわけにはいきませんので、いつも通り分析やら競馬新聞の購入やらは行っております。厩務員・調教助手と同様に、競馬に関わる様々な人たちの日常は、我々ファン側のいつも通りの経済活動によって成り立つのだということを想いながら。

2021年9月26日日曜日

【書評】水上学著「疑え、競馬常識」~ともに考える、という著者の想いを体現する良書

 少し前の刊行ですが、血統予想家としてお馴染み水上学氏の著書「疑え、競馬常識」(秀和システム刊)を購入、読了しました。

 本書のテーマは「競馬格言のウソ・ホントをデータで紐解き、馬券作戦に役立てる術を考える」というもので、

  • 「夏は牝馬」
  • 「大型馬の休み明けは割引」
  • 「最終レースは荒れる」
など、噂レベルから定説として確立しつつある「格言」と呼ばれる類のものを1つ1つ取り上げてゆく内容になっています。

 もちろん、それら自体は「TARGETで調べりゃわかること」の集合体ですし、「荒れる」と言っても単勝2~30倍の穴人気レベルから単勝万馬券クラスの全くの無印まであるわけで想像する尺度は人それぞれですが、読了してみて「なんとなく気になっていたこと」を改めて考えさせてくれるという意味において、競馬への理解を深める良書であると感じました。

 あとしばしば「著名な予想家でさえ豪語しているが、データからは全くのウソである」といった話題も出てきており「あぁ、あの専門紙の○○さんかな」と思えるような痛快な指摘も随所に散りばめられており、読んでいてなかなか胸のすくことも多い一冊でした。


 それぞれの詳らかな内容は本書に譲るとして、自分が本書において特に良いなと思った点は下記2点です。


①読者と共に考える、というスタイル

 評論家、予想家の中には「お前ら知らないだろうけど真実はこう、俺が教えてやるよ」的なスタンスの人も少なくないと感じます。それは競馬予想というものがまだアナログでロマンとともに語られていた20世紀には少なく、何もかもがデータ化され可視化され、誰もが簡単に発信を行えるようになった現代において鮮明になってきたと感じます。

 それは予想手法の進化あるいは深化によって新たな観点や価値観の発掘によるところが大きいのですが、自らの理論の追及に励むあまり、誰とは言いませんがどうも一般のファンを見下しているような物言いが目につく人もいます。マイケル・サンデル教授の言葉を借りれば「行き過ぎた実力主義」、ゆがんだメリトクラシー(G1TCの馬ではない)がこの世界にもはびこっているようにも感じています。

 水上氏と言えば自分が毎週視聴している「競馬予想TV!」(フジテレビONE)をはじめテレビ、ラジオ、Webと盛んに活躍する著名人で、表に出る機会が多い分有名税を払わされることも少なくないはずです。著名な予想家が横柄な物言いに陥りがちなのは、本質を顧みない稚拙な反論に接する機会が増えうんざりしたが故の心の動きという要因もあるかと思いますが、この本ではしばしば「調べたけど原因はわからない、なのでこれ以上は無理に論評しません」というシーンが出てきており、凡そ予想を生業とする人のプライドがいい意味で感じられないのが良いところだと考えます。

 例えば、本書の項目の一つに「海外遠征帰りの馬は軽視すべきか」というテーマがありました。結果として「海外遠征する馬はそもそも一流馬に限られ、総じて国内のレースで好成績を収めているので必要以上に軽視する必要はない」というデータが出ていたのですが「香港帰りだけは成績が悪い、しかし理由はわからない」と締めくくられています。

 予想家とファンという立場の違いをつなぐのが本書であるならば本来、予想家側の結論なりを誇示して締めくくりたいはずのところ、氏は無理にこじつけをしないで読者の想像、研究にゆだねるスタイルを取っています。わからないことは書かない、のではなく、わからないことを皆で考えるという水上氏の姿勢は「実るほど頭が下がる稲穂かな」という言葉を思い出さずにはいられません。

 これは完全に余談ですが、2年ほど前に東京競馬場に出かけた時にラジオ日本の出番の合間と思われる水上氏を目撃したことがありました。売店でコーヒーとサンドイッチを買って関係者通路に消えていったので声もかけられませんでしたが、何というか、メディア露出の多い人にありがちな威圧感めいたものが無く、いかにも人に好かれそうなオーラの持ち主だなと感じたことを覚えています。ある意味人となりがそのまま表れた著書であると思えばそれも納得です。


②「競馬の市民権」を考える視点

 これはよくツイッターなどで須田鷹雄氏も触れていますが、日本社会における競馬の見られ方というものについて「競馬の市民権を疑え」というテーマで「こっち側」にいる人間としても考えてみたい、というコラムが本書には掲載されています(著者が連載していた「競馬の天才!」内コラムの転載)。

 ご存知の通り、中央競馬は農林水産省の管轄で施行されており、利益は国庫に還元され様々な事業の財源となっています。元々馬券販売は宝くじなどと同様に、戦費の捻出や復興財源の確保、自治体における財政貢献を見込んで行われ公共性の高い事業でありますが、やはり一般的にはギャンブルの類であることは間違いなく、依存症問題などとセットでマイナスイメージで語られることの多いレジャーでもあります。

 その点、売り上げの一部が日本財団の財源となり福祉車両の購入など公益性の高い使途に充てられているボートレースは早くからそうした広報活動を積極的に展開していました。JRAがこの手のプロモーションを本格化させたのはコロナ渦になって以降で、開催継続の正当性や意義をアピールする必要性に駆られての措置と考えれば、JKA(競輪・オートレースの統括団体)と並んでこれでも遅いくらいでした(本来なら東日本大震災の時からこのようにすべきだった)。

 水上氏が本書で語っているのは主に「依存症を生むリスクを抱えるレジャーが一般社会にどこまで受け入れられているのか、たまには立ち止まって考えるべきでは」という視点でありますが、本質的には個人(=経済力や可処分所得を顧みず購入し身を窶してしまう人)の問題であって統括団体としてできることは限られるとも述べています。別に○○をすべき、という提言めいたものも無く、我々ファン一人一人が顧みる機会を持つ必要性に触れていますが、今の時代だからこそこの視点を大事にしたいと感じました。

 考えてみれば、体毛が白かったり馬産界ではレアな九州産というだけで一般ニュースに取り上げられる現代は、競馬ファンにとってはとても恵まれていると言えるでしょう。自分の好きなことにプライドを持つ、ということは大事ですが、市民権を得た趣味だと勘違いして大上段に構えてしまうと思わぬところから矢が飛んできたりするわけで、それは競馬をはじめとした公営競技のファンには特に付きまとう視点だと思います。かと言って変に縮こまったりへりくだる必要もないのですが。

 毎週楽しめていることが当たり前だと思わない、我々の愛する趣味は、様々なバランスと多くの人の努力によって成り立っている世界なんだということを自認する、この項からはそんなメッセージが聞こえてくるようでした。


 丁度昨今、単勝1倍台の馬がコロッと負けるケースが頻発しています。「当たり前を疑う」という本書のテーマが、簡単そうで難しいことなんだと、現実に改めて気づかされます。


2020年10月22日木曜日

出走馬抽選制度に対する国枝師の提言と、厩舎制度について。


 先日、大手競馬メディアに寄稿された1本の記事—

■“GI抽選対象”何が正解なのか 国枝調教師の金言/トレセン発秘話(netkeiba.com)

 このブログをご覧になる方はほとんどご存知かと思いますが、美浦・国枝栄調教師がG1における出走馬選定の「抽選」制度について苦言を呈したという話題です。

 デビュー3連勝中だったレイパパレ(栗東・高野友厩舎)が6分の4の抽選に漏れ、目標としていた秋華賞に出られなかったことは記憶に新しく、さらに同馬が秋華賞当日の10R・大原S(3勝クラス)で圧勝したことで、「もし出られていたら…」という思いを強くするファンも少なくなかったことでしょう。

 この話題を引き合いに国枝師は「G1くらいは完全にレーティングで決めても良いのでは?」という提言をしていますが、それは果たして「JRAのハンデキャッパーが優秀だから」という理由だけで言っているものなのかと疑問に思えてしまいます。

 そもそもレーティングはオープン以上の競走に対して付されるものであり、それを条件戦にまで適用しようものならJRAの負担は膨大になると見られます。まさか「G1に出ようとしている馬が出そうなレースだけレーティング付与します」とは言えないですし、仮にそのようなことがあれば「主催者が『強い馬がここに出ます』っていうレースを選別している」ことに繋がるわけですから、公正保持の観点から日本では難しいと言えるでしょう。

 加えて、秋華賞を例にとれば3着だったソフトフルートとレイパパレを比較して、どちらが強いかというのを戦前に推し量るのは難しかったと言えるでしょう。そもそも「強い馬」というのは絶対的なものではなく、走るコースや距離、馬場状態、ペース等様々な要因で力関係は変わるもの。それはアーモンドアイを管理している同師が一番よくわかっているはずなのですが…


 得てして、こういうリーディング上位調教師の「JRAへの苦言」はポジショントークを多分に含んでいるものです。

 少し前に栗東・矢作芳人調教師が「厩舎制度改革」と称してメリット制(成績に応じて馬房数・登録可能数を増減させる)の話をしていましたが、これも結局相対的に下位の厩舎のことは全く顧みられていないわけです。一般論として競争原理が市場活性化に有効だという理屈は理解できますが、競馬サークルにおける厩舎というのは1つの会社であると同時に馬主側にとってのライフラインですから、仮にガッツリ馬房数を減らされた下位厩舎が収入減を苦に廃業するようなことがあればサークル全体での受け入れ数の問題が発生します。

 「そもそも新馬の数が増えている」「親族や法人などの名義により実質的に大馬主の寡占となっているJRAの馬資源市場」等の問題はひとまず置いておいて、仮に上位の厩舎がこれら下位厩舎の馬房を吸い上げて商売をしたとしても、それはセーフティーネットにはなり得ないのです。彼らには、成績下位の厩舎だからこそ受け入れてくれる層の馬を受け入れるつもりがないからです。増やした馬房は大手の預託枠として再配分されるだけで、そうなると今度は成績中位の厩舎に良い馬が回らないという問題が発生し、ますます上位のパイが大きくなるだけです。

 加えて、そのようなことが実際に起こると、預託馬の行き場を無くす個人馬主も一定数出てくるようになるでしょう。人気厩舎は大手に埋め尽くされ、大学病院さながら知人の伝手などで紹介してもらえないと入れない…なんてことになっては「その筋の有力者」か「元々金持ちだった」人以外で将来的に馬主になろうという人はどんどん少なくなるでしょう。今のように売り上げが伸び続けている局面ではさほど問題になりませんが、何かの事情で売り上げが下がったり馬が売れなくなったりすると、特定少数勢力への依存が強い市場は途端に負のスパイラルに陥るリスクをはらみます。

 これも根っこは出走馬抽選の話と同じで、何を以て「良い厩舎」とするかはまちまちなわけです。矢作師や栗東の森秀行調教師のように、その馬のLTVを最大化するための出走戦略を採る調教師も居れば、「人を育てる」ために自厩舎所属騎手の騎乗を受け入れることを条件とする栗東の本田優調教師のような人もいます。あるいは、テソー□軍団のようにオーナーの言うことを文句言わずに受け入れる厩舎が良かったり、出走手当を稼ぐために連闘や芝中距離にローテを限定して使い続ける厩舎が良い、という考え方もあるでしょう。

 つまり、厩舎に何を求めるのかは馬主の間でも違いますし、むろん立場が違えば当然利害も異なります。そうした土壌にある「厩舎」という馬主にとっての共有財産を、勝ち星や出走数など定量的な実績による評価に偏重させるのは、少し違うのではないかと。


 話を馬に戻しますが、例えば「3戦3勝の馬が10戦3勝の馬より強い」という保証はありません。2002年に朝日杯FSを制したエイシンチャンプは、2歳12月にしてこれがキャリア9戦目。当日は8番人気と伏兵扱いでした。かたや1番人気は2戦2勝のサクラプレジデント。レースではゴール前でのサクラプレジデントの追撃を先行策から封じたエイシンチャンプ。同じ2勝馬でも人気は大きく離れていましたが、その通りにならないのがレースというものです。

 たらればをロマンとして語ることには必ずしも賛成しませんが、少なくとも、条件戦しか走っていない世代限定戦においてどのように「優劣」を付けるのか、その是非を含め自分はどうにも首をかしげてしまうものです。

2020年10月5日月曜日

予想と応援が重なった時、競馬ってこんなにも面白いんだと思った


 一口馬主に限らず、競走馬そのものとの関りを持つ立場になるとジレンマとなってくるのが「予想と応援」の区別だと自分は思います。

 基本的に自分は「予想と応援は区別すべき」と考えます。

 例えば、自身の出資する競走馬がレースで走るとして、応援する気持ちは自然と湧いて出るもので、これは「絶対比較」でその馬が自分自身にとって大切な存在だからこその普通の感情です。一方で、勝負は相対比較なので、どんなに願っても思うような結果にならないことは当然にあり得ますし、その方が多いはずです。

 勿論、自分の選択が誤りだったと認めたくはないものですし、負けた原因を探して切り替えていくことが大事ですから、人は敗因を探し、それに向き合い、また前を向いて行くわけです。そして、自分の出資馬が競馬新聞で印が薄かったり、パドックで褒められなかったり、予想家の買い目に入っていなかったりすると「見る目ないな」と思いながら「見てろよ、結果で見返してやるからな」と内なる闘志をメラメラと燃やすわけです。

 但し、これも競馬というギャンブルの性質上仕方のないことで、物事には優劣があり優先順位が存在し、リソースには限りがあります。皆自分の愛馬が可愛いのは当たり前。それを相対比較で取り上げられなかったからと言っていちいち文句を言うようでは心臓がいくつあっても足りませんし、そうなるとパドック解説も予想も出来なくなってしまいます。

 自分は出資馬の出走するレースは基本的に予想を上げません。それは「予想と応援」を区別する自信がないから。仮に力量的に疑いようのない本命と客観視されていたとしても、出資者という利害関係がある以上純度100%の「予想」とは言い切れないわけで、せいぜい友人の出資馬を苦戦覚悟で本命に抜擢することがあるくらいです。


 話は変わりますが、今年一番嬉しかった的中がNHKマイルC。


 ラウダシオンは友人の出資馬で、自分に一口の世界に飛び込むきっかけを与えてくれた方の一人です(知り合ったのは既に解散した某アイドルグループのライブ会場でしたが)。

 新馬戦の頃から買い続け、もみじSやクロッカスSでは有難い勝利をもたらしてくれました。一方で、朝日杯FSでは苦杯を味わい、ファルコンS2着を経て挑んだここは距離不安も指摘され単勝29.6倍の9番人気。騎乗経験のある福永・武豊・ルメールJはそれぞれ別の馬に騎乗し、初コンビとなるデムーロJとのコンタクトにも注目が集まる一戦でした。

 当たったから言うわけではありませんが、当初◎を打ったのは応援の気持ちが8割でした。朝日杯の後ルメールJが距離の限界について言及しており、陣営もトーンが上がり切らない中でのマイルG1参戦で、この距離延長にポジティブな意見を持つことは難しい情勢でした。クロッカスSも、開幕週で頭数が落ち着いた中武豊Jの果敢な先行策が奏功した、という見方が強く、距離実績のあるレシステンシアなどに人気が集まるのは仕方のないところでした。

 ですが、応援とはいえ自分の財産の一部を賭すわけですから、何か合理的な理由はないかと考え調べていたところクロッカスSのタイムが優秀であることを発見。この時は、自分がコロンブスにでもなったかのような、自分しか知り得ない何かを見つけたような嬉しさがありました。結局レースでは先行策でマトモにレシステンシアを負かしに行った堂々たる勝ちっぷり。自宅でわめき過ぎて1歳の息子も泣き出す始末。

 とはいえ、縁故のある馬でなかったならそうやってポジティブな要素を見出そうと必死になっていなかったかもしれません。最初の動機は応援でしたが、結果的には自分なりの根拠を持った予想をも兼ねることとなり、「予想と応援が重なって勝つとこんなにも嬉しくなれるんだ」と感じたことを今も覚えています。


 今度は自分の出資馬でも、あっと驚く大金星を見せてもらいたいものです。その時が、そう遠くないことを信じて。

2020年10月1日木曜日

秋華賞パラスアテナの鞍上問題、「あの馬」の出否がカギを握る


(写真:2020年9月12日、紫苑S出走時 出典:広尾TC

 紫苑S2着で秋華賞(10月18日・京都競馬場)への出走を予定している広尾TCのパラスアテナ(牝3、美浦・高柳瑞厩舎)について、ここ3戦で手綱を取った武豊Jが10月2日にパリ・ロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞(ジャパン)騎乗のため秋華賞当日の騎乗が不可能となったことは既報の通りです。

 既に出資会員の間でも話題になっていますが、こうなると「本番で誰が乗るのか」が非常に気になるところであります。かくいう私もその一人。個人的には、騎乗経験のある吉田隼Jなんかが良いと思っていましたが、フアナで権利獲れなかったルメールJや、クラヴァシュドールの距離適性に見切りをつけたデムーロJが当日空いている…なんて事態にでもなったらワンチャンあるのでは?と淡い期待を持ったりしていました。


■現時点での出走予定馬とボーダー、想定騎手

 妄想を繰り広げる前に、現時点での出走予定馬をおさらいしておきます(敬称略)。

【優先出走権】5頭予定
マルターズディオサ(紫苑S1着) 田辺
パラスアテナ(紫苑S2着) ○○
シーズンズギフト(紫苑S3着) <回避>
リアアメリア(ローズS1着) 川田
ムジカ(ローズS2着) 秋山真
オーマイダーリン(ローズS3着) ○○

【賞金上位】8~10頭予定
デアリングタクト 松山
ウインマリリン 横山武
サンクテュエール ルメール
ミヤマザクラ 福永
アブレイズ 藤井
ウインマイティー 和田竜
クラヴァシュドール M.デムーロ
ホウオウピースフル 池添
マジックキャッスル 浜中
デゼル 藤岡康

【賞金順】
(1,500万)3~5頭出走可能
クラヴェル 横山典
ソフトフルート ○○
フィオリキアリ 北村友
ミスニューヨーク 加藤祥
レイパパレ ○○

 ざっと名前が挙がっているのはこのあたりでしょうか。


■賞金上位馬の動向

 シーズンズギフトは富士Sへ向かうことが発表されましたが、同じキャロットCのサンクテュエールとの使い分けという話もあります。しかしながら、そのサンクテュエールが帰厩後今ひとつ調子が上がらないというか、陣営のトーンが上がって来ないようで、回避も囁かれるように…とすれば、ルメールJはこれらのいずれかに乗ると目されていただけに、そのいずれも回避となるといよいよわからなくなってきます。

 加えて、持病である右肘の腫れを抱えるウインマリリンも、膿の状態を見ながらの調整を強いられているとのことで予断を許さない状態。彼女ら重賞ホルダー2頭が抜けると、現時点で登録の意向を表明している賞金1,500万の5頭が全頭出走可能になります。


■「川田組」の騎手手配が気になるところ

 次に考えたいのはパラスアテナ以外の未定の3頭。これらはいずれも川田Jで勝ち上がった馬で、リアアメリア参戦によりアテを失ったと言えます。

 まず、オーマイダーリンについては川田Jに加えローズSで3着に導いた和田竜Jも先約で乗れず。先約が無く他に騎乗経験があるのは江田照J、川須Jですが、このためだけに江田照Jを呼ぶのは現実的でないので無難に川須Jでしょうか。河内厩舎なら幸、岡田、和田翼Jも居ますが…

 ソフトフルートは中京の2勝クラスを好時計で勝った馬。騎乗経験あって先約が無いのは吉田豊・隼J、岩田望Jの3名。ゴドルフィンはどちらかというと騎手起用に介入することの少ないイメージで、先週の神戸新聞杯のターキッシュパレス(5着)も富田Jとのコンビを継続させました。そうなると、初勝利以来となる岩田望Jの起用も可能性ありますが、評判が高いだけにエージェントサイドからの売り込みもそれなりにあるでしょう。

 最後にレイパパレ。デビュー3連勝中でインパクトの大きい馬ですが、これまで3戦は全て川田J。ちなみにこの馬もキャロットFの所有馬ですが、横山典Jでの参戦を表明しているクラヴェルと違って鞍上はまだ発表されていません。キャロットFの事ですから、出られるのであればルメールJ等宛がいたいところでしょうが、そのためには確実に出走できる情勢にならないといけません。


■鞍上問題のカギを握るのは「ウインマリリン」

 上記経緯から察するに、私はひとえにウインマリリンの出否が騎手のやりくりを考えるうえで重要になってくると考えます。

 現在、出走表明している中で優先権持ち+賞金的に確実に出られるのは15頭。こうなると残る3枠に対し5頭が抽選となります。この状態であれば、ルメールJはサンクテュエールに乗ることがほぼ確実と言えるでしょうし、レイパパレが除外になっても自己条件で川田Jを乗せれば良いという考え方も出来ます。

 一方、サンクテュエールが回避する流れになるなら、キャロットとしてはレイパパレにルメールJを騎乗させたいでしょう。しかしながらサンクテュエールが回避するだけではまだ5分の4の抽選なわけで、万が一これに漏れてしまったらキープしていたであろうルメールJに申し訳が立たなくなります。ですが、サンクテュエールの出否発表より前に回避馬が1頭出れば、サンクテュエールを引っ込めることで1,500万組の抽選が無くなることが決定するので、正式にレイパパレへのオファーを出すことができます(他に登録する1,500万円馬が居なければ)。

 即ち、サンクテュエール以外に回避の可能性のある馬、今回で言えばウインマリリンがもし先に回避を発表することになれば、サンクテュエールもそれを見て引っ込めたうえでルメールJの乗り馬が決定できる、と踏んでいます。


■使い分けのジレンマ

 では逆にウインマリリンが出走にこぎつけ、なおかつ回避馬も出ないとなるとどうなるでしょうか?シーズンズギフトを富士Sに回してまでお膳立てをしたわけですから、態勢さえ整えばサンクテュエールは普通に秋華賞に向かうでしょう。これはサンクテュエールというより、シーズンズギフトの出資者への配慮だと私は考えます。

 そもそもシーズンズギフトは春にもフラワーC3着、NZT2着としておきながらG1への出走が叶わなかった馬で、会員としても「何とかG1の舞台へ」という思いは強かったはずです。真意はさておき、藤沢和師は「紫苑Sのレースぶり」を理由に距離適性含め秋華賞は厳しいと判断、52kgで出られる富士Sでマイル路線に挑むという方針を明らかにしていますが、この説明にすべての出資者が納得しているとは言い切れないのが実情です。外形的には「トライアルを使って優先出走権を獲得したにもかかわらず本番回避」という事実が残るだけで
、使い分けを疑う声が出るのはやむを得ないでしょう。

 最悪なのは、サンクテュエールが回避してなお抽選が発生し、レイパパレが漏れてしまった場合です。シーズンズギフトの回避を「ルメールJの使い分け」と考えるファンの立場からすれば、「ルメールJを譲った」サンクテュエールが回避し、さらに鞍上未定のレイパパレが出られずとでもなれば、結局何のために譲ったのか、という思いになってしまう可能性もあります。

 これはルメールJの立場で考えても同じことが言えます。ノーザンへの恩義を感じ予定を空けているのでしょうが、デゼルに乗れる可能性だって十二分にあったはずです。騎乗馬が居ないのではシャレになりませんし、仮に抽選でレイパパレが出られたとして、そこにルメールJが収まってもそれは結果論で、囲っていたのに最後までヤキモキさせられるのは気分は良くないでしょう。クラブは複数の馬を送り込めますが、騎手は1人。やりくりがうまく行かないこともあるわけです。


■パラスアテナの鞍上はルメールJ次第?

 さて、何でここまでパラスアテナに関係ない話を書いたのかというと、武豊Jからの乗り替わりを余儀なくされる同馬にとって、ルメールJの鞍上は無関係と言い切れない事情があるためです。

 武豊Jの騎乗依頼仲介者(エージェント)は元競馬ニホンTM(トラックマン)の豊沢信夫氏で、同氏は他にもルメール・浜中・そして泉谷Jのエージェントを務めています(1人のエージェントが担当できる騎手は3人+若手騎手1人まで)。エージェントは同氏のように厩舎関係者とのパイプを持つ競馬新聞や専門誌のTMが務めることが多く、担当エージェントがどれだけ顔が利き信頼してもらえるかが騎乗馬の質を左右します。

 騎手起用に介入するオーナーの持ち馬を除けば、厩舎関係者からの騎乗依頼はジョッキー単位というよりエージェントに対して持ちかけられます。その中でエージェントが差配するので、自ずから同じ担当エージェントの騎手同士で序列があったり騎乗馬の融通があったりします。ルメールJの乗る可能性のある馬に武豊Jが乗ることもありますし、その逆も然り。となれば、武豊Jが継続騎乗していたパラスアテナの宛がう先を探して、ルメールJに話が行っている可能性もゼロではありません。

 実力のほどは走ってみないとわかりませんが、紫苑Sでは自身の騎乗するシーズンズギフトに先着した馬ですから、身体が空いているのであればオファーがあっても不思議はないですし、応諾の可能性も万に一つとはいえ無いとは言い切れません。しかしながら、現時点ではキャロットのいずれかの馬に乗ることが濃厚な情勢で、仮にオファーがあったとしても乗ります、とは言えないでしょう。

 とはいえ、早々と秋華賞参戦を決めていたパラスアテナの陣営としても、可能であれば武豊Jが乗れないとわかった時点で早めに鞍上を決めてコンタクトを取っておきたいはずです。帰厩したこの時点でまだ明確なアナウンスが無いということは、あらゆる選択肢を模索していることの表れでしょうし、そこに全国リーディング騎手というオプションがあったとすれば、ギリギリまで待つのもやむを得ないと考えるのが自然でしょう。


■まとめると

 未定かつ個人の想像であるという断りを入れたうえで書けば…

・本線は吉田隼Jでしょうか。夏の波乱の立役者にして全国リーディング7位。但しこの日は恐らく新潟にいるはずなので、前々から確定させないと厳しそう。
・ギリギリまでルメールJの動向を待つなら、直前の水~木あたりまでずれ込むことを覚悟する必要あり。それで結局乗ってくれない、となるならば、当日京都で乗る人の中から選ぶほかない。藤岡佑Jとか当日居ないですかね…

 というのが現実線でしょうか。誰が乗ろうと応援する気持ちに変わりはありませんが、出資馬が初めてG1に出るとなると思い入れもひとしお。あと2週間半、楽しみに待ちたいと思います。

2020年8月2日日曜日

【考察】関西馬旋風のその後(8/1、2の新潟における東西別結果まとめ)

 この記事は関西馬の新潟競馬での活躍をまとめた記事の続編で、今週の結果をまとめたものです。

 ※おさらい…2019年夏開催の成績

  ・騎手
   美浦(120,118,126,1527)勝率6.3%、連対率12.6%
   栗東(24,26,18,164)勝率10.3%、連対率21.6%

  ・厩舎
   美浦(122,121,125,1497)勝率6.5%、連対率13.0%
   栗東(22,23,19,193)勝率8.6%、連対率17.5%

■今週(8/1、2)の成績


 ・騎手
  美浦:5勝18連対
  栗東:19勝30連対

 ・厩舎
  美浦:7勝17連対
  栗東:17勝31連対

 依然として西高東低の傾向は変わらず、圧倒的な成績差がついています。

 ただし今週は関東の若手ジョッキーの活躍が目立ちました。美浦の18連対の内11例を減量騎手が占め、特に直線1000m戦ではいずれも減量騎手同士の決着で高配当が飛び出すなど、見逃せない活躍も見せています。

 根本的な要因としては、本来新潟は夏季の「関東主場」として扱われるため条件戦においては関東馬が優先的に出走できるようになっていますが、今開催(2回新潟開催)は小倉が無いためその適用が無く、単純に前走着順や節間隔で関西馬も出られるようになっていることが挙げられます。それにしてもここまで差がつくかという感想ですが…ただしその取扱いも来週まで。再来週から小倉が始まると再びブロック制限により大半の関西馬は小倉に流れますが、逆にそれでも新潟に遠征する関西馬は新潟の舞台適性を見込んでの起用と見られ、違った意味で注目すべき要素にもなりそうです。

2020年7月26日日曜日

【考察】栗東から人馬が大量流入、2場開催のもたらした変化

 7月後半の開催替わりは通常なら新潟・札幌・小倉の3場開催となるところですが、「東京2020大会開催による交通への影響及び暑熱対策の観点」から今年は今週から3週は新潟・札幌の2場での開催となっています。「暑熱対策」を理由の一つに挙げている点がミソで、来年以降について特に語られてはいないものの、恒久的な取り扱いとなる可能性は否定できません。そもそも馬は暑さに弱い生き物なので…

 これによって大きく変わったのが、本来小倉開催に向かっていた人馬がこぞって新潟に集中したこと。開催がない以上移動してくるのは当然なのですが、通常美浦所属馬が中心を占める新潟開催でやたらと栗東の人馬が目立つようになりました。ではそれがどのように結果に表れているのか、自分自身の反省も兼ねて考えてみることにしました。

①騎手

■2019年新潟開催・所属別成績


 全てにおいて栗東所属騎手が成績上位ですが、昨年は参戦数自体が全体の1割程度でした。

■2020年新潟開催初週(7/25・26)の成績


 表中黒字が美浦、青字が栗東所属です。TARGETの集計データが出てないので手計算ですが、

 美浦:8勝・17連対
 栗東:16勝・31連対

とほぼ倍の成績となっています。


②馬

■2019新潟開催・所属別成績


 先ほどの騎手の表とほぼ変わらず。人間は1日に12回まで乗れますが馬はせいぜい2~3週に1回なので、成績の差がつきにくい中ですがやはり栗東所属馬が高勝率でした。

■2020年新潟開催初週(7/25・26)の成績


 美浦:7勝・16連対
 栗東:17勝・32連対

 こちらも騎手成績同様、ほぼ倍の実績差が出ています。出走数は美浦195頭に対し栗東180頭。例年の出走頭数比が9:1程度であることを考えると相当数流入しているわけですが、それでもほぼ互角の頭数にも拘らずここまで差がつくとは思いませんでした。


■特に古馬戦では栗東馬が強い

 美浦所属馬が互角に検討しているのは2歳戦で、特に3歳以上のレース(1勝クラス以上)に関しては10鞍あって美浦1勝に対し栗東9勝と圧倒しています。2歳戦、特にキャリアの浅い段階のレースは入厩前の乗り込みが成績に直結しやすいもので、厩舎力が問われる古馬戦に関してはやはり栗東に分があると見るのが妥当でしょう。


■栗東所属馬を狙う注意点

 多くの場合、調教施設の整ったトレセンに置いておき稽古を積んだうえで輸送を経てレースに臨むパターンが主流です。そのため、輸送によるストレスを感じやすい馬はコンディションの低下によりパフォーマンスが出せないことも考えられますので、過去輸送・遠征競馬で結果を残せていたか等がチェックポイントとなるでしょう。

2020年6月30日火曜日

【2020年上半期の収支報告】

 丁度先週で上半期の開催が終了。折り返し地点に差し掛かったところで成績をまとめてみようと思い立ちました。自分自身の収支は当然把握しているのですが、それとは別に「このブログで本命抜擢した馬の単複回収率」を考えたいと思いました。

 馬券というのは実に様々な買い方があり、本命から流しても人気薄を拾えれば高配当をゲットできますし、逆に妙味ある馬を見抜いても買い方がまずければ一銭にもなりません。そこで今回は、紐馬の有無に左右されない「単勝・複勝」で純粋な的中率と回収率を割り出し、まやかしのない予想力を曝そうと思います。

【2020年1月~6月】
的中:44/173R(25.4%)
※本命抜擢馬の確定着順が3着以内となったレースを「的中」としています。

単勝回収率:123.8%
複勝回収率: 87.0%

【本命抜擢馬と結果の一覧】(クリックで拡大します)


 全体的に微妙なのですが、特に3~4月が大苦戦。人気馬しか拾えていません。

 単勝の回収率だけ見ればまだ見れた数字ですが、複勝と比べて配当が跳ねることが多く、言うまでもなくウインクルサルーテ(1/13京都10R寿S)が牽引しているのは明らかです。実際これが無ければ単勝回収率は69.6%ですので、真に自分の実力を現した数字にはなっていないと思います(大穴を拾えるという強みを証明することにはなりますが)。

 そして複勝回収率が90を割っている現状を見るに、自分の予想は「妙味」は狙えていても「それが確実に来るかどうか?」が足りないと反省しています。毎週のように万馬券を狙っていた昨年春の悪い癖を引きずり「網を広く張って跳ねるのを待つ」という戦法から脱せていないことから、効率の悪い攻めを繰り返しているのが現実でした。

 事実、これらを基に連系の馬券も買っている自分自身の結果も似たようなものです。


 軸馬が来ていないのですから、3月、4月は当たり前のように急降下しています。それでも5月~6月から元手を絞り、買い方も単複・馬連を軸に手広くいきすぎないようにした結果、軸馬たちの頑張りもあり「的中率20%・回収率100%」を目指すうえで多少なりとも理想形に近づいてきた気がしています。あとは出来心で購入レースを増やし余計な出費をしないこと、でしょうか。自分との戦いですね。

 自分は、真に予想の力量があると思うのは「複勝回収率が高い人」だと思っています。

 上述したように、単勝は跳ねやすいため自分のような素人でも一発当てれば回収が100を超えてしまうものですが、複勝はせいぜい10倍つけばいい方。そうなると10回に1回は大穴を的中させなければいかず、一発逆転の難しい指標です。逆に1番人気の複勝は100円台前半がほとんどですが、1番人気でさえ3回に1回は複勝圏内を外します(2020年の全レースの1番人気の複勝率は63.5%)。確率論で行けば「複勝150円未満をベタ買いするとガミる」わけで、人気馬を狙い続けるでもなく、かといって大穴狙いで振り回し続けるでもなく、的確な軸馬選定が求められる故、ここに予想力の指標を見出す考え方には大いに賛成します。

 連系も言わずもがな、たまたま引っかかっての的中も多分にあり得ますゆえ、特に連系馬券に1点1000円とか突っ込んでたり、何十点も手を広げているような場合、配当の派手さはありますが再現性に乏しく自分のような一般人が真似するには無理があります。この世界で飯を食っている人の中には当たった時だけ大騒ぎする人が多いですが、そうしたショーに踊らされることなく、本質を理解し自分のフィールドで確実に利益を出すやり方を考えることの大切さを、振り返って実感しました。

 馬券もさることながら、下半期最初の来週はパラスアテナの重賞挑戦。競馬を愛する皆さんと、もっともっと楽しんでいきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2020年5月24日日曜日

【オークス回顧】あらゆる不利を跳ね返したデアリングタクト×松山弘平。もし「あの時」マジックキャッスルに割られていたら…



パドックでは発汗も見られテンションはギリギリ、馬体は減っては無いが増えてもない、本番を迎えるコンディションとしては必ずしも万全とまでは言えない状態。


そしてレースではガチガチの包囲網に遭い内に押し込められる苦しい位置取り。しかしながら松山Jは焦らず、直線で馬群がばらけることをじっと待っていました。


直線で外に持ち出す機会をうかがうも、同様の位置取りの馬も多く前とはかなり距離がありました。ここで、松山Jの好判断が閉じかけた女王への扉をこじ開けます。


①左上=斜め前にぽっかり1頭半分のポジションが。ここを取れるのはデアリングタクトとその内にいたマジックキャッスルの2頭。

②右上=2頭とも間髪入れずに飛び込むも…

③左下=わずかに機先を制したのはデアリングタクト。

④右下=デアリングタクトはそこから鋭く伸び前を捕らえる。一方マジックキャッスルは一旦内に振られたのち再度外に切り替えるも前が開かず。


マジックキャッスルはデアリングタクトの通ったコースを突いて伸び5着に食い込む健闘を見せました。勝ち馬とは0.4差、上り3Fは33.4をマーク。スムーズなら2着もあったかと思わせる脚勢でした。もしあのスペースに飛び込んでいたのがマジックキャッスルだったら…競馬にたらればは禁物ですが、たらればには次走以降のヒントがいっぱい詰まっています。

実は直前まで印を迷うくらい魅力を感じてはいたのですが、前走大敗後在厩調整で上り目に乏しいこと、それを物語る「最終追いが坂路」という調教過程からも手は出せませんでした。アーモンドアイやカレンブーケドールがそうであるように国枝厩舎は本気仕上げにはコース追いを使うのがセオリーで、マジックキャッスル自身もこれまで最終追いは全てコース(ウッドもしくはポリ)でした。坂路追いは負荷を抑えたいときに使う最終手段で、ギリギリの仕上げでは逆転は厳しいと見ておりました。ですがやはり高速馬場への適性は高いのと、母父シンボリクリスエスという血統背景からもこのコースではやれてもおかしくありません。勝ち上がりこそ早かったものの、まだまだ良くなる余地を感じさせるレースでした。

一方、デアリングタクトは絶体絶命の位置から最後の200mほどであっという間に前を捕らえる圧巻のレースぶり。テンションが上がることも、包まれることも、直線で行き場をなくすことも全て想定して印を割り引いたのですが、そんなこと関係なしに馬が強かったことに加え、上でも挙げましたが松山Jのとっさの判断が勝利へ導いたと言えるでしょう。こうしたプレーが出来ていることが今年の好調を裏付けていると思いますし、この大舞台、未知の距離それに応える馬の強さたるや。

競馬界に新たな名コンビ誕生、と言っていいでしょう。

2020年3月29日日曜日

【高松宮記念後記】クリノガウディーは「不可抗力」?


画像だと一瞬の切り取りでしかないので出来ればパトロールビデオを観てほしいんですが、素人目には和田Jは終始右手綱開きっぱなしで外へ外へ促していたように見えました。直線入り口でも左ムチを入れており、それなりの対応はしていたように取れます。強いて言えばセイウンコウセイを交わした後に左ムチを入れられていれば…とは思いますが、ムチに頼らず手綱による扶助を第一とするやり方自体は責められるものではありません。


須田鷹雄氏は流石にちゃんと理解していて冷静ですが…



何だこのおっさん!(絶望

良くも悪くもメディアとの折り合いをつけることの大事さを分かっているからこその発言なのでしょうが流石に審議のくだりは無いですね。ただでさえ写真判定+被害馬が2頭いて影響度合いを考える必要があったのに加えて、和田Jは一定程度の扶助は行っていて、馬の癖をどこまで勘案するかのさじ加減も考慮が必要だったわけですから。

ただこのツイートの疑問を解消してくれる答えが↓


でしょうね、恐らく。ダイアトニック買ってたんでしょう。

そして先ほど裁定が下り、「実効4日間の騎乗停止」で手打ちとなりました。情状酌量なし。いろいろと踏んだり蹴ったりですね。この馬には森君以外乗せてはいけないのでしょう。

(追記)
胸糞が悪いので引用は控えますが、和田Jへの罵詈雑言や(何故か)北村友Jへの罵倒がTLに流れてきました。降着だって立派な競馬のルール。それが判らないなら競馬をやるなって話です。

やっぱりもうしばらくTwitterから離れます。

2020年2月23日日曜日

ニシノジャガーズ、今回ばかりは流石に心配


全国10,000人のニシノジャガーズを諦めない会の皆様、こんばんは。


今日のレース、横アングルのスタートを見て

「あのニシノジャガーズが目立たない程度にゲートを出ているとは!今日は雪でも降るんじゃないか?」

とお思いの会員の方も少なくなかったのではないでしょうか。


安心してください。
カメラが捉えきれないくらい遅れてただけですから。

この馬の基準にすれば3馬身程度は遅れのうちに入らず、今日のようにバッチリ膠着を決めて初めて「出遅れ」と呼ばれるわけです。それでも最終的に最下位を免れるんですから恐れ入ります、いやはや…

しかしながら、この出遅れを受けてのジャッジは「裁定委員会の議定があるまで出走停止」。想定以上に重いものとなりました。

過去、ニシノジャガーズが出遅れを理由に出走停止処分を受けたのは(自分が調べられた限りで)3回。

2018/12/01 中京6R

2019/04/27 東京12R

2019/06/30 中京10R

但しこれらのケースは全て「30日間の出走停止ののちゲート再審査」で、それをクリアして毎回レースに出てきていました。しかしながら今回は出走停止の期限が無期限、すなわち中央競馬施行規則上「30日を超える出走停止の場合」に相当するケースとなります。

ちなみに直近でこのケースに該当する処分を受けたのは、2018年4月7日阪神12Rのテイエムアンムート。レパードSのボイコットはあまりにも有名ですが、これらの「出遅れ経歴」が勘案されて無期限の出走停止となってしまいました。実はこれ以外にも無期限出走停止自体はあったのですが、そのほとんどは「ゲート内で膠着する」等、出遅れ以前に「出ない」ケースに対する一発レッドカードの意味合いが強く、テイエムアンムートの場合は裁決レポートに「同馬の発進不良履歴を勘案し」の記載が示す通り、イエローカードの累積の側面を覗わせるものでした。

そのテイエムアンムートですが、その後復帰を目指し調教を重ねていたところ、坂路調教中に心臓発作を起こしこの世を去ってしまいました。

このケースは直接の関連がないとはいえ、これ以外に無期限出走停止の処分を受けた馬について調べたところ、いずれもそのレースを最後に競争生活に終止符を打っています。以前のブログにも少し書きましたが、調教再審査は人馬共に労力がかかる上、新天地に活路を求めようにもゲート不良の馬は地方転入を断られるケースも少なくないようです。

すなわち、これは西山オーナーの考え方ひとつではありますが、今日の事案はニシノジャガーズの今後を考える契機の一つとなる可能性があります。具体的には、再度ゲート再審査に向け調教を進めるのか、ここで区切りとするのか…

勿論、競走馬である以上勝利を目指すのは当然ですし、この馬にはこんなところで終わらないであろうポテンシャルがあることは、衆目の一致するところ。しかし、先のブログでも触れたように、義理人情に篤い西山オーナーだからこそ、これ以上岩部Jを危険な目に遭わせるわけにはいかない、という考えに至る可能性も、自分としては否定できないと思えてしまうのです。

続けるにしても、止めるにしても、難しい判断です。誰も辛い思いをしない選択はあり得ず、この辺りは経営者としての判断を重ねてきたオーナーにしか解り得ない世界だとも思うのです。

馬と人、両方がいてこその競馬だと、改めて考えさせられた最終Rでした。

2020年2月2日日曜日

【2/2(日)結果】と、ニシノジャガーズの騎手について。


単勝やらでコツコツ増やして気づけば130%。まだまだ無駄な馬券が多いなと反省です。特に小倉は全く当たらないゾーンに入ってしまったので、来週も静観の見通しです。

■東京3R ◎アヴァニイ→1着

慌てず騒がずキッチリ差し切る、ルメール競馬の真骨頂を見せつけてくれました。前走が評判馬ニースヘッグの2着だったナスノフォルテが一本被りの人気だった分、3.8倍でも十分ついた方でしょうか。通常なら1倍台でもおかしくないシチュエーションなので。

🎯単勝 3.8倍

■東京8R ◎ニシノジャガーズ→8着

最後のゲートインということもあり、出遅れは2馬身程度で済みました。馬群も比較的縦長にはならなかったのですが、直線では内を突きスムーズに追い出せず、ようやく前が開いたのは最後の200m程度。これでは万事休す。

内突きは前走のシャングリラ賞と同じ戦法で、この時は経済コースを進み4着まで押し上げてきました。しかしながら、脚抜きの良い馬場で縦長馬群となった前回と良馬場で馬群が密集した今回とでは、適する戦法は違うと思うのですが…


上記が前走(シャングリラ賞)の直線入り口です。馬群が「/」の形に伸びており、ラチ沿いは黒い帽子の馬(アイアムハヤスギル…2着)まで空いています。


こちらは今日の直線入り口。まずラチ沿いの前に青い帽子(ミッキーボニータ…12着)がおり、その横にも馬群の壁がずらっと広がっています。ここでまだ外に切り替えて芦毛(モリトシラユリ)とその隣の赤い帽子(ベイオブコトル)の間あたりを割るように仕向ければ十分エンジンをかけられたと思うのですが、前走に味をしめたのか陣営の支持なのかは分かりませんが岩部Jは頑なに内を狙います。

その結果どうなったかと言うと


狭いところに押し込まれ追い出せず。


ようやくまともに追い出せるような進路になったのは200m地点。エンジンがかかるのに時間がかかる馬だけにこれでは間に合いません。

前走で33秒台の脚を繰り出したことで、この馬のポテンシャルに多くの人が気付いた結果今日は単勝6.7倍の4番人気に支持されていましたが、予想時にも書いた通り「単勝で買うべき馬ではない」という話はこのこととも関りがあります。

ゲート再審査を食らうほどの酷い出遅れ癖を持つ馬に年間数勝レベルの騎手が跨っていて、単勝6倍ではハイリスクローリターンでロマンを感じないというのが自分の持論です。

岩部Jは個人的には好んで買うタイプの騎手です。エースロッカーやアテンフェアリー等がそうであるように、イメージ通りの戦法が嵌れば普通に勝てる腕はあります。一方で、立場的にも仕方ないのでしょうが戦法の柔軟性には欠け、嵌らなければ仕方ないというタイプでもあります。

では騎手を変えれば問題は解決するのか?どうやらそう簡単にはいかないようです。


昨秋にゲート再審査をパスしている同馬ですが、乗り役が変わるとうまく行っていたものが行かなくなることもあるわけで、現状は岩部J以外に乗り役がいないというのが正直なところのようです。オーナーの口ぶりは「他に誰も乗ってくれないから」というニュアンスを感じさせるものですが…

ニシノデイジーの件で大きな騒ぎになりましたが、西山茂行氏は昔ながらの義理人情に篤いオーナーで、恩を仇で返すことはしない人です。現にニシノデイジーを降ろされた勝浦騎手についても、同時に主戦から降ろしたニシノドレッシーの鞍上に復帰させ、再度チャンスを与えています。調教再審査のためにマンツーマンで稽古にあたってくれた岩部Jはまさに恩人なわけで、馬の特性的にも心情的にもそう簡単に降ろすことははばかられるでしょう。

てなわけで、今後はオッズとの兼ね合いで考えていく必要がありそうで、引き続いてこのくらい人気するようであれば、怖くて軸にはできません。

■東京11R ◎ミッキーワイルド→11着

レース直後は鞍上を疑いましたが、よく見るとパドックで前後の馬が外目を回っているのに対しこの馬はアンツーカーの内側に入り込むほどのトボトボとした歩様。馬体も+8kgで明らかに次を見据えた造りでした。これではデムーロJは責められません。それでも流石に負けすぎですし、これで次買えるかと言われれば微妙なところです。

2020年1月25日土曜日

【1/25(土)予想】雨が残る小倉「生コン」馬場を読む<小倉7Rトランプ・12Rスティーン>

今日は買いたいレースがあまりないのですが、開催2週目を迎えた小倉は決め打ちで狙いたい舞台です。その根拠として、先週の結果報告の記事で取り上げた通り、小倉の馬場の硬化が進んでいるという仮説があります。

昨夏開催終了後、芝の張り替えに加えエアレーション・シャタリング作業が施された小倉の芝。シャタリングは農作業でいうところの「寒起こし」に近いようなもので、芝に切れ込みを入れて空気を取り込める面積を増やし成長を促します。エアレーションは路盤に空気を注入し、隙間を作ることで通気性を高めこれも土の健康を保つ効果があります。

いずれも通気性を高める目的ではありますが、これらの作業が施された芝はクッション性に富み「ふわふわ」の状態になるわけです。言うならば…


カチカチの芝コースが、空気を含んだスポンジのような感じになります。チョコレートでいうと「ダース」と「エアロ」の違いと言えば分かりやすいでしょうか(最初からそう言えと)。

スポンジは食器洗いなどに使いますが、水をたっぷり含むことができます。ここまでくるとお分かりかと思いますが、特にエアレーションが施された芝コースは内部まで水を含む余裕が生まれ、含水率が高くなります。当然に排水性も高まるのでそのまま水は流れるはずなのですが、もし水をたっぷり含んだ状態で競馬が行われたら…


まさしくローラーで踏み固められるかの如く、芝コースが圧縮されます。水はけが悪く水分が表面に集まっていると、上滑りして芝が掘れてしまいますが、クッション性が高い状態で踏み固められた馬場は、まるでコンクリートの如く堅い路盤と化します。

一昨年のジャパンカップでガンコに騎乗した蛯名騎手が「馬場がカリカリだった」という独特のニュアンスで表現していましたが、実は秋の東京開催も似たような構造で、夏にエアレーションが施され、秋の連続開催で秋雨前線の影響を受けるとインの硬化が進みます。結果として、一昨年も昨年も1枠の牝馬が台頭し、昨年の勝ち馬スワーヴリチャードは直線で最内を突くという、開催最終週としてはあり得ない戦法で勝ってしまうほどの高速馬場が出来上がったと見ることができます。

ですが小倉はまた雨にたたられてしまったため、水を含んだ「生コン」状態でコンディションは読みにくいです。午前中の芝戦でそれを確かめようと思ったら…これを書いている最中に小倉3Rが行った行ったの決着。これは狙いが立ちそうです。

【ラインナップ】
小倉7R/12R(脊振山特別)

■小倉7R

ここ3戦1000m戦を使われてきた◎トランプの逃げ切りに期待です。このコースで3着もありますし、テンの速い馬が他に見当たらないうえ山田騎手は3kg減。絶好枠のここは押し切れると判断します。

【本命】1トランプ
【相手】3,6,7,8,14,16
単勝1
馬連1-3,6,7,8,14,16

■小倉12R

こちらも前項枠を引いた◎スティーンから。逃げて結果を出しているのはこの馬くらいで、コース状態も考えればハナさえ切れれば好勝負必至でしょう。

【本命】1スティーン
【相手】6,7,8,9,12,13
単勝1
馬連1-6,7,8,9,12,13

2019年12月12日木曜日

<朝日杯FS>無敗で挑む3頭について考えてみた

と言いつつ自然な形でタガノビューティー考察の記事を書こうとしたことがモロバレな中身。

たぶんここまで真面目にタガノビューティーの考察するの、ここくらいのものでは?ってくらい他2頭とはボリュームが違ってますが、ご笑納ください(全日本二歳優駿観に行きたかったマン)。

■サリオス

父ハーツクライ×母サロミナ

半姉にはサラキアがあるがあちらはディープ産駒。ハーツを付けた仔はサリオスが初めてとなりますが、3頭の上のうち2頭は新馬勝ち(サロニカ、サラキア)と完成度が高い牝系と言えるでしょう。血統的にはほとんど素人なのであまり深入りした見解はできませんが、ニジンスキー系の母に欧州血統入りのハーツですから、距離は伸びてもよさそうな雰囲気です。

前走の東スポ杯では直線で外からクラヴァシュドールが迫るとさらに突き放す強い内容。より速い上り勝負になった時にどうなるかという疑念はありますが、先手につけられればまず見せ場は作ってくれるでしょう。

少し前までは、ハーツは晩成というイメージがありましたが、元々10%前後だった2歳戦の勝率がここ2世代は15%程度となってきており、仕上がり早の産駒を多く送り出すようにもなってきました。加えて、短期免許で来日する外国人にとって粘り強く追うことで持ち味が出るハーツの血統は合うようで、参戦が増えたことでハーツ産駒への騎乗機会が増えたことも大きいと見ます。今回はR・ムーア騎手を従え堀厩舎の必勝態勢。前目につけられるレースセンスも好感です。

唯一懸念点があるとすれば、デビュー戦は8頭立て、東スポ杯は9頭立てと小頭数戦しか経験がない点。仮に内枠でダッシュ力のある馬に囲まれるような配置になった時に、うまく運べるか…というのは未知数と言えます。

■レッドベルジュール


父ディープインパクト×母レッドファンタジア

全姉のベルローズ、ベルディエスともに2歳で勝ち上がり、重賞でも活躍する産駒を送り出す母馬から初めての牡馬となります。
前走のデイリー杯は+28kgでパドックをざわつかせましたが、終わってみればモノの違う末脚で快勝。一気に主役候補に躍り出ました。

気になるのは、ここ2年の朝日杯が前目での決着となっていること(アドマイヤマーズ、ダノンプレミアム)。この時期の芝の状態が良くなったこともあり、内を通ってもハンデになりにくい印象です。加えて、今開催ではAコース部分が張替え後初めて使われていることもあり、内有利傾向に拍車をかけている状況。外回りでは4角でバラけにくく、前走のような後方戦になると外を回して間に合うか…となるため、位置取りがカギを握ると言ってよいでしょう。

この馬自身の能力にケチはつけられませんが、少なくとも今回の舞台では相対的に信頼を置きにくいというのは言えます。

■タガノビューティー

JRAでも主要な出走馬に取り上げられていないため写真は割愛。
ダートでも無敗は無敗なのでちゃんと取り上げます。

父ヘニーヒューズ×母スペシャルディナー

ヘニーヒューズは日本での供用開始後、既にワイドファラオなどを輩出しダートで存在感を示しています。一方でマル外時代にはファルコンS含め芝で5勝を挙げたヘニーハウンドも送り込んでおり、芝にも通用するスピード型の種牡馬であることがうかがえます。
母のスペシャルディナーは芝で新馬勝ち。兄にはNHKマイルCで大穴を演出したタガノブルグ、若葉Sを勝ったアイトーンがおり、この馬自身芝がダメという構成ではなさそう。

特筆すべきはここ2戦の内容。


デビューは新潟のダート1800m戦。この新馬戦は年に1回しか行われず、過去にはルヴァンスレーヴ、エピカリスなども勝っているレースです。

このコースは超がつくほどの先行有利で、通常なら直線に入った時点の1,2番手で決まるのが相場ですが、向正面で最後方にいたタガノビューティーは3角から捲り加減に進出し、4角時点でもまだ10馬身ほどあった前との差を350mの直線だけで逆転するという芸当。

とはいえ、このレース自体は前半1000mが64.7秒というスローで、楽な流れだったにもかかわらずこの馬以外の全馬が上り40秒台だったこともあり、「相対的に強く見えただけ」という見方も少なからず存在しました。

それを払拭したのが2戦目のプラタナス賞。


ここもダート1600m、稍重の馬場を加味すれば1000m通過が62.2秒と落ち着いた流れ。

例によって最後方から一気の差し切りを見せますが、この時のラスト3Fは34.8秒と圧巻の内容。過去、2歳のダート戦で上りが35秒を切ったのは2例しかなく、いずれも1200m以下で34.9秒というのが最高。このレースは2番手を進んだセランが2着、逃げたニシノレオニダスが3着と前残りの決着だったにもかかわらず、4角最後方から直線だけで後続に2馬身半の差をつける快勝。一気に注目されるきっかけとなりました。

当初目標としていた全日本二歳優駿で補欠2番手となり(同賞金の馬が多数登録していて抽選になったため)、やむなくここに回った臨戦過程はプラスとは言えませんが、芝スタートの前走で鞍上の石橋脩Jが「行きっぷりが良かったのであえて抑えた」というコメントもしており、血統面からも芝適性の高さを覗わせる要素は十分です。

課題はレッドベルジュール同様で、今の阪神が外差しで面倒見切れない可能性があること。また新馬戦ではスタート直後に挟まれてあわや戦意喪失?という下がり方もしていたので、外枠を引くかスタートして下げるかで馬込みをやり過ごすこともカギとなりそうです。

余談ですが、芝とダートでは平均の上りタイムが約2~3秒変わってきます。
机上の計算ではタガノビューティーが東京芝1600mを走れば32秒台の末脚も繰り出せる可能性はありますが、この馬にそこまでの回転とバネがあるかは勿論別問題なわけで。裏を返せば、もしそうだった場合は大外を回されても末脚であっと言わせるシーンがあって驚けません。

最終的には枠順も含めた判断になりますが、上位人気が予想される2頭とは別の意味で楽しみな無敗馬と言えるでしょう。