[1]①ダノンマッキンリー(北村友)
前走のファルコンSはハイペースに加えインの大渋滞を横目にスムーズに脚を遣えた側面が大きく、額面通りの評価は難しいレースでした。朝日杯FSの時に手綱を取ったルメールJ曰く「マイルではペースが遅く引っ掛かる」ようで距離も嵌った感がありますが、その朝日杯は34.1-46.1と2歳戦であることを考えれば決して遅いペースではなく、向こう正面で引っ掛かったことを考えれば入りのスピードより4F目・5F目で12秒台に緩んだタイミングでの対応に難儀したことが原因でした。その観点で言えばNHKマイルCというレースは良馬場で行われさえすれば道中はずっと11秒台を刻むラップになるのが一般的で、この馬が走りやすいペースになることが見込まれ、距離延長だからと言って一概に嫌うべき存在ではないかと。
[1]②ノーブルロジャー(松山)
このレースには2頭のパレスマリス産駒が出走しますが、こちらは正真正銘の外国産馬(ジャンタルマンタルは持込馬)。母父モアザンレディはケンタッキーダービー④着の実績もありますが主戦場は7f戦ということで、血統背景からも前走の毎日杯の負けは度外視できるでしょう。ただ、2走前に勝ったシンザン記念が上位入着馬を除けば1勝クラスを勝つのすら苦労しているメンツであるうえ、勝った新馬戦もドスローを2番手から押し切ったもの。これで32秒台の脚を繰り出したなどであれば話は変わってきますが、実際のところ上級戦でハイパフォーマンスを繰り出せる担保はまだないと言えます。
[2]③ディスペランツァ(鮫島駿)
マイルに転向して2連勝中。2走前の1勝クラス戦の末脚もそうですが、驚いたのは前走のアーリントンC。入りが35.8-48.8とスローになり、レースの上りは33.2と完全な後傾戦。これを中団に控えた時点で勝つのは厳しいと思ったのですが、流石はモレイラJというべきかそこから32.4の末脚を繰り出して快勝。姉ルピナスリードは中京芝で3勝、兄ファントムシーフは共同通信杯を勝つなど直線の長いコースでエンジン全開という走りが得意な兄弟の血を受け継いだか、阪神マイルで高いパフォーマンスを見せています。流石に今の日本競馬でモレイラJ以上に末脚を繰り出すのが上手い騎手は見当たらず、誰に乗り替わっても鞍上弱化となることは明らかなのですが、その中でもインをこじ開ける騎乗の出来る鮫島駿Jに落ち着いたのはベターな部類でしょう。個人的にはデムーロJが大外を回して勝った2走前だけ走れればここでも十分勝負になると考えており、乗り替わりで余計に人気を落とすならむしろ積極的に買いたいです。
[2]④イフェイオン(西村淳)
2走前のフェアリーSが先行勢で唯一上位に残った存在として評価に値するレースでしたが、前走の桜花賞は内枠で寄られてパニックになるシーンもあって良いところなしの⑪着。現状馬群の中でレースをするのはリスクが大きいうえ、ひと脚で決めきるレースが理想につき東京コースも向かないと言わざるを得ません。
[3]⑤ボンドガール(武豊)
このレース(3,2,2,11)で複勝回収率113と相性の良いダイワメジャー産駒。阪神JF前の外傷が思いのほか重傷で復帰に時間を要したものの、途上の仕上がりかつコースも向かないと見られた前走のニュージーランドトロフィーでは②着に好走。中山コースは向こう正面に出るまでにコーナー部分を走るため流れが落ち着きやすくその部分で引っ掛かってしまいましたが、前半が直線の東京コースならスムーズに運べそうです。2走前のサウジアラビアロイヤルCもコーナーで緩んだ時に力んだ分の②着で、良馬場でペースが流れればこの馬の本来の力が発揮できるはず。スンナリ運べばここでも力は通用すると見ます。
[3]⑥ロジリオン(戸崎)
末脚が良いのは事実ですが、差し切ったのは入りの3Fが35秒台掛かった時のみ。鞍上効果か何故か穴人気の気配を漂わせていますが、京王杯2歳Sでコラソンビートに敗れていることを考えれば、ここで強調するほどとは思えず…
[4]⑦チャンネルトンネル(岩田望)
前走のアーリントンCでは上がり勝負に対応し③着好走。溜めればキレるというあたりは父のグレーターロンドンそっくりではありますが、ジュニアカップでキャプテンシーを捉えきれなかったことを踏まえるとペースが流れた時の対応に懸念が残ります。福永師が1週前に直接調教を付けている点は評価したいですが、本質的には1400mの方が向いているかもしれません。
[4]⑧エンヤラヴフェイス(菱田)
ぶっちぎったデビュー戦はドスローを前目から押し切ったもの。デイリー杯②着以降はパフォーマンスを上げられておらず、もう少し長い距離の方で前目につけた方が良いかもしれません。
[5]⑨キャプテンシー(M.デムーロ)
前走のニュージーランドトロフィーはスタートでぶつけられ、立て直そうとしたときに前が壁になりエキサイト。これではまともなレースにはならず、シンガリ負けは鞍上が流した分でもあり過度に悲観する必要はないでしょう。2走前のジュニアCの内容が良く、マイルで34.8の入りから最後も34.6の脚を遣って逃げ切り。途中の区間も11.4-11.7と緩んでおらず、勝ちタイムの1.32.5自体が今年の中山開催の勝ち時計ではトップタイ。母アドマイヤリードはヴィクトリアMの勝ち馬でもあり、初の東京コースとは言えスンナリ逃げられた際のスピード能力はここに入っても通用するはず。暴走懸念のあるシュトラウスが北村宏Jでまともなレースをしてくれることが前提ですが、自分の展開に持ち込めれば2020年のラウダシオンの再現があっても。
[5]⑩ウォーターリヒト(菅原明)
シンザン記念の③着はタフな馬場で体力勝負になった側面が強く、前走の皐月賞で付いて行けていなかったことを踏まえるとG1のまっとうなペースでは厳しいでしょう。そもそもチャンスがあると思うなら幸Jが乗りに来ているはずですし。
[6]⑪アレンジャー(横山和)
前走のアーリントンCは差し勢に混ざって②着に健闘しましたが、スローペースで位置を取りに行った鞍上の好判断も大きかったです。その横山典Jが乗りに来ない(新潟大賞典のデビットバローズに騎乗)時点で勝負度は薄いと言わざるを得ませんし、ペースが流れそうなここでは。
[6]⑫ゴンバデカーブース(モレイラ)
新馬戦は逃げ切り、サウジアラビアロイヤルCは最後方からの追い込みと、ブリックスアンドモルタルの産駒らしく極端な戦法で勝ってきました。それだけに、極端な戦法を好まないモレイラJと手が合うのかというのは疑問ですし、この中間は週末の追い切りをスキップしたうえ最終は坂路で逆時計。美浦の坂路は傾斜がきついうえこの馬自身逆時計はいつものことですが、これまで最終追いをウッドで行ってきたことを考えれば明らかにソフトな調整過程。完調とは言えないうえ流石にシンガリから追い込んで届くような馬場状態では無さそうなだけに。
[7]⑬シュトラウス(北村宏)
暴走した朝日杯FSからの距離短縮で前進を図った前走のファルコンSでしたが、馬群から離して最後方を走らせるもやはり行きたがる面は抑えられず。⑨着という結果自体は詰まったためなので度外視できるのですが、距離延長は明らかにマイナスでしかなく。
[7]⑭アスコリピチェーノ(ルメール)
③着に敗れた前走の桜花賞は位置取りがどうのという声が聞かれますが、素人目にはそこまで問題のある位置では無かったかと思います。むしろ馬群に収まってからはよく持ちこたえていましたし、阪神JFとほぼ同じ走破時計かつ上がりだったことを考えれば、単純に他の馬に成長力で追い越されたと見るのが妥当でしょう。情状酌量の余地があるとすれば、下り坂からなし崩し的に脚を遣わされたことでその分脚を溜められなかったことが考えられますが、緩まずに運ぶのはこのレースも一緒。自分のレースに徹してどこまで、という舞台になるでしょう。
[7]⑮マスクオールウィン(岩田康)
前走の桜花賞では外を突いた差し馬が上位をにぎわす中、外差しに回るも伸びず⑭着。フェアリーSは急坂の中山での体力勝負で相対有利だった②着で、本質的には1f長いでしょう。
[8]⑯ジャンタルマンタル(川田)
前走の皐月賞はまさに朝日杯FSと同じような形で、前が垂れて早目に先頭に立ってしまった分の③着。若干距離が長いと思われた中レコード決着のペースに助けられたのも事実ですが、小細工なしで2000mを走り切った内容は高いスピード能力の証明でもありました。この外枠が鍵ではありますが距離短縮となる今回は上手く目標を置いて運べそうで、あとは馬自身が直線でしっかり追い出しを我慢できるかでしょう。
[8]⑰ユキノロイヤル(石橋脩)
前走のニュージーランドトロフィーは最初の3Fを36.0とスローで入れたにもかかわらず残せずの③着。ハナにはこだわらないタイプですが控えてもキレるというほどの脚は無く、スタートの信頼度の低い鞍上も懸念点。
[8]⑱アルセナール(横山武)
前走のクイーンCでは外差し勢に混じって内から馬群を割って②着と好走。しかしながらルメールJがこのような乗り方をするのは馬の調子が良くないと感じている証左で、実際に陣営も当時はまだひ弱さが残るとコメントしていました。桜花賞をパスしたこともあり体質は改善されてきたようで、1週前にはウッドで50.5-11.3の自己ベストをマークするなど負荷をかけられるようになってきました。大外枠で壁を作れるかは課題ですが、前走以上に走れれば食い込む余地はあっても。
<予想>
◎キャプテンシー
○ディスペランツァ
▲ジャンタルマンタル
△ボンドガール
△ダノンマッキンリー
△アルセナール
△アスコリピチェーノ
△ゴンバデカーブース
■新潟11R/新潟大賞典 セルバーグ
このレースは2000mとはいえワンターンのコース形状につきペースが流れやすいのがポイントで、前半が58秒を切ることも珍しくありません。普通そんなペースで飛ばせば長い直線で垂れるわけで誰も逃げたくはないのですが、そのようなペースでこそ力を発揮しそうなのがセルバーグです。前走の小倉大賞典では前半57.2というハイペースを逃げて③着に健闘。それもただのハイペースではなく、2コーナーを立ち上がった下り坂の始まる地点で11.0とレースで最速のラップを刻んでおり、中盤が最もキツいレースをしての③着ですから評価できます。ここも前半が速くなることは必至ですが、道中が下り坂の小倉に比べれば平坦の新潟はレースがしやすいはず。先行馬は何頭かいますがどれも控えても良いタイプで、再度の単騎逃げが叶いそうなここなら狙えるでしょう。
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