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当ブログは、広尾サラブレッド倶楽部株式会社様のご厚意により、同倶楽部の所有する競走馬の写真及びWebサイト記載情報の転載許可を頂いております。

2024年11月24日日曜日

【11/24(日)予想】ジャパンCの全頭評価・京阪杯の注目馬

■東京12R/ジャパンカップ

[1]①[外]ゴリアット(スミヨン)

日本の馬が何度やっても凱旋門賞を勝てないのと同じように、現代の日本と欧州とでは芝コースの質が違いすぎて全く別物の競技になりつつあります。参戦にあたりオーナーサイドは「世界最高の芝レースは欧州にある」との考えから参戦したと語っていますが、もはやどちらが優れているかという話ではなく求められる強さが違うという話です(ゆえに自分は日本の馬が凱旋門賞に挑戦するのは無謀と考えています)。ゴリアットが2走前に勝ったキングジョージにしても芝2390mの走破タイムが2.27.4(良)となると府中の芝2400m戦では5秒は短縮しないといけない計算で、さすがにスピードが違いすぎます。

[2]②ブローザホーン(菅原明)

古馬になってからあまり併せ馬でよく見せなくはなってきましたが、前走の京都大賞典では1週前に先着した相手に週末の併せ馬で遅れるという調整過程でシンガリ負け。中間は在厩でみっちり調教を積まれ、直前こそ軽めも2週前の併せ馬は宝塚記念の時くらいには動けています。但し、仮に復調していたとしてもそもそもこの馬はキレが求められない北海道ローカルや重い馬場向きの特性の持ち主につき、この舞台で前進する要素は見当たらず。

[3]③ドウデュース(武豊)

前走の天皇賞では最後方から折り合い、まさに異次元の末脚で前を捉え差し切り。レースの上りが33.7であり決して前が止まったわけでもないのに、この馬自身の上りが32.5。溜めに溜めて、という戦法が嵌ったにせよこの馬の持つポテンシャルは疑いようがないことが再確認できました。能力だけなら間違いなく最上位ですが、やはりここは同じコースで距離が延びることに加え確たる逃げ馬が不在でペースが落ち着きそうなのが懸念点。気性的に連続好走できないタイプということも踏まえれば、ここでガス抜きして有馬記念で再度好走というイメージも描けるだけに過信はしにくい場面かと。

[3]④ジャスティンパレス(C.デムーロ)

勝ち鞍は長距離ですが体力があるので高速決着自体は問題なく、昨秋の天皇賞でも1.55.6の時計で走れたように他の馬が脱落するようなハイペースの中距離戦になれば台頭可能です。ただ今回はペースが落ち着きそうなだけに、まっとうに末脚を遣えるタイプでないこの馬にとっては展開が向かない懸念が。

[4]⑤シュトルーヴェ(鮫島駿)

キレを活かしたいタイプで前走の宝塚記念は参考外。2走前の目黒記念で繰り出した32.9の脚もさることながら、この馬の持ち味は高いギアチェンジ能力にあると見ています。当時、残り4F目のラップが12.3だったところから次の区間で一気に11.2-11.2-11.4と加速する究極の上り勝負に。本来目黒記念は坂を2回登るレイアウトにつきゴール前は止まりやすいレースなのですが、スローで流れたこともあり上りがかからず。それをほぼ最後方に近い位置から差し切ったのは、モレイラJの腕っぷしもさることながらこの馬の高い能力の証左と言えるでしょう。スローからのギアチェンジが必要になりそうな今回、これを活かすためには今回内枠が欲しかったところでここであれば許容範囲。進路が出来なければ終戦ですが、そこをこじ開けられる鞍上だけに警戒は必要でしょう。

[4]⑥ダノンベルーガ(松山)

昨年も香港を本線としながら選出されずやむなくJCに回っての⑥着。好走歴も1800~2000mに限られるうえ、調教から気難しさをのぞかせる現状で距離延長は歓迎とは言えません。おまけに堀厩舎の看板馬にも関わらずクリスチャンJもムーアJも騎乗してくれないとなると…

[5]⑦シンエンペラー(坂井)

時計が求められる上級戦になると善戦どまりという現状。前走の凱旋門賞は馬場が悪すぎたので度外視してよいのでしょうが、ホープフルS②着、ダービー③着はあくまで同世代の体力勝負。古馬相手に同じパフォーマンスを繰り出せるかは未知数ですし、消耗戦からの帰国緒戦となると手は出しにくく。

[5]⑧[外]オーギュストロダン(ムーア)

通用の物差しとして考えられるのは昨年のBCターフ①着。当時③着に降したシャフリヤールは既に国内の高速決着に対応できなくなっている馬とはいえ、比較的日本に近い芝馬場での実績があるのはやはり血は争えないといったところでしょうか。それでもまだ1~2秒は時計を詰める必要があるうえ、当時は経済コースを回り直線でうまく進路が空いた幸運にも恵まれました。外国馬の中では一番期待できる存在ではあるものの、勝ち切るまでのインパクトは見いだせず。

[6]⑨チェルヴィニア(ルメール)

前走の秋華賞は苦手と見られていた右回り×小回りを克服して勝ち切りました。癖が強くて乗り難しい馬ゆえに乗り替わった桜花賞こそ取りこぼしましたが、それ以外はパーフェクト。この馬もやはりオークスの走りにギアチェンジ能力の高さが現れており、ラスト4F目から13.4-12.2-11.5-11.4という2段階の加速ラップを4角10番手から差し切ったパフォーマンスは3歳離れ。跳びの大きさもあり大箱コースでこそという馬だけに、ここでもう一段上昇できればいい勝負になっても。

[6]⑩ドゥレッツァ(ビュイック)

3歳時にホンコンJCTを32.7の脚で勝っているように、本来はキレる脚をもっているタイプです。春は調子が整わないままで、前走は初の海外遠征で暑さにも強くない中⑤着と恰好を付けました。テンションに配慮してか最終追いはあえての単走も、中距離戦なら折り合いの不安もマシになるはずで侮れません。

[7]⑪カラテ(杉原)

毎回自身の脚は使っているものの限界があり、結果として時計がかからないと間に合わないというタイプ。今回も良馬場の上り勝負が予想されるだけに。

[7]⑫ソールオリエンス(横山武)

前走の天皇賞では前残り展開で33.3の脚を繰り出し、0.4差まで迫っての⑦着と復調気配をアピール。不器用なタイプ故ワンターンがあっているのは確かですが、逆に前半が流れると置いて行かれるのでペースが緩んで追走が楽になりそうなここはチャンスが生まれ得るでしょう。但し馬込みに突っ込めないだけにスローで外を回して届くのかという問題はあり、ペースが速くても遅くてもダメという好走ゾーンの狭さが付きまとうが故。

[8]⑬[外]ファンタスティックムーン(ピーヒュレク)

勝ち鞍はほとんどがドイツ国内でのもので、唯一国外で勝利した3歳時のニエル賞は7頭立て。良馬場がいいのは事実でしょうが、2走前のバーデン大賞も2.28.0(良)となるとやはり5秒は時計を詰めないといけない計算が故。

[8]⑭スターズオンアース(川田)

共同会見で川田Jが指摘したヨレ癖、もたれ癖は3歳時からの課題。うまく併せ馬の体勢に持ち込めれば強いものの、腕っぷしに定評のある石橋脩Jや言わずもがなのトップクラスであるルメール・川田の両Jを以てしても善戦ウーマンを抜け出せていない戦歴がその難しさを物語ります。故に現地でのルメールJのアクシデントで急遽乗り変わりになった前走のドバイシーマクラシックの大敗は致し方ありません(デットーリJが悪いのではなく、乗りなれた騎手から事前に何のコンタクトもないテン乗り外国人騎手になったということ自体がこの馬にとってはマイナス)。直前の動き自体は問題なく、昨年もほぼ似たようなローテで③着ですから長欠明け自体は気にする必要もありませんが、その昨年は10月中旬からコースで負荷をかけていたのに対し今回コース追いは直前の3週のみ。しっかり疲れを取る目的から長い休養となりましたが、その割に追い本数が昨年と比較して少ないとなるとやはり良いころの状態にはまだ届いていないと見るのが妥当でしょう。

<予想>
◎シュトルーヴェ
○チェルヴィニア
▲ドウデュース
△ドゥレッツァ
△ジャスティンパレス
△スターズオンアース
△ソールオリエンス


■京都12R/京阪杯 グレイトゲイナー

森秀厩舎らしく坂路追いの全体時計が速いのはいつものことですが、逆時計とはいえ最後の2Fを24.3でまとめてきたのは昨年のこのレース⑥着時以来。当時も②着のルガルと0.3差だったことを思えば悪くない内容で、前付けしてバテないスピードを活かせる京都コースは向いています。飛ばしていきたい馬を見ながらの位置で上手く捌ければ簡単には止まらないはずで。

2024年11月23日土曜日

【11/23(土・祝)予想】ねらい目レース(キャピタルS)

■東京11R/キャピタルS エアロロノア

最後に勝ったのは12走前の六甲S。そこから実に3回のG1挑戦を含む11走連続で重賞を使われ②着が1回あるのみ。しかしながらこの馬はペースが流れると脚が溜まらないため、元々上級戦では苦戦するタイプ。重賞でも毎回自分の脚は使えており、リステッドを2勝しているようにぬるいペースなら好走可能。久々に相手関係に恵まれたここなら。

2024年11月17日日曜日

【11/17(日)予想】マイルCSの全頭評価

■京都11R/マイルチャンピオンシップ

[1]①コムストックロード(幸)

平坦コースでひと脚使うレースが得意とはいえ、好走歴は1400m以下に集中。短距離OP~G3のレベルと古馬マイルG1とではメンバーレベルも相当違いますし、遠征競馬を苦手とする宗像厩舎の仕上げにも一抹の不安が。

[1]②ブレイディヴェーグ(ルメール)

昨年のエリザベス女王杯は中7週で2回の関西遠征をこなしての勝利。今回は中4週と間隔は詰まりますが、ローズSを叩いた昨年と違い今年は府中牝馬Sを使っての遠征ですから中間も十分に負荷をかけられています。その昨年は栗東滞在していたこともあり2頭併せでのウッド調整でしたが、今年は美浦のウッドコースで3頭併せを2週にわたって敢行。前走が6~7分の出来の中で勝ったとなればここに向けて型どおりに上昇していると考えてよいでしょう。

そうなるとやはり課題になるのが、果たしてこの舞台が合っているのか?という点。東京で行われる安田記念は最後の3Fのギアチェンジが勝負になることが多い一方で、京都外回りで行われるマイルCSはコーナーを回りながらラップが上がるため、直線向いてからだけの末脚では間に合わない懸念があります。この馬の持つ不器用さ、またこれまでのレースのペースを考えれば位置取りは後ろにならざるを得ず、ペースを考えて前につけようとすると今度は同じような脚が使えるのか?馬群の中で立ち回れるのか?といったあたりが未知数なだけに、牝馬相手の体力勝負で勝手に他が止まるエリ女とは勝手が違うと考えられます。

[2]③バルサムノート(北村友)

古馬になってからの勝利は1400mのみ。1800mでも2勝してはいますが新馬戦は超スローペース、白百合Sも8頭立てでの勝利でそもそもマイルが持つかどうかの根拠としては乏しいです。

[2]④ナミュール(C.デムーロ)

前走の安田記念の際に「暑い時期の調整に苦労しているのではないか」との見解を話しましたが、結果として中2週の臨戦から②着と力を示しました。当日は雨が降りさほど暑くもならなかったというのもあったでしょうが、やはりその前のヴィクトリアマイルが海外遠征帰りで苦労した分と見るべきでしょう。最近の高野厩舎はレースを使って仕上げる方針にシフトしてきていますが、今回陣営は直行を選択。元々休み明けは(3,3,0,1)と崩れずに走れておりローテの問題はなく、これまで同様に坂路での単走でしまい重点の内容で好時計をマーク。昨年と大きく変わらないメンバーであれば今年も十分に中心視できるでしょう。

[3]⑤ジュンブロッサム(戸崎)

前走の東京新聞杯はこの馬の最も得意とするところの上り勝負で快勝。32秒台の末脚を軽々と繰り出せるのが身上で、ラスト3Fの上りの絶対値が要求される舞台では確実に見せ場を作ってくれます。ただこれはスタートの悪さが生んだ必然でもあり、前走はうまくいったものの2走前の関屋記念では出がけからなかなか自分のリズムに乗れず位置取りを落としてしまい、新潟の直線をもってしても届かずの③着と取りこぼしています。このコースでの理想は3走前のようにある程度の位置を取って脚を遣うレースで、当時1.31.5の高速時計で快勝しているように時計勝負は得意とするところ。ゲートに左右されるうえ馬場が渋ってしまうと良さが削がれる懸念はありますが、条件が揃えばここでも(なお馬主は裁判中)。

[3]⑥オオバンブルマイ(武豊)

前走のスプリンターズSは32秒台のペースについていけず⑪着。そこから距離延長となる今回は流石に追走は楽になるはずで、息の長い末脚が求められる舞台も合っています。ただ発馬がよくない分位置取りが後ろになる懸念があり、想定よりも雨が降らなかった場合に流れが向かないリスクも付きまとうだけに、可能な方は直前の天候・馬場状態を踏まえて押さえの判断をした方がよいかと(丁度レース直前のピンポイントで雨が降る予報につき)…

[4]⑦マテンロウスカイ(横山典)

前走の天皇賞はインベタが奏功しての⑤着。こちらも逃げてインを回ったホウオウビスケッツが③着に残したように、ペースの問題よりインが活きる馬場状態が作用したレースでもありました。元々ギアチェンジが苦手なタイプで東京よりは京都外回りが向いており、かつ前向きな気性故過去距離短縮ローテでは②③④①着と走れています。決め切る脚がないだけに頭はどうかも複の相手で押さえる手は。

[4]⑧フィアスプライド(シュタルケ)

使える脚が短くソラを遣うだけに、直線が長いコースでは工夫して乗ることが求められます。それだけに本来は乗りなれた鞍上が理想ですがテン乗りのシュタルケJというのは評価が難しく、国枝厩舎の本気モードと言えるウッド3頭併せに至らなかった(中間含め1回も無し)点も割り引かざるを得ません。

[5]⑨ニホンピロキーフ(田口)

5走前のマイラーズCは後方有利展開に乗じての③着。重賞のペースでは使える脚に限界がある現状で、4Fの加速が求められる舞台でも結果を出せておらずで。

[5]⑩レイベリング(津村)

結果的に2勝クラス以降は1500m以下でしか勝てておらず、マイルで走れるかの裏付けに乏しいのが現状です。先行力、速い脚ともに何れも平均以上のモノは持っているのですが自分でレースを決め切る武器に乏しく、絶対能力の違いで押し切れる新馬戦などは別として個性豊かなメンバーが揃うOPまで来てしまうと別の意味で展開待ちになってしまうだけに。

[6]⑪チャリン(ムーア)

前走のQE2の時計(1.45.9)が強調されがちですが、3走前のジャックルマロワ賞で1.33.9で走れており水準級のスピードは持っていると判断できます。もちろん馬場が重くなった方が歓迎なのは間違いありませんが、60kgを背負って勝ってきた経緯からも力は認めてよいでしょう。しかし壁になるのが日本の芝とレースの質の違い。QE2にしても前半団子状態から最後ゴール前での伸び比べといういかにも欧州らしいレース展開で、日本のような縦長馬群になった時にうまく勝負根性を発揮できるかという点では少々戸惑うことも考えられるだけに。

[6]⑫アルナシーム(藤岡佑)

ペースが速すぎると脚を失くし、かえってペースが遅いと引っ掛かってしまうという難しい馬。ペースが流れる小倉は別として右回りワンターンの1800mが理想で、この舞台条件では脚が溜まらない懸念が。

[7]⑬ソウルラッシュ(団野)

3Fの切れ勝負では分が悪いものの、時計勝負自体は対応可能なクチ。安田記念を勝てるような32秒台の脚を繰り出せないというだけの話で、世間で言われているほど「馬場が渋らないと来ない」というタイプではないと考えます。ここ2戦は末脚自慢にやられているだけで、下り坂で加速しその持続力が求められる京都はこの馬向きの舞台。天候を問わず有力視できる1頭でしょう。

[7]⑭ウインマーベル(松山)

1400mの重賞を3勝。スプリントではやや忙しい印象もあり、陣営はマイルを選択。ただこの馬の1400mの走りはスピードの持続力を活かしての押し切りであり、スプリント寄りの体力勝負ではそれでよいのですが、息が入りまっとうに末脚を必要とするマイル戦には向いていない懸念があります。

[8]⑮セリフォス(川田)

前走の富士Sでは力みながらの走りとなり④着。直前までそれなりに負荷をかけていた前走と違い、陣営は今回最終追いを4Fにとどめる策を選択。1週前の好時計→直前軽めというのは2走前の安田記念と同じパターンですが、跳びのきれいなタイプでできればきれいな馬場、且つ東京のようなギアチェンジが求められる舞台が合っています。京都開催では割り引きたいところですが力は認めるだけに、テンションに配慮した走りができれば。

[8]⑯タイムトゥヘヴン(柴田善)

一瞬の脚で決着をつけたいタイプで、団子状態になりやすくかつ坂があって前が止まる中山が向いています。なし崩し的に脚を遣う京都は向いていないでしょう。

[8]⑰エルトンバローズ(西村淳)

昨年の毎日王冠を勝ってはいますが、左回りでは走りがぎこちなく本来は右回りの方が向いています。2走前の中京記念(小倉)ではHペース巧者のアルナシーム・エピファニーへの対応を誤ったため③着に敗れましたが、右回りの良馬場であればその時と昨年のこのレース④着を含め(2,2,1,1)と崩れなし。昨年のこのレースではペース対応力への懸念に言及しましたが、中京記念で4F45秒台のレースも経験。例年と違いBコース継続の今年であれば大外枠も大きなマイナスではなく、前に目標を置きながら加速するレースが出来ればリベンジも。

<予想>
◎エルトンバローズ
○ソウルラッシュ
▲ナミュール
△セリフォス
△ジュンブロッサム
△マテンロウスカイ
△ブレイディヴェーグ
△オオバンブルマイ

2024年11月16日土曜日

【11/16(土)予想】ねらい目レース(西郷特別・晩秋S)

■福島10R/西郷特別 チュウワスプリング

行き切れないと脆いタイプですが、外枠を引けた今回は近2走で逃げた馬がゼロというメンバー構成で久々に単騎逃げが叶いそうです。このコースでは2走前に番手競馬で④着と実績もあり、テン争いがスンナリ収まればここで通用するだけのスピードはあるはずで。


■東京10R/晩秋ステークス ハッスルダンク

どうしてもゲートで一完歩遅れることが多く位置取りが後ろになりがちなうえ、キャリア初の関西遠征となった前走の白川郷Sではそのままインに留まればよいものをわざわざ3角で外を回して大きくロスをする競馬。向こう正面から下り坂になっている中京の構造を知っていればあそこで無理に動く必要が無いことは自明なのですが、なにぶん杉原Jは中京で年に数回しか乗らない騎手ですから仕方ありません。東京戻り、鞍上強化で一発期待です。

2024年11月10日日曜日

【11/10(日)予想】エリザベス女王杯の全頭評価と福島記念の注目馬

■京都11R/エリザベス女王杯

[1]①ホールネス(坂井)

新潟牝馬Sはこの馬を含め上位3頭は格上挑戦馬が占める結果に。とてもリステッドとは言えないメンバーでイヤサカが飛ばした分中団待機勢に流れが向くレースになったのも幸いしました。2走前のマーメイドSにしても逃げ切ったアリスヴェリテに紛れていますが、58秒台のペースで他の先行馬は総崩れした中で着を拾っての③着でした。戦績的に底を見せてないとはいえ流石に今回ここまで恵まれる期待は薄いうえ調整も軽め。藤原厩舎は調子が悪いとあからさまに調教をセーブするきらいがあり、上積みが望めない点も含めて人気ほどの信頼は置けずで。

[1]②ライラック(石川)

今年に入ってから直線でエンジンの掛からないレースが続いており、前走の府中牝馬Sでも道中ハミを噛んでしまい直線でも流れ込むだけの⑬着と見せ場のない内容。そこからの距離延長となると折り合いの懸念もあるだけに。

[2]③ルージュリナージュ(池添)

良績は左回りに集中。得意なはずの東京1800mで行われた前走の府中牝馬Sで⑤着が精いっぱいとなるとここでさらに上というのは難しく、宗像厩舎が鬼門としている遠征競馬もマイナスです。

[2]④コンクシェル(岩田望)

気性的に思い切ったレースをしないと良さが出ないタイプ。中山牝馬Sまでは逃げればパーフェクトという成績でしたが、ここ2戦は行き切るも粘れずという内容。確かに前走の府中牝馬Sは前半4Fが46.9とハイペースを刻んだのは事実ですが、過去にはこれより速いペースで逃げ切ったこともあっただけにここに来てのピークアウトは否めずで…

[3]⑤モリアーナ(岩田康)

前走の府中牝馬Sでは終始力んだ走りになってしまい自慢の末脚を繰り出せず⑧着。現状ではやはり距離が延びるのはプラスではなく、そもそも「マイルくらいがいい」と鞍上も言っていたにもかかわらずここに参戦。継続騎乗とはいえ前走と違い中間は乗っておらず、上向く要素は見当たりません。

[3]⑥ピースオブライフ(団野)

芝は1勝クラスで2回走るも1秒以上の大敗。牝馬限定のダート中距離戦は他路線と比べてレベル差が大きい条件であり、そこでの実績をもって古馬芝中距離のG1で通用するかと言われると…

[4]⑦レガレイラ(ルメール)

皐月賞0.5差⑥着、ダービーでも0.7差⑤着という実績はここに入れば十分大いばりできるもので、前走のローズSにしてもハナからトライアルと割り切ったレースをしての⑤着ですから悲観する内容ではありませんでした。ただそのローズSは上位入着勢が軒並み秋華賞で見せ場なく敗れ、その他もその後1勝クラスさえ勝ち切れないというメンバー。そこからの上積みを期待したいところではあるのですが、どうも陣営のトーンは上がらず。前走時はウッドに週2で入っていたところこの中間は週1回に留まっており、見た目には仕上がっているものの完調と言えるほどではないと見るべきでしょう。尤もこのメンバーですからアッサリ勝たれても不思議はないですが…

[4]⑧シンリョクカ(木幡初)

自分のペースで行ければ強く、実際に前走の新潟記念も前半58秒台とやや速目のペースを2番手で追走したものの、直線で後続を封じる完勝。ただ、この時もそうですし2歳時に阪神JFでリバティアイランドの②着に入った時も共通するのがワンターンの競馬だという点。同じようなペースで行けた今年の日経新春杯では⑩着と止まっており、コーナー4つにこの距離と乗り越えるべきハードルは小さくありません。

[5]⑨キミノナハマリア(鮫島駿)

キャリアで大敗したのは遠征競馬となったフローラS・オークスと故障馬の影響を受けた福島牝馬Sのみ。良績が北海道と京都に集中していることにも現れている通り坂は苦手で、切れる脚も無いため出世が遅れてきましたがその分スタミナは豊富。前走の札幌日経OPでも牡馬に交じって③着(勝ったショウナンバシットとは2kg差で実質同斤)するなど健闘を見せています。外回りとはいえ末脚勝負では分が悪いので後ろ過ぎるとノーチャンスですが、前目で立ち回って体力勝負に持ち込めた際には浮上の目があっても。何より、牝馬重賞の主流が1400~2000mである以上この馬の力量を測るのにちょうどいいレースが無く、力量差がマスキングされている今が買い時という考え方もできるわけで(もちろん普通に足りない可能性もありますが)。

[5]⑩エリカヴィータ(藤岡佑)

3歳時にフローラSを勝ってから長いトンネルを抜け出せておらず、前走の新潟牝馬Sは格下の条件馬の後塵を拝する⑥着。気性面の難しさも相変わらずで距離延長のここでは。

[6]⑪スタニングローズ(C.デムーロ)

この馬もまた昨年の秋華賞以来勝ち星から見放されていますが、直後のエリザベス女王杯は紫苑S・秋華賞からの続戦で状態がギリギリだった中での⑭着で、以降も長期休養明けだったり牡馬混合戦に使われたりと理由は明らかなものでした。クイーンSを使ってからここまでじっくり仕上げるローテは織り込み済みで、強い相手とやってきた分戦績はさえませんがここに入れば十分通用の目はあるでしょう。

[6]⑫シンティレーション(マーカンド)

前走の府中牝馬Sでは32.8の末脚を繰り出して②着。どこにこんなギアを隠し持っていたんだというのが正直な感想ですが、翻って戦績をさかのぼるとほぼ徹底して芝1800mに使われ続け(4,3,2,2)の成績。遠征競馬は3走前にパールSで⑥着と今一つで、今回は距離も未知の2200m。このメンバーでこの戦績なら人気にならざるを得ませんが、ひと溜めさせたいタイプでもありアグレッシブ騎乗を是とするマーカンドJとの相性もあまり良いとは言え無さそうで。

[7]⑬サリエラ(ムーア)

3走前のダイヤモンドSでタイム差なしの②着と健闘したかと思ったら、次走の天皇賞で⑫着大敗。当時騎乗した武豊Jは「コーナー6回の競馬に慣れていない」との見解を示していましたが、元々この一族が不器用さもありなし崩し的に脚を遣うより直線でしっかりキレを活かすレースが向いているタイプ。最後の3Fだけ脚を遣えばいい東京と下り坂で加速が必要な京都とでは求められる適性は異なるわけで、後者に必要なロンスパ適性に欠けるだけにここでは強調できません。

[7]⑭ハーパー(武豊)

好位から粘り強く脚を遣えるのがセールスポイントでしたが、今年に入ってから馬が走る気を失くしたかのようなレースが続いています。前走の府中牝馬Sにしても4角から促すも全く反応せずブービーから大きく離されての最下位といいところがなく、今回は初めてブリンカーを着用。1週前のウッドでの3頭併せは素晴らしい動きでこの雰囲気だけなら狙いたいところではあるのですが…

[8]⑮ゴールドエクリプス(田口)

昨年のこのレースでも指摘した通り、使える脚に限界があり重賞では伸びきれません。OP入り後は斤量の恩恵も無くなり苦戦している現状では。

[8]⑯ラヴェル(川田)

リバティアイランドに先着した唯一の牝馬。ただ好走するには「左回り」「マイル前後の距離」「カイ食いの具合」など諸々がかみ合う必要があり、前走のオクトーバーSは馬体増で左回りと好条件が揃っての⑥着。折り合いの難しさもある馬で距離延長、右回りと条件は良くなく、川田Jが乗ると選択した以外に買い要素は見当たりません。

[8]⑰コスタボニータ(松山)

前付けして最後にひと脚、というレースが得意なタイプで、OP入りを決めた初音Sにしても4走前の福島牝馬Sにしても直線まで前を射程圏に入れて運びゴール前で捕らえる理想形で勝ち切っています。2走前の小倉記念(中京)では前半57.6という中京にしてはかなりのハイペースを2番手で追いかけレコード決着から0.1差の②着と健闘、しかも当時56kgを背負っており57kgの勝ち馬より実質重いハンデでのこれですから価値は高いです。この距離が持つかは鍵ですが、距離延長ローテかつこの枠なら好位の外目をスンナリ取れそうなだけに一概に軽視は出来ないでしょう。

<予想>
◎コスタボニータ
○キミノナハマリア
▲スタニングローズ
△レガレイラ
△ラヴェル
△ハーパー
△モリアーナ


■福島11R/福島記念 エンパイアウエスト

前走の函館記念では滞在競馬が合わなかったのか-8kgと体を減らし、スタートから行きっぷりも悪く⑮着敗退。そこから新潟を自重して立て直された今回は、最終追いを併せ馬で消化するなどいつもの順調さを取り戻しています。位置を主張したい馬がいるのでそれらを行かせて好位集団のインを運ぶ競馬が理想で、暑くない時期に機動力を活かしたいこの馬にとってはここが絶好の舞台と言えるでしょう。

2024年11月9日土曜日

【11/9(土)予想】武蔵野Sの注目馬とねらい目レース(オキザリス賞)

■東京11R/東京中日スポーツ杯武蔵野ステークス ショウナンライシン

ワンターンの東京ダート1600mらしく差し追い込みが有利なレース。過去10年で逃げ・先行はわずか2勝にとどまり、4角10番手以下が4勝もしていることからもここは素直に後ろから行く馬を狙いたいです。但しここで重要なのは「前半が流れても末脚を遣えるか」で、今回差し追い込みタイプが揃ったものの前半が緩んだ時にしか脚を遣えないタイプが少なくありません。「前半3Fが35秒以下のレースを4角10番手以下から差し切った馬」で絞るとビヨンドザファザーとショウナンライシンの2頭が該当しますが、ビヨンドザファザーは鬼門の内枠に入った分割り引かざるを得ず、軸として信頼したいのはショウナンライシンの方でしょう。柴田善Jに手替わりして以来①②①着と覚醒。ここに来て動きの迫力が増しており、前走、今回と1週前にウッドで好時計をマーク。前回坂路で単走だった最終追いも今回は併せ馬で一段と負荷をかけられており、今の充実ぶりなら重賞でも。


■東京9R/オキザリス賞 サノノワンダー

2歳のダート戦は番組数の制約から仕方ないのですが、1200~1400mを勝ってきた馬がスタミナ不足を露呈し案外、というケースが少なくありません。事実過去10年のオキザリス賞では距離延長組(2,2,4,44)、同距離組(4,5,6,64)に対し距離短縮組が(4,3,0,18)で単回103/複回100と回収率も優秀。ここは今回唯一の距離短縮ローテに該当するサノノワンダーが狙い目です。


2024年11月3日日曜日

【11/03(日・祝)予想】アルゼンチン共和国杯・みやこSの注目馬

■東京11R/アルゼンチン共和国杯 アドマイヤハレー

昨日そこそこの雨量があったにもかかわらず、朝6:30の時点で東京の芝は既に良馬場発表。日中は気温も上がる想定で、かなり良いコンディションになっていくことが見込まれます。これなら、上位人気勢に匹敵する末脚を有しながらなぜか人気していないアドマイヤハレーから入りたいです。

東京コースでは(2,1,2,1)と安定した取り口で、唯一の着外も一昨年の鷹巣山特別でジャスティンスカイから0.4差⑥着なら悲観する内容ではありません。ペースが速くても遅くても33秒台の脚を遣えるのがセールスポイントで、ここ最近は暑いのが苦手なのと番組の都合もあり中山や札幌でのレースが続いていましたが、本来は最後の600mで勝負を決められる東京コースが持ち味を最大限に発揮できる舞台です。2走前の日経賞では途中から動く形になりながらもシュトルーヴェから0.4差の⑥着と健闘しており、ここも流れ一つで台頭余地はあると見ます。


■京都11R/みやこステークス ミッキーヌチバナ

馬群を縫って伸びてこられる強みがある馬なのですが、元来スタートがあまり良くなかった面がありどうしてもロスの大きい競馬を強いられてきました。2走前のアンタレスSでは中団外を走っていたところ、3角で前を走るヴィクティファルスが外に張ったことで太宰Jが内を選択。この判断が奏功し直線で追い比べに持ち込んでの勝利でした。前走の平安Sでは安全運転の後方外目追走からの⑥着でしたが、前残り展開を0.5差まで追い上げたのであれば力は示したと言ってよいでしょう。デムーロJの弟来日ブーストにも期待して。

2024年11月2日土曜日

【11/2(土)予想】ファンタジーSの注目馬とねらい目レース(神奈川新聞杯)

■京都11R/KBC京都賞ファンタジーステークス ラヴェンデル

ザナの仔は渋った馬場が得意な馬が多く、稍重の中山牝馬Sを逃げ切ったコンクシェル、雨のフローラSで③着に粘ったシンシアウィッシュ、重・不良で(3,0,0,0)だったマリーナと重馬場巧者揃いの血統です。良馬場のデビュー戦ではそこまで目立つパフォーマンスではなかったものの、この天候を味方につけられれば通用の目は十分でしょう。


■東京9R/神奈川新聞杯 ピュアキアン

ダート中距離戦における上級戦と下級戦の違いは「強力な先行馬がいるかどうか」に現れます。芝レースのような後方一気が決まりにくく体力勝負の色合いが強いダート中距離以上の条件では、体力に劣る展開待ちの後方待機タイプより自らペースを作って勝負に持ち込める先行馬が先に出世しがちです。結果として上級条件では強力な先行馬が揃いがちで、ピュアキアンも早々に2勝したがためにここ2戦は重賞を走って自分の形に持ち込めませんでした。3戦ぶりに自己条件に戻るここはスンナリ先行が叶いそうで。