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2023年5月21日日曜日

【5/21(日)予想】オークスの全頭評価

■東京11R/優駿牝馬(オークス)

[1]①ラヴェル(坂井)

デビュー以来ずっと2桁馬番を引かされ続け、特にここ2戦は多頭数の8枠で壁を作りにくい隊列になったこともあり⑪⑪着。内枠を引け理想的な運びは叶いそうですが、母のサンブルエミューズは現役時代の好走歴はマイル以下。ノヴェリスト産駒の半兄ヴェスターヴァルト、ハービンジャー産駒の半姉ナミュールも勝ち切れたのはマイル以下までのレースで、父がサンデー系に替わるこの馬が距離延長で見せ場を作れる期待は薄く、仮にアルテミスSと同じだけ走れたとしても進路が無く差し損ねたリバティアイランド以外は1勝クラスレベルの相手関係でギリギリ勝ったという内容につき…

[1]②ライトクオンタム(田辺)

前走の桜花賞は多頭数の内枠を引いてしまい、案の定馬群の中に押し込められ折り合いを欠くシーンが。その割にバテずに走り切っての⑧着は悪くはないのですが、元々小頭数の前傾戦という特殊な展開で大味な勝ち方だったシンザン記念の内容を評価できないだけに、G1でどうこうというレベルにはないと見ています。加えて、武幸師の傾向として「短距離馬に育ってしまう」点が挙げられます。開業以来平地のOP競走は重賞3勝を含め7勝していますがうち6勝がマイル以下で、それ以上の距離になると(1,3,3,51)と極端に成績が低下。2000mを超える距離では勝ち鞍自体がありません。折り合わせる調教が苦手なのか成長につれ距離適性が短くなる傾向にあるため、ここも距離延長への対応は難しいでしょう。

[2]③キタウイング(杉原)

前走の桜花賞ではスタートして一旦は外に行こうとするも、中団より後ろの馬たちが内を空けるのを見て切り替えた途端コーナーで各馬がラチ沿いに殺到して押し出されるような格好で後方へ。12年のキャリアでG1騎乗4回目という杉原Jの経験不足と言えばそれまでですが、これまでも立ち回りの良さで勝ってきた馬ですからすべてが裏目に出るとこういうこともあり得るという証左でしょう。未知の距離かつ根本的に体力が持たない馬が多いオークスは最後の直線で外にいる馬がスムーズに伸びて好走するのが恒例パターンになりつつあり、内を回って立ち回りの巧さを活かそうにもこの鞍上では先行勢の屍を越えられない可能性の方が高いかと。

[2]④キミノナハマリア(三浦)

前走のフローラSもそうですが、2000mでは思ったほど切れず。現状1800m以下の方が良いでしょう。

[3]⑤リバティアイランド(川田)

桜花賞のレース後川田Jは「道中全く進んでいかなかった」とコメントしており、あの位置取りは意図したものではなかったことを明かしていました。一方で、焦りはなかったかという問いに対して「彼女が選んだ位置取りなので…」と言葉を濁したりジョッキーカメラでは入線後「お嬢さん、終わったよ」と声をかけていた様子からも、戦前語っていたように気持ちの面が相当難しい馬。結果として異次元の末脚で勝ち切りましたが、あそこまで強い勝ち方をしてからの中5週。これで勝ち切ってしまえば連戦でパフォーマンスを落としたアーモンドアイをも超えられる可能性はありますが…

[3]⑥ゴールデンハインド(菅原明)

前走のフローラSでは久々にハナを切り最後の3Fも34.1でまとめ逃げ切り。1分59秒を切っての勝ち時計自体は20年のウインマリリンに匹敵するものですが、ご存じの通り特に芝の馬場は年々整備技術の向上により時計が出やすくなっていること、ウインマリリンの年は強烈な横風が向こう正面から正面に向かって吹いており内ラチ沿いを進んだ残り400mほどはずっとそれを受けながら走っていたこと、おまけにムチも落としてあの内容ですから単純に勝ち時計の比較でウインマリリンに相当する力量を認めるのは無理があります。急坂の中山・阪神よりはマシでしょうが、ハナにこだわらない姿勢を示している以上誰かにスムーズに行かれてしまっては良さが出ず、この馬が真価を発揮できるのは3年ぶりに京都開催に戻る秋華賞かもしれません。

[4]⑦ヒップホップソウル(津村)

ダンシングキイの一族は気性難が付きまとい、なかなか距離延長に対応できません。レッドガラン、バジオウ等牡馬のOPクラスでも距離は2000mが限界で、この馬にしても前走のフラワーCは不良馬場で外をスムーズに回ってこれたものでここで通用する力量の担保にはなりにくいです。社台F×木村厩舎で津村Jというのも明らかに勝負気配ではなく。

[4]⑧レミージュ(荻野極)

前走のチューリップ賞はスタートまずまずも控えて見せ場を作れず。溜めてもキレなかった内容から現状11秒台が続くような上がりのレースには対応できないため、正攻法で挑んでも跳ね返されるだけでしょう。ゴールデンハインドは前に馬を置いての調教を施されるなどハナにこだわらない姿勢を示しておりこの馬がハナを切る可能性は高そうですが、溜め逃げしても良さが出ないとなるとそれなりに引き離しての逃げを打つ可能性はあります。ここで参考となるのは3走前に逃げ切ったエリカ賞の内容。フォトンブルー(のちに弥生賞⑤着)がまくり気味に進出したおかげでラップが「12.5-10.9-13.2-12.9-12.3-11.5-11.8-11.5-12.0-12.1」と向こう正面の地点が最速になっており、本来こんなところで動かざるを得ないと逃げ馬にとっては相当厳しいはずでした。それを牡馬を相手に逃げ切ったのは評価してよく、当時の②③着馬は既に勝ち上がり済とメンバーレベルも一概には片づけられないものでした。4戦連続で手綱を取る荻野極Jは以前はあまりポジションを取る騎手では無かったですが、昨秋ジャンダルムでスプリンターズSを制して以降重賞でも積極騎乗が見られるようになり愛知杯ではそれまで逃げたことの無かったアブレイズで果敢にハナを切り④着好走。ノースヒルズの信頼を勝ち取ったように見え、ここもこれまでの負け方を踏まえて思い切って乗るようなら怖い存在になるかもしれません。

[5]⑨コナコースト(レーン)

前走の桜花賞は前半3F34.0という通過タイムは近10年では2014のハープスターの年に次ぐ速いペース。それでも残せたのは思ったより内枠勢が競りかけなかったことからインの2番手を確保できたのが大きかったです。最後も止まりかけながらペリファーニアを交わしたのは父譲りの勝負根性で、普通の年なら勝っていました。ただキタサンブラック産駒らしくじわっとアクセルを踏むレースが向いていたことも事実で、上がり勝負の東京では正攻法ではキレ負けの懸念もあるうえ、デビュー以来ずっと手綱を取ってきた鮫島駿Jからこの距離延長局面でわざわざ折り合えないレーンJへのスイッチ。中間も同騎手はコンタクトをとっておらず1週前は見習Jが稽古をつける始末。軽量の見習Jを乗せて速い時計が出るのは当たり前で、デビューからずっと体重が減っており今回も輸送でさらにマイナスが見込まれる点を踏まえても、見かけの調整過程ほど順調には見えません。

[5]⑩ソーダズリング(武豊)

前走のフローラSは内枠から好位を奪い最後まで走り切っての②着確保でしたが、スタート直後前に壁ができるまではかなり怪しい挙動を見せていました。ゴールデンハインドに被される格好になったことで馬ごみの中で我慢が利きましたが、あそこまで隊列に恵まれるのは2番枠を引けたからこそ。この枠からだとまず壁を作るのに苦労しそうなうえ、前走にしても上手く運べた割にはそこまで切れず。新馬・未勝利とそれなりのメンバーの中で好走してきたことを考えれば、ハーツクライ産駒らしく急坂のあるコースの方が強さを発揮できそうです。

[6]⑪ミッキーゴージャス(戸崎)

2連勝は事実ですが、前走の1勝クラス戦は10頭立てとはいえ半分が未勝利馬。上位入線勢もスイートピーSで着外となるようなメンバーばかりでおよそ評価できるレースではありませんでした。デビューの未勝利戦にしても18頭立てでこの馬以外はその後誰も勝てておらず、単にレース選びの上手さで見かけの馬柱がきれいに見えているだけです。血統背景からも過剰人気するでしょうが、少なくとも正攻法で挑む限りはこの舞台においては可能性を見出すのは難しいかと…

[6]⑫ハーパー(ルメール)

クイーンCで-12kg、桜花賞で-4kgと走るごとに馬体重を減らしており、前走は中間の併せ馬で遅れるなどなかなか攻め切れない過程でありながら④着と地力を見せました。今回は中間ウッドで意欲的に追われ、日曜にもユーキャンスマイルと併せて先着。最終追い後の馬体重が前走比+10kgの472kgとなっており、負荷を強めながらも馬体は維持できています。ここ2戦は流れが速く位置取りを落としており、ルメールJも「マイルの馬ではない」と語っている通りやや忙しいレースになっていた分距離延長は歓迎で、ルメールJの乗り方的にも直線外に進路を作ってしっかり脚を使わせられる大箱コースもプラス。キレるタイプでない分大外ズドンは難しいですが、先団から早めに外に進路を確保できれば長く脚を使えるので善戦可能でしょう。

[7]⑬ドゥーラ(斎藤)

ここ3戦はマイルに使われ追走に手いっぱい。札幌2歳Sをまくりで勝ったように一瞬のキレより長く良い脚を使いたいタイプで、距離延長+手替わりで位置取りが改善すれば通用しても良いはずです。ただ陣営は控える競馬を示唆しているだけに、正攻法ではキレ負けの懸念が。

[7]⑭ペリファーニア(横山武)

前走の桜花賞ではスタートも決まりトーセンローリエの後ろで壁を作って進めたことで、理想的なレースが出来③着。まだ素質だけで走っており伸びしろの大きさは期待大ですが、仕方ないとはいえこのタイミングで距離延長となるのは折り合い教育を考えると難しい一戦です。最終追いも3頭併せの真ん中で我慢させたかったのでしょうが行きたがるところを抑えきれず先頭に立ち先着。簡単には追い負けない勝負根性を持っていますが逆に目標や壁が無いと抑えが利かない懸念もあり、ポジションを主張する馬が居ればその後ろについていくので良いですがそれが居ない時の身のこなしが課題です。

[7]⑮エミュー(M.デムーロ)

桜花賞は距離もペースも合わなかった中での⑧着で悲観する必要はないのですが、フラワーC、桜花賞と中2週が連続ししかも前走は初輸送と酷な条件が重なりました。馬体のないこの馬にとって長距離輸送の無い東京戦はプラスですが、この中間は和田郎厩舎にしてはかなり攻めており、普段ウッドで57~8秒程度が常のところ50秒台というのはそうそうお目にかかれないタイム。出来が良いという言い方もできますがやや急仕上げにも映るだけに、テンションに影響しなければ良いのですが。

[8]⑯ドゥアイズ(吉田隼)

前走の桜花賞では前を走るライトクオンタムがふらふらしていたこともあって位置取りを落としてしまい、直線でも前が狭くなる一幕が。最後は馬群を縫って伸びてきていただけに、もう1列前が取れていれば結果は違ったでしょう。距離延長で位置取りが改善すればしぶとく脚は使えるタイプだけにここも要注意です。

[8]⑰シンリョクカ(吉田豊)

スタートでバランスを崩しかけ、立て直して取りつこうとするも後方から。4角で外に進路を求めたこともあり及びませんでしたが、中間難しい調整を強いられ輸送もあったことを考えれば⑥着はよく走れています。元々デビューの東京戦でドスローの上がり勝負を0.6突き放して圧勝しており、舞台替わりは歓迎のクチ。馬群を捌くセンスの高さも阪神JFで証明済で、大外まで持ち出さずとも末脚を使えるのはアドバンテージ。スムーズなら上位争い可能でしょう。

[8]⑱イングランドアイズ(横山和)

前走のフローラSでは14番枠から後方を進んで④着。レース後横山和Jは「外枠ではやれることが限られた」とコメントしておりそれはその通りなのですが、ちょうど1か月前にダノンザキッドの大阪杯(13番枠から③着)でも同じようなコメント。枠の有利不利をよく考えてレースをするタイプで、実際芝コースの枠番別騎乗成績では8枠の連対率・複勝率が最高になっています(下表)。


この馬にとっての理想は新馬勝ちの時のように馬群で折り合わせたいところですが、キタウイングの見解の際も述べましたがオークスは最後に外を突いて伸びてくるのが好走パターンで、今回の大外枠は展開を利するという意味では決して悪いわけではありません。終始大外を回ってしまっては距離ロスの懸念もありますが、うまく馬群に収められれば最後は見せ場を作れるはずです。

<予想>
◎レミージュ
○イングランドアイズ
▲リバティアイランド
△シンリョクカ
△ハーパー
△ドゥアイズ

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