[1]①ダノンザキッド(北村友)
昨年の香港カップ②着以来となりますが、その香港Cは以前の気性面の脆さが感じられず距離延長でもしっかりと折り合いひと脚を繰り出せました。安田隆師は「現地で馬体が減っておりコンディションは良くなかった」と語っておりまさに地力で見せ場を作ったと言えますが、逆に言えば体調が万全でなかったがために大人しかったとも言えるかもしれません。今回は中間元気いっぱいとのことですが、休み明けはパフォーマンスを一枚落としている(2か月ぶり弥生賞③着、半年ぶり富士S④着、3か月ぶり中山記念⑦着/安田記念⑥着、2か月半ぶり関屋記念③着)だけに今回もむしろ元気が空回りするパターンかもしれません。力は認めますが脆さもある馬だけに。
[2]②ソロフレーズ(武士沢)
岩手を経て再転入になりますが、盛岡の芝レースというのは中央で通用しなくなった馬同士の集まりでそこでいくつか勝ったと言ってもこのメンバーで通用する根拠にはなりません。3年前に勝った日本海Sも2200m戦としては異例の59.3というハイラップのズブズブ決着で後方を進んでいただけの話で、中央時代の戦績からも推しにくく。
[3]③イルーシヴパンサー(M.デムーロ)
前走の京都金杯では発馬が決まり労せずして好位のインを取れたことが大きかったです。ダイワキャグニーの動き出しにつられて外を回った馬たちが速めに動いてきた分外差し勢が不発だったこともあり、立ち回りの良さでつかんだ勝利だったと言えるでしょう。これまでの5勝が全て東京と新潟外回りだったことを思えば、中京戦の内枠を捌けたことはこの馬なりの進境とも言えますが、今回は久々の右回り。距離延長でのデムーロJへの手替わりというのも溜めを作る観点からはプラスとは言えずで。
[3]④ドーブネ(武豊)
スピードの違いでハナに立つタイプで、変に抑えるより気分良く行かせた方が良いのはここ3戦で証明済。ただ前走の白富士Sでは最内枠から楽にハナを奪い道中で12.6までラップを落とすなど逃げ馬の理想的な流れを作っておきながら踏ん張れず②着。この内容からも距離は1800mまでが守備範囲でしょう。この舞台はスプリングSで出遅れて⑫着があるのみですが、これまでの経験がほとんどワンターン=スタートがスタンドと反対のレースに集中しているのが懸念材料。スタンド前発走で発馬を決められるかが鍵になりそうで、それさえこなせれば他の先行勢がクッションになって楽に逃げ切り…というシーンも考えられますが。
[4]⑤シュネルマイスター(バシュロ)
昨年の秋3戦は何れも右回りコース。良いところが無かったですが、最近では調教でも右回りでは手前を変えないようでそのあたりが影響している可能性がありそうです。立て直されて状態は良さそうですが、やはりここは叩きでもあり折り合い重視のレースをするでしょうからこのコースでは届かない公算が大きいです。
[4]⑥ソーヴァリアント(横山武)
心房細動明けの前走チャレンジCを快勝。骨折の影響も感じさせず、再び軌道に乗ってきたと見てよさそうです。ただ今回は相手関係で難儀しそうで、過去4角通過順が3番手以内であれば(5,1,0,0)とパーフェクトなのですが、今回は少なくともドーブネ、トーラスジェミニ、ショウナンマグマと逃げ馬が3頭おりこれらよりも後ろになることは確実な情勢。加えて末脚でカタをつけるのではなく前目から押し切るタイプにつき、仕掛けるタイミングが早くても遅くても何かに負けてしまう可能性のある馬です。先行勢が垂れてきたのを受けて早めに先頭に立つと後続の目標にされますからその3頭の間にもう1頭誰かを置いてレースしたいですが、その馬の頑張り次第で勝ち切れるか垂れるか差し損ねるかが左右されると言ってよいでしょう。力量は認めるので印は外せないですが…
[5]⑦ナイママ(柴田大)
先週の小倉大賞典を除外されてここへ。状態は維持出来てはいますが流石にここでは相手が強くて。
[5]⑧トーラスジェミニ(原)
昨年はいろいろと調教を工夫するも結果は変わらず。今回も3頭併せの真ん中で前を追いかける形の調教で動けてはいるのですがそれはいつものことで、逃げられなかったり早目に競られたりと少しでもケチがつくと脆さを見せる現状です。既に重賞を勝ってもおりこの先そこまで恵まれるようなレースはそうそうないでしょうし、今回は特に同型もおり開幕週で先行勢は目の敵にされるコンディション。すんなりとは行かせてくれないでしょう。
[6]⑨ショウナンマグマ(石橋脩)
1800mでは(3,1,0,0)、それ以外では(0,0,0,8)と完璧なまでの千八巧者。但し今回はハナを叩けそうもないうえ、高速決着に実績が無く開幕週の馬場もマイナスです。
[6]⑩モズベッロ(大野)
1年ぶりで乗りこみ量は豊富ですが、脚元の問題から中間は坂路とプール主体で馬体は絞れず。2000m未満のレースに出るのも3年半ぶりで、ここは公開調教でしょう。
[7]⑪ヒシイグアス(松山)
大健闘だった前走宝塚記念②着から8か月ぶり。元々体質的な弱さを抱えているうえ夏が苦手で、前走後は熱中症になったこともあり休養が長引きましたが、1週前にDWでの3頭併せで50.6の時計を出しており立て直しは問題なさそうです。長い休養の分馬体がどこまで絞れて来るかが鍵ですが、地力だけでも押さえる必要はありそうです。
[7]⑫スタニングローズ(吉田隼)
前走のエリザベス女王杯はいつも通りのレースに徹した結果、外差し有利展開に逆行するレース運びで⑭着。ロゼカラーから続く「薔薇一族」は基本的に良馬場でしか走れないことからも、馬場も合わなかったと見るべきでしょう。調教の動きは昨秋紫苑S、秋華賞を連勝した時と同様に53秒前後の全体時計から加速ラップを踏めており、この馬の力の出せる態勢にはなったと見ています。あとはその力を出したところで古馬勢にどこまで伍せるのかが気になる点ですが、現4歳世代の上位はイクイノックスやドウデュース等既に古馬通用級の実力を示しており総じてのレベルは高いはず。あとは牝馬のレベルがどうかというところですが、超絶差し有利レースのオークスで4角4番手から②着したのは世代の中でも高いポテンシャルの現れとみており、2戦2勝の中山コース替わりもプラス。ここでも通用する期待は十分です。
[8]⑬ラーグルフ(菅原明)
早目の動き出しから勝負をつけたいタイプで、このコースは合っています。ただ前走で勝った中山金杯と違い今回は開幕週の馬場という点で外まくりは決まりにくく、G1に出したいという狙いもあるでしょうし先を見据えた余所行きの競馬をするようなら期待値は下がります。
[8]⑭リューベック(田辺)
前走の但馬Sは開幕週の馬場を味方につけ、好位のインで宥めながら脚を溜め直線で前を捉える優等生の競馬でした。大外枠を引いた今回はここまで恵まれる期待は薄いうえ、タイトルホルダーでも逃げなかった田辺Jが中途半端に控えるレースをするようなら、伸びずバテずで見せ場を作れずに終わる可能性が高いです。
<予想>
◎スタニングローズ
○ソーヴァリアント
▲ヒシイグアス
△ダノンザキッド
△イルーシヴパンサー
△ドーブネ
■阪神11R/阪急杯
[1]②メイショウチタン(高倉)
3走前のオーロCでは6F戦からの距離延長ローテでハナを切りタイム差なしの②着。陣営も現状では無理に抑えるのでなく行き切ったほうが良いとみており、内枠を引いた今回も積極策で行くでしょう。オーロCで勝ったウインシャーロットは先週の京都牝馬Sでも②着に好走しており力量は引けをとっておらず、アグリが番手に引くようならしぶとさを見せるチャンスは十分です。
[2]③サトノラムセス(池添)
上がりの掛かったほうが差し込めるタイプで、中京1400mは向いている条件でもありました。3走前にこのコースで⑧着がありますが、外差し勢には用なしとなったコンディションで進路を探して大外に持ち出さざるを得なかったもので度外視。この枠を引けたからには好位で溜めてレースができるはずで、開幕週の馬場がどうかもここも注意が必要でしょう。
[2]④ホープフルサイン(幸)
5歳シーズンから成績が安定し、前走の淀短距離Sでは約1年ぶりの実戦ながらOP初勝利。元々ダート勝ち上がりな上洋芝で実績があることからも時計を要した方が走れるタイプで、故に上級条件では1400mの方が向いているとみておりました。前走勝ったことで人気は上がってしまいそうですが、本来狙うならこの舞台のはずでうまく捌ければ改めて。
[3]⑤ダディーズビビッド(浜中)
どうも蹄を気にして走っているようで、前走の睦月Sも本気で走れていなかった模様。この中間も自ら加減して走っているようで、本数のわりになかなか絞れてこないのが現状。爪割れなどを気にしているのが問題ならば暖かくなるにつれ解消してくるとは思いますが、それでないとしたらメンタル面の問題は厄介です。いずれにしてもここは1回静観の番。
[3]⑥ロードベイリーフ(酒井)
久々の1400m戦ですが、過去3戦②④⑥着ながら常に小差で走れており距離自体は問題ないでしょう。ただ時計が求められると対応できないうえ後方からの展開待ちになってしまうため、ここでも恵まれる可能性は低そうです。
[4]⑦グレナディアガーズ(岩田望)
昨年の阪神Cでは距離延長ローテ+大外枠を克服しタイム差なしの②着と地力を見せました。朝日杯勝ちもありますが基本は1400m以下の馬で、このメンバーで57kgで出られるのはボーナスレースと言っていいレベル。本来叩かなくても高松宮記念には出られるはずで、それでもあえてここに出してきたということは間隔の詰まる高松宮記念はともかくまずはここを取りに来たと見るのが妥当でしょう。古馬になってから控えるレースをしているのは気になる点ですが、今回に限って言えば積極的に乗れる岩田望Jの方が手が合っているはずです。
[4]⑧ショウナンアレス(戸崎)
クラスが上がってからは溜めを作れず詰めの甘いレースが続いており、今回は格上挑戦でさらに厳しいペースになることを考えれば見せ場を作るのは難しいでしょう。
[5]⑨メイショウケイメイ(角田河)
いつも自分の脚は使っているのですが、古馬になってからは相手が強くなりなかなか届いていない現状。脚質的に前走の北九州短距離Sがチャンスだったわけですが、それでも0.3差⑪着とあってはここで上向く可能性は見出せず。
[5]⑩リレーションシップ(岩田康)
昨年のこのレースでは内枠から壁を作って進むも位置取りを下げてしまい、直線では外に持ち出さざるを得ないレースとなり④着。内を進んだ各馬が上位を独占する中では健闘した部類と言えるでしょう。1400mがベストではありますが、使える脚が長くないので阪神や新潟と言った内回りコースの方が向いており舞台替わりはプラスに。あとはこの枠を引いてしまったので岩田康Jの一か八かの強引なまくりをやられてしまうと自爆する懸念がありますが、うまく行ったときには侮れない存在です。
[6]⑪アグリ(横山和)
スタートセンスが良く、スピードでそのまま押し切れるタイプなので中身がついてきたこの3連勝は至極順当だったと言えます。前走で前傾戦を2番手から押し切っているのもポイントが高く、途中で誰かに絡まれるような展開にさえならなければここも安定勢力でしょう。
[6]⑫ミッキーブリランテ(和田竜)
間隔を詰めて身体を仕上げ、距離延長で位置を取り、内枠で溜めを作った時に好走できる馬で、強引にインを取りに行った京成杯AH以外は2桁枠番で結果を出せておらず。ローテも不向きなここは叩き台でしょう。
[7]⑬ラルナブリラーレ(鮫島駿)
先週の京都牝馬Sを除外になりここへ。ただその割には今週の最終追いは坂路で51.8-11.9とかなりの時計を出せており、むしろ先週より体調は上向いたとも言えます。陣営は上がり勝負に懸念を示していますが、3戦連続して33秒台の末脚を繰り出しており2走前には新潟1400mの信越Sで0.2差④着と直線の短いコースでも十分にやれるところを示しています。人気上位は安定した取り口を見せていますが、メイショウチタンやホウオウアマゾンがハナにこだわる姿勢を見せたうえでリレーションシップが途中で引っ搔き回すような展開を作ればグレナディアガーズやアグリも安穏とはしていられず、想定外に動き出しが早くなれば直線で脚を使えるタイプの台頭があっていいはずです。大外をぶん回すような無粋な真似はしないであろう鞍上だけに注意は必要です。
[7]⑭グレイイングリーン(団野)
距離は1400mがベストで、外を回すとどうしても末が甘くなってしまうタイプにつき内目が欲しかったのですが…同じ狙いを持つラルナブリラーレが隣にいることもあり、よほどうまく立ち回らないとイン突きは難しいでしょう。
[8]⑮ホウオウアマゾン(国分優)
前走の根岸Sでは行き脚もつかず⑫着。内目で砂を被ってしまったこともありますが、結果的に現状ダートは合っていなかったと見るべきでしょう。そのため前走がノーカウントではあるのですが、一時よりマシになったとはいえこの馬は調整が難しく遠征競馬で結果を出せてないのに加え連戦が苦手。過去、休み明けを叩いたあとは走るたびにパフォーマンスを落としており、ここは得意のローテではないだけに。
[8]⑯ルプリュフォール(横山典)
1400mを狙って使われ続け戦績が安定。内枠を引けば馬群で控えることもできますが、折り合いに難がある馬のためやはりじっくり後ろから行った方が良い馬です。こうなると横山典Jの戦法は一つ。ここでも通用する末脚は持っていますが、距離ロスを考慮すれば届かない懸念も。
<予想>
◎ラルナブリラーレ
○グレナディアガーズ
▲アグリ
△ホープフルサイン
△リレーションシップ
△メイショウチタン
△サトノラムセス
△ルプリュフォール
■小倉11R/下関S スイートクラウン
前走は馬場入場後除外となりましたが、歩様に硬さが見られ大事を取ってのものでした。この中間は問題なく乗り込めており、一昨年から昨年にかけ福島・札幌で連続好走した通り平坦コースが合っています。加えて今週の小倉芝1200mは外枠から好位につけた馬の好走が目立ち、昨日も3鞍あったこのコースで複勝圏に入った9頭のうち7頭が2桁馬番。ごちゃつかずに馬場のマシなところを通れる利が如実に出ている現状で、前目から押し切りたいこの馬にとってもプラスに働くと見ています。元々は現級でもマイネルジェロディの②着していたような実力馬で、近走の馬柱だけで軽視するのは危険でしょう。