[1]①ニシノエージェント(津村)
ホープフルSがG1に昇格して以降の施行となる2018年以降の京成杯に顕著なのが「展開を利して勝った馬」と「力の違いを見せつけて勝った馬」の差です。具体的には前者は「先行押し切りor後方一気」で展開に乗じて勝ったケース、後者は中団につけて直線で末脚を繰り出して勝ったケースを指します。
[展開利パターン]4角位置→その後の成績
18年ジェネラーレウーノ(2番手)→皐月賞③着、セントライト記念勝ち
19年ラストドラフト(先頭)→その後平地で勝ち星なし
20年クリスタルブラック(10番手)→その後勝ち星なし(長期休養中、てかまだ抹消してなかったんだ)
21年グラティアス(2番手)→その後勝ち星なし
22年オニャンコポン(10番手)→その後勝ち星なし
[実力パターン]
23年ソールオリエンス(5番手)→皐月賞
24年ダノンデサイル(5番手)→DSC、ダービー
まとめると、極端な位置取りや戦法で展開利で勝った馬はその後多くが奮わず、逆に道中ついていくスピードに加えて脚もしっかり見せた馬はその後も活躍を続けています(ソールオリエンスはカウント上5番手ですが極端な戦法という意味では前者に該当するかも)。ニシノエージェントは4角位置こそ6番手でしたが、早目に先行馬が垂れてきた分番手が繰り上がった格好。3角11番手は実質的に追い込み競馬で勝ったもので、流石に皐月賞に出てくるメンバーはそう簡単に垂れないだけに。
[1]②エリキング(川田)
骨折休養明け。前走の京都2歳Sは川田Jが「無理やり動かした」と語るほど直線での反応が悪く、何とか間に合ったというレース。少頭数戦しか経験がないうえ器用さに欠けるところがあり、中山の内枠というのもマイナスです。
[2]③キングスコール(藤岡佑)
この馬もまた跳びが大きく不器用なところがあり、多頭数戦の内枠はマイナス材料です。前走のスプリングSは落鉄しながら③着と力はあるのですが、ここよりもダービーが楽しみな存在です。
[2]④ジュタ(坂井)
前走の弥生賞は4角でごちゃついたときに馬が止めてしまったとのこと。不器用さと繊細さをはらみ、多頭数戦の内枠では買いにくいです。
[3]⑤ジョバンニ(松山)
若葉Sでもタイム差なしの勝利だったように、常に相手なりで勝ち身に遅いところがありますが器用さと一瞬の脚で京都2歳S・ホープフルSと小回りコースを②着と健闘。立ち回りで着を拾うタイプなだけにゲートの悪さがネックでしたがそれも解消され、1週前には格下相手とはいえウッドで50秒台~しまい2Fにわたって11秒台をマークするなど動きの良さが目立つ中間。ホープフルSは現時点での完成度でクロワデュノールに完敗を喫しましたが、目下の充実度であればその差はもう少し詰まってもよいはずで。
[3]⑥マスカレードボール(横山武)
気持ちの高ぶりやすいタイプであるだけに地下馬道を通る必要が無いのはプラスに働くでしょうが、ホープフルSは荒れ馬場に脚を取られたとの話で跳びの大きいタイプはイコール大箱向きとも言え、陣営が口をそろえて語るように東京の方が良いのは事実でしょう。加えて祖母のビハインドザマスクは現役時代12~1400mを主戦場にしていたスピードタイプで、ワンターンの直線でトップスピードに乗せる走りが得意なクチなだけにここが全力かといわれると怪しく。
[4]⑦フクノブルーレイク(松岡)
重馬場が得意というよりは使える上りに限界があるタイプで、前走のスプリングSは重馬場で切れ味が削がれる展開の中で相対的に浮上できた②着でした。前半1000mが60秒を切る締まった流れを走ったのは新馬戦のみで、キャリア唯一の着外がその新馬戦となるとここは脚が溜まらない懸念が。
[4]⑧ジーティーアダマン(岩田望)
逃げて2連勝。必ずしもペースに恵まれてのものではなく、前走のすみれSは59.5の流れを自ら刻んで上りも35.1でまとめるという好内容でした。とはいえ時計が出たのは開幕初日、しかもただの開幕週ではなく約1年の休催明けという絶好のコンディションで1番枠からのイン逃げだった分もあり。母カウニスクッカも行き切ってこそというタイプだっただけに、逃げ馬クラッシャーがいる今回は楽な戦いにはならないでしょう。
[5]⑨ピコチャンブラック(石橋脩)
前走のスプリングSは結果的にラチ沿いを運んだ先行勢が潰れた上、重馬場で後ろから誰も来なかったというレース。外3番手にいたことが勝因としか言いようのないレースで、やはり本来は控えるよりも行き切ってしまった方が良さが出るタイプです。新馬戦のパフォーマンスからも持てる力は相当なはずですが、いかんせん当日のメンタル次第という馬だけにあてにはしずらく。
[5]⑩クロワデュノール(北村友)
デビューから2戦が前目からの最速上がり、前走のホープフルSは中団から運ぶもファウストラーゼンを追いかけるように4角までで好位につけて直線突き放すレースを見せ、同世代には敗けようがないと感じさせる内容。3か月半ぶりとなるここも1週前の時点で長めから併せてラストに10秒台まで加速する追い切りを見せ、中間の調整に抜かりはありません。2戦目の東スポ杯の時に+24kgと大幅な馬体増を見せた後、ここまでの過程で体重が増えている様子はないだけに成長力という点では他の馬の方が上でしょうが、この先はともかく少なくともこの段階までは現状の力を出せれば勝負になっていいでしょう。
[6]⑪ミュージアムマイル(モレイラ)
モレイラJはこのコースで(4,3,2,1)と複勝率90%。昨年②着に持ってきたコスモキュランダはその後デムーロJに手綱が戻っても今一つな成績が続いているように、プラスアルファの瞬発力を引き出すことに長けていると言え、その点でトリッキーな中山コースは向いているタイプでもあります。ミュージアムマイル自身は3戦目の黄菊賞のパフォーマンスからも距離はこのくらいの方が良く、朝日杯FSも必ずしも適距離と言えない条件でアドマイヤズームに0.4差の②着なら上出来でしょう。弥生賞は重馬場を苦にしての④着で、良馬場で鞍上強化となるここは巻き返し必至と見ます。
[6]⑫ドラゴンブースト(丹内)
京成杯は勝手に前が垂れてきたところを外から交わしての②着。それでいてさらに後ろにいたニシノエージェントに差されていることを考えれば距離が伸びてよいタイプでもなさそうで。
[7]⑬アロヒアリイ(横山和)
2走前は自身のさらに外を回ったゴーソーファーに差されて②着、前走の弥生賞もファウストラーゼンが向こう正面でまくって流れが速くなり前を行く馬が厳しくなったところを最後の最後に脚を遣っての②着。そもそもファウストラーゼンが37秒も上がりかかっているのにそれを差せない時点で上りの限界を露呈した格好で、他に脚を遣える馬がいっぱいいるここでは。
[7]⑭カラマティアノス(戸崎)
前走の共同通信杯は直線ヨレながら走るマスカレードボールに突き放されての②着。レイデオロ産駒らしく陣営はギアチェンジ能力への懸念を口にしており、調教の時も一気に加速するとその反動で苦しくなる様子。指摘されているモタれ癖もそこから来ているようで、左回りというより残り2F目のトップスピード比べとなりやすい東京コースが向いてなく、4角からじわっと加速し坂上でトップスピードになる中山の形態であればモタれずに最後まで走り切れることが期待できます。ダービーよりもここというタイプで、人気が上がり切る前の今がねらい目という考え方も。
[7]⑮ヴィンセンシオ(ルメール)
前走の弥生賞は道中ハナを切って運ぶもファウストラーゼンのまくりに遭い②着。大型馬で緩い馬場のグリップに苦労しながらも道中速くなったところも耐え、後続の追撃を封じたあたりは能力を見せました。ただ体質的に間隔を取って使いたいタイプで、これまでも3か月の間隔でレースを使われてきた経緯もあるだけに中5週で整ったかどうかは気になるところ。陣営も1週前までは前走のダメージからの立ち上げに苦労した旨を語ってもおり、若干間に合わせた感は否めません。
[8]⑯サトノシャイニング(西村淳)
前走のきさらぎ賞は前に馬を置く形をとって差し切り勝ち。②着に降したリンクスティップは桜花賞③着、③着のランスオブカオスは毎日杯を勝つなど、メンバーレベルの高い一戦でした。ただ当時は1800m戦にしてはマイルに近いペースで流れた分もあり今回距離延長で折り合いが課題となるのと、揉まれたくないだけに外目を通るとファウストラーゼンのまくりをモロに受ける懸念もあり、スムーズに走り切れるかも試練となるだけに。
[8]⑰ファウストラーゼン(杉原)
母ペイシャフェリスも前傾ラップを押し切るタイプの逃げ馬で、スタートで出ていかないこの馬が減速ラップを走り切る流れに持ち込むためにはまくりを打つのが最適という現状。やることが決まっているタイプなので結局は対応できる馬の数=道中動いてもなお最後まで脚を遣える馬がどれだけいるかで成績が変わってきます。今まではそれが居なかったかいてもクロワデュノール程度でしたが、今回はじっと我慢して最後に脚を遣えそうな馬がもう少し居そうなのとつられて引っ掛かってしまいそうな馬も出てくる懸念が。
[8]⑱マジックサンズ(佐々木)
骨折明け。前走のホープフルSは行きたがってしまい馬ごみに入れられず、ファウストラーゼンにまくられたあたりでスコーンと抜けてしまったような失速の仕方。コナブリュワーズの仔は気性面の問題が尾を引き頭打ちになるケースが多く、大外枠を引いてしまったのでは折り合いが厳しく。
<予想>
◎カラマティアノス
○ミュージアムマイル
▲クロワデュノール
△ジョバンニ
△サトノシャイニング
△ファウストラーゼン
■福島11R/福島牝馬S ホーエリート
このレースは非主流種牡馬が活躍しやすいレース。過去10年で最多の19頭を送り出したディープインパクト産駒は(0,3,3,13)で何と勝ち星なし。この間の勝ち馬を見てもSS系が4勝に対し圧倒的に出走数が少ない非SS系が6勝と優勢で、うち4勝はルーラーシップが2勝と、同じミスプロ系の種牡馬から出ています。
今回ミスプロ系はルーラーシップ産駒が2頭。中でもホーエリートはフラワーC②着と実績もあるうえ、根幹距離で(0,0,0,5)に対し非根幹距離は(2,2,1,0)と得意にしているクチ。アリスヴェリテにペイシャフラワーが絡み、セキトバイーストも早めの競馬をするとなると動き出しが早い展開になり、最後の最後で脚を遣える馬が浮上しうる流れになりそうなのもプラスでしょう。
■中山9R/野島崎特別 ピンクジン
現級で常に差のない好走を続けながらも、地味な血統と勝負服のせいかなぜか人気しない存在。昨年のこの時期には格上挑戦で福島牝馬S④着するなど立ち回り一つでここを突破できるはずで、内枠を引いたにもかかわらずシンガリ人気で放置されるようならねらい目も。
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