[1]①ライラック(M.デムーロ)
3走前に同じ舞台のエリザベス女王杯で②着同着。元々まっとうなキレ勝負では分が悪い一方で、昨春にはスターズオンアースを抑えてフェアリーSを制したように急坂で上がりの掛かるコースで良績を残しています。宝塚記念は極端なハイペースにならなくとも上りが35~6秒かかることも珍しくなく、直線の短いこのコース形状も合っていますが、やはり惜しむらくは極端な内枠を引いてしまったこと。ここからだと下げて外を回すしかなく、展開に加えて隊列次第と他力本願な点は否めずで。
[1]②カラテ(菅原明)
前走の鳴尾記念では折り合いこそ問題ありませんでしたが、直線で終始前が詰まってしまい⑨着。当然それが無ければもっと着自体は上に来られたでしょうが、問題はコーナーリング。コーナーに差し掛かるたびにフラフラとした挙動を見せており、あまり得意ではない様子。それを裏付けるかの如く、未勝利以外の勝ち鞍は全てワンターンのコースで挙げたもの。重賞2勝も何れも新潟芝2000mで、コーナー4つの右回りという条件は実力より先に立ち回りの課題が付きまとうだけに。
[2]③ダノンザキッド(北村友)
2走前の大阪杯は中山記念の駐立不良があり当週水曜をゲート再審査に費やさなければならず、異例の調整過程からの③着。そもそもその原因を作った中山記念時は陣営も「気合がみなぎっている」と太鼓判を押すほどの調子の良さだったわけですが、この馬はみなぎっている時ほど空回りするタイプ。実際に休み明けではパフォーマンスを落としており、連戦で適度にガス抜きがされている時の方が好走できます。今回は中7週と間隔を開けられたことに加え初の2200m戦とあって、折り合い面の不安が大きく。
[2]④ボッケリーニ(浜中)
間隔を開けてきた方が走れるタイプで、中2週での続戦でいつもじっくり乗られるのにこの中間は速い時計がたったの2本だけ。流石に斤量も相手関係もきつくなるここでは。
[3]⑤イクイノックス(ルメール)
前走のドバイシーマクラシックで先行策という新境地を拓き、もはや展開のアヤで取りこぼす可能性すら潰す走りを見せました。一見資格は見当たらないものの、強いてあげればこの時期に走れるかどうかという問題。父キタサンブラックは生涯で二度1秒差以上の大敗を喫していますが、ダービーに17年の宝塚記念と何れも暑い時期のレース。陣営も「有馬記念ほどではない」と状態が最高ではないことを認めており、つけ入るスキが無いとは言い切れません。
[3]⑥スルーセブンシーズ(池添)
中山コースで2連勝。前走の中山牝馬Sでは距離短縮による時計対応が課題でしたが、出遅れながらも取りついていき最後は1頭だけ33秒台の脚を使う完勝でした。ドリームジャーニー産駒らしく急坂コースへの適性は高く、産駒出走数が少ないためコース実績自体は振るいませんが本来血統的には阪神2200mという舞台は合っているはずです。この中間は2週前から栗東入りし、最終追いはCW単走で50.2-11.2と好時計をマーク。併せていたらどれだけの時計が出たのかと考えれば出来は非常に良く、一瞬の脚を上手く活かせれば大物食いの可能性も。
[4]⑦プラダリア(菱田)
古馬になってから③③⑤着と見た目崩れてはいませんが、特に日経新春杯と目黒記念は前半が62秒と緩みながら切れる脚を使えずの敗戦。青葉賞当時の得意パターンに該当しても勝ち切れない現状を考えるとここでは荷が重く。
[4]⑧ヴェラアズール(松山)
路線転向後の4勝は何れも阪神外回り・東京と大箱コースでのもの。器用さに欠け小回りコースでの立ち回りに課題を残すうえ、直線向いてからのギアチェンジで勝ってきた馬だけにこのコース替わりはプラスではなく。
[5]⑨ジャスティンパレス(鮫島駿)
前走の天皇賞(春)は先にやった先行勢が続々と脱落し、立ち回りが上手く行ったのが大きかったです。直線向いてから11秒台が続くところでしっかりと加速に対応できたのも収穫で、ステイヤーとしての資質を感じる勝ち方でした。このレースはディープインパクト産駒が苦戦していますが、この馬自身はキレ勝負に弱く「ディープ産駒らしくない」特性の持ち主。トリッキーなコース形態への対応には課題を残しますが、菊花賞同様に先行勢が坂下でばらけるような展開になればロングスパートで対応できる余地も。
[5]⑩ディープボンド(和田竜)
持久力勝負が見込まれる舞台では常に押さえが必要で、昨年のこのレースもハイペースを3番手で追いかけての④着と地力を見せました。流石に今年はそこまでのハイペースにはならないでしょうが、前に行きたい馬が多く仕掛けは早くなりそうでバテ合いにもつれ込んだ時には浮上の目も。
[6]⑪ジェラルディーナ(武豊)
馬場バイアスを味方につけての好走が多いですが、現状2000m以下では流れが速く取りたい位置が取れない問題があります。前走の大阪杯でも理想から2列ほど後ろの運びになってしまい間に合わなかった感じの⑥着で、距離延長となるここは位置取りも改善でき、勝負どころで馬群がばらけそうなのも好材料。あとは伸びどころを伸びてくれば良いわけですが、ここ数年は京都開催が無い分馬場荒れの進行がきつかったのですが今年はそれも無く概ね良好な状態を保てており、昨日のストークS(芝1400m)もよどみなく流れた割には4角1~3番手が③①②着と上位を独占。いつものパターンで勝ち切るには馬場の面でのアシストが足りないという印象です。
[6]⑫アスクビクターモア(横山武)
前走の天皇賞(春)は序盤に先行していた馬たちが総崩れとなる流れで、この馬も下がってきたタイトルホルダーのあおりを受けた影響こそありましたが3角で脚を失くし⑪着。速いラップを刻んで押し切る形が理想でやはり本来は中距離馬でしょう。不良馬場で進んでいかなかった2走前の日経賞も含め近2走は度外視でき、気を遣わずに運べるこの距離に戻れば見直しは必要でしょう。
[7]⑬ジオグリフ(岩田望)
ドレフォン産駒はこの現4歳世代が最初ですが、月齢ごとの成績を見るとここに来ての上昇を見せており、成長力が伺えます。
上記の通り、クォーターごとの成績では4歳に入り2Q連続してハイアベレージ。全体の6割超がダートではありますが、芝でもパーセンテージの上昇具合はほぼ一緒で、米国産馬にありがちな2歳時に完成される早熟タイプとは一線を画しています。ジオグリフ自身はご存じの通り皐月賞でイクイノックス等を封じてG1勝利を挙げており、ここ3戦は海外遠征+ダート使いで参考外と言える臨戦過程。ノドの問題があり全幅の信頼を置けるタイプではないですが力は認めてよく、見かけの着順で人気を落としているなら要注意です。
[7]⑭ブレークアップ(川田)
ここ2戦は長距離戦に転じて③④着と好走していますが、本来純粋なキレ勝負では分が悪いだけに上りが求められない舞台は向いています。ただ今回はそれなりに位置を取りたい馬が多く、この枠からだと位置取りを下げてしまう懸念があり間に合わない可能性が大きく。
[8]⑮ユニコーンライオン(坂井)
一昨年は順調に使えていた中で、最内枠から他に主張する馬も無く逃げられての②着。今回は同型が多いうえ早仕掛けとなる展開が見込まれ、直線までヌルく逃がしてくれるほど楽な流れにはならなさそうで。
[8]⑯モズベッロ(角田河)
2走前の新潟記念で絶好の不良馬場ながらカラテに1.8差千切られての④着。既にこのクラスで通用する力はないと見ます。
[8]⑰ドゥラエレーデ(幸)
4走前の東京スポーツ杯2歳Sでは早目の流れを④着と踏ん張りましたが、次走のホープフルSでは前半が61.5と緩んだうえ、11秒台に入ったのは最後の3Fのみ(それでも11.9-11.2-11.9)。実質最後の3Fだけ頑張ればよいレースを勝ったにすぎず、59秒前後の流れが想定されるここでは流石に勝手が違うかと。
<予想>
◎スルーセブンシーズ
○ジャスティンパレス
▲イクイノックス
△ジェラルディーナ
△アスクビクターモア
△ディープボンド
△ジオグリフ
■阪神10R/花のみちステークス ワイドカント
全3勝は何れも阪神のダート1400m・良馬場で行われたレース。良馬場かつ出入りが激しくなく砂を被らずに運べるレースが理想で、なおかつ外枠を引ければベストという馬。5走前にピッタリの条件がそろった天王寺Sでは差し決着を5番手から運び0.4差④着と好走しており、今回はメンバー構成的にも極端に速くはならなさそうで前残りの目は十分と見ます。
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