[1]①ナランフレグ(丸田)
前走の高松宮記念はスタートで寄られ位置を悪くしてしまい、それでも直線ではよく追い上げて④着。遠征競馬を苦手とする宗像厩舎でこの成績は評価してよく、マイルでの勝ち星はないものの昨年のこのレースも0.4差⑨着と善戦しており通用するだけの末脚はあります。これで雨が残れば食い込める余地も十分に見えましたが、土曜の午後から天気は回復。府中の水はけを考えれば良馬場開催は避けられず、まっとうな切れ味勝負となるとこのメンバーでは。
[1]②メイケイエール(池添)
前走の高松宮記念は見せ場を作れず⑫着。馬場も合いませんでしたが、それ以上に問題なのがビルドアップにより抑えが効かなくなっている点。今年に入ってから調教で猛時計を連発していますが、調教に跨った池添J曰く「筋肉がより発達し、コントロールがより難しくなった」とのことでこれまでどうにか抑えが効いていたところがもう人間の力ではどうしようも無くなっている状況を示唆しています。武英師も万策尽きたとばかりに当週は時計を出さず「今回は気分良く行かせる」作戦で臨むとコメントしており、暴走させて直線どこまでお釣りを残せるか、というレースになりそうです。
[2]③ジャックドール(武豊)
デビュー以来2000mにしか使われておらず、今回が初のマイル戦。とはいえほぼ同じ形態の東京芝で(2,0,0,2)のオール掲示板と安定しており、ワンターンのレースに不安はありません。前半4Fが47秒未満になると(0,0,0,2)で速い時計の勝負に一抹の不安は残るものの、メイケイエールが暴走して乱ペースになると2番手集団のラップは意外と落ち着くことが予想されます。強引に逃げたパンサラッサを好位からとらえた昨年の札幌記念のように、特殊な展開になった際に最もその利を受けそうな存在ではあります。
[2]④セリフォス(レーン)
2走前のマイルCSでは外差し有利の流れを悠々と大外を回して差し切り。展開だったり馬場の良いところを走れた恩恵はありますが、あれだけのロスを負ってでも勝ち切れてしまうというのは想像以上に強かったと言えます。敗れたレースにはすべて理由があり、6走前の朝日杯FSはスタートで後手、5走前のNHKマイルCは外差し決着で内を突いた分、4走前=昨年のこのレースはスタート直後に寄られ宥めるのに時間がかかりエネルギーをロス、前走のドバイターフは初の1800m戦でした。馬群に包まれると制御不能になるリスクもあり、昨秋は控えて大外を回す安全策で連勝。東京コースは回復途上ですが、特に雨上がりの晴天時は外から乾く傾向にあるのも好材料。乱ペースになっても距離短縮となる今回は自分のレースが出来ればおのずと勝機でしょう。
[3]⑤ソダシ(川田)
前走のヴィクトリアマイルはロータスランドを行かせて2番手を追走。大外枠のスタートながらしっかりと折り合い精神面での進境を見せた一戦でした。キレイな跳びで同じ良馬場でも雨が降る中の悪化段階と晴天の良化段階では後者の方が良いタイプで、阪神JF以降は前半3Fが34秒台まで速くなれば(4,2,1,0)と純粋なスピード争いは望むところ。初の中2週を克服できればチャンスは十分です。
[3]⑥ダノンスコーピオン(M.デムーロ)
32秒台の脚は持っていないタイプで、前走の京王杯SCはキレ負けしての⑪着。上りは掛かった方が良いタイプにつき馬場が回復すると出番は遠のきそうです。
[4]⑦ガイアフォース(西村淳)
前走のマイラーズCが初めてのマイル戦で②着。スタートで後手を踏む展開も、小倉2000mでレコード勝ちした実績が語る通り下り坂から直線平坦でトップスピードを維持するレースになり流れが向きました。戦前杉山晴師が「京都のきれいな馬場を走らせたく、天皇賞かここかの二択だった」と語っていた通り、マイルがどうこうというよりはこういうコースで適性があるということでしょう。流石に東京コースとは求められる適性が違うだけに、前走の好走を以てマイル適性があるかどうかは判断できません。
[4]⑧ドルチェモア(坂井)
前走のNHKマイルCは道中バランスを崩したこともあり流れに乗り切れず⑫着。ルーラーシップ産駒らしくスピードが求められるレースの方が力を出せますが、最後の3Fがずっと11秒台になるレースは未経験。ここは胸を借りる立場でどこまで…でしょう。
[5]⑨シャンパンカラー(内田博)
前走のNHKマイルCは流れを見て控える判断をした内田博Jの好騎乗に尽きます。あれが出来るなら当日の馬場なら間違いなく走れたはずで、何ら不思議のない勝利でした。このコースで3戦3勝という成績が示す通りヨーイドンの展開になれば確実に末脚は使えますが、問題はメイケイエールが暴走してなし崩し的に脚を使わされる展開になった時です。中山コースの2戦で取りこぼしているように早目に動きだすと案外で、久々にG1を制した鞍上がここを辛抱できるかにかかっています。
[5]⑩ソウルラッシュ(松山)
極端に速い時計が求められない限りはコンスタントに走れており、前走のマイラーズCにしても1分31秒台の勝ちタイムの中0.1差③着と高速決着への対応力を見せました。一方で使える上りに限界のあるタイプで、昨年の安田記念は上位馬が軒並み32秒台の末脚を繰り出した中で33.3の脚で⑬着。キレの差がそのまま着順に直結したと言ってよく、馬場が回復すればするほど好走圏内から遠ざかるだけに。
[6]⑪イルーシヴパンサー(岩田望)
昨年のこのレースで1番人気に支持されるも終始前がつかえて⑧着。それでもまともに追えない中で上がり最速タイの32.6の脚を使っており、ソングラインから0.2差まで迫った末脚は東京向きの適性を見せました。前走の中山記念はコース形態を気にしてという事情もあったのでしょうが、中途半端に位置を取りに行った上直線でやはり詰まり通しで⑧着。距離延長で溜めを作るのはたやすく、捌ける岩田望Jに戻るのは好材料。前が開いて能力全開ならここでも引けは取らないはずで。
[6]⑫ナミュール(横山武)
前走のヴィクトリアマイルは向こう正面での不利もそうですが、雨中で上滑りする馬場も合っていなかった印象です。良馬場で巻き返しは可能と見ますが、一方でこの馬は長くいい脚を使うというよりは一瞬のキレを活かしたいタイプ。故に枠順が成績を左右しかねず、1桁馬番で(3,1,1,0)に対し2桁馬番だと(0,1,0,4)。メイケイエールの暴走で乱ペースが予想される中では脚の使いどころは相当難しいはずです。
[7]⑬レッドモンレーヴ(横山和)
前走の京王杯SCは初めての1400m戦にも対応し、上り32.6の脚を使っての差し切り勝ち。エアグルーヴ一族らしく良績が左回りに集中しておりこの舞台は問題ないのですが、ここ2戦ともゲート内での駐立が怪しく後手を踏んでいる点は気がかりです。この中間はレース間隔が詰まることも考慮して芝コースで最終追いを敢行。坂路が閉鎖されている影響もあるのでしょうが、これまで中2週の臨戦でもウッドで追われていたことを考えると状態維持が目的の調整過程はプラスではなく、テンションの面からも懸念材料です。
[7]⑭シュネルマイスター(ルメール)
前走のマイラーズCは1分31秒台の高速決着を制し1年半ぶりの勝利。元々当時のメンバーで31秒台の勝ちタイムを持っているのはこの馬だけという背景もありましたが、常々指摘されてきた「右回りで手前変えない問題」を乗り切っての勝利は見た目以上の価値があります。この中間は2週連続でウッドでマイネルファンロンに先着しており、何れも最後の1Fが11秒台前半を刻んでおりゴールに向かって加速するこの馬の持ち味が出せる状態になってきました。前半が暴走ペースになってG前で掛かる流れになれば一昨年のNHKマイルCの再現とばかりに間に合う可能性も十分です。
[7]⑮マテンロウオリオン(横山典)
最近は溜めても出してももう一歩パンチを欠く現状。昨年のNHKマイルCでは大外ぶん回しての②着がありますが、このメンバーでそれをやるなら32秒台の脚が必要です。現状では東京向きの上がりを使えるイメージは描きにくく。
[8]⑯カフェファラオ(浜中)
2度の芝参戦は何れも1番枠を引いて⑨⑰着。被されると嫌気を出す面がありこの枠は良いのですが、結局この馬の好走パターンはそこそこの位置からひと脚を使うレースで、過去7勝は何れも4角10番手以内の位置取りでした。内目のポジションを取ると被される懸念があり、一方で外を回せばロスが大きいうえ直線で外に出したい馬は他にも多くいるだけに、シュネルマイスターやセリフォスの後ろから差してくるとなると32秒台の脚を使えるギアを持っていない限り流石に現実的な話ではなくなってしまいます。
[8]⑰ウインカーネリアン(三浦)
逃げなくてもレースは出来るタイプですが過去11連対は全て4角3番手以内でのもので、流石にこのメンバーでこの枠を引いてしまうと2~3番手というポジショニングは望めそうになく。
[8]⑱ソングライン(戸崎)
前走のヴィクトリアマイルはソダシの内を掬っての差し切り。先に抜け出すとソラを使う一方で以前は怖がりな面があり囲まれるとパニックになるため乗り方は相当難しかったのですが、ここに来ての心身の成長を窺わせるレースぶりでした。しかしながらヴィクトリアマイルを勝って中2週で臨むこのローテーションはアーモンドアイ・グランアレグリアでさえも②着が精いっぱい。中間もしっかり負荷をかけられているのは良いですが、さらに強い相手が立ちはだかる舞台でどこまで。
<予想>
◎セリフォス
○シュネルマイスター
▲イルーシヴパンサー
△ソングライン
△ソダシ
△ソウルラッシュ
△ジャックドール
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