■京都11R/菊花賞
東京・新潟で3連勝中。父グレーターロンドンで母父がジャングルポケットですから、いかにも左回りの大箱が合っていそうなタイプ。前走の阿賀野川特別にしてもスタート直後インに入れようとして嫌がる仕草を見せており、鞍上の腕で何とかしてきていますが基本的にごちゃつくのは不向き。3連勝は何れも4角でいったん緩む流れで最後の直線のキレで面倒を見ているという内容で、ロンスパ適性が求められるこの舞台に合っているかと言われると。
[1]②ノーブルスカイ(池添)
2勝は何れも起伏のないラップを流れ込んで勝ったもので、小倉の未勝利戦が芝2000mで2.00.7、前走の札幌戦はいくら重馬場とはいえ62.7-61.2の緩いラップを逃げ切りと強調材料に乏しい現状。時計がかかる決着で浮上する余地はありますが、さすがにG1では重馬場でもそれなりのタイムが求められるだけに。
[2]③アスクカムオンモア(北村友)
稍重以下で(3,0,0,1)と走れていますが、ブリックスアンドモルタル産駒らしく極端なレースが合っているタイプ。前走のtvk賞は7頭立ての6番手から差し切りましたが、最後の3Fまで脚をためて切れ味を活かしたいクチなだけにこの舞台で後ろからとなると流石に間に合わない懸念が。
[2]④ダノンデサイル(横山典)
ダービーではコースロスなくインを立ち回り、早目に動き出す外の各馬を尻目にインが空いたところをキッチリ抜けて完勝。ダービーのレースレベル自体は相当高く、③着のシンエンペラーが愛チャンピオンS③着、⑨着のシックスペンスが毎日王冠を制するなど古馬相手にも伍せるだけの世代レベルがあるとみてよいでしょう。ただ、ダービーにしろその前の京成杯にしろ鞍上が脚の遣いどころを間違えなかったことが勝因として大きく、ここもインベタを運んで最後にひと脚、というレースができるかが鍵になるだけに、展開に左右されやすいタイプでここまで人気してしまうと扱いが難しい、というのが正直なところです。
[3]⑤ハヤテノフクノスケ(岩田望)
速い脚が使えないタイプで、道中から動いていく形が合っているのは長丁場向き。しかしゴールまで12秒台が続いた2勝クラス戦でも勝ち切れないとなると、確実にそれ以上のペースを求められるこの舞台では。
[3]⑥ミスタージーティー(坂井)
昨年のこのレースは丁度折り返し地点を過ぎた8F目から12F目まで5Fにわたって加速が続き、最後の3Fもずっと11秒台が続くタフな流れ。強い逃げ馬がいるでもない限りは菊花賞はこのようなロンスパ適性が求められる舞台で、実際昨年の上位3頭は何れも「5F以上にわたって減速しないラップを勝ち切った経験」がある馬です。特に勝ち馬ドゥレッツァは山吹賞で3F目からゴールまで8Fにわたって減速しないラップを押し切った経験を持っており、メンバー中屈指のロンスパ適性を有していました。
今回のメンバーで上記条件に該当する馬は5頭いますが、ミスタージーティーの若葉Sはその中でも最長の6Fにわたって減速なしのラップでの勝利。ホープフルSでは脚を余して負けたようにエンジンがかかるのに時間は要しますが、スムーズに伸びられれば世代上位と伍せるだけの力はあると見ます。
[4]⑦ビザンチンドリーム(シュタルケ)
ゲートや折り合いに難がある馬で、春先はどうしても大味な競馬しかできませんでした。一方できさらぎ賞を大外から差し切ったように末脚の破壊力も秘めていましたが、前走の神戸新聞杯では折り合って運べたたうえ馬場の良い外目を回ってこれた割に弾けずといった内容。中距離で嵌り待ちという現状で距離延長は?
[4]⑧ウエストナウ(西村淳)
2走前の京都新聞杯は中間でキッチリ緩む区間を作っての②着で、額面通りの評価は難しいところです。かつ跳びの大きなタイプで、前走の神戸新聞杯はソフトな馬場が合わず⑪着といいところなし。明日も雨が残るとなるとパンパンの良馬場は難しく、そうでなくても開催序盤の雨の影響でインが荒れ始めている今の京都は厄介です。
[5]⑨コスモキュランダ(M.デムーロ)
ルメールJやモレイラJがキレを引き出す騎乗に長けているのと対照的に、ノビを活かす戦法を得意とするのがデムーロJです。十八番のまくり戦法が嵌った弥生賞はその象徴ですが、ビッグレッドFの馬は総じて伸びとパワーの方向に能力を伸ばす育成を施されることから、馬の特性と中山コースの形態、騎手の戦法がマッチしたと言えます(丹内Jも「キレよりノビ」という点では合っていますが)。そういう意味では本来取りこぼしていけなかった前走のセントライト記念で、不器用なアーバンシックの差し切りを許してしまったのは成長力に疑問符が付く内容でした。春の実績馬を無理に嫌う必要はないものの、距離が伸びてアーバンシックを逆転できるかと言われると?
[5]⑩メイショウタバル(浜中)
前走の神戸新聞杯は無理に押して出たわけではないながらも、自然とハナに立つ形でそのまま押し切り。鞍上は休養を挟んで精神面もフレッシュだった点を勝因に挙げており、逆に言えば気分よく行った次走で距離延長というのは御しにくい舞台です。ラップ的にも3~4角で一息入れたいタイプで、ロングスパートで押し切れるかは未知数なだけに。
[6]⑪ショウナンラプンタ(鮫島駿)
前走の神戸新聞杯は4角1,2番手がそのまま①②着という流れの中、後方から脚を遣う競馬に徹し③着。但し陣営としては前走を「春の悪癖が解消されているか」を確認する局面ととらえており、長らく指摘されてきた口向きの悪さや折り合いがマシになっていた点を評価。すでに賞金的には菊花賞出走に問題ないレベルだったこともあり、勝ちにいかず結果は二の次のレースだったと見てよいでしょう。
新馬戦で3F目から8F目(残り400m区間)まで加速し続け、最後の2Fもともに11秒台を刻むラップでデビュー勝ち。当時から長めの適性は見せていたものの、前進気勢の強すぎるところが上級戦での活躍を妨げてきました。操縦性が高まった今なら能力的に十分通用してよい舞台ですし、2勝はデビュー戦と2か月半の休み明けのゆきやなぎ賞という経緯から間隔が詰まる点がどうかですが、叩き良化型の調整にシフトチェンジしてきた今の高野厩舎であれば嫌う必要はないでしょう。
[6]⑫シュバルツクーゲル(松山)
前走はそれまでの先行策から一転して後方からのレースで差し切りを決めましたが、Hペースの前崩れ展開に乗じた面は否めません。元々青葉賞の時点で「距離が長い」と指摘されていた馬で、控えるにしろ前をごぼう抜きできるロングスパートのスキルは見受けられないだけに。
[7]⑬アーバンシック(ルメール)
前走のセントライト記念はコスモキュランダの勝ちパターンを粉砕する末脚で快勝。右回りは手前変換のぎこちなさが残りかつ器用さに欠けるだけに、トリッキーな中山コースは鬼門と見られていた中で予想以上のパフォーマンスを見せたのは成長と調教の成果と見てよいでしょう。本質的に使って上向くスワーヴリチャード産駒だけに前走からの上積みも期待でき、中間は格下相手とは言え間隔が詰まる中でも1週前、当週と3頭併せを敢行。輸送さえこなせればここも走れておかしくないでしょう。
[7]⑭メリオーレム(川田→藤岡佑)
勝ったレースはラスト3Fのうち1区間以上で12秒台が入ったときのもので、3F以上11秒台のラップを刻むレースでは取りこぼしていることからも本質的に速い上がりが求められる上級戦での戦いに向いていないと見るべきでしょう。前走について川田Jは馬場が敗因と語っていましたが、もしそうだとすればパンパンの良馬場が望みにくい今回も厳しい戦いになるでしょう。
[7]⑮エコロヴァルツ(岩田康)
3歳シーズンはすべて遠征競馬。前向きな気性のこの馬にとっては試練の連続でしたが、前走のセントライト記念ではピタリと折り合って③着。成長を感じる内容でした。ただ先に被されてしまうと走る気を失くしてしまうようで、好位のインでじっとして最後にもうひと脚、という競馬を身上とする鞍上とこの距離で呼吸が合うかは未知数で。
[8]⑯ヘデントール(戸崎)
青葉賞は日本の芝レースへの適性のなかったオシェアJで引っ掛かってしまい参考外。その他5戦はルメールJが乗って(4,1,0,0)と準パーフェクトの戦績ですが、勝ってきたラップを見るとロンスパというよりは自由自在、ラスト3Fの勝負もできるし中間で緩んだり速くなったりした時でもギアを切り替えられるのが身上のよう。タイプ的にはドゥレッツァに近い感じでしょうか。そうなると優等生騎乗の戸崎Jでは好走パターンに導けない懸念もあり、ルメールJが乗らないのはマイナスと見るべきでしょう。
[8]⑰アドマイヤテラ(武豊)
前走の茶臼山高原特別は後半6Fずっと11秒台が続くラップで勝ち切りましたが、ルメールJが無駄に動かず内が空いたところをキッチリ伸びてきた側面もありました。友道厩舎は1週前にしっかり負荷をかけ直前は軽めにするのが定番ですが、その1週前は骨折明けのストーンズに遅れを取る内容。当のストーンズは土曜の1勝クラス戦で取りこぼしたことからも、間隔が詰まることも含めここではまだ騎手の腕で掲示板を取れるか…という段階でしょう。
[8]⑱アレグロブリランテ(横山和)
速い流れは苦手な馬で、スプリングSのようにスローで流れて前残りを狙うのが精いっぱいな現状。当時の前半が63.1ですが流石に3000mとはいえこれより速くなることは必至なだけに。
<予想>
◎ミスタージーティー
○ショウナンラプンタ
▲アーバンシック
△ダノンデサイル
△コスモキュランダ
△ヘデントール
△アドマイヤテラ
■新潟11R/新潟牝馬ステークス グランスラムアスク
新潟コースは⑤①①①⑤着と好相性。2走前の関越Sは長くいい脚を遣う牡馬に展開が向いたレースで、先行かつ一瞬の脚を活かしたいこの馬にとっては必ずしも流れが向いたと言えない中で掲示板を確保しました。ここは内回りで脚の遣いどころの難易度が下がるうえ、牝馬限定戦ということもあり積極策を仕掛ける同型は見当たらず。まだインが活きている今の新潟なら十分やれるでしょう。
■東京11R/ブラジルカップ ペプチドソレイユ
6戦4勝。敗れた2回は発馬に失敗したものですが、被されずに進めれば走れる馬です。事実2走前の天橋立Sでもスタートで後手を踏みましたが、後方外から被されずにそろそろと位置を上げ、向こう正面からの進出で押し切る勝ち方を見せています。然るにスタートの巧拙が影響しにくい大外枠はプラスで、メイプルリッジより前につけられれば押し切りまで。
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