[1]①アラタ(大野)
今の日本競馬は中距離に最適化され過ぎており、本質的にステイヤー、という馬は勝ち上がることが難しい構造になっています(2歳戦は2000mまでしかレースが無い、新馬戦の早期終了、未勝利戦も3歳9月で終了、etc.)。生産界も番組数や繁殖価値からみな最初からステイヤーを志向した配合はしないため、結果的に今の長距離路線は「中距離でも十分強いけどこっちの方がより強さを発揮できる馬」のためのレースになっています。ゆえに、中距離G3でやっと勝負になるレベルの馬では足りないというのが基本的な考えです(これは他の出走馬にも言えますが)。アラタに関して言えば中距離戦でも位置が後ろになりがちなので距離が延びることは問題ないと思いますが、基本的にはコーナー4つのレースで一瞬の脚を活かすレースがしたいタイプで3角からの長い加速に対応できるかといわれると怪しく。
[2]②ウインエアフォルク(幸)
3勝クラス馬。豪華メンバーの一昨年のJCは別としても、その他2度の重賞挑戦でも1秒以上負けている現状では。
[2]③ブロ-ザホーン(菅原明)
良いときはコース追いでしっかり負荷をかけているのですが、この中間は1週前にウッドが1本あったのみ。併入でまとめているものの最後の1Fは減速しており、やはりまだ本来の動きにはない様子。よっぽどの大雨でも降れば話は別ですが…
[3]④ジャンカズマ(野中)
前走のダイヤモンドSは最後の600mで勝負が決まる東京のレースがそのまま3400mに持ち込まれた結果、前が可愛がられての②着確保でした。ここはメンバーレベルが上がるうえ、動き出しの速い京都外回りでは。
[4]⑤サンライズアース(池添)
前走の阪神大賞典は格上挑戦で勝利。まだ物見をしながら走っており精神面の課題は残るものの、当時も途中でマコトヴェリーキーに交わされてスイッチが入ったとのことで、目標にできる馬が置ければエンジンが入るタイプのようです。今回は前目で残したい馬がそこそこ居るので道中の隊列は決まりそう。あとはそれらを直線で早々に交わした後でどこまで粘れるかが課題で、キレのあるタイプに負ける懸念はあるものの長くいい脚を遣うレーススタイルは京都に合っているはずで。
[4]⑥ヘデントール(レーン)
日本の芝レースへの適性に疑問符のつくオシェアJの乗った青葉賞以外はオール連対。ダイヤモンドSも4角からの進出で長い東京の直線を押し切るなど、自分で勝ちに行ける強みを持っています。ここ2戦が戸崎Jでしっかり折り合っての好走だっただけに、レーンJになってガツンと行ってしまわないかが不安も能力だけなら中心視。
[4]⑦プラダリア(松山)
前走の京都記念は仕掛け遅れの分の⑥着とはいえ、得意時期、得意コースということを考えれば物足りない内容。2走前の香港ⅤでクリスチャンJが積極的なレースをした分前走行きたがる面が出てしまったとのことで、この馬が池添Jでしか勝てていないことがよくわかるエピソードでもあります。一気の距離延長となるここも気性面がネックとなりそうで。
[5]⑧ショウナンラプンタ(武豊)
前走の阪神大賞典は明らかに脚を測ったレースで④着。それでもレース上りより遅い脚しか使えなかった点を考えると、元々の末脚に限界があるのかこの距離が向いていないのかのいずれかと考えられます。前者であれば、折り合い面から控える競馬に徹してきた鮫島駿Jの戦法に無理があったという話でこの手替わりがプラスに働く(=武豊J騎乗で位置が取れれば届く)可能性がありますが、後者であればそもそも誰が乗っても…という結末。菊花賞の走りからは後者のような雰囲気も感じなくはなく、また本来は左回りの方がパフォーマンスが良いだけに悩みどころですが、この鞍上でこの人気というのは押さえなければいけません。
[5]⑨シュバリエローズ(北村友)
2走前のステイヤーズSで新境地。前走の日経賞は柔らかい馬場にのめってしまっての大敗で度外視できるレースでしたが、一瞬のキレというよりは前付けしてしぶとさを活かしたいタイプで京都コースは向いています。折り合いにも進境がみられる今なら中距離戦でくすぶっていた鬱憤を晴らす走りも。
[6]⑩リミットバスター(岩田康)
前走で2勝クラスを勝ったばかり。杉山晴師はやけに強気ですが、もまれ弱さを抱え少頭数戦でないと好走が難しく、インにこだわる鞍上との相性は最悪なはず。
[6]⑪マイネルエンペラー(丹内)
マイネテレジアには一貫してステイゴールドおよびその仔がつけられており、ステイゴールド産駒の兄マイネルファンロンは22年のこのレースで⑥着、ゴールドシップ産駒の全姉ユーバーレーベンはオークス馬と長いところの適性を持っている母系と言えます。マイネルエンペラーにしても今まで使われてなかっただけで、血統的にはここでやれて何ら問題はありません。ただ丹内Jは関西圏では別人のように大人しく、元々騎乗数が少ないのもありますが京都芝では15年前に1回勝ったのみで通算は(1,3,2,61)となかなか厳しい数字。20-21年に放映された大河ドラマ「麒麟がくる」は本能寺の変で敗走する途中で討ち取られたとされた光秀が丹波の山奥で生きていた、という結末ですが、函館出身のキリンさんは果たして勝って帰ることができるのか。
[7]⑫ワープスピード(横山和)
昨春の天皇賞は条件線上りのスマートファントムが差して④着するような消耗戦を差して⑤着。とはいえ末脚はそのスマートファントムや先行した上位勢にも劣るもので、ステイヤーとしての資質が高まっているというより年々スピードが衰えているといった方が正しいでしょう。前走の阪神大賞典は前に出した分度外視できるレースとは言え、メンバーレベルも上がるここで前進は望めず。
[7]⑬ジャスティンパレス(鮫島駿)
昨年はドバイ遠征から宝塚記念へ直行するローテでこのレースをパス。それも含めて一昨年にここを勝って以降はずっと中距離戦を使われ今一歩のレースが続いてきましたが、やっとこの馬を中心視できる条件になったと言えます。何度も言及していますが、この馬はパラメータを体力に振られたタイプで長距離戦や超絶ハイペース戦(一昨年秋の天皇賞)など他の馬が体力を削がれる局面で力を発揮するタイプ。中距離戦ではキレ勝負で負けてしまうところも、消耗戦必至の長距離戦では見直さなければいけません。
[8]⑭ビザンチンドリーム(シュタルケ)
前走のレッドシーターフハンデは新たな一面を見せたものの、ステイフーリッシュが勝つなど代々このレースは日本のG2~G3級の馬が通用し得るレベル。海外のステイヤーレースは欧州の重い芝が中心で、日本に近い時計の出るサウジの長距離戦となるとどうしても層が薄くなってしまいます。昨年の菊花賞も後方有利展開に乗じての⑤着では嵌った感が強く、ペースを引っ張る先行馬が見当たらない今回は展開面も厳しく。
[8]⑮ハヤテノフクノスケ(岩田望)
青森県産、血統的背景からも人気が先行しがちですが、昨年の菊花賞では後方から運ぶも2秒以上離されての大敗。条件戦のペースでは何とかなってもここでは。
<予想>
◎ジャスティンパレス
○サンライズアース
▲ヘデントール
△ショウナンラプンタ
△シュヴァリエローズ
△マイネルエンペラー
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