■東京11R
[1]①ゲンパチフォルツァ(木幡巧)
切れる脚がないため前目から長く足を使うレースが理想で、現に端午Sでは後方勢の台頭の中1.0差の4着に敗れましたが前走の青竜Sでは先行策で押し切り。同条件で5着だったヒヤシンスSが48.3-48.5のイーブンペースだったのに対し47.3-48.8と1.5秒前傾の流れを2番手で勝ち切った内容は評価できるものでした。行きたい馬もちらほらいるメンバー構成、好位をキープできればここもチャンスありと見ます。
[1]②スマッシャー(坂井)
流れの向いた前走の端午Sより、2走前の1勝クラス戦を評価したいです。上りのかかるレースで前に行ったもの勝ちの展開をキッチリ差し込んできました。そのレースで同じような位置にいたジョディ―ズマロンもその後1勝クラスを勝ち上がりましたがその差1.0秒。結果的には自己条件では力が違ったという内容でした。
前走もルーチェドーロとの0.4差は4角での位置の差。今回この枠なので4角から進出するには立ち回りが難しいところですが、追走に苦労するところがあり距離延長は歓迎のクチ。ここもこなす可能性はあるでしょう。
[2]③ティアップリオン(内田博)
前走は初の東京戦で上り最速の35.9の脚を使い4着に入りましたが、外を回す他馬をよそに内に進路を取り、伸び伸び脚を遣えた中でむしろ突き抜けられなかったのは不満と見ています。もともとダートコースは多くの馬が通ることで走り易くなる内側が有利なのが一般的で、内を利してもこの程度、ということであれば相手強化で大望はしにくいというのが正直なところです。
[2]④ラペルーズ(ルメール)
前走の敗因について陣営は「スタートで挟まれてやる気を失くした」と語っており、確かに芝での新馬戦を見てもわかるようにピンかパーという気性の持ち主であることは間違いなさそうです。ただ一方で、前走最後までファイトバックしなかったのはルメールJがあえて外に進路を取ったことも影響していると考えます。
左は前走の青竜S、右は2走前のヒヤシンスSでの直線入り口のパトロールです。似たような陣形で内に進路を取ることもできたはずですが、ルメールJは勝ったヒヤシンスSの時のようには内に入れず外を選択。馬がすでにレースをやめており無理しなかったという見方もできますが、それまでの2連勝がいずれも馬群の中を突いてのものであったことから、あえて外を回して反応がどうなるかを見る狙いがあったのではないかと見ています。
結果的に垂れた馬を交わす程度の脚しか遣えず大敗しましたが、これで内を回した方が良い馬だということが再確認できたと思います。ヒヤシンスSは上り35.0の脚で差し切ったように能力は十分。東京のダート1600mの3歳戦で良馬場で上り35.0以下だったのはこれを含み3例で、他の2つは20年ヒヤシンスSのタガノビューティー(2着)と15年青竜Sのノンコノユメ(1着)。過去の2例よりも前半のタイムが早いことを思えば、最後に脚を使えるたは高い潜在能力の現われでしょう。外枠を引いたらどうしようと思ってましたが、この枠であればスタートを無難にさえ決めれば中心視。
[3]⑤イグナイター(武藤雅)
早々にダートで勝ち上がった馬が出番を求めて南関に移籍するのは珍しいことではなく、そこで結果を残せば中央重賞でも優先的に出られる(ダート重賞やクラシックトライアルなどの特別指定交流競走)ことから活用が進んでいる一面もあります。この馬もデビュー戦(昨年11月)では1.1秒差の圧勝劇を見せましたが、当時走った馬は最近になってようやく未勝利を勝ち上がったという馬が多数。ここは直近でOPや1勝クラスで勝ち負けしている馬の集まりであり、捲って返り討ちに遭った1勝クラスの内容を見ても流石にここでは…
[3]⑥クリーンスレイト(田辺)
前走は45.7-50.7と前後半で5秒もの前傾戦で流れが向いたことは確かですが、唯一の36秒台を使って勝ったことからも能力の高さは疑いようがないでしょう。実際、ユニコーンS自体も重馬場であれば2019年のように4F-4Fが4秒近い前傾になることもあり、それなりに前に行きたい馬が揃っている今回もその再現は考え得るシナリオと見ています。流石に前回のように前の馬がきれいに皆止まってくれるレースにはならないでしょうが、この枠からでも立ち回りをクリアできれば面白い存在です。
[4]⑦ケイアイロベージ(三浦)
3戦すべて1800m戦で、レースの上りが37秒台では取りこぼし38秒台以上のレースで2連勝となると、ここでの適性を見出すのは難しいです。
[4]⑧サンライズウルス(藤井)
3戦すべて1400m以下で(2,1,0,0)。本来、距離経験のない馬はここでは不利と考えておりますが、この馬の場合はスピードで押し切るのでなく追い込みで結果を残しており、特に前走の1勝クラス戦が秀逸でした。
なかなか進路を作れず残り400m地点(左)では10馬身はあろうかという差をあっという間に差し切りましたが、青○が2着のケイツーマルカ。他の馬も脚を使っている中でこの馬だけが違う脚だったというわけで、手元の計測ではおそらく最後の2Fは22秒台後半~23秒前後。連続で11秒台を刻んでいたと推察されます。
2走前は内に入り進路を探しながらの直線で、脚を余しての2着。前走のパフォーマンスからも今回はしっかり外に出すレースをしてくるでしょう。このメンバーで外を回してどこまで、というのはありますがポテンシャルは相当と見ています。
[5]⑨ブラックアーメット(津村)
ティアップリオンの項で触れた前走の青竜Sで外を回して3着。キレ不足の感はありますが前走のように中団から運んで好走できたのは収穫で、他の馬を見ながら進める枠でもあり自分のレースができれば自在性で残り目も。
[5]⑩プロバーティオ(M.デムーロ)
行き切ってどこまで、というレースしかしておらず、一息入れてからもう一つ脚が使えないタイプでここで残すのは難しいと見ます。
[6]⑪ヴィゴーレ(丸山)
初ダートに加え距離1800m以上しか経験がなく、詰めが甘いタイプというわけでもないので舞台変わりで特に前進を見込める要素には乏しい印象です。
[6]⑫ローウェル(団野)
前走で逃げなくても勝てたことが大きく、ハナを譲って脚を使う勝ち方は今後の幅が広がったと言えるでしょう。関西ではダートの1600mの番組がないため適性は未知数ですが、上にはラウダシオン、アンブロジオとマイルで実績のある馬が並ぶ血統。恐らくメンバー中最重量(540kg近く?)で出てくるであろうここでは押さえが必要かと。
[7]⑬ピンクカメハメハ(北村宏)
サンバサウジダービーが行われたキング・アブドゥルアジーズ競馬場はオールウェザーで純粋なダートではなく、この結果を以て日本のダートで走れるとは結論付け難いというのが正直なところです。そもそも芝でももう一つという戦績であり、このメンバーで伍せるかと言われると…
[7]⑭カレンロマチェンコ(松若)
前傾戦をスピードで押し切る競馬しか経験しておらず、ここで残すにはもう一足使えないと厳しいと見ます。
[8]⑮サヴァ(石川)
前目で粘り込む競馬でしか勝てておらず、勝ち鞍も1400mのみ。ここでの通用可能性を見出す要素に乏しいです。
[8]⑯ルーチェドーロ(戸崎)
前走が恵まれたというのもそうですが、関東馬なのにわざわざ3戦連続して関西圏に遠征して1400mを使われ続けたローテからも陣営もベストは1400m以下と判断していると見られます。ここは試金石という意味合いが強く、仮に前走のように前が止まる展開になったとしてもこの馬以上に切れる馬はいっぱいいるわけで…
<予想>
◎ラペルーズ
○サンライズウルス
▲クリーンスレイト
△スマッシャー
△ゲンパチフォルツァ
△ローウェル
△ブラックアーメット
能力を信じラペルーズを抜擢しましたが、東京ダートは朝の時点で不良にまで悪化。昼過ぎからは晴天+夏日の暖かさで回復が見込めますが、雨が残れば1400m寄りの適性が求められサンライズウルスの逆転まであると見ます。
■阪神11R
[1]①シャムロックヒル(藤懸)
全3勝は前半5Fが62秒前後の2000m戦を逃げ切りor前目で押し切ったもの。牝馬限定戦で2000mは長距離に区分されるレベルで、基本的に牝馬はこれより短いところを走ってきている馬が殆どなため道中はどんなに緩んでも61秒前後程度にはなりそうで、準OPのペースでも残せていない現状では手は出しにくく。
[1]②アブレイズ(浜中)
ここ2戦はしっかり脚を使えており、福島牝馬Sはスローで差し届かずでしたがキッチリポジションを取りに行ったメイSは快勝。2桁着順に敗れたレースはG1、不適距離、馬体絞れず、不良馬場、と敗因がはっきりしています。遠征がない分馬体増が心配なのとこの枠で包まれるようなことがなければとは思いますが、ここに入れば力量上位なのは間違いありません。
[2]③ホウオウエミーズ(丸田)
芝1800mで3勝していますが、いずれも1分50秒台の決着。同様に時計のかかった紫苑Sで0.8差11着だったことを思えばここで強調するのは難しく、初の関西輸送も気がかりで。
[2]④カセドラルベル(和田竜)
前走の都大路Sは4角通過順がそのまま着順になるような流れで。4番手からの4着に価値は見出せません。しかしながらこの馬は前傾戦を先行して残すレースを得意としており、昨夏に2連勝したのはいずれも芝2000m戦で「58.4-60.5」「58.4-59.5」という流れを番手先行から押し切っています。中間は2週連続で坂路で併せて遅れていますが、16秒台から入ってしまい11秒台というのは丁度2連勝した昨夏と同じ水準の動き。負荷を強めて継続して乗れていることからも体調は良さそうで、自分のレースができればここなら十分狙いは立つと見ます。
[3]⑤シャドウディーヴァ(福永)
2か月以上の間隔を空けて使われたときは(0,2,2,2)と大崩れなく走れています。但し過去3度の阪神遠征では(0,0,0,3)であるうえ、本来はヴィクトリアMを使いたかったところ骨瘤で回避して不得手の右回りに参戦という臨戦過程。夏場のレースも経験がなく、比較的涼しい時期に好走が集中している点からもここでは不安要素が多いと見ています。
[3]⑥フィリアプーラ(菊沢)
出していく競馬で進境を見せた前走の福島牝馬Sでしたが、先行馬にとって格好のペースになったことも大きく、長らく差しに回っていて結果を残せなかったことを考えれば前後半のペースがが入れ替わるであろうこの舞台では。
[4]⑦レッドベルディエス(幸)
東京TCゆかりのレッドファンタジアの一族。母自身がそうであったようにスピードと鋭いキレを身上としており、デイリー杯を後方一気で差し切ったレッドベルジュールを弟に持ちます。そのためか、中途半端に出すレースでは勝ちきれない一方でしっかり溜めれば(届くかは別として)切れる脚は使えます。
一昨年の紫苑Sが好内容で、先行勢の決着の中道中後方から徐々にポジションを上げ0.3差の4着。フェアリーポルカやカレンブーケドールといった面々と接戦しており、世代の中でも決して見劣らない能力を持っています。ここも中途半端な位置取りでは難しいですが、前傾戦で最後に内前の先行勢の脚が止まるような展開となれば、直線で一刀両断というシーンも十分に狙えるでしょう。
[4]⑧ソフトフルート(横山和)
昨秋の夕月特別で逃げ馬-2番手の決着になりそうなところを中団からぶっこ抜いて0.7差の圧勝。返す刀で秋華賞3着、エリザベス女王杯6着と健闘を見せました。その後のグレイトフルSは終始荒れた内を走らされ見せ場なく5着、2走前の京橋Sはデビュー以来最少タイの464kg(-12)と馬体を減らして5着と足踏みしましたが、前走では馬体を戻して快勝。マイナス体重で出てきたときは(0,0,0,4)であることからも馬体は増えて出てくることが最低条件ですが、G1での健闘ぶりを考えればここでは力量上位で、押さえは必要でしょう。
[5]⑨イズジョーノキセキ(西村淳)
前走2着した京橋Sからはソフトフルート、ジェットモーションと2頭が次走で即勝ち上がり。レベルの低いレースでなかったことは確かですが、4角まで引っ張り通しで内で巧みに立ち回り直線では1頭分のスペースを抜けてきたという岩田康Jらしい騎乗のおかげでもありました。本来、比較的ペースが恵まれたここ2戦のいずれかは決めておきたかったはずで、多頭数でレース運びの難易度が上がる今回は立ち回りだけでどうこう言える舞台ではないだろうと見ています。
[5]⑩キングスタイル(高倉)
スローのまくりでしか結果を残せておらず、本来スローで前が止まるというケース自体下級条件でしか起こりえないもので、流石にOPのここでは。
[6]⑪パッシングスルー(荻野極)
一昨年の紫苑S以降パフォーマンスが上げられておらず、唯一掲示板に載ったのは交流重賞のみ。前から行って粘れる脚はなく、かといって後ろから行ってもバテた馬を交わす程度には脚は使えますが、他にも切れ者が揃ったこの舞台ではどうにも中途半端。重賞勝っていて斤量を背負わされるのもあり、復調を待ってからでも。
[6]⑫アンドラステ(岩田望)
間隔を空けてもしっかり走れるのは流石中内田厩舎仕上げ。半年以上の休み明けでも(2,0,0,0)としており、1週前には栗東CWで49秒台をマークし仕上げに不安はないでしょう。揉まれるとカッカするところがありやはり理想は東京や新潟など直線の長いワンターンのコースでしたが、この枠ならスムーズに運べそうで直線の短さを位置取りでカバーできれば十分届くでしょう。
[7]⑬クラヴェル(横山典)
キレ負けするタイプで、前走のシドニーTも前半62秒台で運んでおきながら残せなかったあたりは牝馬同士のレースにおいては斤量や展開面で恵まれないと厳しいでしょう。ですがここは斤量は51kg、前傾戦が見込まれここ数戦とは明らかに流れが違うレースになる点はプラスで、この枠ですが位置を取れれば残せる目はあると見ます。
[7]⑭サンクテュエール(川田)
フィリアプーラの項でも触れましたが、福島牝馬Sは展開が向いてのものでこの馬のパフォーマンスが戻ったとは評価できないレースでした。シンザン記念を勝った後のパフォーマンスは調子落ちもありますが、それまで完成度の高さでリードしていたところが成長力で逆転された現状と見るのが今のところ妥当と考えます。
[8]⑮ミスニューヨーク(加藤)
上りのかかるレースでの好走が多く、これまではクラシック戦線や極度の後傾戦であと一歩という戦績でしたが、今回は牝馬限定の2000m戦で最後に坂を上るレイアウトと流れが向きそうです。重馬場で(2,0,0,0)につき雨が残ればなおよく、外を回し過ぎると絶対的な上りの速さが足りず届きませんが立ち回り一つで争覇圏まであると見ます。
[8]⑯アッシェンプッテル(太宰)
太宰Jは昨年9月から芝で109連敗中。この馬自身は軽いダートのほうが良いので芝でもやれそうではありますが、ダートの実績でここで54kgを背負うのでは流石にかわいそうです。
<予想>
◎カセドラルベル
○アンドラステ
▲ミスニューヨーク
△ソフトフルート
△アブレイズ
△レッドベルディエス
△クラヴェル
例年と違い阪神は今週が開幕週。内が活きていることを考えればポジションを取れる馬が有利と考えカセドラルベルを上位に取りました。