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当ブログは、広尾サラブレッド倶楽部株式会社様のご厚意により、同倶楽部の所有する競走馬の写真及びWebサイト記載情報の転載許可を頂いております。

2023年3月26日日曜日

【3/26(日)予想】高松宮記念の全頭評価とマーチSの注目馬

■中京11R/高松宮記念

[1]①トゥラヴェスーラ(丹内)

一昨年、昨年と④着が続いていますが、一昨年はうまく馬群を縫って大健闘の④着だったのに対し昨年はゴール前で鼻出血を発症し失速しての④着。あれが無ければ頭か、ロータスランドの際どい②着くらいまではあったでしょう。元々調教中の鼻出血は何度か発症しており、結果として前哨戦を使って中3週だったことも一因として考えられ、今回のぶっつけローテはその点も考慮しての作戦と思われます。

普通に考えれば8歳で従前と同じかそれ以上のパフォーマンスを望むのは酷で、昨年も阪急杯②着以外は複勝圏内に顔を出せず。しかしながら近3戦は苦手の右回りだったうえ何れも0.3差以内に纏めており着順程負けてはいません。加えて中間の動きも良く、永島Jが乗って時計が出やすかったとはいえ2週前には坂路で49.5-12.8の自己ベストをマーク。1週前も丹内Jが駆けつけ51.9-12.0をやれており、一昨年の淀短距離S・高松宮記念の時と同様に「2週前速め→1週前鞍上騎乗→直前軽め」の好走時ルーティーンを踏めているのも好感です。

あとは中京コースで5年勝ち星のない丹内Jがどう捌いてくれるかが課題で、枠が外であればあるほどその難易度は上がるだけに入った枠によって軽重を決めたいと考えておりましたがまさかの最内枠。こうなれば無難にスタートを決めラチ沿いを走ってくるだけでこの馬のレースは出来るだけに狙わないわけにはいかなくなりました。現状の予報では一日中雨が続く見込みでもあり、純粋なスピード比べで無くなる分この馬にもチャンスは十分あるでしょう。

[1]②ウォーターナビレラ(吉田隼)

オークス・秋華賞は距離、クイーンSは暑さでカリカリしてしまったことが敗因でしたが、その疲れを取ったはずの前走の京都牝馬Sは直線で全く反応できず⑭着。+18kgが影響した分もあるのでしょうが、そうだとすればこの中間あまり強い負荷をかけられていないのと辻褄が合いません。今回最終も4Fの単走が精いっぱいで、気持ちの面の難しさが出てきている現状では手は出しにくく。

[2]③キルロード(和田竜)

前走は久々の大敗も落鉄があり参考外。芝短距離に転向した5歳シーズン以降崩れたのは前走と出遅れた10走前のセプテンバーSのみで、切れる脚はない分ペース不問で前付けできるダッシュ力があり常に小差で好走中。自分で勝ちに行けないタイプであり決着時計によって着が上下しますが、好枠を引いたうえ今年も天気に恵まれうる期待は大きく押さえは必要です。

[2]④ダディーズビビッド(秋山真)

前走の阪急杯はアグリを追い詰めての②着。調教時に加減して走る癖があり、爪の不安に由来する可能性もあったため手を出すかは難しい臨戦でしたが、蓋を開ければレースでは真面目に走ってこれました。一方その前走は距離短縮で折り合いがマシだったことも手伝い、乗りなれた浜中Jで上手く運べた分もありました。かといって1200mまで短くしてしまうと今度は位置取りを落としてしまい詰めが甘くなるのが難点で、現に1200mではOPでも勝ち切れず。ベストは左回りの1400mで、あとはテン乗りの秋山真Jがどううまく運ぶかでしょう。

[3]⑤メイケイエール(池添)

既に重賞を6勝しているように実力は誰もが認めるところで、ブレーキが利かないのは相変わらずですがアクセルを我慢するメンタルは育ってきました。一方でその類まれな素質ゆえ反動も大きく、昨年は高松宮記念・スプリンターズステークスと1番人気に推されましたがいずれも人気を裏切る形に。結果としては前哨戦を使って中2週の反動があったと見るべきでしょう。その反省もあってか今回はぶっつけローテで、中間はCWで47.0-11.7という文字通り抑えきれない動きを披露。重馬場は小倉2歳Sで経験済で血統的にもマイナスになる要素は無く、昨年のセントウルSを圧勝したパフォーマンスからも万全の態勢で走れば勝ち負けでしょうが、あとは内枠有利の現状にあっていかにしていいポジションで我慢をさせられるか。中間跨った池添Jが「ビルドアップしてさらに押さえにくくなった」と語る通り、昨秋以降の馬体の成長は著しいだけにその点が懸念です。

[3]⑥ナランフレグ(丸田)

ウインキートスのエリザベス女王杯でも少し触れましたが、遠征競馬の経験値が少なく良績が少ない宗像厩舎にあって遠征でG1を制したこの馬の実力は相当です。ただ昨年の勝利自体は(悔しいので何度も言いますが)トゥラヴェスーラが鼻血を出していなければあり得なかったもので、あのコースが開いたことが一番の勝因でした。得意の左回りに戻る点は見直せますが、ここ4戦は2か月以上の間隔を空けて使われていただけに久々の中2週で昨年同様に走れるかどうかも未知数です。

[4]⑦ヴェントヴォーチェ(西村淳)

前走のオーシャンSは1.07.4という速い時計の決着になったこともありこの馬に展開が向きました。ただ連戦で連続好走ができないタイプにつき、あの圧勝から中2週でこことなるとこの馬の凡走パターンになってしまいます。中間も状態維持程度の調整に留まっており、フレッシュな状態とは言い難く。

[4]⑧ロータスランド(岩田康)

前走の京都牝馬Sでは大外枠から最内まで持っていき、最後方からのイン突きで③着を確保。ラチ沿いにスペースができる幸運もありましたが、そもそもロスを覚悟で無理やり最内までもっていった上ウインシャーロットが居なければ突き抜けるまであった手ごたえにつき、まだまだ衰えは感じられません。元々上がりの掛かったほうが良いタイプでこれまでのキャリアで4角最後方というのは初めてで、そこから阪神内回りで32秒台の脚を使えたのも収穫でした。昨年の②着は上がりの掛かった展開に恵まれたかと思いましたが、前走を見る限りそれなりの上がり勝負にも対応できておりここに来ての進境を感じます。流石にスプリント戦でヤケクソまくりはしないでしょうから、まともに回ってこれれば今年もチャンスありでしょう。

[5]⑨ディヴィナシオン(松本)

前走のオーシャンSは近走課題だったスタートも無難に決め、最内枠から中団のインを取れたことも良かったです。昨夏に小倉で1.07.1で勝った実績もあり、時計勝負は元々対応できるだけの力を持っていますが今回は真逆のコンディションが予想されるだけに…。

[5]⑩オパールシャルム(武藤)

7走前の福島テレビOPはスプリント戦にして前半が34.6という楽なペースで、上りも34.8とそこまで早くなかったペースに助けられました。ただ明日は時計の掛かる想定につき当時の分だけ走れれば足りる計算であるうえ、近5走で芝1200mで逃げた経験を持つのはこの馬だけ。行き切れれば恵まれるポジションは取れるだけに、このメンバーでは切るのは危険かと。

[6]⑪ピクシーナイト(戸崎)

阪急杯を叩く予定でしたが中間に歩様の乱れがあり回避。調教の動きは悪くないだけに実績は認めますが、気になるのは休養のきっかけとなった香港スプリントの止め方。前を走る故障馬を避けんとして無理な体勢になったことで怪我をしてしまったもので、前に馬を置いたときのメンタル面が気がかりです。逃げてしまうのも手ですが戸崎Jはそのような乗り方を好まないタイプでもあり、先ずは無事に回ってくるのが先決でしょう。

[6]⑫アグリ(横山和)

前走の阪急杯はメンバーに恵まれた部分もあったとはいえ、その前の六甲アイランドSに続いて前半33秒台の流れで前につけられ勝てたのは大きかったです。1400mなら時計勝負で押し切れますが、スプリントだと忙しくなるため良馬場でも適度に時計のかかるコンディションが理想。唯一の1200m戦経験が札幌の1勝クラス戦で1.10.4(稍重)④着という点でこのクラスで通用するかは未知数ですが、位置さえ取れればやれてもおかしくは無いはずです。

[7]⑬ファストフォース(団野)

中京1200mコースは4回走って(0,2,0,2)ですが、好走した2回は時計の速いレース(シルクロードS1.07.3、セントウルS1.06.2)で着外の2回は時計の遅いレース(高松宮記念1.08.6、長篠S1.08.8)でありました。元々速い決着で他の馬がついていけないような時に体力を活かして生き残るタイプで、今回は控える競馬を示唆している点からも持ち味を発揮するレースにはなりそうになく時計の掛かる決着が見込まれる今年も良くて見せ場まででしょうか。

[7]⑭トウシンマカオ(鮫島駿)

この馬はとにかく枠順に泣かされており、それでも3走前2走前は大外枠から勝利。前走のシルクロードSももう少し内目を引けていればもっと上の着順はあったはずです。ビッグアーサー産駒という和製スプリンター血統らしく現代のスピード競馬にあっては最もパフォーマンスが高いのは1400m戦で、ある程度の時計がかかる中京1200m戦は本質的に向いていると言えます。掲示板を外した2回は何れもマイル戦で、ファルコンSの⑤着も直線で前が壁になり内有利馬場で止む無く外に出して間に合わなかった分の敗戦でした。枠がもう少しまともなら重く扱いたかったところですが、トゥラヴェスーラを2年連続で④着に導いた鮫島駿Jが駆るとあっては枠不利をリカバリーでき得るだけに。

[7]⑮ナムラクレア(浜中)

前走のシルクロードSでは渾身の末脚を繰り出し快勝。中京芝1200m戦で上り33秒を切って勝ったのは過去3例しかなく(メイケイエール、レッドファルクス、デルマカトリーナ)、時計のかかるコンディションを考えれば相当な強さと言ってよいでしょう。右ムチ一発で左に飛んでいく等直線でのふらつき具合を見ればちょっと消耗が心配になるレベルでしたが、2か月の間隔を取って立て直され中間もハードに追われ体調面は問題なし。ただ、直線は併せ馬の形に持ち込みたいタイプだけにやはりもう少し内目の枠が欲しかったというのが正直なところで、これまでのキャリアで11戦中10戦が1桁馬番を引けていたことを考えてもこの枠からどう乗りこなすかが課題です。

[8]⑯グレナディアガーズ(岩田望)

重馬場だった昨年のこのレースで⑬着大敗。スプリントが向いていないわけではないと思いますが、やはりソウルスターリングなどと同様にフランケル産駒らしく重馬場がからっきしというタイプと見られます。今年も雨予報につき手は出しにくく。

[8]⑰ボンボヤージ(川須)

3走前の北九州記念は最内枠を引けたことが最大の勝因でした。1列後ろで前の馬が垂れるのを冷静に捌き、皆が外を回す中でがら空きになった内を伸び伸びと走れた分最後まで持ちこたえられました。5勝の内訳が小倉3勝・京都2勝という典型的な平坦巧者で、急坂でタフさも必要なこの舞台でまして外枠となるとかなり厳しいです。

[8]⑱ウインマーベル(松山)

怖がりな面をブリンカーで矯正している現状で、外枠を引いたり道中揉まれない位置取りが理想の馬です。重馬場での勝ち星もあるうえ中京で2勝しているようにコースは問題なく大外枠も歓迎のクチですが、内が活きているコンディションとなるとどこまで迫れるかでしょう。

<予想>
◎トゥラヴェスーラ
○キルロード
▲ロータスランド
△トウシンマカオ
△メイケイエール
△アグリ
△ナムラクレア
△ウインマーベル
△ナランフレグ
△ダディーズビビッド
△オパールシャルム


■中山11R/マーチS キタノヴィジョン

稍重以下では①①④③③⑦と着をまとめており、唯一掲示板を外した前走の仁川Sも直線で内にこだわり最後の100m少ししか脚を使えず敗れたもので、メイショウフンジンから0.4差と良く差を詰めてきました。先行勢の多いメンバー構成で流れが速くなることは必至で、脚質的にも嵌る可能性は大きく複穴妙味は十分です。

2023年3月25日土曜日

【3/25(土)予想】毎日杯の注目馬

■阪神11R/毎日杯 マイネルメモリー

未勝利脱出に6戦を要しましたが昇級後も崩れておらず、相手なりに走れるタイプです。前走のゆきやなぎ賞を除いてすべてのレースで上り3位以内の末脚を繰り出せていましたが、その前走はヨーイドンの脚比べになり上位4頭には置かれる形に。特に3歳春までのクラシックディスタンス戦は距離を気にしてか必要以上にスローになる傾向が強く、当時の①②④着がディープインパクトを祖父に持つ馬だったことからも適性の差が出た負け方でした。今回は実績豊富な阪神のワンターンに戻るうえ、初勝利は稍重馬場で雨が残るコンディションで適度に時計がかかるのも好材料。2走前がモズメイメイの0.2差と考えればここでも大きく差はなく、舐められすぎのこのオッズならば。

2023年3月19日日曜日

【3/19(日)予想】スプリングS・阪神大賞典の注目馬とねらい目レース(名古屋城S)

■中山11R/フジテレビ賞スプリングS アヴェッリーノ

先週のアネモネSでも似たような状況でしたが、今回のメンバーのうち前走で4角5番手以内だった馬が16頭中実に13頭もおり、非該当の3頭のうちドンデンガエシもゲートさえ決まれば前に行きたいクチ。雨の残るコンディションの割には流れは速くなると考えられます。

残る2頭がセブンマジシャンとアヴェッリーノなのですが、セブンマジシャンは脚質的に大外を回らざるを得ず、前走小頭数の京成杯でも不利を受けて③着に終わったように外的要因に左右されてしまいます。それならば、ダートで勝ち上がり荒れた内を通ることに抵抗のないアヴェッリーノの一発に期待したいです。2走前の中山戦では好位の内から運び、4角で前が詰まる場面がありながらも伸び直して③着。前走の東京戦で初勝利を挙げましたが、終始内に刺さるところを矯正しながら追われており右回りの方が走りがスムーズなタイプです。デビュー3戦目まで芝を使われいずれも2秒以上負けている点は気がかりですが、使われながらも体は増えておりこの中間は3週にわたりコースで併せ馬を消化するなど意欲的。他の馬が内を空けて進んだところを構わずにイン突きという構図が理想です。


■阪神11R/阪神大賞典 サンレイポケット

人気は上位3頭に集中していますが、ボルドグフーシュ、ジャスティンパレス、ディープボンドに共通するのは「前走で有馬記念を使った」点です。

クラシックに限らず、最近のG1レースは1か月前のトライアルやステップレースを使わず直行する馬が増えており、実際そういった馬が多く勝ち星をさらっています。背景には日本の競走馬のレベルアップにより大レースの消耗度合いが大きくなっており、余裕を持ったローテで万全の体調で向かうことがベターとなっている現状があります。裏を返せば、そうしたレースを使った後の回復には昔よりも時間がかかるとも言え、実際昨年の有馬記念を戦った馬のうち今年既に走った5頭は何れも掲示板を外しています(AJCC⑦着、京都記念⑥⑩止着、金鯱賞⑥着)。4歳馬2頭は何れも神戸新聞杯→菊花賞→有馬記念というローテ、ディープボンドも凱旋門賞からの帰国初戦であったことを踏まえると、2か月半休んだとはいえどこまで体調を戻せているかは慎重になって見た方が良さそうです。

サンレイポケットは日経新春杯以来2か月ぶりとなりますが、元々上がりの掛かったほうが良いタイプで前走のレース上り35.4というのはこの馬にとっては速すぎました。このレースは年によって時計のかかり方が大きく違うのですが、稍重で行われた4年前は上りが38.0も掛かりました。当時はロードヴァンドールが1週目のゴール前で動いたこともあり最後に時計がかかったわけですが、今年も出来れば前に行きたいという馬は数頭おり、譲り合いのスローは考えられないでしょう。平均以上で流れれば上がりの掛かる展開を利しての台頭も可能と見ます。


■中京11R/名古屋城S ロードリバーサル

左回りに良績が集中していますが本来は被されたくないクチで、前走のアルデバランSにしても6番枠からのスタートで外に出すタイミングを伺いながらの運びを強いられました。当時勝ったメイショウフンジンは仁川Sを連勝、ダイオライト記念でも③着するなど完全に軌道に乗っており、そこから0.3差の⑤着なら評価できます。今回はさらに立ち回りの楽な外枠を引け、この中間もウッドで51.2-11.7を単走でマークしており除外の影響を感じさせない好調ぶり。噛み合う可能性は小さくないと見ます。


<おわりに>

厩務員労組によるストライキは本日解除され、通常の運営体制に戻っております。しかしながら、これは調教師会から何か新しい回答があったわけではなく、栗東の労組が金曜段階で離脱したこと、またスト決行中にも関わらず実際の現場では組合員の多くが競馬開催業務に従事しており、その実効性が低下したことが最大の理由でありました。

賃金交渉自体は今後も継続され、その行方次第では来週改めてストライキが決行される可能性も否定はできませんが、今回の一件でストライキの意味がないことが露見してしまった以上労組側の切れるカードは無くなったに等しく、本来の要望が通る形で解決を見ることは難しくなったと言えるでしょう。

尤も、今回の争点となった賃金格差は既に働いている人たちの賃金体系を維持する一方で今後新たに厩務員になる人の分を下げるという形で労使が折り合った経緯があり、格差是正を目的としたストライキの正当性は認められるものの、そもそもその格差を作ったのは「自分たちの賃金体系は維持する」とした既得権側の人たちでもあります。スト権の確立に至ったのも、全体の4分の3にあたる旧賃金体系の人たちにとっては何の実害も無く「今の若い人はかわいそうだね」の一点だけで賛成できる内容であったからで、その経緯に照らせば調教師会が歩み寄る必然性がどこまであったのかというのは疑問の残る部分でもあります。

調教師会側にしてみれば賃金を引き上げるということはその原資をどこから引っ張ってくるのかという問題でもあり、特に賞金収入の少ない下位厩舎にとっては預託料の引き上げしか取りえる選択肢が無いわけです。個人や小規模組合に支えられている下位厩舎にとっては少しの値上げも預託減の原因になり得、賃上げという要望に対し一枚岩になれない背景はそこにあると考えられます。かといってそういった厩舎を切り捨てればよいかといわれると、サラブレッドの生産数が増加の一途をたどる現状においては現実的でもありません。

このように、今回の件は単なる労使問題の枠を超えて根が深いテーマであり、単に片一方に白黒をつけられる性質のものではありません。通常の体制に戻った以上は競馬を楽しむほかないのですが、引き続き注視をしていきたいです。

2023年3月17日金曜日

【3/18(土)予想について】※3/18(土)09:00追記

前提から申し上げますと

「ストライキが決行されている状態で開催された場合、馬券の購入は見送る」

ことといたします。

賃金体系の問題は当事者間の話し合いで決めることが前提につき私が口をはさむことでは無く、思うところはたくさんありますがその点についての論評はここでは控えさせていただきます。

一方で、本来お世話をしている担当者がつかない状態でレースに向かわされる馬たちへの影響というのは定量的に測れないうえ、我々からすればどの馬がその影響を受け、どの馬が受けていないのかの見分けが不可能であるがゆえ、不確定要素の大きい中での競馬開催に財産を投じるのはリスクが高いと判断する次第です。

こんな場末の個人ブログを見に来てくださるくらい競馬に精通された方なら周知かと思いますが、馬は繊細な生き物であり、また人間が思う以上に人間のことを理解しています。突然見ず知らずの人間に餌を与えられたり体を洗われたり、そういった微妙な環境の変化が及ぼすストレスは無視できないはずで、メンタル面の変調に起因するパフォーマンスへの影響を考えると馬券購入の難易度はかなり高くなると思料されます。

従いまして、正規の厩舎スタッフを欠いた状態で競馬開催がされた場合は、馬券の購入対象として相応しくないと判断し見送ることといたします。

尤も、この手の労働争議というのは水際のタイミングまで交渉がなされ、一定の譲歩を引き出したうえで解決するケースも多いものです。記憶に新しいところでは2014年に相鉄HD系の各社(相模鉄道・相鉄バス)が始発からストライキに突入したものの、午前7時ごろに妥結を見、順次営業を再開していった例があります。鉄道会社をはじめとした交通インフラは影響度合いの大きさもあり他業種と比較しても特に労組の力が強い業態故一概に同じようには言えないですが、調教師会も馬主から財産を預かって運用する立場である以上その管理体制を維持できない状態を放置するのは本意ではないでしょうから、とにかく今はただ一刻も早い解決を願うのみです。

[3/18 9:00追記]

中山で「事故による出走取消」が既に2件発生しており、表に見える形で影響も出始めている模様です。残念ながら今日の開催については通常の形ではできなかったということで、正式に見送りといたします。

但し、レースが開催されている以上は公式に記録として残り、過去戦歴のストックとしての扱いを変えるわけにはいきませんので、いつも通り分析やら競馬新聞の購入やらは行っております。厩務員・調教助手と同様に、競馬に関わる様々な人たちの日常は、我々ファン側のいつも通りの経済活動によって成り立つのだということを想いながら。

2023年3月12日日曜日

【3/12(日)予想】金鯱賞・フィリーズレビューの注目馬とねらい目レース(アネモネS)

■中京11R/金鯱賞 アラタ

自在な立ち回りが身上な一方で勝ち切れなさと表裏一体なタイプ。前走の中山金杯も+24kgという状態面を考慮すればタイム差なしの④着は健闘の部類で、元々良績がコーナー4回の2000mに集中しており中山コースが向いていたというのもありました。この手の馬は絶対能力で押し切れる条件戦の内は良いのですが、決め手に勝る馬が増えてくるOP以上になると善戦どまりが多くなってしまいます。然るに、正攻法で乗ってくるジョッキーだとどうしてももう一押しが利かないのですがそこで登場するのが横山典J。開幕週の最内枠を引けましたからここは積極策で詰めの甘さを補うことが可能なはずで、断然人気が予想されるプログノーシスが追い込み脚質+大外ということでマークが甘くなれば粘りこみに注意が必要です。


■阪神11R/報知杯フィリーズレビュー ムーンプローブ

スイッチの入りやすい気性で、前走の阪神JFではハイペースで壁を作れず行きたがってしまったうえ直線でモリアーナとぶつかると戦意喪失。余分に大敗してしまった分ここでは人気も落としていますが、連戦で手控えた前走時と違い中間は坂路で52.0-12.1の好時計をマーク。リフレッシュ効果もうかがえ、距離短縮で折り合いがマシになれば巻き返し可能と見ます。


■中山11R/アネモネS コンクシェル

アネモネSの馬柱を見渡すと、前走で4角5番手以内だった馬が実に12頭。桜花賞最後の切符を争うトライアルだけに早めの動き出しが予想されますが、昨日の中山牝馬Sにしても無理のないペースで逃げたウインピクシスが残せず差し勢の決着になっており、ゴール前で形勢が一変する展開もあり得そうです。今回これといった追い込み馬は見当たらないですが、強いてあげるなら1800mの新馬戦を勝っており大外枠を引いたコンクシェルがその位置に収まると見ました。前走は4角4番手ですが9頭立てでのもので、距離短縮で後方からのレースにはなりそうですが今回からブリンカーを着用。最後まで集中させることができれば前が止まったところを一網打尽にできるでしょう。

2023年3月11日土曜日

【3/11(土)予想】中山牝馬Sの注目馬とねらい目レース(コーラルS、中山8R)

■中山11R/ローレル競馬場賞中山牝馬ステークス スライリー

急仕上げが祟った紫苑S⑮着以外は中山コースで①④着。昨年のこのレースも後方で折り合って進み0.2差まで迫りましたが、上りを使える馬ではないだけにもう少し4角でスムーズにポジションを上げられていればもっとやれていたでしょう。昨年同斤だったクリノプレミアムと今回は2.5kg差とハンデにも恵まれた印象で、勝ち切るタイプではないにしろ折り合って運べれば台頭あるでしょう。


■阪神11R/コーラルS ピンシャン

ここ1年ほど距離や枠や展開にも恵まれず自分の競馬が出来ていませんが、今回は1年半前に天保山Sを逃げ切った時と同じ舞台。坂路で猛時計を出すのは森厩舎のお家芸とはいえこの中間久々に坂路で50秒を切るタイムをマーク。前回50秒を切ったのがその天保山Sの最終追い時だったことを考えれば、ようやくよかった頃の動きを取り戻してきたとも見てよいでしょう。芝スタートの外枠も引け、テンのダッシュの重要性をよく理解している兵庫の吉村Jが跨るのもプラス。ここは一変の走りがあっても。


■中山8R クラリティスケール

前走の中山戦について菊沢師は「砂を被って嫌がってしまった」と語っていますがそんなことは未勝利戦の頃からわかっていたことで、問題はそれがわかっていながら勝負所で内に突っ込んだ菊沢一Jの判断ミス。5戦連続騎乗につき知らなかったでは済まされない立場で、流石に師もノルマンディーの会員サイトで平謝りでした。横山和Jへのスイッチは勝負度合いの現れで、気のいいタイプにつき休み明けでフレッシュな状態で臨めるのもプラス。ここはやや相手が揃った感ですが、最後に外に出せれば脚は使える馬につき複系まで押さえて。

2023年3月5日日曜日

【3/5(日)予想】弥生賞の注目馬とねらい目レース(総武S・中山8R)

■中山11R/弥生賞ディープインパクト記念 フォトンブルー

このレースには2頭のシルバーステート産駒が出走していますが、こちらはシルバーステートの半弟にあたります。札幌の新馬戦は小頭数+前半5Fが63秒のスローな流れを自ら動いてまくり気味の勝利でしたが、当時はまだ体が出来ておらず「仕上げるために使った」レースでもありました。その中で勝ち切っただけに本来持てる素質は高いはずなのですが、2走前の黄菊賞は終始馬場の悪い最内を通ったのに加え道中の走りもバラバラ。前走のエリカ賞にしても道中の折り合いに苦労し途中でまくり気味に進出し逆噴射というチグハグな内容で、調教も手控えられていたように連戦の疲労も感じられました。

休養を経て立て直された今回は長めからウッドでしっかり追われ、50.4-11.9を馬なりでマーク。前走比でグンとよくなったのはもちろんですがこれの特筆すべきところは乗ったのが武幸師だったということ。現役時代、高身長ゆえに体重管理に苦労したことを考えれば現役の騎手よりは重量があると考えるのが妥当で、本来なら時計が出にくいところこれだけのタイムを軽々とマークしてきたあたりに成長を感じます。折り合いに不安のある藤岡康Jから戸崎Jに替わるのはプラスなうえ、それなりに前に行きたいメンバーが揃ったことも好材料。本来の力を見せられればこのメンバーで足りてもおかしくはなく、シンガリ人気なら買いでしょう。


■中山10R/総武S ロードエクレール

馬場が渋るとダメな馬で全4勝は何れも良馬場。前走のラジオ日本賞も雨中の不良馬場で最後は止まってしまいましたが、元々は昨年の卯月Sでウィリアムバローズの②着したようにクラス通用の実力はあるうえ、この舞台も良馬場なら(1,1,0,0)と得意にしています。ハナを叩きそうなノーブルシルエットが大外になったのも好都合で、発馬を決められればアッサリまで。


■中山8R ジッピーレーサー

揉まれずに運びたいタイプで、大外枠では(2,0,0,1)。唯一敗れた3走前はラチ沿いの前目を通った馬たちでの決着で出番のない流れになったものでした。良績は渋化時に集中し時計勝負に課題を残しますが、今の中山はインの馬場が良いがためにハナ争いが激化するとハイペースで内前先行勢が総崩れになるケースも見られ、好位外目を追走したいこの馬に流れが向き得るコンディション。ノーマークの先行競馬が叶う今回は再度穴を開けるチャンスでしょう。

2023年3月4日土曜日

【3/4(土)予想】オーシャンS・チューリップ賞の注目馬

■中山11R/夕刊フジ杯オーシャンS キミワクイーン

2回中山開催というのは前年12月~当年1月の2か月間の開催から1か月のインターバルを経ての2か月連続開催につき前開催の傷みのリカバリーが鍵となりますが、芝の生育管理技術の向上に伴い年々内外の不利は少なくなっています。このレースも昔は馬場の悪い内目を通らされた馬が苦戦してきましたが、近年ではモズスーパーフレアやハクサンムーンのようにハイペースを刻む逃げ馬の台頭も目立つようになりました。

但し逃げ馬が絶対有利かと言えばそういうわけでもなく、過去10年で(1,2,2,5)。むしろ頭妙味は2~4番手で(6,4,1,24)。今回のメンバーですとジャスパージャックはハナを主張するでしょうがその他は出たなりというタイプ。その中でも一番外枠を引け被される可能性の少ないキミワクイーンを本命としました。1200mに転戦してから(2,1,0,0)。唯一敗れた2走前の道頓堀Sは輸送減りで-14kgと体調が整わなかった中でジャスパージャックとタイム差なしというもので評価を落とす必要はなく、実績馬が本番に向けた試走という位置づけの中でここで賞金を確保したい思惑はわざわざ岩田康Jを関東に呼んだところからも十二分に伝わってきます(横山武Jがペリファーニアを断りにくいという事情もあるかと思いますが)。1200mでの3戦すべてで2~4番手を確保して好走できている点もこのレースにマッチしますし、ここはいきなりでも通用できるでしょう。


■阪神11R/チューリップ賞 ペリファーニア

桜花賞に限った話ではないですが、G1レースの前哨戦と言われてきた各レースの地位が低下してきているのは事実でしょう。それには複数の理由があると考えられますが、日本競馬全体のレベルの向上に伴い1レースあたりの消耗度が高くなったことで本番前に十分な間隔を取る必要があり、以前の考え方で本番1か月前等に設けられたトライアルレースを使ってしまうと本番に十分な体力を残すことができないというのが大きいです。加えて、JRA自体が新馬戦の早期化・2歳戦の充実などにより早くに賞金を稼ぐ方向に仕向けていることもあり、有力馬は早期にクラシック出走に十分な賞金を確保し本番に余裕のあるローテで臨むことが増えました。

結果として、昔の考え方で本番1か月前に設けられたままのトライアルレースは現代においては「2歳重賞に間に合わなかった馬」以外は「賞金が足りている馬の調教代わり」か「桜花賞に出くことが目的になっている馬」の出走にしかなっていないのが現状です。事実チューリップ賞で優先出走権を得た馬で実際に桜花賞を勝ったのは16年②着のジュエラー以来出ておらず、レースの立ち位置は確実に変化しています。こうなると、実績馬はここで全力を出さない可能性がある一方で、賞金の足りない馬の大半はここまで勝ちあぐねてきたわけで無敗のケースを除けばここで狙える馬は限られます。

血統的にも人気は必至でしょうが、ここは新馬戦からの伸びしろも含めてペリファーニアを本命とします。その新馬戦はスタート劣勢も中団に取りつき、向こう正面でもポジションを取ろうと鞍上が仕掛けるとすぐに反応し直線では楽に抜け出す強い内容。反応の良さ、立ち回りの巧さは半兄エフフォーリア同様で、初戦から16頭立てのレースを経験できたことも大きかったです。このレースセンスならば17番枠も克服できる可能性が高いと見ます。