[1]①トゥラヴェスーラ(丹内)
一昨年、昨年と④着が続いていますが、一昨年はうまく馬群を縫って大健闘の④着だったのに対し昨年はゴール前で鼻出血を発症し失速しての④着。あれが無ければ頭か、ロータスランドの際どい②着くらいまではあったでしょう。元々調教中の鼻出血は何度か発症しており、結果として前哨戦を使って中3週だったことも一因として考えられ、今回のぶっつけローテはその点も考慮しての作戦と思われます。
普通に考えれば8歳で従前と同じかそれ以上のパフォーマンスを望むのは酷で、昨年も阪急杯②着以外は複勝圏内に顔を出せず。しかしながら近3戦は苦手の右回りだったうえ何れも0.3差以内に纏めており着順程負けてはいません。加えて中間の動きも良く、永島Jが乗って時計が出やすかったとはいえ2週前には坂路で49.5-12.8の自己ベストをマーク。1週前も丹内Jが駆けつけ51.9-12.0をやれており、一昨年の淀短距離S・高松宮記念の時と同様に「2週前速め→1週前鞍上騎乗→直前軽め」の好走時ルーティーンを踏めているのも好感です。
あとは中京コースで5年勝ち星のない丹内Jがどう捌いてくれるかが課題で、枠が外であればあるほどその難易度は上がるだけに入った枠によって軽重を決めたいと考えておりましたがまさかの最内枠。こうなれば無難にスタートを決めラチ沿いを走ってくるだけでこの馬のレースは出来るだけに狙わないわけにはいかなくなりました。現状の予報では一日中雨が続く見込みでもあり、純粋なスピード比べで無くなる分この馬にもチャンスは十分あるでしょう。
[1]②ウォーターナビレラ(吉田隼)
オークス・秋華賞は距離、クイーンSは暑さでカリカリしてしまったことが敗因でしたが、その疲れを取ったはずの前走の京都牝馬Sは直線で全く反応できず⑭着。+18kgが影響した分もあるのでしょうが、そうだとすればこの中間あまり強い負荷をかけられていないのと辻褄が合いません。今回最終も4Fの単走が精いっぱいで、気持ちの面の難しさが出てきている現状では手は出しにくく。
[2]③キルロード(和田竜)
前走は久々の大敗も落鉄があり参考外。芝短距離に転向した5歳シーズン以降崩れたのは前走と出遅れた10走前のセプテンバーSのみで、切れる脚はない分ペース不問で前付けできるダッシュ力があり常に小差で好走中。自分で勝ちに行けないタイプであり決着時計によって着が上下しますが、好枠を引いたうえ今年も天気に恵まれうる期待は大きく押さえは必要です。
[2]④ダディーズビビッド(秋山真)
前走の阪急杯はアグリを追い詰めての②着。調教時に加減して走る癖があり、爪の不安に由来する可能性もあったため手を出すかは難しい臨戦でしたが、蓋を開ければレースでは真面目に走ってこれました。一方その前走は距離短縮で折り合いがマシだったことも手伝い、乗りなれた浜中Jで上手く運べた分もありました。かといって1200mまで短くしてしまうと今度は位置取りを落としてしまい詰めが甘くなるのが難点で、現に1200mではOPでも勝ち切れず。ベストは左回りの1400mで、あとはテン乗りの秋山真Jがどううまく運ぶかでしょう。
[3]⑤メイケイエール(池添)
既に重賞を6勝しているように実力は誰もが認めるところで、ブレーキが利かないのは相変わらずですがアクセルを我慢するメンタルは育ってきました。一方でその類まれな素質ゆえ反動も大きく、昨年は高松宮記念・スプリンターズステークスと1番人気に推されましたがいずれも人気を裏切る形に。結果としては前哨戦を使って中2週の反動があったと見るべきでしょう。その反省もあってか今回はぶっつけローテで、中間はCWで47.0-11.7という文字通り抑えきれない動きを披露。重馬場は小倉2歳Sで経験済で血統的にもマイナスになる要素は無く、昨年のセントウルSを圧勝したパフォーマンスからも万全の態勢で走れば勝ち負けでしょうが、あとは内枠有利の現状にあっていかにしていいポジションで我慢をさせられるか。中間跨った池添Jが「ビルドアップしてさらに押さえにくくなった」と語る通り、昨秋以降の馬体の成長は著しいだけにその点が懸念です。
[3]⑥ナランフレグ(丸田)
ウインキートスのエリザベス女王杯でも少し触れましたが、遠征競馬の経験値が少なく良績が少ない宗像厩舎にあって遠征でG1を制したこの馬の実力は相当です。ただ昨年の勝利自体は(悔しいので何度も言いますが)トゥラヴェスーラが鼻血を出していなければあり得なかったもので、あのコースが開いたことが一番の勝因でした。得意の左回りに戻る点は見直せますが、ここ4戦は2か月以上の間隔を空けて使われていただけに久々の中2週で昨年同様に走れるかどうかも未知数です。
[4]⑦ヴェントヴォーチェ(西村淳)
前走のオーシャンSは1.07.4という速い時計の決着になったこともありこの馬に展開が向きました。ただ連戦で連続好走ができないタイプにつき、あの圧勝から中2週でこことなるとこの馬の凡走パターンになってしまいます。中間も状態維持程度の調整に留まっており、フレッシュな状態とは言い難く。
[4]⑧ロータスランド(岩田康)
前走の京都牝馬Sでは大外枠から最内まで持っていき、最後方からのイン突きで③着を確保。ラチ沿いにスペースができる幸運もありましたが、そもそもロスを覚悟で無理やり最内までもっていった上ウインシャーロットが居なければ突き抜けるまであった手ごたえにつき、まだまだ衰えは感じられません。元々上がりの掛かったほうが良いタイプでこれまでのキャリアで4角最後方というのは初めてで、そこから阪神内回りで32秒台の脚を使えたのも収穫でした。昨年の②着は上がりの掛かった展開に恵まれたかと思いましたが、前走を見る限りそれなりの上がり勝負にも対応できておりここに来ての進境を感じます。流石にスプリント戦でヤケクソまくりはしないでしょうから、まともに回ってこれれば今年もチャンスありでしょう。
[5]⑨ディヴィナシオン(松本)
前走のオーシャンSは近走課題だったスタートも無難に決め、最内枠から中団のインを取れたことも良かったです。昨夏に小倉で1.07.1で勝った実績もあり、時計勝負は元々対応できるだけの力を持っていますが今回は真逆のコンディションが予想されるだけに…。
[5]⑩オパールシャルム(武藤)
7走前の福島テレビOPはスプリント戦にして前半が34.6という楽なペースで、上りも34.8とそこまで早くなかったペースに助けられました。ただ明日は時計の掛かる想定につき当時の分だけ走れれば足りる計算であるうえ、近5走で芝1200mで逃げた経験を持つのはこの馬だけ。行き切れれば恵まれるポジションは取れるだけに、このメンバーでは切るのは危険かと。
[6]⑪ピクシーナイト(戸崎)
阪急杯を叩く予定でしたが中間に歩様の乱れがあり回避。調教の動きは悪くないだけに実績は認めますが、気になるのは休養のきっかけとなった香港スプリントの止め方。前を走る故障馬を避けんとして無理な体勢になったことで怪我をしてしまったもので、前に馬を置いたときのメンタル面が気がかりです。逃げてしまうのも手ですが戸崎Jはそのような乗り方を好まないタイプでもあり、先ずは無事に回ってくるのが先決でしょう。
[6]⑫アグリ(横山和)
前走の阪急杯はメンバーに恵まれた部分もあったとはいえ、その前の六甲アイランドSに続いて前半33秒台の流れで前につけられ勝てたのは大きかったです。1400mなら時計勝負で押し切れますが、スプリントだと忙しくなるため良馬場でも適度に時計のかかるコンディションが理想。唯一の1200m戦経験が札幌の1勝クラス戦で1.10.4(稍重)④着という点でこのクラスで通用するかは未知数ですが、位置さえ取れればやれてもおかしくは無いはずです。
[7]⑬ファストフォース(団野)
中京1200mコースは4回走って(0,2,0,2)ですが、好走した2回は時計の速いレース(シルクロードS1.07.3、セントウルS1.06.2)で着外の2回は時計の遅いレース(高松宮記念1.08.6、長篠S1.08.8)でありました。元々速い決着で他の馬がついていけないような時に体力を活かして生き残るタイプで、今回は控える競馬を示唆している点からも持ち味を発揮するレースにはなりそうになく時計の掛かる決着が見込まれる今年も良くて見せ場まででしょうか。
[7]⑭トウシンマカオ(鮫島駿)
この馬はとにかく枠順に泣かされており、それでも3走前2走前は大外枠から勝利。前走のシルクロードSももう少し内目を引けていればもっと上の着順はあったはずです。ビッグアーサー産駒という和製スプリンター血統らしく現代のスピード競馬にあっては最もパフォーマンスが高いのは1400m戦で、ある程度の時計がかかる中京1200m戦は本質的に向いていると言えます。掲示板を外した2回は何れもマイル戦で、ファルコンSの⑤着も直線で前が壁になり内有利馬場で止む無く外に出して間に合わなかった分の敗戦でした。枠がもう少しまともなら重く扱いたかったところですが、トゥラヴェスーラを2年連続で④着に導いた鮫島駿Jが駆るとあっては枠不利をリカバリーでき得るだけに。
[7]⑮ナムラクレア(浜中)
前走のシルクロードSでは渾身の末脚を繰り出し快勝。中京芝1200m戦で上り33秒を切って勝ったのは過去3例しかなく(メイケイエール、レッドファルクス、デルマカトリーナ)、時計のかかるコンディションを考えれば相当な強さと言ってよいでしょう。右ムチ一発で左に飛んでいく等直線でのふらつき具合を見ればちょっと消耗が心配になるレベルでしたが、2か月の間隔を取って立て直され中間もハードに追われ体調面は問題なし。ただ、直線は併せ馬の形に持ち込みたいタイプだけにやはりもう少し内目の枠が欲しかったというのが正直なところで、これまでのキャリアで11戦中10戦が1桁馬番を引けていたことを考えてもこの枠からどう乗りこなすかが課題です。
[8]⑯グレナディアガーズ(岩田望)
重馬場だった昨年のこのレースで⑬着大敗。スプリントが向いていないわけではないと思いますが、やはりソウルスターリングなどと同様にフランケル産駒らしく重馬場がからっきしというタイプと見られます。今年も雨予報につき手は出しにくく。
[8]⑰ボンボヤージ(川須)
3走前の北九州記念は最内枠を引けたことが最大の勝因でした。1列後ろで前の馬が垂れるのを冷静に捌き、皆が外を回す中でがら空きになった内を伸び伸びと走れた分最後まで持ちこたえられました。5勝の内訳が小倉3勝・京都2勝という典型的な平坦巧者で、急坂でタフさも必要なこの舞台でまして外枠となるとかなり厳しいです。
[8]⑱ウインマーベル(松山)
怖がりな面をブリンカーで矯正している現状で、外枠を引いたり道中揉まれない位置取りが理想の馬です。重馬場での勝ち星もあるうえ中京で2勝しているようにコースは問題なく大外枠も歓迎のクチですが、内が活きているコンディションとなるとどこまで迫れるかでしょう。
<予想>
◎トゥラヴェスーラ
○キルロード
▲ロータスランド
△トウシンマカオ
△メイケイエール
△アグリ
△ナムラクレア
△ウインマーベル
△ナランフレグ
△ダディーズビビッド
△オパールシャルム
■中山11R/マーチS キタノヴィジョン
稍重以下では①①④③③⑦と着をまとめており、唯一掲示板を外した前走の仁川Sも直線で内にこだわり最後の100m少ししか脚を使えず敗れたもので、メイショウフンジンから0.4差と良く差を詰めてきました。先行勢の多いメンバー構成で流れが速くなることは必至で、脚質的にも嵌る可能性は大きく複穴妙味は十分です。
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