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2023年3月19日日曜日

【3/19(日)予想】スプリングS・阪神大賞典の注目馬とねらい目レース(名古屋城S)

■中山11R/フジテレビ賞スプリングS アヴェッリーノ

先週のアネモネSでも似たような状況でしたが、今回のメンバーのうち前走で4角5番手以内だった馬が16頭中実に13頭もおり、非該当の3頭のうちドンデンガエシもゲートさえ決まれば前に行きたいクチ。雨の残るコンディションの割には流れは速くなると考えられます。

残る2頭がセブンマジシャンとアヴェッリーノなのですが、セブンマジシャンは脚質的に大外を回らざるを得ず、前走小頭数の京成杯でも不利を受けて③着に終わったように外的要因に左右されてしまいます。それならば、ダートで勝ち上がり荒れた内を通ることに抵抗のないアヴェッリーノの一発に期待したいです。2走前の中山戦では好位の内から運び、4角で前が詰まる場面がありながらも伸び直して③着。前走の東京戦で初勝利を挙げましたが、終始内に刺さるところを矯正しながら追われており右回りの方が走りがスムーズなタイプです。デビュー3戦目まで芝を使われいずれも2秒以上負けている点は気がかりですが、使われながらも体は増えておりこの中間は3週にわたりコースで併せ馬を消化するなど意欲的。他の馬が内を空けて進んだところを構わずにイン突きという構図が理想です。


■阪神11R/阪神大賞典 サンレイポケット

人気は上位3頭に集中していますが、ボルドグフーシュ、ジャスティンパレス、ディープボンドに共通するのは「前走で有馬記念を使った」点です。

クラシックに限らず、最近のG1レースは1か月前のトライアルやステップレースを使わず直行する馬が増えており、実際そういった馬が多く勝ち星をさらっています。背景には日本の競走馬のレベルアップにより大レースの消耗度合いが大きくなっており、余裕を持ったローテで万全の体調で向かうことがベターとなっている現状があります。裏を返せば、そうしたレースを使った後の回復には昔よりも時間がかかるとも言え、実際昨年の有馬記念を戦った馬のうち今年既に走った5頭は何れも掲示板を外しています(AJCC⑦着、京都記念⑥⑩止着、金鯱賞⑥着)。4歳馬2頭は何れも神戸新聞杯→菊花賞→有馬記念というローテ、ディープボンドも凱旋門賞からの帰国初戦であったことを踏まえると、2か月半休んだとはいえどこまで体調を戻せているかは慎重になって見た方が良さそうです。

サンレイポケットは日経新春杯以来2か月ぶりとなりますが、元々上がりの掛かったほうが良いタイプで前走のレース上り35.4というのはこの馬にとっては速すぎました。このレースは年によって時計のかかり方が大きく違うのですが、稍重で行われた4年前は上りが38.0も掛かりました。当時はロードヴァンドールが1週目のゴール前で動いたこともあり最後に時計がかかったわけですが、今年も出来れば前に行きたいという馬は数頭おり、譲り合いのスローは考えられないでしょう。平均以上で流れれば上がりの掛かる展開を利しての台頭も可能と見ます。


■中京11R/名古屋城S ロードリバーサル

左回りに良績が集中していますが本来は被されたくないクチで、前走のアルデバランSにしても6番枠からのスタートで外に出すタイミングを伺いながらの運びを強いられました。当時勝ったメイショウフンジンは仁川Sを連勝、ダイオライト記念でも③着するなど完全に軌道に乗っており、そこから0.3差の⑤着なら評価できます。今回はさらに立ち回りの楽な外枠を引け、この中間もウッドで51.2-11.7を単走でマークしており除外の影響を感じさせない好調ぶり。噛み合う可能性は小さくないと見ます。


<おわりに>

厩務員労組によるストライキは本日解除され、通常の運営体制に戻っております。しかしながら、これは調教師会から何か新しい回答があったわけではなく、栗東の労組が金曜段階で離脱したこと、またスト決行中にも関わらず実際の現場では組合員の多くが競馬開催業務に従事しており、その実効性が低下したことが最大の理由でありました。

賃金交渉自体は今後も継続され、その行方次第では来週改めてストライキが決行される可能性も否定はできませんが、今回の一件でストライキの意味がないことが露見してしまった以上労組側の切れるカードは無くなったに等しく、本来の要望が通る形で解決を見ることは難しくなったと言えるでしょう。

尤も、今回の争点となった賃金格差は既に働いている人たちの賃金体系を維持する一方で今後新たに厩務員になる人の分を下げるという形で労使が折り合った経緯があり、格差是正を目的としたストライキの正当性は認められるものの、そもそもその格差を作ったのは「自分たちの賃金体系は維持する」とした既得権側の人たちでもあります。スト権の確立に至ったのも、全体の4分の3にあたる旧賃金体系の人たちにとっては何の実害も無く「今の若い人はかわいそうだね」の一点だけで賛成できる内容であったからで、その経緯に照らせば調教師会が歩み寄る必然性がどこまであったのかというのは疑問の残る部分でもあります。

調教師会側にしてみれば賃金を引き上げるということはその原資をどこから引っ張ってくるのかという問題でもあり、特に賞金収入の少ない下位厩舎にとっては預託料の引き上げしか取りえる選択肢が無いわけです。個人や小規模組合に支えられている下位厩舎にとっては少しの値上げも預託減の原因になり得、賃上げという要望に対し一枚岩になれない背景はそこにあると考えられます。かといってそういった厩舎を切り捨てればよいかといわれると、サラブレッドの生産数が増加の一途をたどる現状においては現実的でもありません。

このように、今回の件は単なる労使問題の枠を超えて根が深いテーマであり、単に片一方に白黒をつけられる性質のものではありません。通常の体制に戻った以上は競馬を楽しむほかないのですが、引き続き注視をしていきたいです。

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