[1]①ククナ(横山武)
3歳になってからレースぶりに進展が見られないのが気になるところです。馬群に入れても怯まないタイプで2歳時はそのレースセンスでリードしていましたが、脚の使いどころが難しいわりにキレ負けする馬でクイーンCを見る限り出していっても中途半端、かといって溜めても差し切れるまでの脚は期待できずで、母がオークス3着馬という点以外に強調すべきところが見当たらず。
[1]②スルーセブンシーズ(戸崎)
前走のミモザ賞は4角で1頭だけ違う手ごたえで楽勝。ただ前半34秒台の異例のハイペースで、荒れた内を進む先行勢が3角で早めに前を捉えにかかったところを馬なりでごぼう抜きという展開だったわけで、額面以上の評価はし難いというのが本音です。2走前の1勝クラス戦も前崩れの流れをじっくり運んでの台頭で、雨量がさほどでもないと見られる今回は末脚比べとなると分が悪い印象です。
[2]③パープルレディー(田辺)
2走前のゆりかもめ賞はシンガリ追走からの差し切りで、それも馬群の合間を縫って併せ馬に持ち込み2400mで最後まで足を伸ばしたレースでした。前走のフローラSは距離短縮+内前有利展開に泣きましたが、今回のメンバーで唯一同距離の勝ち鞍がある馬でスタミナの不安なく乗れるのはアドバンテージと言えます。陣営は「インベタ戦法」を示唆していますが、これは距離不安ではなくスタミナを温存する策としての言及であるはずで、それが活きる好位の内から早めに追い出せるレースが叶えば台頭は可能でしょう。
この馬の全兄にはカツジがおり、同馬の好走パターンは「前走からの脚質転換」がきっかけになっています。
・NZT1着…前走3番手先行→今走3角14番手から追い込み
・マイルCS4着…前走5番手先行→今走3角15番手から追い込み
・スワンS1着…前走11番手追走→今走逃げ切り
母メリッサ自体が脚質を一変させての勝利が多く、兄弟たちも目先を変えさせることで力を発揮できるタイプと言えます。先行勢が手薄な今回、控えた前走から一転してポジションを取りに行くことができれば一変の可能性は大いに秘める一頭です。但し、今の東京が外差し優位な状況でうまく外に出せるか、また追い切りが2週連続でポリトラックという点で状態がどこまでかは半信半疑な部分も残ります。
[2]④タガノパッション(岩田康)
スイートピーSはトライアルらしく前半が流れ、先行勢がほとんど残せない中外から差し切ったレースでさして強調する内容ではなかったと感じています。3月のデビューから中3週→中1週→中2週という過密ローテで再度の遠征競馬と超えるべきハードルは大きく、ポテンシャルを秘めた馬とは感じるもののいろいろなバックグラウンドを加味して言えば「どうか無事に回って帰ってきますように」というのが正直な気持ちです。
[3]⑤クールキャット(武豊)
この血統らしく立ち回りの不器用さを残す馬で、東京では不利のあったアルテミスSを除き2戦2勝、中山では2戦していずれも着外(とはいえフェアリーSは暴走、フラワーCは上手くなだめすかして乗って善戦という評価ですが)。ゆったり運べる距離延長に加えスムーズに好位を取れそうなこの枠はプラスで、最終追い切りも前走からさらに調子を上げており前進の目は大きいでしょう。
[3]⑥ウインアグライア(和田竜)
状態面が一息だった前走は度外視できるものの、デビュー戦はブエナベントゥーラに注目が集まった分好位からスムーズに運べたぶんの勝利で、OP2勝は稍重の札幌と重の中山と時計のかかる馬場でのもの。本質的には全体時計がかかった時に台頭するタイプで、良馬場見込みのここでは分が悪いかと。
[4]⑦アカイトリノムスメ(ルメール)
レースセンスが高く自在に立ち回れる点が強みで、前走の桜花賞では内に押し込められ窮屈なレースになりましたがそれでも0.2差の4着と格好をつけました。スッと好位につけられ、前が開いたところで直ぐに反応できる操縦性の高さは多頭数の舞台で活きてきます。もう少し外の方が被されるリスクは少ないですが、この距離なら前半が忙しくならない分自分のポジションは取れるでしょう。
[4]⑧ハギノピリナ(藤懸)
前回はスローペースを見越しての早仕掛けが嵌った印象で、ペースが緩んだところでうまくポジションを上げた鞍上の好判断が光りました。この舞台では仮にそれができても上りを34秒台に纏めないと厳しく、良馬場が見込まれるここではキレの面で懸念が大きいです。
[5]⑨ユーバーレーベン(デムーロ)
疝痛明けのフラワーCはギリギリの状態で、前走のフローラSは展開不利を追い込んでいずれも3着と地力は見せました。本来前走で権利が取れないと出走は厳しく、それなりに仕上げられての一戦であったためここへのお釣りがどうかと見られていましたが、追い切りの動きからは当時の状態をキープできていると判断できます。連を取りに行くここ2戦と違って今回は頭を取りに行くレースができる分じっくり構えられるのはプラスで、不利のあったアルテミスSを除けば常にソダシと善戦している実績からもポテンシャルは上位。外差しバイアスに傾いている今の東京なら、差し切るまでの期待を持っても不思議はないでしょう。
[5]⑩エンスージアズム(岩田望)
前目のポジションを取って前半ゆったり運べた方が良いタイプで、前半4Fが49秒以上なら(2,1,0,0)、それ未満なら(0,0,0,3)とペースによって明暗が分かれています。過去10年のオークスで前半4Fが49秒以上かかったのはソウルスターリングの勝った2017年の1回のみで、今年のメンバーなら無くはないですがそこまで遅くなるならソダシが行ってしまう可能性が高く、47~8秒台を刻む公算が大きいここでは追走に懸念があります。
[6]⑪ソダシ(吉田隼)
先週のヴィクトリアマイルでランブリングアレーを2着に持ってきた吉田隼J。道中はインでじっと我慢しながら、直線では外に進路を取りグランアレグリアの後ろを通って脚を伸ばしました。今の東京の伸びどころを心得た騎乗であると言え、少なからずオークスのリハーサルとして有意義な一戦でもあったと言えるでしょう。
但しやはり距離が伸びてよいタイプとは言い切れず、中間も距離に関してはあいまいなコメントに終始しています(「やってみないとわからない」「負けることろは見たくない」「信じて乗るだけ」etc.)。スピードの絶対値で押し切る可能性も十分に考えられますが、早めに先頭に立つ流れになった時に目標にされてしまうリスクもはらんだ存在と見ています。
[6]⑫ミヤビハイディ(吉田豊)
前走は良馬場の1800m戦にして前半4Fが50.4もかかる特殊なペースながら、外差し馬場の恩恵もあり差し届きました。但しフラワーCで1秒以上負けたアビッグチアとタイム差なしの勝利という点を見れば、このメンバーで即通用の可能性は見出しにくいと考えます。
[7]⑬ファインルージュ(福永)
桜花賞では距離ロスなく運べましたがやや忙しかった印象で、少し促しながら追走するシーンも見られました。追走が楽になる分ここでは前進が期待できますが、気になるのは状態面。木村師が「何とか良い状態で送り出すことに腐心したい」とコメントしており、今回過去最短となる中5週での参戦は(天栄での)調整期間がどうしても限られるため、その点で不確定要素を残す今回はまだ全幅の信頼とまでは行き辛く…
[7]⑭ストライプ(柴田善)
母グレイスフラワーは東京2400mで勝ち星がありますが、中央で3戦未勝利の後南関で2勝して戻ってきた経緯からもスタミナというよりは道中の追走力に課題があり1000m台では好走が難しかったというのが実でした。桜花賞は輸送による馬体減が響いてのものでしたが、勝ったクロッカスSにしても後傾戦を内前で押し切ったというもので特に強調すべき点がなく、1勝クラスの内容からはここでの通用可能性は見出しにくいです。
[7]⑮アールドヴィーヴル(松山)
デビュー以来体重を減らし続けており、前走は輸送がなかったにもかかわらずさらに減ってしまいました。今回の中間は坂路で馬なり単走オンリー。十分に負荷をかけ切れずポテンシャルだけで走っている現状では、一気の距離延長に耐えられるかの不安のほうが大きいです。
[8]⑯ニーナドレス(藤岡康)
前走の君子蘭賞では前に馬を置けず行きたがっていたところを川田Jがスッと宥めて馬群の中へ。直線では再加速して33.4の脚で前を捉えましたが、前半1000mが61.5もかかっており距離を考えればスローの範疇でした。デビュー戦も小倉の芝2000m戦で前半が63.8という異常なほどのスローペースで、良馬場で時計が出そうなここでは脚を溜めるのが難しいと見ます。
[8]⑰スライリー(石川)
フローラSは距離延長で好位を取れたことが大きく、また内前有利のレース展開にも助けられました。再度の距離延長でポジションは取れそうですが、当時ほど内が残せる状態ではないだけにどこまで粘れるかでしょう。
[8]⑱ステラリア(川田)
前走の忘れな草賞自体はメンバーレベルは高くなかったものの、例年そのようなメンバーが集まる中でも過去10年で3頭の勝ち馬を輩出しているレースです。特に忘れな草賞で「上り順位3位以内」を叩き出した馬に絞ればオークスは(3,0,1,4)。この馬も前走は上り1位であり、勝ちタイムの1.58.0は例年より2秒以上速く、例年よりBコース替わりが1週遅かった点を考慮しても上々と言えるでしょう。2歳時には東京のベゴニア賞で青葉賞2着のキングストンボーイとタイム差なしの接戦(2着)の実績もあり、欧州系の母系からもスタミナの不安はなさそう。大外枠でも壁を作って進めれば、外が活きるコンディションで台頭が見込めるでしょう。
<予想>
◎ユーバーレーベン
○アカイトリノムスメ
▲ステラリア
△ソダシ
△クールキャット
△ファインルージュ
★パープルレディー
フローラSとはコンディションが一変する今回、ユーバーレーベンの末脚が今度は届く可能性を考えたいです。アカイトリノムスメは一番の安定勢力ですが、アパパネの仔では既にこの馬が一番の出世頭となっており、この血統にこれ以上を求めてよいのかという点で対抗までとしました。ソダシのコース取り、パープルレディーの出方にも注目。
■東京10R トオヤリトセイト
2019年のNHKマイルCはハイレベルの一戦で、0.4差で8着でしたが当時のメンバーはほとんど重賞勝ちorOP入りしており、出走18頭のうち現時点での条件馬はヴィッテルスバッハ(3勝C)、ミッキーブラック(3勝C、抹消)とこの馬のみ。決め手に優れる分展開に左右されやすい脚質が出世を妨げており、2走前もほぼ勝ったところをカイザーミノルに内からもう一伸びされる惜しいレースでした。流石に前走は届かない位置取りでしたが、人気どころに先行したい馬が多いメンバー構成は好都合で、全兄トゥラヴェスーラが先週同じコースの京王杯SCで2着しておりコース適性も問題なし。外差しも届く今の東京ならチャンス大でしょう。
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