ラウダシオン&ミルコの劇的勝利からはや1年。相変わらずの「緊急事態」もここまで来るともはや日常ですが、感染症対策も馬券も行き当たりばったりではいけないということを思い知らされる1年でもありました。
■東京11R
かしわ記念の敗戦のショックから、水曜より進めていた全頭評価を基に考察します。
[1]①レイモンドバローズ(浜中)
2走前の1勝クラスで差し決着を前目から押し切っており、同条件にしては上々の時計で走っておりました。但し前目と言っても終始馬場の良い三分どころを走ってのもので、的確なコース取りにも助けられた印象です。抜け出すと気を抜くところがあり仕掛けどころが難しいタイプなうえ、34秒台の上りを求められるであろうレースでの実績に乏しく、ここではキレ負けの懸念があります。
[1]②アナザーリリック(津村)
アネモネSは切れ味を活かしての快勝も、Hペースを残して2着だったジネストラが桜花賞で案外の結果。アネモネS自体が差し有利の流れでパフォーマンスとしてはジネストラ以上とは判断できず、1週前追い切りも存分に負荷をかけられながら馬なりの相手を最後まで捉えられなかったことからも、状態面でも推しにくい現状では。
[2]③ルークズネスト(幸)
敗れたレースは距離不適の1800m戦と位置取りを下げてしまった新馬戦&シンザン記念で、自分のポジションを取れれば確実にパフォーマンスを発揮してくる馬です。前走のファルコンSがグレナディアガーズと最後まで競った割にはゴール前の1Fで12.4と失速しているのが気にはなりますが、前半で33.7を刻んでのものと考えれば全体時計の1.20.1は非常に優秀です。但し、前走逃げて距離延長でここに挑む馬は過去10年(0,0,0,3)で、スタートの速い馬が外にいることも考えると思い通りのレースができないorポジション取りで脚を使って最後止まるパターンも考慮する必要がありそうです。
[2]④バスラットレオン(藤岡佑)
前走はメンバーに恵まれた感はありましたが、2F目以降11秒台のラップを刻み続けて止まらずに逃げ切っており強すぎの一言。敗れてもすべて0.5差以内に纏めており、戦法を問わない自在性も強みです。特筆すべきは今春に入り調教の動きが良くなってきたこと。成長もそうですが、暖かい時期のほうが動けるタイプと見ることもできそうです。その説を採るならば、冬場に後塵を拝してきたメンバーとの逆転も十分可能と見ます。
[3]⑤リッケンバッカー(横山武)
アーリントンCでは前目の決着の中で足を伸ばして2着と素質の片鱗を見せました。但しこの馬は速い脚に限界があるタイプで未勝利脱出に6戦を要しました。先行、差しいずれもあと一押しが足りず、勝ち上がった6戦目はルメールJが阪神外回りで3角から捲っていく奇襲を仕掛けて後半3F33.4に纏めてようやく勝ったというものでした。前走も重馬場の分だけ間に合ったというレースで、良馬場で入りも出も速いレースとなると現時点での対応力という点では疑問符が付きます。
[3]⑥シティーレインボー(三浦)
前走2着は鞍上の好騎乗もありますが、現状ではマイルがベストということでもあるでしょう。ですが自己条件でも勝ちあぐねており、先着を許した各馬も昇級後即通用とまではいっていないだけに、着順を額面通りに評価はしにくいというのが正直なところです。
[4]⑦タイムトゥヘヴン(デムーロ)
立ち回りの巧いタイプで連対実績は全て中山。それでも正直、前半1000mが63.7の京成杯を逃げ切れなかった時点でこの馬に対する個人的な評価は低いです。東京にコースが変わり絶対的なスピードも求められるとなると歓迎できる舞台ではなく…
[4]⑧グレナディアガーズ(川田)
朝日杯のレースぶりが示す通り、時計が求められる展開となればこの馬の本領発揮でしょう。但し一戦必勝型の中内田厩舎にして、前走3か月ぶりだったファルコンSを取りこぼし。同タイムで走ったとはいえ、ラスト2F目が11.5に対してゴール前1Fが12.4と明らかに前が止まったにもかかわらず捉えきれなかったのは不本意と言える内容でした。
最終追い切り後の川田Jのコメントがこれ。
「終始いい雰囲気で穏やかに過ごせています。1週前の芝コースでも非常に穏やかで順調に来ています。いいレースができるよう、この馬自身の走りができるよう過ごしてもらって、その結果を皆さんで楽しんでもらえたらと思います」
繰り返される「穏やか」というワード。「自身の走りを」というコメントには、フィジカルよりもメンタルの問題が大きいことを覗かせ、気持ちが入りやすい馬だけに中間も1週前は芝コースと負荷をかけることが難しかったことが伺えます。唯一のG1馬なので断る理由もないのでしょうが、かといって強調もできない出来だというのが透けて見えます。
[5]⑨ゴールドチャリス(田中勝)
前走のニュージーランドTはバスラットレオンを捕まえに行った先行勢の中で力量のある馬だけが残り、返り討ちに遭ったほかの馬を追い込み勢が交わして着を拾う展開だったと見ています(それでも1秒以上離された3着以下同士では大きな差はないと見ていますが…)。この馬も本来は先行して2勝を挙げているのですが、その勝った中京2歳Sもあまり強調できるメンバー構成ではなかっただけに、前走6着とはいえここでパフォーマンスを伸ばす要素は見当たりません。
[5]⑩ソングライン(池添)
桜花賞ではメイケイエールの被害に遭い不完全燃焼の15着。中3週での参戦は気にはなりますが、母ルミナスパレードは全5勝のうち2勝が中1週で連闘でも1勝しており間隔が詰まること自体は問題ないでしょう。このコースでは昨年未勝利戦を勝っていますが、1.34.1という勝ち時計はソダシのアルテミスS(1.34.9)をも上回り昨年の同コースの2歳戦では最も速いものでした(サウジアラビアRCが不良馬場だったのでその点は参考外ですが)。美浦に池添Jが駆けつけて最終追い切りを行っており仕上げも抜かりなし。速い流れを前から差し込んだ紅梅Sの内容はメンバーレベルを差し引いても評価でき、牡馬に対し2kg貰いと考えれば時計面でも十分伍せると見ます。
[6]⑪ヴェイルネビュラ(戸崎)
勝ったジュニアCはリステッドとはいえそのほかの馬が1勝クラスも勝てていないようにメンバーレベルはかなり微妙でした。時計面でも強調できる点はなく、百日草特別(5着)の内容を見ても速い上りが求められる展開では厳しそうで。
[6]⑫ランドオブリバティ(石橋)
折り合い面の不安からマイルに路線変更を試みる今回ですが、乗り慣れた三浦Jを下ろすことに加えてスピードの絶対値に不安が残ります。半姉にはリバティハイツがおりますが父はキンカメで、全兄弟の2頭は中央未勝利。そのうちの1頭、ジュベルハフィートはマイルで結果が出ず中距離で好走しており、本質的な適性はやはり2000m前後と見ます。
[7]⑬ホウオウアマゾン(武豊)
レース中にトモを捻った朝日杯(9着)以外は完璧に走れており、前走もペースがそれほどでもなかったとはいえ完勝と言える内容でした。デイリー杯でもレコード決着のタイム差なし2着と時計面の対応も問題なさそうです。但し気になるのは、脚元を気遣ってかあまりハードに追えていない点。デビュー以来ほぼ毎回速い時計は直前の1回のみで、矢作師曰く前走は「ようやく間に合った」とのこと。今回も「ここまで来られたことが嬉しい」というニュアンスの発言をしており、中2週で絶対的な調教量も限られ輸送もある今回は不安要素も込みでの一戦になりそうです。
[7]⑭ショックアクション(田辺)
夏の新潟で勝ち上がり、新潟2歳Sも制しましたがここ2戦が案外。デビューからの3戦は前半の半マイルの時計が47秒以上で③①①着、対してここ2戦は半マイル45秒台の入りで⑬⑪着。ペースの変化に対応できていない様子で、過去のNHKマイルCを見るとおよそ46秒台くらいにはなりそうですがそうなると今度は33秒台前半くらいの脚を使わないとこの馬の位置取りでは厳しくなりそうで、大雨などで時計を要するコンディションになれば一考、という程度でしょうか。
[7]⑮シュネルマイスター(ルメール)
2勝目を挙げたひいらぎ賞が、道中5番手を追走し最速の上りをマークした完勝と言える内容。弥生賞でも2着と健闘しましたが、道中の位置取りで着を拾った感が強く適性はマイル寄りでしょう。1週前も最終もウッドで抜群の動き。もう一枚時計を詰める必要がありますが、型通りの成長を見せればここでも通用する素地はありそうです。
[8]⑯ロードマックス(岩田望)
昨年6月に新馬勝ち、京王杯2歳Sでも2着と健闘しましたがそこから尻すぼみ。左回りのマイルは適条件ですが、前走を見る限り2歳時からの成長に乏しく、馬体も増えてこないとなるとよくなるのがまだ先か既にピークを迎えた可能性が高く、ここでの強調材料には乏しいと見ます。
[8]⑰グレイイングリーン(武藤)
2走前の内容が秀逸です。内に押し込められ4角では一瞬ブレーキを踏みかける場面がありながら、内目に進路を取りノーステッキで鋭く伸び快勝。1400mで1.20.5の持ち時計もこのメンバーに入れば3番目にあたります。新馬戦を勝った松山J曰く「跳びが大きく奇麗な走りをする」と評しており、重馬場でノメって最後ちぐはぐになった前走は参考外。鞍上の武藤雅Jが今年の芝レースで(0,2,4,54)というのは心もとない(追記:日曜の東京3Rで勝利)ですが、「良馬場」「外回り」「大箱コース」「外枠」と走れる条件はそろっており、能力全開の舞台で台頭があっても驚けません。
[8]⑱ピクシーナイト(福永)
前走は途上のデキで止まってしまった格好ですが、既に賞金が足りており3週間後に関東遠征することを考えればそれでもよかったと言えるでしょう。但し割と展開が向いた中の重馬場で残せなかったのは血統(母ピクシーホロウは全3勝中2勝が北海道)を考えても少し物足りなく、さらに今回音無師は控えることを示唆しています。勝ちきれない馬を控えさせるのは音無厩舎の常套手段ですが、アンビシャスの例が示す通り持ち味を殺すこととも表裏一体です。モーリス産駒が切れ味に振り切って良績を残したサンプルが乏しい現状では、全幅の信頼を置くにはまだ心もとないかというのが正直なところです。
<予想>
◎ソングライン
○バスラットレオン
▲グレイイングリーン
△ルークズネスト
△グレナディアガーズ
△ホウオウアマゾン
△シュネルマイスター
ソングラインの前走については「不利があったことに気づいていない派」と「不利があったことは認めるが仮になかったとしても勝ち負けになっていたとは思わない派」が多数を占めている状況で、思った以上に人気していないというのが正直なところです。ただ、向こう正面での不利を受け馬も人も気持ちが切れてしまったことが大敗の要因であり、最後まで気持ちを切らさずに走れれば好走可能であったというのが自分の見立てです。
バスラットレオンは本来控えてもいいクチで、ルークズネストを内に置けるこのポジションは絶好と言えるでしょう。先行争いに早々と決着がつき34秒台後半~35秒台で入れれば、直線では突き放すシーンもあるでしょう。
以下はかなり順位付けが微妙でしたが、舞台変わりのプラス要素の大きさでグレイイングリーンを3番手に。買い方自体は△4頭と変わりませんが、◎○▲決着を期待する馬券も少々。
■新潟11R ムイトオブリガード
長期休養がありそこからの3戦目ですが前々走はダート、前走は右回りで度外視できます。もともと東京で3勝+アルゼンチン共和国杯で②①着しているように左回りのほうが走れる馬で、重賞参戦後ずっとG2以上のレースに使われてきましたが今回初のG3戦で相手関係も大きく易化するとなれば狙いどころはここでしょう。
■中京11R スギノヴォルケーノ
2018年以降の成績で、松若Jはこのコースで(3,4,1,28)で単回136/複回113と優秀な成績。さらにロードカナロア産駒も同じ期間で(12,5,6,24)で単回124/複回101となっており「中京1200mで買い続ければ儲かる騎手×種牡馬」の組み合わせがこの馬です。2か月ぶりの前走はダートで度外視。2走前の北九州短距離Sも差し決着を0.6差8着と踏ん張っており、被されない外枠からスムーズに運べればここでも通用の可能性はありそうです。
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