なかなか考えさせられるメンバーが揃った今年のかしわ記念。5連休の最終日とあってここで取り返そうと意気込むファンも多そう(自分もそのクチですが)で、じっくり全頭の可能性について考えてみようと思います。
[1]①タイムフライヤー(川田)
フェブラリーSをコンディション不良で回避し3か月ぶりの一戦。ただ今回の舞台適性は高そうだと見ています。昨年の夏にダートで2連勝(マリーンS→エルムS)していますが、小回りの函館+3角からの加速が鍵の札幌で勝ったのは大きく、最内枠+スパイラルカーブで4角がきつい船橋という特性にマッチする戦歴と考えます。今回は前に行きたい馬も多く、労せずして2番手集団のインを取れそうな点も好材料。
[2]②サルサディオーネ(矢野)
中央時代から左回りに強く、開催4場のうち左回りが3場ある南関移籍は大正解でした。控えると味がなく、他がどんなに速くてもハナを主張した方が良いタイプで今回もこの枠なら行くでしょう。但しダートは牡馬混合戦と牝馬限定戦ではレベルの差が大きく、仮に行ったとしてもワークアンドラブとの競り合いは必至で、カジノフォンテンのプレッシャーも受けながらの逃げは決して楽ではないでしょう。
[3]③カフェファラオ(ルメール)
力の違いで押し切った新馬・ヒヤシンスSを除いて、重賞では「テンのペースが上がると好走⇔落ち着くと凡走」という傾向が見て取れます。
・前半3Fタイムと着順
ユニコーンS(1着)12.1-10.9-11.2→34.2
JDD(7着)12.2-11.4-12.3→35.9
シリウスS(1着)7.2-11.0-10.9-13.1→35.7(1900m戦のため推定)
チャンピオンズC(6着)12.7-11.1-12.7→36.5
フェブラリーS(1着)12.5-10.8-11.4→34.7
「コーナー2回のコースで不安」という話がありますが、この馬の場合折り合い面の懸念からテンのスピードが出やすい東京のようなコースのほうが相対的に能力を発揮しやすいという考え方ができます。実際、同じ中京でも1900mのシリウスSを勝っていながら1800mのチャンピオンズCで敗れたのは、スタート位置が100m1角にズレることで前半のペースが緩んだことが原因と考えています。
前走のフェブラリーステークスはスタートが芝のうえ前半のスピードが出やすいコース形態で、さらに被されたくないエアアルマスが最内に入ったことでハナを主張し、それをワイドファラオが追いかけたためにテンが34.7と流れ、芝馬のエアスピネルが2着、1400~1600mで結果を残していたワンダーリーデル、レッドルゼルが3,4着したようにスピードが求められる決着になりました。流石にチャンピオンズCと2秒もペースが変われば折り合いの不安も無く、能力全開で勝てたという話です。
よって、今回ペースがどうなるかという点が鍵になります。
船橋1600mコースはホームストレッチの中腹あたりからのスタートで、最初の直線部分は250mほどしかありません。その形状もあってか、過去5年のかしわ記念の前半3Fタイムは「36.8」「37.0」「36.6」「36.6」「37.2」と、中央のそれなりのメンバーが出ても36秒台後半に落ち着きます。
逃げそうな馬を見ると、サルサディオーネは昨年12月のクイーン賞(Jpn3)を35.8で逃げ切っています。但しこのレースは船橋1800mコースで行われており、最初の直線を目いっぱい使ってダッシュをつけてこのタイムです。カジノフォンテンは2019年に船橋1600mの平場で35.9で逃げ切って(2着に2.9差の圧勝)いますが、これも不良馬場でのタイム。いくらこれらの馬がやりあったとしても流石にテンが34秒台になることはコース形状からも考えにくく、インティも控える戦法を示唆していることを踏まえると、カフェファラオにとっては「辛抱ならない」ペースになりそうな懸念があります。
[4]④ワークアンドラブ(森泰)
10戦連続でコンビを組んでいた笹川Jが「家事都合」のため4月下旬より休業中。森Jがまたがるのは2年ぶりという点に加えて、この馬左回りでは全くと言っていいほど走りません。南関移籍後も大井を中心に走っており、他場は重賞などよほどのことがない限り遠征しないのですがそれでも(0,0,0,3)。昨年の川崎マイラーズでは初の川崎コースで合流地点であわや4角を逆走せんとばかりに逸走した経歴もあり、本質的に左回りが合わないと思われます。
[5]⑤ミューチャリー(御神本)
直前追いではかなり意欲的に追われましたが、アクションの割に時計はさほど出ておらず後ほど紹介するカジノフォンテンの馬なりの調教時計のほうが良かったくらいです。フェブラリーSでは7着と健闘を見せ、ソリストサンダーやサンライズノヴァに先着するなどこの中に入っても決して見劣りするポテンシャルではないのですが、この馬が台頭できるのは上りが38-9秒くらいかかるか、入りが38秒くらいゆったりしたレースに限られているので、そのどちらにもならなさそうな今回は厳しいと見ます。帝王賞でメンバー次第では…といったところでしょうか。
[5]⑥カジノフォンテン(張田)
先ほどのミューチャリーがいっぱいに追われたのに対しこちらは馬なりでこのタイム。状態面の問題はなさそうです。
あとはペース。前走の京成杯グランドマイラーズでは同じコースで前半3F36.9を刻んで逃げ切りました。但しこれは「地方ではこのペースでついてこられる馬はいないだろう」という自信の下に今回のテストのような形で走ったものと推察します。クビ差2着のタービランス自体も強い馬なので接戦だったこと自体は気にしなくてよいと思いますが、今回は同型もおり中央勢の突き上げもヤワではないため、惑わされずに自分のペースで行ってどこまで、というレースになるでしょう。
[6]⑦ドーヴァー(東原)
ダートでは(0,0,0,5)。中央時代の1戦も含め1秒以上負けており、メンバーレベル以前に根本的にダートは合わないと見ます。
[6]⑧ワイドファラオ(福永)
昨年はメンバーにもペースにも恵まれての逃げ切りでしたが、今年は同型も少なからずおり、前走もそうですが競り合う形になると脆さがある馬なので今回も楽な競馬は望めないでしょう。
[7]⑨メイショウオオゼキ(石崎)
地元名古屋の自己条件でも2秒以上負ける現状では、ここでの通用可能性は見いだせないとしか言えません。
[7]⑩インティ(武豊)
被されたり競りかけられると駄目な馬なのでこれまでは逃げて結果を残してきましたが、元来スタートは良い方ではなく前走のフェブラリーSでもゲートを失敗し後方から。それでも後方外を回して脚を伸ばし0.7差の6着に食い込んだあたり、力の衰えは見られないと考えてよさそうです。
陣営は今回控える競馬を示唆しており、中間の調教では馬を前において追いかけさせる形で走らせてもいました。被されたり競りかけなければよいと考えれば、ソロっと後方から出していくコパノリッキー戦法で行く可能性も十分考えられ、前走ほど離されずに追走できれば間に合う可能性も十分に想定できます。
[8]⑪ソリストサンダー(戸崎)
この馬の全5勝はダート1200mが2勝、1700mが3勝。1700mがあるコースはローカルで早めの動きだしが求められ、地方のコースには合っていると言えます。武蔵野Sの2着はありますが差し決着に恵まれてのもので、本来直線向いての決め手勝負では分が悪く前走の大敗も致し方ないものでした。ミューチャリーにすら先着できなかったのは負けすぎとも言えますし、本来なら先月のオアシスSに使う予定が除外でここへ参戦という過程からも万全というのは難しいですが、南関を知る戸崎Jに乗り替わりとくれば軽視はできないでしょう。
[8]⑫サンライズノヴァ(松若)
左回りのマイルは大得意な馬ですが、前走(フェブラリーS=11着)が案外でした。いつもならレースの上りマイナス1秒くらいの末脚を使って追い込んでくるのですが、その前のチャンピオンズC(12着)を含めここ2戦はレースの上りと同じだけの時計しか出せておらず、かつての末脚が影を潜めています。
何か原因があるのかと思いましたが、音無師は「今回は積極策で行く」と言及するのみで「これまでの戦法では間に合わない=近2戦の大敗は切れ味の衰え」を暗に認めているともとれるコメント。出していくと末が甘くなる馬で、大外枠の今回はかなり厳しい戦いを強いられるでしょう。
【予想】
◎タイムフライヤー
○インティ
▲ソリストサンダー
△カフェファラオ
△カジノフォンテン
がっちりインを確保できそうなタイムフライヤーから入ります。差しの実力は未知数も実績上位のインティ、舞台変わりで前進見込めるソリストサンダーを上位に取り、ペースの不安のあるカフェファラオ、プレッシャーが増すカジノフォンテンは最悪馬券圏外まで想定して組み立てたいと思います。
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