[1]①アオイクレアトール(内田博)
このコースで(3,3,2,0)と堅実に走れており、昇級初戦となった前走のキャピタルSでもここに出ていれば1番人気であっただろうプリンスリターンに0.3差の③着とクラスのめどをつけています。ただし速い脚が使えるタイプではないためある程度の位置につけて前が止まるような馬場・展開になることが理想で今の速い時計の出るコンディションはどうかというのと、内田博Jはマイルとそれ以外で信頼度が変わってくる点も気がかりです。
上記は2019年以降の芝での距離別成績で、最も騎乗機会の多いマイルでの勝率が根幹距離の中では最も低く、1400mや1800mと比べても下回っています。内田博JとG1を勝ったコンビといえば、ゴールドシップやノンコノユメに代表されるようにとにかく「追って追って」という馬が多く、ズブかったりブレーキのない馬には手が合っている一方で「押し引き」が必要なレースを苦手にする傾向があります。
1400mまでの距離は比較的ひと息で行き切ってしまえることが多く、逆に1800m以上では構造上コーナーが4つあることがほとんどなため自然と息が入るようになっています。1600mは多くの場合ワンターンで、行き脚と溜めのバランスが必要なためこの点の加減が上手くできないと直線でガス欠、ということになってしまいます。マイルでの戦績がへこんでいるのはそうした特性に起因していると考えます(中央の芝マイルG1は3勝していますが、ペースを落とさずに行き切って勝てるヴィルシーナと追い込み一手のピンクカメオなので押し引き不要のレースと言えます)。
前走は外枠でスタートが決まらなかった分前に壁ができ、ラストの切れを引き出せた側面もありました。最内を引いた今回、馬群に囲まれて溜めは作れそうですがそうなると重賞で差し切れるだけのキレはないとみているだけに…
[2]②ワールドバローズ(和田竜)
全4勝は中京でのもの。馬柱はキレイですがここ7戦はマイルにして前半4Fが47~8秒台と緩い流れを番手で進めたレースで着順をまとめられています。小頭数のレースも多く前走の長篠Sは7頭立て。現状重賞で通用するだけの力量は見出せず、人気先行の感もあり今回は様子見が妥当と見ます。
[2]③ディアンドル(石川)
スムーズに行けると強い一方で、早めに来られたり被されたりするとやる気をなくしてしまうタイプ。前走の京都金杯ではブリンカーを装着し外目から運びましたが、早めに他馬に来られたうえ直線入り口で挟まれ戦意喪失のシンガリ負け。その前の福島記念もパンサラッサに行かれてしまい早めに寄られる展開で⑬着とここ2戦は自分の形に持ち込めていないことが敗因でした。
昨年のヴィクトリアマイルで0.8差(②着馬とは0.1差)の④着、福島(新潟)牝馬Sで逃げ切り勝ちを収めているように「ワンターンの左回り」は絶好の舞台。早めに来られない、という意味では直線が長く後続の動き出しが遅い東京は特性的にも向いています。ブリンカーを外して臨む一戦、速めの時計が出る今のコンディションならこの馬のスピードが活かせるでしょう。
社台系クラブの牝馬は6歳の3月で引退。とはいえ最近の繁殖事情を考えれば、遅くとも2月の頭までには引退して体づくりの時間を取りたいところ。相手が強くなることを承知でここに使ってくるとなると、恐らくこれがラストラン。スタートさえしっかり決まればこの相手でも遜色は無いはずで、舐められた人気なら狙う価値はあると見ます。
[3]④マルターズディオサ(松岡)
好位をうまく立ち回っての好走パターンが多いだけに内枠を引けたのは良いですが、乗り難しいところがあるので田辺Jからの乗り替わりは歓迎ではないうえ、55kg以上を背負って③着以内に入ったことがないだけにこの斤量が堪える可能性があります。
[3]⑤トーラスジェミニ(横山武)
前走の京都金杯では全くやる気を見せず⑬着。4角3番手以下では(0,0,0,6)という馬につき注文を付けてでも行くのがスタイルですが、3走前の札幌記念の時にも指摘しましたが冬季は絞れにくいため凡走傾向が見られます。今回は調教段階からブリンカーを装着し、陣営の言う通りメンタルの問題であればここで一変の可能性もありますが上記の理由であれば根本的に暖かくならないと難しいでしょう。
[4]⑥ファインルージュ(ルメール)
前走の秋華賞では小差の②着。内をうまく立ち回ったアカイトリノムスメとは位置取りの差が出た印象で、この馬自身も理想通りのレースはできていました。前半61.2というペースを考えれば阪神内回りで4角10番手はかなり厳しく、それを外を回して前に迫った内容は勝ちに等しいと言えるでしょう。
クラシック戦線での走りを見ても現状1600~1800mがベストで、木村哲厩舎に戻ったこともあり天栄仕上げの初戦なら身体は出来ているでしょう。ただしこの中間はツメの不安と付き合いながらの調整を余儀なくされており、寒い時期で乾燥もあることからやや番組ありきの参戦に映る点は気がかりで、あくまでヴィクトリアマイルを見据えてということを考えればここは無理をして勝ちに行く状況ではないだけに。
[4]⑦ケイデンスコール(石橋脩)
G2を勝ってしまったため使える番組が限られ、ここも59kgを覚悟のうえで適鞍を狙ってきたという格好でしょう。調教自体は動けており、2走前のマイルCSも同水準で走れていた中0.7差の⑩着。メンバーを考えれば健闘の部類と言えますが、最近は斤量なのか年齢なのか位置を取れなくなっているのが気がかり。得意の左回りマイルに戻るのは良いですが、59kgを克服できるかも課題です。
[5]⑧ドナアトラエンテ(M.デムーロ)
この馬もサンデーRにつき来月までで引退となり、東京に良績が集中していることを考えてもここが実質的にラストランになりそうです。昇級後は福島(新潟)牝馬Sでタイム差なしの②着、府中牝馬Sで0.3差④着と左回りの重賞でのみ走れており、舞台適性を踏まえての参戦でしょう。
但し、乗り難しさのある馬でスタートの期待値が高くないデムーロJのテン乗りというのはリスクもあり、あとこの馬の場合調教パターンも微妙に好走パターンに影響していると見ています。
昇級後の最終追い切りを見ると…
府中牝馬S 南W併せ 内 ④着
クイーンS 函館W併せ内 ⑪着
福島牝馬S 南W併せ 外 ②着
中山牝馬S 南W併せ 内 ⑨着
併せ馬では外を走ったほうが当然コースロスは大きく、その分負荷をかけることにもつながります。国枝厩舎はトラックコースでの併せ馬を多用することで有名ですが、ドナアトラエンテの場合は併せ馬の外で負荷をかけられる時の方が好走しており、陣営のコンディション評価とリンクしていることが考えられます。
今回の最終追い切りは南Wで併せ馬の内。状態に関するトーンも上がらずで、無事に帰ってくることが最優先でしょうか。
[5]⑨カラテ(菅原明)
坂路で52秒台のラップで動けた前走のニューイヤーSを58kgを背負って差し切り。元々昨年もこの時期に3連勝したように冬場は得意なようで、加速ラップを踏んで登坂出来ているのも好調の証拠。昨年の方が出来は良かったと思いますが、相手関係も大きく変化のないことからここも順当に上位争いでしょう。
[6]⑩エイシンチラー(柴田大)
古馬相手に条件戦を勝ち上がっていますがいずれも52kgでのもの。リアルインパクト産駒らしく左回りのワンターンは合っており、3走前の三面川特別のようなレースが理想ですが現状の東京マイルでは大外一気は決めにくく、溜めを作ることの難しい柴田大Jがテン乗りとあっては手は出しにくいです。
[6]⑪イルーシヴパンサー(田辺)
ペースの異なるレースを差し切っての3連勝は評価でき、前に馬を置くと一生懸命走る一方抜け出して甘くなる面があるようでメンバー強化しても相手なりに走れているのと表裏一体と考えられます。馬場の良い今の段階であればうまく馬込で目標を置いて走れそうで、離され過ぎずの追走ができればここも勝負になるでしょう。
[7]⑫ヴェロックス(三浦)
メンバーレベルを落とした分大崩れせず走れていますが、流れ込むだけのレースが続いている現状。有利不利バイアスの少ない今のコースコンディションでは、よほど恵まれないと厳しいでしょう。
[7]⑬ホウオウアマゾン(坂井)
控えても良い馬ですがこの枠では後手を踏む可能性があるうえ、当初春まで休ませる予定だったのが急遽の参戦というのも気になります。本来調整の難しいところがあり輸送のないマイラーズCなどが目標であったと推察されますが、わざわざ中5週で東京に連れてくる意図が見えずで。
[8]⑭カテドラル(戸崎)
この枠ですので思い切って下げて前に壁を作りながら進むことになるでしょう。2走前に京成杯AHで見せたように坂を上がってから前を捉えられるキレを持っている馬で、極端なスローが見込まれないこの舞台は再度好走可能と見ます。
[8]⑮カレンシュトラウス(津村)
前走はレース中の鼻出血で参考外。今回は改めての力試しとなりますが、この中間は肺を気遣っての調教となっており動きは良くても中身ができているかが微妙なところ。鼻出血は再発のリスクも高く、レースで動けることを確認してから手を出してもよさそうです。
<予想>
◎ディアンドル
○カテドラル
▲カラテ
△イルーシヴパンサー
△ファインルージュ
■東京7R ライヴクラッカー
ホッコータルマエ産駒は東京ダートで(10,7,5,56)、単回316/複回163と抜群の相性。挙行数の多いほかのコースとの比較でも、阪神と並んで高い信頼度がうかがえます。
ライブクラッカーの前走は直線でやや窮屈になる位置取りから進路を探しながらの④着。ひと叩きして東京ダート1300mに出してくるのは初勝利を挙げた7走前と同様のローテーションで狙ってのもの。津村Jへの手替わりも含めてここは走りごろでしょう。
■小倉10R/由布院特別 マイネルレンカ
現代ではダートでのみ挙行される1700m戦は全てローカル開催のため、その条件で好走する馬というのが少なからず存在します。マイネルレンカはこれが50戦目ですが、過去ダート1700mに使ったときは⑤④④③①着と崩れていません。4走前に勝った福島戦はうまく4角から助走をつけての差し切りで、コースロスを抑えられる最内枠は好材料。富田Jはこのコースの勝率は低いながら単回102/複回92と人気薄での好走が目立ち、53kgのハンデも後押しに食い込みを期待したいです。
■小倉12R シシリエンヌ
小倉芝1200mの好走条件となる「新潟芝1000mでの好走歴」を持ち(19年5月に未勝利戦を③着)、このコースでは勝てていませんが0.2差⑧着、0.4差③着と現級でも小差の接戦を演じています。道中はロスなく進み最後に外に出す形が理想で、好枠と52kgで牝馬限定戦なら差はないでしょう。
■東京12R グローサーベア
昇級後やや低迷していますが、折り合いを重視して意図的に抑える競馬を試していました。元々は先行策で勝ち上がった経緯もあり、今回は陣営が「馬の気に任せる」と宣言。1300m戦にしては珍しく見たところ前に行きそうな馬はほとんどおらず、スタートしてすぐにコーナーになる東京のコース形状もありスムーズに前目につければ一変があっても。
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