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2022年5月29日日曜日

【5/29(日)予想】日本ダービーの全頭評価とねらい目レース(清津峡特別、目黒記念)

■東京11R/東京優駿(日本ダービー)

[1]①アスクワイルドモア(岩田望)

前走の京都新聞杯は前半58.2といかにも中京2200らしい前傾戦になり、後方のインでじっと待機し直線で外に出して差し切り勝ち。理想的なレース運びでしたが、戦前の評価で述べた通り本来キレを殺される急坂は向いてないと見ており、ここがベストパフォーマンスではないと考えられる中でレコード勝ちするとは正直驚きました。その際に紹介したデータも語っている通り、キズナ産駒は「平坦な大箱」向きでありこの舞台替わりはプラス。距離に不安の少ないタイプがこの枠を取れたのも大きいです。

そもそもダービーが内枠有利と言われる所以は、距離経験の少ない馬同士の争いにおいて好位を立ち回れる確率が高いという点にあります。逆に内枠を引いても出遅れて引いてしまうようでは全く意味はありませんし、ワグネリアンのように外枠でもしっかり位置を取れれば勝てるわけです。今回はデシエルトが位置を取りに行くことは確実で、多少出が悪くても息子のためなら岩田康Jは勝負度外視でハナを叩くでしょう。デシエルトをビーアストニッシドとロードレゼル、アスク2騎が番手で追いかける形が理想で、そこに入れれば最もうまく脚を溜められそうな期待はあります。

もう一つ、この馬を推したい理由に「暑さ耐性」が挙げられます。

ダービー当日の府中市は最高気温31度と真夏日予想。メンバーの中でこの猛暑を経験したことのある馬は少なく、中でもアスクワイルドモアが未勝利戦を勝った昨年8/7の函館市はフェーン現象の影響で9時台から30度を超える暑さ(内陸部はまだしも海が近い函館で朝からここまで暑くなるのは稀です)で、推定31度前後の環境の中を走り切った経験があります。人間もそうですが熱中症というのは温度変化に適応できないことで起こるわけで、そもそもなるべく酷暑を避けて育成期を過ごしてきた競走馬にとって、その暑さを経験してないのであれば心身に不調をきたしてもおかしくはありません。幸いこの馬は真夏日に勝った経験があり、こうしたリスクが少ない点もポイントです。

[1]②セイウンハーデス(幸)

前走のプリンシパルSは向こう正面で掛かり気味に進出する馬が何頭かおり、3角からずっと11秒台を刻む先行勢受難の流れを苦にせず押し切りました。但しペース自体は59.9-59.1とさほど速いわけではなく、上位に来た馬は1勝クラスすらまともに勝っていない差し勢ばかり。まだ素質だけで走っている段階で、中2週での再輸送のハードルも低くはないでしょう。

[2]③アスクビクターモア(田辺)

前走の皐月賞では押し出され気味にハナに立ち⑤着。戦前に懸念として述べた通り、揉まれるよりは行ってしまった方がいいという判断ではありましたが結果的に馬場の悪いところを通らされてしまった分着を下げてしまいました。それは仕方ないにしても、勝ったレースはいずれも中山で最大でも13頭立て、しかも外枠で上手く立ち回れた分も大きく、キレ勝負の東京は不向きな懸念があります。

[2]④マテンロウレオ(横山和)

元々前走の皐月賞の時点で、中3週の再輸送にも拘らずだいぶ意欲的に追っており昆厩舎の勝負気配を感じていたのですが緩い馬場は合わずで⑫着。東京替わり、距離延長自体は見直せるものの流石にまだ3歳春のハーツクライ産駒がこの強行軍に耐えられるのかと言われると…

[3]⑤ピースオブエイト(藤岡佑)

前走の毎日杯は雨による馬場悪化が進む中でのレースで、伸びどころを掴みかねる馬が多い中で藤岡佑Jは冷静に進路を取りながら運び最後まで走り切らせました。素質だけで勝ったレースである一方で相手関係に恵まれたことは否定できず、例年のような好メンバーには程通いレベルであったことは認識する必要があるでしょう。

[3]⑥プラダリア(池添)

前走の青葉賞は内枠から壁を作り運べた分もあり快勝。但しレースの流れである前半58.9は暴走気味にハナに立ったディライトバローズの刻んだもので、単独2番手のロードレゼルで60秒、3番手集団のトップであったオウケンボルトで61秒くらいでしょう。スローの割にじっくり構え、人気のレヴァンジルをぴったりマークし抜け出したのは良かったですが、ロードレゼルがお行儀よく走り自分のペースを守れていたらもっと際どかったかもしれません。

青葉賞の見解で「前半が緩みラスト3Fの勝負になるトライアルの方が向いている」という話をしましたが、上記で語ったように見かけ上のペースは速かったですが実質的には61秒程度の前半でしっかり溜めを作れたというのが勝因でもありました。悪くない枠を引けはしましたが、メンタル面の課題も残す馬で中3週の再輸送、青葉賞の3倍以上の観衆でどうなるかは不安が大きいです。

[4]⑦オニャンコポン(菅原明)

前走の皐月賞は1角手前でイクイノックスにカットインされ位置を下げる不利もあり⑥着。とはいえあの程度の不利は頻繁に起こりえるレベルで、終始馬場の良い外を通ってこの結果はやはり一線級とは差を感じざるを得ない結果となりました。そもそもエイシンフラッシュ産駒は現3歳まで含めて458頭が登録されていますが、重賞を勝ったのはこの馬だけ。上級戦にからっきし弱い傾向があるうえ、早枯れ傾向のあるヴィクトワールピサを母父に持つ血統背景からは3歳以降にパフォーマンスを伸ばす絵は描きにくいです。それゆえに800万円(税別)という手ごろな価格で購入できたわけですが、このオーナーの相馬眼と強運にはただただ恐れ入るばかりです。

[4]⑧ビーアストニッシド(和田竜)

前走の皐月賞は同型にポジションを譲る形にもなり、内不利のコンディションもあって⑪着。今回は前走時に指摘した調教を手控える様子もなく状態は上がっていますが、元々1600~2000mを主戦場としている馬でここはかなり我慢させて走る必要があり、気分良く先行と行かないあたりがどう出るでしょうか。共同通信杯も渋った馬場に助けられた側面があり、良馬場の決め手比べとなると厳しいでしょう。

[5]⑨ジャスティンパレス(M.デムーロ)

前走の皐月賞では伸びあがるようなスタートで後方から。外を回して⑨着まで押し上げてはきましたが、やはり使える上りに限界のあるタイプで最後は流すようにゴール。中山であの位置になっては厳しかったです。この中間も前走同様に1週前に速い時計を出し最終は持ったまま。それでも3頭併せの真ん中で脚色優勢で併入ですから十分でしょう。半兄アイアンバローズは2400mで3勝しており血統の裏付けも問題なし。スタートがカギですがそこを克服しさえすればチャンスはあるでしょう。

[5]⑩マテンロウオリオン(横山典)

いわゆる「マツクニローテ」。前走のNHKマイルCでは外差し馬場を冷静に運んでの②着確保でしたが、その際にも述べた通りここ3戦は鞍上のコース取りに助けられての善戦というのが大きかったです。但しそれができるのはこの馬の適性範囲だからこその話で、厩舎の先達であるディープスカイのようにマツクニローテで結果を残した馬はもとよりローレルゲレイロ(07年⑬着)でさえ2走前に皐月賞を使っての臨戦でしたが、この馬はそもそも2000m以上は未経験。再度の外差しがハマるにしてもスタミナの裏付けを持つ馬も多い中でダイワメジャー産駒にここでどこまで期待できるかと言われると…

[6]⑪ジャスティンロック(戸崎)

皐月賞の本馬場入場でフジテレビの青嶋アナが「長距離砲」と形容していましたがまさにそれが相応しく、2勝を阪神で挙げている点からも坂下からの加速を使って脚を使う形が合っています。ただ気になるのがその2戦含め好走歴はいずれもスローペースで頭数が落ち着いたレース。相手関係に恵まれた側面もあり、良い脚は持っているのですが流石にこの舞台では溜め切れるだけのペースにはなりにくそうで。

[6]⑫ダノンベルーガ(川田)

前走の皐月賞は懸念が当たり、ジオグリフに終始蓋をされ外に出そうにも出せない厳しい展開。位置的に早めに脚を使わざるを得ない中、最後まで見せ場を作った内容は評価できるものでした。元々予定になかった皐月賞参戦でいろいろな憶測を呼びましたが、この馬の能力の高さを証明するには十分な内容だったと言えるでしょう。

問題はそこからここにお釣りを残せたか。陣営もそれはわかっていたはずですが、堀師のコメントでは「基礎体力など全体的に底上げができた」という何とも評価しにくい言い回し。一方1週前追い切りの川田Jは「変わらずに来られていることが何より」と言及しており、暗に上積みは無いことを認めています。どうも引っかかるのが、輸送も無いのに最終が軽めの前提であったこと、そしてそこに川田Jが居ないこと(囲み取材のコメントも無し)。ゴドルフィンと並び川田JがVIP待遇で付き合うダノックスの馬にしてはこんな扱いか?というのが正直な感想です。

東京向きの長く良い脚を持っていることは共同通信杯で証明済で、外差しに回れば当時後塵を拝した馬たちとの逆転も可能と見ますが、状態面で本当に皐月賞を上回れるのか?という点が拭い切れずで…

[7]⑬ドウデュース(武豊)

前走の皐月賞は控えるレースを見せて③着、武豊Jは位置を取りに行っていれば…というコメントでしたがあくまで結果論で、出していけば末を失くしていたかもしれないことを考えればあの位置からこの馬本来のレースは出来たと思います。個人的には2000mまではペースが緩めばマイラーでも伍せるかとは思いますが、流石に2400mとなると能力の絶対値が高くないと克服は難しいでしょう。但し調教では1週前にウッドで50.0-11.2と抜群の動きをマーク。叩き3戦目、調教はソフトも実戦を重ね良くなっていることは明らかで、出来の良さで選ぶならアリでしょう。

[7]⑭デシエルト(岩田康)

前走の皐月賞では馬場入り時点からかなりカリカリしており、スタートも決まらず⑯着大敗。輸送の影響も含み置く必要がありますが、パドックから地上を通って馬場入りできる皐月賞でさえああなるのであれば、距離延長に加え地下馬道を通り大観衆が見つめるスタンド前での発走は明らかにマイナスでしょう。但し、陣営も行き切らないと良さが出ないことは理解しているうえアスクワイルドモアの項で述べた通り鞍上も今回はラビットも辞さないはず。ベテラン勢の中でも中央でしか乗ってない人と違い、岩田康Jはあからさまに馬と喧嘩をしててもちゃんとペースは守らせるタイプにつき無茶はしないでしょうが、まだまだ精神面での成長が(人馬共に)待たれる現状です。

[7]⑮ジオグリフ(福永)

前走の皐月賞ではスタートを決め好位の外を確保。毎年そうですが皐月賞は馬場の良い外を回れた方が良く、その上でしっかり折り合えたのが大きかったです。やはりこの辺りはテン乗りでも流石は福永J。但しノドの不安と付き合いながらレースに使っている以上、鼻出血持ちと一緒でいつ何があってもおかしくありません。実力は認めても明確な欠陥が明らかになっている以上、身銭を切ってギャンブルしている身としては軸としては適切ではないというのが本音です。

[8]⑯キラーアビリティ(横山武)

前走の皐月賞はスタートが決まらずの⑬着でしたが、元々調教の時点から出来を疑問視していたのでさもありなん、という感じの敗戦ではありました。今回の調教もジェラルディーナを外から先行したものの馬なりの相手に並ばれる内容で物足りなさは残ります。加えて前に壁を作って進みたいタイプにつき、この枠をどうこなすかが難しく。

[8]⑰ロードレゼル(レーン)

前走の青葉賞では川田Jが「教えることがいっぱいある」と評した通り、向こう正面まではディライトバローズにお付き合いする格好で11秒台のラップを追走。その分最後は脚が上がりましたが、追い出しをギリギリまで我慢したのが奏功し何とか連を確保。地力の高さは見せてくれました。但しその折り合い難のロードレゼルにレーンJというのは「混ぜるな危険」レベル。短期免許という身分故好き勝手にぶっ放すことはしないかと思いますが、デシエルトを不用意に突いて自滅ペースに持ち込む懸念が。

[8]⑱イクイノックス(ルメール)

5か月ぶりだった前走の皐月賞を叩いて調教の動きも一段と良化。その皐月賞では行きたがる面こそ見せましたが、それなりにペースが流れたこともあり何とか折り合って運べました。個人的には最悪「ダービーの権利が取れれば御の字」と見ていた舞台につき軽視していましたが、上りのかかる中山であれだけやれたのですから陣営がダービーに俄然色気を持つのも当然でしょう。

ただ、先に述べた通り折り合い面は慎重にならざるを得ず、木村師も距離については「伸びてプラスになるとは思っていない」と言及しています。果たして東スポ杯の末脚は有り余る能力の証左なのか、それとも高い距離適性故なのか…父キタサンブラックももとを正せばその父はブラックタイドで、2000mを超えると(0,0,0,3)。本質的にはマイル~2000mが主戦場の血統でしょう。

<予想>
◎アスクワイルドモア
○イクイノックス
▲ダノンベルーガ
△ジオクリフ
△ジャスティンパレス
△ドウデュース


■新潟10R/清津峡特別 スズカフェラリー

ここ3戦はダートを使われましたが、上りのかかる展開が向いているとはいえ脚質的に置かれてしまうため流石にダートでシンガリ一気のハマり待ちはしんどいものがありました。4戦ぶりに芝に戻しますが元々現級では②③着があり流れ一つで通用してもおかしくなく、前走逃げた馬や1000mを使われた馬が何頭かいるメンバー構成のうえ時計も掛かるコンディション。スムーズに運べれば一発も。


■東京12R/目黒記念 マイネルウィルトス

昨年のアルゼンチン共和国杯でオーソリティの②着。ご存じのとおりオーソリティは同レースを連覇しておりこのコースが大得意で、その後ジャパンCでもコントレイルの②着。シャフリヤールに先着したのですから東京2400~2500mでは現役最強クラスと言えるでしょう。そのオーソリティに食らいつかんとしてのレースは十分評価でき、このメンバーの中に入れば引けは取りません。

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