この馬に関しては毎回述べている通り「テンが流れると好走⇔落ち着くと凡走」という図式と捉えています。2走前のチャンピオンズCは3F36.5-4F49.7とペースが落ち着き⑪着大敗、前走のフェブラリーSは34.5-46.8と昨年同様の高速決着で①着とその傾向は変わらずですが、3走前に函館記念を使ったときにもっと速いペースで流れていながら⑨着と走り切れなかっただけに、芝で内枠では実力発揮は疑問符です。
[1]②ヴァンドギャルド(岩田望)
国内では1年半勝ち星がなく、上級戦の高速決着に対応できていません。相対的に時計の問われない海外で好走しているのも頷けます。現状マイルでは1分33秒台の決着にならないと厳しく、年によっては31秒台の決着すらあり得るこの舞台では…
[2]③ロータスランド(M.デムーロ)
前走の高松宮記念は回復途上の馬場コンディションに加え、最後の1Fで時計のかかるこの馬向きの展開が奏功し初距離でも台頭可能でした。ただ2走前の京都牝馬Sはある意味この馬の違った一面を引き出したレースで、雨の影響もある中で前半34.3-後半33.9のラップを2番手から進み押し切り。この時は逃げたアスタールビーが4角でいっぱいになり押し出されるように先頭に立ち早仕掛けせざるを得ませんでしたが、それまで上がりのかかるレースで勝ち星を拾ってきたこの馬自身がレースよりも速い33.8の末脚を使えたことに成長が伺えました。
陣営は「ハナには立ちたくない」と言いながらも今回は距離延長で臨む一戦。好位につけられた時の強さを知っているからこそのローテーションとも言えるでしょう。ハナに立たされた富士S、位置を取れなかったマイルCSは参考外。デムーロJがスタートを決め(←ここが難しい)ホウオウアマゾン、レシステンシアを行かせて3番手を確保し直線でその外に出す運びができれば、前目で脚を使える存在としてはこの上なく恐ろしい存在です。
[2]④ダノンザキッド(川田)
前走の中山記念はスタートで伸びあがるような格好になり参考外。スローで流れてスパッと切れるレースは得意で、ゴリゴリの逃げ馬が居ない今回は展開自体は向きそうです。但しスタートも含めてパフォーマンスが3歳以降上がっていないのが気がかりで、安田隆行厩舎の所属にして直前追いに川田Jが乗らなかったのも気になる点。調教パターンを変えて試行錯誤の跡はうかがえますが…
[3]⑤ホウオウアマゾン(坂井)
前走のマイラーズCでは得意舞台で自分の形に持ち込み②着としましたが、最後の止まり方を考えればやはりマイルでは少し長いと見ます。加えて気性面の問題はいまだに解消せず、2回共に着外に敗れている遠征競馬もプラスではありません。
[3]⑥カラテ(菅原明)
前走のマイラーズCは⑦着。3角から手ごたえが怪しく、最後は脚が上がってしまいました。落鉄の影響があったと言及していますが、それも戦前に指摘した通り暖かい時期になり爪の生育が旺盛になることと無関係とは言い切れないでしょう。今回は転厩後初めて坂路メインの調教を施されてきていますが、本来美浦の坂路を50秒台で駆け上がれる馬が中間のベストが53.0というのはやはり手ぬるいと言わざるを得ずで。
[4]⑦ファインルージュ(武豊)
元々間隔を空けてしっかり準備して結果を出すタイプですが、それはこの馬の特性というより天栄で仕上げることが前提となっているが故でしょう。中2週はキャリア最短で、中4週の秋華賞で④着していますがこれは岩戸厩舎所属時のもの。この中間は馬なり2本で現状維持を優先した調整につき、前走からの上積みという点では疑問符が付きます。但しここ2走が展開不利や進路が無い中で②②着としているのは実力の証明で、前走と同じだけ走れればここでも台頭は可能でしょう。
[4]⑧イルーシヴパンサー(田辺)
前走の東京新聞杯では前に馬群を見ながら理想的な運びができ、直線でも難なく外に進路を確保できた分もあっての高いパフォーマンスでした。それでもあっという間に前を捉えた瞬発力は出色で、ここまでの4連勝がいずれも異なるペース、異なる位置取りというのも魅力。抜け出すと甘くなるところもあるだけに相手が強くなればなるほどパフォーマンスを引き出せるタイプと見え、十分に負荷をかけられてきたこの中間も問題なし。絶対王者のいないここでなら一気の戴冠も。
[5]⑨シュネルマイスター(ルメール)
前走のドバイターフは良いところがなく⑧着でしたが、手塚師曰く調整が上手くいかなかったとのこと。2か月半の間隔でその疲れは取れたとのことですが、気になっているのは「幾らか重い」と言ってる割にはびっしり追われたのが最終の1本だけという点。その1本も舌を出しながら走っており余裕を感じさせる雰囲気でした。やはりビシビシ追われてこその手塚厩舎ですし、実力は認めても今回は完調でない点を割り引く必要がありそうです。
加えて手塚師が「筋肉質になっている」とコメントしているのも引っ掛かります。これまでドイツ血統らしからぬスピードとキレで日本の芝に高い適性を示してきたこの馬ですが、本来の血統らしい馬体に近づいてきたとなると高速決着への対応力という点でどうなるか気がかりです。
[5]⑩エアロロノア(幸)
マイルで前半3Fが35秒を超えないと好走できない馬で、高速決着もさることながらホウオウアマゾン・レシステンシアがそんなペースで辛抱できるはずもなく…
[6]⑪カテドラル(戸崎)
気性的に難しく極端な競馬が合っている割に使える上りに限界のある馬で、レースの上がりが33秒台になってしまうと相対的にキレで劣ってしまいます。乱ペースとまでは行かないであろう今回の流れを考えれば最後の3Fが34秒台以上になるとは考えにくく。
[6]⑫ダイアトニック(岩田康)
前走の高松宮記念はゲートでガチャガチャしている時にスタートを切られてしまい、不完全燃焼の⑭着でした。ただ3走前の京都金杯で最後前を捉えられなかったのはやはり距離かと思わせますし、岩田康Jも中間一度も調教をつけた形跡がなくやる気は感じません。
[7]⑬ソングライン(池添)
前走のヴィクトリアマイルは前残りの展開にも泣き⑤着。ペースが想定以上に落ち着いたこともこの馬にとってはやりにくかったです。元来怖がりで馬群の中を進めるのは得意ではなく、前走は2番枠からのスタートでソダシに前に入られたときに頭を上げたり3角でファインルージュにカットインされて躓き加減になったりと道中もスムーズさを欠いた中での好走ですから価値は高いです。
最終追いでは一杯に追われる併走馬を並ぶ間もなく交わし、1頭になっても最後までしっかり走れていました。気性的な面からもペースが上がり相手も強くなる方が良さが出るタイプにつき、前走からの上積みも考えればここでも主軸を張れる存在です。
[7]⑭ソウルラッシュ(浜中)
西の上がり馬。イルーシヴパンサーと違って東京マイルの経験はないですが、前走のマイラーズCでも前残り決着を外から違う脚で差し切った内容は評価できます。この馬自身は重馬場巧者というよりは「渋ってもマイナスが少ない」タイプと見ていますが、逆を言えばまっとうな良馬場であったときにもっと切れる馬が居てそれに負ける可能性はあるともいえます。前走にしても本来のキレを削がれた人気馬が居た中でのこの結果なので、33秒台の脚が必要になった時にそれを繰り出せるか、ここは力試しの一戦となるでしょう。
[7]⑮セリフォス(藤岡佑)
前走のNHKマイルCでは内枠を引いたこともあり直線では最内を選択しましたが、道中でほしいポジションをキングエルメスに取られた分もあったでしょう。併せ馬に持ち込めなかった中での④着は地力を示した一方で、川田Jがダノンスコーピオンを選んだことも含め、進路優先で行かざるを得なかった点にこの馬の現在地を見た気もします。前走時の見解でも述べた通り、促成栽培によるアドバンテージが薄れつつあるのに加え今度は古馬が相手ですから、この馬に関しては世代戦の戦績をそのまま当てはめて評価することは難しいと考えます。
[8]⑯レシステンシア(横山武)
前走のヴィクトリアマイルは前に行った馬にとっては楽な流れで③着。元々ベストは1400mの馬ですしここはやはり1F長いでしょう。加えて2走前の高松宮記念の時にも触れたように成長力という点で限界が見えつつある現状。どうしても逃げたい馬が居ない分、再び流れが落ち着けば台頭の目はありますが…
[8]⑰サリオス(レーン)
前走で高松宮記念に使った理由について堀師が「マイルでは最後に甘くなってしまう」ことを理由にしていたにも関わらず再度のマイル参戦。個人的にはスタミナの問題というより、マイルの一線級のペースでは脚が溜まらないことが問題で、だから似たような形状でも全体のペースが落ち着く東京1800mが大得意なのだと考えます。実績を考えてもここに回らざるを得なかったのは仕方ないところですしコントレイルという化け物と好走した経歴から未だに人気ですが、正直どの距離に出てきても今のこの馬がG1で勝負になる根拠は見出せません。
[8]⑱ナランフレグ(丸田)
前走の高松宮記念では晴天で内から乾き始めた馬場に加え、重馬場にして最初の3Fが33秒台と先行争いが激化したことでラストの2Fが11.5→12.4と急激に掛かるラップになったことが奏功しました。元々ゴールに向かって加速するラップではなくこのように前が止まる流れを味方につけており直線でも最後の最後に進路が開いて差し切れましたが、トゥラヴェスーラが鼻出血を発症せず走り切れていたらあそこが開いていたかは疑問符です。坂の緩い東京では最後まで加速が続くため、この馬向きの展開にはなりにくい懸念が強いです。
<予想>
◎ロータスランド
○ソングライン
▲イルーシヴパンサー
△ファインルージュ
△ソウルラッシュ
△シュネルマイスター
△レシステンシア
■中京11R/松風月S ロードラズライト
2走前のりんくうSの際にも推奨しましたが、先行争いのさなかに前に入られ馬群もごちゃつき何も出来ずの⑫着でした。前走は1200mで除外続きだった憂き目もあり久々に1400mを使われましたが、やはりベスト距離ではなくむしろ0.5差⑧着は健闘の部類でしょう。元々現級でもレッドルゼルなどの重賞組に交じって3度の③着があるように力量は通用してよく、この中間は岩田康Jが2週連続で稽古(レースでは酒井J)をつけており抜群の動き。使いたいところに使えないダート短距離において順調度は大きなアドバンテージで、メンバーも落ち着いたここは再度狙いたいです。
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