[1]①マテンロウオリオン(横山典)
ポツン戦法に加え元々コース取りの巧さで着を拾ってきている馬で、3走前のNHKマイルCではタイム差なしの②着。但し当時は外差し有利の馬場傾向であり、当然ながら内を通ったダノンスコーピオンの方が評価は高いわけです。前走のスワンSでも意図的にスタートで下げ最後方から大外を回し0.5差の⑦着。距離延長のここは前進が見込めるものの、最内となると一度下げて外を回すロスは大きく、荒れが進行するAコース最終週で直線でも馬群がだいぶ横長になることを考えるとこれを追い込むのは楽ではありません。
[1]②ウインカーネリアン(三浦)
蹄葉炎による1年近い休養を経て馬がしっかりしたこともあり、加減することなく調教を積めているのは好材料。前付けしてひと足、というレースぶりも板についてきました。但しこの3連勝は坂の緩い新潟と開幕週の阪神でのもので、内が荒れた急坂を克服するのが課題です。過去休み明けは(0,0,0,4)でもあり、ぶっつけローテが吉と出るかも未知数です。
[2]③ダノンザキッド(北村友)
この馬の特徴は「速い上りが使えず」「ペースが速いと脚が溜まらず」「かといってペースが遅いと引っ掛かる」という同居の難しい欠点をいくつも抱えている点です。使える上りに限りがあるとなると馬場のいい開催前半や東京・新潟と言った上がりの絶対値を求められるコースには向いておらず、ペースの問題で走れる距離としては1600~1800m程度に限定されてしまいます。
上記を踏まえると、ここ3戦は東京・新潟といった不得意コースで4走前の中山記念は道中ずっと11秒台前半の流れが刻まれペースが向かず。5走前が昨年のマイルCS③着となるわけですが、阪神1600mはスタートから3角に向かって緩やかな上り坂となっており、道中で12秒台の区間ができ溜めを作れるペースになったのが幸いしました。加えて平坦の京都と違い阪神の直線には急坂があり、この馬の末脚でも面倒が見られるのも好都合。となると、これ以降国内の芝1600~1800mのG1でこれらの条件を満たすレースは見当たらず、この馬が再びG1で好走できるとしたら実質的にはもうここしかないわけです。そのものずばりのステップレースがないのでどうしても臨戦過程から人気は下げてしまいますが、昨年の①着馬が抜けるここは純粋に前進が期待できるでしょう。
[2]④シュネルマイスター(ルメール)
初のスプリント戦となった前走は道中ついていけずの⑨着。ここに向けた叩き台としてはまずまずの内容と言ってよいでしょう。昨年のこのレース②着もなかなか進路ができなかった中でグランアレグリアと0.1差ですから文句のつけようはなく、安田記念②着は帰国後体調が整わない中でのレースでした。1週前にはDWで7Fから追われて51.8-11.7を単走でマーク。手塚師が「自己最高の負荷をかけた」と語るほどで今回は体調面の不安も無く臨め、順当に勝ち負けを期待できる存在と見ます。
[3]⑤サリオス(ムーア)
前走の毎日王冠はこれまでこの馬の欠点であった「馬群に突っ込ませられない」点を見事に克服しての勝利。ここに来てのメンタルの成長は著しく、この中間もDWでの最終追いで49.1-11.8をマークするなど出来は絶好。半姉のサラキアも5歳秋に急上昇を見せエリザベス女王杯・有馬記念を連続②着しており、ようやく身体に精神が追い付いてきたと見てよいでしょう。ベストは1800mでしょうが、今のこの馬であれば再度の戴冠も現実味を帯びてきます。
[3]⑥ソダシ(吉田隼)
前走の府中牝馬Sはイズジョーノキセキに不覚を取っての②着。確かに距離は1F長かったかもしれませんが、東京コースは1400~1800mで造りがほとんど変わらずマイラーでも十分勝負になる舞台。格下相手の敗戦は喜べるものではありませんが、今回は当時よりもさらにデキを上向かせており1週前にはCWで49.3-11.3と好時計をマーク。安田記念馬ソングラインらを完封したヴィクトリアマイルの内容、3戦3勝の阪神マイルに戻ることを考えれば、この馬場でも押さえは必要でしょう。
[4]⑦ジャスティンカフェ(福永)
前走の毎日王冠は勝ったと思ったところをサリオスに掬われてしまい②着。この馬のレースは出来ましたが、ベストはやはりマイルかと思わせるレースでもありました。距離短縮はプラスで、あとはこの馬のキレを活かせる良馬場になってくれれば良いのですが水はけの悪い阪神では回復は望み薄で…
[4]⑧ロータスランド(岩田望)
この馬の好走パターンは「前付けできるかどうか」で、4角通過順が3番手以内なら(6,2,0,4)。3走前の高松宮記念はコース取りの妙もあり②着を確保しましたが、ここ2戦はポジションが取れず⑩⑥着。今回はめぼしい先行馬がホウオウアマゾン・ベステンダンクしかおらず3番手は取れそうで、あとは苦手な瞬発力勝負に持ち込まれなければ台頭は可能でしょう。そのためには(3,2,0,0)と得意にする稍重以下の馬場コンディションが望ましく、水はけの悪さに定評のある阪神ですから朝方までの雨が残ってくれればチャンスはあるかと。
[5]⑨ピースオブエイト(C.デムーロ)
前走の富士Sは直線で前と後ろが入れ替わるような差し有利展開の中で④着。マイルへの適性は示したものの、特に不利がなかった中で上位3頭とは明らかに差のある負け方で、さらに相手が手ごわくなるここでは。
[5]⑩セリフォス(レーン)
前走の富士Sでは狙いすましたように末脚を発揮しての快勝。但しG1のようなよどみない流れとなり先行勢が壊滅した中で差し勢の中では一番良かった、という程度の話で、ここはさらに相手が強くなるうえ春の安田記念時に4kgあった斤量差がここでは1kg。中間の動きも格下を余裕であおっていた前走時に比べればソフトなもので、上積みが期待できない中でどこまでやれるかは懐疑的です。
[6]⑪ソウルラッシュ(松山)
直線で進路が無かった2走前の安田記念を除けば位置取り・馬場状態不問で走れている優等生。ただ前走の富士Sにしても3走前のマイラーズCにしても馬場バイアスと相手関係に恵まれた感は大きく、3歳勢との斤量差が縮まる点はプラスもこのメンバーでどこまで、というのは未知数です。
[6]⑫ホウオウアマゾン(坂井)
3走前のマイラーズCは得意の阪神で自分のレースができた分の②着でしたが、ベステンダンクが0.4差④着に残せるような展開で最後に止まってしまったことを思えばやはりベストは1400mと見ます。ここは1F長いうえ、Aコース最終週で内前にやさしくないコンディションでもあり…
[7]⑬エアロロノア(武豊)
2走前の安田記念の時にも指摘したとおり、前半が緩いレースでないと好走できないタイプ。入りの3Fが35秒以上なら(6,1,4,1)なのに対し34秒台以下なら(0,0,0,7)。OP・リステッドならまだしもG1でこのペースになることは稀ですが、今回は行きたい馬がさほど見当たらず昨年くらいのペース(35.6)になるようであれば食い込む余地はあるかと。
[7]⑭ベステンダンク(藤岡佑)
セリフォスを降ろされた藤岡佑Jが2年ぶりの騎乗。流石に10歳秋となり最近は行きたくても行けない現状。無理してハナを叩けたとしても今の馬場では残り目は薄くて。
[8]⑮ダノンスコーピオン(川田)
前走の富士Sでは初の古馬相手に③着と好走しましたが、元々上りが掛かったほうが好走できるタイプ。2走前のNHKマイルCは前半が34.1と流れたことで、34秒台の上がりでも十分勝負になるレースになりました。今回はペースが落ち着きそうでそれなりに上りが求められそうですが、渋った馬場はかえってプラスに働きそうです。
[8]⑯ハッピーアワー(川又)
最後に勝ったのは3年半前のファルコンS。そもそもマイルでの勝鞍がないうえ、最近は回って帰ってくるだけのレースが続いており、ここも無事完走で手当てゲットが現実線でしょう。
[8]⑰ファルコニア(池添)
再三再四繰り返していますが、この馬は立ち回りの巧さで着を稼げるタイプ。故に小回り、内枠等器用さが求められる舞台では好走できるものの、まっとうな瞬発力勝負などになると分が悪く今回は枠も最悪。上手く立ち回ったとて内前のアドバンテージも無い舞台につき。
<予想>
◎シュネルマイスター
○ダノンザキッド
▲ダノンスコーピオン
△エアロロノア
△サリオス
△ソダシ
△ソウルラッシュ
△ロータスランド
■東京11R/霜月S イバル
左回りが向いている馬ですが、脚質の問題から前が止まらない脚抜きの良い馬場になると間に合いません。前走のテレ玉杯オーバルスプリントはそもそも追い込みようのない浦和コースで出番がなく、それを含めて昇級後の3戦はいずれも稍重以下で前を捕まえられずのレースでした。コーナー径の大きい東京に替わるのは好材料で、良馬場なら一変期待です。
■福島8R シーズザデイ
角田和Jは福島ダート1150mコースで(2,2,0,4)。単回170/複回130と馬券的にも優秀で、今日の1Rでも10番人気のカマラードマリーを③着に持ってくるなど活躍が目立ちます。シーズザデイ自体は一本調子ゆえひと息で勝負がつくこの条件は向いており、前走で1000m戦を使われた3頭の中では最もスタートを決められる可能性が高いと言え、鞍上と相手関係から好走可能な一戦でしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿