[1]①ソールオリエンス(川田)
前走の菊花賞は前半しっかり我慢させた分最後まで走り切っての③着で、機動力に課題があった春先と違って優等生な走りができるようになってきました。流石に距離が長かった印象で2500mも必ずしもベストとは言い切れませんが、ここは最内から好位のインを取って進めるはずで好走可能でしょう。但し、皐月賞・ダービーのパフォーマンスを見る限りでは外に馬を置かない方が伸び伸び走れるタイプという可能性もあり、秋3戦目のローテーションも考えると爆発力が削がれる懸念も。
[1]②シャフリヤール(松山)
香港を除外され、中間は中山に滞在し調整。しかし最終追いは芝コースで4F単走という調整程度のもので、調子を窺い知ることが難しいです。そもそも藤原厩舎がこのように極軽の調教を施すときは基本的に訳ありで、20年のヴィクトリアマイルにディメンシオンを送り込んだ際も中間曳き運動のみ→跛行で出走取消という顛末。無事出走できればよいのですが、出られたとしても香港にピークを合わせてからの惰性での出走では食指は動きにくいです。
[2]③ホウオウエミーズ(田辺)
重馬場巧者で鳴らしていた馬が近走は良馬場でも安定した戦績を残しており、前走の福島記念ではまくり気味の進出から押し切って重賞初制覇。但しこの勝ち方にも現れている通り基本的にキレで勝負するタイプではなく、距離延長に加え直線でもギアの加速が求められるこの舞台では。
[2]④タイトルホルダー(横山和)
前走のジャパンカップは1.3差の⑤着。目視ですがおよそ60秒くらいのペースでこの馬は走れており、鞍上の意図したレースは出来ていた模様です。問題は上位2頭が思いのほか前を追いかけ、天皇賞のガイアフォース同様プレッシャーを受ける位置取りになってしまった点につきます。キレが求められる東京でまっとうに末脚比べをしては勝てないのも当然で、この馬としては大健闘の掲示板でありました。当然中山コース替わりはプラスですが、懸念はその消耗度。見た目には時計は出ていますが、デビュー以来最短の中3週というローテーションも含め、出走ありきで進められてきた感は否めずで。
[3]⑤ドウデュース(武豊)
秋3戦目。ポリトラックでの最終追いは④着だった前走のジャパンカップと同じですが、この馬は前日の火曜日にもウッドに入れており55.7-13.3とそこそこの負荷をかけています。このルーティーンも前走と同じで、その時は59.9-13.9と今回の方が火曜の負荷は強め。ジャパンカップ後も当週木曜からコースに入っており、連戦でもここに至るまでの調整過程に問題は無さそうです。内有利展開の京都記念を外から突き抜けたようにタフなレースが向いており、切れ味勝負だったここ2戦を度外視して買う手はあるでしょう。
[3]⑥ディープボンド(マーカンド)
一昨年の②着馬ですが、昨年の阪神大賞典以降勝ち星なし。得意の長距離戦でも善戦が精いっぱいという近況に加え、近走位置が取れなくなっている中でブリンカーを装着するとなると前からのレースを志向しているのは明白。持久力争いで脱落した馬を交わして着を確保する戦略を採らないのであればここでは望み薄でしょう。
[4]⑦アイアンバローズ(石橋脩)
前走のステイヤーズSは一見思い切った逃げに見えますが、中間でしっかり13秒台の区間を作れたことが勝機に繋がりました。年齢を重ねて切れ味が使えなくなってもおり、距離短縮局面で流れに乗れるかも半信半疑。
[4]⑧ライラック(戸崎)
牝馬同士の体力勝負では上位に来られる資質の持ち主ですが、牡馬相手ではだいぶ展開が向いたはずの今年の日経賞で④着が限界。中山コースは得意としていますが、前走からさらにメンバーが強化されるここでは。
[5]⑨ヒートオンビート(坂井)
使える脚が短く、前走のアルゼンチン共和国杯にしてもハンデ戦の団子状態から坂上のひと脚でようやく④着というレースぶり。動き出しが早く急坂のある中山では。
[5]⑩ジャスティンパレス(横山武)
昨年のこのレースでは悪手となるラチ沿いを進んで直線失速の⑦着。機動力に欠ける部分があり、ゆったり走れた長距離戦と小頭数ワンターンの前走では高いパフォーマンスを見せましたが(それだけに宝塚記念の③着はよく頑張りました)、それとは別にこの馬自身に成長とともにディープ産駒らしいキレが出てきたと言えるでしょう。中山芝2500mコースは上級戦になればなるほど動き出しが早く、縦長の展開になった時にロングスパートを決められるとすればこの馬が最も近い存在になりえます。ただ、中間短期放牧を挟んだにもかかわらず本格的に時計を出したのは1週前からという点に天皇賞の消耗度が現れているようにも見え、前走が最高打点だとすれば立ち回りの難しい中山に変わる点も含めて難しい捌きが求められます。
[6]⑪ハーパー(岩田望)
牝馬3冠+エリザベス女王杯を皆勤し④②③③着。上りに限界のあるタイプで勝ったのは暮れの阪神(未勝利戦)と冬の東京(クイーンカップ)と、純粋なキレ勝負にならない舞台が向いています。そういった意味ではリバティアイランドが独占し王道の瞬発力勝負となったにもかかわらず、牝馬3冠レース(+差し決着になったエリザベス女王杯)すべてで好走したこの馬は元々の能力の絶対値が高いと言えます。加えてこれまで二度の遠征時は最終追いを坂路で済ませていたところ、今回は2週にわたってウッドで時計を出す意欲的な調整過程。33秒台の脚が無くても通用するこの舞台は向いており、これまでと全く違う適性が求められる舞台でなら前進も可能と見ます。
[6]⑫ウインマリリン(モリス)
5走前に勝った香港ヴァーズは相対的に切れ者が多くなく(日本から参戦したのもしぶといタイプのグローリーヴェイズ)、外差し一気が嵌った格好でした。今回はその再現を狙うと言いますが、何から何まで違うこの舞台では。
[7]⑬タスティエーラ(ムーア)
この中間は3週にわたってウッドで併せ馬を消化し50秒台をマークする抜群の動きを披露。5走前の共同通信杯は中間12秒台の区間を作られ押し切られたもの、3走前の皐月賞は後ろから展開を味方につけたソールオリエンスに差し切られ、前走の菊花賞は距離不安の中4角で手ごたえが怪しくなるも底力で走り切ったものでいずれも敗因はハッキリしています。好位から脚を使えるレースができるのはダービーでも証明済で、掘師が信頼を寄せるムーアJをこの年末の3日間だけのために呼び寄せたのも勝負度の証。古馬相手に2kg減で挑める今回はチャンス大です。
[7]⑭プラダリア(ムルザバエフ)
3歳時は好位からひと脚を使うレースで青葉賞を制するなどディープ直仔らしい走りでしたが、古馬になり成長が今ひとつなのか前半緩むレースでも脚を使えなくなっています。前走の京都大賞典は開幕週の重馬場で先手を取れたことが大きく、0.4差⑥着した宝塚記念も後方有利展開から流れ込んできただけで脚は使えてなく、流石に35秒台の末脚ではここでは間に合わないでしょう。
[8]⑮スルーセブンシーズ(池添)
宝塚記念では直線で進路を切り替えるロスがありながらもイクイノックスに迫っての②着。凱旋門賞でもエースインパクト、ウエストオーバーといった世界の強豪に迫っての④着と5歳を迎え充実。父ドリームジャーニーも宝塚記念・有馬記念を同一年で制覇したように急坂コースが得意なのに加え、2歳時に朝日杯FS(当時は中山開催)を制したのち5歳シーズンにグランプリを連覇と成長力も折り紙付き。この中間は1週前にウッドで49.8-11.4と猛時計を出したのをはじめ、3週連続で鋭い動きを披露。枠は懸念も位置取り自体は問わないタイプで、坂でも止まらない末脚はロングスパートが求められるこの舞台でこそ力を発揮するはずです。既に父の現役時代を上回る馬格に成長しており、馬ごみのレースも問題なし。その父は小柄故種付けに苦労し、実質的にはスルーセブンシーズを含む現5歳世代がラストクロップ。有馬記念親子制覇の数少ない希望として、勝負強い鞍上とともに悔いのない走りを。
[8]⑯スターズオンアース(ルメール)
前走のジャパンカップでは不利を避けようと17番枠からでも4番手を確保し③着。爪不安で天皇賞を回避した経緯を考えれば、前目から上位勢を負かしに行ったレースぶりは評価できます。本来スピード&瞬発力勝負は得意でなく、ヴィクトリアマイルは距離不足、秋華賞・大阪杯は位置取りを落とし取りこぼしたもの。スタートが課題ですが大外枠なら逆に出たなりのレースができるはずで、枠で人気しないのであれば要注意です。
<予想>
◎スルーセブンシーズ
○タスティエーラ
▲スターズオンアース
△ドウデュース
△ジャスティンパレス
△ハーパー
△タイトルホルダー
△ソールオリエンス
■阪神8R フォーチュンコード
前走のローズSは最内枠から馬群に閉じ込められ、動きたいところで動けず外差し決着の流れの中で⑥着。当時②着のブレイディヴェーグがエリザベス女王杯を制し、勝ったマスクトディーヴァも秋華賞で②着、⑧着に下したソーダズリングは次走で3勝クラスを制するなど自己条件に戻れば上位を張れるメンバーが揃っていました。当時の③④着馬もいますが、2走前に勝った1勝クラスのレベルも高く人気ほど力の差は無いはずで複系妙味。
■中山8R/冬至特別 セイウンハルカニ
中山ダ1200mコースで2桁枠番を引けた際は(2,1,0,1)と安定して走れており、唯一敗れたのは後方有利のハイペースを逃げた時のもの。番手でもレースは出来るタイプで、8枠の2騎はテンのダッシュに課題が。すんなり先行できれば巻き返し可能と見ます。
■阪神11R/りんくうS クロジシジョー
先行馬が多く揃った中、この馬は控える競馬でOP特別2度の②着と通用する脚は持っています。2走前は芝で好位から引いて何も出来なかったレースで参考外、前走も0.3差⑪着と大きく負けてはおらず、3勝クラスを勝った際の菱田Jに手綱が戻るここでなら展開利も味方につけ善戦可能と見ます。
■阪神12R/ジングルベル賞 アルママ
過去半年以上の休み明けでは②③④着。気のいいタイプで折り合いの難しさを抱えており、小差で好走できている1400m戦の続戦と石川Jへの手替わりはプラスです。内枠勢は控えたい馬も多く、スンナリ好位を取れれば好走期待です。
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