[1]①ピューロマジック(松山)
前回のレースぶりに味をしめたのか、それともここに来て精神面が大人になったのか、陣営は控える競馬を示唆しています。この馬自身への評価は後で述べるとして、このレースのペースが結果にどのように関わるのかを考えたいと思います。
<前後半のペースと上位3頭の4角通過順>
24年 32.1-34.9(前傾2.8) ③⑥⑫
23年 33.3-34.7(前傾1.4) ②④⑦
22年 32.7-35.1(前傾2.4) ②⑨⑫
21年 33.3-33.8(前傾0.5) ②④⑤
20年 32.8-35.5(前傾2.7) ⑮④⑯
前半ラップが32秒台を刻むような超ハイペースになると流石に4角2桁番手の馬でも届きますが、基本的には中団までにいないと厳しいレースになっています。近年はこの馬然りモズスーパーフレア然りといったハイペースを刻むタイプの逃げ馬がペースメイクしてきましたが、今年のメンバーでハナを主張しそうなのは大外枠のウインカーネリアンくらい。それもビュンビュン飛ばすというタイプでもなく、単騎で行かせれば33秒台の前半になることはほぼ間違いなさそうです。
ではそうなったときに控えたピューロマジックがうまく脚を使えるのかと言われると、個人的には非常に懐疑的です。そもそも前走自体がこれまで折り合いを欠いてきたこの馬にとって「禁じ手」とも言える千直への参戦で、テイエムスパーダなど相対的に速い馬が多く折り合いに苦労しなかった恩恵が大きすぎました。過去10年で距離延長で臨んだ馬は(0,0,0,3)という相性の悪さもさることながら、もまれ弱さから逃げ戦法を取り続けてきた(前走にしても千直で馬が外に密集する中真ん中を通ってストレスフリーだった)経緯からしても「何が何でも控えろ」となってしまうとスムーズにいかない懸念が。
[1]②ヨシノイースター(内田博)
勝ち切れているのは1分8秒台の決着の時のみ。重賞であと一歩という内容からは最高峰の舞台で強調はしにくく。
[2]③ダノンマッキンリー(横山典)
前走のチェアマンズスプリントプライズは⑬着大敗も鼻出血で参考外。ただ元々がオンとオフの切り替えの難しいタイプで、マイルではかかり1200mでは「オフ」のタイミングを作ることができないという課題があります。重賞2勝が何れも1400mというのは偶然ではなく、スプリント並みのペースとマイル同様のメリハリが求められるカテゴリというのがこの馬に合っていると見ることができ、ワンペースになりやすい中山1200mでは。
[2]④ママコチャ(岩田望)
前走のセントウルSは496kgと、一昨年にこのレースを勝った490kgと比べればまだ皮1枚分厚い感じの中時計にも対応し②着。以前は気持ちが前向きすぎてやむなく距離短縮せざるを得なかった馬が、ここに来て落ち着きを見せ連戦が可能になっているのは成長と見ることができるでしょう。前目から速い脚を使えるのが身上で、今回極端なハイペースにならなさそうな中でこの枠を引けたのは好材料。早仕掛けのきらいがある岩田望Jという点に一抹の不安はありますが、溜めて末脚を使わせるタイプでもないだけに遅れずについていければ今年も上位候補。
[3]⑤カンチェンジュンガ(坂井)
前走のセントウルSはカルチャーデイとテイエムスパーダが前半33.0のハイラップを演出。ママコチャ、トウシンマカオが明らかな叩きという仕上げの中外差しでの勝利は一見恵まれたようにも見えますが、直線では一瞬追い出しを待たされる場面もあった中で馬群を割って伸びており、この馬よりもスムーズに外に進路を取れたティニアが⑧着だったことも考えれば展開利とは言い切れない勝利でした。ただ、昇級後は位置を取ると脚が鈍る面があり、必然的に後方からのレースを強いられている現状。今回の想定ペースを考えればこの馬の位置取りでは厳しいと言わざるを得ません。
[3]⑥ナムラクレア(ルメール)
1回1回全力で走るタイプで、陣営もその対策として昨年の阪神Cからは3か月間隔での臨戦を続けています。このレースも4年連続の参戦で⑤③③着としていますが、過去3年は何れも中4週ないしは中5週でのレースでした。臨戦を工夫し挑む今年はその過去3年ほどにはハイペースにならなさそうな想定で、道中置かれ加減になるこの馬にとってはペースが向きそうな期待が。
[4]⑦サトノレーヴ(モレイラ)
高松宮記念を制した後はチェアマンズスプリントプライズ、QE2ジュビリーS(英国)を転戦し何れも②着。特に今スプリント界では世界最高峰とも言える香港の地で、13連勝中のカーインライジングの②着した香港での走りは日本代表ともいえるパフォーマンス。そもそも来年の免許に影響するので余計に制裁点を稼ぎたくないモレイラJがわざわざ1か月だけ来日(期間中のG1はここだけ)して乗りに来るくらいには力が入っているという見方もでき、中山コース自体も昨年の春雷Sで1.07.1の好タイムで勝利しており問題なし。昨年は超が付くハイペースで物理的に間に合いませんでしたが、33秒台の前半で入れば十分間に合うはずで。
[4]⑧ペアポルックス(松若)
このコースでは①②着。そのいずれもが1.07.2で先頭ないしは2番手で走り切ってのもので、高速決着は得意とするところです。きれいな馬場で走れるかが鍵で、キャリアでも着外に敗れている3度は何れも渋った馬場か最終の荒れ馬場かという戦歴。今回の中山は良馬場想定で問題なく、葵Sでピューロマジックの②着しているように前半のハイペースも経験済。自分で行くかウインカーネリアンを行かせるかはその時の判断でしょうが、いずれにしても自ら1分7秒台前半で走り切れる走力を持っているという点ではここに入っても十分に通用するはずで。
[5]⑨ドロップオブライト(丹内)
前走の京成杯AHはインを通ったもの勝ちのレース。最内を突いたホウオウラスカーズはすべてがうまくいった結果であり、内枠から先行して②着したこの馬にとっては運が無かったというべき内容でした。しかしながらここまで5勝全てが1200mという馬がこのタイミングでマイルを走り連対するとなると、6歳を迎え距離適性は伸びてきていると考えるのが自然でしょう。再度激流のスプリント戦に参戦するとなると位置取りを落とすのは必至で、それでもまだ得意とする左回り×内枠であれば評価の目もありますが…
[5]⑩ラッキースワイネス(リョン)
G1を4勝、23年シーズンには6連勝を記録するなど香港スプリント界のトッププレイヤーの1頭。昨春の故障で休養が長引き、約1年ぶりに復帰してからは⑥④②着と叩かれつつ良化を示しています。日本の高速決着に対応できるかが鍵ですが、前走のハンデ戦でさえカーインライジングの②着と、普段から戦っている相手が違います。能力の素地だけで言えば香港組はやはり1枚上の評価をしなければなりません。
[6]⑪トウシンマカオ(横山武)
器用なタイプではないものの、昨年のこのレースでは内枠からうまく動いての②着。大箱コースか極端な枠が向いているだけに中山でこの中枠は微妙なところですが、どこからでも末脚を使えるのが強み。本質的には右回りの方が良く、高松宮記念からもう一歩上積みがあるとすればここでも有力候補でしょう。
[6]⑫ヤマニンアルリフラ(団野)
2走前の北九州記念は3F通過32.5という超が付くハイペースで、前が止まったところを差してのもの。このメンバーではなかなか前は止まってくれませんでしょうし、芝では平坦コースでしか勝ち星がないのも気になるところ。ここは試金石という位置づけでしょう。
[7]⑬ジューンブレア(武豊)
過去7回の掲示板内は何れも1桁馬番or千直の2桁馬番。内目を通れるかどうかが好走のカギとなる馬で、この枠からだといい位置を取ろうにも脚を使ってしまう懸念が。
[7]⑭カピリナ(戸崎)
この馬もまた勝ち切れているのは1桁馬番の時。前走の函館スプリントSにしても、ジューンブレアがインを開けなければ勝ち筋はありませんでした。この枠からの立ち回りが鍵となるだけに。
[8]⑮ルガル(川田)
前走急遽の乗り替わりでコンビを組んだだけの川田Jがこの秋、ママコチャを蹴ってこの馬とのコンビ継続を決断。西村淳Jが復帰したにもかかわらずです。それだけ鞍上も手ごたえを感じている現れでしょう。昨年のこのレースはピューロマジックの超Hペース逃げを番手で追いかけ、抜け出すタイミングもドンピシャという勝利でした。ただ骨折明けという臨戦過程を考えればそのパフォーマンスは額面以上で、高松宮記念では2年連続で凡走しているように本質的にはスピード比べで能力を発揮できる馬。香港より時計の出やすい中山に帰れば見直せるはずです。
[8]⑯ウインカーネリアン(三浦)
自分で決める脚が無いので短い距離で押し切った方が良いという現状。8歳でも衰えはなくスプリント戦でもハナを切れるだけのスピードはありますが、1分7秒台前半の決着は未経験なだけにこの枠から脚を使って前についたとて残せるかは未知数で。
<予想>
◎ペアポルックス
○サトノレーヴ
▲ルガル
△ラッキースワイネス
△トウシンマカオ
△ナムラクレア
△ママコチャ
■阪神11R/ポートアイランドステークス トゥデイイズザデイ
8番枠を引いたときは①②着。2走前のジューンSが理想的な内容で、外枠からスムーズに先行ししぶとさを見せました。前走はスタートでいけなかったのが全てで、再度得意な外枠を引いた今回は見直せる番です。
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