[1]①サリオス(石橋脩)
1200mはおろか、1400m以下の距離自体が初。堀師は参戦の理由として「マイルでは最後に甘くなってしまう」ことを挙げ、距離短縮で走り切れるという見解を示しています。この馬はかねがね1800mがベストと言われてきましたが、2000mではややスタミナが不足し一方で1600mのペースに合わせるとお釣りが残らないという微妙な特質。昨年の国内戦は重馬場、調整の狂い等で情状酌量の余地のある敗戦でしたが、これも爪の不安などから使える機会が限られるうえ調整が難しいことを示しています。
今回も帰厩当時は右前の爪を庇いながらの調整。直前では右手前で走れており動きも本来のものになってきましたが、スプリントのスピードにお付き合いして脚を残せるかは未知数なうえ、パンパンの良馬場までは望みにくく能力全開の舞台とはならなさそうで。
[1]②ナランフレグ(丸田)
前走のオーシャンSで賞金加算に成功しG1初挑戦。かつては戦法が大外一気に限られていましたが、3走前のタンザナイトSでは2番枠から後方のインを進み、直線では馬群を捌いて差し切り。ここに来て操縦性が良くなり安定して力を出せるようになってきました。ただ、偶然なのかは不明ですが過去芝のレースのほとんどが良馬場で、一昨年の春雷Sで稍重が一度あるのみ(0.2差⑥着)。切れ味を身上とするこの馬にとってそれを削がれるソフトな馬場はプラスではないうえ、イン先行勢が総崩れとまでは望みにくそうです。
[2]③シャインガーネット(田辺)
折り合いの難しいところがあり、ここ2戦の好走はいずれも外枠からスムーズに運べてのもの。ファルコンSを勝っているようにスピードと一瞬の決め手はこの舞台向きで、スプリントで掛かる面は相殺されそうであとはこの内枠でどう捌けるかでしょう。
[2]④ライトオンキュー(横山典)
ぶっつけ本番自体は想定通りで、調教後馬体重が522kgですが20年にUHB賞を勝った時が518kgでしたから問題は無いでしょう。直前は控えめも軽快な動きで、1週前に坂路で49秒台を出しており態勢は整ったと見ます。ただしこの馬がこのくらい動くのはいつものことで、似たような臨戦過程だった昨年のシルクロードSはシヴァージの強襲に遭い0.2差の②着。メンバーも強い今回は展開を味方につけてどこまで…でしょうか。
[3]⑤レイハリア(亀田)
昨春から4連勝。そのうちの芝3戦はいずれも前に目標を置き直線でそれを捉える、という理想的な展開でした。前走の京阪杯は外枠のせいもあり前に壁を作れずやや行きたがるシーンもあっての⑯着だけに、内枠を引いてテンの争いも激しいここでなら理想的な展開にはなりそうです。ただそれでも負かしてきた相手を考えるとこの舞台での通用可能性は未知数です。
[3]⑥サンライズオネスト(武豊)
2走前のカーバンクルSが初の1200m戦でしたが、坂上から一気に脚を伸ばし快勝。それまで遠征競馬ではパフォーマンスを落としていましたが、前走の阪急杯でようやくデビュー時の馬体重を上回って出てこられたようにここに来て身体に芯が入ってきました。2週連続で坂路で50秒台をマークしているように状態は上向きで、今の充実度ならマークは必要でしょう。
[4]⑦レシステンシア(横山武)
ベストは1400m故国内ではG1タイトルに恵まれないですが、上りのかかる中京芝1200mは最後の1Fでの持久力で上位に残せる強みがあります。古馬になってから3か月以上の休み明けでは(2,0,0,0)。決めきる脚には欠けるもののこの条件では安定勢力です。
但し気になるのがこの母系の成長力。半兄のミッキーブラック、半弟のグラティアスともにデビュー2連勝ののち尻すぼみという成績で、加えてこの馬の場合父はダイワメジャー。ダイワメジャー産駒の牝馬がG1で勝負になるのは良くて4歳までで、ナックビーナス(5歳で高松宮記念③着)という変わり種はいるものの総論としては4歳以降は下降線となるのが筋で、この馬も昨年以上を望めるか?となるとやや心もとないです。
[4]⑧ジャンダルム(荻野極)
ここ2戦を見て、一時のゲート難は騎手によるものというのがはっきりしました。しっかりゲートを出せさえすれば前走のように勝ち切る力は持っています。但しこの馬は好走後にコロッと凡走することを繰り返してきており、同じ条件や同じ鞍上が続くとズルさを出すきらいがあります。今回も同条件で荻野極Jが継続騎乗とあってはその点の懸念が残ります。
[5]⑨ロータスランド(岩田望)
上がりのかかる展開は得意としており、時計勝負よりも適度にかかるコンディションが向いています。但し1200mは初で、この馬の好走パターンは「4角3番手以内」。スプリント戦でそこまでの追走が叶うかとなるとやや怪しく、今回は試金石の一戦となるでしょう。
[5]⑩キルロード(菊沢)
前付けできれば好走するものの、4走前のパラダイスSは前半3Fが36.1と楽逃げがかなったもので、3走前の福島テレビOPはエレナアヴァンティの暴走を2番手で追いかけましたが4角から鞭が入るような消耗戦で、相手関係的にも他の馬に余力がなかっただけで強調できる勝利ではありませんでした。テン争いも激しくなるここでは?
[6]⑪クリノガウディー(松岡)
5走ぶりに得意の中京に。その5走前、昨年のセントウルSは前半32.9の激流を4番手で追いかけ、レシステンシア・ピクシーナイトと0.2差の③着。負けて強しの内容でした。但し今回は陣営が脚を溜めるレースを示唆しており、過去4角で10番手以下では(0,0,0,5)と積極的に運ばないと良さの出ないタイプ。このコースでも岩田康Jとそれ以外とではパフォーマンスに差がある点からも強気にはなれずで。
[6]⑫エイティーンガール(秋山真)
いつも自分の脚は使っていますが、外差し+前崩れの展開でないと台頭が難しい馬です。良績が右回りに集中している点も気がかりで、この舞台では恵まれうる期待も薄くて。
[7]⑬トゥラヴェスーラ(鮫島駿)
奇しくも昨年と同じ13番枠。その昨年は上手く前で壁を作って運び0.2差の④着と見せ場を作りました。今年は阪急杯からの始動でしたが、調教中の鼻出血で昨秋のセントウルSを自重して以来のレースで+22kg。時計はいつも通りに出せていたものの、再発防止に気遣いながらの調整を余儀なくされた分体調面が不安でしたがそれでも0.1差の②着。勝ったダイアトニックの後ろでできた進路をしっかり伸び、ズブさを感じさせない動きを見せました。
この馬は普段2週前と1週前に速めをやったうえで最終を流すのがパターンですが、今回は中3週という臨戦も考慮し速めは1週前の1本のみ。それでも調教前馬体重が510kgとなっており、リフレッシュできたうえでの立ち上げができておりここに来て馬体も充実。思ったほど内が悪くなっていない点がどうかですが、昨年の内容を考えればこのメンバーでも伍せる力はあると見ます。
[7]⑭ダイアトニック(岩田康)
ベストは1400mも、やはりこの厩舎はスプリンターに収斂していく仕上げなようで中間も坂路で好時計。前走からさらに一段階状態は良くなったと言え、ようやくよかった頃に戻ってきました。左回りで勝ち切れてない点が気がかりですがそもそも経験が少ないのもあり、一昨年のこのレースも坂上でさあこれから、というタイミングでクリノガウディーに寄られてのものですから、本来なら①着ないしは②着でおかしくない内容。当時と同じかそれ以上まで望める今ならチャンスは十分でしょう。
[7]⑮ファストフォース(柴山)
テンが速くないにもかかわらず、行き切れないと止めてしまう現状。前走のオーシャンSは昨年長欠明けを勝ったCBC賞時同様に大きく体を絞ってきましたが押してもハナを取れず。まっとうに57kgを背負いこの外枠では理想の展開には持ち込みにくそうで。
[8]⑯ダイメイフジ(小沢)
距離延長やダート替わりなどで刺激を与えながら前付けして激走を繰り返したこの馬も今年で8歳。最近は前に行けても残せずで衰えは認めざるを得ず、鞍上ともども無事完走が目標になりそうです。
[8]⑰メイケイエール(池添)
折り返し手綱の効果か、前走のシルクロードSは前に馬を置いても自分のペースを守り切って快勝。締まった流れの方が好走できるタイプで、前走での進境を思えば囲まれない外枠も今では好材料。母方がダート血統でもあり渋った馬場は問題なく、スムーズに運べればチャンスありの1頭です。
[8]⑱グレナディアガーズ(福永)
昨年のNHKマイルCで③着だった時、川田Jは「秋は別路線になると思います」とコメントしていました。臨戦過程からそれがスプリント路線への転換を示唆していたことは明らかでしたが、何故か秋もマイルを2回使われ③⑬着。前走の阪神Cでようやく距離が短縮され折り合っての快勝を見せましたが、この馬の場合距離短縮はプラスこそあれマイナスは無いということが証明された格好でした。壁を作りにくい大外枠がキーですが、そこは壁職人・福永Jの腕前。それよりも怖いのは隣のメイケイエールの暴走でしょう。
<予想>
◎トゥラヴェスーラ
○ダイアトニック
▲グレナディアガーズ
△メイケイエール
△レシステンシア
△サンライズオネスト
△ロータスランド
△シャインガーネット
■中山11R/マーチS オメガレインボー
気温の高低とパフォーマンスがリンクする馬で、ここ3戦は寒い時期でもありもう一つという内容。それでも昨冬と比べれば着を上げており、ここに来ての地力強化は確かです。今日の関東地方は暖かく20度超えの陽気が期待でき、パフォーマンスを上げてくる期待は大きいです。