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当ブログは、広尾サラブレッド倶楽部株式会社様のご厚意により、同倶楽部の所有する競走馬の写真及びWebサイト記載情報の転載許可を頂いております。

2022年10月30日日曜日

【10/30(日)予想】天皇賞(秋)の全頭評価とねらい目レース(新潟12R)

■東京11R/天皇賞(秋)

[1]①マリアエレーナ(松山)

距離を伸ばしてから成績が安定していますが、立ち回りの巧いタイプで前走の小倉記念にしても上手く内を掬えた分の圧勝でありました。左回り自体は問題ないものの、内が伸びにくいコンディションなうえ小柄な馬体で56kgを背負うとなると超えるべきハードルは低くありません。

[2]②カラテ(菅原明)

前走の新潟記念はそれまでほとんど良績の無かった2000m戦での快勝。爪が伸びやすく暖かい時期は調整が難しい馬で、最終追いの栗東坂路53秒というのは以前美浦の坂路を51秒で駆け上がっていた馬とすれば物足りなくも映ったのですが、逆にそういう変化があったからこそ中距離への転向を判断したのかもしれません。

今回も前回同様坂路で53秒台と上々の動き。夏負け気味の調整過程であった前回に比べ、気温が下がった今の方が調子が上向きで、前回時3Fと2Fが逆時計だったのが今回は加速ラップを踏めています。元々マイルの実績馬故、コーナー3回のスピード勝負は歓迎のクチ。58kgも経験済で一発の魅力は十分です。

[2]③パンサラッサ(吉田豊)

最初の一歩目が遅いのは元からですが、前走でも指摘している通りドバイターフの頃からやや出が悪くなっており、ハナを取るのに一苦労しているのが気になります。陣営も「自分のレースをするだけ」とコメントしている通り逃げは揺るぎませんが、叩き2戦目のバビットが外におりスンナリとは行かない可能性も。ただでさえ出脚が悪いのでこの枠では被される懸念が大きいです。

[3]④ポタジェ(吉田隼)

大阪杯を見ていても解る通り、元々瞬発力勝負では分が悪く前目からスピードを生かすレースで勝ってきました。ポリトラックで仕上げられた前走毎日王冠の時に比べれば、坂路で追われた今回は一応の上昇が見込めますが、相変わらず陣営は控えるレースを示唆しており、まっとうな末脚比べではキレ負けするでしょう。

[3]⑤ダノンベルーガ(川田)

皐月賞は内枠が仇となり、ダービーは距離で止まってしまったというのが内外の共通見解。故に今回はベスト距離・ベスト舞台であることは間違いないのですが、気になるのは夏休みを含む中間の調整過程です。

最終追いはダービーも今回も軽めですが、元々右トモに疲れがたまりやすいタイプでそれに配慮していると堀師が詳細を語ってくれています。加えてダービー後、左の飛節球炎を発症しその治療に充てた分、もう少し休養期間が欲しかったというコメント。これを額面通りに捉えれば「天皇賞に出るのは既定路線だけど本当は間に合っていない」とも取れるわけです。名トレーナーをしてもこの馬を仕上げるのは難しいようで、現に中間も川田Jが来ることはなくコメントも無し。その最終追いは格下相手に後れを取る内容で、陣営は「先週びっしりやったので微調整で」と語っていますが、未勝利馬(しかも3歳)を交わすだけの負荷すらかけたくないというのは流石にどうなのかと。

[4]⑥ジオグリフ(福永)

秋初戦。完成度の高い馬で、皐月賞は外枠からスムーズなレースができた分の①着でした。ダービーは多頭数でごちゃついた分もありスムーズに運べずの⑦着で力負けではないものの、多少のロスをカバーできるという意味では2000mの方がやり易いという判断でしょう。但し毎々触れているように、ノド鳴りを抱えており常にそのリスクと戦わなければいけません。特に今週の東京はほとんど雨が降っておらず空気も冷えてカラッカラ。能力は認めても軸にはできないタイプです。

[4]⑦イクイノックス(ルメール)

ダービーは戦前からも懸念されていた通り距離に阻まれた印象で、勝ったドウデュース、③着のアスクビクターモアがスピードの持続力に長けたタイプでもありそちらに軍配が上がったレースになりました。長い直線でエンジンをふかすのが得意なタイプで、ダービーの結果を考えれば先を意識することなくここに全力投球してくるのは当然の流れでしょう。速めのラップを刻まれるとどうかという懸念はありますが、Bコースに替わったものの外差しのトレンドは相変わらずで、自分のレースができればここは好勝負可能でしょう。

[5]⑧シャフリヤール(C.デムーロ)

前走のプリンスオブウェールズSは最後伸びを欠きよもやの④着。元々不良馬場の神戸新聞杯でも④着と取りこぼしており、欧州の馬場は向かなかったのかもしれません。ダービー、ドバイシーマクラシックを勝ってはいますが、昨年のジャパンカップの内容などを見てもやはり理想は2000m前後のスピード勝負。適性舞台に戻ってきたここは無視できない存在です。

但し、気になるのがデビュー時からあまり馬体の成長がみられていない点。陣営も精神面の成長は認めますが、450kgでデビューした馬が今回の調教後馬体重でも462kg。恐らく輸送を経て450kg台前半くらいに収まってくるでしょうが、藤原英師も「能力の限界がわからない」と語る通りまだ伸びしろがあるのか既に完成しきっているのかはジャッジが難しい状況。国内戦では初めて58kgを背負うわけですからその点もクリアする必要があります。

[5]⑨ジャックドール(藤岡佑)

前走の札幌記念は控えて結果を残せたこと自体は大きいですが、パンサラッサが垂れてきた分もあったうえ上りが37.7も掛かった展開で差しのききにくい芝コンディションになったことも幸いしました。本来本領を発揮できるのは左回りの2000m。秋への始動戦と考えれば十分な内容ではありました。

当時と違って今の東京は外差しもバンバン効くコンディションですが、この馬自身も33秒台の上がりを使って逃げきっている経験があり速い脚は持っています。あとは58kgへの対応と逃げが叶わなかったときにそのように自分の能力を発揮できるかがポイントです。追い切り同様にリラックスして走れれば。

[6]⑩ノースブリッジ(岩田康)

前走の毎日王冠は痛恨の出遅れも最後にひと脚を使い0.4差の⑤着。以前は行けないとからっきしだった馬でしたから、地力の強化を感じさせる一戦でした。中間はウッドで3頭合わせを敢行。岩田康Jが駆けつけ、大きく追走し直線で仕掛けられるとすぐに前を捉える抜群の動きを見せました。速い脚を持っていないので上がり勝負になると厳しいですが、飛ばした先行勢を見ながら運べれば浮上の目も。

[6]⑪レッドガラン(横山和)

今年に入って重賞2勝と充実期を迎えていますが、元々は折り合いの関係からマイルを使われていたもののここに来て精神面の不安がなく走れているのも大きいです。但しその2勝はいずれもレースの上がりが35秒台で、流石に7歳でもあり速い上りを求められるこの舞台はパフォーマンスを落とす懸念が。

[7]⑫バビット(横山典)

前走のオールカマーでは1年7か月のブランクをはねのけ④着。キングオブドラゴンが張り合わず楽にハナを取れ理想的な展開を刻みましたが、最後はキレのある差し勢に交わされてしまいました。今度は前回以上に差し勢の台頭が見込める東京替わりで同型もおり、元々気のいいタイプにつき続戦によるメンタルの高ぶりも心配です。

[7]⑬アブレイズ(マーカンド)

前走の府中牝馬Sでは見せ場十分の⑤着。元々上りのかかる展開でないと厳しいと見ていましたが、前目を進み最後も34.3でまとめてきました。休み明けは走らない馬にしてはこれは上出来と言っていい内容で、叩かれての中1週で上積みも期待できます。元々2走前のヴィクトリアマイルでも控えて32.9の脚(メンバー最速)を使い⑦着まで押し上げていますから、5歳を迎えここに来て馬が一皮むけてきた印象すらあります。

何より期待は、今週来日して既に2勝を挙げているイギリスリーディング3位のT・マーカンドJです。

昨日は5鞍に騎乗し③⑤④①④着とオール掲示板。今日も東京2Rで既に勝ち星を挙げており、これを含め5鞍に騎乗します。乗鞍の数自体は本国リーディングでも2位につける妻のH・ドイルJの方が多いのですが、昨日のレースを見て感じたのは「安易に進路を求めず、直線では併せ馬にこだわり1つでも着を拾う」騎乗スタイル。溜めさせることを意識しつつ、かといって下げるのではなく好位で壁を作り直線でしっかり追うというのは我慢も必要ですし詰まりのリスクと表裏一体でもあります。

ただ、海外、特に欧州の競馬は小頭数のレースも多く、馬群が密集しやすいことがこのような騎乗スタイルが求められる一因でもあります。その点日本の馬は切れ味を持つタイプが多く、多少の距離ロスがあっても外に持ち出して脚を伸ばせば勝てることからあまりリスクのある騎乗をする人はいません。この秋は残念ながら騎乗停止になりましたが、スミヨンJが日本で勝ちまくれるのもこういった違いが生んでいるとも言えます。

今回アブレイズに求められるのはまさに「好位で溜めを作り直線でひと脚」という競馬。マイルでも善戦し速い上りに対応できている今なら一発の魅力は十分で、マーカンドJがその良さを引き出せばヘヴンリーロマンスの再現があってもいいでしょう。

[8]⑭ユーバーレーベン(M.デムーロ)

フローラSでさえも取りこぼしたように、2000mは正直距離不足の感が否めません。とはいえ香港ヴァーズが本線であるが故、逆算して酷な斤量を背負わずに使えるのはここぐらいしかないのが正直なところ。外目を無難に回ってくるだけのレースになりそうです。

[8]⑮カデナ(三浦)

今年は得意の小倉でも③⑥⑦着と尻すぼみ。過去4回の天皇賞挑戦と比べればメンバーはまだ与しやすいとはいえ、大外枠を引いてしまったこともあり立ち回りも難しく。

<予想>
◎アブレイズ
○イクイノックス
▲カラテ
△シャフリヤール
△ジャックドール
△ジオグリフ
△ノースブリッジ


■新潟12R アムールマルルー

速い上りが使えず、上りのかかる展開で浮上するタイプ。前走の中山戦は雨の降りしきる中の重馬場でしたがのそっとしたスタートで後方から。結果的に先行勢がそのまま残り出番のないレースになりましたが上りは35.0、2番手が35.7だったことを考えれば1頭だけ違う脚を使っていたと言えます。距離延長で追走が楽になることに加えて、雨の影響もあり新潟芝は上りがかかるようになっており、内枠から上手く立ち回れればチャンスあり。

2022年10月29日土曜日

【10/29(土)予想】アルテミスSの注目馬とねらい目レース()

■東京11R/アルテミスステークス マラキナイア

デビューは中京のマイル戦。中京は3角からなだらかな下り坂が続き直線で急坂を迎えることから上りが掛かりやすく、特に体力面で心もとない2歳牝馬にとってはタフな舞台です。マラキナイアは3番手を進み、メンバートップの34.7の末脚を繰り出し快勝。前半が47.8とそれなりに流れた割に最後まで脚が使えた点は大きく、このコースにおける2歳牝馬のパフォーマンスとしてはかなり高いものがあります。


上記は過去10年(2013年以降)における中京芝1600戦で「4角3番手以内」で「上り35.0未満」で「①着」だった馬です(減量騎手騎乗を除く)。ヌーヴォレコルト、ナミュールの活躍は言わずもがなで、エピファレーヌもこのレースの後両脚の屈腱炎で引退を余儀なくされましたが無事ならいいところまであったはずの馬でした。しかしながらこれらの4鞍を「前後半のタイム」で見ると…

マラキナイア 47.8-46.9
ナミュール 52.7-46.3
エピファレーヌ 48.2-46.8
ヌーヴォレコルト 49.1-47.4

一番前半の流れがきつかったのはマラキナイアの新馬戦で、他3頭は上がり最速でないことからもわかる通り「流れに乗って走っていればそれなりの上がりが出るレース」でもありました。マラキナイアは自力で勝ちに行き、さらにその末脚が他を上回るという文句のつけどころのない内容ですから、これを重視しない手はないでしょう。

もちろん今の東京が外差し傾向で、リバティアイランドが額面通りの末脚を繰り出せばお手上げという見解に異論はありません。しかしながら、姉のロムネヤが新馬勝って以降今ひとつという成績が続いており、リバティアイランドにしても新馬戦のパフォーマンスを果たして維持できるのかどうかは確証が持てない段階。それで一本被りの人気なのであれば他から妙味を探るべきと見ており、ポジションを取れて脚を使えるこの馬の出番があって驚けないでしょう。


■新潟7R リーゼントフラム

2回の直千競馬は6、5番枠とゲートに恵まれず。それでも②⑥着と小差に纏めており適性の高さを見せています。今回は枠順が一気に好転しねらい目です。


■東京9R/伊勢佐木特別 メラーキ

キレ負けするタイプで、2勝は不良馬場の中京芝2200mと良馬場の中山ダ2400mと上がりのかかるときに勝ち切っています。東京は火曜日以降降水がなく、乾燥した秋晴れでダートの含水率は2.1%とパサパサ。半年ぶりではありますが3走前の①着は2か月半ぶりのレースで、休み明け自体は苦にしないタイプ。条件が好転するここはいきなりからやれても。



2022年10月23日日曜日

【10/23(日)予想】菊花賞の注目馬とねらい目レース(新潟6R)

■阪神11R/菊花賞 ジャスティンパレス

平坦の京都開催は切れる脚を持つタイプが台頭する一方で、最後に坂のある阪神は後半5~6Fにかけての加速が求められます。ジャスティンパレスは典型的な「切れる脚を使えないタイプ」で春2冠は出番がありませんでしたが、中京開催の神戸新聞杯でレースラップに合わせて加速する形で完勝。周りが速くなるところで脚を使うと本来は苦しくなるところで、実際同レースの②③着は道中後方を進んだヤマニンゼストとボルドグフーシュ。ああいう競馬しかできないボルドグフーシュはともかく、最後の最後まで脚の使いどころを待ったヤマニンゼストが②着に食い込むレースなのですから、好位を進んだ馬にとってどれだけタフなレースだったかは推して知るべしでしょう。

それでも世間的にはダービー③着のアスクビクターモアを下したガイアフォースのセントライト記念の方が評価が高く、全体的に神戸新聞杯組自体が低評価。3角から下り坂となりロングスパートが必要なこの舞台で、春2冠とは全く違う適性が求められるとくればこの馬を見直すのはありでしょう。デビュー8年目の鮫島駿Jにとっても初G1の大きなチャンス、この流れに乗ってもらいたいものです。


■新潟6R マイネルデステリョ

使われながら良くなるタイプで、3か月ぶりの前走は叩きと割り切れます。元々陣営はこのレースから使い始める予定だったのを2週前倒ししたのが前走で、柴田大Jで叩きを使いここに和田竜Jを配することができたのはひとえに畠山師の計らいもあったでしょうか。若手主体の今週の新潟に1000勝ジョッキーが混ざっていること自体かなり異例(新潟牝馬Sのストリクトコード騎乗のため)ですが、ここは格の違いを見せつけてほしいものです。

2022年10月22日土曜日

【10/22(土)予想】富士Sの注目馬とねらい目レース(阪神12R)

■東京11R/富士S ラウダシオン

「その距離適性に求められるよりも少し早いペースを刻める」というタイプで、例えば「1200m寄りの1400m戦」や「1400m寄りの1600m戦」といった、その距離で実績を残している馬が苦しむようなペースで好走する馬です。例えば一昨年のNHKマイルCはそれこそ「1400m向き」のレシステンシアを競り落としての①着で、昨年・今年の京王杯スプリングCもメイケイエール、トゥラヴェスーラといったスプリントG1の好走馬に混ざって①⑤着と好走しています。

今開催の東京はかなり時計が出ており、先週日曜日の12Rに組まれていた2勝クラスの芝1600mの勝ちタイムが1.32.6。春のNHKマイルC・安田記念の勝ちタイムが何れも1.32.3ですから、ここも1分32秒台の時計はたやすく出てしまいそうなコンディションです。こうなるとマイラーでも緩い流れを差し込んでくるタイプはついていけず、短めの距離適性を持つ基礎的なスピードに長けたタイプの出番。ラウダシオンの今年は④⑨⑤⑫着ですが敗れたのはスプリントとダートを使われた時で敗因は明確。東京マイルに強い菅原明Jへの手替わりで一発を期待です。


■阪神12R メイショウカイト

前走は昇級初戦に加え10か月ぶりのレースで⑮着。しかしながらこの馬は未勝利を脱出した時もそのあと半年休んで⑪着→中1週で続戦し15番人気で③着としたように、叩かれて上向くタイプで前走は度外視可能。連続凡走しないタイプでもあり、続戦のここがねらい目と見ます。

2022年10月16日日曜日

【10/16(日)予想】秋華賞の注目馬とねらい目レース(オクトーバーS)

■阪神11R/秋華賞 ライラック

2000mで争われる秋華賞は牝馬限定戦としては距離の長い部類で、加えて阪神開催となったことで最後の急坂を克服するために基礎的なスタミナが求められるようになりました。昨年札幌記念を勝って臨んだソダシが敗れたように、短距離や平坦と言ったスピード寄りのレースでの良績を鵜呑みにしにくいレースでもあります。

もう1つ、考えるべきは「内で渋滞が起こる可能性」です。同じ舞台で行われる牝馬限定戦と言えば夏のマーメイドSが挙げられますが、最後に力尽きた先行馬がインで下がってくることで詰まりが発生し、結果的に外をスムーズに伸びた差し馬が台頭するケースが多いです(ここ2年は開催日程の変更で開幕週に行われることで内前の馬も多く好走していますが)。今年はラブパイローを筆頭に伏兵勢に先行馬が多いメンバー構成ですが、好位差し勢にはこれを捌くことが求められるうえ先週の京都大賞典を見ても外差しの利くコンディションにつき、外を回せる差し馬の台頭に気を付けるべきと見ています。

ライラックは4走前のフェアリーSで勝った時のように、ごちゃつかずに外をスムーズに回せるレースが理想です。前走の紫苑Sも4角で挟まれる局面があり③着で、ここ3戦はそういったロスの多い戦法を好まない鞍上の分この馬の良さを生かし切れない騎乗でもありました。サークルオブライフの回避により、2勝いずれの手綱も取っていたデムーロJに戻るのは好材料。道中で距離ロスなく運べる内枠も歓迎で、元々は4走前にはスターズオンアースにも先着。相沢師の言う通り、捌き一つで好機でしょう。


■東京11R/オクトーバーS ショウナンマグマ

前走のセントライト記念でも◎を打ちましたが、直線で失速し1.5差の⑨着。ラジオNIKKEI賞の内容から考えても、距離と坂が壁になったと見るべきでしょう。そこから坂の緩い東京替わり・距離短縮となれば前進は可能で、気分良く行ければ少々ペースが速くても残せるタイプ。何が何でも、という馬はおらずで展開利も見込めそうです。

2022年10月15日土曜日

【10/15(土)予想】府中牝馬Sの注目馬とねらい目レース(飛翼特別)

■東京11R/アイルランドトロフィー府中牝馬S クールキャット

母メジロトンキニーズはダイヤモンドS②着等大箱コースで活躍。この馬も立ち回りの課題を持つ分大箱コースでごちゃつかない方がいいタイプです。東京コースは①⑤①⑭着ですが、⑤着のアルテミスSは道中で不利があってのもの。⑭着のオークスは掛かり気味に追いかけてきたソダシとステラリアに終始つつかれる厳しいレースでやむを得ない敗戦と言えるでしょう。

加えて揉まれずに運べることが理想で、過去12戦ほとんどすべてフルゲートのレースに出ておきながら2桁馬番を引けたのがわずか1回。久々に外目の枠を引けたここはチャンスで、ソダシが本番を見据えた仕上げである点も含めねらい目でしょう。


■新潟11R/飛翼特別 ヴィクトワールメイ

前走の驀進特別が初めての千直。着順こそ⑨着でしたが9番枠からのスタートで外に持ち出すのに時間がかかったうえ、直線では挟まれてブレーキを踏む不利も。枠順好転のここはスタート五分ならポジションは取れそうで、芝の生育の違いから夏と比べ内枠・先行勢のアドバンテージが薄れる秋開催なら素直に外枠から妙味を探るべきと見ます。

2022年10月10日月曜日

【10/10(月・祝)予想】京都大賞典・マイルCS南部杯の注目馬とねらい目レース(GCC)

■阪神11R/京都大賞典 キングオブドラゴン

目標レースに間隔を取って臨みたいという最近の傾向もあり、近年の京都大賞典は秋の天皇賞へのステップという位置づけは薄れつつあります。マカヒキ・アリストテレス・キセキという昨年の上位3頭の顔ぶれからもわかる通り長めの距離適性を持ちながら古馬G1では足りなくなっている馬が集まっているのが現状で、今年も悪い意味の混戦と言えます。このメンバーであれば川田Jを配したキングオブドラゴンで足りるでしょう。

ラヴズオンリーユーのイメージとは裏腹に川田Jが矢作厩舎の馬に乗ることは稀で、今年もまだ5回しか機会のないこのコンビですがその戦績は(2,0,0,2)。昨年は(5,4,2,6)、一昨年も(3,2,1,1)と総数こそ多くないですが確実に決めてくる起用です。川田Jの特徴として「逃げを嫌う」ことが挙げられますが、今回は同厩のユニコーンライオンが逃げ宣言をしており隊列はすんなり決まりそうで、番手からでも競馬の出来るタイプで問題は無いでしょう。

前走のオールカマーは3か月半ぶりのレースだったうえ、スタートでバビットに前をカットされてリズムに乗れず。元々叩いて調子を上げる厩舎でもあるうえ、所属騎手を重用する矢作師にも関わらず坂井Jは重賞勝ち馬のユニコーンライオンに乗せ、重賞勝ちの無いキングオブドラゴンにテン乗りの川田Jを配してきたあたり、ここでタイトルを獲らせたいという意向が伺えます。


■東京11R/グリーンチャンネルカップ サンダーブリッツ

全5勝のうち4勝がこのコース。器用さに欠ける部分があるためワンターンの東京コースが向いていますが、4角で5番手以内にいれば(3,1,0,0)と発馬と位置取りが鍵となります。その点横山武Jへの乗り替わりはこの馬の良さが出せそうで、最終追いで先着した相手のシーズンリッチは月曜の未勝利戦を快勝。動きにも不安はなく得意コースで能力全開なら。


■盛岡11R/マイルチャンピオンシップ南部杯 エアスピネル

左回りワンターンのマイル戦は得意の舞台。9歳シーズンも元気に走っており、前走のさきたま杯はコーナーを4回回る不適舞台にも拘らず、前有利展開を道中じわじわと追い上げての④着と価値のあるレースでした。ここは来月同舞台で行われるJBCへの叩きという見方もでき、有力馬はここから調子を上げていく仕上げを施されている中この馬は最終追いの坂路を単走で52.2-12.2と好時計をマーク。特に2Fの24.3というタイムは秀逸で、最終追いの時計としては2017年の京都金杯①着時に匹敵する水準です。このようなタイムを出せること自体が久々な上、輸送を控えながら直前にここまで負荷をかけられるのも珍しく、それだけ体調が良いことの裏返しと見ます。他馬が調子を上げ切る前のこの舞台でこそチャンス大でしょう。

2022年10月9日日曜日

【10/9(日)予想】毎日王冠の全頭評価とねらい目レース(オパールS)

■東京11R/毎日王冠

[1]①レッドベルオーブ(幸)

距離を詰めても折り合いがどうにもならず、前走の小倉日経OPではついに大逃げを敢行。結果的に気分良く行けたぶん残せましたが、実績あるOP馬は消耗を避ける傾向にある昨今ではOP特別~リステッドのレースレベルの地盤沈下が激しく、このレースもメンバーに恵まれたうえだいぶかわいがられたペースでの結果と言えます。一気の相手強化でノースブリッジのマークもあるであろう今回、色気を出して控えたりすればまた制御不能に陥る恐れもあります。

[2]②ノースブリッジ(岩田康)

逃げなくてもレースができる点は成長で、流れれば控えられるし緩めば行ってもいいというタイプ。一方3走前のように後ろから行っても見せ場がなかったように、本来キレ勝負では分が悪く東京の開幕週で天候悪化が無いとなるとこの馬にとってはやりにくいコンディションと言えます。

[3]③サリオス(松山)

3歳秋以降の戦績を見ると、内目の枠を引いたときに崩れており逆に外枠を引いたときには前走の安田記念③着を含め走れているという現状です。単に被されないというだけであれば下げて後ろを回しても良いのですが、開幕週の東京でそこまでのリスクを負えるかどうか…

[4]④ダノンザキッド(戸崎)

2走前の安田記念、前走の関屋記念と絶対的な上がりが求められる舞台で勝ち切れず。G1勝ちは冬の中山でのものでもあり、本質的に瞬発力勝負には向いていないと見ています。狙うべきはマイルCSでしょう。

[5]⑤レイパパレ(川田)

川田Jはダノンザキッドではなくこちらへ。恐らくですが、川田JはマイルCSでダノンスコーピオンに乗ることからダノンザキッドは前哨戦段階から本番を見据えた騎手起用をしたかった意図もあり戸崎J、もう1頭のお手馬でエリザベス女王杯を見据えるレイパパレに川田Jが収まったと見ます。

それはさておき、レイパパレに関しては本来変に控えるより大阪杯を勝った時のように行き切ったほうが良さが出るタイプと見ています。スタートで落馬寸前の躓きがあった前走のヴィクトリアマイルは参考外としても、前哨戦で思い切るレースは絶対にしないでしょうからここは控えてキレ負けの懸念です。

[6]⑥ポタジェ(吉田隼)

元々「開幕週ハンター」でキレイな馬場を走りたいタイプ。3歳秋からの4連勝はいずれも開幕2週目以内の荒れていない芝を走ってのもので、昨年もこのレースに参戦しシュネルマイスター・ダノンキングリーと0.2差の③着。今週のコンディションは絶好と言えるでしょう。

但し気になるのがOP昇級してから控える競馬を志向するようになっている点。元々レースの上がりから-0.5秒程度の末脚しか使えていないにも関わらず正攻法では上級戦を戦えないと考えているのか、4走前のアメリカJCCも3走前の金鯱賞も控えて不発。ポジションを取りに行って結果を残しているだけに不可解ですが、今回も陣営は控える構え。調子は良いので台頭は可能かと思いますが、ここは天皇賞を見据えた舞台でもあるだけに。

[7]⑦キングストンボーイ(ルメール)

長くいい脚を使うタイプで、青葉賞②着の戦績が示す通り東京コースは向いています。前走の関越Sは道中でインに入れたことで直線前が空かず、進路を探しながらのレースになり前を捉えきれず。実質脚を使えたのは最後の200mのみでしたがそれでも33.5の脚で鋭く追い込んできたあたり、手ごろな頭数+開幕週のキレ勝負となるこの舞台でさらなる上昇が見込めます。

[7]⑧キングオブコージ(横山武)

主戦の横山典Jが乗れないうえ距離不足に映るローテーションですが、これはノドに配慮してのもの。前走の宝塚記念も直線でノドの異常を認め最後は流しての入線で、手綱を使って制御をかけたりができない中でレースに出る現状。ワンペースで道中運べたとしても、東京での重賞勝ちは開催終盤の目黒記念でもあり絶対的な上がり勝負では分が悪いです。

[8]⑨ジャスティンカフェ(福永)

2走前の湘南Sでは32.9の末脚で直線だけで前の14頭を交わし切っての勝利。勝ち時計も1.32.3と今年の安田記念と同タイムで、重賞級のポテンシャルの持ち主であることは疑いようがありません。前走のエプソムCは昼に大雨が降りだいぶ水分を含んた芝コースに切れ味を削がれましたが、開幕週の切れ味勝負ならこの馬の出番でしょう。

しかしながら、やはり懸念は横山典Jからの乗り替わり。これは福永Jがどうこうというのではなく、キングオブコージにも同じことが言えます。


上記は今年「前走で横山典Jが騎乗していた馬の次走成績」です。御覧の通り、継続騎乗であれば高いパフォーマンスが見込める一方で乗り替わってしまうと極端に成績が悪くなります。さらにこれを「前走の位置取り別」に見ていくと、問題の本質が見えてきます。


前走の位置取りが「後方」であった馬は2勝を挙げているものの複勝率は極端に悪く、期待値的にはとても割に合いません。機械的な集計のため厳密には区分けできませんがこの「後方」にはもちろん「ポツン」も含まれます。

以前某メディアのインタビューで「ポツン」をする理由について同騎手は「気性面などを考慮しそれが一番チャンスがあると判断するから」という趣旨のコメントをしていましたが、訳せば「馬込みで掛かるリスクを避け、リラックスして自分のリズムでギアを上げさせたい」という意図が見えます。つまり、ポツンというのは馬にストレスをかけずに勝つ可能性を高めるための戦法であって、決して「折り合わせる」とか「脚を溜めさせる」といった教育の類ではないということです。

しかしながら安田翔師はこの点を勘違いしているようで、例えば先週のシリウスSで⑩着に敗れたハセドンも元々はポツンで青竜Sを勝った馬でしたが「春の経験を活かして秋は少し位置を上げて」と鮫島駿Jでポジションを取りに行った結果、折り合いに苦労し直線でも全く弾けずというレースでした(そもそも鮫島駿Jが折り合いに長けたタイプではないというのもありますが)。ポツンの結果はあくまでポツンでのパフォーマンスであって、そういう意味では横山典Jの起用は後戻りできない「片道切符」なわけです。馬群内で競馬をさせても同じように走れると思っているのであればそれは間違いですし、優等生騎乗をモットーとする福永Jへの手替わりは額面以上に分が悪いと見ています。

[8]⑩ハッピーアワー(川又)

3年前のファルコンSを勝って以降は掲示板にすら入れておらず、理想のローテを組めない現状。ワンターンの1800mなら守備範囲かとは思いますが、ここは出られることを優先しての起用でしょうし無事完走で手当てをもらって帰ってくることが最優先です。

<予想>
◎キングストンボーイ
○ポタジェ


■阪神11R/夕刊フジ杯オパールS スマートリアン

前走のCBC賞では初めての6F戦に臨みましたが、前半が31.8という異次元のペースについていけず。それでも最後まで脚を使っての④着と格好は付け、今回は引き続いての1200m参戦に加え絶好枠も後押し。好位のインからロスなくひと脚を使えればこのメンバーなら十分伍せるはずです。

2022年10月8日土曜日

【10/8(土)予想】サウジアラビアRCの注目馬とねらい目レース(東京3)

■東京11R/サウジアラビアロイヤルカップ ドルチェモア

新馬戦の内容がセンスを感じさせるレースぶり。6番枠ながらも好発からスンナリハナを奪い、スローとはいえ稍重の馬場で最後の2Fを11.5-11.7で逃げ切る内容は力が違いました。ここも開幕週の内有利傾向に加え、エアレーション作業も施され東京らしい末脚が要求される舞台。ポジションを取れる強みで優位に立つのはこちらと見ます。


■東京3R ハルオーブ

前走は3角で前を走っていた馬のあおりを受けて落馬。元々1200mでも先手を取れているようにレースセンスは高く、中4週で再度立ち上げられ仕上がりも良好。まともなら未勝利はすぐに通過できる器で、狙いどころはここでしょう。

2022年10月1日土曜日

【10/2(日)予想】スプリンターズSの全頭評価とねらい目レース

■中山11R/スプリンターズS

[1]①テイエムスパーダ(国分恭)

2走前のCBC賞は前半3F31.8と千直でも珍しいハイラップ。48kgで物理的に速く走れたこの馬がそのまま逃げ切ったという見方が妥当で、時計の出る馬場は歓迎ですが53kgで急坂の中山となると楽ではありません。

[1]②ジャンダルム(荻野極)

2走前の高松宮記念は馬場が合わず、前走の北九州記念は枠に泣きの連続凡走。しかし2走前にも触れた通り荻野極Jに手が変わったことでゲートはちゃんと出るようになっており、あとは好走パターンである「4角4番手以内」を確保するためには枠の利があれば…というところで、テイエムスパーダの1つ外で1枠2番という絶好枠を確保できました。ファストフォースが来ることを加味しても3~4番手は確保できそうなメンバー構成で、自分の形に持ち込めればやれておかしくは無いはずです。

[2]③メイショウミモザ(丹内)

6走前の巌流島Sでロスの大きい競馬ながら1.07.3の好時計で快勝。4走前の阪神牝馬Sでマイルも克服しましたが、有力馬が外を回す中でスルスルと内を立ち回った分もあり、その後正攻法で敗れている点からもやはり適性はスプリンターでしょう。前走のキーンランドCは必要以上に外を回す馬が多く、外枠を引いた分距離ロスが大きかったことも災いしました。時計だけを言えば外を回った巌流島Sから短縮は可能ですが、相手関係に加え急坂を克服できるかがカギとなるでしょう。

[2]④ダイアトニック(岩田康)

2走前の高松宮記念はゲートでガチャガチャしているときにスタートを切られてしまい致命的な出遅れ。直線でも内に進路を取り勝ち馬の後ろを伸びてきてはいたのですが、流石に間に合わず最後は流し加減でした。今年初戦の京都金杯で前が空いても伸びきれなかったのを見れば、前走の安田記念も含め上級戦では1400mが距離の限界と言ったところでしょう。

安田隆師もいう通り、とにかくスタートがカギとなります。逆にそこさえ決まればこの枠ですからインベタ好走というのは十分期待できます。岩田康Jに乗り替わってからは敗因がはっきりしているレースばかりで、阪急杯を勝ち切ったように動き自体はよかった頃のものを取り戻しており軽視はできません。

[3]⑤エイティーンガール(秋山真)

外差し馬場でバイアスに乗っての好走が基本で、このコース(0,0,0,3)の成績が示す通り外を回すロスが大きいコース形態は向いておらず、今の馬場バイアスでは外から差し切るのは至難の業でしょう。

[3]⑥ナランフレグ(丸田)

春の高松宮記念は正直トゥラヴェスーラが鼻血を出していなければ開かなかった位置をこじ開けてのもの。もちろんそれだけのキレる脚がなければ成しえないですし腹を括った丸田Jの思いが通じた勝利でしたが、基本的には控えて外を回して、というレースが得意な馬。最終になっても内が活きている今の中山で春の再現とばかりに内を掬えれば良いのですが、左回りの方が走りはスムーズなだけに。

[4]⑦ウインマーベル(松山)

B着後(4,2,0,1)と変わり身を見せており、大敗したのは直線でぶつけられ挟まれ戦意喪失したファルコンS⑮着のみ。このような経緯が示す通り、馬群の中でレースをすると不安がある一方で、スムーズに外目を回れたり馬群が密集しないレースでは好走できるというのが現状でしょう。前走のキーンランドCは必要以上に外を回す人馬が多く、結果としてこの馬の走っていたあたりが「見えない内ラチ」として機能していたのも大きい好走でした。内が活きているコンディションでフルゲートのG1、この枠となると超えるべき壁は多いです。

[4]⑧ファストフォース(団野)

前走のセントウルSはこの馬が得意とするハイラップに持ち込まれたのが大きく、坂を上っても止まらなかったのはスピード能力の高さ故でしょう。ここも飛ばしたい存在がおり、内を見ながら前に出していけるこの枠順も歓迎。但し前走と比較して調教負荷が2枚も3枚も落ちる調整過程で、前走が目イチでメンバー強化となると恵まれ期待の一戦になりそうです。

[5]⑨ナムラクレア(浜中)

この夏の活躍は高いスプリント適性を示した一方で3歳牝馬の恩恵を活かしたと言え、函館にしろ小倉にしろ平坦コースで軽斤量の機動力に優れるタイプが活躍できる舞台でもありました。勝ち切った3戦は全て滞在競馬で、初めての関東輸送というのも懸念材料です。

[5]⑩タイセイビジョン(福永)

CBC賞、北九州記念といずれも軽ハンデの馬に負けての②着。今回はG1で斤量差が縮まるのは良いのですが、いずれも小倉開催で勝ち方を知る川田Jの手綱の貢献度が大きい好走でもありました。後方からでも馬群を縫って直線ではインにいる、というのは4角で加速のつく小倉のコース形態とその特性をよく知る川田Jあっての特殊要因で、昨年の内容からもそれがそのまま中山でのG1に結び付くかと言われると難しいでしょう。

[6]⑪トゥラヴェスーラ(鮫島駿)

前走の高松宮記念はG前の鼻出血で④着に泣きましたが、外枠をハンデにせず上手く壁を作り馬群を割って伸びる形を作ることができました。この馬が嵌るためには内が活きるコンディションが不可欠で、今の中山はまさに嵌る舞台。中京に良績があることもそうですが、ドリームジャーニー産駒らしく坂のあるコースも得意で久々の中山も問題ないでしょう。

問題は7歳馬にして半年ぶりというレース間隔ですが、これは陣営があえてそうしてきたものでしょう。先に述べた通り高松宮記念は鼻出血を発症したわけで、この馬は実は調教中に鼻出血を発症し休養したことが2度あります。馬の鼻血は(外傷性のものを除き)肺からのもので体質に加え激戦の疲労などが少なからず影響するものです。なるべくフレッシュな状態で出したいものの、賞金がなければ狙ったレースに出すことはできないためこれまでステップを挟んでの参戦となっており、それが鼻出血リスクを高める一因でもありました。しかし昨年に京王杯SCで②着、今年も阪急杯で②着と賞金加算に成功し、ぶっつけでG1に出せるだけの収得賞金になりました。

何より、気性面などの問題で外を回したい馬が多い中で馬群を割れる強みは大きく、平坦コースの時計勝負に強い馬は多くても坂のある消耗戦で走り切れる存在がどこまでいるのかも難しいところ。それならば春の敗因がはっきりしている実績馬から入っていくのが期待値としても高いでしょう。昨春から追いかけている身としては勝ったら泣きます、多分。

[6]⑫ヴェントヴォーチェ(西村淳)

函館SS、アイビスSDとテンのきついレースが続き追走に苦労していたところ、前走のキーンランドCでは34.5という落ち着いた前半になり能力全開。4走前の春雷Sを完勝しているように力はあるのですが、連続好走が難しいタイプなうえこれまで休み休みのローテで、夏2回使っての臨戦というのもこれが初めて。前走比でまた流れてしまうと位置取りを落とす懸念があります。

[7]⑬メイケイエール(池添)

春の高松宮記念は外枠を引いたうえ、イン有利の馬場傾向にも泣いて⑤着。まだ内に入れることの難しさを残しながらで0.1差であれば勝ちに等しいレースだったと言えるでしょう。前走のセントウルSこそが成長を見せた一戦で、馬群で折り合ってしまいを伸ばすという「普通の競馬」が出来ていました。上りのかかりやすい中京にあって32.9の末脚を使ってのレコード勝ちですから、絶対能力の高さを証明したレースでした。

但し、そこからの中2週というのは気性的にも身体的にも反動が気になるところ。これまでも高いパフォーマンスを見せてきたのは休み明けで、そこから連戦での好走実績となると新馬戦から中1週で臨んだ小倉2歳S①着時までさかのぼります。流石にローカル2歳戦と古馬G1を同一視するのは難しそうで、前走の+14kgが余裕残しということであれば杞憂なのですが。

[7]⑭ラヴィングアンサー(菱田)

現状、重賞級のメンバーでは前が止まっても届いておらず、8歳を迎え年々使える脚に限りが出てきているのも気がかりです。加えて外差し有利のバイアスでもない今回は完全に展開待ちのレースになりそうです。

[8]⑮シュネルマイスター(横山武)

前走の安田記念は海外帰りの初戦で調整の難しさもあった中でタイム差なしの②着と地力の高さを示した一戦でした。とはいえ1200mはおろか1400mすら未経験の馬がいきなりスプリントG1、しかもそれなりにテンの速いメンバーが揃っており道中はかなり後ろになってしまいそうです。それでも最後の1F、ゴール前でぐっと時計がかかるような流れになれば台頭はありそうで、馬場悪化が見込めない今回はどれだけ前が飛ばして止まるか、という展開頼みのレースになりそうです。

[8]⑯マリアズハート(菊沢)

元々中山に良績が集中しているタイプですが、昇級後の勝ち星は直線1000m戦で8枠を引いた際の2勝。千直を含め重賞での相手関係には苦しんでいるうえ、試練の大外枠。陣営は戦前「大外とかを引いてしまったらある程度思い切らなければいけない」と語っていましたが、こうなると現実的に採りえるのは終い一手。エイティーンガール同様、今の中山では厳しいと言わざるを得ません。

<予想>
◎トゥラヴェスーラ
○ジャンダルム
▲ダイアトニック
△メイケイエール
△シュネルマイスター


■中京12R タケルラスティ

矢作厩舎勝負の中1週連戦ローテに加え、元々現級でも良績のあるダート替わり。芝への転戦を経て控える競馬が板についており、距離短縮でしまいを活かす作戦が奏功する余地は十分です。

【10/1(土)予想】シリウスSの注目馬とねらい目レース(関ケ原S)

■中京11R/シリウスS ハセドン

2走前の青竜Sの勝ちっぷりが印象的ですが、元々馬群の中では落ち着きを欠きレースにならない馬なのでポツンが嵌ったというものでした。上り34.3と芝並みの末脚を繰り出し勝った反動もあり、前走ユニコーンS後の横山典Jのコメントが「前走(青竜S)あれだけのパフォーマンスをした後だし…」といった趣旨だったことを踏まえれば、それだけ青竜Sが理想的なレース運びでしっかり走り切れた、ということでしょう。そこからの中4週は少々酷だったかもしれません。

今回は3か月の休み明けで体調面の不安も無く、最終追いでは3頭併せの真ん中でカレンルシェルブルにも先着。加えてこれまで5戦は1桁馬番で運びが難しい面がありましたが、7枠14番を引け外目をスムーズに追走できるのも強みです。4走前の未勝利戦を見る限りでも、馬群の外に出した途端にピタリと折り合っていたことから決して最後方から追いかける必要は無さそうで、送り出す安田翔師も「今回は少し位置を取りに行きたい」とポツンにはこだわらない姿勢を示しています。今回ケイアイパープルの回避で繰り上がって出走が叶った背景からも、休み明けのここで全力で賞金を加算し今後のローテを楽にしておきたいところです。


■中京10R/関ケ原S ホウオウエクレール

このレースやたら先行馬が多いわりに逃げ馬不在というメンバー構成。皆ハナは切りたくないという中でポジションを主張しそうなのはホウオウエクレールでしょう。中京芝2000mコースは坂の途中でスタートする形態もあり元々スローになりやすく、重賞でも前半が61秒くらいで運ぶこともザラ。ホームストレッチいっぱいに先行争いが繰り広げられる2200mが差し有利なのに対し、こちらはスローの前残りが多く真逆の性質。実際にこの馬も中京2200mでは⑧④着なのに対し2000mでは②③③③着と明暗が分かれています。

2走前の高山Sでは逃げたいミトノマルーンとかち合ったことで前半が60.7と(このコースの条件戦としては)流れ差し有利の決着の中で0.3差の③着。勝ったのは次走関越Sを制したイクスプロージョンですから善戦と言えるでしょう。好位追走勢がけん制しあうような流れになればこの馬の望むところです。