[1]①ブトンドール(池添)
距離を伸ばしてからもうワンパンチ足りない競馬が続いており、特にここ3戦は上がりタイムにも現れているように溜めてもキレない現状。ビッグアーサー産駒の距離適性の限界を露呈している格好に加え、前走のフィリーズレビューで「ここの結果次第で今後の路線が決まる」と言っていたにも拘らず主戦の鮫島駿Jが乗れないこともわかって参戦するあたり、人間の都合で出走させられているとしか思えず。
[1]②ライトクオンタム(武豊)
前走のシンザン記念はロスの大きい競馬で差し切りましたが、小頭数の前傾戦というかなり特殊な流れであったうえ1勝クラスもまともに勝てないメンバーの集まりで正直評価には値しません。デビュー戦も東京で11頭立てと比較的ゆとりのある構成でスロー逃げ。いきなりフルゲートの内枠に入れられてしまってはこの鞍上を以てしても捌きの難易度は高いです。
[2]③リバティアイランド(川田)
前走の阪神JFではスプリント戦に近いハイラップで先行勢が止まる流れとなったことで余計にインパクトが強い勝ち方にはなりましたが、②③着がインを突いて伸びてきたことを考えれば外から王道のレースをしたこの馬の力が段違いだったと見るべきでしょう。唯一の懸念はこの枠。2走前のアルテミスSのように蓋をされたときに取りこぼす可能性は無いとはいえず、川田Jはこの馬に関して「いかに平常心で臨めるか」をキーワードに挙げています。アルテミスSも阪神JFも、常に安全策を取ってちゃんと外に出して脚を使わせてきた点からも、馬群に突っ込ませるにはまだ気性面で心もとないという評価の裏返しとも見られます。そうなると、内をめがけて各馬が殺到する今のコンディションではパニックを避けようと折角の好枠でも引いて外を回すなどの対応が求められ、馬の気分を優先して進めると先行勢の台頭を許す可能性も捨てきれません。
[2]④ドゥアイズ(吉田隼)
札幌2歳Sまでの内容から先行出来てこその馬と見ていましたが、2走前の阪神JFではスタート一息も後方インで我慢し直線で進路を探しながら伸びて③着確保。これ自体はハイペースの前崩れが幸いした格好でしたが、前走のクイーンCでは逃げ馬、2番手がそれぞれ⑬⑭着に沈む流れを3番手から追いかけ、直線坂下では進路が無くなりかけるもこじ開けての②着。それも一度は抜け出してフワッとしたところハーパーが伸びてくると併せ馬の形でファイトバックしてモリアーナを逆転したところから、勝ち切れなさと勝負根性が同居するタイプと見えます。昨年のスターズオンアースの勝ち方にも現れているように、インが活きるコンディションで内に各馬が殺到するこの舞台では馬群を割ったり併せ馬で頑張れるタイプが台頭しやすく、離れた外から差されてしまうのはやむを得ないにしても団子状態の先団の中で抜け出せるとしたらこの馬でしょう。
[3]⑤ハーパー(ルメール)
前走のクイーンCでは馬群を割って良い末脚を見せましたが、輸送で-12kgと減らしていたように陣営は体重維持に気を遣いながらの調整を余儀なくされてきました。今回も1週前では併せ馬に遅れたように攻め切った、という追い切りは出来ておらず、加えてラフプレーを好まないルメールJへの手替わりというのも少し気がかりです。馬群を割って脚を使わせることを躊躇わない川田Jに対し、ルメールJが直線で馬群の中から脚を使わせるのは「馬の調子が悪い時(グランアレグリアの21年安田記念等)」に限られ、本来は外に出して進路を確保してから満を持して追い出すのがスタイルです。これは大レースが東京や阪神といった大箱に多く、末脚に秀でた強い馬に乗る機会が多いからこそのスタイルですがお世辞にもハーパーは「後方ズドン」で勝てるタイプの馬では無いだけに、乗り方を誤ると何も出来ずに終わってしまう可能性もあります。
[3]⑥モズメイメイ(和田竜)
ここ2戦はスロー逃げが叶っての連勝ですが、近年の桜花賞は最初の3Fが34秒台になることがほとんど(重馬場の2020年すら34.9)。逃げたい馬はいないので展開は作れそうですが、番手で突きたい馬はそれなりにいるだけによどみないペースで辛抱できるかは未知の部分です。
[4]⑦コンクシェル(丸山)
前走のアネモネSからブリンカーを着用。ここまで4戦とはペースの違いもあり控える格好になりましたが最後まで集中して走れたことで着を上げてきました。4角から追いどおしになるなどまだ反応に時間がかかる面があり阪神コース替わりはプラスですが、前走は大外枠から揉まれずに運べたのも好材料でした。この舞台で大外を回すのはロスが大きく。
[4]⑧キタウイング(杉原)
3走前の阪神JFは位置を取りに行こうとハイペースについていき⑭着大敗、前走のチューリップ賞はスローペースに加え進路を探しながらのレースとなり⑦着と、縦長のスプリント戦という特殊展開になった新馬戦を含め敗れた理由は何れも明白です。フェアリーSの勝ち方が嵌り過ぎで逆に人気を落とし気味ですが、伸びどころをうまく運べた新潟2歳Sも含めて器用に立ち回れるのがこの馬の強みとも言えます。進路が開きさえすれば伸びる脚は持っており、押さえは必要でしょう。
[5]⑨コナコースト(鮫島駿)
前走のチューリップ賞、その前のエルフィンSともに勝負所で動ききれずに②着に敗れていますが、いずれも4F目と3F目のラップ差が大きいヨーイドンのレースで、急速なギアチェンジに対応しきれていないと見ています。これは折り合い教育を重視する傾向の強いクラシックに向けたステップ・トライアルレースではよくある話で、こうしたタイプは本番でペースが流れたり動き出しが早くなって急加速が不要な流れの方が向いています。現に同じキタサンブラック産駒であるイクイノックスもダービーは取りこぼしたものの、パンサラッサの大逃げで特殊な流れになった昨秋の天皇賞や早目の進出が必要な有馬記念を勝ち切ったばかりかドバイSCでは逃げ切った始末。今回で考えればリバティアイランドに切れ味勝負を挑む馬は少なく、各馬早目の進出が予想されることからじわっとアクセルを踏めるこの馬に展開が向く可能性は高いと見ます。
[5]⑩エミュー(松山)
3走前の菜の花賞でいいところが無かったことも踏まえ、ハービンジャー産駒という血統背景から距離を伸ばした経緯がありマイルに戻るのはプラスとは言えません。前走のフラワーCにしても馬場の良い外をぶん回したデムーロJの騎乗が嵌っただけで、根本的な追走力不足は否めません。おまけに陣営は桜花賞への出走を想定してなく、軽めの調整はこの厩舎のいつものパターンにしても410kg台のこの馬にとって中2週続きのローテがプラスに働くとも思えず。
[6]⑪シンリョクカ(吉田豊)
中間は除外リスクも鑑み皐月賞も視野に入れての調整を強いられましたが、3週にわたって3頭併せを敢行するなど攻め込めているのは好印象です。前走の阪神JFは外を回った勝ち馬に対しロスなくインを立ち回り垂れた先行勢を交わしての②着だっただけに強調はしにくいですが、馬群を捌ける器用さは示した格好につきその点では留意が必要でしょう。
[6]⑫シングザットソング(岩田望)
前走のフィリーズレビューではポジションを取りに行き、前半33.2という速い流れを外を回して押し切った内容は評価できます。それまでの3戦ともスタートが決まらず後方から差しに回るレースを強いられていただけに一概に1400mの馬とは言い切れず、ここも好位を取れれば面白いでしょう。
[7]⑬ドゥーラ(戸崎)
ここ2戦は流れに乗り切れず不完全燃焼のレースが続いていますが、マイルへの距離短縮で位置を落としているうえ馬群の中で進路を求めようにもスパッと切れないため伸び負けているのが現状です。現に前走のチューリップ賞にしてもキタウイングと接触して最後流したのは事実にせよ、空いたスペースを争った際にキタウイングに伸び負けていたために進路を取れなかったというのが実情です。前走のペースですら前に行けなかったことを踏まえると、さらに流れそうな本番で位置取りが改善する可能性は低いでしょう。
[7]⑭ペリファーニア(横山武)
前走のチューリップ賞では勝ちに行くレースをしたもののルカンが壁になり内に入れられなかったことで引っ掛かってしまい、最後の一伸びを欠いてしまいました。この馬の立ち回りを活かすためにも本番では内目の枠が欲しかったところでこの外枠は痛く、調教の動きを評価する声もありますが格下馬と併せて大きく先着という内容。鹿戸師のこのやり方は半兄のエフフォーリアが不振だった時と一緒で、調教後馬体重の時点で前走以下の492kgとなっている点からもさらなる上積みは望みにくいです。モーリス産駒らしく本格化はもう少し先かもしれません。
[7]⑮ジューンオレンジ(富田)
前傾戦を差し込むここ3戦の内容が良いところからも、距離適性は短い方だと思われます。ダートや直線競馬に出てくると面白いでしょうが…
[8]⑯ムーンプローブ(北村友)
前走のフィリーズレビューでは距離短縮で折り合えた分最後にひと脚を使えましたが、本来あれだけのハイペースであれば差し切ってほしかったというのが本音です。坂が合わないのか1400mでもまだ長いという可能性もありますが、いずれにせよ距離延長+外枠を引いた今回は全てにおいて条件がマイナスで。
[8]⑰ラヴェル(坂井)
前走の阪神JFでは大外枠で壁を作れず折り合いを欠いてしまい⑪着。ただ2走前のアルテミスSも大外枠でしたがこの時は10頭立てで馬の後ろに入れても問題ない隊列でした。今回も外枠を引いてしまったのは痛いですが連戦だった前走と違ってリフレッシュして臨めるのはプラスで、うまく中団の外目で折り合えれば力は足りてよいはずです。
[8]⑱トーセンローリエ(横山和)
前走のアネモネSで初めてのマイルを経験しましたが、自ら勝ちに行く内容で後続を完封。ただ中間に12秒台の区間を作れた分でもあり、スピードオブライトの距離適性が想像以上に短かったこともあっての勝利でありました。ここも番手は楽に取れそうですが、モズメイメイ同様に早めに突かれ息の入らない流れになると厳しいでしょう。
<予想>
◎コナコースト
○ドゥアイズ
▲リバティアイランド
△シングザットソング
△キタウイング
△ラヴェル
△ハーパー
△シンリョクカ
■阪神9R/忘れな草賞 ミヤビ
本来なら同オーナーのモリアーナが桜花賞に出られていればここも武藤Jが乗れていたはずなのですが無念の乗り替わり。しかしながらこの馬は一貫して2000m以上を使われ、牡馬相手にも葉牡丹賞・ゆりかもめ賞と連続③着と健闘しています。葉牡丹賞勝ちのミッキーカプチーノはホープフルS⑤着、ゆりかもめ賞②着のサヴォーナも先週のアザレア賞を勝つなどメンバーレベルは水準以上。距離適性の観点から近年は桜花賞と両にらみで登録をかける実績馬の参戦が少なく、今年もスピードの足りない中距離馬が中心のメンバー構成につき戦ってきた相手を考えればここは通用級でしょう。
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