[1]①リバティアイランド(川田)
中5週は既に阪神JF・オークスで経験済。特にオークスは桜花賞で絶体絶命の位置から差し切った異次元のパフォーマンスからの中5週+遠征を乗り切ったという点で高い評価ができるレースでした。古馬とは初対決ですが、ここは古馬牡馬と4kgのハンデ差のある舞台で逆転可能なことに加え、今の東京が「上りの絶対値が求められる舞台」である点も後押ししています。
上記は東京芝レースにおける上り1位の馬の成績(良馬場のみ)を集計したものですが、11月開催における成績は群を抜いて良く、近5年の通年成績も上回っています。上がり最速の馬は東京コースでは確実に上位に入ってくるので連対率・複勝率で見るとさほど大きな差はないですが、勝ち切れているパーセンテージが高いというのが大きいです。他にも上がりの使える馬は居ますが、ここは切れ味と軽斤量を最大限に活かせる舞台と言えるでしょう。
[1]②イクイノックス(ルメール)
前走の天皇賞では3番手追走で先行勢にプレッシャーをかけながら直線でアッサリ交わす横綱相撲。この馬より前にいたジャックドール、ガイアフォースが最後バタバタになっていたのに加え②③着が最後方待機の2頭だったことを見ても、近くにいた馬にとっては相当に脅威だったはずです。栗東滞在で完調とは言えなかった宝塚記念でも勝ち切っており、ここも中3週ではありますが週中のウッドに加え週末にも坂路で時計を出すなど体調面の不安なくやれている様子がうかがえ、能力発揮に不安はありません。
[2]③タイトルホルダー(横山和)
この馬のパフォーマンスの高さは「ラスト1000mで加速できる」という点にあります。通常、逃げ馬というのは離して逃げるか、引き付けて逃げてギリギリのところで二枚腰を発揮するかのどちらかなのですが、菊花賞を「60-63-60」という芸術的なラップで逃げ切ったようにこの馬はロングスパートができるため、後続が気付かないうち(=このペースで行かせるとまずいと気づいた人馬が早目に仕掛けだす前)に逃げ切り態勢に持ち込めるのがセールスポイントです。
とはいえ今回はパンサラッサがおり、自身がペースを作るレースにはならなさそう。そこでもう一つの武器が岡田牧雄氏を唸らせた「横山家の体内時計」です。
群れて走る中団以降の馬たちは周りを見て走っていればよいですが、恐らく明日はパンサラッサが大きなリードを取り、単独の2番手をこの馬が追走、そこからまた離れて3番手以下の集団、という馬群になると見られます。この時一番難しいのが、玉砕覚悟の逃げ馬を2番手から追いかけるタイトルホルダーの仕掛けタイミングですが、上記の通り早目にアクセルを踏める馬ですから恐らく3角手前あたりで加速して捕まえに行くでしょう。距離が長いと見られているパンサラッサを自ら捕まえに行くのは尋常に考えればリスクが大きく、人気2頭を含めて勝手に垂れてくれることを待ちたいのが本音でしょう。しかしその騎手心理にタイトルホルダーのチャンスが生まれるとすれば、垂れたパンサラッサを交わしてもそのはるか前にロンスパ得意のタイトルホルダーが居るという構図になるでしょう。やはり今週の東京は例年のJC週の通りインが活きており、一番コースバイアスの恩恵を受けられる可能性があるはずです。
[2]④スタッドリー(マーカンド)
良績は内回り、小回り、ローカルコースに集中しており東京では2度の重賞挑戦でいずれも1秒差以上の大敗。このメンバーでは恵まれようもなく。
[3]⑤ドウデュース(戸崎)
前走の天皇賞では急遽の乗り替わりの影響もあってか、終始折り合いを欠き自分のレースが出来ませんでした。ただ、そもそもジャックドールが飛ばし気味に逃げた中、馬群の中でレースをさせることに長けている戸崎Jを以てしても折り合えなかったというのは相当気性面が難しい馬だということが露見した格好で、今まで武豊Jが相当うまくやっていたのかもしれませんがいずれにしてもマイナスでしかなく、引き続きキレ勝負の東京で前走以上を見込むのは難しいでしょう。
[3]⑥フォワードアゲン(黛)
良績は右回りの小回りコースに集中しており、唯一左回りで勝った東京の未勝利戦は不良馬場。スピード勝負では分が悪いうえ、1年以上掲示板に入れていない現状では。
[4]⑦[外]イレジン(M.ヴェロン)
G1勝ちは小頭数のものと3100m戦。フランス国内でしか実績が無く、日本の高速馬場への対応は未知数で。
[4]⑧パンサラッサ(吉田豊)
当初は9月のアイルランドチャンピオンSを予定していましたが、繋靭帯炎の影響で復帰が伸びる形に。ギリギリまでチャンピオンズCとの両にらみであったことからも中間の状態面のジャッジにかなり慎重になっていたのが窺えますが、そもそも矢作師の話として「2400mは長いが、かといって日本のダートへの適性に不安もある」という難しい選択を迫られていたことも事実。玉砕覚悟で逃げるここは無事完走が第一目標でしょう。
[5]⑨ヴェラアズール(H.ドイル)
昨年のこのレースを勝って以降は小回り、ダート、内回り、重馬場と末脚を自慢の発揮できない舞台が続いており、久々に適条件に戻ってきたのは好材料です。
但し問題は直前で乗り替わりになったH.ドイルJ。
昨年の来日以降、とにかく逃げでしか成績を残せておらず中団以降からのレースでは壊滅的。この馬の鞍上を託すという意味では適任ではないでしょう。
[5]⑩ダノンベルーガ(モレイラ)
前走の天皇賞ではドウデュースの後ろにつけましたが、直線では思ったほど弾けず。陣営はもう少し長めの距離を走らせたい意向ですが、単純なスタミナどうこうというより現状では2000mのキレ勝負に対応できないというのが実情なのかもしれません。ここは距離は伸びるものの前回以上に切れ者が揃った印象で…
[6]⑪トラストケンシン(荻野極)
比較的後方待機勢に恵まれた昨年のJCで1.3差の⑬着。昨年比でメンバーも大幅に強化され、もう2年掲示板に載れていない現状では。
[6]⑫[地]チェスナットコート(田中学→田辺)
中央重賞で好戦していたのは5年前の話。前走のオールカマーの大敗を見ると現状芝でどうこうというレベルにはなく…
[7]⑬[地]クリノメガミエース(吉村)
勝ち星はダートの新馬戦と笠松の3歳戦のみ。一昨年の札幌2歳Sの内容を見れば芝のペースについていけるかどうかも怪しく、無事完走を祈るのみです。
[7]⑭ディープボンド(和田竜)
3角から手が動くような持久力比べでは押さえが必要ですが、ラスト3Fの勝負になると苦しいです。パンサラッサを早目に交わして無理やりそういう展開に持ち込むことも出来はするのでしょうが、強力な同型もいるだけに。
[7]⑮ショウナンバシット(M.デムーロ)
使える上りに限界があり、切れる脚を使えるのは緩いペースで溜めた時。にもかかわらず皐月賞以降は行けないのか行かないのか後方からのレースばかり。世代限定戦の重賞でもやれていない現状は。
[8]⑯インプレス(三浦)
一瞬の決め手を活かしたいタイプで、好走してきたのは緩く流れる長距離条件戦やイン突きで一瞬の脚に賭けた新潟記念③着のみ。優等生三浦Jにそういう乗り方を期待するのも難しく。
[8]⑰スターズオンアース(ビュイック)
オークスのパフォーマンスだけを比較すれば、馬群を縫って楽に抜け出したリバティアイランドより大外から差し切ったこの馬の方が上と考えることはできます。牡馬相手に②着と善戦した大阪杯も道中進路をカットされる不利や前残り展開のアヤで敗れたまでで、先行勢が上位を占める中で最も強いパフォーマンスでした。ただ今回は爪不安で天皇賞を回避し再仕上げというロスの中、この枠から理想の位置取りに収めるのは難易度が高いでしょう。
[8]⑱ウインエアフォルク(藤田菜)
東京コースは(0,0,0,6)。中央での2勝は何れもローカル2600m戦で後ろから行ってのもので、速い上りの使えることが求められる東京2400m戦では苦しいです。
<予想>
◎タイトルホルダー
○リバティアイランド
▲イクイノックス
■京都12R/京阪杯 エクセトラ
今年に入っての連勝中は何れも中団の外を取り、いつでも動ける態勢を確保していました。一方ここ2戦は馬群に押し込められ動きたいところで動けず、特に前走のスワンSは最内枠で馬場の悪いところを通らされたことも響きました。外枠を引けたのはプラスで、この中間は連勝時同様に逆時計にならずに追い切りを消化できているのも好材料。絶対的な中心馬が居ないメンバー構成でここまで人気を落とすのであれば。
0 件のコメント:
コメントを投稿