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当ブログは、広尾サラブレッド倶楽部株式会社様のご厚意により、同倶楽部の所有する競走馬の写真及びWebサイト記載情報の転載許可を頂いております。

2021年11月28日日曜日

【11/28(日)予想】ジャパンC・京阪杯の全頭評価とねらい目レース(オリエンタル賞、カノープスS)

■東京12R

[1]①ムイトオブリガード(柴田善)

 この馬は位置を取りに行って好成績を残してきた馬で、4角通過順が5番手以内なら(5,0,0,4)なのに対しそれ以下だと(1,4,1,14)。前目で一脚を使う戦法に持ち込むのが得意なだけに、ここ最近は出脚が鈍く位置を取れていないのが気がかりです。最終追いはウッドで先着も2歳未勝利馬と併せてのもので強調できる時計でも無く、ここに来てのさらなる良化は望みにくい現状です。

[1]②コントレイル(福永)

 前走の天皇賞ではスタートの後手も響き、エフフォーリアを見ながらの運び。本来自身がやりたかったレースを勝ち馬にされる格好で、それでも上手く目標を前において直線を迎えられましたが、最後はハイペースを前目で運んで止まったグランアレグリアを交わすのが精一杯。前回とのメンバー差を考えればここでは実績上位になりますが、前走が必勝を期して臨んだだけにそこからの上積みは?で、なおかつ距離延長も歓迎材料ではなく。

[2]③ブルーム(ムーア)

 今年のサンクルー大賞(仏G1)を制し、地元アイルランド以外での初めての重賞勝ちがG1となったうえ前走はBCターフ(米G1)で0.1差の②着。地盤が柔らかく時計がかかる欧州に比べ、アメリカの芝は比較的日本に近いスピード馬場で同レースの2400mの決着タイムは2.25.9。同馬が2走前に②着したフォワ賞(仏G2)が2.31.8だったことを考えれば1000mで3秒ほどはタイムの違う馬場を高いレベルで走破しており、能力は一級品でしょう。

 この馬はキャリアで2回だけ2桁着の大敗を喫しているのですが、2走前の凱旋門賞⑪着は悪天候で決着タイムが2.37.6という超スロー。昨年のロングディスタンスC(英G2)⑬着は経験のない12f(3190m)戦でのもので、これ以外のレースは全て⑥着以上に纏めています。欧州外の国際G1で好走しているのはポイントで、父Australia(英)の母ウィジャボードが06年にBCフィリー&メアターフを制し次走のジャパンCでも③着に入るなど高速馬場への高い適性を有しているのも好材料。このメンバーであっても無視できない存在でしょう。

[2]④シャフリヤール(川田)

 前走の神戸新聞杯はやはり雨の影響が大きく、キレを身上とするこの馬にとっては不向きなコンディションで度外視できます。中間は疲労回復ののち立ち上げ、1週前に速めをやって直前は確認程度に留める調整はダービー時と一緒。ダービーを勝っているとはいえ、2400mへの適性で勝ったというよりは能力の絶対値や位置取り、鞍上の舞台経験などが噛み合ってのもの。本来は1800~2000m程度の馬であまり大味な競馬はしたくないはずで、ロスなく立ち回れるこの枠は好材料でしょう。

 但し3戦ぶりに手綱を取る川田Jのテンションはあまり上がらず。「この馬の長所は?」という問いに対し「ダービー馬であること」という、某元環境相を彷彿とさせるような言い回し。普通は「最後のキレ」とかそれっぽいことを言うべきところですし、仮にも毎日杯騎乗時は日本レコードで勝っているにも関わらず、です。「春から成長している」という話もしていましたが、何が?と聞けば「まとまりが出てバランスが良くなった」というこれまたけむに巻いたようなコメント。デビュー時450kgだった馬体は神戸新聞杯でも452kgで目に見えた成長を見せているわけでもなく、曲解すれば「長所らしい長所が無い」と捉えているのかもしれません。

 距離のことも考えればあまり積極的なレースにはならないはずで、キセキが奇跡的にスタートを決めない限りはメンバー的にもスローが予想されます。そうなると前が垂れるというよりかは自分で決めに行く脚が必要なわけで、長く良い脚を使うタイプではないだけに仕掛けどころを見定めている内に前に居る馬に押し切られる可能性も考えなければなりません。

[3]⑤キセキ(和田竜)

 6歳シーズンからゲート難が顕著になり、ここ2戦は出していくも今度は掛かるという問題点が。気分良く行かせることが非常に難しいのですが前走の京都大賞典は久々にまともなレースが出来ての②着でした。但しあのメンバーだから②着で済んだという見方もでき、好走のためにはキレ勝負でなくなし崩し的に脚を使わせるレースになる必要があります。スタートさえ決まれば自ら逃げてその形を作れますが、微妙に内側の枠に入ってしまいスタートにシビアにならざるを得ない点が悩ましく。

[3]⑥グランドグローリー(C.デムーロ)

 仏G1であるジャンロマネ賞を2走前に制しG1初制覇。前走のオペラ賞(仏G1、イカットも参戦し⑬着)でもタイム差なしの②着と充実ぶりが光ります。欧州ではセックスアローワンスが日本より牝馬にきつく、これまでのレースの斤量は56~59.5kg。今回55kgを背負ってレースに出ること自体が初めてで、牡馬との2kg差も欧州に比べれば有利にはなります。

 但しこの馬の場合、勝ち星が2100mまでしかないことに加え芝の良馬場で勝ったことがない点が気がかり。加えて追い込み一手の脚質では今回の流れでは不発に終わる可能性が高く、自分のレースをしてどこまで、という舞台になるでしょう。

[4]⑦オーソリティ(ルメール)

 府中は(3,1,0,0)。コース巧者なのは言うまでもないですが今回は中2週での臨戦がポイント。1週前から時計を出し始め、直前は3頭併せの一番外で52.4-11.6を馬なりでマークしており態勢は整ったと見ます。但し中間が馬なり3本のみという点からはやはり状態維持が最優先となっている背景が窺えるうえ、前走も強いレースでしたがそもそも2着以下は重賞でろくに勝負になっていない馬ばかりで実質G3~OP特別程度のメンバーでした。人気2頭に付け入るすきありと見てかそれなりに人気になっていますが、元々連戦(=天栄仕上げでない)が得意でない木村厩舎の特性を考えても懸念の残る舞台ではあります。


 上記は木村厩舎の連戦時成績(2018年~)。そもそも3連戦以上のローテ自体が極端に少なく、複勝回収率を見れば使うごとに期待値が下がっていくのが一目瞭然です。比較対象として下記に矢作厩舎のデータを載せますが、方針が違うので一概に比較はできないものの馬質に大差のないことを考えればやはり厩舎力という点で差異は小さくないと考えます。


[4]⑧ウインドジャマー(北村宏)

 藤沢和厩舎最後のジャパンCですが、登録があったのはこの馬と繰り上がり次点のゴーフォザサミットの2頭。芝での実績を考えれば後者の方が望みはありそうですが、藤沢師はあえてウインドジャマーを回避させずに出走という判断をしました。

 馬主の多田信尊氏は元大樹ファームのレーシングマネージャーで、同厩舎の活躍馬でもあるタイキシャトルをはじめとした各馬の海外遠征や、セリ市での購買を長年にわたりサポートしている方です。仲介が本業につき自身の持ち馬よりはペルーサ等他の馬主名義の活躍馬の方が有名で、自身の所有馬はマイナーな牧場の生産馬が殆どですがその中でも17年のキーンランドCを9歳にして制したエポワス等がいます。同厩舎を長らく支えた功労者という側面もあり、芝未勝利での参戦には記念出走の側面が無いとは言い切れないでしょう。

 但し時計がかかるようになっている点は好材料で、鞍上の北村宏Jは開催後半の馬場の伸びどころを的確に把握できる騎手でもあります。先週のレースぶりなどを見ていても上手く内から2~3頭目の位置に誘導しようという意図が感じられ、位置を取ることが出来れば掲示板くらいはあっても。

[5]⑨アリストテレス(横山武)

 コントレイルと接戦した菊花賞は完全に向こうの不得意条件で、中距離に戻ればやはりレベル差は認めざるを得ません。前走の京都大賞典にしても最後の1Fが13.0秒かかるタフな流れになったにもかかわらずマカヒキに差されてしまうあたりは現状の限界で、上りが求められるこの舞台に変わるのはプラスではありません。

[5]⑩ロードマイウェイ(三浦)

 2走前の京都大賞典は展開・メンバーに恵まれてのものでそれでも⑤着が精一杯。前走のアルゼンチン共和国杯は引き続いての56kgで前進を見込みましたがやはり道中の追走からして良かったころの姿にはないという判断で、メンバー強化+距離短縮のここでは。

[6]⑪シャドウディーヴァ(横山典)

 前走同様に終いを伸ばす形で「距離は持つ」という話ですが、その前走の府中牝馬Sもアンドラステの仕掛けがワンテンポ早かったために届いた側面もあり、自滅待ちの期待の薄いこのメンバーでは自身のレースをしてどこまで、という舞台になるでしょう。

[6]⑫サンレイポケット(鮫島駿)

 前走の天皇賞では高速上りに対応し33.6の脚を使い④着と健闘を見せましたが、やはりベストなのはワンターンかつ上りのかかる展開。このコースで勝ちがあるとはいえ2.33.1も時計のかかる不良馬場でのもので、まっとうな芝コンディションではもうワンパンチに欠けるところです。

[7]⑬モズベッロ(池添)

 多少時計がかかるとはいえ、良馬場の範疇ではやはり東京コースでは苦手な上り勝負にならざるを得ません。叩かれながらの上昇は認めますが、掛かりやすいタイプで距離延長も歓迎ではないクチで。

[7]⑭ユーバーレーベン(M.デムーロ)

 前走の秋華賞は一頓挫あってのぶっつけであったうえ、明らかに向いていない阪神内回り2000mという条件で度外視できます。舞台変わりと叩いての良化は好感持てるものの、オークスは同世代間での争いで元から2400mではまともに勝負になる馬がほとんどいない中での勝利で、それをこの舞台で通用するよりどころにはなかなかしにくいというのが正直なところです。

[7]⑮マカヒキ(藤岡康)

 前走の京都大賞典は前半61.6秒のスローペースに加え、最後の1Fが13.0と大きく失速したことで結果的に間に合いました。阪神2400mコースで重賞が挙行されるチャンスは少ないだけに、メンバーにも恵まれ上手くチャンスをモノにした格好でした。多少時計がかかるとはいえ、良馬場であれば2分23秒台の決着はほぼ確実で間に合うのは難しいかと。

[8]⑯ユーキャンスマイル(藤岡佑)

 年々追走力が衰えており、昨年は2.23.0の決着についていけず2.0差の⑫着。ここ2年は阪神大賞典でしか馬券に絡めていない点からも、まっとうな流れでは現状苦しいでしょう。

[8]⑰ワグネリアン(戸崎)

 前走の富士Sは壁を作って進めたもののキレで勝負するタイプではないため、もう少し前でレースが出来れば、という運びでした。距離延長で臨む今回はもう少し前で運べそうで、過去距離延長ではダービー①着・JC③着を含め(1,1,1,1)で、唯一の着外は雨が残った昨年の宝塚記念でそれ以外は確実に走れています。

 但し今回は中間で頓挫があり1週前がポリトラックでの追い切り。最終でウッドで併せ馬を消化しましたが格下に遅れを取る内容で、完調とは行かない点が懸念です。

[8]⑱ジャパン(武豊)

 G1を連勝したのは2年前。5歳シーズンはここまでG3を2勝しているのみで、アメリカのG1でタイム差なしの②着があるものの54.5kgで出られたもの。今回は帯同馬としての性質が強く、日本のような高速馬場への適性も未知数です。

<予想>
◎ブルーム
○シャフリヤール
▲コントレイル
△キセキ


■阪神12R

[1]①アウィルアウェイ(荻野極)

 2走前の北九州記念は上滑りする馬場で末脚を活かせず。前走のスプリンターズSは内しか伸びないコンディションでやはりこの馬には向きませんでした。今の阪神の外伸び馬場は向きそうですが、痛恨の最内枠を引いたうえこの夏から急激に体重が増えているのが気になるところ。ひと間隔開くも強めの本数は少なく、番組ありきの参戦に映るのも気がかりです。

[1]②エイティーンガール(秋山真)

 好走パターンは外差し+前崩れ展開でのもので、前走のスプリンターズSはそれが叶わなかった分の敗戦でした。馬場的にはこの馬に向きそうですがインから持ち出すとなるとロスを覚悟する必要があり、鞍上がうまく捌いてどこまで、というレースになるでしょう。

[2]③ラヴィングアンサー(岩田望)

 終いは確かですがどうしても展開頼みになる馬で、上りのかかるレースに好走歴が集中しています。今回は最後の直線の坂で上りのかかる阪神ですから浮上の余地はありますが、その脚質故多頭数の内枠は鬼門。OP入り後の3勝はいずれも8番枠より外でのもので、この枠では立ち回りが難しい懸念も。

[2]④オールアットワンス(石川)

 前走アイビスSDを勝ったものの、元々2走前の葵Sではレイハリア、ヨカヨカに続く③着で力のあるところは見せていました。目立っていく馬も居ないだけにこの馬が主導権を握りそうですが、最後の1Fで1秒近く時計がかかる阪神芝1200mではどこまでこらえられるか、今後トラックコースでの重賞を戦っていくうえで真価の問われる一戦になりそうです。

[3]⑤タイセイビジョン(幸)

 前走のスプリンターズSではスタートしてメイケイエールにぶつけられ最後方からのレースを余儀なくされました。ただでさえ出脚に難があるだけにここは負けても仕方ありません。スプリントの追走力に課題はありますがスムーズなら重賞でもやれてよい馬で、2走前のセントウルSもスタートタイミングが合わず後方からになった分の敗戦で内有利展開を0.5差⑦着なら決して悲観する内容ではありません。捌き一つで巻き返しは可能かと。

[3]⑥シヴァージ(吉田隼)

 前走のスプリンターズSではそれまでと一転して内目でポジションを取る競馬。1番枠で腹をくくった側面もあるのでしょうが、内しか伸びないコンディションも相まってレシステンシアとタイム差なしの③着は十分に評価できるものでした。今回はこの馬本来の戦法の活きる外伸び馬場で条件・相手関係も大きく好転。「出そうと思えば」位置を取れるタイプにつき枠順の不安も少なく、順当に上位争い可能でしょう。

[4]⑦ファストフォース(小崎)

 この夏の連続好走はともに小倉でのもので、前走坂のある中山ではぱったり止まってしまいました。日本レコードで勝ったCBC賞も究極の体力勝負になった面が大きく、まっとうに時計のかかる馬場では恩恵を受けにくく他馬の台頭余地も大きいだけに。

[4]⑧サヴォワールエメ(松若)

 短距離で前付けするレースで2連勝。但し軽い斤量と内目の枠に恵まれた格好もあり、斤量増+8番枠で同様のレースができるかは少々疑ってかかる必要がありそうです。

[5]⑨ミッキーブリランテ(坂井)

 キレはしないものの好位で脚を溜めてじわじわ追い込むタイプで、位置を取るのに苦労しない中枠は歓迎のクチ。但しこの馬というか矢作厩舎は休み明けの成績が芳しくなく、この馬も中2週以下で(3,1,2,2)に対し中3週以上空くと(2,1,2,12)と好走確率がガクッと下がります。ここが勝負というよりは、ここを叩いて阪神Cあたりが理想でしょうか。

[5]⑩レッドアンシェル(団野)

 重賞を2勝しているように力はあり、とにかくこの馬の場合体調が整うかが最大のポイントです。2走前の北九州記念時はCBC賞をコンディション不良で自重しての参戦で、中間2週にわたり坂路で速めと併せ馬を消化し体調は整っていましたが馬場の悪いところに押し込められた上58kgを背負い0.3差の⑤着。斤量差が出やすい短距離戦で勝ったヨカヨカと7kg差とあっては仕方ありません。

 今回は放牧明けで2か月半ぶりの実戦ですが、この馬にしては珍しく中間はウッドも取り入れ3週連続でハードに追われ、体調面の不安は無さそうです。最終こそ格下に遅れを取りましたが時計的には問題なく、その前2週にわたってウッドでしっかり負荷をかけてきており、前走が中2週で本数も少なかったことも思えばコンディションはそれ以上と窺えます。実績もあり外差し展開もプラス。台頭あっても驚けません。

[6]⑪アストラエンブレム(西村淳)

 ズルさのある馬で中距離戦を使っていたころはなかなか勝ち切れず、距離短縮で目先を変えることで馬がやる気になり好走するもそれに慣れるとまた善戦マンに逆戻り、という戦歴を繰り返しています。これで1400m以下のレースに使うのは6戦連続ですが、一番いい走りをしたのはやはり最初に1200mを走った5走前のラピスラズリS。末脚自体は健在ですがやる気を出さないことには好走の目は薄くて。

[6]⑫アイラブテーラー(浜中)

 昨年の高松宮記念に無理遣いをしたことがたたってか、それ以降はゲート難+追走難が付きまとうように。距離を伸ばし1400mに使ったここ2戦は0.4差の接戦でしたが、再度1200m戦となると置かれる懸念が大きく。

[7]⑬シゲルピンクルビー(高倉)

 間隔が詰まると良くないというのもあり、前走のセントウルSは見せ場のない内容に。2走前の北九州記念も荒れた内に押し込められての0.2差④着で、休み明けで立て直された今回は馬の出来としては見直せる機会です。先週のハーフバックをはじめここ最近短距離戦で穴を開けまくっている高倉Jに乗り替わって、馬場の良い外目を通れれば侮れません。

[7]⑭ソーグリッタリング(藤井)

 止める面が出ており、引き続いてブリンカーを着ける上距離短縮で臨む一戦。ただ元々併せないとソラを使う特性があり、集中力が持続しないのは今に始まったことではありません。流石に7歳を迎え体力的な上り目も薄いとなるとこのショック療法でどこまでの伸びしろが見込めるかは…。

[8]⑮レイハリア(亀田)

 33.2-34.9の前傾戦を2番手で押し切った2走前の葵Sが評価できる内容。今回はさらに上りがかかりそうな阪神替わりでプラスではないですが、53kgの斤量で出られるのは好材料。時計勝負では分が悪いだけに適度に掛かる今の阪神も合っており、そういう意味ではこの枠も決して悪くはありません。出たなりでポジションを落とさなければ再度の善戦も。

[8]⑯ライトオンキュー(古川吉)

 鼻出血明けで高松宮記念以来の実戦。陣営は様子を見ながら慎重に調整しており、週ごとに負荷を上げ最終では坂路でイーサンパンサーと併せ51.2-12.2の好時計をマーク。稽古駆けするタイプとはいえ及第点の時計ではありました。但しその分馬体はまだ太目残りの懸念があり、休み明けも苦にしないもののどちらかと言えば平坦コースの方が合っているクチで58kgも酷な印象。今回は無事に走ってどこまで、という舞台でしょうか。

<予想>
◎シゲルピンクルビー
○レッドアンシェル
▲シヴァージ
△レイハリア
△タイセイビジョン
△エイティーンガール


■東京9R メイショウボサツ

 現級でも②着1回③着2回の実績があり昨年の青葉賞でも⑤着している実績馬ですが、気難しさを孕み外目を取って被されずに運ぶのが理想なタイプ。今回はキャリアで初めて8枠をゲット。ワンターンの東京なら序盤にごちゃつく不安も少なく、リズムよく運べればここでも十分やれるはずで。


■阪神11R シャンパンクーペ

 このレースのカギを握るのがまくり芸でお馴染みのエクスパートラン。恐らく一旦下げてから向こう正面で上げていくはずで、前走のみやこSでは同馬の動きでペースが一気に早くなり差し勢が台頭する流れを作りました。シャンパンクーペは元々「最後に前が止まるコース」が得意な馬で、良績は「阪神2000m」「京都・中京1900m」とスタートしてホームストレッチが長く先行争いで脚を使うコースに集中しています。前走の東京戦はその真逆と言ってよいコースでこの馬の持ち味が活かせませんでしたが、今回は得意コースに戻り引き立て役もいるとなればここは一発に警戒です。

2021年11月27日土曜日

【11/27(土)予想】ねらい目レース(阪神8、茨木S、キャピタルS)

■阪神8R ハイパーステージ

 中1週以下だと(2,0,0,1)。唯一の着外は芝でのもので連戦の方が力を出せる馬ですが体質の問題でなかなか理想のローテが実現しませんでした。7か月半ぶりとなった前走は強い勝ち馬に上手く乗られた分の②着で、立ち回りや末脚を見ても勝ちに等しい評価を与えられるレースだったと見ます。中1週で使えるここは前進が見込める上、人気の中心はレベルに疑問符の付く20年もちの木賞組。(1,2,0,1)と実績あるこのコースなら。


■阪神10R メイショウヨカゼ

 このコースで⑥④④②①①③⑤着と大崩れなく走れており、3走前のオークランドRCTでは日本テレビ盃⑤着のメイショウダジンと0.2差と現級の目途は既についている状態です。2走前の柳都Sでは位置を取れずで、4角はブレーキをかけながらの進出。あれでは平坦コースは間に合わないのも当たり前でした。前走の奥羽Sもやはり後方からのレースで、良い脚は見せましたが⑩着。いずれもテン乗りの鞍上だったこともあり不完全燃焼のレースが続いていますが、今回はコンビで(2,2,0,1)の浜中Jに手が戻る上、ゲートの良くないこの馬にとっては外枠は歓迎材料です。

 ここも人気の中心は8R同様もちの木賞組。但しダノンハーロックは今回初めて距離短縮となり、タフさが売りな反面位置が取れないと3走前のようにサッパリ(1勝クラス戦でラペルーズと1.1差⑤着)という可能性も。ハンディーズピークも2走前は実質2頭立てというレースで、前走にしても勝負が決まりかけたところを差し込んできただけで0.9差⑤着を額面通りには評価できず。上位勢が信頼しにくい状況であればこの馬の出番があるのではないかと。


■東京11R スライリー

 前走の秋華賞時に「デビュー時から馬体が増えていない」点を懸念材料として挙げましたが、輸送があってもデビュー時と同じ432kgまで増えてきたのは好感でした。その名が示す通りレースでは2角まで頭を上げるやんちゃぶりを見せるも、直線では馬群の中をしっかり伸びて0.5差⑤着。タイム差なしの⑥着だったステラリア同様ストレスのかかる展開で良く辛抱しましたし、今回は距離短縮でレースもしやすくなるでしょう。

 先週からCコースに変わった東京は例年同様の内前有利馬場となっていますが、現時点で良く伸びるのは内から2~3頭分くらいのラインと見ています。好位の2~3番手につけたいこの馬にとっても絶好のコンディションで、和製ムーア・石川Jの面目躍如に期待です。

2021年11月21日日曜日

【11/21(日)予想】マイルチャンピオンシップの全頭評価とねらい目レース(福島7)

■阪神11R

[1]①ホウオウアマゾン(坂井)

 前走のスワンSでは初の1400mでも行き脚がついてハナを切っての③着。他の先行勢が残せていないことを考えれば額面以上に価値のあるレースでした。ただこの馬の場合間隔を空けて使った方が良く、連戦ローテとなったG1戦は2回走っていずれも⑨着。そもそも前走が半年ぶりで+22kgと余裕を残しながらの参戦でありながら、この中間は1週前に速めを1本乗ったのみ。開催が進み内が残せない馬場になりつつある点もマイナスで。

[1]②クリノガウディー(岩田望)

 前がかりな気性故、古馬になってからは1400m以下を使われておりここでの距離延長はプラスとは言えず。しかも相手強化+右回り替わりに加え、この馬を手の内に入れかけた岩田康Jからの乗り替わりとなっては買える要素は見当たらず。

[2]③シュネルマイスター(横山武)

 前走の毎日王冠は坂上で絶望的な位置からダノンキングリーを捉えての①着。最後の50mでソングラインを捉えたNHKマイルCを彷彿とさせるキレを見せました(あれはソングラインがヨレたのもありますが)。実際最後の3Fは11.3-11.4-11.9と決して前が止まっているわけでもなく、ダノンキングリーも早め先頭から33.7の末脚を使っていただけに決して恵まれたものではないでしょう。

 おまけにこの馬は56kgを背負っての勝利。3歳馬の毎日王冠優勝は19年ダノンキングリー、20年サリオスに続き3年連続でしたが、前2年の2頭は54kgでのものであり、斤量面でも一回り上の評価を与えられるレースでした。今回は春の安田記念から考えればグランアレグリアとの斤量差が-1kg→+1kgとなり決して楽な戦いではないですが、この馬のセールスポイントは「上りのかかる展開で差し込んでくる末脚」にあると見ています。事実敗れた2戦は距離が長くレース上りと同じだけの脚しか遣えなかった弥生賞②着とレース上り自体が33秒台の安田記念③着。今の阪神では高速決着は望むべくもなく、小頭数+スローで上り勝負になった先週のデイリー杯でさえレースの上りは33.8。16頭立てで前も流れるここは34秒以上はかかることが見込まれ、この馬向きの展開になる期待は大きいです。

[2]④サリオス(松山)

 古馬戦では毎日王冠以外馬券になっておらず早熟という見方もできますが、前走の安田記念は右トモを気遣いながらの調整でそもそもまともな状態でなく、2走前の大阪杯は重馬場に脚を取られる格好で最後はラチ沿いをやや苦しそうに走っていました。3走前、昨年のマイルCSはご存知の通りまず届かない位置から末脚だけで⑤着という内容。もし今年昨年と同じレースをすれば嵌る可能性はありますが、今回はブリンカーを装着するとのことで陣営はある程度位置を取るレースを画策していると見られます。時計がかかりそうなコンディション自体は歓迎も、内に押し込められると動きたいところで動けずになる懸念もあります。

[3]⑤サウンドキアラ(武豊)

 前走のスワンSではゴール前鋭い末脚を見せ②着。勝ち馬との差は前が詰まって追い出しが遅れた分で、復調を示すレースでした。一叩きされた今回は最終の坂路で51.7-12.2をマークし、昨年ヴィクトリアマイルで②着したとき(51.6-12.3)に近いデキにまで来ており引き続きこの馬の力は出せるでしょう。ただ当時と同じだけ走れたとしてもアーモンドアイには完敗しているわけで、6歳秋で成長を見込むのが厳しいとなるとそれなりにメンバーの揃ったここでどこまででしょうか。

[3]⑥ケイデンスコール(岩田康)

 前走の毎日王冠では内を突くも進路が開かず、鞍上もろくに追うことなく⑨着。元々2か月以上の間隔が空くと(0,0,0,6)ですから、安田記念以来となったここは織り込み済みだったのかもしれません。

 今回は1週前に坂路で51.8-11.9の好時計をマークし、直前も馬なりで終いを12.0に纏めてきました。前走時に口向きの悪さを指摘しましたが、しっかり動かした1週前は真っすぐ登坂できており力を出せる状態にはあると見ます。とはいえ春に好走した重賞のメンバーはG1ではまるで通用しておらず、紛れなしの阪神で一線級が相手となると敷居は高そうで。

[4]⑦インディチャンプ(福永)

 安田記念からマイルCSへ直行するのは去年と同じですが、陣営としては本来は叩き良化型であることは認識していて「休み明け云々と言われないように仕上げてきた」というニュアンスのコメント。できればどこかを叩きたかったという本音が透けて見えます。

 高松宮記念でも③着しておりスピードは衰えていないと見ますが、キレという意味ではやはり一昨年の頃にはない様子。坂路調教でも前がかりな気性故最後から2F目が最速になることが常態化しており、近年の中では唯一昨年のマイルCS(グランアレグリアから0.1差の②着)の時が加速ラップを踏めていました。事実その時が最高打点であったと考えればその時以下の調教で、時計のかかるコンディションというのもスピードで押し切りたいこの馬にとってはプラスにはならなさそうです。

[4]⑧ダーリントンホール(和田竜)

 発馬に課題を残す馬で、前走の富士Sでもいつも通りスタートでふらつき後手を踏みました。馬群が比較的横に広がり丁度真ん中を進めたことでポジショニングを落とさずに済み、直線では伸びる外を選択し丁度良く前も空いたのでしっかり追えましたがそれでも⑤着。さらにメンバーが強化される今回、初の関西遠征というのも課題です。

[5]⑨グレナディアガーズ(池添)

 NHKマイルC終了後、川田騎手が「秋は別路線になると思います」とコメントしており1600mは長いのかと思われましたが、秋初戦には京成杯AHを選択。控える競馬から直線は外に出してカテドラルと0.1差の②着と見せ場を作りました。

 但しこの時の中山は開幕週に関わらず差しの効くコンディションで、終盤にかけて踏み固められたインが有利な傾向が進んでいったという格好。マイルでもG1勝ちはありますが世代限定戦はスプリント路線からの参戦もあるためペースが流れやすく、事実朝日杯もNHKマイルCも前半3Fは33.7とスプリント寄りの速い流れになり力を発揮できた側面が大きいです。前半35秒前後が見込まれる今回は中距離寄りの適性が求められ、池添Jの手腕を以てしてどこまで。

[5]⑩ロータスランド(田辺)

 前走の富士Sでは内が悪くなった東京で押し出される格好でハナに立たされ、終始つつかれた上轍の上を走る格好に。外に出すこともできず終始消耗の大きい競馬で、輸送も踏まえて+10kgとやや余裕残しだったことも影響したかもしれません。それを考えれば0.9差の⑩着は健闘の部類と言えるでしょう。

 この馬は上りのかかる展開やコンディションを得意としており、入りも上りも35秒を回るくらいが理想と言えます。今の阪神はいずれもに該当するコンディションであり、このコースでも3勝を挙げる巧者ぶり。最終追いは前走と同じく坂路で馬なり調整も、全体時計を大きく詰め型通り良化。一線級との対戦経験が鍵も、時計のかかる今年の阪神は最大のチャンスであるはずです。

[6]⑪カテドラル(戸崎)

 前走の京王杯AHでは後方の内で脚を溜め、コーナーリングで上手くポジションを上げてきました。直線は一瞬前が詰まるシーンもありましたがかえってそこで馬が上手くエキサイトして最後の爆発力に繋がったとも言えるでしょう。開幕週の馬場を思えば本来はコントラチェックが残している展開で、着差以上に強かったレースでした。

 この馬もまたレース自体の上りが33秒台になるようなレースでは厳しく、上りのかかるレースで鋭いキレを見せるタイプ。出していくとダラっと脚を使ってしまうだけに、継続騎乗の戸崎Jが上手く壁を作って運べば再度チャンスでしょう。

[6]⑫グランアレグリア(ルメール)

 昨年のこのレースは緩めのペースを5番手で折り合い完勝。今年は思ったより勝ち星を積み上げられていませんが負けたレースには理由があり、前走の天皇賞にしても出たなりの位置を選択しましたが結果として人気2騎の目標にされる形になってしまいました。それでも似たような位置にいた馬がこぞって脱落する中、後半3Fが11秒台前半を刻み続けるラップでも最後まで持ちこたえたのはやはりスピード能力の高さを証明したと言えるでしょう。

 この馬の場合はやはりローテーションが懸念点。中3週以下では⑤②着といずれも取りこぼしており、春の連戦と違って今回は輸送が発生する点もポイント。追い切りは変わらずに負荷をかけられていますが、2000mのタフなコンディションを走った後の回復具合はやはり未知数ではあります。加えて、10月まで京都開催があり馬場状態が比較的良かった昨年に対しロングラン開催の今年は時計がかかる傾向に。スプリント向きの流れにはなりにくい点も歓迎とは言えず、ラストランとはいえ信頼を置くのはやや心もとない一戦です。

[7]⑬ダノンザキッド(川田)

 マイルに活路を見出そうと参戦した前走の富士Sは着順こそ④着と、骨折明けで+22kgを考えれば及第点でしたが、もともと520kgで東スポ杯を勝った馬ですから526kgが特に太いということはないはずです。終始馬場の良い外を回り直線でも満を持して追い出せたにもかかわらず、後ろにいたソングライン、タイムトゥヘヴンに差されており2歳時からの成長を見せたとは言えない内容でした。やはり促成栽培のツケがここに来て相対的な成長力となって表れている格好で、短距離王国安田隆厩舎を以てしてもこの馬の再生は難しいのではないのでしょうか。

[7]⑭リプレーザ(幸)

 恐らくこの鞍上でなかったら確実にシンガリ人気であったでしょう…芝では1200mの1勝クラス戦を勝ったのみで、兵庫CSで1870m戦を勝っているとはいえ低レベルの3歳ダート戦線で相対的に強かっただけで、距離適性の裏付けとはなりにくいです。前走のカシオペアSでも4F49.4の流れで4角から手ごたえが怪しくなった点からもマイルすら怪しく、本質的には1400mまでの馬と見ます。

[8]⑮サウンドカナロア(藤岡康)

 中央での勝ち星は1200m以下のみ。ハナは切れそうですがここ3戦は1200m戦でハナを切っても大敗する現状で、イン有利というわけでもないこの格上挑戦に勝算は見込めず無事完走して手当ゲットが現実目標でしょう。

[8]⑯レインボーフラッグ(小崎)

 ベストは左回り1400mですが、この路線は登録が殺到するためもう2年半勝っていないこの馬は出走順の算出では不利となり、使いたいレースに使えない現状。近走の成績からも使えることを優先する方針自体は間違っては無く、この馬もまた無事完走+目指せ1桁着順が現実ラインでしょう。

<予想>
◎ロータスランド
○シュネルマイスター
▲グランアレグリア
△カテドラル
△インディチャンプ
△サリオス
△グレナディアガーズ


■福島7R ヒットザシーン

 折り合いに難を抱える馬で、2走前の粟島特別は引っ張り通しの中でひと足を使い0.3差の⑥着。前走の土湯温泉特別は上手く壁を作れていましたが、外枠を引き内が止まらずの⑥着。徐々に成長が窺える中で今回は若手騎手限定競走で森裕Jへの手替わり。昨日の若手騎手競走でも丹内Jからの乗り替わりで11番人気のマイネルタイムリーで見事①着。流石にこちらは人気でしょうが、最終週の時計を要す馬場も合っておりここはチャンスです。

2021年11月20日土曜日

【11/20(土)予想】ねらい目レース(東京12、阪神3)

■阪神3R ヤマニンパンタジア

 人には誰しも「得手不得手」というものが存在します。この馬の前走はスタートで挟まれレースにならずの⑮着。その前走の手綱を取った永島まなみJは、スプリント戦を不得手とする傾向が顕著です。


 唯一1200mで勝ったのはホワイトターフの新馬戦。この時もゲート自体は平均以下でしたが、8頭立てでスタート後のプレッシャーもさほどでもなくすんなり運べました。基本的に下級条件の1200m戦は多頭数であり、ゲートの良さもそうですし馬群を的確に捌く技術が求められます。個人的には「差せる女子」として推したい騎手ではあるのですが、どうしても新人の頃は下級条件の短距離戦が主戦場になる為、成績を伸ばしにくい側面があります。古川奈Jと騎乗馬を総とっかえしたらお互いにぐんといい成績になりそうな気も…

 それはさておき、上記の戦歴から「永島Jで1200m戦を走った馬の次走」の成績を調べると…

【前走距離1200m】
(3,2,2,34)単回62/複回80

+乗り替わり
(3,1,2,26)単回79/複回97

+前走9番人気以内
(3,1,1,13)単回141/複回103

 元々見込まれていなかった馬はともかく、それなりの実力を見込まれていた馬(=9人気以内)の場合乗り替わりによって好成績を収めるケースが多く、今回のヤマニンパンタジアも上記全てに該当します。2走前は3角で行きたがった分お釣りを残せず、3走前の新馬戦では前残り展開を差し込んで0.2差④着。今回は前走で4角5番手以内だった馬が7頭おりペースも流れそうで、スムーズに外を回せれば好機です。


■東京12R ルージュアドラブル

 5か月ぶりの実戦。これまで出走時馬体重が390~392kgだった馬が今回は410kg程度で出られそうとのことで、成長が見込めるコンディションで出てこられそうなのは何よりです。前走は4角で自ら止めてしまうような動きがあり、最後は流しての大敗ですから悲観する内容ではなかったもののどうも明らかに戸崎Jとは手が合わない模様です。2走前にテンバガーと0.1差③着した三浦Jとのコンビ復活で挑む今回は、2週前、1週前とウッドで併せ馬を消化し好時計をマーク。まともに走ればこのクラスなら突き抜ける実力はあるだけに、フルゲートを上手く克服してくれればいきなりも。

2021年11月14日日曜日

【11/14(日)予想】両重賞の全頭評価

■阪神11R

[1]①レイパパレ(ルメール)

 前走のオールカマーでは人気を裏切り④着。最後止まったのは距離という見方もできますが、逃がさなかったことが大きいと見ます。川田Jは教育的観点からも逃がすのに否定的で、前走の宝塚記念も主張する馬が居たので番手から運びましたがユニコーンライオンに差し返されての③着で、前か後か思い切って運ぶレースをした方が良さが出るタイプと見ます。

 今回は絶好枠を引きましたが、ルメールJは「2200mは少し長い、誰かの後ろにつけて末脚を活かせれば」というコメントをしていました。前に行く馬もそれなりにいるメンバー構成で控えることはほぼ確定で、この馬の良さを引き出すレースにはならない懸念があります。

[1]②クラヴェル(横山典)

 前走の新潟記念は牡馬相手に健闘の③着。中団馬群から離しての追走で「準ポツン」が叶ってのレース運びでしたが、トーセンスーリヤを見ながら溜めて運んだ割にはスパッと切れず。斤量差を思えば2着は欲しかったところで、やはり勝ち切れなさと表裏一体の馬ではあります。メンバーレベルの低い条件戦では何とかなっても、一線級との戦いでは中団待機からの末脚では間に合っておらず末脚に賭けるレースが続く最近。それでもG3を勝ち切れないとなると、メンバーの揃ったここで着を上げる期待は懸け難いです。

[2]③アカイトリノムスメ(戸崎)

 前走の秋華賞はオークス以来5か月ぶりのぶっつけ。終始壁を作れず折り合いに腐心しながらのレースになりましたが、戸崎Jは無理に内に入れるのでなくあくまで位置を落とさないように導きました。結果的に包まれることなく動きたいところで動けたことが勝因で、鞍上の腕もさることながら精神面での成長を感じるレースとなりました。

 課題は中3週での再輸送で、前走後も1週間は馬体の回復を優先。速いところは先週、今週の2本のみで流石に前走の時のように50秒台の時計を出すレベルの調教は施せていませんが最終はDWで併せて52.4-11.9の好時計。コンディションの維持はできている様子で、5歳世代の主力がごっそり抜けた今年はここでも食い込めるチャンスはあるでしょう。

[2]④イズジョーノキセキ(和田竜)

 前走の西宮Sは直線で外に出す正攻法も、併せたジェラルディーナに伸び負けての②着。ジェラルディーナは世代戦では阪神JFで0.5差の⑦着、エルフィンSでも0.6差の⑩着と勝ち切れなかった馬で、同馬自身の成長もあるかと思いますがここに出ている3歳馬との力量比較でも強調はできないです。多頭数で馬群捌きの懸念もある現状では。

[3]⑤ステラリア(松山)

 前走の秋華賞では内で囲まれ、1角前では頭を上げるシーンも。それでも何とか折り合いをつけて運び、4角からの手ごたえは見どころもありました。スタート後の入りがスムーズなら掲示板もあったでしょうし、この馬なりの成長は感じられたレースでした。

 ただ今回も前走同様に「多頭数の内枠」となってしまい、スタート後の捌きが課題になります。先行馬が多く縦長の馬群になりそうなのは救いですが、この枠で外からの圧をかわすためにはある程度下げて進めることになるのでうまくやり過ごしたうえで前が止まる流れになってくれるかが鍵となります。

[3]⑥ランブリングアレー(吉田隼)

 前走のオールカマーでは、実績のある中山で休み明けローテと買える条件が揃った中で⑦着。しっかり前に壁を作り直線でも進路が出来ましたが、思いのほか伸びませんでした。ここは距離の問題かもしれず、叩き2戦目、引き続いての2200m参戦でメンバー強化となると買い要素には乏しいです。

[4]⑦シャムロックヒル(団野)

 2走前のマーメイドSは最内枠で50kgという恩恵がやはり大きく、前走のクイーンSは55kgで外枠で前に行けずの敗戦。今回も枠は悪くないですが他に速い馬もおり、さらに斤量増となると手は出し辛く。

[4]⑧テルツェット(M.デムーロ)

 前走のクイーンSでは直前からかなりの雨が降る特殊なコンディションを差し切りました。道中はじっとして脚を溜め、外を回さず馬群を縫って伸びてきたのは詰まりのリスクも考えなければいけませんが、雨によるコンディション変化に加え、手ごろな頭数で捌けると踏んだルメールJの好判断が導いた勝利でした。毎回これをやって勝てるわけではなく、この乗り方を見ればやはり距離は1600mが現状ベストと見るべきでしょうか。

[5]⑨ウインマリリン(横山武)

 前走のオールカマーでは1番枠から絶好位を取って理想通りの運び。一瞬直線で前が狭くなっても問題ありませんでした。キレる脚がない代わりにバテることも無く、馬ごみでもレースができるタフさ故牡馬相手でも良績を残せている面があります。

 ただこの馬は体質の弱さがネックで、昨秋もオークス後の頓挫で秋華賞をぶっつけで戦わざるを得なかった経緯があります。今回も肘腫の話はともかくとして中間熱発で乗り出しが遅れた分陣営のトーンも低めで、1週前にマイネルファンロンと併せて遅れたこともあってか最終追いはウッドで単走。本来もっと仕上げていきたいのであればここは併せ馬であったはずで、輸送を控えてのバランスを考慮しての調整となると今回は微妙に歯車がかみ合っていない印象です。

[5]⑩ムジカ(秋山真)

 末脚は堅実な一方勝ち切れなさを抱えるタイプで、メンバーや流れに恵まれるかどうかで着順が変わってきます。差し馬に流れは向きそうかと思いますが、坂のあるコースでこのメンバー相手ではよほど恵まれないことには。

[6]⑪ソフトフルート(岩田望)

 昨秋は秋華賞③着→エリザベス女王杯⑥着とブレイクのキッカケを作りましたが、その後自己条件に戻ってからが今一つ。8走前、夕月特別での圧勝当時は3歳馬で52kgと斤量にも恵まれたうえ当時のメンバーでその後現級を突破したのは1頭のみと、レベル的には決して協調できないレースでした。2走前のマーメイドSにしても前が残る流れを4角2番手で進んだのに0.8差⑧着と返り討ちに遭っており、昨秋以降パフォーマンスを更新できていない現状では。

[6]⑫デゼル(武豊)

 決め手はあるものそれを引き出すためには道中で溜めを作れるペースになるのが必要で、ワンターンのコースで4勝しているものの本質的には上級戦のマイルでペースが流れると末脚を爆発させられないタイプです。春に連勝した初音S・阪神牝馬Sは入りの3Fが35秒台で落ち着いた一方、2走前のヴィクトリアマイルでは3F34.3-4F46.0と同馬にとって過去最も速い流れで対応しきれませんでした。

 前走の府中牝馬Sはペースは落ち着いたものの出がけから掛かってしまい壁を作れず、やや急仕上げという背景もあってか最後は伸びきれませんでした。ガス抜きして臨む今回は型通りの上昇は見込めますが、阪神牝馬Sでは1週前、最終と馬なりの調整だったのが今回は2週連続で負荷をかけての調整というのがやや気になります。1週前強めに追って併せ馬を消化したのでは足りないという判断で日曜、水曜と一杯に追われたとするならば、まだ完調とまでは行かない可能性も含めてみるべきでしょう。

[7]⑬リュヌルージュ(富田)

 だいぶラップに起伏をつけて運んだ前走の新潟牝馬Sでさえ残せず0.7差⑥着(7頭立て)。重賞での好走はいずれも53kg以下で、まともな斤量を背負う重賞では。

[7]⑭ロザムール(池添)

 今年重賞で2度の②着がありますが、いずれも雨の残る特殊なコンディションでの好走。「他が苦にする馬場を苦にしない」というのが特徴で、皆がフェアに走れそうな良馬場予想のこの舞台では。

[7]⑮ウインキートス(丹内)

 前走のオールカマーでは中団のインを進み、直線でも脚を伸ばしウインマリリンとのワンツー。この馬についてがこれまで散々「目黒記念は恵まれただけ」という見方で全く評価してこなかったのですが、前走で前半60.7と重賞らしいペースで好走したのは想定外で完全に見くびっていました。

 この2頭の着順を分けたのは「進路取り」だったと見ています。


 直線向いて少しのところ(画像上)で、染分帽のウインキートスの前にはグローリーヴェイズがおり進路取りは2つのパターンがありました。①に飛び込めば伸びるインを確保できますが、内で詰まっているウインマリリンを塞いでしまいます。外に出せば安全ですが当時の中山のイン伸び傾向を考えれば得策とは言えません。しかし丹内Jは外=②を選択。結果的に空いた①にはマリリンが飛び込み、馬場の利も活かして勝ち切り。キートスは②着でした。

 これをどう考えるか。単純に勝負師としての判断であったならやはり丹内Jは買えない、ということにならざるを得ないでしょうが、人気差や厩舎などを考えればやはりあそこで①を選ぶのは色んな意味でリスキーだったでしょう。ここで①に飛び込める人が世間的には「勝てる」「上手い」と言われる部分もあって、丹内Jは恫喝したり返し馬で幅寄せして後輩にネチネチ文句を言わない代わりにここには飛び込めない騎手というわけです。

 相手がレイパパレとかグローリーヴェイズとかのG1馬だったわけですから、当然に上位評価できるレースであるのですが、やはり気になるのは騎手も厩舎も「関西慣れ」していない点。丹内Jは年間で数えるほどしか阪神に乗っておらず、通算でも(1,2,6,99)と実績は無いに等しいレベル。送り出す宗像師も関西で重賞を勝ったのは03年鳴尾記念のウインブレイズまで遡り、バランスオブゲームやフェイムゲームといった重賞の常連でも関西遠征では結果を残せていない厩舎です。ウインキートス自身も初の遠征、初の56kgと超えるべきハードルは多く、相手も盤石でない中チャンスがあるのは確かですがこのフォーメーションで阪神のG1となるとベストパフォーマンスを出すのは難しいと見ています。

[8]⑯アカイイト(幸)

 前走の府中牝馬Sでは重賞の壁に跳ね返された印象の⑦着。脚は使えていますが、じっくり行かせても33.4という程度ではポツン騎乗には応えきれずで、現時点ではこのクラスでは力量差があると見るべきでしょう。

[8]⑰コトブキテティス(柴田善)

 ハービンジャー産駒らしく2000m以上で4勝。いずれも牡馬に交じってのものでここに入れば馬力は上位ですが、勝ったのは東京・新潟と左回りで坂のきつくないコースばかり。中山などでは勝ちあぐねていることからも坂で止まる懸念はあり、恵まれて掲示板、というレベルでしょうか。

<予想>
◎アカイトリノムスメ
△ステラリア


■福島11R

[1]①ゴールドギア(永野)

 3走前にメトロポリタンSを勝った時は直前のウッドで50秒、51秒と好時計を連発。出来の良さが成績に繋がるタイプなのですが今回は1週前に一杯に追われて52.0がやっと。本来適鞍であったはずのアルゼンチン共和国杯を自重して不得手な小回りに参戦するのも解せずで。

[1]②ココロノトウダイ(丸山)

 福島では(3,1,0,0)。姉のフェアリーポルカ同様に立ち回りの巧さで着を拾うタイプで、内目の枠を引けたここは中心視できるでしょう。

[2]③ブラヴァス(岩田康)

 春の3戦は精彩を欠く内容。前走の鳴尾記念も直前の併せ馬ではフライライクバードに大きく後れを取る内容で、コンディション面も整ってなかったと見ます。放牧で立て直された今回、復調なれば中心視出来得る存在ですが、最終がポリトラックなのはいつものことで良いのですが前走と違って1週前が単走だったという点で当時以上の出来とはまだ見えず。

[2]④ヴァンケドミンゴ(酒井)

 2走前の七夕賞ではそれまで(4,1,1,0)だった福島で初めて3着を外しました(⑫着)が、雨の影響が残る特殊な馬場で後方待機勢には出番のないレースになってしまいました。前走のカシオペアSはここに向けての叩きでしたが内を掬ってタイム差なしの②着。そこからの中1週は予定通りで、直前もウッドで50.3-12.1で併せ馬を消化するなど体調はさらに上向き。ここに入っても実績は十分で引き続いての好走期待です。

[3]⑤ディアンドル(菅原明)

 中距離に参戦し取り口が安定。3走前の福島牝馬S(新潟)の①着はもとより、2走前のヴィクトリアマイル④着が充実ぶりを示す内容でした。ただ前走の中京記念がハナを切れたものの残せず⑧着という内容で、実質トップハンデとなる55kg(最重量はボッケリーニの57kg)は少々厳しかったでしょうか。重賞を勝ってしまった以上今後もこのハンデを克服しなければならず、牝馬限定戦に再度出てくれば期待と言ったところです。

[3]⑥サトノエルドール(横山和)

 前走のオクトーバーSでは前半に溜めを作れず失速。元々大箱コースの切れ味勝負より小回りでの早めのスパートで結果を残しており、3走前の巴賞はスローペースを捲っての勝利。2走前の函館記念も前が飛ばす中を捲り上げて0.5差⑤着なら悲観する内容ではありません。横山和Jは5走前に乗って勝っており、逃げ馬の揃ったここは折り合い面の不安も少なく見直しが必要でしょう。

[4]⑦モズナガレボシ(西村淳)

 上りのかかる展開、馬場、コースが得意で、前走の小倉記念は53kgの軽量もあり完璧なレースを見せました。但しこの時はスローなのに外差しという特殊な展開で、小頭数で多少もたついても間に合ったという恩恵もありました。フルゲートで芝の状態も良いとなると紛れなしの展開になりそうで、地力の試される一戦となります。

[4]⑧パンサラッサ(菱田)

 重馬場巧者のイメージですが精密機械という言葉がぴったりの馬で、2000m戦ならキッチリ2.00.0前後で走ってきます。事実2.00.0で勝ったことが2回もあり、ハロン12秒を基準としてタイムが±0.5秒程度の範疇なら(2,3,0,0)と好成績。但し今年の福島は春開催休止の影響もあって例年よりも芝の状態が良く、日曜の1勝クラスの時点で2.00.6が出ています。コントラチェック、ディアンドルもいるここは時計が1.59秒台前半以下になるのは必至で、自分のペースを刻むのは難しい舞台と見ます。

[5]⑨ステイフーリッシュ(坂井)

 G3戦に出るのは2年ぶり。その間強い相手と戦って善戦していますが、ここ2戦はまだ調子が戻っていない印象です。今回の最終追いも時計は悪くないのですがアクションの割に伸びず、併走相手を待たせる内容。この馬の良い時にはまだ戻っていないという印象です。

[5]⑩アラタ(大野)

 4連勝中。距離も馬場もコースも違う中で勝ってきたのは価値が高く、4歳秋で身が入ってきたことで自在性の高さが存分に発揮できるようになってきました。スローペースを前目につけての勝利も多く、切れ味勝負でどこまでやれるかという部分は未知数も極端にバイアスのない今の福島なら立ち回りで再度の好戦も可能でしょう。

[6]⑪エフェクトオン(亀田)

 2走前の阿武隈Sは前残りの流れを最内から突き抜けて快勝。当時⑤着だったモズナガレボシも含め後方待機勢が苦戦する中、一瞬の脚で決めきれるタイプで福島は合っています。前走の新潟記念は直線が長くこの馬向きではない上、伸びない内に入ってしまい外差し勢とは脚色に差がついてしまいましたがそれでも0.5差の⑧着と力のあるところを見せました。ハンデが引き続き53kgなのは好材料で、ハンデ戦らしく直線で馬群が広がれば立ち回りで一発の期待も。

[6]⑫ヒュミドール(吉田豊)

 2走前の小倉記念は外差し優位の展開を上手く味方につけての②着。それ以前にも重賞では好戦しており力の下地はあるのですが、吉田豊Jは荒れ馬場を避ける騎手で今の福島だとほぼ間違いなく外を回してくるでしょう。コース形状から早めに進出する馬も多い福島の重賞では直線で馬群が横に広がるため、それで外を回そうものなら相当なロスは覚悟は必要で、見た目の印象ほど外差しというわけではない現状では届かない懸念も。

[7]⑬バイオスパーク(泉谷)

 昨年の勝ち馬。当時からは+2kgとなりますが、同じ57kgを背負った2走前の函館記念で③着。インを取りたい馬なので外枠で軽視しましたが、想定以上にペースが流れ縦長馬群で労せずして好位を取れたことが大きかったでしょう。但しテン乗りとなる泉谷Jは差しで結果を残すタイプで、詰まりのリスクを負う先行策は苦手につきこの起用がマッチするかは微妙なところです。

[7]⑭マイネルファンロン(松岡)

 前走の毎日王冠はG1級のメンバーが揃い、流石に相手が強すぎました。2走前の新潟記念をフロック視する向きもありますが、あくまで展開に合わせた騎乗をした結果の後方一気であり、4走前の巴賞や一昨年の函館記念で②着しているように本来は折り合いさえつけばもう少し前でも問題ない馬です。

 主張したい馬も揃ったここは折り合い面の不安も軽減でき、重賞でも引き続いての56kgは恵まれた方。このレースは3年連続の参戦ですが過去2年はポジション取りを焦って行きたがってしまいレースにならず。外目の枠からソロっと出して折り合えば、松岡Jに快気祝いをプレゼントしてくれるでしょう。ってこれを書いてたら10Rのウインマーベルが勝ったので無いかも…

[8]⑮フェアリーポルカ(三浦)

 前走のクイーンSは4角で前が開きドンピシャの展開かと思われましたが、外差し勢に有利なコンディションであと一歩残せませんでした。とはいえこれまでの古馬重賞に比べればメンバーも分厚く、善戦と言ってよいレース内容ではありました。ただ弟のココロノトウダイ同様に立ち回りの良さで一脚を使いたいタイプで、この外枠は歓迎材料とは言い切れず。

[8]⑯コントラチェック(北村宏)

 先行策が叶うかという点が鍵ですが、この枠に加え同型もいる中どこまでハナを主張するかが難しいところです。北村宏Jは恐らく調教では数多く乗っていると思われますがレースでは初騎乗で、実績のない2000mで強引にでも行くかと言われると…

<予想>
◎エフェクトオン
○マイネルファンロン
▲ヴァンケドミンゴ
△ココロノトウダイ
△アラタ
△サトノエルドール

2021年11月13日土曜日

【11/12(土)予想】武蔵野Sの全頭評価とねらい目レース(奥羽S、阪神12)

■東京11R

[1]①タガノビューティー(石橋脩)

 このコースでは(3,2,1,1)。唯一着外に敗れた昨年のユニコーンSはスタートで躓きリズムを崩したものでそれ以外はパーフェクトで、待ちに待った舞台と言えます。

 3歳シーズンは伸び悩んだ時期もありヘニーヒューズ産駒の成長力の限界かと思われましたが、振り返ってみればデビュー2連勝に導いた石橋脩Jが降ろされた3戦目以降(0,3,2,3)だったのに対し、鞍上を戻してからは(4,2,0,1)。単に手が合っていたか否かという問題だったと見るべきでしょう。重賞級の馬との相手関係が鍵も、適性で見せ場は十分作れるはずです。

[1]②リアンヴェリテ(国分恭)

 勝ち上がって以降は地元戦か滞在競馬の函館でしか好走できていない現状。距離短縮はプラスですが今回は先行勢が多く、単騎逃げが叶っても直線での追い上げを凌ぐのはかなりのハードルでしょう。

[2]③ワンダーリーデル(横山典)

 叩き2戦目に最高打点を叩き出すタイプなのは既に周知のところで、加えて今年は56kgで出られるという点もプラス。グリーンチャンネルCを叩いてここに臨むローテは一昨年にこのレースを勝った時と一緒で、好走の条件は整ったと見てよいでしょう。

 但しその前走が1.4差の大敗。過去、叩き初戦でもほとんど1秒差以内に纏めていたこの馬にとって、不得手な小回りだった昨年の黒船賞(高知・⑤着)以来となる1秒差以上の敗戦でした。いつものポツンで59kgを背負いながら上りは最速だったものの、8歳の秋となりある程度の衰えは織り込まなければいけない段階に差し掛かったと見るべきかも知れません。

[2]④テイエムサウスダン(岩田康)

 勝ち星は全て1400m以下。大箱のマイル戦は明らかに不向きの条件で加えて出足のある先行勢も多いここでは苦戦は免れないでしょう。

[3]⑤ヒロシゲゴールド(亀田)

 前走のマイルCS南部杯では初の1600mにも順応し②着と健闘を見せました。元々短いところを使われておりワンターンの競馬は得意なクチ。近走ではハナを切らなくてもレースのできる自在性を見せており、ここも先行勢は多いですが楽に追走できるという点ではライバルに対し優位なポイントで、近しい相手関係の交流重賞で善戦してきた経緯からもここも注意が必要です。

[3]⑥スリーグランド(津村)

 1600mは初参戦。太宰Jが乗っていたころと違って戦法に幅が出た今ならこなせないことは無さそうですが、うまく流れに乗ることが鍵となります。5走前に勝ったバレンタインSは戦法を一変させての逃げ切りでスムーズに運んだ分再現性に乏しく、先行馬の多いここでどう運ぶか、課題は少なくないと見ます。

[4]⑦レピアーウィット(横山武)

 ヘニーヒューズ産駒ではありますが、被されずに進みたいタイプにつきコーナー4回で息を入れられる中山が向いているタイプです。OP昇級後はこのコースで2戦して⑪⑩着。外枠からスムーズに運べそうなら話は別ですが、中枠で外にも速い馬が揃ったここでは追走に懸念を残します。

[4]⑧バスラットレオン(菅原明)

 札幌の新馬戦で33.6という驚異的な上りを使ったこの馬は、前向きな気性から逃げる競馬で結果を残してきましたが陣営は差しを覚えさせる方向に馴致を施してきました。しかし結果的には気分良く行けないと能力を発揮できない馬であり、前走の富士Sは無理に抑えた結果向こう正面で制御不能に陥り大敗。2走前の京成杯AHは出遅れで見どころ無し、3走前のダービーは流石に距離が長すぎ、4走前のNHKマイルCは落馬とここ最近まともに走れていません。

 そのまともに走った5走前のニュージーランドトロフィーでは富士S③着のタイムトゥヘヴンを0.9秒ちぎる圧勝劇。3歳世代のダート馬の層の薄さは先週のメイショウムラクモの時に紹介した話ですが、芝となれば話は別。あとはこの馬自身にダート適性があるかの話ですが、スピードというよりはパワーで走るタイプで母母のザミリア(=母バスラットアマルのきょうだい)からはザマンダ、ゴールドスミスとダートでの勝ち馬が出ています。スタートで躓かなければ芝スタートでダッシュも容易く、行き切れればこの中では一番強い可能性すらあります。行き切れれば…

[5]⑨スマッシャー(坂井)

 ユニコーンSの勝ち馬で2走前のJDDは明らかに距離が長かったものですが、前走のグリーンチャンネルCでは目立った不利も無い中単純に決め脚比べでの敗戦でした。現状では3歳重賞を勝っても古馬戦で伍せる実力の裏付けにはならず、展開は向いても前走以上の相手になるここでは。

[5]⑩ブルベアイリーデ(丸山)

 前走のシリウスSでは持ち味であり立ち回りの良さを見せ、サンライズホープの後ろを取っての③着確保でしたがやはり距離は微妙に長い印象で、急坂もあり最後は伸びきれませんでした。やはり1400~1600mがベストでしょう。このコースでは④①⑤①②着で負けても0.4差。得意条件に戻るここは前進あるでしょう。

 ただ懸念点は久々の騎乗となる丸山J。


 元々「ローカル」>>>「関東主場」>「関西主場」という成績傾向の騎手ではありますが、ダートではそれが顕著に出ます。相対的に上位騎手が少ないローカルでは社台系の有力馬が宛がわれることが多く馬質の違いという考え方もできますが、日本競馬の王道は「芝中距離」である以上、社台系とのパイプの恩恵を受けにくいダートでここまで成績に差が出ているとなると、単純に「前付けして早めに追い出す乗り方が合っており、大箱の末脚勝負には向かない」という見方が出来ます。

 今回のメンバーを考えればブルベアイリーデは控えざるを得ず、そうなったときに手が合うタイプなのかと言われると…

[6]⑪オメガレインボー(横山和)

 控える競馬が板についてきており、前走のエルムSも勝ったスワーヴアラミスに内を掬われたことを考えれば勝ちに等しい内容でした。ただこの馬の傾向として気温の上昇とともに成績を上げる点があり、4-9月が(4,4,1,3)に対し10-3月が(1,1,0,8)。ここ3戦とは変わって涼しい時期のレースでパフォーマンスを上げられるかは課題です。

[6]⑫ワイドファラオ(柴田善)

 結局中央では2年前のユニコーンS以来馬券になれておらず、前走の南部杯にしても不良馬場で前に行った馬が残る中で3番手追走から足を伸ばせずインティにも差されての⑤着。着差こそわずかですが本来ならもう2つ3つ着順を上げられるはずの内容で、前付けはできてもそこからのひと脚に欠ける現状では。

[7]⑬サトノアーサー(岩田望)

 7歳シーズンを迎え、ややエンジンの掛かりが遅くなっているタイミングでの初ダート。前走は距離が長かったもので、ワンターンの1600mはベストの条件ではあります。但し、前肢の駆動で走るタイプであり不良馬場に苦慮していた点も見るとダートでパフォーマンスを上げられるかと言われると微妙なところで。

[7]⑭エアスピネル(田辺)

 ダート転向後(地方交流除く)は前半3Fが34秒台以下だと(0,2,1,0)に対し35秒以上かかると(0,0,0,2)。前走の南部杯は直線で前が狭くなりまともに追えない不利があっての⑥着で、今回はその南部杯をアルクトスで制した田辺Jに乗り替わります。鮫島駿JもフェブラリーSの②着などよく乗ってはいますがこの馬はいい脚を長く使わせたいタイプで、内を突いて一瞬の脚を活かすことを重視する一方助走をつけて追い出すような乗り方には向いていなかったと言えます。この馬自身、意外にも過去27戦で上り最速だったのは僅か2戦。差しの名手に乗り替わってもう一皮むける期待は持てそうです。

[8]⑮ダイワキャグニー(内田博)

 初ダート。昨年のエプソムCで不良馬場をこなしたように、小脚の使えるタイプでダート自体はこなせそうです。但し先行してナンボ、という馬で同型の多いここでは。

[8]⑯ソリストサンダー(戸崎)

 昨年の②着馬。その昨年は46.1-48.9のかなりの前傾戦で、差し決着に恵まれた点が大きいです。2勝クラス以降勝ち切っているのは全てローカルのダート1700mという成績が示す通り、本質的には切れ味勝負より小回りで早めのスパートから押し切りたいタイプです。ただ今年もかなり先行馬が揃ったメンバー構成につき再度恵まれうる期待も。

<予想>
◎エアスピネル
○ソリストサンダー
▲タガノビューティー
△バスラットレオン
△ヒロシゲゴールド
△ワンダーリーデル


■福島11R ライジングドラゴン

 元々現級でソリストサンダーと好戦するなど通用級の実績があり、夏の北海道2戦は調子を落とすも放牧で立て直されてきました。今回陣営は控えるレースを示唆しており、アルーフクライのまくりで動き出しが早くなりそうなレース展開につきじっくり構えた方が嵌る期待はありそうです。粘り強く追える小牧Jのテン乗りにも期待で。


■阪神12R ヴォイスオブジョイ

 いつも終いは堅実なのですが、ローカルで馬が密集して上手く追えなかったり、短距離戦は多頭数になりがちで捌ききれなかったりと乗り難しさを抱えるタイプ。そこにラフィアン×水野厩舎となるとなかなか騎手起用でも打開策を作れなかったのですが、久々にデムーロJを配したここは1400mの実績で抜けて強いメンバーもおらず立ち回り一つで通用可能。内も外も差しの効く今のコンディションであれば、インで壁を作って直線抜け出す展開に期待です。

2021年11月7日日曜日

【11/7(日)予想】W重賞の全頭評価

[1]①レクセランス(戸崎)

 小頭数のすみれSを勝ち上がってしまい、以降はクラスの壁に跳ね返されている現状。2走前の大阪-ハンブルグCは久々に掲示板を確保しましたが、差し決着の流れを後方待機から流れ込んでのもので展開利もありました。道中置いて行かれるので距離延長自体は歓迎も、再度重賞のメンバーになるここでは。

[2]②オウケンムーン(団野)

 デビュー時に466kgだった体重が6歳秋の前走で440kgと、成長を見せられていない現状。国枝師もその点を気にしてあまり攻め過ぎないようにしている旨言及があり、現に5月のメイS以降馬体を減らし続けている点も気になります。それでも近2走は④⑤着とまとめられていますが、元々勝った18年の共同通信杯は同レースとしては稀な低レベル戦(13~17年まで5年連続で勝ち馬が後にG1を勝つも、この年はこの馬含め出走全馬G1未勝利)で、そこからの成長が無いとなるとやはり古馬重賞でどうこうというレベルではないかと。

[2]③サトノソルタス(大野)

 オウケンムーンの勝った共同通信杯の②着馬。元々休み明けの方が走れるタイプにつき、叩き2戦目のここは前走(オールカマー⑥着)のパフォーマンスを上回る期待は薄いです。

[3]④ロードマイウェイ(岩田康)

 前走の京都大賞典は初めての2400m戦で0.3差⑤着と健闘を見せました。但し陣営は距離延長によって位置を取る競馬を示唆していたものの、結局はそれまでと変わらず最後方に近い位置取りでのレースになったあたり追走力の点で良かったころからの陰りは否定できない現状です。但し東京芝2500mは2回の坂越えがある為前が止まりやすく、前走同様のパフォーマンスを見せられれば仕掛けどころ1つで食い込めるメンバーではあります。

[3]⑤フライライクバード(岩田望)

 阪神2400m、中京2200mといずれも2回の坂越えがあり差しが利くコースを勝ってきており、このコースに求められる適性という点では引けを取りません。但し昨春の青葉賞では0.8差⑧着。関西圏でしか結果を出せていない点も含め、久々の重賞が遠征競馬という点は気がかりです。

[4]⑥アイアンバローズ(石橋脩)

 前走の京都大賞典では1角で強引にヒュミドールに前に入られリズムを悪くしたのは確かですが、そもそも最内から特にポジションを主張するでもなく前に行かなかった時点で、この馬のレースにならなかったというのが本音でしょう。デビュー以来最高となる504kgの馬体はやはりまだ太かったでしょうしキッチリ絞れてくれば変わり身はあっても良さそうですが、前走の時にも触れた通り3歳馬のいない春先の条件戦を連勝したとて力量の裏付けにはなりにくいのが今のレース体系で、ここはまず重賞で見せ場を作るところからでしょうか。

[4]⑦アドマイヤアルバ(吉田豊)

 前走のオールカマーではスタートから促していくもついていけず、4角でペースが早くなるタイミングでも置かれ加減でした。それでも0.7差⑧着に踏みとどまれたのは進んでいかないがためにずっとインでじっとしていた分、最後に外に持ち出した他馬に比べて馬場のいいインの恩恵を最後まで受けられたものでした。極端なバイアスもない上普通に流れれば前付けするのも厳しい現状では。

[5]⑧アイスバブル(三浦)

 3走前の函館記念では不得意と目されていた小回りコースで②着激走。洋芝適性もあったのでしょうが、元々ディープインパクトの直仔の割に「キレより伸び」を身上とするタイプで目黒記念2年連続②着などタフさが求められるコースでの好走歴を思えば納得の走りでした。

 昨年は目黒記念で0.1差②着、京都大賞典で0.5差⑧着とこのクラスでもやれるだけの力は持っており、鞍上にはテン乗りの三浦Jを迎えます。ダービー卿CTの時にも触れた通り三浦Jは「キレより伸び」を引き出すタイプ。実際にアイスバブル自身も好走歴はモレイラ、アブドゥラ、マーフィー、レーン等伸びを引き出す外人ジョッキーの騎乗時で川田、福永、浜中と言った日本のリーディング上位(≒末脚のキレを得意とする)騎手が乗った時は凡戦しており、この人選は当たりの可能性があります。

[5]⑨ディアマンミノル(荻野極)

 前走の京都大賞典では0.3差④着に健闘。流石に開幕週で外差しは厳しかったですが、4角から助走をつけて追い上げる自分の形のレースが出来た分の好走でした。2回坂を超えるコースは良いですが、阪神や中京と比べて上りの絶対値が求められる東京では末脚比べになると分が悪く、春のメトロポリタンSでも理想的なレース運びで③着どまりだったことを思えばこのメンバーで勝ち負けまでとなるとやや厳しい印象です。

[6]⑩オーソリティ(ルメール)

 骨折(1年ぶり2回目)からの半年ぶりの実戦となります。昨年はそのぶっつけでここを勝ちましたが当時は54kg。今回は57.5kgのトップハンデを背負わされる上、今回は久々の分割引が必要と(天栄仕上げの木村厩舎にしては珍しく)休み明けの割に弱気なコメント。そもそも2回も骨折していては理想的な成長曲線を描けないのも無理はありませんし、実績は認めてもここは様子見が妥当かと。

[6]⑪ゴースト(鮫島駿)

 前走の丹頂SではOP昇級後初めて複勝圏内を確保しましたが、縦長馬群でスペースには苦労しなかった割に追い出してからの伸びはもう一つですぐ前に居たボスジラすら捕らえられませんでした。6走前の準OP勝ちもスローペースを味方につけての押し切りで、重賞では恵まれないと現状厳しそうで。

[7]⑫マイネルウィルトス(M.デムーロ)

 このメンバーに入れば前走の札幌記念④着は大威張りできる臨戦過程です。その前走ではペルシアンナイトの後ろを通って進路を作って伸びてきましたがメンバーと動きにくさを考えれば0.4差は健闘の部類で、4角手前でもう少しスムーズにポジションを上げられていれば上の着順もあったかもしれません。

 春の福島民報杯の圧勝で道悪巧者という見方もありますが、元々準OPの頃から良馬場でもランブリングアレーやポタジェと言った重賞の常連と好戦しており、前走では位置を下げても最後に盛り返す末脚を見せ、戦法が限られるタイプでもないことは証明済み。意外にも2000m超えの距離は初となりますが、父スクリーンヒーロー×母父ロージズインメイという血統背景からはこなせないわけは無く、折り合いの関係で長い距離を使えなかった側面が大きいです。さらなる鞍上強化で臨めるここは絶好の舞台でしょう。

[7]⑬ボスジラ(田辺)

 このレースは丹頂Sからの参戦組が5頭いるのですが、アイスバブルやトーセンカンビーナと言った明らかに大箱向きのタイプと違ってこの馬に関しては札幌2600mで(2,2,0,0)としている通り前走がベスト舞台でした。昨年の目黒記念で0.7差⑨着に入っていますが、道中最後方追走から直線で1頭だけ大外に持ち出して伸び伸び走らせた結果で、不利を受けてないばかりか外差し馬場の恩恵を受けて54kgであそこまで、となると56kgを背負わされるわけで、丹頂Sを連覇できなかったことを考えても当時以上のパフォーマンスを繰り出せるかとなると疑問符が付きます。

[8]⑭トーセンカンビーナ(石川)

 最高のパフォーマンスを見せたのは昨春の阪神大賞典②着~天皇賞(春)⑤着のタイミングで、その前の4勝も京都・阪神で2勝ずつという戦歴を考えても4角から助走をつけて追い出すレースがこの馬には合っています。昨秋に東京で2戦していますがいずれも2秒近くの大敗で、解散に伴う移籍なので仕方ないとはいえ関東への転厩は完全に間違いだったと言わざるを得ません。

[8]⑮アンティシペイト(横山武)

 前走でOP入りしたばかりの馬に重賞連対馬と同じ55kgを背負わせるのは少々見込まれた感もありますが、前走のオホーツクSではそれまでの勝ちパターンと違って中団から足を伸ばす競馬で勝ち切りました。それ自体は外差し展開を上手く味方につけた部分もありましたが、自在性の高さを証明する勝ち方でもあったことから今回横山武Jへの手替わりはプラスと言えます。上りの速さでは見劣るものの、メンバー的に強力な先行勢も少なそうな今回はチャンスありでしょう。

<予想>
◎マイネルウィルトス
○アイスバブル
▲アンティシペイト
△オーソリティ
△フライライクバード
△ロードマイウェイ


■阪神11R

[1]①アンセッドヴァウ(池添)

 前走の平城京Sではペースが流れたこともあり後方から運び、前がバッタリ止まる展開を4角まくりでしのぎ切りました。道中ほぼ最後方にいた馬が2,3着に来ていることからも鞍上の好判断でモノにした一戦であり、重賞でそうそう前も止まらないとなると再現性は疑問で。

[1]②ロードゴラッソ(酒井)

 ここ数戦は前に行けなくなっており、良かったころの正攻法の競馬が出来ない現状。かと言って末脚が使えるタイプでもないため追いつかない程度の追い込みしかできず、恵まれても掲示板がやっとでしょう。

[2]③メイショウハリオ(浜中)

 脚質的に嵌り待ちにならざるを得ないタイプですが、前走の太秦Sは先行馬2頭の決着になりかけたところを内を突いて②着。いかにも岩田康Jらしい騎乗のおかげもありました。但し①着のライトウォーリアはそれまでOPで掲示板にも載れてなく、③着だったサンライズソアもこの3年ろくにレースに使えてなかった7歳馬で、ここに割って入ったと言ってもこのメンバーでどうかと言われると…

[2]④ヴェンジェンス(幸)

 この夏に長期休養から1年ぶりに復帰しての2戦はいずれも大敗。エルムSにしろ白山大賞典にしろ不向きな小回りコースでのもので、本来の力を発揮できる舞台出なかったことは事実です。ただそれでもこれまで2度しかなかった1.0差以上での負けを2回も続けている現状を考えると、調子の問題もあるのでしょうが長欠明けの8歳馬というので割引は必要と考えるべきでしょうか。

[3]⑤アナザートゥルース(松山)

 前走のシリウスS当日の中京は最高気温が29度(15時観測)にまで上昇し、暑さに弱いこの馬にとっては厳しいコンディションになりました。元々陣営は白山大賞典ないしは日本テレビ杯を目標にしておりハンデ戦で斤量面の不利が見込まれるここを使うのには消極的でしたが、出走枠が限られる地方交流は出走が厳しく、止む無くここに出たという経緯でありこの敗戦自体は無視できるものでしょう。

 1月の東海Sではオーヴェルニュより1kg重いハンデで0.3差の②着、昨年のアンタレスSではクリンチャーより1kg重いハンデで先着しており、暑くない時期においてはここの人気どころと互角の勝負を演じています。幸い明日の宝塚地方は最高気温20度という予報な上、この馬よりも内枠の各馬は控えるタイプにつき注文通りの位置取りが叶いそうで巻き返すには十分な舞台と見ます。

[3]⑥ロードブレス(坂井)

 前走のエルムSはトップウイナーが飛ばし、48.2-50.2の前傾ラップでタフさが試される展開になりました。ズブいことでお馴染みのスワーヴアラミスで間に合った内容がそれを物語っていますが、ロードブレスは2角と4角で位置取りを落とし鞍上が促してついて行っていた様子でした。函館はコースレイアウト的にコーナーの角度がキツく、距離延長+大箱替わり+斤量減となるこの舞台は見直せる要素は十分です。あとはここに入っての相手関係がどうか。

[4]⑦スワーヴアラミス(松田)

 ズブさが顕著になっており、鞍上も終始追い通しがデフォルトという昨今。この馬を手の内に入れた松田Jの継続騎乗で近走は安定したパフォーマンスを見せており、キレのない分脚抜きが良くなると着を落としますが良馬場見込みの今回はその心配も無さそう。近走は相手関係に恵まれた感もありますが、今の充実ぶりなら台頭可能で押さえは必要かと。

[4]⑧ニューモニュメント(藤岡康)

 追い込み一手につき嵌り待ちである上、脚抜きの良い馬場の方が着を上げるタイプ。飛ばす馬がいて距離がもう1F長ければまだしも、良馬場の阪神ダート1800mでは恵まれにくいと考えます。

[5]⑨オーヴェルニュ(和田竜)

 今年の重賞2勝が強い勝ち方で、先行して直線で突き放すという危なげないパフォーマンス。58kgも平安Sで克服済で当然にここでは中心視してしかるべき存在なのですが、陣営は暮れに向けてのたたき台であることを明言しており完調でないことは明らか。年明けに東海Sを勝った後中3週で挑んだフェブラリーS、平安Sを勝った後に挑んだ帝王賞いずれも大敗しており、連戦ローテを苦手としていることからも今回はG1に向け中身を整えることが目的のはず。福永・川田の両ジョッキーが居ないことを承知の上で使ってくる以上は勝負気配は薄く、地力でどこまで…という一戦でしょう。

[5]⑩メイショウムラクモ(柴田善)

 前走のレパードSでは鞭を落としても勝ってしまうという内容で、今の3歳勢の中では頭一つ抜けている印象です。但し、その3歳ダート戦線(特に牡馬)のレベル自体が今年は相当低く、伏竜Sで先着を許したゴッドセレクションはJDDでキャッスルトップの大駆けを許す体たらく。そもそもキャッスルトップ自体「南関クラシックに乗り遅れた組」で東京ダービーにすら出られておらず、戸塚記念、ダービーGPでは東京ダービーで着外だった馬たちにすら跳ね返されています。

 前走のレパードSにしても、2着でOP入りしたスウィープザボードはブラジルCで0.8差⑧着、3着以下でも自己条件に戻って勝ったのはタイセイアゲインのみ(その後の3勝クラス戦は大敗)という現状で、このレース自体が2勝クラスに毛が生えてるかどうかすら怪しいレベル感。2勝クラスを勝ってここに来ていたメイショウムラクモにとっては勝って当然というレースで、古馬重賞の水準には達していないと見ます。

[6]⑪クリンチャー(武豊)

 芝時代の実績からも力のいる馬場の方が走れるタイプで、前走の帝王賞③着と6走前の太秦S④着は軽いダートで差し勢が台頭する流れになった分でもありました。4走前のチャンピオンズC⑪着にしても元々芝時代から左回りは走れていなかったので度外視できる敗戦。阪神ダートでは(1,3,1,0)と崩れておらず、凱旋門賞以来3年ぶりに武豊Jを鞍上に迎えたここは連覇に向け視界良好でしょう。

[6]⑫ラストマン(小牧)

 後半がかかる条件戦の流れが向いている馬で、前走の日テレ盃もその流れになりましたがサルサディオーネを捉えきれずの④着。一気の相手強化となるここではペース的にも恵まれにくく。

[7]⑬アシャカトブ(秋山真)

 前走のシリウスSの時にも触れましたが、武藤Jは上級戦になると途端に勝てなくなってしまいます。まだ若手ですので馬質の問題とも言えますが、現にこの馬は5走前、武藤Jが騎乗停止につき戸崎Jに乗り替わったアハルテケSでキッチリ勝ち切っており、手替わりで前進が見込める素質の持ち主と見ています。

 元々ノーザン系の外厩でもないため休み明けは絞り切れずに出てくることが多く、2走前のBSN賞はデビュー以来最高の522kgでの出走となり⑪着大敗。前走のシリウスSでは510(-12)kgと額面上は減らせたものの、アハルテケS時(500kg)のフォルムと比較してもまだ絞れそうな体つきでした。休み明けを2度使われ体調は型通りに上向いており、調教でも坂路で仕掛けられると鋭く反応。この馬の力を出せる出来になっており、理想はOP特別程度の相手関係ですが手替わりとなればここで狙ってみたいです。

[7]⑭エクスパートラン(藤懸)

 長岡Jのワンダーエカルテと並んで「向こう正面捲り」のコンビとしてお馴染みの藤懸Jとこの馬。前がバテる条件戦であればこれでも良いですが、重賞で先行勢も手厚い構成となるとなかなか難しく。

[8]⑮ダンビュライト(松若)

 母系を見ればダートを走らせたくなるのも頷けますが、クリンチャーと違って力のいる馬場で成績を落としているのが現状です。戦績からは先物買いとまでは踏み切れず。

[8]⑯プリティーチャンス(藤岡佑)

 脚質的に嵌り待ちのタイプではありましたが、前走の内房Sでは3角から動いて逃げ込みを図るノーブルシルエットを捉えての勝利。展開次第で動ける自在性を見せました。但しこのレースはノーブルシルエット以外の先行勢が止まる前傾戦で、3着以下も差し・追い込み勢が占めるようなレースにつき本質的な評価は高くはありません。マルシュロレーヌの例をはじめ牝馬のダート戦線も年々層が厚くなってはいるものの、ここで伍せるかとなるとまだ様子見が妥当でしょうか。

<予想>
◎アシャカトブ
○クリンチャー
▲アナザートゥルース
△オーヴェルニュ
△スワーヴアラミス
△ロードブレス

2021年11月6日土曜日

【11/6(土)予想】京王杯2歳Sの注目馬とねらい目レース(阪神7、神奈川新聞杯)

■阪神7R メイショウウグイス

 8か月ぶりのレースですが、過去長欠明けでは7か月ぶりで0.6差④着、転入初戦の8か月半ぶりれ1.0差⑧着としています。特に後者(20年7月)の同舞台のレースでは差し・追い込み勢が台頭する中坂の途中まで見せ場十分でした。揉まれずに運びたいクチな上時計を要する流れの方が向いており、ここ4戦は1200m戦で前につけられなかったり脚抜きの良い馬場だったりと展開不向きの舞台が続きました。18年以降の近3年でこのコースでの単回282/複回208と圧倒的な成績を残す藤岡康Jへの乗り替わり+外目の枠+ハナを主張するタイプの少ないメンバー構成を考えればここは走り時と見ます。


■東京9R ナンゴクアイネット

 良馬場の芝1400mでは⑤①③⑪④③とほぼ崩れなく走れており、唯一掲示板を外した昨年の京都戦はコーナーを回り切れず前の馬に接触しそうになるロスがあっての敗戦で度外視できます。ここ4戦は1秒以上の大敗が続いていますが不適の1200m、重馬場、ダートといずれも理由ありの戦歴で、これが理由でハンデ52kgになっているのならだいぶ恵まれたと言ってよいでしょう。


■東京11R ベルウッドブラボー

 前走のダリア賞のラップが「12.8-11.3-11.9-12.1-11.8-11.1-11.0」。ゴールに向かって加速する流れを差し切っての味のある内容でした。過去ダリア賞で最後の2Fが11秒台前半だった勝ち馬は18年のアウィルアウェイ(このレースでも②着)以来で、府中の改修のあった03年以降の京王杯で「前走がゴールに向かって加速+ラスト2Fが11秒台前半で①着」となると15年の勝ち馬ボールライトニングが前走の新馬戦で「12.0-11.4-11.3」で差し切っての臨戦があるのみ。向こう正面よりも直線の方が長い東京1400mでは上りの速さが必要でこの時計の価値は相当高く、中間の調教でも2週続けてウインアグライアと併せて優勢の動き。持っているギアはこのメンバーでは一枚上と見ています。