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2022年4月30日土曜日

【5/1(日)予想】天皇賞(春)の全頭評価とねらい目レース(ブリリアントS、阪神3)

■阪神11R/天皇賞(春)

[1]①アイアンバローズ(石橋脩)

2走前のステイヤーズSの時に紹介した通り、純粋なキレ勝負となると分が悪く道中からじわっと踏み出すようなレースの方が向いています。結果的に距離を伸ばしロングスパートが効くようになったことで、ステイヤーズS・阪神大賞典連続②着とパフォーマンスを上げてきています。前走は1週目の3角でハミをガツンと噛んだこともあり、鞍上が意図的に道中で突いたことで動き出しが早くなったのですが、こうなると本来前の馬には厳しい流れになるところこの馬は2番手から長く脚を使いディープボンド以外には抜かせませんでした。

この「後半5Fにわたって加速し続ける」能力は今回の天皇賞のキーになると考えており、タイトルホルダーが逃げるであろう展開を考えると「あのまま逃げさせてはまずい」と考えた各馬が早目に捕まえに行くことが想定され、動き出しが速くなる一方速い脚を維持できない馬は最後の坂で脱落してしまいます。道中自ら動き最後まで止まらなかった前走の内容は評価してよく、この舞台なら良さを活かせるでしょう。

[1]②ハーツイストワール(ルメール)

瞬時のギアチェンジに対応できる東京向きの馬。実際1勝~3勝クラスまでの勝ち上がりは全て東京2400mでのもので、最後の3Fの加速が求められるような舞台では好評価できますが流石にここは直線向いてからだけでは勝負にならずで。

[2]③ディバインフォース(田辺)

2走前のステイヤーズSはドスローを積極的に運んでの押し切りで、7走前に阪神2600mで勝ち上がっていますがこの時は前が潰れる超ハイペースを我関せずとばかりに最後方から運んでの追い込み。展開利を味方につけた勝ち方が目立ち、地力が求められる舞台では見劣ります。

[2]④ユーキャンスマイル(藤岡佑)

前走の阪神大賞典では久々に掲示板に載りましたが、その前は1年前の同レースでの②着でありもはやこの距離条件でしか脚が追い付かなくなりつつあります。その前走でさえ、中団から押し上げを図るもアイアンバローズを交わせなかったあたり年齢的な限界も見えつつあり、ペースが流れるであろう今回はパフォーマンスを上げる期待は持ちにくいです。

[3]⑤マカオンドール(松山)

2走前の万葉Sは格上挑戦で52kgのハンデに加えて3000m戦のわりに最初の3Fが60.3と流れたことも奏功し差し切りを決めましたが、前走の阪神大賞典では伸びきれずに④着。当時騎乗した吉田隼Jも「道中じっとしていたので最後伸びると思ったが」と語っており、本質的に距離を伸ばしてどうこうというタイプではなく。

[3]⑥メロディーレーン(岩田望)

スタミナは認めますが、現状では斤量、頭数、相手レベルと色々恵まれないと厳しいです。56kgでは3回走っていずれも2桁着順と苦戦もしている故。

[4]⑦テーオーロイヤル(菱田)

前走のダイヤモンドSは差し勢が台頭する中で3番手から押し切っての完勝。ただ元々昨年の青葉賞でも0.1差④着としているように、最後の3Fのキレが肝心の東京コースは向いていました。この4連勝を紐解くと4走前は差し有利の中京2200mで差し切り、3走前は前半1000mが64.1というスローペースを逃げ切り、3走前は前3頭がかなり飛ばした展開を離れた4番手で追いかけての勝利と展開を味方につけての勝利でありました。裏を返せばそれだけこの馬の自在性と菱田Jの判断能力が高いという証明でもあるのですが、阪神での3勝もいずれも外回りで本質的にはなし崩し的に脚を使わされる展開は向かないだけに。

[4]⑧クレッシェンドラヴ(内田博)

前走の日経賞は内前有利のコンディションを2番手で追いかけての②着。8歳シーズンを迎え目に見えてズブさを見せているだけに距離延長は歓迎ですが、速い脚が持続できるタイプではないだけに立ち回りを活かしてどこまで、という舞台になるでしょう。

[5]⑨ヒートオンビート(池添)

一瞬のキレは持っているのですが、脚の使いどころが限られるうえ抜け出すとソラを使われるという難しい馬。今回は最後の5Fにわたりなし崩し的に脚を使わされる展開が見込まれるだけに、長距離戦でもこの舞台は向かないと見ます。

[5]⑩トーセンカンビーナ(藤岡康)

前走の阪神大賞典は久々に良い条件で使えるかと思い◎にしたのですが、見せ場すら作れず1.0差の⑦着。展開を考えれば後ろ過ぎたことは確かなのですがそれでも勝負に持ち込めていたのが4歳時のこの馬でした。長くいい脚を使えるセールスポイントが薄れているのは否めず、2走前にダイヤモンドSで③着したのも一瞬の脚を活かせる展開になってのもの。キレ不足の現状では前目につけて一発を狙うやり方に賭ける程度なのでしょうが、それができる鞍上ではないだけに。

[6]⑪マイネルファンロン(松岡)

とかくこの馬は折り合って運べるかが大事で、前走のアメリカJCCも馬群から離しての追走が叶った分の②着でした。前半が61.2と決して差し勢に展開が向いたとは言い切れず、この馬のさらに後ろを走っていたキングオブコージに差されたのは仕方ないにしろ、ラスト5Fにわたって速い脚が必要な流れを3角から加速したレースぶりは評価してよいでしょう。

但しこの馬は実戦でのガス抜きが必要なタイプで、前走にしろ5走前に勝った新潟記念にしろ、その前のレースで行きたがってしまい大敗していました。陣営もその点気を遣い今回は中間単走オンリー、かつ松岡Jを乗せないというメンタルに配慮した調整が進められてきました。それでも1週前、当週とウッドで好時計をマークしており状態は問題なし。欲を言えばもっと外枠が欲しかったところですが、既にこの馬を手の内に入れた鞍上であればそう心配することはないでしょう。仮にもポタジェに先着した前走内容を考えれば、持てるポテンシャルは上位に匹敵するはずで。

[6]⑫ハヤヤッコ(武豊)

ダートのレースは最後の1Fないしは2Fで思いっきり上りがかかることが特徴で、追い込みが主体のこの馬もこうして前が止まる流れを得意としてきました。前走の日経賞は内有利展開で内を伸びての⑤着。芝でやれないことはないのでしょうが、このメンバーでこの枠に入ってしまうと立ち回りは難しく、シラユキヒメ一族も本質的には距離が伸びてよいわけではないでしょう。

[7]⑬ロバートソンキー(伊藤工)

昨年の神戸新聞杯(中京)で③着と、このメンバーで唯一ディープボンドに先着したことのある馬です。元々は東京マイルでの未勝利戦で1.33.5という好時計で勝っているようにキレとスピードを持っていますが、年齢を重ね長くいい脚を使えるようになり3走前・2走前と中京で連勝。特に2走前の長久手特別は前半5Fが62.5といかにも中京らしい先行有利ペースでしたが、これを後半5F~2Fまで11秒台を刻む中4番手の外から交わした内容は見た目以上に中身があったと言えるでしょう。ここまで大事に使われてきており中4週での臨戦はどうかという点はありますが、格上挑戦とは言え使える脚はこの舞台に向いており一概に軽視できない存在です。

[7]⑭ヴァルコス(三浦)

一昨年の青葉賞以来の不振から抜け出せていない現状。距離を伸ばして良くなったというよりかは相対的にメンバーレベルの低い長距離戦の方がまだマシというだけであって、追い切りも3歳時まではコース追いも併用されていましたが最近は坂路オンリー。負荷をかけきれない現状を抜け出すことが先決でしょう。

[7]⑮タガノディアマンテ(幸)

前走の京都記念はゲートを決め内前有利展開を味方につけての②着。アフリカンゴールドが逃げ切った中をそれについていっただけのレースにつき、本質的には評価できません。前を取れれば確かにチャンスはありますが、このメンバー、この枠では。

[8]⑯タイトルホルダー(横山和)

メンバー中唯一のG1馬で文字通りの「タイトルホルダー」。その3走前の菊花賞は生産に携わった岡田牧雄氏が「横山家の体内時計を信じた」と語ったとおり60秒-65秒-60秒という理想的なラップを刻み逃げ切り。中盤で完全に緩んだことで実質的には2000mくらいのレースをして勝ったともいえるでしょう。ただ当時は3歳馬同士のレースで距離不安から他の馬も捕まえるのが遅れた分楽に逃げ切れたという面もあり、ドゥラメンテ産駒は本質的には1800m前後が最もパフォーマンスを上げている点からも必ずしもステイヤーではないという点は注意が必要と見ています。

前走の日経賞は本番を見据えた仕上げとは言え、自分の形で逃げ切り。但し上位馬の顔ぶれからも明らかな内前有利馬場を63.5のペースで逃げさせてもらって、距離延長のボッケリーニに0.1差というのは物足りない内容です。このメンツに入れば明らかに力は上位ですが、一度逃げ切っている以上今回は中盤に楽もでき無さそうで、3コーナーまでにどれだけリードを保てるかがカギになってくるでしょう。

[8]⑰シルヴァーソニック(川田)

この馬もパンチ力不足からクラシックディスタンスより長距離重賞に出てきているクチで、一見成績は安定していますが前走の阪神大賞典は中団から運んでおきながら最後アイアンバローズを交わせずの③着。最後に地力で前を捉えられない以上、後半5Fの加速が必要なこの舞台では。

[8]⑱ディープボンド(和田竜)

この馬は長距離で真価を発揮するというよりは「それなりに強い馬の中で比較的距離適性が長め」という事情で3000m超を使われている節があります。事実、3歳時には京都新聞杯を勝ったうえ昨年の有馬記念で②着しているように中距離でも十分にやれる実力の持ち主です。結果的に、中距離G1で勝負になる馬がこの距離カテゴリに出てきたら距離さえ持てば無双できてしまうというのが実のところ。それだけ今の日本の生産界は長距離が軽視されていることの裏返しでもあります(無論、そうなったのは国内外の大レースの体系や未勝利番組の早期終了など、中距離以下スピードタイプを多く生産しなければならなくなった背景故ですが)。

それが証拠に、京都で行われた一昨年の菊花賞では最後に脚が上がっての④着。京都の3000mコースは中盤に緩み最後の3Fにギアを入れる走りが必要なためギアチェンジできるスタミナが必要で、本質的にステイヤーというわけではない点はタイトルホルダー同様に注意が必要です。そのうえで、各馬が早目にタイトルホルダーを捕まえに行くことで向こう正面からペースは必然的に速くなるはずで、速いラップを持続できるかという点においてはこの馬の持ち味が生きるレースになりそうです。

<予想>
◎マイネルファンロン
○ディープボンド
▲アイアンバローズ
△タイトルホルダー
△テーオーロイヤル
△ロバートソンキー


■阪神3R メイショウヒシャ

⑨着に敗れた前走の未勝利戦は、当時の②~⑦着馬が既に勝ち上がっているハイレベルな一戦。この馬と0.1差の前後にいた⑧⑩着馬も次走で②③着としており、自身も中1週続きで4走目だったこともあり3角から手ごたえを失くす厳しい競馬でした。立て直された今回は息の持ちも変わるはずで一発期待です。


■東京10R/ブリリアントS ホウオウスクラム

絞れてくれば走れる馬ですが、2走前に半年ぶりを叩かれたときは+28kgと太目残りが顕著。元々勝ち星は4~9月に集中しており、暖かくなって動けるようになってからが狙い時です。この中間は夏を思わせるような暑さでもありシェイプアップも進むはずで、特に今週は福島が1週遅れた影響で吾妻小富士Sと同日開催になったことで出走希望馬が分散したこともあり、メンバーも手薄な印象。斤量が54kgに戻るのも好材料で、先物買いで狙いたい1頭です。


【4/30(土)予想】青葉賞の全頭評価とねらい目レース

■東京11R/テレビ東京杯青葉賞

[1]①クワイエットホーク(岩田望)

東京芝は兎にも角にも上がりの絶対値が求められるコース。近5年の③着以内馬は全て「それまでに上り3番手以内で走った経験」がある馬で、今回のメンバーでは唯一この馬だけがその経験がありません。未勝利勝ちも阪神芝内回りの2200m戦で、立ち回りの良さを生かせるコースではありません。

[2]②サンライズエース(大野)

前走の大寒桜賞は前半淀みなく流れた展開を後方からまくり加減に上がっていくも1.3差の②着。この馬は切れる脚がない分、長めの距離で道中早めに上がっていって前を捕まえる戦法で好走を続けていますが、本来中京2200mは二度の坂超えがあり後方の馬が有利になるコース。スローとは言い切れない流れで先行した勝ち馬に1.3秒も離された(しかも8頭立て)のでは、②着と言えどもクラス通用の実力は怪しいと言わざるを得ません。

加えて今回はテン乗りの大野Jですが、デビューから4戦すべてに騎乗していた鮫島駿Jが東京にいるにもかかわらず乗り替わりというのが意図不明。「サンライズ」の松岡オーナーとも特に翻意にしている様子もなく、せいぜいフェブラリーSでサンライズホープの代打で乗った程度。初の関東になるので関東の騎手に…というのはわからなくはないのですが、大野Jの良績は福島・函館といった小回り平坦が中心で、東京での実績は下から数えた方が早いくらい。客観的に合理性のある理由は見出せません。

[3]③プラダリア(池添)

2走前の未勝利戦の内容が良く、前半62.5で運んだ逃げ・2番手の馬がそれぞれ①③着とする中で唯一差し込んでの②着。最後の2Fが11.2-11.5と速い上りが求められる中を中団から脚を伸ばしましたが、まだムチで寄れるなど若さを見せる中でのレースでした。この馬を含め当時の⑤⑥⑧着馬は次走で即勝ち上がっており、当時の勝ち馬ハイコーストも無事ならば上のクラスでやれてよかった素材の持ち主と見ています。

勝ち上がった前走の未勝利戦は1.1差の圧勝。そればかりか重馬場にして34.9の末脚を繰り出しての勝利で、当時の上がり2位が36.2ということからもエンジンの違いが伺えます。デビューから3戦いずれも内枠で上手く壁を作れた点も大きいですが今回も3番枠で折り合いは問題なし。位置取りを含めた運要素も強いダービーよりも、トライアルの性質上前半が緩んで最後の3Fの勝負になるこの舞台の方がよりこの馬には向くと見ます。

[3]④メイショウウネビ(松岡)

勝ち上がった未勝利戦はかなりの大雨で最後の3Fが38秒もかかるレース。メイショウサムソン×キングカメハメハという血統背景からもまっとうなキレ勝負になると…?

[4]⑤ダノンギャラクシー(ルメール)出走取消

[4]⑥アスクヴィヴァユー(菅原明)

芝を2回使って⑤⑥着としたのち、ダートに転じて②①着。全兄にダノンプラチナやミッキーバディーラが居る血統で本来もっと短いところの方がよさそうなものですが、東京で走った新馬戦では直線入る前から鞭が入ったり、勝ち上がった前走の未勝利戦にしても道中気合をつけながらの追走だったりと、スピードの絶対値で兄たちと比べてやや劣る部分が見られます。その分距離は持ちそうですし芝も走れるはずですが、いかんせん世界一の水はけを誇る東京競馬場ゆえ展開が恵まれても脚が間に合わない可能性が。

[5]⑦ロードレゼル(川田)

前走の水仙賞は1番枠から好位のラチ沿いをぴったり走る満点のコース取り。ほぼ何もしなくても勝てたレースで、キレを引き出せるタイプのジョッキーであればもっと楽に勝てていたかもしれません。先週のファルコニア然り、このように立ち回りのうまさで勝つタイプを走らせることにかけては川田Jは随一の技術を持っています。瞬発力勝負になったとしても内がまだ生きている東京であれば早めに前に取りつくことも可能ですし、追い切りも2週連続で好時計をマーク。勝ち切れないタイプでしょうが、押さえは必要な1頭でしょう。

[5]⑧ロンギングエーオ(石橋脩)

東京は4回走って⑨④③⑦着。前走中山で初めて稍重馬場を走ってまくりでの勝利を挙げましたが、東京向きのキレを持っている馬では無く。

[5]⑨オウケンボルト(M.デムーロ)

前走のスプリングSではゲート内でそわそわしている時にスタートが切られてしまい、後手を踏んでの⑨着で参考外。フェノーメノ産駒らしく距離は伸びた方が良く(というか2000m未満だとスピードが追い付かない)2400mへの参戦は好感ですが、そもそも勝ち切った未勝利戦は芝2000mにして前半が63.8もかかるスローペースを逃げ切ってのもの。首尾よくハナを切ったとしても最後のキレで負けてしまう可能性はあります。

[6]⑩ディライトバローズ(戸崎)

馬群に入れるとパニックになるが前に壁を作れないと折り合えないという難しい馬。それでも2走前は我慢させて直線で弾けての差し切りでしたが、前走のゆきやなぎ賞は早目に先頭に立ったところを外から差されての②着。重賞のペースの方がレースがしやすい可能性はあり、しっかり我慢させる戸崎Jの手が合う可能性は十分にあるでしょう。

[6]⑪レヴァンジル(レーン)

ドゥラメンテ産駒は東京より中山、2000m超より1600~1800mでパフォーマンスを上げる傾向にあり、3走前の1勝クラス戦はのちに弥生賞を制するアスクビクターモアとタイム差なしの②着。2走前に勝ちあがったゆりかもめ賞より評価が高いと言えるでしょう。数少ない距離実績を有する上、2年ぶりに来日するレーンJが鞍上とあって人気は必至。しかしながら前走のすみれSは中盤に13秒の区間もできるくらい逃げ馬に理想的なラップになったにも関わらずポットボレットに差されての②着。最後の4Fがずっと11秒台を刻む瞬発力勝負でキレに屈してしまった格好で、ここもキレが求められる舞台につき全幅の信頼がおけるかといわれると?

加えてレーンJは1200m、2400mでの回収率が極端に低く、逆に2000mであれば人気でも複勝回収率が100を超えるほどの安定感。この距離での信頼感は人気ほどではないというのが正直なところです。

[7]⑫エターナルビクトリ(武豊)

2連勝中。2走前の未勝利戦では馬群に入ったタイミングで頭を上げるしぐさを見せるなど落ち着かないところを見せながらの勝ち切り。前走の平場では最内枠から外目を回す大味な競馬ながら早めに進出した前をゴール前でキッチリ捉えての連勝でしたが、最後の600mでペースが速くなるのに合わせてアクセルを踏んだ格好で見た目以上に地力の高さを見せた内容でした。阪神1800mを使われた2戦の内容からは使える上りに限界がありそうにも映りますが、この距離なら置かれずに運べそうで台頭できる余地は十分でしょう。

[8]⑬ジャスティンスカイ(横山武)

こちらも2連勝中ですが、戦ってきた相手を考えると未勝利もフリージア賞も疑問符が付くレベルで、そのフリージア賞もアンビションがラチから離して掛かり気味にハナに立ち62.3のスローペース。これを単騎2番手のインを運んでアンビションが自滅しての押し切りですから、実質63秒くらいのスローを逃げ切った形に。そりゃ東京芝2000mでこんなペースで逃げさせてもらえたら大抵は勝てるはずですし、0.1差の②着したエイカイマッケンロは若葉Sで歯が立たず。馬柱と勝負服で人気するでしょうが、個人的にはここで買いたい要素は紐でさえ見出せません。

[8]⑭グランシエロ(三浦)

中盤に緩むところがなく、マイル戦のような流れだった東スポ杯での大敗以外は毎度自分の脚をしっかり使ってのレースができています。とはいえ前走のゆりかもめ賞は先行したレヴァンジルと大差ない脚しか使えておらずここでパフォーマンスを挙げられるかといわれると微妙なのですが、この中間の調教が抜群の一言。稍重のウッドで3頭併せで50.0-11.3という時計面はさることながら、先行した2頭を馬なりのままあっという間に抜き去った内容が秀逸。成長を見せているのはもちろん、この枠ならスムーズに中団の外を取れそうですし、極端にスローにでもならない限りは見せ場は作れそうな出来にはあるでしょう。

<予想>
◎プラダリア
○ロードレゼル
▲エターナルビクトリ
△ディライトバローズ
△レヴァンジル
△グランシエロ


■東京9R/横浜S ホウオウエーデル

元々関東圏か滞在競馬でしか走れてなく、前走の灘Sは苦手な輸送競馬で⑪着。2走前の金蹄Sは後傾戦で差し届かずの流れでした。重馬場程度で迎えそうな今日の馬場であれば前半が流れることでこの馬向きの流れになる期待があるうえ、レーンJはこのコースで(4,4,2,11)で単回112/複回109とベタ買いで儲かるレベル。3走前に既に現級で目途をつけていることを考えればここ2戦を度外視して買う手はあるでしょう。

2022年4月24日日曜日

【4/24(日)予想】フローラS・マイラーズCの全頭評価とねらい目レース

■東京11R/サンスポ賞フローラS

[1]①ルージュエヴァイユ(戸崎)

中山1800mで2連勝。このコースは後半5Fにわたって長く脚を使う展開になりがちで、前走のデイジー賞は前半が60.8に対し後半が59.4という後傾戦を後ろから進んでのものでしたが、最後の2Fで11.4-12.7と思いっきり前が止まっています。牝馬限定戦らしく急坂で各馬脚が上がった中この馬は最後まで走り切れており、ここら辺がジャスタウェイ産駒らしさとでも言いましょうか。そう考えるとタフさの求められる中山だったからこその連勝で、自ら向こう正面から動いたりすれば話は別ですが基本最後の3Fの争いになるフローラSでは上がりが足りない可能性が。

[2]②エリカヴィータ(田辺)

前走のフェアリーSは4角で逃避したスプリットザシーのあおりを受けての⑩着。それ自体は度外視できる敗戦ですが、気が入りやすいタイプで距離延長はどうかという点に加え、1週前にコースで好時計を出していたにも拘らず最終は坂路で収めた点もやや気になります。仕上がり過ぎなのかどこかに不安を抱えているのか、国枝厩舎がウッドでの併せ馬以外で仕上げてきた時は何らかのマイナスを示唆していることが多くて。

[2]③パーソナルハイ(吉田豊)

桜花賞は思ったほど行き脚がつかず鞍上も無理をしませんでしたが、中団のインを確保し直線でも見せ場を作っての⑥着。距離延長で臨むここは主導権を握ってレースができそうです。4走前の赤松賞は外差し優位のコンディションでナミュールに差された分で、フラットに使える今の東京であれば十分に残り目はありそうです。

[3]④ストキャスティーク(石川)

2走前に2400mの未勝利戦を勝っていますが、3角から押し上げて前を捕まえてのもの。4走前、3走前の東京芝2000m戦は⑥⑤着と切れ味不足を露呈しており、この舞台は本質的に合わないでしょう。

[3]⑤エバーハンティング(内田博)

母エバーブロッサムは2013年の②着馬ですが、この馬の新馬戦は前半64.0という究極のスローペースを逃げ切ってのもの。前走のデイジー賞では控えましたが良いところなく1.2差の⑥着ですから、ここでどうこうというレベルではなさそうです。

[4]⑥マイシンフォニー(武豊)

アライバル、プルパレイと好戦した昨年6月の新馬戦以降、パフォーマンスを上げられていない現状。兄にマイラプソディが居ますがこれまた2歳時の3連勝が全盛期で3歳以降は低迷中につき、この一族は元々早期に完成されてしまう傾向があるようです。前走は確かに距離適性からして短すぎたことは否めませんが、条件が良くなる代わりにメンバーも強くなるので。

[4]⑦ゴールデンアワー(横山武)

前走の未勝利戦は前半62.0というスローペースを見越し向こう正面からのスパートで押し切りました。牝馬同士だからできたレースでもあり、まっとうなキレ勝負では分が悪いです。

[5]⑧キタサンシュガー(大野)

中京での新馬戦はスローの前残り展開を最後の3Fだけで差し切ったもので内容がありましたが、前走のフラワーCは3角から動き出すレースで、なし崩し的に脚を使わされるのは向いていませんでした。新馬戦の流れに近いレースとなるここはこの馬の得意な展開になるはずで、巻き返しがあって驚けません。

[5]⑨ラスール(ルメール)

兄にシャケトラが居ますが牝馬はキレに欠けるタイプが多く、モルジアナ、ザクイーン、サラーブと母サマーハの牝馬は皆ダートで勝ち上がった馬ばかり。この馬もエンジンの掛かりはやや遅く2勝は東京でのもの。今回は距離延長と得意コース替わりで、先行争いもさほど激しくならないとなればスンナリ好位から理想的な立ち回りができるでしょう。

[6]⑩ホウオウバニラ(横山和)

前走のアルメリア賞は小頭数の大外枠で前に壁を作れずの③着。勝ったのが毎日杯勝ちのピースオブエイト、②着馬がアーリントンC見せ場を作ったジュンブロッサムだったことを考えればやむなしのレースでした。元々新馬戦でも前に壁を作れずなだめながらのレースだっただけに、重賞のペースの方がレースしやすいタイプかもしれません。

但し、ドゥラメンテの牝馬はなぜかこのコースで(0,0,0,6)とからっきし。元々気性的な問題をはらむタイプが多く、産駒の主戦場は1400~1800mというのが現状。この馬も初輸送に距離延長と超えるべきハードルは低くなく。

[6]⑪トゥーサン(津村)

この馬の勝った芝2000mの新馬戦は、重馬場ということもあり前半67.1と異次元のスローペース。それを3番手から押し切ったというだけですからおよそ見どころは無く、ここ2戦の内容から1勝クラスを勝つのも相当条件が恵まれないことには…

[7]⑫モチベーション(永野)

現状適距離であろうマイル前後でここ2戦目見せ場なし。父ガルボという血統背景からも距離を伸ばして新味が出る見込みは薄くて。

[7]⑬ルージュスティリア(福永)

新潟の新馬戦で32.7の脚を繰り出し、のちの桜花賞馬スターズオンアースを封じての鮮烈デビュー。但し当時はワンターンの新潟芝1800mにして前半4F52.5、5F65.9というドスローで脚が溜まったうえ、そもそもスターズオンアースの方が速い上りを使っており単純に位置取りの差だったと見るべきでしょう。前走のチューリップ賞は確かにスタートがすべてでしたが、中団から運んだナミュールと同じだけの脚しか使えていなかったことを思えば少なくとも抜けて強い、という域には至っていないというのが感想です。敗因がはっきりしているだけにこういう馬は人気しがちですが、オッズほど抜けた存在ではなく壁職人・福永Jの手腕にかかっていると言えるでしょう。

[8]⑭シンシアウィッシュ(M.デムーロ)

半マイルが50秒に乗るようなスローペースでしか好走できておらず、全姉マリーナという血統背景からも距離延長がプラスになるイメージはありません。

[8]⑮ヴァンルーラー(藤岡佑)

これまた半マイルが50秒を刻むようなレースでしか掲示板に載れてなく、重賞で通用する根拠には乏しいです。

<予想>
◎パーソナルハイ
○キタサンシュガー
▲ラスール
△ルージュスティリア
△ルージュエヴァイユ


■阪神11R/読売マイラーズC

[1]①レインボーフラッグ(国分恭)

ベストは平坦の1400mですが、OP勝ちの実績がないため賞金が足りず使える番組を優先せざるを得ない状況。急坂のマイルではここで通用する根拠に乏しく。

[2]②ヴィクティファルス(池添)

距離1800m戦で好走を続けたのち、2000m以上を使われた皐月賞以降は良いところなし。セントライト記念などでは意図的に控える競馬を試みても弾けなかった内容を踏まえると、距離を伸ばすより縮めたほうがこの馬には合っていそうです。共同通信杯でシャフリヤールに先着したように力はある馬で、雨で適度に上りが掛かってくれればなお良いでしょう。

[2]③ファルコニア(川田)

一見戦績がまとまっているように見えますが、立ち回りの良さで着を拾っており頭より②③着というキャラクター。相手関係に恵まれれば勝ち切れもしますが、基本的には人気ほどの単勝妙味は無いタイプです。距離1800m以下で川田Jが乗れば(2,2,2,0)ですから、押さえるべき馬ではあるのですが。

[3]④カラテ(菅原明)

転厩初戦。それでも1週前、最終と濃い併せ馬を消化できており、仕上げに手ぬるさは無さそうです。昨年初めの中山での連勝が記憶に新しいですが、この馬は東京のような純粋なキレ勝負より上りがかかったほうがよく、一雨も予想される阪神コースは良さを出せる舞台です。但し前走時にオーナーが語っていた通り、爪に不安を持っており暖かくなると爪の伸びが良くなる分管理が難しくなる一面を持っています。ここ数日夏を思わせるような陽気が続いたことがマイナスになっていなければ良いのですが…

[4]⑤レッドベルオーブ(岩田望)

昨年の皐月賞後、骨折により1年近くの休養を経て復帰した前走の六甲Sは⑦着。この馬にとって鬼門の外枠を引いてしまったことで、スタート前から勝負は決していたようなものでした。2桁枠番を引いた新馬戦で取りこぼし、5番枠の未勝利戦では2歳レコードで圧勝。デイリー杯でも2番枠でホウオウアマゾンを下しまたもやレコード勝ちと、スピードは十二分に見せつけてきた故内枠を引き折り合い面の課題がクリアできるかがカギとなります。15頭立ての5番枠、調教からコンタクトを取る自厩舎の岩田望Jは現在全国リーディング2位と乗れており、お膳立ては整ったと言えるでしょう。但し好走時は決まってラチ沿いを通っており、今のコンディションではそれをやってしまうと馬場の悪いところを走らされる懸念があります。

[4]⑥ベステンダンク(鮫島駿)

流石に10歳を迎え、ここ2戦は同型もおりハナを叩ききれない現状。それでも「ハナを叩けて」「上りが掛かれば」今でも好走できるポテンシャルは持っており、実際昨年もOPで2度の④着があります。ここはこの馬以外にハナを叩きそうな馬はおらずで、天候回復の目途は無くパンパンの良馬場とはならなさそう。3着候補にマークが必要な舞台となりそうです。

[4]⑦ホウオウアマゾン(坂井)

前走の東京新聞杯は見せ場なく⑫着に終わりましたが、元々2走前の阪神Cの後はこのマイラーズCまで休養する予定でした。脚をひねった朝日杯FSと2回の遠征以外は高いパフォーマンスを見せており、いきなりでもやれる状態にはあるでしょう。ただ前向きな気性ゆえベストは1400mで、スローペースが予想される今回抑えが効くかどうかがポイントです。

[5]⑧サトノアーサー(和田竜)

7歳シーズンからは自慢の末脚が鳴りを潜めた格好で、左回り・ワンターン・1600~1800mであればまだ好走の目はありますが適性から外れる右回りにつき…

[5]⑨エアファンディタ(松山)

現役屈指の切れ者ですが、ペースが緩んでタメを作れたほうがよく流れが落ち着きそうな今回のメンバー構成は好都合と言えそうです。皆が速い上りを使える東京や新潟のような平坦コースより、坂があって他の馬の脚が止まる阪神や中京のようなコースの方が相対的に順位が上がるため、初の重賞挑戦でもこの舞台なら見せ場を作れそうです。

[6]⑩シュリ(秋山真)

気のいいタイプで内枠で壁を作って進みたいため2桁枠番は歓迎ではないうえ、少しでも渋るとパフォーマンスを落とすきらいがあり雨もマイナスです。

[6]⑪ロードマックス(松田)

左回り専用機と見ていましたが、前走の心斎橋Sでは内回りで一瞬の脚を活かしての快勝。とはいえ使える脚が一瞬ゆえ、現状では内回りの方が向いており外回りで距離延長となるこの舞台は向かない可能性が。

[7]⑫エアロロノア(幸)

昨年の⑤着馬ですが、この馬もまたエアファンディタと似たような特性の持ち主でスローで脚を溜められる時に好走できています。位置取りはこちらの方が一歩前を取れそうで、理想は良馬場ですが流れが落ち着きそうな今回は連続好走も可能でしょう。

[7]⑬ソウルラッシュ(浜中)

距離を縮めて3連勝中。ここ2戦は中山で渋った馬場を勝っていますが元々3走前に中京の良馬場で1.33.6の好時計で勝っており、馬場は不問のタイプでしょう。中3週でも2週連続でウッドでの併せ馬で好時計をマークしており状態に問題は無いですが、関西馬にして何故か今まで阪神で走ったことが一度もないのが気になるところ。何かが引っ掛かっていたのか、あるいは相手関係の観点から関西主場を避けてきたのか…

[8]⑭ダイワキャグニー(三浦)

理想は左回りの1600~1800mですが、昨年のこのレースでも0.2差④着しているように右回りでも自分の走りができれば好走可能な力量は持てています。ただ三浦Jは傾向として積極性に欠けるきらいがあり、位置を取りに行くレースができないと持ち味のしぶとさを活かし切れずに終わってしまう懸念もあります。

[8]⑮ケイデンスコール(岩田康)

前走の東京新聞杯では久しぶりに先手を奪いましたが、見せ場なく⑬着。得意の東京マイルでも走れていない状況で、この中間も岩田康Jが調教をつける様子は無し。前崩れ待ちの現状では狙えません。

<予想>
◎ヴィクティファルス
○エアファンディタ
▲レッドベルオーブ
△エアロロノア
△ホウオウアマゾン
△カラテ
△ファルコニア
★ベステンダンク


■福島3R ディーノエナジー

前走の未勝利戦は抜群のスタートから控えてしまい⑤着。その前走の②④着馬は既に次走で勝ち上がっており、メンバーレベルの高いレースでした。1800~1900m戦での垂れ具合から見るに距離は短めの方が良く、平坦小回りの1700m戦であれば好発からそのまま押し切れると見ます(思った以上に人気してしまいそうなのが気になりますが…)。

2022年4月23日土曜日

【4/23(土)予想】福島牝馬Sの注目馬とねらい目レース(飯盛山特別)

■福島11R/福島牝馬S ロザムール

見たところ行きそうな馬はおらず、この枠でもスンナリハナは叩けそうです。この馬は他の馬が苦労するような馬場でも変わらずに走れる点がセールスポイントで、スロー想定に加えて福島は2週目にして早くも上がりのかかるコンディションとなっている点も好材料です。昨年の七夕賞でタイム差なし②着しているようにコース実績も問題なく、先週アンティシペイトで圧勝劇を演じた武藤Jが再度思い切り良く乗れればチャンスでしょう。


■福島9R/飯盛山特別 グルーヴビート

前走の川俣特別では最内枠で動くに動けずの⑨着でしたが、勝ち馬とは0.3差と着順程負けていません。小倉や福島のように上がりのかかる展開が得意で、元々は新馬戦でステラヴェローチェとタイム差なしの②着していた素質馬でもあります。今回は大外枠で動きたいときに動けそうで、先行したい馬も多くゴール前で急減速するような流れになれば間に合うでしょう。

2022年4月17日日曜日

【4/17(日)予想】皐月賞・アンタレスSの全頭評価

■中山11R/皐月賞

[1]①ダノンベルーガ(川田)

今や皐月賞への最重要ステップと化した共同通信杯を快勝。ただ東京2000mでの新馬戦同様に最後の3Fだけのレースであり、おまけに馬場バイアス的にも外差し傾向が出ていた中の差し切り。今の中山、今回のメンバーを考えれば最後の1Fはぐっと時計がかかることが予想され、最内枠からの立ち回りも含め課題は大きいと見ます。

[1]②アスクビクターモア(田辺)

中山で3戦3勝。ディープインパクト産駒ながら絶対的なキレよりも早目のスパートで押し切る競馬が得意でまさしく中山向きと言えるでしょう。中山を知る田辺Jを押さえている点もここへの本気度が伺えますが、これまでの5戦で最大は13頭立て、しかも勝った3戦はいずれも7・8枠と立ち回りやすい位置関係だったことも奏功した様子です。内枠に入ったうえ中~外枠には先行したい馬が多数いるとなると、そこで囲まれてしまい動きたいときに動けなくなる懸念があります。

[2]③トーセンヴァンノ(木幡巧)

頭数・メンバーに恵まれたコスモス賞を勝った以外は見せ場を作れず。先行馬にも強力なライバルが多くここでの通用可能性は見出せません。

[2]④キラーアビリティ(横山武)

乗り難しい面がある一方でハマった時の強さは証明済。2走前の萩Sは前半が63秒もかかるスローペースでモロに行きたがってしまいましたが、アーリントンCを制したダノンスコーピオンとタイム差なしの②着に踏みとどまりました。前走のホープフルSは前半60.1とペースが流れ折り合いも問題なく運べたのが大きく、それは3走前に1.1差の圧勝を演じた小倉でも同じことが言えます。加えて前に壁を作って我慢させた方が良く、先行勢も多いレースで内枠を引けたことで再度理想的な位置取りが叶う可能性は大きいです。

ただやはり不安要素としては追い切りの物足りなさ。1週前はアンタレスSに出るバーデンヴァイラーとアーリントンC⑫着のドンフランキーとの3頭併せだったのですが、一度前に出た後にその2頭に差し返される始末。最終は馬なりで併入したものの相手は格下で、併せている以上輸送を考えて負荷をかけていないという言い訳は通用しないはず。本来の力を出し切れるコンディションなのかと言われると疑問が残ります。

[3]⑤グランドライン(三浦)

前走のスプリングSは恵まれうる舞台と踏んだのですが見せ場なく⑫着。現状このレベルで通用する根拠には乏しいです。

[3]⑥ジャスティンロック(戸崎)

前走の弥生賞では3角でロジハービンに進路をカットされブレーキを踏むシーンがあり④着。最後ジリジリ伸びてはいたものの前にいたボーンディスウェイすら交わせなかったあたり、中山向きの操縦性の高さは持ち得ていないタイプに映りました。かといって直線ズドンで勝負を決められるタイプでもないですから、コーナーから坂で加速できる阪神コースが今のところ一番合っていそうでここは適性からは外れると見ます。

[4]⑦ボーンディスウェイ(石橋脩)

前走の弥生賞の際に紹介した内容がこちら。
2走前の葉牡丹賞の内容が優秀。 12.5-11.3-12.3-12.8-12.7-11.9-11.5-11.7-11.4-12.5というラップを自ら刻んでの逃げ切りで、後半に入って連続して11秒台の脚を使っています。これは向こう正面からまくり気味に上がってきた馬が何頭かいたためで、この時上がってきた馬はそれぞれ⑦⑧着と返り討ちにあっています。前半が61.6というのは一見恵まれたように見えますが、それでいて後半を59.0でまとめたことで勝ち時計は2.00.6と水準級。しっかり自らの脚を使えるタイプの先行馬と言えそうです。 前走のホープフルSは外有利展開をインの2番手を進んでのもので、外に進路を取った勢が台頭する中で終始インにいて0.5差の⑤着なら健闘の部類。この中間は3週連続してDWで50秒台-11秒台の好時計をマークしており、賞金的にもここで出走権を獲得しなければいけない立場で仕上げに抜かりなし。重賞好走馬が人気している中でも上位を張れておかしくありません。
その弥生賞でも残り4F~2Fの区間が11秒台を刻む中で3番手で走り切り、ゴール前は前2頭に迫っての③着。ただ個人的にはもう少し前でレースしていればもっと際どかったと見ており、鞍上が意図して脚を溜めて乗った分の③着と見ます。G1ウイナーのドウデュース以外には抜かせなかったわけで、アスクビクターモアの陰に隠れていますがこの馬もこのコースへの適性は高いと見ています。

加えてこちらはホープフルS(⑤着)をはじめ上級戦や多頭数戦の経験も既にあり、皐月賞に求められる立ち回りのうまさは証明済。前走時点で最終のCWが50.2-11.8とかなり攻めていたにもかかわらず今回も中間は意欲的に追われ、いずれもCWで1週前に50.1-11.3、最終も51.9-11.5でまとめるなどここに向けた仕上げは万全。ペースを落としたい先行馬が多い中で、早目にペースアップする展開への対応力の高いこの馬が台頭するチャンスは十分にあるでしょう。

[4]⑧ダンテスヴュー(吉田隼)

勝ちに行った3走前の未勝利戦以外は溜めるレースを試すもそこまで切れず。クロウキャニオンの一族は総じて2歳時のパフォーマンスを3歳以降に更新できない馬が多く、絶対的な上がりも使えないため上がりのかかる中京に良績が多い傾向も顕著です。加えて最終追いが前回のきさらぎ賞時より軽くなっているのが気がかり。レッドジェネシスなどでも取り上げていますが、友道厩舎は馬の調子で柔軟に調教メニューを変えることが知られています。基本的には強い負荷をかける(一杯に追う、坂路やウッド、併せ馬など)時は調子が良くそれだけのトレーニングに耐えられると判断している様子で、逆に軽い(馬なり、ポリトラックや芝、単走など)とそこまでではないというジャッジ。今回はウッドに入れたものの単走馬なりで58.7-13.2とジョギング程度の最終稽古につき、びしっと仕上げていた前走以上を望むのは難しいでしょう。

[5]⑨サトノヘリオス(岩田望)

前走のスプリングSは輸送を克服しての③着。ただ道中中団のインでじっと待機し、直線でもインが空くのを待って間隙を突く内容。空いてからの伸びを考えればだいぶうまく乗った分の③着で、捌きの難易度が高くなるうえ中3週の再輸送となるここで前走以上となると?

[5]⑩ジャスティンパレス(M.デムーロ)

前走のホープフルSでは最初のスタンド前を過ぎたところで行きたがってしまい、その分のロスもありながら②着に健闘。当時はクリスチャンJが乗っていましたが、基本的に欧米の競馬では日本をはじめとしたアジア圏のように「溜めて切れさせる」というレースをさせる習慣がないため、折り合わせることの経験値がどうしても低くなってしまいます。香港に所属するモレイラJが来日時に驚異的な成績を残せるのも、ひとえに日本の芝競馬の特徴にマッチした乗り方を普段からしているからでしょう。

その点今回は間隔を空けられ、追い切りは1週前に速い時計を出したのち最終はサラッと。ラウダシオンがそうであるように、デムーロJはコンディションが良ければ最終追いでは無理をさせないタイプにつき今回はその点も順調に言っていることを示すシグナルと言えるでしょう。ペース的には今回の方がレースはしやすいはずで、掛かっても大崩れしなかった前回の内容を考えればスムーズなら要注意の一頭です。

[5]⑪オニャンコポン(菅原明)

前走の京成杯ではそれまでと一転して溜めるレースで差し切り。ただ掛かり気味にまくったロジハービンが②着に残せたように外差し優位のレースであったうえ、前半60.9と決して速くなかったペースで残せなかった先行勢は自己条件でもまともに勝負にならない馬ばかり。理想はスローで前付けする展開であり、先手を取りたい馬も多い中では中途半端なレースになる懸念があります。

[6]⑫ドウデュース(武豊)

2走前の朝日杯FSは最後の2Fで11.2-12.1とぐっと時計がかかるキツイ展開を差し込んできてのもので、前走の弥生賞も3角でスムーズさを欠いた分の②着。中山コースでも走れる素養はあると見ますが、やはり友道厩舎が負荷の軽い調教で向かってきているのは明らかにマイナスのサインです。今回の最終はポリトラックでの単走。休み明けの前走でさえウッドで併せ馬を消化して輸送していたことを考えれば、そこから調整レベルの落ちる今回は前回以上には映りません。

[7]⑬ビーアストニッシド(和田竜)

逃げなくても競馬の出来る馬で2000mも連対実績があることから、デシエルトをマークする形での追走になるでしょう。ただこの馬もドウデュース同様に最終がポリトラックというのは気になるところ。併せた相手も条件馬ですから特に強調できる材料はなく、同型揃いの中でどこまで粘れるかになるでしょう。

[7]⑭ジオグリフ(福永)

スタートに課題がある分、多少の出遅れもカバーできる外枠は好都合でしょう。ただ快勝を見せた3走前の札幌2歳Sは早目に流れた前半後方で待機し、ペースの落ち着いた中盤以降で脚を使ってのレースで上手く乗れた部分が大きかったです。調整の良さは認めますが、ノドの不安を抱える中で晴天で距離延長となると不安要素の方が大きいです。

[7]⑮ラーグルフ(丸田)

前走の弥生賞では3角で下がってきた馬にモロに被される格好になり⑪着。元々芙蓉Sを勝ちホープフルSで0.4差③着としているようにこのコースは得意な馬です。3角から脚を使ってロングスパートに持ち込める強みは今回の展開にもハマる期待があり、外枠からスムーズに運べれば可能性はあるでしょう。

[8]⑯デシエルト(岩田康)

前進気勢が強く勝負根性もある一方で、現状そのメンタルのコントロールがなかなかできていない状況。1週前には岩田康Jを背にCWで50.6-11.0と好時計をマークしましたが、最終は馬の気が入り過ぎないようにとの理由であえて助手を乗せて済ませました。安田隆師も「心身のバランスが取れてくれば、先々ポンポンとG1を勝てる」とその素質の高さを認めつつも制御の難しい現状に言及しており、現に母のアドマイヤセプター、姉のスカイグルーヴも結果的に気性面の問題から距離短縮を余儀なくされたクチ。恐らくハナは叩けるかと思いますが、初の長距離輸送でもあり能力全開となるかは少々怪しく。

[8]⑰マテンロウレオ(横山典)

弥生賞では内に閉じ込められ何も出来ずの⑩着。再度の輸送となる今回ですが中間は非常に意欲的に追われ、ウッドでも坂路でも併せて先着する好内容。3走前のホープフルS⑥着時も含めこれまでの輸送時は控えめの調教だったことを思えば、ここに来ての攻め強化は成長と陣営の本気度を伺わせるものです。尤も、ダンテスヴューとタイム差なしの①着だったきさらぎ賞だけ走ったとしてもここで足りるかは微妙なところではあるのですが、気難しさ故馬群から離せるこの枠はむしろ良かったでしょうし、タフさの生きる流れになった際は浮上できる実力の持ち主と見ています。

[8]⑱イクイノックス(ルメール)

前走の東スポ杯2歳Sは後傾戦を32.8の末脚で差し切る圧巻の内容。ただ新潟デビューである点も含め、どちらかと言えば急坂のタフさ比べより上がりの絶対値で勝負するタイプのように映ります。しかしながら父キタサンブラックは中山で(3,1,2,0)、母シャトーブランシュは豪雨の中のローズSを追い込んで②着したようにタフさを有する血統背景で、いずれも3歳秋から本格化したこともあり陣営は先々の本格化を見据え成長を促す意味でも東スポ杯からのぶっつけを選択したという考えもできるでしょう。

しかし、だとすれば前走時482kgだった体重が調教後時点で492kgというのは少々物足りない数字に映ります。それが証拠に帰厩しての追い切りは全て馬なりオンリーで、牧場で仕上げてきたという見方もできますがビシビシ負荷をかけて急坂にも耐えさせる、という風には読み取れず、あくまで目標は次にあると推察。ここは掲示板に入って権利取りができればOKという段階で鞍上も無理しない可能性があります。

<予想>
◎ボーンディスウェイ
○ジャスティンパレス
▲マテンロウレオ
△キラーアビリティ
△アスクビクターモア
△ダノンベルーガ
△イクイノックス
△ラーグルフ


■阪神11R/アンタレスS

[1]①アナザートゥルース(松田)

寒ければ寒いほど調子を上げるタイプ。それだけにあと少しの賞金差でフェブラリーSの出走が叶わなかったのは痛く、3月の2戦は1秒以上の大敗。さらに気温の上がる今回はパフォーマンスも下がる懸念が。

[1]②ライトウォーリア(松若)

このコースで(4,0,0,0)。走りがワンペースなところがあり道中13秒台の区間ができるような阪神2000mや小回りコースでは成績を落とす分、このコースに限ってはキッチリ走れています。4走前の太秦Sでも道中ずっと促し続けた割には最後まで脚が持っており、ハナにはこだわらないものの自分のペースで走り切れるかがカギとなるでしょう。今回はペースを引き上げそうな逃げ馬はいないのですが、早目に仕掛けてくるケイアイパープルが厄介な存在。11秒台の区間を作られてしまうとそこで脱落の懸念があります。

[2]③カデナ(池添)

ダートでも目途は示したものの、前が止まる展開を追い込んで着を拾った内容につきやはり本質的には平坦小回りが向いています。

[2]④ウェスタールンド(藤岡佑)

いつもしっかり自分の脚は使ってくるタイプにつき、上りのかかるコースは得意なクチ。10歳となると流石に上がり目は無いですが、実績を考えれば56kgで出られるのは反則。実績あるこの舞台では再度注意が必要でしょう。

[3]⑤ケイアイパープル(藤岡康)

2走前の佐賀記念はメイショウカズサを自ら負かしに行く強い競馬で圧勝。ここ最近見せているように、向こう正面ないしは3角あたりから早めに動いてロングスパートに持ち込ませるのが得意な形です。ダート戦にして後半直線向く前(残り5F~3F区間)に11秒台のラップを自ら作れる先行馬というのはかなりの脅威で、人気するであろうバーデンヴァイラーやグロリアムンディといった上がり馬もこのようなペースで勝った経験はありません。当然こうなると最後の1Fは思いっきり時計がかかるので追い込み勢の台頭の余地を与えてしまう戦法なのですが、この馬自身が成績を残すためにはこれが最適解なわけです。幸い今回はそこまで脅威になりそうな追い込み馬はおらず、先行勢をねじ伏せさえできればこの舞台でも。

[3]⑥サクラアリュール(酒井)

本質的には2000m以上の距離が欲しい馬。前崩れの展開になれば自分の脚は使えているので浮上の余地はありますが、今回はこれ以外にも末脚自慢が居るメンバーにつき。

[4]⑦アルーブルト(浜中)

前走の名古屋城Sでは外目で砂を被らずに進んだ各馬が上位を占める中、馬群の中で脚を溜めての⑤着。一見馬場バイアスに抗っての好走に見えますが直線ではスッと外に出しており、むしろロスなく進んだ割に内の先行勢すら交わせなかったレースぶりには不満が残ります。(3,0,0,0)のこのコースに戻るのは有難いですが、メンバーも強くここは腕試しでしょう。

[4]⑧オメガパフューム(横山和)

急転、現役続行となったこの馬の最大の目標は4連覇中の東京大賞典をはじめとした大井のG1獲り。実は阪神コースを走るのは18年9月のシリウスS(①着)以来3年半ぶりで、中央のレースに出ること自体がそもそも約2年ぶりです。右回りには絶対的な安定感がありしまいも堅実ですが、59kgで次を見据えた仕上げと考えると頭以外の可能性も考える必要がありそうで。

[5]⑨ユアヒストリー(富田)

重賞は初挑戦ですが、このコースでは(3,1,2,0)と堅実。前走の仁川Sでは出入りの激しい展開に巻き込まれ、下がってきた馬の直撃を食らい行き場を失くすシーンもあり⑤着は健闘の部類でしょう。但しこの時は前半が60.0と流れ相対的に着を上げられた部分も大きく、本質的にはスローをまくり上げていくタイプの馬につき流れそうな今回はどうしてもハマり待ちになってしまいます。

[5]⑩ニューモニュメント(小崎)

昇級後は距離の幅を広げ、前傾戦や速いラップが途中に入る流れでスピードを生かして好走するケースが多いです。ケイアイパープルがペースを引き上げる前提で考えれば、じっとして最後の脚にかけて食い込める余地はあるはずですが、3場開催とは言えこの舞台でテン乗りの小崎Jというのは少々未知数です。

[6]⑪プリティーチャンス(柴山)

末脚が身上のハマり待ちタイプにつき今回の展開でなら恵まれうる可能性は考えられますが、全4勝を岩田望Jで挙げているように牝馬らしくキレを引き出すことに長けたタイプが合っている馬。父である岩田康Jとはまたタイプが違うだけに、2走前に乗っているとはいえ園田仕込みの柴山Jというのは少々手の合わない懸念も。

[6]⑫バーデンヴァイラー(幸)

勝つときは途中で13秒台を刻み徐々に早くなるという、ラップが理想的な山を描いています。ハナに立たなくてもレースは出来ますが、ケイアイパープルのようなペースブレイカーやオーヴェルニュのような強力な先行馬が居ると脆い懸念があり。

[7]⑬グロリアムンディ(坂井)

前走の名古屋城Sでは馬の後ろに入れたことでやや砂被りを嫌がる素振りを見せつつも、福永Jが教育とばかりに道中ずっと前に馬を置いて進めました。直線で外に出すとおとなしくなり伸び伸び走って4連勝。教えながらの好走は額面以上に評価できるものでしょう。

ダートに転戦しての4戦すべてで7枠を引いており、今回も7枠。出来過ぎにもほどがありますが、包まれない外枠は歓迎のクチ。ケイアイパープルの作るペースに付き合わないことが条件ですが、バーデンヴァイラーと違ってこちらは道中速くなる区間があっても最後までしっかり脚を使えており、戦法の自由度が高い分好走できる確率は上と見ます。

[7]⑭デュープロセス(秋山真)

良い脚が使えるのは1400mまで。流石にここは距離が長いでしょう。

[8]⑮ヒストリーメイカー(内田博)

コーナーリングに難があり交流重賞では振るわず、良績は中央の大箱に集中しています。勝負所で置かれてしまうため、向こう正面~3角でペースが上がるであろう今回はそこで脱落の懸念が。

[8]⑯オーヴェルニュ(鮫島駿)

昨年の東海Sでケイアイパープルの早仕掛けに返り討ちに遭わせた実績がありますが、その時も含めこの馬は「休み明け」「左回り」「重馬場」が好走の条件で、右回りで良馬場が見込まれるこの舞台は他を圧倒できるまでの力量差とまでは言いにくいです。恐らくは来月の平安Sを見据えての叩きのはずで、地力でどこまで踏ん張れるかの一戦になりそうです。

<予想>
◎ケイアイパープル
○グロリアムンディ
▲オメガパフューム
△ウェスタールンド
△オーヴェルニュ
△アルーブルト

2022年4月16日土曜日

【4/16(土)予想】アーリントンCの全頭評価とねらい目レース

■阪神11R/アーリントンC

[1]①キングエルメス(坂井)

骨折休養明け。前走の京王杯2歳Sでは逃げたスズカコテキタイが早目に垂れたせいで早々と先頭に立たざるを得ませんでしたが、トウシンマカオが迫ってくるともう一伸びを見せ後続を完封。そのトウシンマカオはクロッカスSを制し、③着だったラブリイユアアイズは阪神JFで②着。力のある所を見せた一戦でした。但し今回はあくまで叩きであり、中2週で向かう本番を見据えた仕上がり。個人的にはそれ以上に前走で+18kgと増えた体重がさらにどこまで増えているかが気になるところです。この一族は総じて早期にピークを迎え尻すぼみになる傾向があるので…

[1]②トゥードジボン(福永)

前半が35秒台以上でゆったりとした後傾戦で(2,0,1,0)に対し、前半が34秒以下になる前傾戦では(0,0,0,2)でいずれも1秒以上の大敗。現状ではスローペースを利しての先行馬でしかなく、1400mからの転戦組も多い今回は流れる懸念が。

[2]③ジャスパークローネ(岩田康)

最終は坂路で単走で50.6-12.4と抜群の動きを披露。ただこの動きからしてもやはり本職はスプリンターと見え、同系が多いことを踏まえても楽なレースにはならなさそうで。

[2]④アスクコンナモンダ(藤岡佑)

前走の1勝クラス戦は前傾戦でしまいを伸ばして②着でしたが、まともにレースに参加できていたのは半分程度で残りの半分は中団以降から直線でも見せ場を作れませんでした。実質7~8頭立てのレースで、ここを勝ったサーマルウインドも次走のニュージーランドTでは1.0差⑧着。芝を走った2戦は外目の枠を引けた一方、今回の内枠は捌きの面でも難しく。

[3]⑤ニシノスーベニア(松田)

アスクコンナモンダと同じ前走で④着。位置取りは上位2頭より後ろだったにもかかわらず、繰り出した末脚はその2頭に及ばずという内容。芝ではキレ不足につき。

[3]⑥メイケイバートン(幸)

前走の1勝クラス戦は芝1400mにして前半が35.9も掛かるスローペースで折り合いを欠いたのが大きく、それでも最後まで大崩れせずに走り切り⑤着なら悪い走りではありませんでした。ただこの馬の逃げ切った2走前の未勝利戦はイン有利が顕著だった中京の開幕週。そこでの勝ち上がりと考えると今回の舞台で恵まれるハードルは高いです。

[4]⑦デュガ(武豊)

最終の坂路50.1は今週の一番時計。森厩舎の馬は坂路でよく動きますが、その分適性はスプリントに寄っていることが多くこの馬もマイルは初めて。


上記は開業以来の森厩舎の成績を距離別に束ねたのもですが、短くなるほど全体の成績が良くなっています。2100~2400mで数字が良くなっていますがこれらのほとんどは2勝クラス以下の条件戦であるのに対し短距離ではマテラスカイ等重賞の常連を含む上級戦活躍馬を多く送り出しています。森師がその名をとどろかせるきっかけとなったシーキングザパールも世界を股にかけたスプリンターでした。

前走のファルコンSは流石に前半が速すぎ逃げられませんでしたが、距離延長で逃げられたとしても同型の馬が多く楽な展開は望みにくいでしょう。

[4]⑧ウナギノボリ(和田竜)

現状小頭数の1勝クラスで何とか勝負になるというレベル、このメンバーでは通用可能性は見出せません。

[5]⑨ディオ(岩田望)

2走前に勝った阪神に戻るのは好材料ですが。それにしてもその2走前は中盤が緩み切った中で先団から脚を溜められてのもの、ペースが流れるここは追走の面で不安を残します。

[5]⑩ダノンスコーピオン(川田)

前走の共同通信杯は直線で伸びを欠き⑧着。川田Jは距離を敗因にしていましたが、現に朝日杯FSのパフォーマンスを考えれば現状ではマイルまでが守備範囲と言えるでしょう。但し、本来東京芝1800mというのはコース形態からマイラーでも十分にやれるはずの舞台で、そもそも3走前には超スローペースとは言え1800mの萩Sでキラーアビリティに勝っています。この馬の敗因は距離というより、使える上りに限界がありキレ勝負の東京は合わなかったという考え方もできるはずで、そうなると前哨戦とはいえこの馬がパフォーマンスを上げられるのはむしろここ、という可能性は十分に考えられます。

[6]⑪ドンフランキー(池添)

2勝はダートですが、いずれも阪神1400m戦で前半3F34.4のペースを刻み逃げ切りと非凡なスピードを見せています。芝を使ったデビューからの2戦も差はわずかで、次走で即勝ち上がった馬も多いなかなかの好メンバー。追い切りでは3週連続で好時計をマークし、1週前にはキラーアビリティに先着、バーデンヴァイラーと併入と今週重賞に出る2頭に引けを取らない動きを披露。気のいいタイプで2勝がいずれも休み明けという点から中4週の臨戦は気がかりですが、早目のラップを刻める逃げ馬と考えれば同型勢の中でも一目置くべき存在でしょう。

[6]⑫ジュンブロッサム(吉田隼)

前走のアルメリア賞は小頭数ながら直線罰ゲームかのようにあえて狭いところを割らせての②着。勝ったピースオブエイトは直線外に進路を取ってスムーズに運べた分も大きかったですが、次走で毎日杯を勝ったように決して相手に恵まれたわけではなく、ペースが流れてもレースができた点も含め収穫の多い一戦だったと言えるでしょう。2走前の共同通信杯は差し勢の末脚に屈し④着も、切れるタイプではないだけに阪神替わりは好材料。このメンバーなら台頭可能でしょう。

[7]⑬ヒルノショパン(横山典)

総じて前残りとなった前走の阪神戦で残せず⑥着。その時よりもペースが流れそうな今回は正攻法では厳しく。

[7]⑭タイセイディバイン(松若)

前走のファルコンSでは距離を大きく詰め中団からのレースでしたが、前崩れ展開も手伝って②着に食い込む善戦を見せました。恵まれた部分もあり、ルーラーシップ産駒の傾向からして1400、1800といった非根幹距離の適性が高そうではありますが、ここでいい走りを見せられれば今後の幅も広がるだけに試金石でしょう。

[7]⑮ムーンリットナイト(浜中)

前走の未勝利戦は先団2列目を追走し、最後の2Fが10.9-12.4と脚が上がる中を最後まで伸びての勝利でした。但し本質的には②③着がそれぞれ4角先頭と2番手だったことを考えれば前にいた馬が相対的に有利だったはずで、それ以前は後ろに構え過ぎて間に合わずというレースが続いていた馬。ひと雨降ってタフさが求められるようになれば話は別でしたが…

[8]⑯ストロングウィル(鮫島駿)

中距離では今一つでしたがノドの問題を抱えており、その点から距離短縮は好材料でしょう。1週前にはCWで併せ馬を消化し50.1-11.5の好時計、最終は坂路で52.3-12.0とこれも馬なりでアルディテッツァに先着する好内容でした。但しシルバステート産駒がこのコースで(0,2,2,13)。良績は2000mに集中しており、この馬に適性があれば話は別ですがここまでのファクターから考えると走れない要素の方が多いです。

[8]⑰セルバーグ(古川吉)

前走の白梅賞が前半4F49.2の超スローを逃げて③着。恵まれてこの程度ではここでは荷が重く。

[8]⑱カワキタレブリー(藤岡康)

その白梅賞を勝ったのがこの馬ですが、やはり2番手からの恵まれた内容。先行したほかの馬が次走の自己条件で着外に敗れている点からも、ここを先行して好走したことの価値は低いです。

<予想>
◎ドンフランキー
○ジュンブロッサム
▲ダノンスコーピオン
△タイセイディバイン
△ディオ


■阪神10R/天満橋S アオイツヤヒメ

前走の中京スポーツ杯では向こう正面に強い向かい風が吹く中ハナを切って⑦着。同様に壁を作れなかった4角4番手までの馬はこの馬以外も⑨⑫⑭着と大敗。4走前に4kg減で逃げ切った永島Jをここ2戦起用してきましたが、減量のない3勝クラス戦では現状ハンデでしかないのが正直なところ。脚抜きの良い馬場は牝馬にとっては望むところで、鮫島駿Jへの乗り替わりも好感です。

2022年4月10日日曜日

【4/10(日)予想】桜花賞の全頭評価とねらい目レース

■阪神11R/桜花賞

[1]①ナムラクレア(浜中)

2走前の阪神JFは内で包まれ身動きが取れず、道中外に出したくとも出せない状況で馬群を縫っての⑤着でした。但し初のマイル戦というスタミナの問題からも道中慎重にならざるを得ない側面もあり、それだけに前走1400mに短縮となったフィリーズレビューは勝たなければいけない舞台だったのですがサブライムアンセムの末脚に屈しての②着。小倉2歳Sで0.6秒差つけたアネゴハダとも0.3差に迫られ、目立った不利も無かったことを考えれば冬を超えた成長はいま一つと言えるでしょう。おっかなびっくり乗ったのでは今の阪神では届かず。

[1]②カフジテトラゴン(古川吉)

最後の1ハロンが13秒台に入るような消耗戦で好走⇔12秒台以下の速い上りでは凡走と、いかにもなダート馬。最初の600mを34秒台で走れる脚力はあるのでハナには立ちそうですが、流石にここでは上りが使えないと厳しく。

[2]③アルーリングウェイ(藤岡佑)

エルフィンSを勝ったとはいえ、②着のママコチャは掛かりっぱなし、③着のルージュラテールは最後方待機でそもそも無理ゲーというレースで、その他のメンツを考えれば勝って当たり前という一戦。2走前の万両賞ではマテンロウオリオンとタイム差なしの②着していますが、芝1400mにして前半35.2のペースを2番手で進んでいれば本来勝ててないとおかしいくらいで、ここで強調できる要素には乏しいです。

[2]④パーソナルハイ(吉田豊)

3走前には赤松賞でナミュールと0.3差の②着があり、ここ2戦は出遅れが響いての着外。行き切れれば強い反面スタートに難があるわけですが、そもそも藤岡康Jは芝の先行馬に乗せた時の期待値はとても低く、その赤松賞でしっかり逃がした吉田豊Jに手が戻るのはプラスでしょう。今回の桜花賞は展開を作る馬が居らず、人気どころに後方待機勢が多く先行勢がカフジテトラゴンやクロスマジェスティ等人気下位が予想される馬が顔をそろえており、前方へのマークは薄くなるはず。物差しとなるナミュールがこのコースで鬼門となる大外枠であることを思えば格好の目標にされた赤松賞の0.3差は逆転すら見込め、すんなりとハナを切れた時の残り目というのは考えなければなりません。

[3]⑤ピンハイ(高倉)

前走のチューリップ賞は新馬戦以来5か月ぶりの実戦ながら見せ場十分の②着。経済コースを通ったとはいえ道中は口を割り加減の追走で、直線でも右ムチであからさまに右に寄れていたので素質だけで食い込んだと言えるでしょう。ただやはり現代においてはまともに走ったうえで中4週となるとなかなか仕上げは難しく、この中間も状態維持のための軽めの調整に終始した点は気になるところ。「広義における矢作家」である田中克師は調教師としてはこれがG1初挑戦ですが、流石に前走以上を望むのは難しく。

[3]⑥ウォーターナビレラ(武豊)

前走のチューリップ賞では終始包まれ直線もゴール前50mくらいまで進路が無く、何もできずの⑤着でした。この馬の場合既に賞金はあるのでトライアルとして割り切れた分、仕上がりも100%では無く度外視できる敗戦と言えるでしょう。但し2走前の阪神JFで特に不利も無く③着だったことを考えれば使える脚は短く、ベストは内回りか1400mまでと見られます。

[4]⑦サブライムアンセム(岩田望)

前走のフィリーズレビューは道中で上手く我慢させた池添Jの好騎乗で、4角で上手く持ち出しロスなく脚を使ってナムラクレアを捕らえました。元はと言えば2走前に繰り上がって勝ったのも池添J騎乗のハギノモーリスに進路を妨害されたことが原因で、この2戦は池添Jのおかげで勝ったと言えるでしょう。

3代母にハッピートレイルズのいる一族ですが、この母系の問題点は「上級戦に弱い」ということです。


上記はハッピートレイルズから分岐する同じ母系のクラス別の戦績ですが、重賞はハッピーパスの娘であるチェッキーノのフローラSとサブライムアンセムの前走の2勝のみ。いずれも3歳春の牝馬限定戦と「実質1勝クラス」程度のメンバーレベルであり、条件戦でも3勝クラスになるとぐっと勝率が下がります。総じてこの母系の傾向として「早熟」かつ「弱メン戦でしか勝ててない」点が伺え、「格だけはG2」だった前走から「紛れもないG1」への挑戦となるわけでここの壁はとても大きいと考えます。

[4]⑧スターズオンアース(川田)

重賞で連続②着と好戦が続いていますが、いずれも外差しの利くコンディションで強襲を食らってのもの。4走前に東京で未勝利勝ちした際は、秋開催の開幕日でフラットなコンディションを外差しで勝ち切り、2走前のフェアリーS・前走のクイーンCでは①・③着馬が4角10番手以下の差し勢だったのに対し4角4番手から残した内容はいずれも高く評価できるでしょう。

最終は川田Jが美浦に駆けつけ、ウッドで53.7-11.2と抜群の伸びを披露。この手の馬は脚の使いどころ一つで勝ち負けが左右されるが故、どっしり構えて乗るタイプへの乗り替わりはプラスでしょう。パーソナルハイ同様にナミュールとの位置取り差を考えれば、ここは逆転まで可能な舞台と見ます。

[5]⑨クロスマジェスティ(武藤)

前走のアネモネSは全頭が1勝馬で「名ばかりリステッド」の1勝クラス戦。ヴィズグレイスが掛かり気味に並びかけてきた中凌いだレースぶりは評価できますが、その割に前半が流れたわけでもなく時計も特に強調できるレベルにないことを思えば、ここでの通用可能性は見出しにくいです。

[5]⑩ライラック(福永)

前走のフェアリーSでは差し決着+急坂+連続開催の中山でスタミナのあるこの馬の外差しが決まったというレース。勝った後で相沢師も「本来のこの馬のレースではない」と語っていた通り、本質的にマイルでキレを活かすというタイプではないと見ており狙いは次でしょう。

加えて2代母にブルーリッジリバーを持つこの母系は早枯れの傾向があり、重賞勝ち馬にはブレイブスマッシュ(サウジアラビアRC)とブラックホール(札幌2歳S)が居ますがいずれもその後日本ではパッとせず。これ以外の馬も早期に勝ち上がったのちは条件戦で頭打ちとなっており、成長力と言う点でも不安は残ります。

[6]⑪ラブリイユアアイズ(坂井)

使うごとに体重を減らし、デビュー時448kgあった体重は阪神JF時には428kgに。賞金もあるため前走後はここへの直行を前提に休養に充てられ、調教後馬体重は452kgとしっかり回復させてきました。

その前走の阪神JFではスタート後の先行争いで接触したとたんにカッカしてしまい、最後の最後で伸びを欠き③着。2走前の京王杯2歳Sでも馬群の中で落ち着きを欠く仕草が見て取れ、使える脚に限界があるタイプでもありデビュー2連勝時のように前目でスムーズに運んだ方が良さが出そうです。その点今回は先行争いの難易度は下がるうえ、積極的に運べる坂井Jを確保できたのも大きく、輸送をクリアすれば今回も見せ場は作れそうです。

[6]⑫ベルクレスタ(吉田隼)

唯一着外に敗れた2走前の阪神JFは外枠で壁を作れず、終始行きたがり4角でやむなく早めに進出した結果最後に末を失くしました。姉のアドマイヤリードも内で壁を作って直線割って出るタイプの差し馬でした。それだけにもう少し内目の枠であれば良かったですが、外の有力勢が控えるとポジショニングが難しく、松山Jが乗れないことそれ自体もマイナス要素です。

[7]⑬ラズベリームース(池添)

クロスマジェスティの項で述べた通りアネモネSは1勝クラスの相手で、2走前のように逃げれば話は別ですが控える競馬を示唆している今回は中途半端なレースになりそうで。

[7]⑭プレサージュリフト(戸崎)

デビューからの2戦はいずれも東京コースで外から脚を伸ばしての勝利。この母系はロワアブソリューやデアレガーロ等平坦で上りを求められるコースでは高いパフォーマンスを示すものの急坂への対応力にやや見劣る点があり、それをハービンジャーで補えるかがポイントになるでしょう。後ろから行く以上かなりの脚を使えないと追いつけず、その点では食い込める余地こそ認めますが初輸送+昨日アクシデントで阪神マイルに乗れなかった戸崎J、という未知数の部分が大きく「来てもおかしくはないが、飛んでもおかしくない」タイプでしょう。

[7]⑮アネゴハダ(幸)

4走前の阪神JFでは外目の4番手を折り合って進むも⑨着。やはり現状では1F長いでしょう。

[8]⑯サークルオブライフ(M.デムーロ)

前走のチューリップ賞は内枠でもあり鞍上曰く「意図的に出していって」の③着。外枠を引いた今回は控えるはずで、調教でも前走以上のデキを見せており力は出せるでしょう。あとは展開利との兼ね合いでどこまで前と差を詰められるか。

[8]⑰フォラブリューテ(ルメール)

2走前のアルテミスSでは人気を裏切る格好になりましたが、スタート直後にトーセンシュシュと激しくぶつかり向こう正面で制御不能に陥るシーンが。直線ではお釣りも無く伸びずの⑤着でこれ自体は情状酌量の余地のある敗戦でしたが、前走の紅梅Sがかなりの低レベル戦で下した馬たちは次走で全く勝負にならず。前傾戦を差し切ったレース内容も特に見どころは無く、外差し勢の中でも序列は下位です。

[8]⑱ナミュール(横山武)

出遅れた2走前は参考外。前走のチューリップ賞は確かに鞍上が語る通りチグハグな運びでしたがそれでも勝ててしまうあたりは力の違いと言えるでしょう。ある程度位置を取るレースも可能ですが、前に壁を作って進みたいことを考えれば先行勢が手薄な今回は中団からになるでしょう。他の末脚自慢と比較して位置取りを問わない点はプラスですが、内が活きるコンディションにあっていかにロスなく運ぶか、これで勝てたら間違いなく鞍上の腕でしょう。

<予想>
◎パーソナルハイ
○スターズオンアース
▲ナミュール
△ラブリイユアアイズ
△サークルオブライフ
△プレサージュリフト


■中山4R ポップコーントーン

デビュー戦は前半64.0というドスローを控えて⑥着、2戦目は先行勢が総崩れの流れを2番手で追走して⑪着といずれも展開に抗ってのレースでした。牝馬限定の2000m戦となると間違いなくペースは落ち着くはずで、ペース判断能力に疑問のある柴田大Jからとりあえず積極的に出せる丹内Jへの乗り替わりはまだ良い方と捉えるべきでしょう。300kg台の馬体でなかなか攻めきれなかったのが、この中間しっかり負荷をかけられているのもプラス。この先の成長も見込めますが、先物買いするならここでしょう。


■阪神10R/大阪-ハンブルグC テンカハル

連続好走ができないタイプで、1走ごとに好走と凡走を繰り返す戦歴。前走の御堂筋Sは+12kgと明らかな仕上げ途上の作りで行く気に任せてぶっ放しての④着。今回はその分折り合いもついて馬体も締まるはずで、元々ホープフルSでも0.7差⑥着とやれていた馬。形式上は格上挑戦でもこの相手なら。

2022年4月9日土曜日

【4/9(土)予想】ねらい目レース(中山8R)

■中山8R マイネルデステリョ

 叩き良化型でここ2戦は調子が上がらない中での⑫⑧着。遠征から帰っての中2週というローテーションですが、良化を見込んでの予定通りの続戦です。この中間はDWで6Fから追われて51.9-11.7と、併せて遅れを取った前走から着実に動きは良くなっています。6走前の中山2000m戦で推奨した際にも触れましたが、キレ負けするタイプで時計はかかったほうがよくかといって重馬場が得意というわけでもないため、両にらみであった福島開幕週よりも時計のかかり始めた今の中山が合っていると言えます。

 加えてここは前走で逃げた馬が5頭、4角5番手以内だった馬が3頭おり、全体の過半が先行タイプ。中山のコース形態からも上りがかかるのは確実で、ヤマメをはじめこのような展開で穴を開ける小林脩Jへの乗り替わりも好都合。大きく崩れない代わりに勝ち味に遅く、頭を狙うというよりは複勝妙味で。

2022年4月3日日曜日

【4/3(日)予想】大阪杯の全頭評価とねらい目レース(阪神6)

■阪神11R/大阪杯

[1]①スカーフェイス(岩田康)

最後の1Fでぐっと時計がかかるような消耗戦が得意で、中山や阪神といった右回りの急坂コースで実績を残せています。但しその特徴は「エンジンの掛かりの悪さ」と「絶対的な上がりを使えない」ことの掛け算からきているものであり、直線の短いコースで外を回して立ち回る必要があります。必然的に、メンバーのレベルが上がったり内が良い状態だと届かないリスクと表裏一体なわけで、よほど雨が降って他の馬が脚を取られるような展開にでもならない限りは。

[1]②レッドジェネシス(藤岡康)

京都記念以来ですが、この中間はCWでの併せ馬と坂路で追われ順調に調整できています。但し重賞で好走した2戦はかなり特殊なレースで、京都新聞杯にしろ2着に下したルペルカーリアが自己条件でも苦戦している現状を考えれば、そもそもここで勝負になるレベルには達していないと考えざるを得ません。

[2]③ヒュミドール(M.デムーロ)

前走の中山記念はパンサラッサに付き合ったいわゆる「普通の」先行勢が失速したところを捉えての⑥着で、上位勢と水をあけられた着差からも現状G2クラスでは厳しいという内容でした。ここでどうこうというレベルではまだ無さそうで。

[2]④ジャックドール(藤岡佑)

金鯱賞は自らペースを作り1.57.2という段違いの時計で逃げ切り。前哨戦という性質故、競りかけられない利点もありましたが、近年の金鯱賞で好走した先行馬と違って59.3-57.9と恵まれたわけではないラップで逃げ切った点は評価してよいでしょう。

今回のメンバーにも鈴をつけそうな馬はおらず、この馬のペースで運べる公算が高いです。但しそれは必然的に「G1らしい」ペースを形成するわけで、折り合って運びたいエフフォーリアにしてみれば好都合ともいえます。

[3]⑤アカイイト(幸)

前走の金鯱賞はジャックドールが引っ張る展開でそれなりに締まったペースになり、力のない先行馬は振り落とされる流れでしたがそれでも前2頭は捉えられずの③着。直線で外に進路を取った分もあるでしょうが、明らかに本番に向けてぎりぎりまで仕掛けを待ったレイパパレにも及ばずの内容で、この舞台での逆転となると難しいでしょう。そのレイパパレの上に何頭か強い馬が居ることを考えれば…

[3]⑥エフフォーリア(横山武)

秋の天皇賞、有馬記念と古馬一線級を撃破したここ2戦の内容は文句のつけようがなく、相手関係からすれば負けられない一戦です。昨秋は古馬勢に対し2kgのハンデをもらっており今回からそれは無くなるわけですが、そもそも今回はその座を脅かすような立場の古馬はいません。

むしろこの馬にとって最大の脅威は「強力な逃げ馬」。これまでのレースで相手してきた逃げ馬はいずれもラビット的な存在で、自ら動かずとも下がってきてくれました。今回は自分から捕まえる必要のあるジャックドールとの初対戦ですが、最後の3Fが11.1-11.1-11.4という極限のレースであった天皇賞で完勝していることを思えば克服しても不思議ではありません。100%の出来ではないにせよ、格好をつけなければコントレイル、グランアレグリアにも示しがつきません。

[4]⑦ウインマリリン(松岡)

昨年のエリザベス女王杯以来の実戦ですが、そのエリザベス女王杯は手塚師も戦前語っていた通り中間に肘腫が再発し十分に調子が整わない中でのレースでした。この中間は毎週ウッドでハードな併せ馬を消化し、2週前にはセダブリランテスと併せて50.9-11.7の好時計。状態面の不安はなく臨めそうです。

中山コースで牡馬相手に重賞を2勝している実績が示す通り、立ち回りのうまさを活かして好走するタイプ。特に4走前、昨年の日経賞では最後の3Fが11.8-11.3-11.8と急坂を思えばかなりの速い上りの中を好位から押し切っており、後傾戦になりやすいこのレースに必要な「立ち回り」と「キレ」という点ではエフフォーリアに次ぐ存在と見ています。距離適性からもヴィクトリアマイルというタイプではなくここ一本のはずで、手塚師は「エフフォーリアの前にいたい」と語っており一発の色気を持っての参戦。状況に合わせて立ち回れる松岡Jならチャンスの目はあるでしょう。

[4]⑧ポタジェ(吉田隼)

前走の金鯱賞ではスタートで後手を踏み、外々を回らされる展開もたたって0.8差の④着。元々この馬はキレイな芝を走らせたいタイプで、好走してきたレースはいずれも開催2週目までの良好なコンディションで走れた時。今回は馬場自体は硬めに作られているものの連続開催で芝の傷みは進んでおり、直前の雨予報も踏まえるとパフォーマンスを落とす懸念が大きいです。

[5]⑨アリーヴォ(武豊)

いかにもな小倉巧者ですが、勝った5戦いずれも小倉の割には上りが掛かってなく(不良馬場の柳川特別は除く)前走の小倉大賞典にしても前半5Fは61.0とまっとうなローカル重賞の流れ。上りのかかる展開をものにしてきたならこの舞台での通用可能性も見出せますが、先行有利の舞台設定、ルメールJの急遽のキャンセル含め勢いだけではまだ壁は厚いと見ます。

[5]⑩ヒシイグアス(池添)

調整の難しい馬で、2走前の秋の天皇賞は中山記念からのぶっつけ+中間の頓挫がありながら0.8差の⑤着と地力を見せました。今回もQE2の招待取りやめを受け急遽目標を切り替えた形で状態に疑問がありましたが、1週前にはダービー卿②着のフォルコメンと併せてウッドで51.6-11.2と上々の動きを見せ前走以上のデキにはあります。但しこの馬の場合関西遠征が初めてで、着地後滞在のある香港とはわけが違いますからその点のクリアが課題となります。

[6]⑪ステラリア(福永)

もまれずに運べるかがカギで、外目の枠を引けたのは好都合でしょう。但し重賞での通用実績は2走前のエリザベス女王杯②着のみで、不利を受けたとはいえ外差し展開に乗じての②着ですから、恵まれないであろうこの舞台でメンバーレベルが上がるとなると苦戦は必至でしょう。

[6]⑫ショウナンバルディ(坂井)

ジャックドールが居る今回は自分のペースでの逃げは叶わず、陣営はハナにはこだわらない姿勢を見せていますが控えて良さの出るタイプではないだけに。

[7]⑬キングオブコージ(横山典)

前走のアメリカJCCは後方から運び、マイネルファンロンが同じような位置にいた分目立ちませんが実質ポツンに近いような進出を見せ1年半ぶりの重賞制覇。あれができるのは有力馬不在のG2戦だからであって、流石に強力先行勢の揃ったG1では再現は難しいでしょう。本音を言えば距離ももう少し欲しいところです。

[7]⑭レイパパレ(川田)

アカイイトの項で述べましたが、前走の金鯱賞は本番を見据えてかギリギリまで追い出しを待っての②着。自身の末脚のほどを測る目的もそうですが、ジャックドールを品定めしていた可能性もあります。ただいずれにせよこの馬については従前から繰り返している通り、行き切ったほうが良さの出るタイプと見ています。ジャックドールはスローに落とすタイプの逃げ馬ではないため恐らくは番手に落ち着くでしょうが、ユニコーンライオンに差し返された昨年の宝塚記念を見れば控えて味のないタイプなのは明らかでここもパフォーマンスを上げる期待は持ち辛いです。

[8]⑮アフリカンゴールド(国分恭)

前走の京都記念は前半61.7のペースに落としまんまの逃げ切り。皆怖さはわかっていたはずなのですが結局それを潰せる馬が居なかったという話で、ドバイを見据えていたユーバーレーベンとその他のメンバーレベルに救われた一戦でした。番手でもレースは出来ますが、今回はさすがにエフフォーリアやレイパパレが捕まえに来るはずで楽ではないだけに。

[8]⑯マカヒキ(岩田望)

2走前のジャパンカップが2.26.5の決着時計で1.8差の⑭着。3年前の同レースでは同じ2.26.5の決着時計で0.6差の④着していたのですが、昨年とでは道中のペースが2秒近く違っており、道中が遅くても上りが求められるとついていけないという近況です。流石にG1で前半が60秒回ってレースの上りが36秒以上というのは雨ごいでもしない限り厳しく。

<予想>
◎ウインマリリン
○ジャックドール
▲エフフォーリア


■阪神6R ナムラドン

既に現級では6走前に②着があり、レインカルナティオなど勝ち上がり済のメンツにも先着を果たしています。2走前は着順こそ④着もゴール前で寄られて手綱を引いた分で実質②着相当、前走の三春駒特別は4角で押し込まれ動きたいところで動けずとここ2戦スムーズに運べていませんが、一方で伸びるべき時に伸びられなかったことも事実。6走前は連続開催の新潟で、芝1800mにして最後の3Fが37.4も掛かる消耗戦。最後の3Fが11.9→12.2→13.3とバテ合いの中を好走している実績からもダートは吉と出る可能性があります。本来叩いてからの馬ではありますが、この相手関係ならいきなりがあっても。

2022年4月2日土曜日

【4/2(土)予想】ダービー卿チャレンジトロフィーの全頭評価とねらい目レース(阪神7、コーラルS)

■中山11R/ダービー卿CT

[1]①フォルコメン(M.デムーロ)

去勢後も気性難は相変わらずで、スタートしてまず外に出してストレスを与えない位置を取ることが求められるこの馬にとって先行争いの激しい中山マイルの最内枠は鬼門でしょう。1週前にウッドでヒシイグアスと合わせて51.3-11.2と好時計をマークしてはいますが、やはり外枠を引くか立ち回りやすい大箱の方がレースはしやすくこの枠では信頼度は下がります。

[1]②インテンスライト(菊沢)

勝ち味に遅いタイプで昇級初戦は(0,0,0,3)。中山コースは走れていますが買うのはOPのペースに慣れてからでよさそうで、狙いは秋の京成杯AHあたりでしょうか。

[2]③タイムトゥヘヴン(大野)

馬混みを嫌うタイプで前走も前々走も道中馬群の中で制御不能になるシーンが。今回もこの内枠では外に出そうにもロスが大きいうえ、Bコース替わりで内の痛みがカバーされた状況では外差しの期待も薄くて。

[2]④ボンセルヴィーソ(藤懸)

このコースは(1,2,4,2)。敗れた2回はマルターズアポジーの逃げについていった先行勢が潰れた京成杯AHと、まくり勢に付き合ってしまった東風Sで敗因は明らか。先行馬での好走が目立つ藤懸Jとも手が合っており、この舞台なら押さえが必要でしょう。

[3]⑤ギルデッドミラー(石橋脩)

同舞台である2走前のターコイズSで③着しましたが、外差し有利展開で外を回して不利も無く脚を使えた分で特筆すべき内容ではなかったです。前走の京都牝馬Sは被されて馬混みの中で制御不能になり0.8差の⑥着。今回もこの枠では捌くのには苦労しそうで…

[3]⑥リフレイム(野中)

左回りが良いのは実績・ローテからも明らかですが、関東メイン場に合わせて左右が変わる美浦のトラックでの追い切りでは右回りでも問題なく走れていました。時計も週ごとに詰めており出来は文句の付けようがありません。前走も時計は目立ちませんが終始ラチに突っ込まんとする口向きの悪さを見せ直線では思いっきり外に寄れてファンサービス。それでも押し切ったあたりポテンシャルに疑いようはなく、急坂と右回りを克服さえすればアッサリまであり得るでしょう。

[4]⑦ザダル(田辺)

追い切りの動きが結果に直結するタイプですが、今回は勝った前走時を上回る時計で走れており最終はウッドで併せて50.5-11.6。昨年のエプソムC①着時に近い好時計を見せ、コンディションは文句のつけようがありません。但しどちらかと言えば直線が長くエンジンを吹かせられるコースの方が合っており、立ち回りを要求される中山でエンジン全開となるか、難しいかじ取りが求められます。

[4]⑧グラティアス(三浦)

前走の東風Sは三浦Jの運びが消極的過ぎての敗戦でした。4角でのんびり構えていて直線でモタモタしているうちに間に合わなくなってしまいましたが、それでも最速の上がりで⑤着と馬自身は力を見せました。それでも三浦Jは継続騎乗でここで結果を出さなければ流石に不味いのですが、Bコース替わりで内前にアドバンテージが生まれるこの舞台でどこまでやれるでしょうか。

[5]⑨サトノフェイバー(津村)

前走の大阪城Sは気分よくハナを切ったものの最後に失速。2番手を進んだ馬が勝ったレースで0.8差の⑥着は不甲斐ないと言わざるを得ず、古川吉Jが乗りに来ない点も含めここでの勝負度合いは低いでしょう。

[5]⑩ダーリントンホール(横山武)

前走の洛陽Sは最後エアファンディタに屈しはしたものの、先行勢で唯一上がりを33秒台でまとめてきました。前走時は栗東滞在の効果もありましたがやはりマイルは合うようです。但し、木村哲厩舎らしく休み明けの方が走れるタイプにつき、栗東から戻ってきての在厩調整でテンションを保てているかが気がかりな点。

[6]⑪カイザーミノル(横山典)

好メンバーの揃った前走の京都金杯で0.1差③着、3走前の毎日王冠もG1級を相手に0.3差⑤着と力のある所を見せています。中山では(0,0,0,2)ですが、オーシャンSは距離が短く、秋風Sは外差し決着を先行してのもので度外視できます。一発を狙いに行った天皇賞以外は堅実に走っており、位置取りを問わない馬で枠も問題なし。重賞では勝ち切れていないもののこの相手ならばアッサリがあっても。

[6]⑫トーラスジェミニ(原)

見るに堪えない惨敗が続く近況。特にここ最近はハナを切れていないこともあり、3角でスコーンと気が抜けてしまうような後退ぶり。これまでも追い切りの動きは悪くなかっただけに不思議ではあるのですが、今回の最終追いは最近の中では一番。昨年の七夕賞を勝った時のように馬なりで前の馬を交わしており、走る気が戻ってきたとも取れます。過密ローテが嫌われがちですが元々小桧山厩舎はこのくらいは普通で、勝手知ったる原Jが久々に駆るとなれば大穴にマークする価値はあるでしょう。

[7]⑬ミッキーブリランテ(内田博)

使いながら良くしていく矢作厩舎の方針通り、この馬も連戦で成績を上げてきています。ただ前走の東風Sは内目の枠を引けスローペースで積極策も奏功した恰好で、この枠と内田博Jでそれを再現できるかとなると微妙なところ。

[7]⑭インターミッション(嶋田)

逃げ馬が潰れる展開で突っ込んでくることが身上で、今回は相手も強く出来も途上。石川Jを乗せなかったあたりからもここは叩きでしょう。

[8]⑮カテドラル(戸崎)

前に壁を作ってカッカさせた方が最後に爆発する馬で、前走の東京新聞杯は壁を作れずに不完全燃焼。そういう意味ではごちゃつく中山の方が向いており、外枠が仇も上手く潜り込めればゴール前で見せ場は作れそうです。

[8]⑯ノルカソルカ(藤岡佑)

初の1800mでハナを切った前走の小倉大賞典は差し勢が台頭する中⑥着と踏ん張りました。本来もっと厳しい流れで最後の1Fが掛かる急坂コースの方が走れる馬で、舞台は好転したと言えるでしょう。この枠がカギですがポジションを取れれば十分やれていいはずです。

<予想>
◎トーラスジェミニ
○カイザーミノル
▲ボンセルヴィーソ
△カテドラル
△ザダル
△リフレイム
△ノルカソルカ


■阪神7R フェラーラ

前走の中京戦は最後に前が壁になっての⑤着。当時③着のヒヤ、⑧着のトミケンカラバティが次走で即勝ち上がっているように好メンバーが揃った一戦で、現級通用の力を示した内容でした。脚質的に展開待ちの部分はあるものの、確たる中心馬のいないここならば勝ち上がりのチャンスでしょう。


■阪神11R/コーラルS リアンヴェリテ

 全8勝のうち4勝が函館で2勝が京都・阪神と、長距離輸送のない臨戦で好走できる馬。ここ3戦は中京に府中と遠征続きだったうえ、重賞だったことを思えばようやくこの馬の本来の走りができる舞台に戻ってきたと言えるでしょう。このコースでOP2連勝中のバティスティーニにもそろそろ警戒が集まる頃で、前への意識が薄くなれば好枠から一気の押し切りも可能と見ます。