(出典:広尾サラブレッド倶楽部Webサイトより)
出資馬である広尾TCのパラスアテナ(牝5、美浦・高柳瑞厩舎)が先日18日(日)の中山10R・レインボーS(3歳上3勝クラス・芝1800m)に出走し、15頭立ての13着となりました。レース後、左前肢の腱鞘炎が判明し、一定期間の休養を余儀なくされることに加え近走のパフォーマンスも踏まえ、このレースを以て現役を引退することが決まりました。
2月の初音Sで15着に敗れて以来7か月ぶりとなる復帰戦。昨年の西宮Sに続いて2戦連続での大敗に、陣営はこの中間障害練習を取り入れるなどの工夫を施し心身のリセットを図ってきました。しかしながらレースでは頭の高いままで勝負どころでも全くギアが入らず、ここ2戦と同じような走りでただ回ってくるだけのレースになってしまいました。弟のカイザーノヴァにも見られるようにステラリードの牝系は頭の高いフォームになることが多いのですが、そもそも気持ちの面でオンオフが切り替えられておらず、調教の時計自体も出てはいたのですが実戦でまるで勝負にならないことが続いていました。
馬の腱鞘炎というのもあまり聞かないですが、けがの程度としては重いものではなく程なくすれば復帰自体は難しくないとのことではありました。しかしながらこのような戦況が続き、なおかつ来春には6歳春を迎える年齢面も考慮し、このタイミングでの決断となりました。個人的にも、ここまで手を尽くして変わらないのであれば無事に次のステージに進めることが大事だと考えておりましたので、この判断を尊重したいと思っています。
レインボーS当日は現地におり、雨の降りしきる中結果的に最後となったパラスアテナの雄姿を見届けることができました。実は中山に行ったのは彼女のデビュー戦の時以来。パドックの様子もいつも通りで、なぜこの見た目で走れないのかと不思議でなりませんでしたが、性別的なものもきっとあったことでしょう。これまでの頑張りに感謝を申し上げるとともに、良いお母さんになることを祈っています。
パラスアテナは私が初めて一口馬主として出資を決めた際、広尾TCの4口無料特典で出資したうちの1頭でした。他3口はマミリアス、キャットウォーク、キセキノセンシに使ったためこの馬が一番早いデビューとなり、正真正銘初めての出資馬でした。結果的に初勝利、初重賞挑戦、初G1挑戦と想像をはるかに超える活躍を見せてくれ、勝ち星こそ2勝にとどまりましたが一戦一戦がとにかく楽しみで仕方ありませんでした。
しかしながら、母ステラリードは函館2歳Sの覇者、弟のキングエルメスも京王杯2歳Sを制したという血統背景や、結局デビュー時から馬体重が大きく変動することなく5歳秋を迎えた点を踏まえれば、競走馬としてのピークは早い段階で迎えていたのかもしれません。その一方で、3歳1月のデビューでクラシック登録すらなかったこの馬が世代G1に出られるまでに出世できたのはその高い完成度故のことでしょうし、一戦一戦大事に使ってきた高柳瑞厩舎の努力の結晶であり、カーネーションCや紫苑S等限られたチャンスを確実にものにしてきた武豊Jはじめこの馬に携わった人々の丁寧な仕事ぶりが伺えました。
何より、大敗が続き場合によっては今春で引退となっててもおかしくない状況で、ここまで現役を続けてこられたのは厩舎サイドが可能性を信じ再起のチャンスを与えてくれたからにほかなりません。こうして無事に繁殖として上がれることも含め、師を始め厩舎スタッフの皆さんに心から御礼申し上げます。
私事ですが、最初に一口馬主を始めたときの目標は
「G1で掲示板に入る出資馬を持つ」
ことでありました。
まさか1頭目でそれをなし得るとは思っておらず、今後の出資戦略をどうしようかと悩んでおりました。パラスアテナの引退により、中央現役の出資馬は3頭(アリシアン、セントアイヴス、メグルキセキ)となりこのまま縮小の方向もありかと考えていましたが、家内の「彼女の子供が待ち遠しい」という言葉に、これからも一口馬主ライフをひっそり続けていけたらと思っています。それを叶えてくれたのも、ひとえにパラスアテナのここまでの頑張りが二世への夢を紡いでくれたおかげだと感じる次第です。
たくさんの感動と喜びをありがとう。お疲れ様でした。
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