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当ブログは、広尾サラブレッド倶楽部株式会社様のご厚意により、同倶楽部の所有する競走馬の写真及びWebサイト記載情報の転載許可を頂いております。

2023年4月30日日曜日

【4/30(日)予想】天皇賞の全頭評価とねらい目レース(邁進特別)

■京都11R/天皇賞(春)

[1]①ジャスティンパレス(ルメール)

ディープインパクト産駒ながら最後の3Fだけのキレ勝負は苦手で、実際昨年の牡馬クラシックでも皐月賞・ダービーでは出番が全くないながらも最後の菊花賞で見せ場を作りました。後半5F~6Fにかけてのロングスパートが求められる阪神に対し、京都は最後の直線でギアチェンジできる中距離適性が求められる舞台。2走前の有馬記念のように内に押し込められた時の機動力にも課題があるタイプなだけに、前走の内容を鵜呑みにしてここでも、とは推しにくいのが正直なところです。

[1]②ディープモンスター(浜中)

3歳時のひ弱さが抜け、古馬になってからは最終追いをコースで出来るようになり成績も安定。最後の3Fに脚を使うタイプのレースが向いており、菊花賞⑤着の実績からもこの舞台は合うはずです。但し今回は久しぶりに最終追いが坂路。中4週の前走でさえCWで最終追いをしていたことを考えれば、連戦につきコンディションは必ずしも万全とは言えない可能性が高そうです。

[2]③タイトルホルダー(横山和)

タフな場面でバテずに脚を使える馬で、阪神開催の菊花賞、昨年のこのレースと後半5Fを59~60秒で逃げ切ったように長めにアクセルを踏めるレースに持ち込めれば強いです。一方で京都は3コーナーに上り坂があり基本的には最後の3Fの瞬発力が勝負を分けます。中盤で溜めすぎると逆にキレで勝る馬たちの台頭を許す余地が生まれますが、この馬自身一昨年の日経賞で最後の3Fを34.7でまとめており、中距離戦でも対応しうるスピードは持っています。間隔が詰まっても問題なく走れるタイプで天気も不問。少なくともこの馬自身に減点する要素は見当たらず、あとは同型との兼ね合いでしょう。

[2]④メロディーレーン(幸)

平坦の長距離はこの馬の最も得意とするところで、3年前のこのレース⑪着は前残り展開で差し込めなかった分もありました。このメンバーで勝ち負けは厳しいですが、先行争いが厳しくなれば掲示板はあっても。

[3]⑤アイアンバローズ(坂井)

前走の阪神大賞典のように脚があると思って控えてしまうと案外な結果に。溜めて切れさせるというよりは前目につけて最後まで叩き合うレースが向いており、芝レースで4角4番手以内なら(2,3,1,2)で昨年のこのレース含めすべて掲示板を確保している隠れた安定勢力です。タイトルホルダーが居る以上これに鈴をつけたい馬は居ないはずでポジションは取りやすく、ノーマークで好位から運べれば残り目は十分です。

[3]⑥アスクビクターモア(横山武)

不良馬場で進んでいかなかった前走は参考外。スピードで押し切った2走前の菊花賞が秀逸で、脚質的にもタイトルホルダーとはがっぷり四つ。ただこちらの場合は上級戦で34秒台の脚を使ったことが無く、最後に加速できるギアは持ち合わせてない分京都コースへの対応が鍵になりそうです。平坦コースの経験こそないものの東京で(0,0,3,0)と取りこぼしが目立ち、ダービー③着も先行馬に有利な舞台でのもの。この馬自身が止まるというわけではないですが、末脚比べになった時にどこまでこらえられるか…

[4]⑦ディープボンド(和田竜)

宝塚記念、有馬記念でも僅差の好走があるようにこの馬自身は元来中距離適性が高く、一方で長く脚を使える点から長距離戦でもそれなりの成績を残せていると見ています。ただ京都向きのキレを有しているタイプではなく、京都開催の京都新聞杯(2020年)を勝っていますが当時は上りが36.2も掛かる消耗戦で、この馬が得意とする展開になったことが大きかったです。3連覇の掛かっていた阪神大賞典で⑤着に敗れるなどここに来て往時の末脚が見られなくなっており、過去2年より上のパフォーマンスを求めるのは難しいでしょう。

[4]⑧トーセンカンビーナ(岩田望)

3年前、京都開催の天皇賞では0.7差⑤着と健闘を見せましたがこれを境に成績は右肩下がり。ようやく京都に戻ってきましたが最近は走りが一本調子で3000m超のレースでも見せ場を作れなくなっており、ここは参加賞でしょう。

[5]⑨ヒュミドール(武豊)

前走のダイヤモンドSは先行勢が壊滅した流れの中で効率よく内を回っての②着で、この馬の立ち回りの巧さが奏功した格好でした。元来は中距離馬で3勝クラス勝ちも東京の芝1800mコースで挙げたもの。ひと脚を使えるタイプではあるのですが今回は輸送を考慮してか最終追いが坂路で単走とかなりソフト。ここ3年ほ最終は必ずコースに入れていたことを考えるとこの大一番で手控えてしまったのは割り引かざるを得ないでしょう。

[5]⑩サンレイポケット(M.デムーロ)

前走の阪神大賞典は上がりの掛かる展開で浮上を期待しましたが、スローの瞬発力勝負になってしまい⑥着。舞台が京都に替わり上がりの掛かるレースにはまずならなさそうなため、ここも前走以上は望めないでしょう。

[6]⑪ディアスティマ(北村友)

前走の日経賞では2番手から運び最後までしぶとく脚を使っての③着でしたが、レース上り36.8(=逃げ切ったタイトルホルダーの使った上がり)に対し38.0も上りを要していた点を考えれば渋った馬場は得意ではなく、やはりディープインパクト産駒らしく良馬場でキレが求められる展開の方が合っています。ただこの馬の場合間隔を開けた方が走れており、長欠明けだった昨年の京都大賞典で⑤着した一方でそこから中7週のステイヤーズSでは逃げて⑨着に沈むなど、叩き2戦目でパフォーマンスを下げる傾向にあります。この中間も坂路で軽めの調整に終始しており、上がり目の薄い中でどこまで健闘できるかでしょう。

[6]⑫ブレークアップ(松山)

昨秋に東京で2連勝しましたが、六社Sは稍重馬場で他の馬のキレ味が削がれたところを押し切ったもので、アルゼンチン共和国杯にしてもアクシデントをうまく避けた分スムーズに走れたのが大きかったです。それ以前の3勝は何れも中山で挙げたもので、前走の阪神大賞典で③着に食い込んだように本質的には急坂コースを得意とするタイプ。雨が残れば浮上の目はあるでしょうが、改装後の京都は相当水はけがよいといううわさもあり、馬場が回復すると不向きのコンディションになってしまうでしょう。

[7]⑬ボルドグフーシュ(川田)

スタートで突っ張る癖がありこれは未だに解消していないのですが、前走の阪神大賞典では内枠の利も活かしポジションを落とさずに運べ②着。これまでの追い込み一辺倒のスタイルを崩しての好走となりましたが、一方で8走ぶりに上がり最速の時計を使えなかったように出していったことの弊害も見受けられ、恐らく川田Jは本番を見据え脚を計ったレースをしたものと見られます。父スクリーンヒーローという血統背景からはイメージしにくいですが、昨年のゆきやなぎ賞では33.3の末脚を繰り出して差し切るなど元々最後の3Fで切れる脚を使えるタイプ。これが中京や阪神等3角から下り坂が始まるコースだと置かれ気味になってしまうのですが、京都のコース形状は4角から進出したいこの馬の脚の使い方にピッタリと言えます。前走の収穫を活かして本番で末脚勝負に徹するようなら能力全開が期待でき、あとはどれだけ前がやりあってくれるかで着が上下するでしょう。

[7]⑭マテンロウレオ(横山典)

前走の大阪杯では好位のインを取れ理想的な展開でしたが、直線向いてからが案外で④着。鞍上は「負けただけ。馬は頑張っている」という趣旨のコメントをしていましたが私には「ベストな競馬をしたが実力が足りなかった」という意図に見て取れます。初の58kgという要素もあったかと思いますが、あそこまで完璧に立ち回って③着に入れないのでは適性以前に現状の力量の問題でしょう。外枠を引いたうえ距離も伸びるここでは。

[8]⑮エンドロール(永野)

昨春に連勝したのは小頭数で相手関係に恵まれた分で、未勝利脱出に11戦、2勝クラス勝ちも8戦を要したように基本的にはクラス慣れの時間を必要とするタイプです。遠征競馬の良績も乏しく、血統背景からも距離が伸びるのはどうか…

[8]⑯シルヴァーソニック(レーン)

長距離戦でも詰めの甘さがネックとなり勝ち切れない現状ですが、その分位置を取れれば安定して走れています。ただ前走のレッドシーターフHは好枠を利していい位置が取れた分で、今回レーンJが継続騎乗となるとこの枠から出していくと掛かる懸念があります。京都コース自体は合いそうですが、うまく運んでどこまで。

[8]⑰アフリカンゴールド(国分恭)

前走の阪神大賞典は最初の1000mが64.9と緩みに緩んでようやくハナを奪えたという競馬。タイトルホルダーが居る以上そこまで緩くはならないはずで、陣営は向こう正面からのロングスパートに賭ける作戦を示唆していますが、坂のある阪神と違って最後まで11秒台のラップが必要な京都でその作戦がどこまで通用するか…

<予想>
◎ボルドグフーシュ
○タイトルホルダー
▲アイアンバローズ
△ジャスティンパレス
△アスクビクターモア
△ブレークアップ


■新潟10R/邁進特別 シゲルセンム

過去2勝はダートと上がりの掛かる重馬場でのもの。ここ2戦は上がりの速い展開になったうえ道中で被されてしまい気性面の脆さを出したのも大きかったです。今回直千コースの大外枠で同様の懸念はありますが、枠の並び的にこの馬に被せてまでハナを奪いそうな馬は居なさそうです。3走前に10か月半ぶりのレースで勝ったように長欠明けは問題なく、この馬向きの流れになる直線競馬はチャンス。人気必至でも頭で狙います。

2023年4月29日土曜日

【4/29(土・祝)予想お休みします】

東京・京都共に紛れの少ない順当決着が見込まれるうえ、新潟も開幕初日で傾向を見極める必要があるため本日のレースは見送らせていただきます。3年ぶりの京都開催となる明日の天皇賞の予想を今から始めます…

2023年4月23日日曜日

【4/23(日)予想】フローラS・マイラーズCの注目馬

■東京11R/サンケイスポーツ賞フローラステークス バロッサヴァレー

全兄にJC等を制したスワーヴリチャードが居る血統ですが、同馬以降の兄弟に共通するのが「左回り巧者」というポイントです。言わずもがなスワーヴリチャードは東京コースでパフォーマンスを上げるタイプでしたし、姉のルナステラは左回り(2,3,1,0)で生涯連対率100%、その下のルナシオンも全3勝が東京コースと左回りにめっぽう強い血統です。バロッサヴァレー自身も中京の新馬戦を勝った後は牡馬相手にエリカ賞⑤着、あすなろ賞④着と右回りで小差のレースを続けており、特にその前走あすなろ賞は61.1-59.7という小倉らしいラップの中で向こう正面からまくり気味に進出、後半5Fが12.1-12.0-11.9-11.9-11.8と加速し続ける流れの中で自ら動いて一番きついレースをしたと言ってよく、控える競馬をしたアウフヘーベンに差されたのはやむを得ないところ。むしろ0.3差に踏みとどまったのは長く脚を使える適性を示した点で収穫の大きいレースでした。左回り+直線の長い東京コースに替わるのは間違いなくプラスで、差しの利く芝コンディションも好材料。中団外目をスムーズに回って脚を使えれば権利取り圏内は十分期待できます。


■京都11R/読売マイラーズC マテンロウオリオン

京都の外回りコースはきつい勾配で知られていますが、基本的なレイアウト自体はリニューアル前と変わりません。今回唯一コースの作りで変更があったのはこの3~4コーナーの内ラチの角度が緩やかになった点。坂を下りながらコーナーを曲がるのは阪神なども同じですが京都のコーナーは径が小さく、これまでは角度のキツイコーナーで馬群がばらけることで外に振られたり内ががら空きになったりしていましたが、緩やかになったことでより加速を付けながらコーナーを回りやすくなったと言えるでしょう。東京や阪神と言った大箱では直線向いてヨーイドン、のレースで間に合いますが、加速を付けながらコーナーを回り直線が平坦な京都ではそれなりの位置にいないと差しも厳しくなります。直線が長いのでそういった大箱の実績がイコールになりそうに見えますが、実は適性的には中山のようなタイトにコーナーを回るスキルが求められ、かつそれなりに長く脚を使えるタイプだとなお良いと言ったおころでしょう。これに合致するのがマテンロウオリオンであるわけです。

前走のダービー卿CTでは4角13番手というかなり厳しい位置から脚を使い④着まで追い上げましたが、加速をつけて直線入り口に入ったところで前が塞がり伸びない内に入れざるを得なかった経緯がありました。同じコースのニュージーランドトロフィーでは②着の実績もあり中山向きの機動力を持つ一方で、NHKマイルCでダノンスコーピオンとタイム差なしの②着と長くいい脚も使えるタイプ。この両者の特性が発揮できる京都マイルは能力全開の舞台のはずで、スムーズなら通用してもおかしくありません。

2023年4月22日土曜日

【4/22(土)予想】福島牝馬Sの注目馬とねらい目レース(京都6R)

■福島11R/福島牝馬S ニシノラブウインク

道悪の前走や距離2000m超の不適条件を使われた3走前、5走前を除けば堅実に走れており、2走前のカウントダウンSにしても⑫着とはいえインダストリアと0.6差、6走前のフラワーCと4走前の紫苑Sではスタニングローズにそれぞれ0.1差、0.3差と好走。その紫苑Sで道中挟まれてストレスがかかったことがきっかけでここ最近は集中しきれない走りが続いていましたが、今回よりチークピーシーズを着用し気性面の改善を図ることに。外目の枠を引け揉まれる可能性は低いのと、コーナー4つの1800mは②着したフラワーC以来で好位で息を入れられるレイアウトは向いています。意外にもテン乗りの勝浦Jは芝コースでは福島が最も成績が良く、3歳時の相手関係を考えればここでも引けは取らないはずで。


■京都6R コスモミローディア

前走の金山特別は前半5F63.6という超スローペースにしびれを切らしてか向こう正面からまくり気味に進出しましたが、後半加速する一番キツイところで脚を使ってしまい直線で失速。このレースは結果としてまくりの直撃を受けなかった4角3番手・2番手の馬が①②着で、この馬より後ろにいた最後方待機の馬が③着と言う決着となり、まくった側もまくられた側も厳しいレースでした。現級で4年勝てていないものの4走前の函館で④着、5走前の札幌で②着と平坦コースに良績が集中しており京都替わりはプラス。徹底先行タイプもおらず好位を取れさえすれば一発も。

2023年4月16日日曜日

【4/16(日)予想】皐月賞の全頭評価・アンタレスS:・福島民報杯の注目馬

■中山11R/皐月賞

[1]①ソールオリエンス(横山武)

前走の京成杯は4角で外に膨れながらもしっかり脚を使い1頭違う決め手を見せ、中山向きのキレを持ち合わせているのは強みです。ただ気になるのがデビュー2連勝が何れも9頭立てのレースで多頭数戦の経験が無いということ。2歳重賞体系の整備が進んだ弊害とも言え同例は多くはないのですが、過去10年で見ると2014年3番人気に支持されたトーセンスターダムもデビュー3連勝が何れも9頭立て以下というキャリアで⑪着。揉まれ強さ云々は個体の事情を重視すべきですが、一般論で考えれば初めてのフルゲートが最内枠というのは相当な試練のはず。この馬自身新馬戦ではゲートで隣の馬に接触しエキサイトしながら走っていた経緯もあり、半兄のヴァンドギャルドも周りを気にする性格であったことを考えればここで能力全開というのは難しいかもしれません。

[1]②ワンダイレクト(藤岡佑)

デビュー3戦ずっと2000mを使われ、2戦目の若駒Sではモロにかかるところを見せながらの②着、前走の弥生賞では初の右回り+遠征も③着にまとめており収穫のある内容でした。ただその2戦目が前に壁が無いタイミングで掛かったもので、内枠を引けたので好位のインでじっとしていられれば良いのですが今回は藤岡佑Jに乗り替わり。最近はビアンフェやセリフォス等極端なレースで嵌る馬でしか結果を出せておらず、ジャックドールを控えさせて負けるなどストレスの溜まるレースが苦手。厩舎ゆかりの血統でもあり自身も祖母ワンカラット、母ワントゥワンの背中を知るだけにその起用自体は理解できますが、求められる脚質との相性があまり良いとはいえずで。

[2]③グリューネグリーン(石川)

最後の3Fの決め手勝負が苦手で、イーブンないしは前傾のタフな流れの方が結果を出せるタイプ。初勝利を挙げた東京の未勝利戦はエエヤンが道中11秒台のラップで暴走気味に逃げる展開を2番手で追いかける難しい展開を早目の追い出しから前を捉えたもの。ここ2戦はスロー気味に流れたうえ、ホープフルSは1角で不利、前走の弥生賞は前に行かせず脚を計るかのようなレースをしましたが案の定見せ場なく敗れておりやはりポジションを取りに行くレースをしてこその馬でしょう。通常の年なら向こう正面でちゃんと息が入りますが、今年は溜め逃げの出来ないグラニットが居るため未勝利戦当時のような前傾戦になる可能性もあり、前目のレースを示唆していることからも2番手集団の先頭でグラニットを早目に捉えるような仕掛けが出来れば最も恵まれうる存在になります。

[2]④ショウナンバシット(M.デムーロ)

4走前の未勝利戦以外はスローの前付けで好走しているまででまともなレースをしているとは言い難いのですが、裏を返せば普通なら逃げ切りを許してしまいそうな展開でもしっかり前を捉えています。今回はデムーロJがテン乗りになりますが、1週前追い切りでコンタクトを取りフリームファクシとの併せ馬で51.9-11.4の好時計をマーク。時計を見るとかなり動かしているようにも見えますが鞍上はほぼ何もせず回ってきただけで、これはデムーロJが追い切りで好気配を感じている時のサインです(調子が悪いと動かすが調子が良ければ何もしない)。長らく主戦だったラウダシオンでもただ回ってくるだけの調教時は好結果を出していましたし、逆にモズアスコットの高松宮記念では指示に反し強めに追ってしまい(⑬着)矢作師と絶縁に。デビューから手綱を取ってきたグリューネグリーンではなくこちらに乗るという点からも期待の高さがうかがえ、騎手として最多の皐月賞4勝を誇る鞍上のチョイスは無視できません。

[3]⑤フリームファクシ(レーン)

ルーラーシップ産駒の勝気なところが早くから現れているタイプで、前走のきさらぎ賞も外から進路をカットされかけてエキサイトするなど気難しい面を見せながら辛勝。教育的観点から逃げを好まない川田Jがデビューの新馬戦で逃げを選んだという事実からもその難しさが見え隠れします。好位で控える競馬を覚えさせながらの3連勝は立派ですが、その川田Jではなく折り合えないタイプのレーンJが跨るとなるとこれまでの教育が水泡に帰す可能性すらあり、危険な組み合わせと言わざるを得ません。

[3]⑥ウインオーディン(三浦)

前走の共同通信杯では出遅れて最後方からのレースとなりましたが上り最速となる33.6の脚を繰り出し⑤着まで追い上げてきました。メンバーの厚さを考えれば十分ではありますが、新潟2歳Sでの走りからも現状ではワンターンで決め手を活かす方が向いており、コーナー4つ+距離延長はプラスではなく。

[4]⑦ファントムシーフ(ルメール)

2走前のホープフルSでは内枠から窮屈なところに入ってしまい、ポジションを取れなかった分の④着。前付けして最後の3Fでギアチェンジできるレースぶりは大舞台向きで、ルメールJがその素質を評価するのも頷けます。普通なら確かにこの馬が中心になるのですが、グラニットがペースを崩しそうな展開が予想される今回に限っては大箱向きでなし崩しに脚を使えるタイプでないがゆえ難しいレースを迫られそうです。

[4]⑧トップナイフ(横山典)

3走前の京都2歳Sでは内から差し込んできての②着、ホープフルSではハナに立ちタイム差なしの②着、前走の弥生賞では輸送で-10kgと体を減らすも好位のインでじっと我慢しての②着と異なる戦法で結果を残しています。横山典Jが騎乗した最終追いがだいぶ軽かったことが話題ですが、これは京都2歳Sでも同様。テンションに配慮したソフト調教と考えれば今回は控えるないしはポツンまであり得ます。キレるタイプではないだけに嵌るかと言われるとどうかも、馬場の良い外目を回るという考えならばそこにチャンスを見出すのはありでしょう。両G1馬が居ないここでは実績上位で注意は必要です。

[5]⑨ホウオウビスケッツ(横山和)

スピードに乗ると強く、フリージア賞の1.59.3という勝ちタイムは逃げ馬のものとしては立派です。一方で気性的な危うさも持ち合わせており、1週前追いに騎乗した横山和Jも「自分との戦いになる」とコメント。中間は単走で5F程度にとどめている点からも気を遣いながらの調整が伺えます。馬なり調教ながらウッドチップの蹴り上げが強く、キレイな芝でグリップを効かせて走るタイプからも馬場悪化はマイナスで、前走のスプリングSも馬場の悪い内を通って手ごたえが今ひとつだった様子からも今回は力試しでしょう。

[5]⑩ラスハンメル(石橋脩)

主戦の藤岡康JはアンタレスSでケイアイパープルに騎乗。現状前半5Fが63秒以上かかるレースでないと好走できておらず、前走も本来なら逃げ切っていなきゃいけないスローペース。この舞台で求められる適性は見出せません。

[6]⑪シャザーン(岩田望)

前走のすみれSでは前半が64.4という超スローペースを差し切り勝ち。阪神内回りでのパフォーマンスですから持てる能力は高いと見ますが、逆にそうしたドスローのレースしか経験していないのが難点。現時点ではこの切れ味がいつも使えるのか、ドスローで溜まりに溜まってたまたまこれだけの末脚が繰り出せたのかは判然としないだけに…

[6]⑫ダノンタッチダウン(川田)

朝日杯FSから直行というローテですが、ここまで3戦は何れもマイル。クラシックを意識するなら半兄ダノンザキッドのようにホープフルSを使ってくるはずで、今年が最後のクラシック挑戦となる安田隆師の管理馬で牡馬クラシックに出せそうなのがこの馬しかいないという事情もあっての参戦でしょう。川田Jがフリームファクシなどを断りこちらに乗るのも恩義を優先する同騎手らしい選択で、これがまだスローペース見込みならギリギリ我慢させて末脚に賭ける手はあるでしょうが、そうはならなさそうなメンバー構成。ここを叩いてNHKマイルCへ、というのが本音でしょうか。

[7]⑬グラニット(嶋田)

ミルファームはG1になると突然よそ行きの騎手起用をしていましたが、阪神JFのキタウイングも朝日杯FSのこの馬も良いところが出せずに敗退。かといって手を戻せば大舞台での経験の浅さを露呈するわけで、桜花賞のキタウイングは明らかに杉原Jの進路選択ミスで大きくロスをしてしまいました。嶋田JもG1は一昨年の皐月賞(アサマノイタズラ⑯着)以来二度目ですが、この馬に関しては変に折り合わせたり溜めても良いことが無いのはこれまでのレースで証明済ですからもう行くしかありません。前走のスプリングSでも重馬場ながらに前半59.4のラップで逃げあわや優先圏内という0.4差④着に健闘。距離が長いことは承知の上で使ってくるのですから、結果はともかく小細工なしに逃げるだけでしょう。

[7]⑭タスティエーラ(松山)

弥生賞は危なげないレースぶりでしたが、本来なら共同通信杯を勝って余裕をもってここに臨みたかったはずでしょう。その共同通信杯は向こう正面半ばでタッチウッドがまくり気味にハナに立つも、その後の4角までの区間で12.4-12.8-12.4としっかり溜めを作れた分前目につけた馬の独壇場になってしまいました。ある意味東京コースの形態ゆえの不利な展開でしたが、父サトノクラウンは宝塚記念勝ちの他不良馬場の天皇賞(秋)でキタサンブラックの②着するなどトリッキーかつタフなレースで結果を残してきた馬。この馬も東京より中山でパフォーマンスを上げる期待が持てます。この中間はさらに一段攻めを強化し、ウッドで自己ベストをマークするなど調子も上向き。骨っぽいメンバーが揃っていた弥生賞組の中では最も外の枠を引け、壁を作れずとも走れるのは前走で経験済。好位の外目を回れればチャンスは十分です。

[7]⑮ベラジオオペラ(田辺)

デビューからの2戦は上がり勝負でしたが、前走のスプリングSでは重馬場の前傾戦を差し切っての勝利。内枠を引きながらも馬場の良い外を通らせた鞍上の好騎乗が光りましたが、500kg前後の好馬体ながらに器用さも持ち合わせているタイプです。一方でエアデジャヴーの牝系は上級戦で間隔を詰めて連続好走できないタイプが多く、ダート転向後○×ホースと化したエアスピネルや昨年スプリングS③着→皐月賞⑰着のサトノヘリオスなどがその典型例。この馬自身も中間ははじめての在厩調整となり、開業6年目でこの馬の前走がようやく初めての重賞タイトルという上村厩舎の力が試される舞台でしょう。

[8]⑯タッチウッド(武豊)

前走の共同通信杯はスタートのタイミングが合わず後方から運ぶも、ファントムシーフの項でも述べた通りまくり気味に先頭に立ち息を入れる完璧なリカバリーを見せ②着。ただ結局のところ新馬戦も含めスローでハナに立つ競馬しか経験していないうえ、半兄ノースブリッジ同様にゲート難が付きまとうのは厄介なところ。番手で折り合えるかは未知の世界な上、530kg近い馬格と血統背景からは大箱向きでしょう。

[8]⑰メタルスピード(津村)

前走のスプリングSでは距離延長に対応し坂上でグラニットを交わしての③着。ただ上位2頭とは力の差を感じる内容で、今回はグラニットを交わす程度では太刀打ちできない相手が揃っており現状ではマイルの方が良さそうです。

[8]⑱マイネルラウレア(戸崎)

2戦ともスローな流れを末脚だけで2連勝。逃げ先行天国ともいえる中京芝2000mコースで前半63.4という流れを最後方から差し切ったのは相当強いです。立ち回りの負担が少ない大外枠も魅力でこれが順調であれば重く扱いたいところだったのですが、中間頓挫があり弥生賞・毎日杯をいずれも回避。今回ここに至るまでの調教は坂路オンリーで、これまで2戦のようにコースで追えていないのもマイナス。これが個人の馬であれば青葉賞などに向かう選択肢もあったでしょうが、クラブ馬で戸崎Jも押さえており「使えるのに使わない」とは行きません。無理をせず回ってきたうえでダービーの権利を取れれば御の字でしょう。

<予想>
◎タスティエーラ
○ショウナンバシット
▲グリューネグリーン
△ベラジオオペラ
△トップナイフ
△ファントムシーフ
△シャザーン
△ソールオリエンス


■阪神11R/アンタレスS オセアダイナスティ

被されると脆く逃げもしくは外に馬を置かずに先行できる時が好走パターンで、2桁枠番を引けた際は①①⑤着と崩れていません。ここ2戦は追い込み決着を終始突かれたりスタートが決まらなかったりとまともに走れていませんが、前走からブリンカーを着用し気性面の課題を克服しつつあり枠順好転のここは一発あっても。


■福島11R/福島民報杯 バイオスパーク

当地では3年前に福島記念を勝利。3番枠から好位のインを上手く立ち回っての勝利でしたが、元々内目を引いたときに好走歴が集中するタイプでした。最近はなかなか内枠を引けておらず、5走前のメイSは向こう正面でまくりが発生する特殊な流れで位置取りを落とし参考外のレース。4番枠ですがプレシャスブルーは後ろから、テーオーシリウスは大逃げタイプにつきスタートを決められれば好位のインにつけるのはたやすく、前走の金鯱賞も0.8差⑨着なら衰えはなしと見てよいでしょう。2年半ぶりに56kgを背負う斤量面でも恵まれ一発を。

2023年4月15日土曜日

【4/15(土)予想】アーリントンCの注目馬とねらい目レース(中山8R)

■阪神11R/アーリントンC セッション

先週のニュージーランドトロフィーに桜花賞除外組が殺到したことに触れましたが、その余波を受けたのが抽選となった1勝馬たち。同レースを除外になりここも除外になった馬の中には、出れば人気の一角であっただろうダノンゴーイチ等もおります。その悲劇を回避し1週スライドでの出走が叶ったのがマルチャンとセッションですが、本来先週出ておきたかった関東馬のマルチャンに対し遠征が無くなるセッションはむしろ僥倖。前走の弥生賞では何とか宥めながら2番手を追走するも直線では手ごたえがなくなり⑦着でしたが、1800mで勝利し2000mでは2戦していずれも③着という戦績からも距離短縮はプラスと見てよいでしょう。先週出来上がっていたこともありこの中間はキャリアで初めて坂路で最終追いでしたが、手加減なしの動きで51.6-11.9の自己ベストをマーク。この動きからも短いところへの適性は高そうで、馬場状態を問わないシルバーステート産駒で天候も問題なし。皐月賞の上位人気を形成する弥生賞組として、恥ずかしいレースにはならないでしょう。


■中山8R ルルローズ

決め手に欠けるところがあり上りを求められる展開では厳しいですが、母方からのパワーを有し時計の掛かる展開で浮上するタイプです。今回は中央初勝利となった8走前以来の渋化馬場が期待でき、被されずに運べそうな外目の枠を引けたのも好材料。内枠の行きたい馬を行かせ好位外を運べれば、馬場の良いところを通って浮上可能でしょう。

2023年4月9日日曜日

【4/9(日)予想】桜花賞の全頭評価とねらい目レース(忘れな草賞)

■阪神11R/桜花賞

[1]①ブトンドール(池添)

距離を伸ばしてからもうワンパンチ足りない競馬が続いており、特にここ3戦は上がりタイムにも現れているように溜めてもキレない現状。ビッグアーサー産駒の距離適性の限界を露呈している格好に加え、前走のフィリーズレビューで「ここの結果次第で今後の路線が決まる」と言っていたにも拘らず主戦の鮫島駿Jが乗れないこともわかって参戦するあたり、人間の都合で出走させられているとしか思えず。

[1]②ライトクオンタム(武豊)

前走のシンザン記念はロスの大きい競馬で差し切りましたが、小頭数の前傾戦というかなり特殊な流れであったうえ1勝クラスもまともに勝てないメンバーの集まりで正直評価には値しません。デビュー戦も東京で11頭立てと比較的ゆとりのある構成でスロー逃げ。いきなりフルゲートの内枠に入れられてしまってはこの鞍上を以てしても捌きの難易度は高いです。

[2]③リバティアイランド(川田)

前走の阪神JFではスプリント戦に近いハイラップで先行勢が止まる流れとなったことで余計にインパクトが強い勝ち方にはなりましたが、②③着がインを突いて伸びてきたことを考えれば外から王道のレースをしたこの馬の力が段違いだったと見るべきでしょう。唯一の懸念はこの枠。2走前のアルテミスSのように蓋をされたときに取りこぼす可能性は無いとはいえず、川田Jはこの馬に関して「いかに平常心で臨めるか」をキーワードに挙げています。アルテミスSも阪神JFも、常に安全策を取ってちゃんと外に出して脚を使わせてきた点からも、馬群に突っ込ませるにはまだ気性面で心もとないという評価の裏返しとも見られます。そうなると、内をめがけて各馬が殺到する今のコンディションではパニックを避けようと折角の好枠でも引いて外を回すなどの対応が求められ、馬の気分を優先して進めると先行勢の台頭を許す可能性も捨てきれません。

[2]④ドゥアイズ(吉田隼)

札幌2歳Sまでの内容から先行出来てこその馬と見ていましたが、2走前の阪神JFではスタート一息も後方インで我慢し直線で進路を探しながら伸びて③着確保。これ自体はハイペースの前崩れが幸いした格好でしたが、前走のクイーンCでは逃げ馬、2番手がそれぞれ⑬⑭着に沈む流れを3番手から追いかけ、直線坂下では進路が無くなりかけるもこじ開けての②着。それも一度は抜け出してフワッとしたところハーパーが伸びてくると併せ馬の形でファイトバックしてモリアーナを逆転したところから、勝ち切れなさと勝負根性が同居するタイプと見えます。昨年のスターズオンアースの勝ち方にも現れているように、インが活きるコンディションで内に各馬が殺到するこの舞台では馬群を割ったり併せ馬で頑張れるタイプが台頭しやすく、離れた外から差されてしまうのはやむを得ないにしても団子状態の先団の中で抜け出せるとしたらこの馬でしょう。

[3]⑤ハーパー(ルメール)

前走のクイーンCでは馬群を割って良い末脚を見せましたが、輸送で-12kgと減らしていたように陣営は体重維持に気を遣いながらの調整を余儀なくされてきました。今回も1週前では併せ馬に遅れたように攻め切った、という追い切りは出来ておらず、加えてラフプレーを好まないルメールJへの手替わりというのも少し気がかりです。馬群を割って脚を使わせることを躊躇わない川田Jに対し、ルメールJが直線で馬群の中から脚を使わせるのは「馬の調子が悪い時(グランアレグリアの21年安田記念等)」に限られ、本来は外に出して進路を確保してから満を持して追い出すのがスタイルです。これは大レースが東京や阪神といった大箱に多く、末脚に秀でた強い馬に乗る機会が多いからこそのスタイルですがお世辞にもハーパーは「後方ズドン」で勝てるタイプの馬では無いだけに、乗り方を誤ると何も出来ずに終わってしまう可能性もあります。

[3]⑥モズメイメイ(和田竜)

ここ2戦はスロー逃げが叶っての連勝ですが、近年の桜花賞は最初の3Fが34秒台になることがほとんど(重馬場の2020年すら34.9)。逃げたい馬はいないので展開は作れそうですが、番手で突きたい馬はそれなりにいるだけによどみないペースで辛抱できるかは未知の部分です。

[4]⑦コンクシェル(丸山)

前走のアネモネSからブリンカーを着用。ここまで4戦とはペースの違いもあり控える格好になりましたが最後まで集中して走れたことで着を上げてきました。4角から追いどおしになるなどまだ反応に時間がかかる面があり阪神コース替わりはプラスですが、前走は大外枠から揉まれずに運べたのも好材料でした。この舞台で大外を回すのはロスが大きく。

[4]⑧キタウイング(杉原)

3走前の阪神JFは位置を取りに行こうとハイペースについていき⑭着大敗、前走のチューリップ賞はスローペースに加え進路を探しながらのレースとなり⑦着と、縦長のスプリント戦という特殊展開になった新馬戦を含め敗れた理由は何れも明白です。フェアリーSの勝ち方が嵌り過ぎで逆に人気を落とし気味ですが、伸びどころをうまく運べた新潟2歳Sも含めて器用に立ち回れるのがこの馬の強みとも言えます。進路が開きさえすれば伸びる脚は持っており、押さえは必要でしょう。

[5]⑨コナコースト(鮫島駿)

前走のチューリップ賞、その前のエルフィンSともに勝負所で動ききれずに②着に敗れていますが、いずれも4F目と3F目のラップ差が大きいヨーイドンのレースで、急速なギアチェンジに対応しきれていないと見ています。これは折り合い教育を重視する傾向の強いクラシックに向けたステップ・トライアルレースではよくある話で、こうしたタイプは本番でペースが流れたり動き出しが早くなって急加速が不要な流れの方が向いています。現に同じキタサンブラック産駒であるイクイノックスもダービーは取りこぼしたものの、パンサラッサの大逃げで特殊な流れになった昨秋の天皇賞や早目の進出が必要な有馬記念を勝ち切ったばかりかドバイSCでは逃げ切った始末。今回で考えればリバティアイランドに切れ味勝負を挑む馬は少なく、各馬早目の進出が予想されることからじわっとアクセルを踏めるこの馬に展開が向く可能性は高いと見ます。

[5]⑩エミュー(松山)

3走前の菜の花賞でいいところが無かったことも踏まえ、ハービンジャー産駒という血統背景から距離を伸ばした経緯がありマイルに戻るのはプラスとは言えません。前走のフラワーCにしても馬場の良い外をぶん回したデムーロJの騎乗が嵌っただけで、根本的な追走力不足は否めません。おまけに陣営は桜花賞への出走を想定してなく、軽めの調整はこの厩舎のいつものパターンにしても410kg台のこの馬にとって中2週続きのローテがプラスに働くとも思えず。

[6]⑪シンリョクカ(吉田豊)

中間は除外リスクも鑑み皐月賞も視野に入れての調整を強いられましたが、3週にわたって3頭併せを敢行するなど攻め込めているのは好印象です。前走の阪神JFは外を回った勝ち馬に対しロスなくインを立ち回り垂れた先行勢を交わしての②着だっただけに強調はしにくいですが、馬群を捌ける器用さは示した格好につきその点では留意が必要でしょう。

[6]⑫シングザットソング(岩田望)

前走のフィリーズレビューではポジションを取りに行き、前半33.2という速い流れを外を回して押し切った内容は評価できます。それまでの3戦ともスタートが決まらず後方から差しに回るレースを強いられていただけに一概に1400mの馬とは言い切れず、ここも好位を取れれば面白いでしょう。

[7]⑬ドゥーラ(戸崎)

ここ2戦は流れに乗り切れず不完全燃焼のレースが続いていますが、マイルへの距離短縮で位置を落としているうえ馬群の中で進路を求めようにもスパッと切れないため伸び負けているのが現状です。現に前走のチューリップ賞にしてもキタウイングと接触して最後流したのは事実にせよ、空いたスペースを争った際にキタウイングに伸び負けていたために進路を取れなかったというのが実情です。前走のペースですら前に行けなかったことを踏まえると、さらに流れそうな本番で位置取りが改善する可能性は低いでしょう。

[7]⑭ペリファーニア(横山武)

前走のチューリップ賞では勝ちに行くレースをしたもののルカンが壁になり内に入れられなかったことで引っ掛かってしまい、最後の一伸びを欠いてしまいました。この馬の立ち回りを活かすためにも本番では内目の枠が欲しかったところでこの外枠は痛く、調教の動きを評価する声もありますが格下馬と併せて大きく先着という内容。鹿戸師のこのやり方は半兄のエフフォーリアが不振だった時と一緒で、調教後馬体重の時点で前走以下の492kgとなっている点からもさらなる上積みは望みにくいです。モーリス産駒らしく本格化はもう少し先かもしれません。

[7]⑮ジューンオレンジ(富田)

前傾戦を差し込むここ3戦の内容が良いところからも、距離適性は短い方だと思われます。ダートや直線競馬に出てくると面白いでしょうが…

[8]⑯ムーンプローブ(北村友)

前走のフィリーズレビューでは距離短縮で折り合えた分最後にひと脚を使えましたが、本来あれだけのハイペースであれば差し切ってほしかったというのが本音です。坂が合わないのか1400mでもまだ長いという可能性もありますが、いずれにせよ距離延長+外枠を引いた今回は全てにおいて条件がマイナスで。

[8]⑰ラヴェル(坂井)

前走の阪神JFでは大外枠で壁を作れず折り合いを欠いてしまい⑪着。ただ2走前のアルテミスSも大外枠でしたがこの時は10頭立てで馬の後ろに入れても問題ない隊列でした。今回も外枠を引いてしまったのは痛いですが連戦だった前走と違ってリフレッシュして臨めるのはプラスで、うまく中団の外目で折り合えれば力は足りてよいはずです。

[8]⑱トーセンローリエ(横山和)

前走のアネモネSで初めてのマイルを経験しましたが、自ら勝ちに行く内容で後続を完封。ただ中間に12秒台の区間を作れた分でもあり、スピードオブライトの距離適性が想像以上に短かったこともあっての勝利でありました。ここも番手は楽に取れそうですが、モズメイメイ同様に早めに突かれ息の入らない流れになると厳しいでしょう。

<予想>
◎コナコースト
○ドゥアイズ
▲リバティアイランド
△シングザットソング
△キタウイング
△ラヴェル
△ハーパー
△シンリョクカ


■阪神9R/忘れな草賞 ミヤビ

本来なら同オーナーのモリアーナが桜花賞に出られていればここも武藤Jが乗れていたはずなのですが無念の乗り替わり。しかしながらこの馬は一貫して2000m以上を使われ、牡馬相手にも葉牡丹賞・ゆりかもめ賞と連続③着と健闘しています。葉牡丹賞勝ちのミッキーカプチーノはホープフルS⑤着、ゆりかもめ賞②着のサヴォーナも先週のアザレア賞を勝つなどメンバーレベルは水準以上。距離適性の観点から近年は桜花賞と両にらみで登録をかける実績馬の参戦が少なく、今年もスピードの足りない中距離馬が中心のメンバー構成につき戦ってきた相手を考えればここは通用級でしょう。

2023年4月8日土曜日

【4/8(土)予想】ニュージーランドT・阪神牝馬Sの注目馬

■中山11R/ニュージーランドトロフィー モリアーナ

今年は牝馬が7頭出走しさながら「残念桜花賞」というメンバー。ご存じの通り今年の桜花賞は近年類を見ない高ボーダーですが、その根源にあるのは現3歳世代が牡馬に混じって賞金を稼げるほどレベルが高いという背景でしょう。


昨年の2歳芝OP以上の牡牝混合戦(九州産限定戦を除く)は25レースありましたが、そのうち牝馬が9勝を挙げています(上図)。特に最初に挙行される函館2歳Sのブトンドールを皮切りに札幌2歳Sのドゥーラに至るまで実に7連勝で、中央所属の牡馬は9レース目に当たる小倉2歳Sのロンドンプランでようやく初勝利と牝馬勢が牡馬を圧倒していました。

上の表はこの指標を近10年を対象に抽出したものですが、最も多かったのは現5歳世代。ソダシ、ジェラルディーナ、ソングラインと既に古馬G1を制した馬を複数輩出する世代で納得です。2014年産(現9歳)と言えばリスグラシュー、ディアドラ、アエロリット。2011年産(現11歳)にもJCを制したショウナンパンドラや香港C②着のヌーヴォレコルト、凱旋門賞に挑戦したハープスター等タレントが揃い、それらに匹敵する期待をかけられる世代と言えるでしょう。

モリアーナは2走前の阪神JFで◎としましたが、ハイペースを追いかけ自滅しての⑫着。前走のクイーンCは一転して控える競馬も抜け出すのが早くて内を通った先行馬に差し返されての③着。鞍上の経験値もありますがこの馬自身が使える脚が長くなく、極端な追い込み競馬が合わなかったと見ています。ここ2戦は内枠を引いたこともあり詰まりの懸念から早めに進路を確保しに行く必要がありましたが、外枠を引けた今回はレースもやり易くなるはずで4角でごちゃつくことが無ければひと脚で足りるでしょう。


■阪神11R/サンケイスポーツ杯阪神牝馬S コスタボニータ

連戦で調子を落とした2走前から3か月の間隔を取って立て直された前走の初音Sを快勝。初の1800m戦に加えスローペースでもしっかりと折り合えたのは収穫で、元々未勝利~2勝クラスを3連勝したように素質の高さは重賞級と見ています。距離短縮となりますがゲートに不安はなく、4角5番手以内なら(4,0,0,0)という馬ですから小頭数は歓迎のクチ。おまけに稍重で(3,0,0,0)と渋った馬場も気にしないタイプで、週末降った雨が抜ける途上の阪神は稍重想定。何が何でもハナという馬はいないだけに先団は数頭で固まりそうで、インで折り合えれば十分チャンスです。

2023年4月2日日曜日

【4/2(日)予想】大阪杯の全頭評価とねらい目レース(中山7R)

■阪神11R/大阪杯

[1]①ジェラルディーナ(岩田望)

昨秋以降別馬のような好走を続けていますが、父モーリス×母ジェンティルドンナという血統背景からは想像できない器用さが嵌った格好で、3戦いずれも馬場バイアスを味方につけて上手く立ち回っています。陣営は距離不足を課題に挙げていますが、元々1800mを4勝しているうえコーナー6回の中山2500mをこなせたのですから心配には及びません。内枠を引いたうえ岩田望Jという器用に立ち回れる鞍上を配したからには、好位でじっとするレースができれば自ずから上位争いできるでしょう。

[1]②マリアエレーナ(浜中)

前走の金鯱賞は前が開かず最後は流しただけで参考外のレースで、3走前の天皇賞は制裁レベルの不利を受けての0.7差⑦着で評価に値する内容でした。師が「負ける気がしない」とかなり吹いているのが不気味ですが、昨年の小倉記念を圧勝したように良馬場のまっとうな力比べなら牡馬相手でも十分に伍せる力を持っており、平坦コースがベストも好枠を引けたここは再度勝負になっても。

[2]③モズベッロ(西村淳)

大雨の先週に行われていればまだ期待は持てましたが…

[2]④ノースブリッジ(岩田康)

前走のアメリカJCCは好位の内を進み直線で前が開いたところを突き抜けての完勝。以前のように逃げなくてもレースができるようになった点は成長で、スパッと反応できるのも小回りコース向きで今回の舞台設定は絶好でしょう。但し長らく在厩で調整されていることにも現れている通り気性面の難しさが同居するタイプで、現状でもゲートが完全に改善したとは言い難いうえ新馬戦以来の関西輸送。クリアできれば当然有力候補ですが果たして…

[3]⑤ワンダフルタウン(和田竜)

大トビなタイプで良馬場の大箱が理想。内回りコースで内目の枠を引いてしまった今回は窮屈な立ち回りになりそうで、外差しの恩恵も得られそうにないここでは。

[3]⑥ヴェルトライゼンデ(川田)

前走の日経新春杯ではメンバーに恵まれた面もありましたが59kgを背負って完勝。2走前のジャパンカップも先行勢で唯一③着と好走し、完全に立ち直ってきたと言えるでしょう。ただやはり左回りの方が走りはスムーズで、着外に敗れた3回は何れも右回り。それでいてドリームジャーニー産駒らしく急坂コースが向いている故、ベスト舞台は中京。そこからパフォーマンスを落としてしまうこの舞台では全幅の信頼までは置きにくく。

[4]⑦マテンロウレオ(横山典)

前走の京都記念はインベタに徹した分の②着とはいえ、勝ったのはドウデュースですから悲観するほどではありません。このコースでは2戦2勝と走れており枠も許容範囲ですが、気になるのは今回初めて58kgを背負う点。4走前のアンドロメダS勝利時も54kgと斤量に恵まれた部分はあり、斤量実績のある他の馬との比較ではどうしても割引が必要でしょう。

[4]⑧ラーグルフ(戸崎)

前走の中山記念では内を選択した人気馬が続々と詰まる中スムーズに外を回し②着を確保。自身のレースに徹しましたが、周りも早く動いたおかげで最後に垂れてきた先行勢を交わせたもので結果的に外枠が吉と出た格好でした。本来は内目の枠の方が良いタイプでその点は条件が好転しますが、先週のナランフレグの時にも触れた通り宗像厩舎は遠征の経験値が少なく苦戦しており、この馬も今回が関西圏は初参戦で未知の部分が大きいです。

[5]⑨ジャックドール(武豊)

2走前の天皇賞(秋)では4番手に控えたその騎乗が色々と物議を醸しましたが、結果としてはイクイノックス、パンサラッサ、ダノンベルーガに続く④着と悲観する内容ではなく、⑤着のシャフリヤールには0.3差をつけているわけですからこの馬の力は十分に示せた内容でした。元々控えても良いタイプですが、やはりパンサラッサのようなタイプが居るのといないのとでは競馬のしやすさが違います。昨年のこのレースは落鉄の影響もあり⑤着。理想は左回りも同型の少ないここはすんなり先手を奪えそうで残り目には注意です。

[5]⑩ポタジェ(坂井)

昨年のこのレースではその前の金鯱賞(4角12番手から上がり最速も④着)の反省を生かしポジションを取りに行くレースで勝ち切りましたが、元々キレ勝負できるタイプではなくその後は宝塚記念後方ママで⑪着→毎日王冠キレ負けで⑥着→天皇賞後方ママで⑬着→有馬記念距離不適で止まり⑫着と全く良さを活かせていません。それでいて前走の金鯱賞は59kgを背負って伸びを欠いての⑥着でしたからここも人気を落とすのは必至です。ただ上りを求められにくいこのコースは合っており、ポジションを取りに行ければ好勝負できるはずなのですが陣営は控える競馬を示唆しているのが何とも…

[6]⑪スターズオンアース(ルメール)

昨春の頓挫が無ければまず間違いなく3冠牝馬になっていたであろう存在。現4歳世代牝馬のレベルは確かに疑問符のつくところはありますが、その頂点に立つこの馬個体の評価は別個でしょう。使える脚が長くない分取りこぼしも多いタイプですが、それだけに始動戦をヴィクトリアマイルではなくここに定めてきたのは納得です。秋華賞後にも繋靭帯炎を発症し休養を余儀なくされましたがこの中間の乗りこみ量は十分。スタートさえ決まれば自身の力は出せるはずで、牡馬相手にどこまでやれるか力試しの一戦となるでしょう。

[6]⑫キラーアビリティ(団野)

古馬になってから単走オンリーの調整をするようになった点は気になりますが、それで2走前の中日新聞杯を勝っていますからひと叩き後の調整パターンとしてはこれで良さそうです。右回り2000mはホープフルSも勝った相性のいい条件ですが、58kgが初めてとなるうえ現状では控える競馬でないと良さを出せないタイプで、内回りで間に合うかどうかと言われると…?

[7]⑬ダノンザキッド(横山和)

前走の中山記念では危惧した通り気持ちが張り過ぎており、ゲートでてこずったうえ1角で挟まれそうになり終始カッカした走りに。そこから中4週の今回はいい意味でガス抜きが済んだようで、日曜に最終追いを実施しゲート再審査もクリア。昨秋も使い詰めのローテでマイルCS②着・香港カップ②着と好走できており、久々を叩かれてのここはリラックスして好走できる番でしょう。

[7]⑭ヒシイグアス(松山)

前走は宝塚記念以来8か月ぶりのレースでしたが、蓋を開けてみれば+14kgもものともせず得意の中山で完勝。体質的に弱いところがありなかなか連戦できませんでしたが、今回は1週前にDWで3頭併せの内から50.9-11.2の好時計をマーク。寒い時期の方が良いだけに気温の上昇はマイナスですが、前走以上の出来で臨めるここも注意が必要です。

[8]⑮ヒンドゥタイムズ(池添)

陣営曰く昨夏の去勢手術を経て硬さが取れたとのことで、元々稽古掛けする馬でしたがこの中間はCWで50.1-11.5の自己ベストをマークし調子はさらに上がっています。去勢放牧明け緒戦となった4走前の小倉記念は苦手な暑い時期のレースながら②着と好走。3走前の京都大賞典はキャリア最長の2400m戦で勝ちに行き早めに動いた分止まっての④着、2走前のチャレンジCは距離短縮ローテで位置取りを落とした分間に合わずの⑥着でしたが、前走の小倉大賞典ではポジションを取りに行き道中も上手く立ち回っての勝利でした。操縦性の高いタイプで内回り2000mは向く舞台。あとはこの枠と斤量をこなせればここでも魅力は十分です。

[8]⑯ノースザワールド(北村友)

使える脚が短くもう一押しが利かないタイプで、相手なりに好走こそすれ勝ち切れなさを抱えています。昨年の湘南Sではジャスティンカフェに0.7差千切られており、流石にG1級の切れ味の前ではいくら善戦マンとは言え上位を脅かすとまでは。

<予想>
◎ダノンザキッド
○ジャックドール
▲ジェラルディーナ
△マリアエレーナ
△ヴェルトライゼンデ
△ヒシイグアス
△ノースブリッジ
△スターズオンアース
△ヒンドゥタイムズ


■中山7R レディナビゲーター

マイルで(1,3,1,0)なのに対しそれ以外の距離では(0,0,0,3)。2000mに使われた前走は参考外と見てよいでしょう。2走前のマイル戦で勝たれたダノンティンパニーは既に2勝クラスも突破しており、スムーズに内を抜けた相手に対し前が壁となり追い出しを待たされたこちらは0.6差の③着でも悲観する内容ではなく、最内枠でも馬群がばらけそうな今回スムーズに運べれば勝機です。

2023年4月1日土曜日

【4/1(土)予想】ダービー卿CTの注目馬とねらい目レース(阪神7R)

■中山11R/ダービー卿チャレンジトロフィー ミッキーブリランテ

昨年の京成杯AHの時にも触れましたが、「距離延長ローテ」「中3週以内」「右回り」では(2,2,0,0)と完璧に走れています。今回もわざわざダートのコーラルSを叩いて中2週での東上でここに照準を合わせており、ハンデの57.5kgも昨年の東風Sで58kgで②着しており問題ありません。中間の攻めは未勝利馬に後れを取る内容でしたが、元々調教の動きと本番の走りが連動しないタイプでそれが高配当を生む要因にもなっています。Bコース替わりも内ラチ沿いの荒れが残る今の中山なら極端な内枠よりもこのくらいの枠の方がレースはしやすいはずで、好走条件がそろったここは複系厚めで勝負です。


■阪神7R ワンダーアマルフィ

2か月以上の休み明けなら②③③⑤⑤⑤着と常に安定して走れており、この中間も坂路で51秒台とこの馬の好走パターンに合致する調整過程を踏めています。3戦連続の1400m起用ですが今回は前2走と違って外枠を引けた分序盤の位置取りはマシになりそうで、2走前の分だけ走れればここでも末脚は引けをとりません。