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2019年12月12日木曜日

<朝日杯FS>無敗で挑む3頭について考えてみた

と言いつつ自然な形でタガノビューティー考察の記事を書こうとしたことがモロバレな中身。

たぶんここまで真面目にタガノビューティーの考察するの、ここくらいのものでは?ってくらい他2頭とはボリュームが違ってますが、ご笑納ください(全日本二歳優駿観に行きたかったマン)。

■サリオス

父ハーツクライ×母サロミナ

半姉にはサラキアがあるがあちらはディープ産駒。ハーツを付けた仔はサリオスが初めてとなりますが、3頭の上のうち2頭は新馬勝ち(サロニカ、サラキア)と完成度が高い牝系と言えるでしょう。血統的にはほとんど素人なのであまり深入りした見解はできませんが、ニジンスキー系の母に欧州血統入りのハーツですから、距離は伸びてもよさそうな雰囲気です。

前走の東スポ杯では直線で外からクラヴァシュドールが迫るとさらに突き放す強い内容。より速い上り勝負になった時にどうなるかという疑念はありますが、先手につけられればまず見せ場は作ってくれるでしょう。

少し前までは、ハーツは晩成というイメージがありましたが、元々10%前後だった2歳戦の勝率がここ2世代は15%程度となってきており、仕上がり早の産駒を多く送り出すようにもなってきました。加えて、短期免許で来日する外国人にとって粘り強く追うことで持ち味が出るハーツの血統は合うようで、参戦が増えたことでハーツ産駒への騎乗機会が増えたことも大きいと見ます。今回はR・ムーア騎手を従え堀厩舎の必勝態勢。前目につけられるレースセンスも好感です。

唯一懸念点があるとすれば、デビュー戦は8頭立て、東スポ杯は9頭立てと小頭数戦しか経験がない点。仮に内枠でダッシュ力のある馬に囲まれるような配置になった時に、うまく運べるか…というのは未知数と言えます。

■レッドベルジュール


父ディープインパクト×母レッドファンタジア

全姉のベルローズ、ベルディエスともに2歳で勝ち上がり、重賞でも活躍する産駒を送り出す母馬から初めての牡馬となります。
前走のデイリー杯は+28kgでパドックをざわつかせましたが、終わってみればモノの違う末脚で快勝。一気に主役候補に躍り出ました。

気になるのは、ここ2年の朝日杯が前目での決着となっていること(アドマイヤマーズ、ダノンプレミアム)。この時期の芝の状態が良くなったこともあり、内を通ってもハンデになりにくい印象です。加えて、今開催ではAコース部分が張替え後初めて使われていることもあり、内有利傾向に拍車をかけている状況。外回りでは4角でバラけにくく、前走のような後方戦になると外を回して間に合うか…となるため、位置取りがカギを握ると言ってよいでしょう。

この馬自身の能力にケチはつけられませんが、少なくとも今回の舞台では相対的に信頼を置きにくいというのは言えます。

■タガノビューティー

JRAでも主要な出走馬に取り上げられていないため写真は割愛。
ダートでも無敗は無敗なのでちゃんと取り上げます。

父ヘニーヒューズ×母スペシャルディナー

ヘニーヒューズは日本での供用開始後、既にワイドファラオなどを輩出しダートで存在感を示しています。一方でマル外時代にはファルコンS含め芝で5勝を挙げたヘニーハウンドも送り込んでおり、芝にも通用するスピード型の種牡馬であることがうかがえます。
母のスペシャルディナーは芝で新馬勝ち。兄にはNHKマイルCで大穴を演出したタガノブルグ、若葉Sを勝ったアイトーンがおり、この馬自身芝がダメという構成ではなさそう。

特筆すべきはここ2戦の内容。


デビューは新潟のダート1800m戦。この新馬戦は年に1回しか行われず、過去にはルヴァンスレーヴ、エピカリスなども勝っているレースです。

このコースは超がつくほどの先行有利で、通常なら直線に入った時点の1,2番手で決まるのが相場ですが、向正面で最後方にいたタガノビューティーは3角から捲り加減に進出し、4角時点でもまだ10馬身ほどあった前との差を350mの直線だけで逆転するという芸当。

とはいえ、このレース自体は前半1000mが64.7秒というスローで、楽な流れだったにもかかわらずこの馬以外の全馬が上り40秒台だったこともあり、「相対的に強く見えただけ」という見方も少なからず存在しました。

それを払拭したのが2戦目のプラタナス賞。


ここもダート1600m、稍重の馬場を加味すれば1000m通過が62.2秒と落ち着いた流れ。

例によって最後方から一気の差し切りを見せますが、この時のラスト3Fは34.8秒と圧巻の内容。過去、2歳のダート戦で上りが35秒を切ったのは2例しかなく、いずれも1200m以下で34.9秒というのが最高。このレースは2番手を進んだセランが2着、逃げたニシノレオニダスが3着と前残りの決着だったにもかかわらず、4角最後方から直線だけで後続に2馬身半の差をつける快勝。一気に注目されるきっかけとなりました。

当初目標としていた全日本二歳優駿で補欠2番手となり(同賞金の馬が多数登録していて抽選になったため)、やむなくここに回った臨戦過程はプラスとは言えませんが、芝スタートの前走で鞍上の石橋脩Jが「行きっぷりが良かったのであえて抑えた」というコメントもしており、血統面からも芝適性の高さを覗わせる要素は十分です。

課題はレッドベルジュール同様で、今の阪神が外差しで面倒見切れない可能性があること。また新馬戦ではスタート直後に挟まれてあわや戦意喪失?という下がり方もしていたので、外枠を引くかスタートして下げるかで馬込みをやり過ごすこともカギとなりそうです。

余談ですが、芝とダートでは平均の上りタイムが約2~3秒変わってきます。
机上の計算ではタガノビューティーが東京芝1600mを走れば32秒台の末脚も繰り出せる可能性はありますが、この馬にそこまでの回転とバネがあるかは勿論別問題なわけで。裏を返せば、もしそうだった場合は大外を回されても末脚であっと言わせるシーンがあって驚けません。

最終的には枠順も含めた判断になりますが、上位人気が予想される2頭とは別の意味で楽しみな無敗馬と言えるでしょう。

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