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当ブログは、広尾サラブレッド倶楽部株式会社様のご厚意により、同倶楽部の所有する競走馬の写真及びWebサイト記載情報の転載許可を頂いております。

2021年7月31日土曜日

【7/31(土)予想】

■新潟11R ハイアーグラウンド

 人気の中心はアネモネS勝ちのアナザーリリックですが、アネモネSはその後自己条件でも通用していない馬が多数でリステッドとはとても呼べず、凡そ1勝クラスのレベルでした。前走のNHKマイルCは完調とは言い切れない中ゴール前に伸びたように見えましたが、後方待機勢が有利になる流れで止まった馬を交わした程度と見ています。即ち、レベルは1勝クラスにも拘らず賞金は1000万入るためこのクラスにいるという状態で、現時点ではクラス相応の力量を持っているとは言い難いと考えます。

 しかしこのレースは力量が拮抗しており、それに代わる軸馬も見つけにくいというのが実情です。それならば通用の目を探りたいのが◎ハイアーグラウンド。ここ2戦は東京コースで小差のレースをしていますが、いずれも伸びない内を突いてのものでした。この馬は前に壁を作って溜めを利かせた方が走れるタイプで、前走は1番枠からイン追走、前々走は15番枠でしたが大野Jが向こう正面で内に入れてしっかり追いました。4着でしたが前が開くのが遅れた分で十分健闘と言ってよく、今の新潟はまだ内も十分に伸びるコンディション。先週日曜の最終のように馬群が広がってスムーズに捌ければチャンスありでしょう。


2021年7月25日日曜日

アリシアン、デビュー戦は4着。課題と適性を探す旅はまだ始まったばかり


 出資馬である広尾TCのアリシアン(牝2、美浦・加藤征厩舎)が日曜函館5Rの新馬戦(芝1800m)に出走。単勝2.5倍の1番人気の支持を受け、4着となりました。

 注目の馬体重は494kg。6月の帰厩前が517kgだったことを思えば型通りに絞れてきた格好で想定内の範囲だったと思います。パドックでも首を使って小気味良く外目を回り、雰囲気の良さを伺わせる立ち振る舞いでした。

 レースではスタートを無難に決め、勝ったトップキャストを見ながらの2番手を追走。前半1000mが60.2とクラスと頭数を思えばかなり流れた中でしっかりレースに参加できていましたが、3角から加速する勝ち馬に対しアリシアンは鞭が盛んに入るもペースアップに対応できず。4角で2着のシンティレーションに交わされ、直線では完全に止まった格好で3着のコスモルーテウスにも抵抗できず4着での入線となりました。

 新馬戦で60秒台で逃げて上りもまとめたトップキャストは強いの一言。元々コース調教でも動けており、2着に入ったシンティレーションも含め順当な結果だったと思います。アリシアンは4着に残したとはいえ3角で早々に脱落した格好で、勝ち馬との着差は3秒5。調教でそれなりにやれていたことを思えばここまで何もできないレースになるとは思えず、レースを理解できていないか適性がここになかったかのいずれかかとは思います。しかしながら、勝ち馬が楽々逃げ切ったうえ3着以下は皆脚が上がってしまった中での結果につき、課題がどこにあるのかさえこの1戦だけではわからないというのが正直なところでしょうか。

 この馬にとって幸いだったのは、こうして早めに実戦を経験できたことで学びの機会を得られたうえ、芝ダートどちらでも可能性を見出せる血統・馬格の裏付けがあるということでしょうか。今後のレース選択含め陣営には難しい舵取りが求められますが、裏を返せばあらゆる選択肢が残されている立場であることも事実。掲示板に載ったことを考えれば思い切って休ませて立て直すこともできますし、手ごろな頭数の内にあらゆる可能性を探るために続戦していくことも可能でしょう。

 何せまだ2歳の夏。可能性を探る長い旅は始まったばかりで、無事に走り続けた先にともに喜べる舞台にたどり着けることを信じてやみません。まずはデビュー戦、本当にお疲れ様でした。

【7/25(日)予想】アイビスサマーダッシュの全頭評価

[1]①バカラクイーン(菅原明)

 先行できるかどうかがカギを握る馬で、周回コースでの好走は全て4角3番手以内で通過した時のものでした。ここ2戦は他の馬も速く積極的に位置を取りにいかなかった分の敗戦で、前傾戦に強いタイプでこのコースでも好走実績があります。但し別定戦につき2勝クラスでも54kg背負わされてしまうのは分が悪く、この枠では1桁番手を取れるかどうかも怪しいので。

[1]②モメチョッタ(城戸)

 2走前にこのコースで1番枠から③着したレースは見事なコース取りでした。但し荒れ馬場+稍重のコンディションにつき決着タイムが57秒8という超低速戦で、必要以上に外に馬が密集し下級条件戦ゆえにそれらがポツポツと脱落する中でうまく風を除けられたのも大きかったです。古馬につき斤量面での恩恵もないここでは。

[2]③ヒロイックアゲン(荻野極)

 昨年10月のルミエールADで重馬場を逃げ切っておきながら、前走の韋駄天Sでは見せ場なく惨敗。ルミエールADでは18番枠から好発を決められたことに加え、この馬の走るコースだけが掘れることなく良い状態を保てていたことも大きかったです。一方韋駄天Sでは開催が進みほぼ土の上を走るようなコンディションで、まさしく雲泥の差がありました。韋駄天Sで力を出せなかった実績馬の評価は難しいところがありますが、この馬に関しては直千適性・夏の実績ともに十分な上、2走前のオーシャンSでも0.3差④着に入っているように力の衰えは皆無でしょう。

 年齢と枠で人気を落とし気味ですが昨夏の稲妻S(3勝C)で1番枠から②着しており、加えて今回は古馬重賞としては史上最低レベルに近いメンバーで別定戦。ここまでメンバーが薄いとオープン馬にとって馬齢重量はむしろ逆ハンデで、うまく捌けさえすれば掲示板以上があっても。

[2]④ジュランビル(松若)

 3歳夏までに3勝しましたがそこから3勝クラスで足踏みが続く現状。小倉を得意としておりHペースの前傾ラップは得意なのですが、前走はダート馬のピアシックを除けば実質6頭立ての3着で強調できる内容ではありませんでした。気になったのは、出ムチをくれてまでハナにこだわった割には最初の11.9-10.4の区間で前に行けなかったうえ、終始インの好位をキープしておきながら逃げたビアイを交わすのがやっとというレースぶり。本質的にはスローの前残りかHペースの前崩れでしか好走と言えるレースをしておらず、最初の2Fが21秒台で流れるここではそもそもレースに参加できるのかが怪しく…

[3]⑤リッチクレマチス(原)

 テンのスピードはそれなりにあるタイプなのですが、ローレルゲレイロに母父メイショウサムソンという明らかなパワー型で2勝はいずれも馬場が渋った前傾戦。それなりに条件の揃った4走前の中山戦でさえ1秒以上負ける現状では…

[3]⑥モントライゼ(川田)

 京王杯2歳Sを勝った時には優秀なスプリンターになると目していたのですが、3歳になってテンが速くなると③⑤着と取りこぼしが続いています。2歳時の2勝はイーブンペースないしは前傾戦を押し切ってのもので、最後に一足が使えるタイプでもないため前に行けないこの枠と馬場状態を考えるとこの人気で手は出し辛いです。

[4]⑦グレイトゲイナー(丸山)

 前走のテレビユー福島賞で1桁番手にいた馬で掲示板を確保したのは②着のこの馬と③着のヴェントヴォーチェ。後者は土曜のTVh杯を快勝しましたが、当時は長欠明けで余裕残しの仕上げで力が違ったという見方ができるでしょう。故に、それに先着したからと言って高い評価はしにくく、むしろグレイトゲイナー自身前半3F33.0というレースは経験したことのないハイペースで、最後アカノニジュウイチに捕らえられたあたりはペースの問題が大きいと見ます。3勝はいずれも逃げか2番手で前半が34秒以上のレースであり、テンだけ速い馬は多数いるのでここでは理想の位置取りを得ることは難しいと見ます。

 余談ですがロボットアニメにありそうな馬名です。但し富野由悠季の作品には「濁点」と「ン」が必ず入るためその要件は満たしておらず。東映あたりの作品で探せば出てきそう、グレイトゲイナー…

[4]⑧タマモメイトウ(津村)

 前走は見事な末脚でしたが、32秒台前半が当たり前のこのコースで上り33.4というのは特筆する数字ではなく、荒れ馬場で先行勢が脱落した利も大きいレースでした。元々周回コースでも末脚が嵌るか否かという極端なレースしかできない馬で、開幕週でまともに斤量を背負うとなると再現性は薄いと見ます。

[5]⑨トキメキ(田辺)

 昇級してペースの壁を打ち破れておらず、連勝中は前半34秒台のレースで好位から差し切ってきましたが3勝クラスで前半33秒台のレースになると着外続き。脚を溜めることが難しいこの舞台では。

[5]⑩アルミューテン(柴田大)

 韋駄天Sは道中最後方で漁夫の利を得ての4着で、このコースでの好走歴がありますがいずれもハナを切れてのもの。元々周回コースでもハナを切れないと好走できない馬で、1200m戦で控えさせてからのこの舞台でハナを切れる確率は低いと見ます。

[6]⑪ロードエース(松山)

 上りのかかる展開に強いダート馬らしく見せ場を作れたのが前走の韋駄天Sでした。ダートでもテンが32秒台になると追走できておらず、まっとうなスピード勝負では分が悪いです。

[6]⑫ライオンボス(鮫島駿)

 荒れ馬場で58kgを背負いまともに先行した韋駄天Sは参考外とできるレースでした。それを除けばこのコースで(4,2,0,0)としており文字通りの「直線番長」。元々ダートを走っていた時の2勝も全て1000m戦で、一息で走り切れる舞台が合っているタイプ。昨年は同様にこのコースを得意としていたジョーカナチャンに足下を掬われましたが、今回は初顔合わせの3歳勢を除けば一通り勝負付けの済んだメンバーでだいぶ与しやすくなりました。直前の調教が軽いのは少し気がかりなのと、流石に31秒台で逃げ切った4歳時と比べるとバリバリ最強というほどではないですが、ここでなら外せない存在でしょう。

[7]⑬ビリーバー(杉原)

 昨年3着となって以降良いところがありませんが、前走のパラダイスSでは32秒台の脚を遣いながら前残り展開に泣かされました。それ自体は3着のホープフルサインと同水準であるものの、前半36.2という明らかなスローペースにも拘らず直線向いてからゆっくり進路を探して400mから追い出すというレースをされては流石に敵いません。元々夏場は動ける馬で、直前手控えましたが1週前に負荷をかけたことを考慮すれば十分でしょう。追い込むにしても好位につけられるこの枠は好都合で、良馬場でやれさえすれば昨年の再現も十分考えられるでしょう。

[7]⑭オールアットワンス(石川)

 この馬も3歳になりテンが速くなると詰めの甘さが露呈し出世が遅れていますが、バテない分着をまとめられています。但し前走の葵Sにしろその前のマーガレットSにしろ、この馬より後ろの着順だった馬は自己条件に帰って全く通用していません。2歳時の2勝も緩めのペースを押し切ったものと考えれば、いくら51kgとはいえこの舞台で持ち味を活かせるタイプとは見えないだけに。

[8]⑮セピアノーツ(藤田菜)

 4走前のこのコースで未勝利戦を勝っていますが、この時の55.7という勝ちタイムは同年の開催では下から数えた方が早いレベルで、良馬場ということを考えてもクラスなりという評価の域は得ません。51kgですしハナを切れれば見せ場は作れると思いますが、流石に1勝クラスの馬が単勝10倍台前半では過剰人気の感もあり、押さえるなら連・複の相手として扱うのが妥当でしょう。

[8]⑯ルドラクシャ(斎藤)

 ロジクライの取り消しで大外枠になりましたが、この舞台で勝った未勝利戦の55.8という時計はさして強調できるものではありません。自己条件の直千でも色々と注文がつく現状ではいくら絶好枠でもこの舞台では手は出し辛く。

<予想>
◎ヒロイックアゲン
○ライオンボス
▲ビリーバー

 16頭中9頭が格上挑戦で、1勝クラスも3頭いるという古馬重賞は見たことがなく、メンバーのレベルだけで言えば史上最低と言っても差支えは無いでしょう。直線競馬という特殊条件に活路を見出したことも考えられますが、土曜の自己条件ではなくここを使ってきている陣営の中には重賞で10着以内でもらえる出走奨励金をアテにしている(=自己条件戦でも勝負になるか)ケースも少なくはないと考えられます。

 先述した通り、枠のせいもあり◎ヒロイックアゲンはかなり舐められた人気になっていますが、枠の有利不利で1勝クラスの馬がOP馬を逆転できるとはさすがに思えず、内枠から好走している実績も踏まえて抜擢した次第です。

 相手も昨年のアイビスSD好走組の2頭で。見た目の印象以上に格下馬が入り込む余地は薄いと見て、印はこの3頭に絞ります。

2021年7月24日土曜日

アリシアン函館デビュー、強敵相手も堂々の走りを


 出資馬である広尾TCのアリシアン(牝2、美浦・加藤征厩舎)が、日曜函館5Rのメイクデビュー函館(芝1800m)でデビューを迎えます。自身4頭目の出資馬デビューとなりますが夏開催でのデビューは初めてで、順調にここまで来てくれた有難さを実感しています。


 エピファネイア産駒、母は中央ダート1勝のベネディーレで半兄に京成杯2着のガンサリュートがいる血統のアリシアンは、募集時からとにかくその馬体の大きさで話題になっていました。6月にチャンピオンヒルズに調整放牧に出た時の馬体重が517kg。調教動画でも併せた僚馬のレイトンヒル(牡3)に全く馬格で負けておらず、その身体を活かしたパワフルなストライドが目につきました。

 パワーのありそうな体つきからダートでのデビューもあるかと思いましたが、速めをやる中で判ったのはかなり跳びの大きなタイプであるということ。時計を見ても水準級のスピードはありそうで、洋芝適性も見込める中函館芝1800m、小頭数のレースでデビューできるのはプラスでしょう。

 レースは1枠1番からのスタート、鞍上には吉田隼人Jを迎えます。内枠が仇となる可能性もあるうえ、外の各馬には好素材がズラリ。同じ函館芝コースでの追い切りで40秒台でまとめてきたシンティレーション(父ロードカナロア、半兄に2戦2勝のブライトギフト)、トップキャスト(父ダイワメジャー)の牝馬2騎に加えて、キタサンブラック産駒でOP馬ソロフレーズの下のオディロンも注目の存在です。あとは個人的には足を向けて寝られないレベルでお世話になったウインクルサルーテの全弟であるソアリングも気になるところです。それでも各媒体では注目馬として挙げられているのもちらほら見る上、専門誌でも混戦の中で一定の評価は受けているようで、俄かには期待を持てる一戦となりました。


 どの出資馬にしても1つ勝ってできるだけ長く現役を続けてもらいたいという思いで出資しているのですが、'19勢の苦境にその難しさも実感する今日この頃。今のアリシアンにとってはこの上ない舞台であるでしょうし、好結果はもちろんですが学び、収穫の多い一戦になってくれたらと思いますし、社台系クラブの強敵にひとつ胸を借りるくらいの気持ちで堂々と走り切ってくれたらと願うのみです。


【7/24(土)予想】

■函館8R ケイアイシェルビー

 前走の1勝クラス戦は微妙にスタートが合わず、内に押し込められキックバックを受け頭を上げて走っていたのに加えてムチでバカつくというめちゃくちゃなレース。立て直すために直線ではだいぶ位置を下げたもののそこからは改めて伸びを見せました。今回は大外枠で揉まれる心配も無く、良馬場でコーナー4回のコースなら追走も問題なし。スムーズならここはアッサリ。


■函館11R チェアリングソング

 函館日刊スポーツ杯からの臨戦が8頭もいるメンバー構成で自ずから同レースの上位勢が人気になっていますが、そこで盛大に詰まって脚を余して負けたのがこの馬でした。元々福島で勝っているようにコーナーの径の小さいコースでも立ち回れるタイプで、今回は外目を回れそうかつ開幕週の前回と比べインの消耗も進んでいることも踏まえれば流れが向きそうです。


2021年7月18日日曜日

【7/18(日)予想】W重賞の全頭評価とねらい目レース(福島テレビOP)

■函館10R

[1]①カフェファラオ(ルメール)

 力の違いで押し切った新馬・ヒヤシンスSを除いて、重賞では「テンのペースが上がると好走⇔落ち着くと凡走」という傾向が見て取れます。

・前半3Fタイムと着順
 ユニコーンS(1着)12.1-10.9-11.2→34.2
 JDD(7着)12.2-11.4-12.3→35.9
 シリウスS(1着)7.2-11.0-10.9-13.1→35.7(1900m戦のため推定)
 チャンピオンズC(6着)12.7-11.1-12.7→36.5
 フェブラリーS(1着)12.5-10.8-11.4→34.7
 かしわ記念(5着)12.0-12.0-12.3→36.3

 かねてから言われているストライドの大きさ故小回りコースでは走りにくいという点も頷けますが、個人的にはこの馬に関しては気性的な部分が大きいと見ています。例えばシリウスSやヒヤシンスSで後方から外を回して勝ったように、あるいはフェブラリーSのように周りに馬がいない環境で速めのラップを折り合うなどしてストレスなく進めるかが鍵になるでしょう。

 その点でいえば、コーナーの径の小さい函館で最内というのは最悪で、もう下げて外を回すしか勝ち目はないでしょう。ペースについても通常は35秒台中盤位の入りになるのですが、今年に関しては確たる逃げ馬が不在で誰かが行くにしてもペースは落ち着いてしまいそうで、気分良く運べる淀みないペースというのは期待が難しいでしょう。

[1]②ハナズレジェンド(藤岡佑)

 使える脚が一瞬で、ギリギリまで馬群の中で溜めて抜け出したいタイプのこの馬にとってはこの枠は歓迎です。但し理想は前が引っ張って直線で団子になる展開ですが、ペースが落ち着いた場合動き出しが早くなることから3~4角で置かれてしまう懸念があり、射程圏で直線を迎えるというのは難しくなってしまいます。かといって追走のためにコーナーで動くと末が甘くなるので、じっとして展開が向くのを待たざるを得ないのが現状です。

[2]③ワールドウインズ(武豊)

 遠征競馬で(3,1,0,1)と結果を残していますが、うち2勝の小倉は直前入厩で滞在では落ち着ぎ過ぎてしまう点があると陣営は語っており、前走の凡走もその点紐づく部分があります。

 但し前走に関してはこの馬が苦手とする馬群の中の競馬を強いられたことも原因と見ています。勝ち上がり以降連対した5回はいずれも逃げか外に馬を置かずに追走できたレースで、逆に馬群の中に入ってしまった六甲Sと前走の巴賞は力を出せませんでした。今回好位につけたい馬は複数おり、フルゲートのハンデ戦でこの枠からうまく外を突ける位置に導けるかが課題です。

[2]④アイスバブル(水口)

 大箱の中長距離戦でしか走れてない上、モレイラ、アブドゥラといった追える短期外人Jの騎乗時に良績が集中しています。ここ3戦の手綱を取った石川Jもどちらかと言えばそっちよりではあるものの、それでもメトロポリタンSで流れ込んでの6着がやっとという現状。あらゆる条件が上向かないここでは。

[3]⑤ジェットモーション(横山武)

 脱腸ののち去勢といろいろと受難続きだったこの馬が、約2年の休養を経て本格化。注意力に欠けるところがあり、ブリンカーを着用の上道中は馬群に入れて直線でひょっこり外に出すという戦法が理想ですが復帰後の3勝はいずれもその形。6着に敗れた京橋Sは小頭数で縦長馬群になりそれが叶わなかったものでした。前走は壁は作れましたがG前で前が狭くなり追えずで参考外。16頭立てでうまく馬群に入れられる可能性は高いうえ、連勝した小倉戦のように速い動きだしにも対応できる脚質につき、立ち回り一つでチャンスはあるでしょう。

[3]⑥タイセイトレイル(菱田)

 500kg級の馬にしては休み明け(0,1,2,2)とまずまず走れていますし、函館は初コースも札幌で(0,0,3,0)と洋芝も問題ないでしょう。但し主戦場は2400m超の長距離で、2000m以下のレースに出るのは実に3年半ぶり(18年12月の芝1600m戦/1勝クラスで⑧着)。矢作厩舎はこの馬しか出さないにもかかわらず所属の坂井Jをレッドジェニアルに譲っている点からもここでの勝負度合いは低そうで、札幌日経OPに向けた叩きと見るのが妥当かと。

[4]⑦ドゥオーモ(勝浦)

 昨年の小倉大賞典も函館記念も、上りのかかる展開を利しての好走でした。ここ5戦は展開が向かずハンデも昨年と据え置きになったのは良かったですが、今回もなかなか前が止まら無さそうで…

[4]⑧トーセンスーリヤ(横山和)

 休み明けは④②②③①⑤と堅実なうえ負けも小差。前に馬を置いて進む形が理想で、前走はハイペースでわずかに残せませんでしたが差し決着を0.1差④着なら十分に走れています。中間は美浦で十分に乗ったうえで、最終のタイミングで函館に輸送しダートで負荷をかけての追切と体調面も問題ないでしょう。但し陣営は熱さの不安を口にしているだけに、最高気温28度の予想が出ている函館はギリギリでしょうか。

[5]⑨サトノエルドール(亀田)

 前走に限らず、この馬の勝ちパターンは3~4角で捲り上げていくスタイルにつきペースが落ち着きそうなここは流れが向きそうな舞台と言えます。カフェファラオの態度がギリギリまで決まらなかったがためにソデにされた格好ではありますが、3場開催でW重賞がある週であることを考えれば亀田Jを確保できたのは良い方だと思います。

 不思議なことに亀田Jの芝での良績は根幹距離に集中しています。


 上記は今年の亀田Jの芝レースの距離別成績ですが、1400、1800といった非根幹距離で芳しくない一方で1200、2000では信頼に足ると言える数字を残しています。藤井Jの真逆とでも言いましょうか…

[5]⑩マイネルウィルトス(丹内)

 元々平坦コースで4角4番手以内を取れれば高い確率で好走する馬であるわけで、ここでも条件は揃うはずです。ただ2走前の壇之浦Sは他馬が外に振られる中インベタで労せずしてポジションを上げられたがための勝利で、前走は直線でのスピードアップが難しいコンディションでうまく風除けしながら進めた分で、色々と恵まれた側面が大きいです。凱旋門賞への壮行戦となり人気もしていますが、休み明け自体が久々というのとここに来て陣営が体重減に言及しており調整が上手くいくかどうかも不透明な状況です。


 上記は2010年以降の宮厩舎の前走間隔別成績ですが、回収率はともかくとして絶対的な勝率他は間隔の短い方が好走できています(5~8週の回収率が良いのは2度の単勝万馬券で数値が跳ね上がっている側面あり)。早めに動き出す展開は丹内Jと手が合っているとも言えますが、現状のオッズがこの馬の実力を真に示しているとは言い難く…

[6]⑪ディアマンミノル(泉谷)

 前走は見せ場なく敗れましたが、4角からずっと狭いところを走らされた分でした。左回りのコーナーリングもスムーズではない様子で、エンジンのかかりが遅い分長く良い脚を使えるのでやはり理想は右回りの大箱(=京都、阪神)コースの低速戦となるわけです。立ち回りが要求される函館では、エンジンがかかる前に終戦する可能性が高そうで…

[6]⑫アドマイヤジャスタ(吉田隼)

 昨年のこのレースにしろ今年の小倉大賞典にしろ、前が流れて脱落した先行勢を拾うレースで台頭している現状です。ペースが落ち着くうえ例年より開催開始が後ろ倒しになった分まだ内が活きている今回、斤量2kg増というのも歓迎材料とは言えません。

[7]⑬ワセダインブルー(大野)

 未勝利~2勝クラスまでは「長距離戦で馬場が渋った時」に勝ち上がっていた馬で、4走前のオホーツクSで洋芝+2000m戦を克服して勝っていますが札幌の開催後半で外差し傾向が出ていたタイミングでの勝利でありました。3走前の福島記念は直線で一瞬前が塞がったうえ位置取りを思えば0.5差6着は善戦の部類かとは思いますが、4角から鞭を入れる動き出しで最後は脚が上がってしまった様子を見るにここではかなり恵まれないとまだ厳しいと見ます。

[7]⑭マイネルファンロン(秋山稔)

 メンバー的にはスンナリ先行できそうな構成で、昨年は体調面の問題もあり全く見せ場が作れませんでしたが今年は休み明けの巴賞をひと叩きして体調上向き。スプリングS3着の実績もあり小回りコースが合っており、60秒前後くらいまでで流れてくれれば一昨年の再現があっても驚けません。

[8]⑮バイオスパーク(池添)

 昨年は外有利馬場を内で先行して3着。今年はその点条件は好転するのですがこの枠を引いてしまったのは大きな痛手です。2桁馬番では(1,1,1,5)で、馬券圏内に入った3度は10番枠or11番枠と「中枠」カテゴリでの好走と内に入れられるかで成績が変わってくるタイプにつき、よほど積極的に運ばない限りはインを取れなさそうで。

[8]⑯レッドジェニアル(坂井)

 良績が京都に偏っているように平坦コースは合っており、京都開催が無くなったうえG2勝ちにつき斤量面で気を遣う必要から適鞍探しに苦労していましたが、久々に平坦コースの重賞に出られるチャンスとなりました。

 但し状態面では明らかに途上で、絞れていないにもかかわらず最終追いが軽いというチグハグな内容。芝コース追い切りで51.6-12.2というのも特に強調できる時計ではなく、ここを叩いて札幌記念…と行きたいところでしょうか。

<予想>
◎ジェットモーション
○マイネルファンロン
▲サトノエルドール
△トーセンスーリヤ
△ハナズレジェンド
△ワールドウインズ

 好位で壁を作って運べそうなジェットモーションから入ります。前ないしは内で運べそうな各馬を相手に。


■小倉11R

[1]①ミスニューヨーク(加藤)

 1800mでは(4,1,1,1)で、唯一の着外は前残り決着を外差しした福島牝馬Sでそれも0.5差⑨着ですから内容のあるレースではありました。小倉や芝の重馬場のように上りがかかる展開を得意としており、理想は一雨ですが良馬場でも立ち回り一つで台頭の余地はありそうです。

[2]②ダノンチェイサー(岩田望)

 骨折明け後は手薄なOPでも勝ちきれない体たらくで、同じ舞台で行われた昨夏の小倉日経OPは後方有利な展開だったとはいえ外に持ち出した割には止まり過ぎという内容。元々きさらぎ賞も前有利展開があっての勝利で、ローカルとはいえ現状ではベストを尽くしても重賞で勝ち負けとまでは。

[3]③アンドラステ(川田)

 前走のマーメイドSでは距離延長でまともに掛かってしまい、外目で壁も作れず最後に止まってしまいました。その点今回はテンも流れるし距離は短くなるしで条件は明らかに好転しますが、馬の特徴なのか厩舎の特徴なのか間隔が詰まると必ずと言っていいほどパフォーマンスを落としており中3週の今回は強調しにくいのも事実です。

[4]④ドリームソルジャー(鮫島駿)

 4走前の阿武隈Sの際にご紹介したのが下記。

 ドリームソルジャーは「平坦」「右回り」「コーナー4回」のコースに良績が集中しており、過去6回の連対歴(3勝②着3回)は全てこの条件に該当します。

 上記に当てはまった阿武隈Sは、鞍上の好騎乗もあり見事に①着。昇級後3戦はパッとしませんがいずれも左回りのうえ「坂あり」か「ワンターン」で好走条件に合致しませんでした。今回久々に適条件に出られるうえ頭数・ハンデも手ごろで、開催上旬で内も活きているコンディション。内を捌ける鮫島駿Jなら直線でインにできたスペースを突いて一発、という期待は十分に持てるでしょう。

[5]⑤ロータスランド(藤岡康)

 台風の日のもみじSでラウダシオンの2着している経歴もあり、小脚が使えるタイプで他馬が苦手とする道悪でもスイスイ走れる強みがあります。この3連勝中は稍重or重でのレースが続きその点も大きかったと見ています。コーナーで加速の付く小倉は大トビ馬よりこのような馬の方が走り易い舞台ではありますが、まともにペースが流れた時の追走力は未知数であるうえムチに敏感なところがあり(前走も鞭を入れるたびに逆方向に飛んでいた)、位置を落とすと直線でかなり追いにくい展開になることが懸念されます。

[5]⑥メイケイダイハード(酒井)

 前走の米子Sは重馬場を思えば58kgを背負い4角2桁番手で唯一掲示板に食い込んだ走りは評価できるものでした。但し輸送で体が減ってしまうタイプにつき遠征競馬で結果を出せていない点が気がかりで、好走歴のほとんどは阪神という点からも昨年と舞台が変わる点はプラスとは言えないでしょう。

[6]⑦アメリカズカップ(松若)

 昨年の小倉記念ではマイル戦のようなハイペースが幸いし、後ろにいたことで漁夫の利を得られた4着でした。前が早くなると言っても今回そこまで捨て身の逃げを打ちそうな馬も見当たらず、現状のコンディションでは後方待機で35秒台の上りでは間に合わないだけに…

[6]⑧カテドラル(福永)

 前走の安田記念ではペースが思ったほど速くならなかった上、結局外を回す形になり良さが生きませんでした。前半が流れ自然と折り合いがつく小倉1800mであれば距離延長も対応可能でしょうし、コースロスを避け内を捌ければチャンスはあるでしょう。

[7]⑨ボッケリーニ(浜中)

 道中でしっかり脚を溜められればキレるタイプで、今年の中日新聞杯を含め前半4Fが48秒以上かかれば(4,0,0,2)に対し47秒台以下だと(1,4,1,2)とやや詰めの甘いところが出てしまいます。ワンターンの新潟外2000mからコーナー4つの小倉1800mに変わる点は好材料ですが、ある程度流れも速くなるので今年の小倉大賞典のように何かに負ける可能性は否定できないかと…

[7]⑩ディアンドル(団野)

 前走のヴィクトリアマイルでは道中のペースが11秒台後半になったことで一息入れることができ、中距離向きの馬に展開が向いたレースでした。コーナー4つの小倉大賞典で3着していることもあり、キャリア序盤は気性面の懸念から短距離戦を使わざるを得なかっただけでこの路線でも十分にやれることを示す近走となっています。当時よりも内が走り易く、他に行きたい馬も居ない今回は自分の形に持ち込めそうで型通り走れば好戦期待。

[8]⑪クラヴェル(横山典)

 前走のマーメイドSは外差しが嵌った格好ですが、牝馬で2000mを走れる馬がそもそも多くないこともあり軽ハンデでスムーズに運べた馬同士の決着ということを考えれば本質的な評価は高くはありません。ハンデキャッパーもそれがわかっての52kgであるわけですが、上りがそれなりに掛かる小倉であれば立ち回り次第で台頭の目はあっても良いでしょう。

[8]⑫アバルラータ(西村淳)

 8走前に勝ったオークランドRCTは丁度1年前に阪神で行われた中京記念の1つ前のレースで、インは砂埃が上がるほどのバッドコンディション。前が流れる展開もありましたが昇級後同様の流れでも通用していない点を考えれば、外有利馬場のお膳立ては欲しいところ。今の小倉はまだそこまでとは言い切れないだけに…

<予想>
◎ドリームソルジャー
○ディアンドル
▲ボッケリーニ
△ロータスランド
△カテドラル
△ミスニューヨーク
△アンドラステ
△クラヴェル

 ハンデ戦らしい混戦が見込まれる故、相手は広く取りたいです。


■福島11R マリアズハート

 良績が「右回りの1200m戦」に集中しており、3戦ぶりに得意舞台に出る格好。その3走前の春雷Sは最内枠から得意のイン突きで伸びましたが、外有利のバイアスもあり②着どまり。馬群の中を運ばせてインを突く戦法が合っており、包まれにくい枠を引き今の福島は内が活きるコンディションと来れば、巻き返しは可能と見ます。


2021年7月17日土曜日

【7/17(土)予想】

■小倉9R ストラトスフィア

 昇級後2走は大敗ですが、2走前はスタートで挟まれノーチャンス、前走は展開が厳しくハナを取れなかったことが災いしました。全2勝はいずれも小倉芝1200mを逃げ切り。未勝利戦で33.3-34.7のラップを勝ち切っており、包まれずに進める外目の枠も好材料。52kgで出られるここは一変まで期待です。


■福島11R アディラート

 外目から砂を被らずに運びたいタイプで、若干注文はつくものの条件が整えばこのクラスで通用する力量は有しています。2走前は重馬場で前が速くなり追走できず、3走前は59kgでこれも追走が苦しくなった分、4走前は1角で包まれ…と近走の敗因はハッキリしており、前走の天保山Sや5走前のマリーンS、7走前の欅Sでは重賞級と好戦しています。騎乗経験のある三浦Jならこの枠からしっかり外目を主張してくれるでしょうし、重賞実績あるのはケンシンコウのみというメンバー構成、57kgであれば十分に勝機でしょう。

2021年7月11日日曜日

【7/11(日)予想】W重賞の全頭評価

■福島11R

[1]①マウントゴールド(岩田望)

 先行できるかどうかが鍵で、4角3番手以内であれば(4,2,2,4)。着外4回の内1回はダート戦で、他3つの芝レースは負けても0.2差以内に走れています。今回は行きたい馬が多く3番手以内は微妙なラインですが、他の先行馬と違い前半60秒を切る流れでも走れている点は強みで、今の内有利のコンディションであれば残り目を期待する手はあるでしょう。

[1]②ロザムール(M.デムーロ)

 必ずしも逃げなくても、というタイプではありますが、2走前の中山牝馬Sは前後半の4Fが50.2-52.2という特殊なペースが奏功してのもので、その前の中山金杯4着にしても前半62.0秒と恵まれたものでした。60秒を切りそうなこの舞台では…。

[2]③ワンダープチュック(津村)

 前走・エプソムCの際にも触れたとおりベストパフォーマンスは3年前の福島TVオープンの2着ですが、仮にそれだけ走れても重賞では足りないという判断です。5走前の長岡S勝ちはいつもの戦法を覆しての先行策で勝ちましたが、マイル戦にして前半3Fが37.0という異常なスローペースに助けられてのもので、前走も後方有利の展開に乗じても0.6差8着がやっととなるとここからの前進は望みにくいでしょう。

[2]④トーラスジェミニ(戸崎)

 ペース不問のイメージですが速い流れで残したのはマイル戦でのもので、コーナー4つのコースで60秒を切る流れで残した経験は無く、同型もそれなりにいるここでは額面通りの信頼は置きにくいのが正直なところです。

[3]⑤ブラックマジック(石橋脩)

 前半62秒以上のゆったりした流れが主戦場で、60秒を切る流れでまともに走った実績がないとなるといきなりの中距離戦で評価はしにくいです。

[3]⑥ショウナンバルディ(岩田康)

 前走の鳴尾記念では同型が少なかったことに加えかなり恵まれたペースに助けられました。ユニコーンライオンが宝塚記念2着したことから力量を認める考え方もできますが、直線向いてからもなお加速したユニコーンライオンに対しこちらは最後後続に迫られて2着に残したという内容につき、勝ち馬と同様の評価はできないというのが正直なところです。他にも先行したい馬が大勢いるここではペースも流れそうで、展開利を味方につけるのは厳しいと見ます。

[4]⑦カウディーリョ(丸山)

 気持ちが入りやすく仕上がりが早い一方で、輸送距離の短い関東圏や滞在競馬の方が結果の出せるタイプです。本来来週の函館記念を予定していましたが賞金が足りない見通しにつき急遽こちらに参戦という事情で、前日入りで対策するとはいえ当日までのテンション維持に不安を残します。仮にそれだけ走れても昨年の夏2戦のパフォーマンスを見る限りここでは微妙な力関係で、1年近くの休養明けを予定を前倒しして使うという点もプラスには捉えにくく。

[4]⑧アールスター(長岡)

 3走前の中山金杯が好内容で、前半62.0秒という先行勢有利の流れを4角13番手から脚を伸ばして5着に持ってきました。前走の日経賞はスタートで挟まれる不利があり終始後方を追走しノーチャンスというレースでしたが、本来やろうと思えば3角で捲るなどしてポジションを上げていくこともできたはずです。この騎乗にも見られる通り、昨年の小倉記念を境に長岡Jは距離ロスを極力なくす騎乗を意識していることが見て取れます。

 今の福島は逃げるにしろ差すにしろ直線は内を進むのが得策で、昨日の阿武隈Sでエフェクトオンが道中最後方から最内を突いて勝ったように、コース形態的に不利と言われる追い込みであっても距離ロスを無くして最内を進めばチャンスがあるコンディションです。今回は幸いなことにアールスターより内の7頭はほとんどが先行タイプで、内がガラ空きになることが想定されます。内にこだわる長岡Jがここもその通りに乗り、ペースが流れて前が垂れる形になれば小倉記念の再現があっても驚けません。

[5]⑨クレッシェンドラヴ(内田博)

 メンバーを思えば昨年の有馬記念0.8差8着は大健闘の部類で、ここでの実績上位は疑いようがありません。1週前にCWで49.8-12.3の猛時計を出しており、7歳にして体調も万全。先行勢が厚い分捲るとなると外に振られる懸念はありますが、コース形態的にも力を出しやすいここでは多少の斤量増では揺るがないと見ます。

[5]⑩クラージュゲリエ(吉田隼)

 前走の鳴尾記念は流石にペースが遅すぎ、速い上がりに対応できませんでした。2歳時は後傾戦のキレキャラでしたが現状では適度にペースが流れ適度に上りがかかるのが良く、平均してレースの上りが36~7秒かかる七夕賞は適条件と言えそうです。前走は+8kgと馬体もやや余裕残しで、調教の遅れは気になりますが型通り絞れてくれば前進はあってもいいでしょう。

[6]⑪スカーフェイス(三浦)

 左回り(0,0,0,7)に対し右回り(3,2,0,2)としているうえ、上りのかかる展開で好走している点はポイントです。一昨年の生田特別は最後の1Fが13.0もかかる消耗戦でしたが、最後まで差を詰めての②着としていました。前半が流れる七夕賞は最後の1Fで13秒前後まで急減速することがここ数年続いており、こうした流れで好走した経験があることは強調材料となりえます。鞍上の三浦Jは昨日の芝レース最後の騎乗となった7Rで人気のロジモーリスに騎乗し4着でしたが、内を突くコース取りで今の福島の戦法を心得ていると見ます。2勝クラスを勝ったばかりの馬がここまで人気というのは過剰ですが、相手には含める必要がありそうです。

[6]⑫ツーエムアロンソ(野中)

 近3走は距離、馬場、ペースと言い訳の効く敗戦でしたが、4走前の関門橋Sでは56kgを背負い終始荒れた内目を通っての0.8差7着なら悲観する内容ではありませんでした。メンバーを考えればそれでもってここで通用するとは言いにくいですが、もともと56kg以上で好走したことがないだけに斤量が53kgになる今回は残せても不思議はないかもしれません。

[7]⑬プレシャスブルー(柴田善)

 前走のエプソムCの際に振れた通り馬体回復が鍵で、前回は442kgと増やしてきたものの見せ場なく13着。やはり好走のボーダーは450kg程度と言えそうです。中間にかなり攻めていることからも一定程度馬体維持が見込め、ギリギリにならないと見定めは難しいですが増やせていれば通用の目はあっても。

[7]⑭ワーケア(田辺)

 2歳時に高いパフォーマンスを見せたのちそれを更新できなかった3歳時という見方が妥当で、骨膜の問題などコンディションは良くても力量的にここで通用するかという点では疑問と言わざるを得ません。元来広いコースのほうが良いタイプでもあるだけに、うまい立ち回りが要求される福島ではいかに田辺Jでも難易度は高いかと…

[8]⑮トラストケンシン(吉田豊)

 戦法が限られるタイプにつき、外差しコンディションで展開を利しての差し決着でないと重賞での台頭は難しいのが現状です。内を突いて一発という狙いがあればよいのですが、吉田豊Jは(実際のコンディションは別として)見た目に荒れている内コースを極端に避ける傾向にあるため、ここも大外を回すことにならざるを得ず…

[8]⑯ヴァンケドミンゴ(酒井)

 言わずと知れたコース巧者で、脚質的に外を回さざるを得ないことからこの枠もマイナスではありません。但し今の内有利の福島では何かに負ける懸念があるため今回に限れば押さえまでという評価に…

<予想>
◎アールスター
○クレッシェンドラヴ
▲マウントゴールド
△ヴァンケドミンゴ
△クラージュゲリエ
△スカーフェイス
△ツーエムアロンソ


■小倉11R

[1]①メイショウワザシ(西村淳)

 必ずしも逃げなければ、というタイプではなく昨夏の阿蘇Sのように前を行かせての好位でもレースできるタイプです。当時は57kgを背負ってオーヴェルニュに先着(2着、オーヴェルニュは56kg)しておりこのコースでは高いパフォーマンスを発揮でき、しかもこの時はアルドーレやメイプルブラザーが差し込んでくる差し有利の展開をこらえての2着ですから額面以上に評価してよいレースでした。相手は強いですが、ハナを譲っても最内からロスなく運べれば見せ場はあっても。

[1]②アヴァンティスト(松若)

 テンが速くないタイプのため労せずして前につけられるペースになることが理想ですが、このメンバーにテンの速い小倉、しかもこの枠ではポジション取りに相当苦労することが見込まれます。

[2]③メイショウカズサ(松山)

 OPのメンバー・ペースではハナを切れても残せない現状。ここも展開は向きそうになく、きっかけ作りの一戦と言わざるを得ません。

[2]④マリオマッハー(森裕)

 エンジンのかかりが遅いため最後に他馬が足を失くすような展開で台頭するタイプですが、脚抜きが良くなるとなかなか前も止まらない上コーナーで加速がつく小倉ではコースロスも懸念され、森裕Jがうまく乗ってどこまで…

[3]⑤ブラックムーン(浜中)

 時計のかかる芝でも好走歴があるだけに侮れないですが、ベストパフォーマンスは4年前のマイルCS~3年前の京都金杯の時期で、このタイミングで重賞で通用するかと言われると未知数でこのメンバーでは手は出しにくく。

[3]⑥トップウイナー(和田竜)

 元々まともに同型が揃うともろいところがあり、気性的にも最近は自分で止めてしまう感じが出ているのが懸念点です。前走の目黒記念は新味を出そうとした参戦ですが、異次元のスローペースにも拘らず4角まで先頭もやはり止めてしまいました。適性もあるとはいえ流石に負けすぎで、ダートに戻っても一筋縄とは行かなさそうです。

[4]⑦ナムラカメタロー(小牧)

 前目でしぶとく脚を使えるタイプで、いかにも小牧Jと手が合いそうな馬と言えます。但し同じダート1700mでも小倉はかなり流れるので、息の入れどころが難しいためどこまでお釣りを残せるかでしょう。普段と違って最終追いがダートという点も強調しきれずで。

[4]⑧ワイドファラオ(福永)

 B着用で進境を見せた前走から距離自体は延長となりますが、テンのスピードは同じかそれ以上になりそうな舞台につき折り合い面の不安は軽減できそうです。もともと芝でも重賞を勝っている馬でスピード比べなら簡単には止まらず、逃げなくても良い今なら。

[5]⑨ウェスタールンド(藤岡佑)

 実績は断然ですし久々も苦にするタイプではありませんが、今回はやや急仕上げという臨戦過程に加えて4コーナーで膨らむ小倉コースではロスが大きく前を捉えきれない懸念があります。この人気で手を出すには躊躇するのが正直なところです。

[5]⑩サンライズホープ(幸)

 ここ2戦は前5Fが63秒くらいかかるスローな流れを押し切ってのもので、適性がかなり異なるここでは一筋縄ではいかないでしょう。但し3走前の鈴鹿Sで後方有利の流れを逃げて2着に残したように地力はあり、ハナにこだわるタイプでもないのでロスなく運べれば。

[6]⑪ペプチドバンブー(富田)

 3走前のような前傾戦になる期待はここでもありますが、当時と違って脚抜きの良い馬場で前もなかなか止まらないこと、また小倉だと4角でロスなく運ぶ難易度が上がる分、この枠でうまく立ち回れるかとなると厳しいでしょう。

[6]⑫ダノンスプレンダー(川田)

 勝ったポルックスSよりも評価したいのが4走前のカノープスS。差し決着を4角2番手で3着に残した内容は、早めに脚を使い始めることが求められる小倉向きと言えます。このコースをわかっている川田Jが駆るのであれば巻き返しがあっても。

[7]⑬タイサイ(中井)

 現状、脚抜きが良く流れる展開では厳しく、恵まれなさそうなこの舞台では。

[7]⑭タイガーインディ(熊沢)

 元々単騎逃げが叶えば、というタイプではあるので前走は度外視するにしても、このメンバーにこの枠では楽なレースはでき無さそうで。

[8]⑮スマートダンディー(秋山真)

 速い流れを差し込むのはこの馬の得意パターンで、展開面では恵まれうる舞台と言えるでしょう。但し最近は位置を取り切れていない印象で、距離延長で一押しを望むにしてもこの舞台では逆に作用しそうで。

[8]⑯メイショウウズマサ(斎藤)

 ハナに立たないと持ち味が出ないタイプで、この枠にこのメンバーではハナを取り切ったとしてもお釣りが残らない懸念があります。

<予想>
◎ダノンスプレンダー
○ワイドファラオ
▲サンライズホープ
△メイショウワザシ

 直前に雨もありコンディションが読み切れず、◎の単勝を中心に連を少々。

2021年7月10日土曜日

【7/10(土)予想】

■福島8R アドアステラ

 9戦連続で手綱を取っていた柴田大Jを差し置いて、ついにこの馬もデムーロJに乗り替わりの時が来ました。人気は3歳勢に譲っても終いは確実で、脚抜き良い馬場で最後に前が止まるようであればチャンスです。


■函館11R クリノフウジン

 小倉や福島と言った小回り1700mに良績が集中しており、3戦ぶりに適条件で走れるここはチャンスと見ます。コースロスなく立ち回れる岩田康Jへの手替わりもプラスで、相手は揃いましたが立ち回り一つで。

2021年7月4日日曜日

キャットウォーク、デビュー戦は13着。走り切れたことが何より


 出資馬である広尾TCのキャットウォーク(牡3、美浦・尾関厩舎)が7/4(日)の福島7R・3歳未勝利戦でデビューを迎え、15頭立ての13着でレースを終えました。


 メンバーでは唯一の初出走。鞍上に木幡育也Jを迎えて挑んだデビュー戦はスタートでアオって後方から。最初の直線から出ムチが入る状況で、苦戦は必至と覚悟しました。道中も集団から離れての後方を追走していましたが、直線では外に出され最後までいっぱいに追われて脚を伸ばし、バテた2頭を交わして結果13着で入線しました。

 騎乗した木幡育Jのコメントでは「道中はコースロスを避けインを進んだが、砂を嫌がる素振りを見せたので直線で外に出したら最後まで走ってくれた」とのことで、まだレースを学んでいないながらも一定のパフォーマンスは示した形。尾形師も「ゲートの音に驚いて後手を踏んだが、普通あれで走る気を失くすところ最後まで走れたのは収穫」と言及しており、十分な調教も詰めていない中で「最悪の形」は免れたレースだったと言えるでしょう。

 この後は「一息入れて様子を窺い、地方交流競走への投票も視野」とのことです。今日の感じからはこの1~2か月で勝ちを意識するレベルに持っていくのは正直厳しいという印象ですが、一度使ってこの馬なりの前進は見込めるでしょう。まずは入厩から今日まで、ゲートに調教に輸送にレースにと初めて尽くしの中頑張ってくれたキャットウォークにお疲れ様を言いたいです。



 また同レースに出走した同じく出資馬のマミリアス(牡3、美浦・根本厩舎)は、外目をソツなく運ぶも最後は脚色が同じになり7着での入線でした。とはいえ勝ち馬から1.2秒という着差はダート参戦後では最小(地方交流を除く)で、勝ち抜けが進みメンバー層が変わる中で前進を見せていることは確実です。こちらも次走は4節程度の間隔を想定して交流競走への投票を目指す模様で、またしても同じレースに出資馬が2頭揃う可能性も。まぁそれは自分の都合でしかないので、それぞれにとってベストな選択をしてくれることを願うのみです。


 キャットウォーク、マミリアスともに残されたチャンスは多くてあと1,2回。無事にデビューを迎えレースを重ねることの大変さに思いを馳せつつ、次も無事で駆けてくれることを願うのみです。厩舎陣営はじめ関係者の皆様、本当にお疲れ様でした。

【2021年上半期の収支報告】

【2021年1月~6月】
的中:31/120R(25.8%)
※本命抜擢馬の確定着順が3着以内となったレースを「的中」としています。

単勝回収率:108.0%
複勝回収率: 77.3%

【本命抜擢馬と結果の一覧】(クリックで拡大します)

 去年は1月からドデカい的中があったので、実は去年の同時期の方が成績が良かったわけです。実際のPATの収支はまたこれとも異なりますし現時点での数字は見劣るものの、個人的には年初より最近のほうが的中に近づけている感覚もあるので、あとはもう少し的中率を上げたいです。手を出すレースを絞っておいて4回に1回しか来ないのではなかなか収益にはならずで…

【7/4(日)予想】W重賞の全頭評価とねらい目レース(函館11)

■小倉11R

[1]①タイセイビジョン(川田)

 前走に関しては位置取りが後ろになってしまい、直線でもなかなか前が開かずでまともに追えませんでした。こうなると前が止まらない流れでは厳しいですが、さほどペースも速くなかったので本来はもう少し積極的に位置を取りに行ってよかったはずで、なすすべなく敗戦したあたりはやはり絶対的な追走力という点ではOPレベルだと厳しいという見方になるでしょう。前半32秒台は必至とみられる今回は32秒台の脚でも使わないと届かなさそうで、57kgはかわいそうですしそもそもそういうタイプでもないだけに…

[2]②メイショウケイメイ(藤懸)

 紅梅S勝ち、フィリーズレビュー0.2差5着、21'京都牝馬S0.7差7着とベストパフォーマンスが発揮できるのは1400m戦。1200mで2勝してはいますがいずれも1分10秒台のレースで、同じ51kgでもこの舞台の適性では他の馬に譲ると見ます。

[3]③ファストフォース(鮫島駿)

 8か月ぶりのレースになりますが中間はじっくり乗られ、2週前の時点で坂路で54.6-11.9、1週前も53.2-11.8と好時計を連発。輸送を控えた当週こそ54.7-12.2といくらかセーブしての仕上げでしたが、この調教過程は昨年の夏に西部スポニチ賞(2勝クラス)を勝った時の流れと合致します。

 その西部スポニチ賞は稍重で1.08.3。同日に行われた北九州記念が1.07.8となると良馬場ならそおそらくもう半分は時計は詰まったでしょうが、仮にそのレベルの脚を持っていたとしても1分6秒台の決着が見込まれるここではもう少し時計を詰められないと厳しそうです。調教過程からはここを目標にしていることが伺えますが、格上挑戦で長欠明けと超えるべきハードルは多くて。

[4]④クリノアリエル(富田)

 形式上は格上挑戦ですが、既に3勝クラスで0.1差の接戦を2回も経験しており現級上位と言えるでしょう。3走前の大濠特別で先着したメリーメーキングは土曜の函館日刊スポーツ杯(3勝クラス)を勝利、2走前はビオグラフィーが逃げ切る流れを差し込んでの3着で価値の高いレースでした。しかも当時はビオグラフィー52kgに対しクリノアリエルが53kgと1kg貰っていた形。逆に3kg貰いとなるここはチャンスであるうえ、4走前にこのコースで1.07.0で勝っている点からも時計対応は問題ないと見ます。頭数もこの条件にしては手ごろで、馬群を捌ければ大金星の可能性も。

[4]⑤クーファウェヌス(酒井学)

 このコースは(1,1,2,2)と安定して走れており、着外の2回は稍重時。良馬場ならパーフェクトです。天気が心配されましたが前日時点での予報では本降りになるのは夕方以降とのことで、レース本番まで馬場は持つ見込みにつきこのメンバーなら1枚押さえは必要かと。

[5]⑥ビオグラフィー(藤岡康)

 前走の京王杯SCでは初の強敵相手もメドの立つレースができました。但し前半34秒台の単騎逃げとなるとG2ではかなり恵まれた方で、32秒台を踏まなければいけない今回はそう楽な競馬は望め無さそうです。古馬戦に使うようになってから掲示板を外した2回がいずれもこのコースで、テンが流れるレースはこの馬の本質的にも苦手と見るべきでしょう。

[5]⑦プリカジュール(角田)

 いくら49kgとはいえ芝で未勝利、下関Sの1.08.7の決着タイムでも残せなかった現状では通用可能性は見出せません。軽ハンデ・格上挑戦という存在がこの馬だけなら舐められて残せる目も考えられますが、色気を持った存在は他にも大勢いるだけに。

[6]⑧メイショウチタン(松若)

 前半が35秒くらいで流れてくれるのが理想で、1200mではそれを望みにくいことから現状良績は1400mに集中しています。但し2走前の鞍馬Sでも4着したように前崩れの展開でも残せており、スピードの持続力のあるタイプにつき望みどおりに前が流れれば残り目は期待できるでしょう。

[6]⑨ヨカヨカ(和田竜)

 スプリント適性の高さは証明済みで、前走の葵Sも位置取りの差を思えば勝ちに等しい内容でした。但しもともと差しが決まるコンディションで比較的後方待機勢に流れが向いたことも事実で、小差で走ったファルヴォーレ、フォイアーロートが次走2勝クラス戦で歯が立たなかったことを考えればこのレースのレベル自体は2勝クラス程度という可能性があります。2着に入ったフィリーズレビュー組のその後も考えれば、押さえる必要性は認めてもここでここまで人気するのはやや過剰に映ります。

[7]⑩アウィルアウェイ(松山)

 馬場状態でパフォーマンスが左右される馬で、良馬場(3,1,2,3)に対し稍重以下では(1,0,1,6)。良馬場で着外の3回の内1回は3歳時の京阪杯④着で不利を受けてのもの、その他2回は適性外のマイル戦ですから、スプリントでは崩れずに走れています。テンが流れるレースは得意で、昨年の北九州記念、スプリンターズSと連続③着は前半32秒台のハイペースを差し込んでのものでした。その北九州記念を基準に考えれば、ここはメンバーが大幅に易しくなるうえ斤量は55.5kgで据え置きですから、順当に走ればここは勝機でしょう。

[7]⑪ピクシーナイト(福永)

 気難しさが顕著になっており距離短縮はプラスで、音無師も語ってる通り3歳重賞を勝っておきながら53kgで出られるのは有難いでしょう。但し近走のレースぶりを考えればこの枠ではテンから飛ばしていってしまう懸念があり、ビオグラフィーの後ろに収まればよいですが前に馬を置けない展開になってしまうと最後まで脚が持つかの不安は残ります。

[8]⑫メイショウカリン(秋山真)

 3走前にこのコースで勝っているとはいえ当時の勝ちタイムは1.08.3で、2走前の北九州短距離Sで1.07.0の決着タイムとなると歯が立ちませんでした。とはいえ当時は内が悪くなっており、脚質的に大外を回される展開になったことも災いしました。OP馬にも拘らず準OPのクーファウェヌスと同じ51kgで出られる点は見逃せず、差しの巧い秋山真Jに手が変わるのであれば押さえは必要でしょう。

[8]⑬ノーワン(荻野極)

 かれこれ2年4か月勝ってないものの、終いは必ず一脚を使えるタイプで着差ほど負けているレースは多くはありません。但し、助走をつけて長く良い脚を使うタイプではなく馬群の中で脚を溜めて最後の一脚で決めるレースが理想で、阪神1400mのようなレイアウトのほうが力が発揮できるだけにこのコース、この枠では脚の使いどころが難しいと見ます。

<予想>
◎アウィルアウェイ
○クリノアリエル
▲メイショウカリン
△メイショウチタン
△ヨカヨカ
△クーファウェヌス
△ファストフォース

 脚質的にアテにしにくい馬であることは確かですが、スローペースは望めないだけに最終的には追い込み勢に流れが向くレースになるだろうという見立てでアウィルアウェイを含め後方待機組を上位にとりました。


■福島11R

[1]①デルマセイシ(菅原明)

 2勝はいずれも中京のマイル戦で、1000mが60秒以上かかる緩い流れを利してのものでした。他レースで大敗している点からも好走条件はかなり限られると見られ、開幕週でそれなりに逃げたい馬も居るここでは。

[1]②ヴァイスメテオール(丸山)

 デビューから3戦は超が付くスローペースで、まともなペースを経験したのは前走が初めてでした。とはいえそれでも東京2000mで前半60.3では前が残るのも仕方なしで、2桁番手から唯一掲示板に入ったレースぶりは評価できます。母のシャトーブランシュはマーメイドSでマリアライトを降すなど良績は6-9月の夏場に集中しており暖かい時期もプラス。なし崩し的に脚を使いたくないタイプだけに今の福島でどうかという点はありますが、食い込みには注意が必要かと。

[2]③アサマノイタズラ(嶋田)

 皐月賞ではまともに掛かってしまい勝負になりませんでした。但しG1のペースでかかってしまうとなるとこれは馬ではなく騎手の側の問題が大きく、嶋田Jにとっては3走前の水仙賞の敗戦が頭にあることは間違いないでしょう。となるとここもうまく壁を作って…というレースは期待できずで、トップハンデを背負うここではプレッシャーのほうが大きいでしょう。

[2]④プレイイットサム(M.デムーロ)

 前走の山藤賞では控える競馬で新味を出しましたが、当時のメンバーは次走自己条件ですらまともに走れておらず、高い評価はつけにくいのが正直なところです。

[3]⑤ボーデン(武藤)

 スプリングSは外を回した差し馬がこぞって上位に入るレースで、内を通ったこの馬の3着は着順、着差以上に強いレースでした。これで今回アサマノイタズラに対し1kgハンデの恩恵があるのであれば前進期待です。

 但し武藤Jはクラスが上がるごとに戦績を落とす傾向が強く、OP級以上で124戦(7/2時点)して未勝利というのは馬以上に騎手にクラスの壁があるように見受けられます。馬質と言えなくもないですが、5番人気以内の騎乗機会も16回ありながらこの数字ですので…


[3]⑥リッケンバッカー(幸)

 NHKマイルCの4着は後方勢に多分に流れが向いたものでしたが、馬群を気にしないタイプでうまく捌くことができた分の好走でもありました。但しこの馬がキャリアで唯一掲示板を外したのがコーナー4回の小倉1800m戦。この時は直線で外に大きく膨らんだかと思えば左ムチで内に飛ぶところを見せ、コーナーリングへの不安を覗かせるレースでした。その後一貫してワンターン、しかも直線の長いのマイル戦を使われている点からも、加速しながらのコーナーリングが求められるここでは能力全開とは行き辛く。

[4]⑦シュヴァリエローズ(吉田隼)

 萩Sを勝ったからという理由で55kgを背負わされていますが本来は1勝クラス相当のレースで、若葉Sでもアドマイヤハダルに0.5差つけられていることを考えればここでは酷な斤量と言えます。ホープフルS5着の実績を考えても押さえまでが妥当かと。

[4]⑧ロードトゥフェイム(木幡巧)

 コーナー4回のコースでは崩れなく走れていましたが、前走のスプリングSでは向こう正面で落鉄し0.8差の8着。ただでさえ走りにくい重馬場に加え馬体減、ソエを気にしながらの調整とマイナスが重なった中ではよく走れていました。この中間は十分な本数を乗られ態勢は整っており、通常の1勝クラス勝ちと同じ53kgで出られる点も好材料。4角から動かしていける脚質もこのコース向きで、台頭あっても驚けません。

[5]⑨スペシャルドラマ(戸崎)

 前走は比較的前有利の流れながら4角4番手通過から6着。使える上りに限界がありキレよりも粘り込みで勝負したいタイプで、適度に時計がかかる今の福島の馬場は合っていると言えるでしょう。但し実質7頭立ての2走前のレベルからはここで強調するには物足りないと言わざるを得ません。

[5]⑩ワールドリバイバル(津村)

 ここ2戦は流石に相手が強かったですが、スプリングSでも不利なインで逃げて0.7差6着なら悲観する内容ではありません。但し黄菊賞で前半62.6と恵まれながら残せなかったあたり上りが使えないタイプのようで「スローで流れてほしいけど一本調子で逃げ切れる」展開が理想で、3走前に小倉で逃げてスローで押し切ったようなレースができれば…という現状でしょうか。流石に重賞でそこまで恵まれる展開は望めないだけに。

[6]⑪タイソウ(三浦)

 道中13秒台の区間を作って息を入れられるペースであれば好走できますが、そうなると2000m未満だと厳しくなってしまいます。コーナー4つは歓迎ですが、この距離の重賞で13秒台の区間はできなさそうで。

[6]⑫アイコンテーラー(亀田)

 前でレースができればしぶとい馬で、前走の早苗賞は47.3-49.9の前傾戦を2番手で押し切る好内容でした。但し昨年の勝ち馬バビットが早苗賞を逃げ切った時が1.47.8で、稍重とはいえ1.49.3では時計対応に不安を残します。

[7]⑬ワザモノ(柴田善)

 前半が36秒以上かかる「スローの短距離戦」でしか勝てておらず、本来このくらいの落ち着いたペースが良いならもう少し長い距離に適性がありそうです。重賞OPでは大敗していますが絶対的なスピード値の差であり、距離さえ持てば紛れはあってもという期待はできるかと。

[7]⑭ノースブリッジ(岩田康)

 コーナー4つの2000m戦で2連勝しておりコース変わりは歓迎ですが、その2勝はいずれも前半63秒台の恵まれた流れであり距離が短くなるうえ時計ももう少し流れるとなると、逃げないまでも追走の面で不安を残します。

[8]⑮グランオフィシエ(大野)

 デビュー戦は不良馬場に脚を取られての4着、2戦目は前半4Fが49秒とスローになりトゥーフェイスの楽逃げを許した分の2着で、この2戦は型通りに実力を発揮して勝ったと言えるでしょう。但しいずれも東京芝2000m戦で、直線向いてのヨーイドンで間に合う舞台だったことも事実。福島芝1800mは3角から加速が始まるコースで、早めに動かしたときにこれまでと同じように脚を使えるかが鍵になるでしょう。2戦目の東京芝1800mの内容を見る限りでは、そちらの流れになると脆さを露呈する懸念の方が大きいです。

[8]⑯ヴェイルネビュラ(田辺)

 前走のNHKマイルCの時にも言及しましたがジュニアCは実質1勝クラスで、この実績を基に55kgを背負わされるのはかわいそうです。スプリングSの5着も外差し勢が有利だった展開を思えばさして強調できる内容ではなく、東京での2戦で敗れているようにキレ勝負にも向かないとなると内枠を取って先行して最後に一脚、というレースが理想ですがこの枠ではそれも望み薄で。

<予想>
◎ロードトゥフェイム
○ボーデン
▲ヴァイスメテオール
△シュヴァリエローズ
★ワザモノ

 落鉄しながらの前走内容を考えれば、ロードトゥフェイムが53kgなら通用の素地はあると考えます。ボーデンは鞍上で割り引きましたが実力通りに走れば対抗一番手は揺るがないかと。


■函館11R マドラスチェック

 まともにOPで走れていない馬の集まりで、実績馬と言えば昨年G3で2着が2回あるドゥオーモが目立つ程度。手ごろな頭数で行きそうな馬がいないとなれば、逃げて良績を残しているマドラスチェックの残り目は無いでしょうか。もともとデビュー勝ちは芝で、クイーンCでもクロノジェネシスから0.5差の6着と善戦していました。洋芝なら絶対的なスピードも補えますし、開幕週でうまく前を取れれば一発が期待できるでしょう。

2021年7月3日土曜日

キャットウォーク7・4初陣、陣営の尽力と当馬の頑張りに敬意を表して


(キャットウォーク/写真:2021年5月、テンコーTCにて。広尾TCWebサイトより)

 出資馬である広尾TCのキャットウォーク(牡3、美浦・尾関厩舎)が7月4日の福島7R・3歳未勝利(ダ1700m)にてデビューを迎えることになりました。

 キャットウォークは父スピルバーグ、母スイートマカロン。天皇賞馬スピルバーグは2017年生まれが最初の世代で、現3勝クラスのウインドジャマーが出世頭ですが産駒の全15勝(7/2現在)の内11勝がダートであり、米国系の母の血が色濃く反映された種牡馬成績となっています。母のスイートマカロンは広尾TCの会員にとってはお馴染みの肌馬で、半兄グランソヴァール(中央3勝)、全姉キャッツアイ(中央1勝、故障引退)も同倶楽部の所属。上の兄弟5頭の内4頭が勝ち上がって(地方交流含む)おり、当初から当馬への期待も高いものがありました。

 実は当馬は私が広尾TCに入会する際に4口無料特典を使って選んだ1頭でしたが、最も期待していたのがこの馬でした。力強さを感じる好馬体が目を引き、順調に使えさえすればダートの条件戦などで息の長い活躍をしてくれるだろうと…。

 この馬のデビューまでの道のりは前途多難でした。2歳の2月にボーンシストを発症し手術を経験。既にキャンターを開始していましたが騎乗の再開は2歳の9月まで時間を要しました。休養が長かった分トモの頼りなさをカバーしながら秋冬をじっくり乗り切ったところ、3歳5月にして今度はソエに悩まされることに。再び調教のセーブを余儀なくされましたが、未勝利戦の終了から逆算して5月末に入厩し尾関師が手元で調教を進めてくれたことで、何とかデビューにこぎつけることができました。

 正直、個人的にはデビューも厳しいと思っていただけに、レースでその姿を見られることは何よりです。ここまで導いてくれた尾関厩舎、テンコーTC、坂東牧場をはじめ関係者の皆様のご尽力に、改めて感謝申し上げます。


 とはいえ、休養期間が長くトモの強化が十分でない中まともに坂路で乗れていない状況につき、実戦に行ってどこまでやれるかというのはあまり強気になれないのが本音です。但しここでタイムオーバーにでもなってしまったら実質的にこの次がラストチャンスになるわけで、何とかレースに参加できるめどを立ててくれれば…というところです。


(マミリアス/写真:2021年6月24日川崎7R。広尾TCWebサイトより)

 加えて同レースには同じく出資馬のマミリアス(牡3、美浦・根本厩舎)も出走。こちらは前走川崎の交流戦で惜しい2着の後で、ここは次走権利取り(5着以内)を目指したいレース。この他にも入着経験のある馬が揃っており決して楽な相手ではないですが、一生に一度のデビュー戦。無事完走と次につながる走りを期待して、TVの前で正座待機します。

【7/3(土)予想】

■福島7R マイネルパリオート

 2走前の中山戦は差し追い込み勢が上位を占める中で、2番手から早め先頭で2着に残す好内容。前走は出脚こそよかったものの、被されまいと気合をつけるとまともに掛かってしまい直線で失速。キレがない分息を入れて運べるコーナー4つのコースのほうが合っており、シゲルシャインなど骨っぽい相手もいますがここは前で運べるこの馬が決める番でしょう。

■福島11R オルダージュ

 スピードを活かして押し切るレースが理想で、開催前半(4日目まで)の芝レースでは(2,0,2,1)。唯一の着外は1400mの新馬戦で、スプリント適性がはっきりした現状ではほぼパーフェクトに走れていると言えます。前走は直千コースの最内枠で参考外。テンの速い馬も居ますが逃げなくてもレースはできるクチで、開幕週のこのメンツならメドが立つ以上のレースが期待できそうです。