パドックでは発汗も見られテンションはギリギリ、馬体は減っては無いが増えてもない、本番を迎えるコンディションとしては必ずしも万全とまでは言えない状態。
そしてレースではガチガチの包囲網に遭い内に押し込められる苦しい位置取り。しかしながら松山Jは焦らず、直線で馬群がばらけることをじっと待っていました。
直線で外に持ち出す機会をうかがうも、同様の位置取りの馬も多く前とはかなり距離がありました。ここで、松山Jの好判断が閉じかけた女王への扉をこじ開けます。
①左上=斜め前にぽっかり1頭半分のポジションが。ここを取れるのはデアリングタクトとその内にいたマジックキャッスルの2頭。
②右上=2頭とも間髪入れずに飛び込むも…
③左下=わずかに機先を制したのはデアリングタクト。
④右下=デアリングタクトはそこから鋭く伸び前を捕らえる。一方マジックキャッスルは一旦内に振られたのち再度外に切り替えるも前が開かず。
マジックキャッスルはデアリングタクトの通ったコースを突いて伸び5着に食い込む健闘を見せました。勝ち馬とは0.4差、上り3Fは33.4をマーク。スムーズなら2着もあったかと思わせる脚勢でした。もしあのスペースに飛び込んでいたのがマジックキャッスルだったら…競馬にたらればは禁物ですが、たらればには次走以降のヒントがいっぱい詰まっています。
実は直前まで印を迷うくらい魅力を感じてはいたのですが、前走大敗後在厩調整で上り目に乏しいこと、それを物語る「最終追いが坂路」という調教過程からも手は出せませんでした。アーモンドアイやカレンブーケドールがそうであるように国枝厩舎は本気仕上げにはコース追いを使うのがセオリーで、マジックキャッスル自身もこれまで最終追いは全てコース(ウッドもしくはポリ)でした。坂路追いは負荷を抑えたいときに使う最終手段で、ギリギリの仕上げでは逆転は厳しいと見ておりました。ですがやはり高速馬場への適性は高いのと、母父シンボリクリスエスという血統背景からもこのコースではやれてもおかしくありません。勝ち上がりこそ早かったものの、まだまだ良くなる余地を感じさせるレースでした。
一方、デアリングタクトは絶体絶命の位置から最後の200mほどであっという間に前を捕らえる圧巻のレースぶり。テンションが上がることも、包まれることも、直線で行き場をなくすことも全て想定して印を割り引いたのですが、そんなこと関係なしに馬が強かったことに加え、上でも挙げましたが松山Jのとっさの判断が勝利へ導いたと言えるでしょう。こうしたプレーが出来ていることが今年の好調を裏付けていると思いますし、この大舞台、未知の距離それに応える馬の強さたるや。
競馬界に新たな名コンビ誕生、と言っていいでしょう。
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