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2020年10月1日木曜日

秋華賞パラスアテナの鞍上問題、「あの馬」の出否がカギを握る


(写真:2020年9月12日、紫苑S出走時 出典:広尾TC

 紫苑S2着で秋華賞(10月18日・京都競馬場)への出走を予定している広尾TCのパラスアテナ(牝3、美浦・高柳瑞厩舎)について、ここ3戦で手綱を取った武豊Jが10月2日にパリ・ロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞(ジャパン)騎乗のため秋華賞当日の騎乗が不可能となったことは既報の通りです。

 既に出資会員の間でも話題になっていますが、こうなると「本番で誰が乗るのか」が非常に気になるところであります。かくいう私もその一人。個人的には、騎乗経験のある吉田隼Jなんかが良いと思っていましたが、フアナで権利獲れなかったルメールJや、クラヴァシュドールの距離適性に見切りをつけたデムーロJが当日空いている…なんて事態にでもなったらワンチャンあるのでは?と淡い期待を持ったりしていました。


■現時点での出走予定馬とボーダー、想定騎手

 妄想を繰り広げる前に、現時点での出走予定馬をおさらいしておきます(敬称略)。

【優先出走権】5頭予定
マルターズディオサ(紫苑S1着) 田辺
パラスアテナ(紫苑S2着) ○○
シーズンズギフト(紫苑S3着) <回避>
リアアメリア(ローズS1着) 川田
ムジカ(ローズS2着) 秋山真
オーマイダーリン(ローズS3着) ○○

【賞金上位】8~10頭予定
デアリングタクト 松山
ウインマリリン 横山武
サンクテュエール ルメール
ミヤマザクラ 福永
アブレイズ 藤井
ウインマイティー 和田竜
クラヴァシュドール M.デムーロ
ホウオウピースフル 池添
マジックキャッスル 浜中
デゼル 藤岡康

【賞金順】
(1,500万)3~5頭出走可能
クラヴェル 横山典
ソフトフルート ○○
フィオリキアリ 北村友
ミスニューヨーク 加藤祥
レイパパレ ○○

 ざっと名前が挙がっているのはこのあたりでしょうか。


■賞金上位馬の動向

 シーズンズギフトは富士Sへ向かうことが発表されましたが、同じキャロットCのサンクテュエールとの使い分けという話もあります。しかしながら、そのサンクテュエールが帰厩後今ひとつ調子が上がらないというか、陣営のトーンが上がって来ないようで、回避も囁かれるように…とすれば、ルメールJはこれらのいずれかに乗ると目されていただけに、そのいずれも回避となるといよいよわからなくなってきます。

 加えて、持病である右肘の腫れを抱えるウインマリリンも、膿の状態を見ながらの調整を強いられているとのことで予断を許さない状態。彼女ら重賞ホルダー2頭が抜けると、現時点で登録の意向を表明している賞金1,500万の5頭が全頭出走可能になります。


■「川田組」の騎手手配が気になるところ

 次に考えたいのはパラスアテナ以外の未定の3頭。これらはいずれも川田Jで勝ち上がった馬で、リアアメリア参戦によりアテを失ったと言えます。

 まず、オーマイダーリンについては川田Jに加えローズSで3着に導いた和田竜Jも先約で乗れず。先約が無く他に騎乗経験があるのは江田照J、川須Jですが、このためだけに江田照Jを呼ぶのは現実的でないので無難に川須Jでしょうか。河内厩舎なら幸、岡田、和田翼Jも居ますが…

 ソフトフルートは中京の2勝クラスを好時計で勝った馬。騎乗経験あって先約が無いのは吉田豊・隼J、岩田望Jの3名。ゴドルフィンはどちらかというと騎手起用に介入することの少ないイメージで、先週の神戸新聞杯のターキッシュパレス(5着)も富田Jとのコンビを継続させました。そうなると、初勝利以来となる岩田望Jの起用も可能性ありますが、評判が高いだけにエージェントサイドからの売り込みもそれなりにあるでしょう。

 最後にレイパパレ。デビュー3連勝中でインパクトの大きい馬ですが、これまで3戦は全て川田J。ちなみにこの馬もキャロットFの所有馬ですが、横山典Jでの参戦を表明しているクラヴェルと違って鞍上はまだ発表されていません。キャロットFの事ですから、出られるのであればルメールJ等宛がいたいところでしょうが、そのためには確実に出走できる情勢にならないといけません。


■鞍上問題のカギを握るのは「ウインマリリン」

 上記経緯から察するに、私はひとえにウインマリリンの出否が騎手のやりくりを考えるうえで重要になってくると考えます。

 現在、出走表明している中で優先権持ち+賞金的に確実に出られるのは15頭。こうなると残る3枠に対し5頭が抽選となります。この状態であれば、ルメールJはサンクテュエールに乗ることがほぼ確実と言えるでしょうし、レイパパレが除外になっても自己条件で川田Jを乗せれば良いという考え方も出来ます。

 一方、サンクテュエールが回避する流れになるなら、キャロットとしてはレイパパレにルメールJを騎乗させたいでしょう。しかしながらサンクテュエールが回避するだけではまだ5分の4の抽選なわけで、万が一これに漏れてしまったらキープしていたであろうルメールJに申し訳が立たなくなります。ですが、サンクテュエールの出否発表より前に回避馬が1頭出れば、サンクテュエールを引っ込めることで1,500万組の抽選が無くなることが決定するので、正式にレイパパレへのオファーを出すことができます(他に登録する1,500万円馬が居なければ)。

 即ち、サンクテュエール以外に回避の可能性のある馬、今回で言えばウインマリリンがもし先に回避を発表することになれば、サンクテュエールもそれを見て引っ込めたうえでルメールJの乗り馬が決定できる、と踏んでいます。


■使い分けのジレンマ

 では逆にウインマリリンが出走にこぎつけ、なおかつ回避馬も出ないとなるとどうなるでしょうか?シーズンズギフトを富士Sに回してまでお膳立てをしたわけですから、態勢さえ整えばサンクテュエールは普通に秋華賞に向かうでしょう。これはサンクテュエールというより、シーズンズギフトの出資者への配慮だと私は考えます。

 そもそもシーズンズギフトは春にもフラワーC3着、NZT2着としておきながらG1への出走が叶わなかった馬で、会員としても「何とかG1の舞台へ」という思いは強かったはずです。真意はさておき、藤沢和師は「紫苑Sのレースぶり」を理由に距離適性含め秋華賞は厳しいと判断、52kgで出られる富士Sでマイル路線に挑むという方針を明らかにしていますが、この説明にすべての出資者が納得しているとは言い切れないのが実情です。外形的には「トライアルを使って優先出走権を獲得したにもかかわらず本番回避」という事実が残るだけで
、使い分けを疑う声が出るのはやむを得ないでしょう。

 最悪なのは、サンクテュエールが回避してなお抽選が発生し、レイパパレが漏れてしまった場合です。シーズンズギフトの回避を「ルメールJの使い分け」と考えるファンの立場からすれば、「ルメールJを譲った」サンクテュエールが回避し、さらに鞍上未定のレイパパレが出られずとでもなれば、結局何のために譲ったのか、という思いになってしまう可能性もあります。

 これはルメールJの立場で考えても同じことが言えます。ノーザンへの恩義を感じ予定を空けているのでしょうが、デゼルに乗れる可能性だって十二分にあったはずです。騎乗馬が居ないのではシャレになりませんし、仮に抽選でレイパパレが出られたとして、そこにルメールJが収まってもそれは結果論で、囲っていたのに最後までヤキモキさせられるのは気分は良くないでしょう。クラブは複数の馬を送り込めますが、騎手は1人。やりくりがうまく行かないこともあるわけです。


■パラスアテナの鞍上はルメールJ次第?

 さて、何でここまでパラスアテナに関係ない話を書いたのかというと、武豊Jからの乗り替わりを余儀なくされる同馬にとって、ルメールJの鞍上は無関係と言い切れない事情があるためです。

 武豊Jの騎乗依頼仲介者(エージェント)は元競馬ニホンTM(トラックマン)の豊沢信夫氏で、同氏は他にもルメール・浜中・そして泉谷Jのエージェントを務めています(1人のエージェントが担当できる騎手は3人+若手騎手1人まで)。エージェントは同氏のように厩舎関係者とのパイプを持つ競馬新聞や専門誌のTMが務めることが多く、担当エージェントがどれだけ顔が利き信頼してもらえるかが騎乗馬の質を左右します。

 騎手起用に介入するオーナーの持ち馬を除けば、厩舎関係者からの騎乗依頼はジョッキー単位というよりエージェントに対して持ちかけられます。その中でエージェントが差配するので、自ずから同じ担当エージェントの騎手同士で序列があったり騎乗馬の融通があったりします。ルメールJの乗る可能性のある馬に武豊Jが乗ることもありますし、その逆も然り。となれば、武豊Jが継続騎乗していたパラスアテナの宛がう先を探して、ルメールJに話が行っている可能性もゼロではありません。

 実力のほどは走ってみないとわかりませんが、紫苑Sでは自身の騎乗するシーズンズギフトに先着した馬ですから、身体が空いているのであればオファーがあっても不思議はないですし、応諾の可能性も万に一つとはいえ無いとは言い切れません。しかしながら、現時点ではキャロットのいずれかの馬に乗ることが濃厚な情勢で、仮にオファーがあったとしても乗ります、とは言えないでしょう。

 とはいえ、早々と秋華賞参戦を決めていたパラスアテナの陣営としても、可能であれば武豊Jが乗れないとわかった時点で早めに鞍上を決めてコンタクトを取っておきたいはずです。帰厩したこの時点でまだ明確なアナウンスが無いということは、あらゆる選択肢を模索していることの表れでしょうし、そこに全国リーディング騎手というオプションがあったとすれば、ギリギリまで待つのもやむを得ないと考えるのが自然でしょう。


■まとめると

 未定かつ個人の想像であるという断りを入れたうえで書けば…

・本線は吉田隼Jでしょうか。夏の波乱の立役者にして全国リーディング7位。但しこの日は恐らく新潟にいるはずなので、前々から確定させないと厳しそう。
・ギリギリまでルメールJの動向を待つなら、直前の水~木あたりまでずれ込むことを覚悟する必要あり。それで結局乗ってくれない、となるならば、当日京都で乗る人の中から選ぶほかない。藤岡佑Jとか当日居ないですかね…

 というのが現実線でしょうか。誰が乗ろうと応援する気持ちに変わりはありませんが、出資馬が初めてG1に出るとなると思い入れもひとしお。あと2週間半、楽しみに待ちたいと思います。

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