Special Thanks

当ブログは、広尾サラブレッド倶楽部株式会社様のご厚意により、同倶楽部の所有する競走馬の写真及びWebサイト記載情報の転載許可を頂いております。

2020年10月31日土曜日

【10/31(土)予想】乾坤一擲の適鞍<キタサンブラックMロライマ>


 プロ野球のビールかけと一緒で、キタサンブラックの引退レースは勝つことが前提だったと言わざるを得ない演出の数々でした。しかしそれをやってのける人馬も凄いですし、「馬主が歌唱したため」最終レースの発送を遅らせるJRAもなかなか粋なものです。

【ラインナップ】

・東京10R(キタサンブラックメモリアル)/15:10

■東京10R

 文字通り「キタサンブラックが顕彰馬に選出された」ことを記念して行われるレースですが、芝1600mというのは全く同馬のイメージが湧きません。それはさておき、この条件はハイレベルかつ多頭数で、関西馬も多数遠征に来ることがざらです。

 その遠征勢の中から◎ロライマを再度抜擢します。前走は4角で窮屈になるシーンがありながら最後までよく差を詰めてきていました。再度の輸送となりますが去勢効果で気性面の問題も解消されており、春の江の島Sでも14番人気5着と好走。ここは適鞍と踏んでの参戦でしょう。好走してても人気しないタイプなだけにここは頭まで期待します。

 横山武Jだと人気してしまうかと思いましたが意外と落ち着いている様子(12時現在8番人気)で、もう一押し足りないこの馬の末脚を補えるパンチの利いた騎乗に期待です。父の駆る△カイザーミノルも一発の雰囲気。

単勝4
ワイド4-5,6,12

2020年10月25日日曜日

【10/25(日)結果】

■京都11R ◎コントレイル→1着(1/18人気) △ディープボンド→4着(7/18人気)

 道中は中団の内を進んだコントレイル。しっかり馬群の中で折り合ったことでスムーズに運べ、最後まで力を温存することが出来ました。少なくとも同世代では力量で勝ることは証明できましたし、今後古馬との争いでどうなるかが注目です。

 アリストテレスはそのコントレイルをぴったりマークして運び、追い出すタイミングもほぼ一緒。適性の差であそこまで迫れたという言い方もできますが、着取りの競馬ではなく勝ちに行っての僅差2着は大きく評価できると思います。

 相手抜擢したディープボンドは最後の最後にサトノフラッグに交わされ4着。コントレイルの前外を進み、ワンテンポ速く追い出して進路を作る完璧なエスコートでしたが、追い出しを待った分キレで勝る後続の台頭を許してしまった側面は否定できず…力量的には妥当な決着とはいえ、もうちょっとどうにかならなかったのかと…

マミリアスデビュー戦は6着、上々の船出


 出資馬である広尾TCのマミリアス(牡2、美浦・根本厩舎)が日曜東京4Rの新馬戦(芝1600m)に出走、6着となりました。

 今年の4月、エクワインレーシング在厩時463kgの馬体重だったマミリアス。450kg台で出てくるかなと思いましたが今日の馬体重は470kgと一回り大きくなってデビューを迎えました。パドックの感じではまだレースというものを認識していない感じで、落ち着きこそあれどもう少しピリッとして欲しいというのが正直なところでした。もしかすると、体重が増えた分はまだ絞れる余地を残しているのかとも思いつつ…

 それでもスタートするとスッと好位につけ、1・2着馬に続く3番手の位置を確保。直線に入ったタイミングでも良い手応えを見せ、前を捕らえる勢いを一瞬見せましたが坂上で後続に交わされ6着でゴールイン。惜しくも掲示板には届かなかったものの、出来を思えば上々のデビュー戦ではなかったかと思います。

 何よりスタートが良く、好位に取り付いて運べるスピードは根本師の見立て通り芝適性を示すものと言えるでしょう。直線ではややフラフラしながら走っており、坂上からのもう一伸びが無かった点も含め、今回レースを使って変わってくる期待は持てそうです。

 戦前は競馬ブックのコメントでいろいろ言われたようですが、根本師らしい謙虚さだなぁと逆に感心してしまいました。競馬というのは出資者だけで成り立つものではないわけですし、あくまで専門紙は馬券検討に資する情報を提供することが第一義ですから、無理にリップサービスする必要も無いと思います。「自分の出資馬にポジコメ出来ない調教師には預けるな」と言うのであれば、いずれ誰も預かってくれなくなるでしょう。日本の競馬は馬券を買うファンが居て初めて成り立つものですし、自分の出資馬がいつも賞賛されることなどあり得ないですから、出資者と言えど物言いには気を付けなければいけないと学んだこの数日間でした。

 「使いながら」という陣営コメントもあり、今後は問題が無ければ恐らく続戦でしょう。現状でも十分勝ち上がれるパフォーマンスだったかとは思いますが、レースを経験したことによるさらなる成長を期待して待ちたいと思います。とにかくお疲れ様でした。

2020年10月24日土曜日

【10/25(日)予想】3000mという距離の持つ意味<菊花賞コントレイル>


 土曜日が全くかすりもしなかったことから、今週は大人しくしといた方が良さそうと判断。出資馬マミリアスの新馬戦以外はここだけにします。

【ラインナップ】

京都11R(菊花賞)/15:40


■京都11R

 少し前はフルゲート集まらないこともあった三冠最終章ですが、ここ最近はスピード血統全盛の中スタミナ血統馬が一泡吹かせようかと言わんばかりに上り馬の登録が多く、今年も抽選の末18頭が駒を進めました。

 (当たるかどうかは別として)天邪鬼っぷりに定評のあるこのブログですが、ここは◎コントレイルの力量が抜けているという判断です。距離が延びることは決してプラスとは思っていませんが、たかだか600m距離が伸びたからと言ってこの馬を逆転できる同世代馬はいないだろうというのが率直な感想です。

 アメリカのようなテンから全力のマッチレースならまだしも、キレ味の生きる日本の芝コースではやはり最後のスピードが無いと通用しません。ダービーでコントレイルがサリオス以下につけた差は決定的と言え、そのサリオスでさえ毎日王冠のパフォーマンスを見るに本質はあのあたりの距離にあったわけです。そこで離された3着集団の一角に過ぎないヴェルトライゼンデ以下の馬がここで逆転できる要素は見当たらず、かといって上り馬の中でも力だけでコントレイルをねじ伏せられるほどの馬は見当たらない、という見解です。

 とはいえ個人的には、「コントレイル三冠」というのがメディアで半ば既定路線的に語られているのには違和感があります。誰が勝つかなんてわからないのがスポーツなのに、「コントレイルが勝つ以外の結末」を認めないかのような空気が醸成されることは、スポーツジャーナリズムの観点、そして真剣勝負を前提とするギャンブルの姿としてどうなのかという思いはあります。ディープインパクトが有馬記念で負けた際に「もう1回やり直してほしい」と発言した某芸人は散々叩かれましたが、それさえを正当化するかのようなニュアンスが、先週そして今週と続いているのに、自分はどうも溶け込めません。

 「最も強い馬が勝つ」という格言は、このレースの特徴をよく表していると思います。だからと言ってミホノブルボンやネオユニヴァースが強くなかったとは全く思いませんが、この世代においてコントレイルが頭一つ抜けた存在であることは明らかです。ここは逆らっても良いことは無いと判断します。

 未知の距離に挑む18頭。2番手以下は誰にでもチャンスありと思いますが、展開から浮上するのは△ディープボンドではないでしょうか。

 恐らく、コントレイルが勝つにあたって最も恐れているのはスローになり前が残るパターンでしょう。要は「誰かに差される心配がない分、物理的に差し届かない展開にだけはなってほしくない」はずです。キメラヴェリテが飛ばすとはいえ、強力先行型のバビットが居る以上、出鼻をくじくだけでは不十分で早めに脚を使わせる展開に持ち込めれば理想でしょう。

 では誰がそれをやるのか。最も適任と言えるのが、好位からのしぶとい末脚で京都新聞杯を制した同じ前田一族のディープボンド、という見立てです。軽快に飛ばすバビットを2週目の向こう正面辺りから捕まえにかかり、重賞実績ある馬が早めに動くことでその他の人気馬にもなし崩し的に脚を使わせる、こうすれば、直線に入った頃には多くの馬がだいぶ脚を使った状態になり、外を回してコントレイルが差せば歴史的名馬の出来上がり、ということになるでしょう。是非はともかく、ディープボンド自身のレーススタイルからもこれに近しい先方になることは必至で、多少なりともコントレイルのアシストにもなるわけですから早めに前を潰しに行くことは容易に想像できます。

 △としたのは、間違っても勝ってはいけない、という立場であるためです。コントレイル自身にアクシデントでもない限り、歴史に名を刻むチャンスを同じオーナーの馬が潰しては何とも言えない気まずさが残りますし、それで勝てるのであればそもそもダービーももうちょっとやれてていいはずです。

 では上記のような妄想が成立したとして、勝気にはやるヴェルトライゼンデは潰れる側に回ることでしょう。コントレイル同様最後の直線に勝負をかけたい馬として推奨したいのが★ロバートソンキーです。

 神戸新聞杯がそうであったように、展開待ちタイプとはいえスタミナ勝負で末脚比べになれば良いものを持っています。この馬のタイプ的に早めに動いてしまっては末を無くすため、有力馬がいかに早く動こうとも、あわてず騒がずの直線勝負に持ち込むはずです。コントレイルやしぶとさが身上のディープボンドには勝てなくても、その他の馬には勝てる可能性がありますから、ここで名を上げる意味でもひそかに狙っているはずです。

 そもそもこのブログで2020年最初に取り上げたのが1/5の中山1R、正真正銘2020年最初のJRA競走でした。オイデヤスダイジンが1着となり約15分間にわたり全国リーディング単独トップの座についたのが伊藤J。今年は彼から始まった年なのです。京都競馬場の改築に合わせ「伊藤工務店秋の大感謝フェア」が開催されてもおかしくはありません。

馬連・ワイド3-8
三連複3-8-13

【10/24(土)結果】

■東京8R ◎エンジェルカナ→10着

 逃げられなかったうえに前がやり合い息の入らない展開。それでも坂下では一瞬見せ場を作りましたが、自分の形に持ち込めなかったのが全てでしょう。そして思ったほど内が良くないことを思い知りました。先週の内天国は何だったのか…


■東京11R ◎スマイルカナ→10着

 もはやシーズンズギフトに嫌がらせされたとしか思えないレースでした。そのシーズンズギフトはぶっちぎりの最下位。明らかな逃げ馬が居ないならまだしも、このメンバーでぶっ放したノリさんは何を狙っていたのか…

 2着のラウダシオンは勝ちに行って差されたわけですから悲観する必要は無く、むしろ休み明けの仕上げでここまでやれるんですからめどは立ったと言えるでしょう。次が楽しみです。

【10/24(土)予想】かなでし●´□`)ノ<東京8Rエンジェルカナ&富士Sスマイルカナ>


 今から3年前、惜しまれながら引退した仙台発ヴォーカル&ダンスユニット「Dolothy Little Happy」の元リーダー(だーりー)・白戸佳奈さん。他のユニットつながりでここのことを知ったのがもう7年前の事で、その透明感とキャラクターに惹かれグループ内で一推しとして応援していました。グループ自体は今も存続していますが、他のオリジナルメンバーが他ユニット、声優に転身する中で彼女は表舞台からの引退という道を選びました。その引き際の潔さもまた、彼女の真っすぐさの現われだったのかもしれません。

 アイドル界というくくりで考えても彼女は一、二を争う美人だったと思います。


 ファンをして「人間国宝」と評されたそのアルカイックスマイル。

 ふと「カナ」という名前を見かけると、未だに彼女の笑顔を思い出さずにはいられません。「かなでし●´□`)ノ」とは、グループ在籍時に更新していたブログのあいさつとしておなじみのフレーズ。引退から4年、このフレーズを持ち出すことがあろうとは思いませんでしたが…


 話が長くなりそうなので本題に入ります。




 写真は10/21(水)時点の東京競馬場の3コーナーの芝の状態です(JRA発表)。

 府中は開幕週、2週目と雨にたたられ芝がだいぶヤバい状態になっています。とはいえ、秋雨前線の影響を受けやすいこの時期の東京開催では「例年通り」の状態とも言えます。そして水を吸った状態で2週にわたって使われたことで、内側の芝がはがれる一方で開幕前にエアレーション・シャタリングを施された分吸水性が良く、思う存分に踏み固められたラチ沿いはだいぶ固くなってんぜ(迫真)というのが自分の見立てです。

 一昨年、昨年と秋の東京最終週のジャパンカップで1枠の牝馬(18年アーモンドアイ、19年カレンブーケドール)が内を突いて連対しているのもそうですし、先週の日曜メイン・オクトーバーSでさえ最後に内に進路を取ったオウケンムーンが3着に食い込む走りを見せたことからも、雨中で踏み固められた東京芝でインの硬化が進むことは明らか。よってAコースで行われる今週は「内前有利」の仮説を前提に予想しようと思います。

 但し、明らかに芝がはがれているので大抵の騎手はそれを避けて通るはずです。それをものともしない思い切ったイン突き・先行策に打って出るのは誰かと考えた時…表題にある通り「2頭のカナ」を抜擢したというわけです。決してタイトルありきで選んだわけじゃ(ry


【ラインナップ】

東京8R/14:05
東京11R(富士S)/15:45


■東京8R

 ◎エンジェルカナは前走に続き3kg減の原Jが騎乗。4角先頭なら①①⑤着の馬ですから、ここも行き切るレースになるでしょう。加えてトーセンホマレボシ産駒は東京芝1400mで穴を連発(単回765/複回186)。混戦模様でオッズも割れ加減ですが十分妙味でしょう。

単勝6
馬連6-2,3,4,5,8,9,12
三連複6-5,9-2,3,4,5,8,9,12


■東京11R

 今年からG2に昇格した富士S。別定戦となり馬齢重量にG1馬+2kg、G2馬+1kgとなります。力量で言えばラウダシオンを評価するほかないのですが、馬にとっても鞍上にとってもあくまで目標はマイルCS。同世代との斤量格差もあり、目いっぱい狙うのは次回に取っておこうと思います。

 ここで抜擢するのは◎スマイルカナ。既に米子S1着、京成杯AH2着と古馬OPで通用の実績を見せています。この頭数、展開であればモズダディーが邪魔しない限りはマイペースの逃げが打てそうで、多少無理しても残せることも前走で証明済み。柴田大Jは躊躇なくインを運べる騎手でもありますから、馬場を気にして後ろが外を回すような仕掛けを見せればセーフティーリードとなるでしょう。この実績、このメンバーで52kgなら勝ち負け期待です。

単勝7
馬連・ワイド7-4,11


※追記

 本当は前回言った通り新潟12Rのライオネルカズマも抜擢したかったのですが、新潟も芝の状態が悪く外差し傾向が表れており、明日もまとまった雨が降るとのことで流石に前で運びたいこの馬にはかわいそうな展開になる見込みにつき見としました…

2020年10月22日木曜日

出走馬抽選制度に対する国枝師の提言と、厩舎制度について。


 先日、大手競馬メディアに寄稿された1本の記事—

■“GI抽選対象”何が正解なのか 国枝調教師の金言/トレセン発秘話(netkeiba.com)

 このブログをご覧になる方はほとんどご存知かと思いますが、美浦・国枝栄調教師がG1における出走馬選定の「抽選」制度について苦言を呈したという話題です。

 デビュー3連勝中だったレイパパレ(栗東・高野友厩舎)が6分の4の抽選に漏れ、目標としていた秋華賞に出られなかったことは記憶に新しく、さらに同馬が秋華賞当日の10R・大原S(3勝クラス)で圧勝したことで、「もし出られていたら…」という思いを強くするファンも少なくなかったことでしょう。

 この話題を引き合いに国枝師は「G1くらいは完全にレーティングで決めても良いのでは?」という提言をしていますが、それは果たして「JRAのハンデキャッパーが優秀だから」という理由だけで言っているものなのかと疑問に思えてしまいます。

 そもそもレーティングはオープン以上の競走に対して付されるものであり、それを条件戦にまで適用しようものならJRAの負担は膨大になると見られます。まさか「G1に出ようとしている馬が出そうなレースだけレーティング付与します」とは言えないですし、仮にそのようなことがあれば「主催者が『強い馬がここに出ます』っていうレースを選別している」ことに繋がるわけですから、公正保持の観点から日本では難しいと言えるでしょう。

 加えて、秋華賞を例にとれば3着だったソフトフルートとレイパパレを比較して、どちらが強いかというのを戦前に推し量るのは難しかったと言えるでしょう。そもそも「強い馬」というのは絶対的なものではなく、走るコースや距離、馬場状態、ペース等様々な要因で力関係は変わるもの。それはアーモンドアイを管理している同師が一番よくわかっているはずなのですが…


 得てして、こういうリーディング上位調教師の「JRAへの苦言」はポジショントークを多分に含んでいるものです。

 少し前に栗東・矢作芳人調教師が「厩舎制度改革」と称してメリット制(成績に応じて馬房数・登録可能数を増減させる)の話をしていましたが、これも結局相対的に下位の厩舎のことは全く顧みられていないわけです。一般論として競争原理が市場活性化に有効だという理屈は理解できますが、競馬サークルにおける厩舎というのは1つの会社であると同時に馬主側にとってのライフラインですから、仮にガッツリ馬房数を減らされた下位厩舎が収入減を苦に廃業するようなことがあればサークル全体での受け入れ数の問題が発生します。

 「そもそも新馬の数が増えている」「親族や法人などの名義により実質的に大馬主の寡占となっているJRAの馬資源市場」等の問題はひとまず置いておいて、仮に上位の厩舎がこれら下位厩舎の馬房を吸い上げて商売をしたとしても、それはセーフティーネットにはなり得ないのです。彼らには、成績下位の厩舎だからこそ受け入れてくれる層の馬を受け入れるつもりがないからです。増やした馬房は大手の預託枠として再配分されるだけで、そうなると今度は成績中位の厩舎に良い馬が回らないという問題が発生し、ますます上位のパイが大きくなるだけです。

 加えて、そのようなことが実際に起こると、預託馬の行き場を無くす個人馬主も一定数出てくるようになるでしょう。人気厩舎は大手に埋め尽くされ、大学病院さながら知人の伝手などで紹介してもらえないと入れない…なんてことになっては「その筋の有力者」か「元々金持ちだった」人以外で将来的に馬主になろうという人はどんどん少なくなるでしょう。今のように売り上げが伸び続けている局面ではさほど問題になりませんが、何かの事情で売り上げが下がったり馬が売れなくなったりすると、特定少数勢力への依存が強い市場は途端に負のスパイラルに陥るリスクをはらみます。

 これも根っこは出走馬抽選の話と同じで、何を以て「良い厩舎」とするかはまちまちなわけです。矢作師や栗東の森秀行調教師のように、その馬のLTVを最大化するための出走戦略を採る調教師も居れば、「人を育てる」ために自厩舎所属騎手の騎乗を受け入れることを条件とする栗東の本田優調教師のような人もいます。あるいは、テソー□軍団のようにオーナーの言うことを文句言わずに受け入れる厩舎が良かったり、出走手当を稼ぐために連闘や芝中距離にローテを限定して使い続ける厩舎が良い、という考え方もあるでしょう。

 つまり、厩舎に何を求めるのかは馬主の間でも違いますし、むろん立場が違えば当然利害も異なります。そうした土壌にある「厩舎」という馬主にとっての共有財産を、勝ち星や出走数など定量的な実績による評価に偏重させるのは、少し違うのではないかと。


 話を馬に戻しますが、例えば「3戦3勝の馬が10戦3勝の馬より強い」という保証はありません。2002年に朝日杯FSを制したエイシンチャンプは、2歳12月にしてこれがキャリア9戦目。当日は8番人気と伏兵扱いでした。かたや1番人気は2戦2勝のサクラプレジデント。レースではゴール前でのサクラプレジデントの追撃を先行策から封じたエイシンチャンプ。同じ2勝馬でも人気は大きく離れていましたが、その通りにならないのがレースというものです。

 たらればをロマンとして語ることには必ずしも賛成しませんが、少なくとも、条件戦しか走っていない世代限定戦においてどのように「優劣」を付けるのか、その是非を含め自分はどうにも首をかしげてしまうものです。

マミリアス10・25いざデビュー、期待膨らむリオンディーズ産駒

  出資馬である広尾TCのマミリアス(牡2、美浦・根本厩舎)が、10月25日(日)の東京4R・メイクデビュー東京(2歳新馬、芝1600m)でデビューを迎えます。私の出資馬ではパラスアテナ(牝3)に続く2頭目のデビューとなり、期待は膨らむ一方です。

 2代母に桜花賞3着のホーネットピアスが居る母系で、父は20年新種牡馬のリオンディーズ。言わずと知れたシーザリオの仔(父キングカメハメハ)でエピファネイア(父シンボリクリスエス)、サートゥルナーリア(父ロードカナロア)がいる血統。現役時代はデビュー2戦目で朝日杯FSを制しましたが、故障に泣きわずか5戦で引退。同期のダービー馬・マカヒキが現役で頑張る中ひと足先にスタッドインした期待の良血馬です。

 20年の新種牡馬と言えば、モーリス・ドゥラメンテをはじめミッキーアイルやホッコータルマエなどそうそうたる顔ぶれが並びますが、リオンディーズ産駒は今年の新馬戦で(7,5,5,30)。勝率14.9%は内国産新種牡馬ではサンプル数の少ないクリーンエコロジー(勝率25.0%…(1,0,1,2))を除けばトップの成績です。新馬戦の勝ち星で言えばここまでドゥラメンテ産駒が9勝(62頭)、モーリス産駒が8勝(73頭)でリオンディーズ産駒はそれに次ぐ7勝を挙げていますが、出走頭数は47頭と前述の2頭に比べれば少なく、それを踏まえてもポテンシャルの高さが窺い知れる内容となっています。


 写真は出資を決めた昨年10月時点での立ち姿です。

 サイズ感はそこそこ…という印象ですが、肩の筋肉が盛り上がっている感じが好きで血統に違わぬ活躍を期待して出資を決めました。体毛色と太陽光で余計にそう見えるだけなのかもしれませんが、適度な馬格でしなやかに動けるとなるとやはり芝での活躍が見込めると考えていたので、デビューの条件としては自分の理想通りでもあります。

 元々夏前の時点でゲートは合格していたのですが、入厩後の環境変化もあってか疲労を考慮し夏はお休み。約1か月の在厩調整を経て満を持してのデビューとなります。根本厩舎ということもあり鞍上は野中J。普段は丸山・藤田Jが稽古をつけているのですが、両名が京都・新潟に行ってしまうため声が掛かった形でしょう。今年ここまで9勝と勝ち星こそ目立たないものの、うち5勝を挙げる得意の東京に戻った今月だけで既に2勝を挙げており、3場開催で騎手が分散する上フルゲートの争いとあっては良い騎手を確保できたかと思います。

 まずは1勝を、それがなるべく早く挙がると良いな、という気持ちではありますが、師も「クラシックが視野に入る良血」と募集時に語っていた通り期待が膨らむ血統表。その血脈に違わぬ走りを初戦から期待したいと思います。

2020年10月18日日曜日

パラスアテナ大健闘の4着、夢は終わらない


 なまじ惜しかっただけに余計に印象深い…

 自分の初出資馬である広尾TCのパラスアテナ(牝3/美浦・高柳瑞厩舎)が、18日(日)京都のG1秋華賞に出走。12番人気の低評価を覆し4着に食い込む大健闘を見せました。まずは最後まで全力を尽くしてくれた彼女と坂井J、ここまで導いてくれた厩舎陣営はじめ関係者の皆様に心から感謝申し上げます。

 デビュー以来初となる関西への長距離輸送。馬体重は紫苑Sから-8kgの444kgと、木曜(調教後馬体重450kg)からの比較でも-6kgに留めました。小春日和のパドックでも発汗は目立たず、いつも通り外目を首を使ってキビキビと歩いており見た目には順調そのもの。あとは相手関係だけ…と思える仕上がりでした。

 レースではゲートでやや後手を踏み、勝ったデアリングタクトの後ろにつけて後方から運ぶ展開。デアリングタクトの進出を見て3コーナーから追い出されましたが、最初暫くは鞍上のアクションほど伸びず「万事休す…」とさえ思ってしまいました。しかし外からソフトフルートに並ばれたあたりでエンジン点火。大外を回すロスの大きい競馬でしたが、最後まで脚を使い勝ったデアリングタクトから0.3差の4着にまで食い込んでくれました。

 4着とは言え、3着のソフトフルートとは写真判定の末僅かなハナ差(上図)。私含め多くの出資会員、そして複系馬券を持っていた人が固唾をのんで判定を待っていたことと思われます。そのあとの溜息まで聞こえてきそうな…しかし、本来であれば募集価格1,680万の馬がG1④着で1,500万を稼いで帰ってくるだけでも、普通にすごいことのはずです。それを「悔しい」に変えるほどのポテンシャルと頑張りを見せてくれたことに、改めて感謝したいです。


 終わったから言えることですが、今回は2桁着順の大敗も覚悟していました。

 堅実に走るタイプとはいえ相手も強く、調教後馬体重の時点で前走からマイナスということからも、まだまだ成長の余地を残している段階であることは明らか。輸送を意識してのものでしょうが、最終追いも芝。1週前にウッドの予定をポリに変えたことも相まって直前に負荷をかけられないもどかしさ。それでも内枠を引いてコースの利で上手く立ち回れたら…と期待していましたが、その希望も遠い16番枠。加えて京都は天候が回復し内もまともに走れる状態に見え、外を回すことのロスの方が大きいとなると末脚勝負でどこまで…と不安を挙げればきりがない、そんな戦前でした。3角でガス欠気味に見えたのも、そういうメンタルがあってのものでした。

 しかしながら、蓋を開けてみれば大外を回してまくり加減の進出を見せ自力で掲示板を確保。他の有力馬がデアリングタクトを封じようと早めに動いたこともありましたが、直線の入り口では一瞬夢を見たほどの伸びでした。挑戦者の立場ですからどんな結果も受け入れられるつもりではいましたが、勝ちに行ってのこの結果はもう疑いようもなく彼女のポテンシャルを証明する結果だったと言えるでしょう。


 力量、精神力、レースセンス全てにおいて世代の牝馬で頭一つ抜けていたデアリングタクトの強さに脱帽するとともに、自らの末脚で自分たちファンの夢をつないでくれたパラスアテナに、重ね重ね感謝を表します。

 消耗の大きいレースでしたので、いつも通り一息つかせて次走、というローテーションになると思います。まだ3勝クラスですので流石に次回は自己条件でしょうが、今日戦った馬たち含め、再び大きな舞台で躍動するその姿を期待せずにはいられません。まずはゆっくりと疲れをいやしてください。お疲れ様でした。


【10/18(日)結果】

■新潟10R ◎オルダージュ→3着(5/12人気)

 やはりスピードの良さはここに入っても通用しました。最後の50mで止まってしまいましたが、風よけもなくずっと勝ち馬より内を走っての3着は価値が高く、この条件なら順番は回ってくるでしょう。

 勝ったクルークヴァールは3走前に直千で最内1番枠から4着と通用の素地を見せていた馬で、人気であっても逆らえないという結論でした。何より鮫島駿Jは直近3年の直千で(4,5,2,20)、勝率12.9%・複勝回収率も207と驚異的な数値(ちなみに直千巧者で有名な西田Jは(8,3,10,60)で勝率9.9%、複勝回収率81%)。ここでの信頼度は抜群でした。

🎯ワイド 8-11 7.5倍


■新潟11R ◎レインボーフラッグ→9着(10/16人気)

 何が何でも、という馬が居ない分チャンスだと思って前を取る馬が多くなり前崩れするだろうという考えのもと、裏をかいて差し決着をもくろんだら典型的な前残りのレースになってしまいました。カリオストロが残せてしまうペースでしたから…今日は展開に尽きます。


■東京11R ◎インビジブルレイズ→9着(7/16人気)

 こちらも前残り。パンサラッサが残し、テリトーリアルが捕まえたのは良いですが、離れた中団勢の動きが鈍く間に合わない展開に。ただ読み誤ったと思ったのは、東京の馬場が発表よりも恐らく良く、内を通してもしっかり走れるコンディションになっていたことでした。最後の直線では一瞬3着を伺うかに見えましたが、内を通したオウケンムーンが3着を確保できるほどでしたから…

【10/18(日)予想】直千で観たかった<稲光特別オルダージュ>/舐められたハンデ<信越Sレインボーフラッグ>/OP勝ちの舞台で<オクトーバーSインビジブルレイズ>


 ジェンティルドンナも、アーモンドアイも成し得なかった無敗の牝馬3冠。私たちは歴史の目撃者になれるのでしょうか。有難いことに出資馬が出ているので予想はしませんが、デアリングタクトの前に立ちはだかる壁は想像以上に大きいと思っています。それを超え行く様もまた、今の日本の競馬界にとっては非常に大きな意義があるでしょう。来週のコントレイルも然りですが、「浪漫派オーナー」の挑戦は本当に見ていて楽しいです。


【ラインナップ】

・新潟10R(稲光特別)/14:40
・新潟11R(信越S)/15:20
・東京11R(オクトーバーS)/15:30


■新潟10R

 直千レースにしては12頭と頭数が落ち着きましたが、狙いたいのは久々に芝を使うオルダージュ。元々ダッシュ力はある馬で、昔は行くだけ行って…というレースが目立ちましたが最近では折り合って進み最後にもう一脚、というレースもできるようになっています。元来のスピードを活かすにはこのコースは合っているでしょう。直千はオッズが割れるので、外枠配置のクルークヴァールを相手に連で。

馬連・ワイド8-11


■新潟11R

 ここはハンデ戦。トップハンデはストーミーシーの57kgで、最軽量は51kgが3頭。距離実績ある馬も多く難解ですが、牡馬で最軽量54kgの◎レインボーフラッグを推奨します。

 前走同舞台の朱鷺Sでタイム差無しの4着と走っていますが、この時6着だったアンコールプリュは53kg(牝馬のため実質55kg)、7着のナランフレグは55kgというハンデ構成。おまけに2走前のパラダイスSではストーミーシーに先着しているのに3kgも斤量貰っていて、その前の米子S(7着)で0.2秒だけ前にいた6着のダノンチェイサーもここで56kgを背負っており2kg貰い。着順とハンデが比例していないと言えます。芝1400mはベストの舞台で、既に芝が荒れ始めていて時計の掛かる新潟芝も理想的。前走と大差ないメンバー構成なら再びの好走が期待できます。

単勝9
馬連・ワイド9-3,12,14,15,16


■東京11R

 春に同条件の白富士Sを勝った◎インビジブルレイズを抜擢します。白富士Sの当日は2021年の東京の開幕デーでその日それまでの芝レースは3つとも逃げ切りが決まっていましたが、外差しで同レースを制したのがインビジブルレイズでした。実際このレースは全体的に外差し有利ではありましたが、2着のマイネルサーパスが福島民報杯を、3着のレッドガランが大阪城Sを制したようにOP特別(リステッド)としてはレベルが高い一戦だったのもまた事実で、前走の新潟記念は太目残りと敗因が明確。ひと叩きの良化が見込めるここは再びの好走があっておかしくないでしょう。

単勝13
馬連・ワイド13-1,10,11

パラスアテナついに秋華賞、どんな結果でも堂々と


 自分の初出資馬である広尾TCのパラスアテナ(牝3/美浦・高柳瑞厩舎)が、今日の京都11Rの秋華賞(G1)に出走。ほぼノーマークの扱いですが、人気以上の走りを期待します。

 思えば、自分が広尾TCに入会したのがちょうど1年前。入会特典である4口分の無料出資権をどの馬に使おうかと見繕っていた時、2歳10月にしてまだ出資が間に合う馬が居ることを見つけました。実は当初はカイザーノヴァ(父モーリス、パラスアテナの弟)への出資を検討していたのですが、そうこうしているうちに満口に。それならば、と兄弟の中で一番のサイズ感を持って生まれた同馬を初の出資馬にしようと決めたのがきっかけでした(ちなみに
馬体を見て即決したのはキャットウォークでした)。

 ステラリードの子どもはそれまでいずれも未勝利で引退、パラスアテナはクラシック登録もなくデビューは年明けにずれ込んだだけに「最初の馬だし、勝ちあがってくれれば万々歳」程度に考えていました。1月のデビュー戦ではダートを走り2着とするも、2戦目は4着。既に2月の下旬でしたから「何とか未勝利さえ勝ってくれれば…」と当時は祈るような気持ちだったのを今でも覚えています。

 それが芝を使われ一変。福島で目の覚めるような快勝を見せるとカーネーションCも鋭い末脚で連勝。このころから「いずれ重賞でも手が届くかも…」と思うようになりましたが、3歳の時点でラジオNIKKEI賞4着、紫苑S2着と結果を残し個人的には驚きの連続。何よりダートに使われた2戦を含め②④①①④②着と全て掲示板に載る馬主孝行ぶり。一口馬主やっているとこの有難さがよくわかりますし、何よりデビュー済の現役馬がこの馬しかいない自分にとっては、彼女1頭の活躍だけであわや会費さえペイする月もあるくらいで本当に頭の下がる思いです。

 ここはデアリングタクト以下強い相手も揃っていますし、いずれ壁にぶち当たる時が来るわけで。馬体もデビューから比較してまだ2kgしか増えておらず、ここでの結果がどうであってもこれからの馬であることには変わりなく、今日は無事に堂々と走ってきてほしい、その一心です。まだ条件馬(収得賞金1,600万)の身ですし、連対してOP入りしてくれたら…というのは贅沢でしょうが、どんな条件でも崩れずに走ってきたこれまでの頑張りを見るに一泡吹かせる魅力は十分、そんな気もしています。

 出資馬の初G1を現場で観られないのは残念ですが、テレビの前で最大限に応援します。まずは無事に。

2020年10月17日土曜日

【10/17(土)結果】

■東京2R ◎ラングロワ→3着(3/14人気)

 好発も下げて中団から。結果として前が開かず思うように追い出せませんでしたが、残り350mほどで前がばらけると馬群を縫って伸びてきました。馬場の差で敗れはしましたがひと足使えるところは示せましたし、いずれにしても勝ち上がりは遠くなさそうです。


■東京7R ◎チョーズンワン→6着(9/16人気)

 スタートで後手を踏み後方から。こればかりは出てみないとわからないので仕方ありません。ゴール前では一瞬良い脚を見せてくれましたので能力は確かでしょう。しかし気になったのは、3歳馬の7か月の休み明け、キャリア3戦目にも関わらず馬体重が-2kgで出てきたこと。仮に中間びっしりやったとしても、せめて増えて出てきてほしかったのですが…


■新潟8R ◎アドマイヤミモザ→12着(2/14人気)

 スタートから促されるもなかなか進まず。4角で早くもムチが入りますが全く反応しませんでした。とはいえ未勝利馬にも先着できなかったというのは理解しがたく、ここまで負けた理由を探す必要がありそうです。

秋華賞枠順確定、天候回復を祈るのみ


 10月17日(日)に行われるG1・秋華賞の枠順が確定し、自分の出資馬である広尾TCのパラスアテナ(牝3/美浦・高柳瑞厩舎)は8枠16番に入りました。

 戦前は外を回すであろう2冠牝馬・デアリングタクトに対し内を突く作戦も示唆していましたが、流石にこの枠では内に潜り込めるかどうか…先週を見るに、京都芝は内側のコンディションが良くないみたいなので外枠はむしろ良かったかと思うのと、テンションが上がりやすいタイプなだけに最後から2番目の枠入れとなるこの馬番も有難いと言えるでしょう。

 上記は09:45時点でのオッズで、やはりデアリングタクトとリアアメリア以外は10倍以上。但し16番人気のアブレイズにしても今年のフラワーCの勝ち馬で、相手はどこからでも入れるメンバー。パラスアテナについては相手格の評価もあればほぼ無印という媒体まで…こうして色々な評価を聞くことができるのも、大レースに出られる醍醐味でしょうか。もう少し楽しみたいと思います。

【10/17(土)予想】

 あいにくの天気ですが、家族サービスで多摩川競艇に行くことになりましたので予想は簡潔に失礼します。

【ラインナップ】

東京2R/10:45
東京7R/13:35
新潟8R/13:45


■東京2R

 前走の新馬戦2着だった馬の中から◎ラングロワを。藤田J→ルメールJへの乗り替わりは決めてくれるでしょう。

単勝1


■東京7R

 久々がどうかも能力は確かな◎チョーズンワンから。ミナリクJ→戸崎Jなら大幅強化間違いありません。

単勝10
ワイド10-2,3,4,5,6


■新潟8R

 良馬場なら◎アドマイヤミモザで大丈夫でしょう。新馬で2着、4か月の休み明けだった前走で勝ち上がりと久々も苦にしないタイプです。

単勝2
馬連・ワイド2-4,5,12,14


2020年10月11日日曜日

【10/11(日)結果】

■東京9R ◎トラストケンシン→9着(2/16番人気)

 本来であれば昨春の秩父特別を勝ったときのように最後外に出して追いたかったのでしょうが、内に閉じ込められ何もできず。想定以上にマイネルカレッツァが引っ張ったのもあり縦長馬群になったことも災いしたのでしょうが、不完全燃焼のレースとなってしまいました。


■京都11R ◎グローリーヴェイズ→1着(3/17番人気)

 押し出されるようにダンビュライトが逃げましたが、前半1000mは60.4秒とスローにはならず。今開催の京都はオーバーシードですが、長梅雨により野芝の生育が不揃いで特に使用頻度の大きい内側は走りにくかったこともあってか最後は外差し勢が上位を独占する結果となりました。


 グローリーヴェイズは課題のスタートを決めたことで流れに乗れ、いつでも動ける好位の外をキープ。4角でキセキの追い出しを待って進出を開始し、ここでキセキが外に振られた分が最後の4分の3馬身差に繋がったとも言えるでしょう。2着のキセキもそうですが、まだ足を無くす前の段階で先行勢を捉えて勝った内容は完勝と言ってよく、実績馬が実力通りの力を示した結果でした。

 3着のキングオブコージは対照的に道中じっくり構えての直線勝負。ロードカナロア産駒にして母父ガリレオという配合からタフさが強く出ており、相対的に坂のあるコースの方が走れるのでしょうが、初の57kgでG1馬を相手に自分のレースをして3着でしたから十分と言えるでしょう。G1となるともう一回り強い馬が出てくるので何とも言えませんが、東京・中山ではこのクラスで伍せるだけの実力は証明してくれました。

 ちなみに執筆段階では単勝4.4倍の1番人気タイだったため「混戦につき連系・複系に妙味」と書きましたが、最終的には6.2倍の3番人気。単勝でも十分においしい配当でした。

🎯馬連 2-13 11.7倍
🎯三連複 2-3-17 32.8倍


■おまけ…毎日王冠

 54kgというというチートモードのサリオスの優位は疑いようがない(=儲からない)と見て予想の対象にはしませんでしたが、馬なりでアッサリ前を交わして完勝。能力の違いを見せつけました。しかしながら、そもそもダイワキャグニーにしてもサンレイポケットにしてもやっとG3で勝負になる程度の馬であって、このメンバーで3馬身差突き放したからと言って即通用すると判断できるかは微妙なところです。

 陣営はダービーで距離の壁を認識したことでマイル前後を主戦場にする方針でいますが、1600mまでであればグランアレグリアが居ますし、2000m級では今度は同じシルクのアーモンドアイと被ってしまいます。なまじ賞金を稼いでしまったためG3以下に出る可能性は低く、かといって古馬G1でどこまでやれるかは未知数…この馬の扱いは一戦ごとにメンバーを見て判断する必要がありそうです。

 むしろ注目は10着に敗れたサトノインプレッサでしょう。スタートで大きく煽り競馬にならなかったことで次走も人気するのでしょうが、ダービーはまともにコントレイルを負かしに行ったわけではなく、道中ごちゃついて早めに動けなかったことが幸いし最後に脚を伸ばし4着に入ったものと見ています。

 現3歳世代のレベルについてはまだ評価が定まっていませんが、夏の古馬重賞でワーケア、ブラックホールといった2歳重賞ホルダーが全く歯が立たず、皐月賞4着のウインカーネリアンは自己条件すら取りこぼす体たらく。ダートでもJDD1・2着のダノンファラオ、ダイメイコリーダも古馬戦では惨敗、カフェファラオの勝ったシリウスSはOP特別級のメンバーでしたし、少なくとも現時点では自分は強気の評価はできないと考えます。

 恐らくは今後、ガロアクリークが古馬戦に出たりした時にもまた人気するのでしょうが、基本的に皐月賞にしろダービーにしろガチンコ勝負の上位2頭と、絶対能力が1枚落ちるor着狙いの末脚勝負の馬とでは同一の評価はできないと考える必要があると見ています。よって、サトノインプレッサは次走も古馬重賞級のメンバーと走るのであれば人気先行で注意したいです。


■東京12R

 本来であれば現級実績断然の◎ライオネルカズマの予定でしたが、転厩後40kg近く増えているとのことで太目残りを懸念し推奨から外しました。結果としては陣営談通り+38kgで本番を迎えてしまい、ゲートの出も今ひとつで押しても進まず。それでも直線に向いたのちは盛り返さんとするシーンも見られ、中間十分に乗られただけあって中身は戻っていました。今回は1.1差9着でしたが、一度実戦を叩いて型どおり上昇すれば次走は盛り返してくれるでしょう。

【10/11(日)予想】立て直し復権の時<京都大賞典グローリーヴェイズ>/得意条件に戻って<六社Sトラストケンシン>

【ラインナップ】

東京9R(六社S)/14:35
京都11R(京都大賞典)/15:35

■東京9R

 ◎トラストケンシン前走時に取り上げた通り、良績の集中する根幹距離(1600、2000、2400m)に使われるここはチャンスです。加えて使い詰めが利かない馬で、中5週以下(0,1,2,9)に対し中6週以上は(3,1,2,4)。中7週のここは態勢も整ったと見てよいでしょう。

単勝7
馬連7-3,5,10,11,12,15


■京都11R

 G1戦線を見据えた馬が多くいる一方、明らかに叩きという馬も混ざるメンバー構成。大きく荒れることは無いと見ますが、上位人気が拮抗している分連系・複系に妙味がありそうです。

 ◎グローリーヴェイズは前走宝塚記念で17着と大敗しましたが、元々ドバイでレースに使えずとんぼ返りを余儀なくされた分調整に狂いが生じ、当日は+14kgと過去最高体重を更新(460kg)してしまいました。特殊な馬場状態もあり最後は流す感じでの入線。参考外と見るほかないでしょう。この中間はしっかり立て直され、ゲートに不安のあるタイプなだけに川田Jへの手替わりも好都合。実績ある舞台で貫録を示すレースとなることを期待します。

 勢い買いたい○キングオブコージ、京都得意の▲ダンビュライトを相手本線に、ここは叩きも実績断然のキセキ、昨年3着シルヴァンシャー、堅実駆けのステイフーリッシュまで。

馬連13-1,2,3,6,17
三連複13-1,17-1,2,3,6,17

2020年10月10日土曜日

【10/10(土)】予想お休みします

 開幕週なので芝は様子見、加えて東京京都はダートも不良で適性・展開がガラッと変わるため今日は大人しく観察する日とします。

2020年10月5日月曜日

予想と応援が重なった時、競馬ってこんなにも面白いんだと思った


 一口馬主に限らず、競走馬そのものとの関りを持つ立場になるとジレンマとなってくるのが「予想と応援」の区別だと自分は思います。

 基本的に自分は「予想と応援は区別すべき」と考えます。

 例えば、自身の出資する競走馬がレースで走るとして、応援する気持ちは自然と湧いて出るもので、これは「絶対比較」でその馬が自分自身にとって大切な存在だからこその普通の感情です。一方で、勝負は相対比較なので、どんなに願っても思うような結果にならないことは当然にあり得ますし、その方が多いはずです。

 勿論、自分の選択が誤りだったと認めたくはないものですし、負けた原因を探して切り替えていくことが大事ですから、人は敗因を探し、それに向き合い、また前を向いて行くわけです。そして、自分の出資馬が競馬新聞で印が薄かったり、パドックで褒められなかったり、予想家の買い目に入っていなかったりすると「見る目ないな」と思いながら「見てろよ、結果で見返してやるからな」と内なる闘志をメラメラと燃やすわけです。

 但し、これも競馬というギャンブルの性質上仕方のないことで、物事には優劣があり優先順位が存在し、リソースには限りがあります。皆自分の愛馬が可愛いのは当たり前。それを相対比較で取り上げられなかったからと言っていちいち文句を言うようでは心臓がいくつあっても足りませんし、そうなるとパドック解説も予想も出来なくなってしまいます。

 自分は出資馬の出走するレースは基本的に予想を上げません。それは「予想と応援」を区別する自信がないから。仮に力量的に疑いようのない本命と客観視されていたとしても、出資者という利害関係がある以上純度100%の「予想」とは言い切れないわけで、せいぜい友人の出資馬を苦戦覚悟で本命に抜擢することがあるくらいです。


 話は変わりますが、今年一番嬉しかった的中がNHKマイルC。


 ラウダシオンは友人の出資馬で、自分に一口の世界に飛び込むきっかけを与えてくれた方の一人です(知り合ったのは既に解散した某アイドルグループのライブ会場でしたが)。

 新馬戦の頃から買い続け、もみじSやクロッカスSでは有難い勝利をもたらしてくれました。一方で、朝日杯FSでは苦杯を味わい、ファルコンS2着を経て挑んだここは距離不安も指摘され単勝29.6倍の9番人気。騎乗経験のある福永・武豊・ルメールJはそれぞれ別の馬に騎乗し、初コンビとなるデムーロJとのコンタクトにも注目が集まる一戦でした。

 当たったから言うわけではありませんが、当初◎を打ったのは応援の気持ちが8割でした。朝日杯の後ルメールJが距離の限界について言及しており、陣営もトーンが上がり切らない中でのマイルG1参戦で、この距離延長にポジティブな意見を持つことは難しい情勢でした。クロッカスSも、開幕週で頭数が落ち着いた中武豊Jの果敢な先行策が奏功した、という見方が強く、距離実績のあるレシステンシアなどに人気が集まるのは仕方のないところでした。

 ですが、応援とはいえ自分の財産の一部を賭すわけですから、何か合理的な理由はないかと考え調べていたところクロッカスSのタイムが優秀であることを発見。この時は、自分がコロンブスにでもなったかのような、自分しか知り得ない何かを見つけたような嬉しさがありました。結局レースでは先行策でマトモにレシステンシアを負かしに行った堂々たる勝ちっぷり。自宅でわめき過ぎて1歳の息子も泣き出す始末。

 とはいえ、縁故のある馬でなかったならそうやってポジティブな要素を見出そうと必死になっていなかったかもしれません。最初の動機は応援でしたが、結果的には自分なりの根拠を持った予想をも兼ねることとなり、「予想と応援が重なって勝つとこんなにも嬉しくなれるんだ」と感じたことを今も覚えています。


 今度は自分の出資馬でも、あっと驚く大金星を見せてもらいたいものです。その時が、そう遠くないことを信じて。

2020年10月4日日曜日

【秋華賞特別登録】自分史上、最も長い2週間の始まり



 10月18日(日)に京都競馬場で行われる秋華賞(GⅠ・3歳牝・芝2000m)の特別登録馬が発表され、私の初出資馬である広尾TCのパラスアテナ(美浦・高柳瑞厩舎)を含め21頭が登録を行いました。

 先日、出走馬決定と騎手決定の考察記事を公開しましたがそこから賞金1,500万円組が1頭(ダンツエリーゼ)増えて6頭となり、現段階では優先権5頭+賞金順10頭+3/6の抽選となります。そしてこれと前後して某競馬ポータルサイトにて騎手想定が発表されましたが、未定だった馬のいくつかに名前が入っていました。オーマイダーリンに幸J、そしてパラスアテナに坂井J。

 一体どこからこのラインが出てきたのか想像がつきません。確かに弟のカイザーノヴァの主戦ではありますが、向うは関西馬でこちらは関東馬。念のため調べましたが高柳瑞厩舎の馬に坂井Jが乗ったのは過去1度だけ(2016.7.30 札幌2R ハヤブサミカリン5着)。同馬は未勝利番組終了間近という立場で、当時3kg減だった坂井Jを配して何とか前進を…という起用に見え、この次はアッサリ乗り替わっていることからも特段何か関係性があったり、重用している気配はなさそうです。

 一方で、未確定の情報ながら出資会員の皆さんはおおむね好感触。その中の意見として多かったのが「矢作厩舎とは仲良くしておいた方がいい」というものでした。そういう目的があっての浮上なのかはともかく、自分も坂井Jを押さえられること自体は良いと思います。ただ関西の騎手なのでスムーズにコンタクトを取れるかどうかが少し心配で、厩舎付きの若手ですから追い切りのためだけに美浦に来てもらうわけにもいかないですからどのようにリカバーしていくのかは考えどころです。

 そしてもう一つ、前回の記事で散々語ってきたサンクテュエールの騎手が未定になり、ルメールJはレイパパレに騎乗予定となりました。但し先に述べた通り現状ではレイパパレは3/6の抽選対象で、回避が噂されるウインマリリンとサンクテュエールが揃って回避したとしても抽選は残ります。この方針発表をどう受け取るかは人それぞれですが、同じクラブ、春2冠で跨った馬ではなく抽選待ちの馬に早々と宛がうというのは、場合によってはハレーションを生みかねない発表でもあるでしょう。

 とはいえ、トップジョッキーが抽選待ちという事態になったことでこの問題は本当にギリギリまでもつれそうです。パラスアテナに回ってくる可能性もゼロではないとはいえ、観てる側もヤキモキする2週間になりそうです。

【10/4(日)結果】+【凱旋門賞予想】

■中山10R ◎ギャツビー→10着(10/10人気)

 流石にこんなに負ける馬ではないはずで、敗因を掴みかねます。それにしても◎から5頭に流したのですがその買った6頭が5~10着を下から独占。原因はともかく大変恥ずかしい予想になってしまいました。


■中京11R ◎ロケット→16着(9/16人気)

 ペースがペースでしたがそれにしても負けすぎで、逃げたモルフェオルフェすら捕まえられず4角で脱落。休み明けはやはりダメなようです。


■中山11R ◎アウィルアウェイ→3着(10/16着)

 先の2レースがあんな結果だったので、今日の自分にはてんでツキが無いと思い半分諦め加減に見ておりました。いくら前がやり合って速いとはいえ、グランアレグリアより後ろの位置取りでは流石に無理かと…


 軽く10馬身以上はありそうな坂下、さしものアウィルアウェイも万事休すかと思いきや、33.6で上がってきたグランアレグリアに負けず劣らず33.7の末脚を繰り出し3着へ飛び込む大健闘。ミスターメロディが絶妙のタイミングで動き、ダノンスマッシュも川田Jが狙っていたであろうコースをしっかり取って伸びていたのですが、32.8-35.5という究極の前傾ラップにして牝馬2頭の切れ味がそれを上回った結果でした。リズムを崩さずじっくり構えた松山Jの判断も、今年の好調を物語る度胸の現われでしょう。

 勝ったグランアレグリアはお誂え向きの前傾ラップ+前が止まる馬場でもう勝って下さいと言わんばかりのパフォーマンスでした。+12kgは成長分でしたし、「直線だけで面倒みられるか不安」と戦前に書きましたがそのようなレースになってしまいました。昨年ペースを落として最後差された反省から、モズスーパーフレアの松若Jは飛ばしてくるだろうと踏んでいましたがビアンフェが想定以上に突っ張ったことで競ってしまい、3番手以降の追走組も最後の最後で止まる流れになり、ただただグランアレグリアの絶対能力の高さが際立った直線でした。

 ダノンスマッシュの川田Jは逆に昨年タワーオブロンドンに出し抜かれた反省から、馬場の3分どころから強気に前を捕らえに行く騎乗。ほぼ完璧であり昨年だったら勝っていたでしょうが、相手が悪かったとしか言いようがありません。4着のミスターメロディにも同じことが言えるでしょう。

 一方、アウィルアウェイや5・6着のクリノガウディー・レッドアンシェルあたりは超ハイペースとコース取りで上位に食い込んだ格好で、額面通りの評価は難しいところです。グランアレグリアより後ろだったアウィルアウェイはともかく、クリノガウディーは恵まれてもここまでとなると春先と比べて状態一息なのは明らか。レッドアンシェルは前走同様上りの掛かる展開で前進しましたが、状態の維持が難しいタイプの馬で今後も1戦1戦見極めが必要そうです。

🎯ワイド 10-16 21.2倍
      3-16 31.5倍

 昨日の負け分があるのでプラスには至らず。今日はまだ凱旋門賞があるので…

■ロンシャン4R

◎ラービアー
○エネイブル
▲ソットサス
△ペルシアンキング
△ストラディバリウス
△インスウープ

単15
馬連15-1,6,7,8,12
3連複8,15-1,6,7,12
(番号は馬番です。)

【10/4(日)予想】良馬場で能力全開<スプリンターズSアウィルアウェイ>/くじ運も味方に<ポートISロケット>/真の男は溜めて待つ<茨城新聞杯ギャツビー>


 凱旋門賞はA.オブライエン厩舎の使用していた飼料から禁止薬物が検出され、武豊Jの騎乗するジャパンを含む4頭が出走取消に。帰国後の隔離期間のハンデを負ってでも乗りに行った同騎手の並々ならぬ想いを考えればこの仕打ちはあまりにも酷いとしか…この飼料メーカーには陣営・関係者に加えて我々パラスアテナ民のやり場のないやるせなさを受け止めてもらって、再発防止に努めていただくほかありません。

【ラインナップ】

中山10R(茨城新聞杯)/15:10
中京11R(ポートアイランドS)/15:30
中山11R(スプリンターズS)/15:40


■中山10R

 ◎ギャツビーはタメを利かせてひと足使いたいタイプで、前々走で逃げて失速した以外は昇級後3戦すべて0.5差以内の善戦。馬群内で落ち着かせる騎乗が得意な戸崎Jへの乗り替わりはプラスで、落ち着いた頭数で食い込み余地を期待します。但し相手が難解かつ混戦のため、単勝にワイド総流しで高め待ち。

単10
ワイド10-全


■中京11R

 休み明けがどうかですが◎ロケットを狙います。前走のCBC賞は見せ場を作れずでしたが、馬場も特殊でしたし流石に1200mは短かったと言えるでしょう。また左に張る癖がある馬で右回りではずっと右側の手綱を絞って走らなければならず、左回りでラチを頼れる最内枠を引けた運も含め、距離延長で行きっぷりも期待できるここは絶好のチャンスでしょう。

単1
馬連・ワイド1-2,6,9,12,15


■中山11R

 時計が掛かる、と言われる今開催の中山。例えば土曜の勝浦特別(芝1200m)の勝ちタイムは昨年が1.08.4に対し今年は1.08.8。例年1.07台の決着が続いていることを考えれば、良くて1.08を切るか切らないかくらいに落ち着きそうです。

 また、「9月の中山」には明確な傾向がいくつかあるのも特徴です。


<牝馬が圧倒優位>

 秋の開催の芝1200m戦は、2018年以降の34鞍(牝馬限定戦を除く)で牝馬が27勝と圧倒していいます。特に今年に至っては牡牝混合の10鞍全てで牝馬が勝利(表内に無いですが今日の2鞍も牝馬が勝利)。この開催の中山は「オール野芝」のため、オーバーシード開催に比べ一段と軽く軽快なスピードで牝馬が優位に立っていることが推察されます。

<「非ディープ」が台頭>

 今年の芝1200m戦計11鞍(表中9鞍+今日の2鞍)で、父もしくは父父がディープインパクトという馬はゼロ。母父に広げてもカンナSのオールアットワンスの1頭のみで、この距離カテゴリに限って言えばディープを持たない馬から入るのが得策と言えるほどでしょう。なお今開催はサンデー系6勝、ミスプロ系4勝、ロベルト系(スクリーンヒーロー)1勝となっており、必ずしもスプリント種牡馬でなくても走れているのもポイントです。


 上記の2点を満たす馬を軸に据えたいと考えれば、牝馬でサンデーorミスプロ系はモズスーパーフレアとグランアレグリア、アウィルアウェイの3頭。このうちグランアレグリアはディープ直仔で1枚割引、現状の中山は内より外、そして差しが決まることを考えてアウィルアウェイを◎に取りました。

 折り合いが難しい上追い込み一手、ただでさえ不利と言われる中山1200mの大外と超えなければいけない壁は多いですが、良馬場の芝1200m戦に限れば(3,0,1,1)と安定した戦績。唯一の着外だった昨年の京阪杯(4着)は4角で競争中止した馬の煽りを受けて減速を余儀なくされたのが敗因でほぼパーフェクトに走れています。時計が掛かるという意識で各馬が早めに仕掛ける展開になれば、北九州記念同様最後に形勢逆転…という展開も十分考えられるでしょう。北九州記念は小倉開催が短く芝の状態が例年より良かったこともあり届きませんでしたが、コース取りさえ間違えなければ今の中山ならチャンスあると見ます。

 先行受難のコンディションとはいえ、○モズスーパーフレアのスピードについていける馬はそうそう居ません。自分の展開に持ち込めれば少なくとも生半可な同型馬は封じ込めるでしょう。▲グランアレグリアは直線だけで面倒見るのが難しい中山コースということで単穴評価に留めましたが、前傾ラップのスプリント戦は望むところ。△ダノンスマッシュは前哨戦が完璧だっただけに今回お釣りあるかは微妙ですが、川田Jが中山芝の伸びどころを理解して走っており、位置取り自在な今なら完璧なエスコートで雪辱というシーンもあるでしょう。念のため押さえておきたいのは★キングハート。このコースは走りますし、人気馬が伸びあぐねる展開になり北村宏Jが思う通りの進路を取れれば…来年2月で定年を迎える星野忍厩舎にとって恐らく最後になるであろうG1、申し分のない舞台でもうひと輝きを期待する手はあるでしょう。

単勝16
馬連・ワイド16-2,3,4,10

2020年10月3日土曜日

【10/3(土)結果】

■中京11R ◎ナムラアラシ→12着(16/16人気)

 この馬自身が坂で止まってしまうのは想定外でした。やはりまだ動きが本調子ではなかったかもしれません。

 勝ったカフェファラオは予想通り後方外からの安全策。前走目標にされ被されて惨敗したうえ元々気持ちのコントロールが難しい馬ですから、ルメールJもソロっと出してまくっていくのがベターと判断したのでしょう。これを見越して買う手もありましたが、正直デュードヴァンがレパードS勝ちきれなかったり、タガノビューティーが今日の自己条件取りこぼしたりしてるのを見ればこの先勝ち進めるかどうかはやはり懐疑的にならざるを得ず、次も古馬同士の争いで人気するなら引き続き嫌いたいです。


■中山11R ◎ロライマ→5着(8/16人気)


 道中は上手くタメが利いていましたが、4角の出口で行き場を一瞬失い5~6完歩ほど追えないタイミングがありました。この間に、勝ったインターミッションは4番手の外に取り付いておりロスなく伸びられるポジションを確保していました。ロライマもそのインターミッションと同じコースを通って最後は脚を伸ばすも、4角のロスが取り返せず勿体ない敗戦に。それでも0.2差ですからこのクラスでやれる力は間違いなくあります。

 あと、ここは敗れはしましたが北村宏Jは今の中山の伸びどころを理解しており今日芝での騎乗機会3回で2勝。明日も中山芝では3鞍の騎乗があり、いい仕事をしてくれそうな気がします。

【10/3(土)予想】変則開催で千載一遇<シリウスSナムラアラシ>/隠れた舞台巧者<秋風Sロライマ>

 いよいよ中央開催も次回から人数制限の上有観客開催を再開…一部飲食施設等営業の制限はあるものの、現状の最適解かと思います。馬券売り上げは目に見えて落ちているわけではないですが、現場での活動が制限される関係者や関連産業の人たちの動きにくさは影響が大きいわけで、ある程度人が往来しても大丈夫、という実証実験の側面もあるでしょう。無事に、安全に、賑わいを少しずつ取り戻していくことを願うのみです。

【ラインナップ】

・中京11R(シリウスS)/15:35
・中山11R(秋風S)/15:45


■中京11R

 「シリウスS」が中京で開催されるのは阪神の改修で日程変更があった2007年以来ですが、当時は中京も改修前でダート1700mでの開催。今回のダート1900mでは、重賞はおろかオープン特別の挙行実績も無く、3勝クラスが1回あるのみ。そのため、タイムというよりラップの傾向を重視して組み立てていきたいです。


 上記は今年の中京ダート1900m戦全10鞍(未勝利4鞍、1勝クラス5鞍、2勝クラス1鞍)の上位入着馬の位置取りとラップです。下級条件のダートにしてはかなり差しが決まっており、半分以上が差し馬の勝利。ラップを見てもらえれば一目瞭然ですが、直線部を走る最初の500mで11秒台のラップを刻みながら道中はガクンと緩みますが、前半が極端に緩んだ上から2R目のを除けば最後の3Fも13秒前後を刻みながらゴールと上りも掛かっています。

 

 それもそのはず、中京ダート1900mはスタンド前発走ながら坂の下から走り出すため、最初の先行争いとゴール前の二度坂を上る非常にタフな構造になっています。こうなると飛ばしていた馬が2回目の坂で力尽きるケースも多々あり、後方待機勢の差しが届く展開が出てくることからこのような傾向になります。

 ひとえに、軽い砂でのスピード決着や上りが36秒台以下になるような展開を利して勝ってきた馬には厳しく、例えるなら阪神ダート2000mや小倉ダート1700m等上りの掛かるコース・展開をモノにしてきた馬にチャンスを見出したいところです。

 ◎はナムラアラシとしました。
 この馬が好走するには「タフで時計が掛かる」ことが肝要で、実際今年のポルックスSは逃げ馬を各馬が速めに追いかける展開を最後の一脚で差し込んで3着。後に重賞を制するスワーヴアラミスが1着で重賞ウイナーのハヤヤッコが2着でしたから、1.0差とはいえ価値のある3着だったと言えます。仁川SやアルデバランSの勝ちにしても、先行争いが激しく最後に止まる京都ダート1900m、中京と同じく坂を2回登る阪神ダート2000mとタフなコースを味方につけての好走で、この馬の本質を表していると言えるでしょう。

 先に述べた通り、このコースで重賞が挙行されることは通常なく、この馬が得意とするであろう京都・阪神にはG1級のメンバーが揃うはずで、この開催は絶好のチャンス。久々も問題なく中間の乗り込みも豊富。中身の問題は残りますが、人気上位の3歳勢が盤石と言えない中で食い込む素地は十分です。

 前走小倉で上手く立ち回ったアルドーレ、絶好枠を引いたダイシンインディーも発馬決まれば粘り込める力はあり、相手の本線に。カフェファラオ含む3歳勢はここは見送り。特殊な流れになったとはいえダノンファラオの日本テレビ盃は残念の一言で、この世代の力量を判断するのにはもう少し時間が必要と見ています。

単勝14
馬連・ワイド14-1,4,6,7,9


■中山11R

 ◎ロライマは過去2回の中山戦でいずれも0.3差の③⑤着。春の幕張S3着後京都、阪神、東京と転戦しましたが、長くいい脚を使うより一瞬のキレを活かしたい馬で、前走の札幌1500m戦で2着好走はその適性の現われでしょう。相手は強いですが、先週から外差しが決まる中山、手綱冴える北村宏Jなら好機です。

単勝14
馬連・ワイド14-2,6,8,12,13,15

2020年10月1日木曜日

秋華賞パラスアテナの鞍上問題、「あの馬」の出否がカギを握る


(写真:2020年9月12日、紫苑S出走時 出典:広尾TC

 紫苑S2着で秋華賞(10月18日・京都競馬場)への出走を予定している広尾TCのパラスアテナ(牝3、美浦・高柳瑞厩舎)について、ここ3戦で手綱を取った武豊Jが10月2日にパリ・ロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞(ジャパン)騎乗のため秋華賞当日の騎乗が不可能となったことは既報の通りです。

 既に出資会員の間でも話題になっていますが、こうなると「本番で誰が乗るのか」が非常に気になるところであります。かくいう私もその一人。個人的には、騎乗経験のある吉田隼Jなんかが良いと思っていましたが、フアナで権利獲れなかったルメールJや、クラヴァシュドールの距離適性に見切りをつけたデムーロJが当日空いている…なんて事態にでもなったらワンチャンあるのでは?と淡い期待を持ったりしていました。


■現時点での出走予定馬とボーダー、想定騎手

 妄想を繰り広げる前に、現時点での出走予定馬をおさらいしておきます(敬称略)。

【優先出走権】5頭予定
マルターズディオサ(紫苑S1着) 田辺
パラスアテナ(紫苑S2着) ○○
シーズンズギフト(紫苑S3着) <回避>
リアアメリア(ローズS1着) 川田
ムジカ(ローズS2着) 秋山真
オーマイダーリン(ローズS3着) ○○

【賞金上位】8~10頭予定
デアリングタクト 松山
ウインマリリン 横山武
サンクテュエール ルメール
ミヤマザクラ 福永
アブレイズ 藤井
ウインマイティー 和田竜
クラヴァシュドール M.デムーロ
ホウオウピースフル 池添
マジックキャッスル 浜中
デゼル 藤岡康

【賞金順】
(1,500万)3~5頭出走可能
クラヴェル 横山典
ソフトフルート ○○
フィオリキアリ 北村友
ミスニューヨーク 加藤祥
レイパパレ ○○

 ざっと名前が挙がっているのはこのあたりでしょうか。


■賞金上位馬の動向

 シーズンズギフトは富士Sへ向かうことが発表されましたが、同じキャロットCのサンクテュエールとの使い分けという話もあります。しかしながら、そのサンクテュエールが帰厩後今ひとつ調子が上がらないというか、陣営のトーンが上がって来ないようで、回避も囁かれるように…とすれば、ルメールJはこれらのいずれかに乗ると目されていただけに、そのいずれも回避となるといよいよわからなくなってきます。

 加えて、持病である右肘の腫れを抱えるウインマリリンも、膿の状態を見ながらの調整を強いられているとのことで予断を許さない状態。彼女ら重賞ホルダー2頭が抜けると、現時点で登録の意向を表明している賞金1,500万の5頭が全頭出走可能になります。


■「川田組」の騎手手配が気になるところ

 次に考えたいのはパラスアテナ以外の未定の3頭。これらはいずれも川田Jで勝ち上がった馬で、リアアメリア参戦によりアテを失ったと言えます。

 まず、オーマイダーリンについては川田Jに加えローズSで3着に導いた和田竜Jも先約で乗れず。先約が無く他に騎乗経験があるのは江田照J、川須Jですが、このためだけに江田照Jを呼ぶのは現実的でないので無難に川須Jでしょうか。河内厩舎なら幸、岡田、和田翼Jも居ますが…

 ソフトフルートは中京の2勝クラスを好時計で勝った馬。騎乗経験あって先約が無いのは吉田豊・隼J、岩田望Jの3名。ゴドルフィンはどちらかというと騎手起用に介入することの少ないイメージで、先週の神戸新聞杯のターキッシュパレス(5着)も富田Jとのコンビを継続させました。そうなると、初勝利以来となる岩田望Jの起用も可能性ありますが、評判が高いだけにエージェントサイドからの売り込みもそれなりにあるでしょう。

 最後にレイパパレ。デビュー3連勝中でインパクトの大きい馬ですが、これまで3戦は全て川田J。ちなみにこの馬もキャロットFの所有馬ですが、横山典Jでの参戦を表明しているクラヴェルと違って鞍上はまだ発表されていません。キャロットFの事ですから、出られるのであればルメールJ等宛がいたいところでしょうが、そのためには確実に出走できる情勢にならないといけません。


■鞍上問題のカギを握るのは「ウインマリリン」

 上記経緯から察するに、私はひとえにウインマリリンの出否が騎手のやりくりを考えるうえで重要になってくると考えます。

 現在、出走表明している中で優先権持ち+賞金的に確実に出られるのは15頭。こうなると残る3枠に対し5頭が抽選となります。この状態であれば、ルメールJはサンクテュエールに乗ることがほぼ確実と言えるでしょうし、レイパパレが除外になっても自己条件で川田Jを乗せれば良いという考え方も出来ます。

 一方、サンクテュエールが回避する流れになるなら、キャロットとしてはレイパパレにルメールJを騎乗させたいでしょう。しかしながらサンクテュエールが回避するだけではまだ5分の4の抽選なわけで、万が一これに漏れてしまったらキープしていたであろうルメールJに申し訳が立たなくなります。ですが、サンクテュエールの出否発表より前に回避馬が1頭出れば、サンクテュエールを引っ込めることで1,500万組の抽選が無くなることが決定するので、正式にレイパパレへのオファーを出すことができます(他に登録する1,500万円馬が居なければ)。

 即ち、サンクテュエール以外に回避の可能性のある馬、今回で言えばウインマリリンがもし先に回避を発表することになれば、サンクテュエールもそれを見て引っ込めたうえでルメールJの乗り馬が決定できる、と踏んでいます。


■使い分けのジレンマ

 では逆にウインマリリンが出走にこぎつけ、なおかつ回避馬も出ないとなるとどうなるでしょうか?シーズンズギフトを富士Sに回してまでお膳立てをしたわけですから、態勢さえ整えばサンクテュエールは普通に秋華賞に向かうでしょう。これはサンクテュエールというより、シーズンズギフトの出資者への配慮だと私は考えます。

 そもそもシーズンズギフトは春にもフラワーC3着、NZT2着としておきながらG1への出走が叶わなかった馬で、会員としても「何とかG1の舞台へ」という思いは強かったはずです。真意はさておき、藤沢和師は「紫苑Sのレースぶり」を理由に距離適性含め秋華賞は厳しいと判断、52kgで出られる富士Sでマイル路線に挑むという方針を明らかにしていますが、この説明にすべての出資者が納得しているとは言い切れないのが実情です。外形的には「トライアルを使って優先出走権を獲得したにもかかわらず本番回避」という事実が残るだけで
、使い分けを疑う声が出るのはやむを得ないでしょう。

 最悪なのは、サンクテュエールが回避してなお抽選が発生し、レイパパレが漏れてしまった場合です。シーズンズギフトの回避を「ルメールJの使い分け」と考えるファンの立場からすれば、「ルメールJを譲った」サンクテュエールが回避し、さらに鞍上未定のレイパパレが出られずとでもなれば、結局何のために譲ったのか、という思いになってしまう可能性もあります。

 これはルメールJの立場で考えても同じことが言えます。ノーザンへの恩義を感じ予定を空けているのでしょうが、デゼルに乗れる可能性だって十二分にあったはずです。騎乗馬が居ないのではシャレになりませんし、仮に抽選でレイパパレが出られたとして、そこにルメールJが収まってもそれは結果論で、囲っていたのに最後までヤキモキさせられるのは気分は良くないでしょう。クラブは複数の馬を送り込めますが、騎手は1人。やりくりがうまく行かないこともあるわけです。


■パラスアテナの鞍上はルメールJ次第?

 さて、何でここまでパラスアテナに関係ない話を書いたのかというと、武豊Jからの乗り替わりを余儀なくされる同馬にとって、ルメールJの鞍上は無関係と言い切れない事情があるためです。

 武豊Jの騎乗依頼仲介者(エージェント)は元競馬ニホンTM(トラックマン)の豊沢信夫氏で、同氏は他にもルメール・浜中・そして泉谷Jのエージェントを務めています(1人のエージェントが担当できる騎手は3人+若手騎手1人まで)。エージェントは同氏のように厩舎関係者とのパイプを持つ競馬新聞や専門誌のTMが務めることが多く、担当エージェントがどれだけ顔が利き信頼してもらえるかが騎乗馬の質を左右します。

 騎手起用に介入するオーナーの持ち馬を除けば、厩舎関係者からの騎乗依頼はジョッキー単位というよりエージェントに対して持ちかけられます。その中でエージェントが差配するので、自ずから同じ担当エージェントの騎手同士で序列があったり騎乗馬の融通があったりします。ルメールJの乗る可能性のある馬に武豊Jが乗ることもありますし、その逆も然り。となれば、武豊Jが継続騎乗していたパラスアテナの宛がう先を探して、ルメールJに話が行っている可能性もゼロではありません。

 実力のほどは走ってみないとわかりませんが、紫苑Sでは自身の騎乗するシーズンズギフトに先着した馬ですから、身体が空いているのであればオファーがあっても不思議はないですし、応諾の可能性も万に一つとはいえ無いとは言い切れません。しかしながら、現時点ではキャロットのいずれかの馬に乗ることが濃厚な情勢で、仮にオファーがあったとしても乗ります、とは言えないでしょう。

 とはいえ、早々と秋華賞参戦を決めていたパラスアテナの陣営としても、可能であれば武豊Jが乗れないとわかった時点で早めに鞍上を決めてコンタクトを取っておきたいはずです。帰厩したこの時点でまだ明確なアナウンスが無いということは、あらゆる選択肢を模索していることの表れでしょうし、そこに全国リーディング騎手というオプションがあったとすれば、ギリギリまで待つのもやむを得ないと考えるのが自然でしょう。


■まとめると

 未定かつ個人の想像であるという断りを入れたうえで書けば…

・本線は吉田隼Jでしょうか。夏の波乱の立役者にして全国リーディング7位。但しこの日は恐らく新潟にいるはずなので、前々から確定させないと厳しそう。
・ギリギリまでルメールJの動向を待つなら、直前の水~木あたりまでずれ込むことを覚悟する必要あり。それで結局乗ってくれない、となるならば、当日京都で乗る人の中から選ぶほかない。藤岡佑Jとか当日居ないですかね…

 というのが現実線でしょうか。誰が乗ろうと応援する気持ちに変わりはありませんが、出資馬が初めてG1に出るとなると思い入れもひとしお。あと2週間半、楽しみに待ちたいと思います。