Special Thanks

当ブログは、広尾サラブレッド倶楽部株式会社様のご厚意により、同倶楽部の所有する競走馬の写真及びWebサイト記載情報の転載許可を頂いております。

2021年12月30日木曜日

【2021年の収支報告】

【2021年】
的中:59/240R(24.5%)
※本命抜擢馬の確定着順が3着以内となったレースを「的中」としています。

単勝回収率:115.0%
複勝回収率:70.7%

【本命抜擢馬と結果の一覧】(クリックで拡大します)


 的中率はほとんど変わらずでしたが、昨年は9月以降単勝10倍以上の①着が無かったのに対し今年は比較的コンスタントに中穴を的中できた分単勝でプラスに持って行けたのが大きかったです。しかし複勝回収率が昨年以下と酷くて…特に最近は人気馬を抜擢してことごとく4着以下に敗れるというレースが多く、実績馬を素直に信頼しない悪い癖が出ています。有馬記念の◎が2年連続でそこそこ人気どころを抜擢して④着ってのは悔しいの一言。こういう天邪鬼な考えを少しでも改めながら、来年こそは複勝回収率80%を達成します。

 ちなみに実際に自分が買った馬券の年間収支がこちら。


 何と初めて年間で回収率100%を超えられました!!!

 自慢になっちゃうので申し訳ないですがこれは素直に嬉しいです。元々予算がごくごく少額ですし、控除率を考慮して80%を上回れば御の字だと考えてやっているので自分でも上出来以上の馬券成績でした。

 個人的に良かったと思っているのが、年間で万馬券を3回しか獲っていないこと(京王杯SC・新潟記念の馬連と宝塚記念の3連単)。昔は年間で10~20回ほど獲っていてもトータル収支はマイナスと効率が悪く、今年は連系を買う頻度を減らし単複で地味にプラスを狙っていく戦略を取った結果でもありました。一発デカいので収支を動かすのではなく、比較的コンスタントに的中を続けられたことでこの数字であれば来年もそう大きくやり方を変える必要はないかとも思っています。

 とはいえ、プラス幅は8,000円ちょっとですから30万円を年利2.5%くらいで運用していたようなものです。時間と手間を考えれば金融商品に手を出した方がよっぽど効率は良さそうですが、毎週末の考察とその答え合わせを楽しむプロセスがコロナ禍で自分の中で定着したというのもあります。

 何より競馬の世界はその結果を構成するファクターが常に変わり続けるギャンブルで、馬、人、コース、参加者の属性や傾向等様々な要因が絡み合いながらオッズと結果が出来上がるわけです。ここ1~2年他の公営競技にも参加してみたのですが、どうも自分はJKAと仲が悪いらしくボートも含めまったくもって当たりません。「着順を当てる」という目的は一緒なものの、やはり構成要素の根本が違うだけに同じようには行きません。当面は引き続き馬中心になりそうです。


 今年も毎週お付き合いいただき、ありがとうございました。

2021年12月28日火曜日

【12/28(火)】ホープフルSの予想とねらい目レース(YJS中山1)

■中山11R マテンロウレオ

 この馬に関しては陣営の並々ならぬ期待が感じられます。元々昆厩舎は2歳戦は手堅く攻めるタイプで、勝ち上がっても自己条件が基本です。これまで昆厩舎で新馬勝ちした40頭のうち、1勝馬の立場で2歳G1に挑戦したのは2例しかなく、関東に遠征したパターンとなると2006年のローレルゲレイロが朝日杯(当時中山開催)で②着したのが唯一です。但しローレルゲレイロの場合1勝馬とはいえ重賞連対実績がありれっきとしたオープン馬としての挑戦でした。

 マテンロウレオは新馬勝ちのあと京都2歳Sを使う予定でしたが歩様が乱れ自重した経緯がありますが、そもそも重賞に進ませるローテが昆厩舎としては異例な上、そこをスキップしてG1に出すというのも更に異例。中間も2週続けて古馬と併せ馬を消化し、最終追いでは一杯に追われるレッドレビンを突き放す余裕ぶり。しっかり負荷をかけていることも含め、師の本気度が伝わってきます。

 その追切に2週とも跨った横山典J。この秋は栗東に滞在し昆厩舎の馬を中心に騎乗を続けています。御存知の通り横山典Jの騎乗は「馬が第一」。望みがなければ無理に追いませんし、危ない騎乗もしないタイプ。それがこのマテンロウレオの新馬戦では、馬群の中で折り合わせ直線では前が狭くなるところを強引に割って勝利。パトロールを見れば一目瞭然ですが、並以上のメンタルの持ち主でも躊躇するようなスペースにねじ込んでいます。キッチリ戒告ももらっており、新馬戦でここまでして勝たせる騎乗をするのは異例と言って良いでしょう。

 レース自体も芝2000mで前半が63.0秒という新馬戦らしいペースで、Aコース開催4週目にして外差し勢の強襲を抑え内を突いて勝った点も評価できます。怯まないメンタルは大きな武器で、人気上位勢がパッとしないこのメンバーなら一発あっても、と思います。


■中山7R ヤップヤップヤップ

 ヤングジョッキーズシリーズというのは半分が地方競馬の騎手、しかも若手で形成されることから動き出しが早くなりやすく、上がりがかかる傾向があります。昨年のスカーフェイスや3年前のプレシャスブルーなど、ここを勝ち上がったのはやはり上がりがかかる時に走れる馬が多いです。

 ヤップヤップヤップが⑤着した5走前の函館戦は、当時の②③④⑥⑦着が既に勝ち上がり済というなかなかのレベルでした。このレースは全体の上がりが37.3秒かかり、切れる脚を持たないこの馬でも間に合ったという格好でした。それ以降の4戦は上がりが35秒台以下で出番ナシ。メンバー的にかなり微妙な相手関係で、5走前の内容を考えれば佐賀の天才・飛田Jを迎えたここでなら十分に台頭できると見ます。

2021年12月26日日曜日

【12/26(日)予想】有馬記念の全頭評価とねらい目レース(りんくうS)

■中山11R

[1]①ペルシアンナイト(C.デムーロ)

 昨年の有馬記念0.6差⑦着はメンバーを考えれば健闘の部類ですが、前半が62.2とペースが緩みマイラーでも一瞬のキレでどうにかなる流れになったことが大きかったです。何故かこの馬は最近スタートで不利を受けることが多く、今年の6走のうち実に5走でスタート後両隣の馬に進路を阻まれています。それでも横山武Jがしっかり促して位置を取った札幌記念と頭数が落ち着いたチャレンジCでは③着と善戦しましたが位置を落とすと苦戦しており、ただでさえスタートに一抹の不安を残すクリスチャンJが鞍上であるうえ、パンサラッサが57~8秒のペースで逃げることは濃厚。タフさが要求される流れにあっては台頭は難しいと見ます。

[1]②パンサラッサ(菱田)

 これまではハロン12.0秒のペースで走りきれるかどうかが結果を左右していましたが、前走でHペース逃げに転じアッサリ。元々引き付けて良さが出るタイプでもなく、2番手、3番手が2桁着順に沈んでいることからも気分良く行けるかどうかが鍵となりそうです。

 今回も前走同様のHペース逃げを宣言。他先行勢もハナを譲る構えで自分の形には持ち込めそうです。しかし某媒体でタイトルホルダーの戦法について、生産者である岡田スタッドの代表・岡田牧雄氏が「5F60秒のペースで行き、2週目の向こう正面から進出。4角では最低でも5馬身は離して後続を待て」という指示を横山和Jに出していることを紹介。こうなると力づくでも早めに来られてしまう上、キセキもスタートが決まらなければそれより早く捲りに出る可能性もあります。近走充実とはいえ中山では(0,0,0,4)と走れておらず、二度の坂越えも試練と見られます。

[2]③モズベッロ(池添)

 状態アップに時間を要していましたが、今回は2週連続で坂路で51秒台をマークするなど本来の動きを取り戻しつつあります。折り合いに苦労するところがあり、昨年の有馬記念ではスタートの遅れと道中のスローペースで競馬にならず田辺Jも最後は申し訳程度のムチのみで完全に流していたので参考外。今回はそれよりは速い流れになりそうなことから折り合いはつくと見ます。但し重馬場巧者のこの馬がG1クラスでやれるためには重・不良と他馬のパフォーマンスに大きなマイナスが出そうなコンディションになる必要があり、再度雨が降れば話は別ですが稍重程度ではアシストには少し足りないかと見ます。

[2]④メロディーレーン(岩田望)

 中間は格下の2歳馬を相手に併せ馬を消化するのみで、最終の坂路の時計も平凡以下。ステイヤーズSならまだしも古馬一線級と伍するにはもう二回りはレベルアップしてもらわないと…

[3]⑤ディープボンド(和田竜)

 フォワ賞勝ちが物語る通り持久力に秀でたタイプで、日本でも大箱コースか長距離に良績が集中。年始の金杯で⑫着に敗れたのは3~4角で押し込められ直線も前が詰まったことがありますが、昨年の皐月賞でも3角で手ごたえを失くし⑩着。進路を確保できたときにスパッと伸びられないことがウィークポイントであるわけで、このコース、この枠では能力全開とまでは難しいかと。

[3]⑥ウインキートス(丹内)

 前走のエリザベス女王杯の際の見解が下記。

 気になるのは騎手も厩舎も「関西慣れ」していない点。丹内Jは年間で数えるほどしか阪神に乗っておらず、通算でも(1,2,6,99)と実績は無いに等しいレベル。送り出す宗像師も関西で重賞を勝ったのは03年鳴尾記念のウインブレイズまで遡り、バランスオブゲームやフェイムゲームといった重賞の常連でも関西遠征では結果を残せていない厩舎です。ウインキートス自身も初の遠征、初の56kgと超えるべきハードルは多く、相手も盤石でない中チャンスがあるのは確かですがこのフォーメーションで阪神のG1となるとベストパフォーマンスを出すのは難しいと見ています。

 結果は0.7差の⑩着で、道中やや折り合いを欠くシーンがあったとはいえ馬場の悪い内に押し込められたでもなく進路が塞がったわけでもないのに同じような位置にいたステラリアはおろか馬体を併せたイズジョーノキセキにも競り負けるのは物足りないパフォーマンスでした。

 そこから好走歴のある中山に戻るにはよいのですが、テンの速い馬が揃い3番手以内を取れるかは怪しく、仮に押して前につけたとしても今度はお釣りが残りません。内枠有利でもない現状では恵まれる可能性も低いかと。

[4]⑦クロノジェネシス(ルメール)

 実績は言うまでも無く、間隔を空けた方が良いタイプでもあり5歳の暮れにしてまだ17戦目。引退レースとはいえ枯れるにはまだ早いです。ただやはり調教の動きを見ていると「本調子にない」という斎藤崇師のコメントはブラフではなさそうです。

 最終追いの相手はヒンドゥタイムズ。実は前走の中日新聞杯で◎を打つ予定だったのですが、本来良い時ならクロノジェネシスと併せて先着するくらい調教掛けする馬がやっと併入、というレベルだったので状態不安を疑い消しました。結果はご存知の通りの⑦着で、本来寒い方が動ける馬なのにまだ調子が上がり切っていないことを伺わせました。

 そのヒンドゥタイムズと併せたCWでの追い切りは、ヒンドゥタイムズ側が幾度も後ろを振り返りクロノジェネシスを待つような仕草。本来アッサリ抜いて行かれることを想定していたと考えれば、陣営の思ったほどにクロノジェネシス側の調子が上がっていないことを伺わせます。実際、宝塚記念の前は1週前に50秒で乗れていたのに今回はこの最終追いの51.8が4Fのベスト。中間ルメールJが一度もコンタクトを取っていない点も気がかりで、マイナスイメージを持たれないようにする狙いもあるのかもしれません。

 とはいえ、正直このメンバーでは多少の出来落ちがあっても格好はつけなければならず、何かに足下を掬われる可能性はあっても上位に踏みとどまれるレベルの馬とは見ています。

[4]⑧ユーキャンスマイル(藤岡佑)

 得意なはずの東京で秋2戦とも見せ場なし。G1のペースについていけていないのが実情で、不得手中山替わりでパフォーマンスを上げる期待はしにくいです。

[5]⑨ステラヴェローチェ(M.デムーロ)

 「バゴっぽくないバゴ産駒」であり末脚を活かせるタイプにつき後ろからのレースが続いていますが、本来は位置を取りに行っても良い馬です。前走の菊花賞は距離不安もあり後ろからのレースになりましたがそれでは間に合わない展開で、それでも3角から動いて④着まで押し上げたのは地力の証明でした。

 スロー想定ならば差し届かない懸念もありますが、平均以上で流れるとなると最後までバテずに脚を伸ばせる持久力が求められます。かと言って中山ではジリ脚タイプでも駄目で、「それなりの持久力とそれなりのキレ」が求められるこの舞台は、バゴの持久力とディープのキレを程よく受け継いだこの馬には絶好と言えるでしょう。人気上位に状態不安がある中、中8週以上なら(2,1,1,0)と走れているのも好材料で、最終追いでデムーロJが馬なりで済ませるのも状態の良さを感じ取っている証拠。自在に運べる分、不安要素の最も少ない実力馬と考えます。

[5]⑩エフフォーリア(横山武)

 ヴィクトワールピサのように「東京2400mは走れなくても中山2500mは走れる」ケースはあり得ます。エフフォーリアもダービーでは最後止まってしまいましたが、元々レースセンスと立ち回りの良さが身上でそこに強気に乗れる横山武Jのスタイルが合致した結果今の成績がある、と言えるでしょう。皐月賞の勝ちっぷりが示す通り、中山向きの機動力という意味では文句のつけようがありません。

 本来エピファネイアは加減速が苦手なタイプで、一度中盤で緩んだ後再度ギアを上げるというレースができないため国内ラストランとなった有馬では⑤着と取りこぼしていました。半弟のルペルカーリアがセントライト記念で沈んだのもその点と無関係とは言い切れず、現にエフフォーリアも道中で13秒台の区間のあった百日草特別ではパフォーマンスを落とし(勝ったものの重賞で通用していないレインフロムヘヴンに0.2差)、ダービーでも取りこぼしています。その点今回はパンサラッサが淀みなく運ぶうえ、タイトルホルダーやキセキが控えているとなると緩む区間は無さそうで、中山2500mでもこの弱点が相殺される可能性は高いです。

 あとは状態。入厩時に頓挫がありCWでの早めが1本少ない調整過程で、陣営も横山武Jも「天皇賞ほどではない」と口を揃えています。それでも2週続けて終いは11秒台で上々の動きを見せ、態勢は整ったと見てよさそうです。言うまでも無くコントレイル、グランアレグリアを破った天皇賞の内容は現役最強レベルで、そこまでに至らなくともこのメンバーなら…とは見ます。

[6]⑪アリストテレス(武豊)

 2走前の京都大賞典で最後の1Fが13秒かかるこの馬向きの流れになりながらマカヒキに差された時点で、現状G1で勝負できるレベルではないと判断しています。前走のジャパンカップは決して得意条件ではないうえ積極先に出ての⑨着なので着差ほど悲観することはないですが、モズスーパーフレア級にならない限りは基本的に管理馬を逃がすことに否定的な音無師があれを許したとなると、裏を返せばああでもしない限り勝機は見いだせないと捉えられている証拠でもあります。このメンバーでは打ち手も少なく、自身のレースに徹してどこまで、という舞台でしょう。

[6]⑫シャドウディーヴァ(横山典)

 中山では1800mを3回走って④①⑤。距離は今なら持つでしょうが、右回りだと内にモタれる面があり、実際過去中山での3走は2番、1番、5番という内目の枠でラチを頼りに走れた側面がありました。この枠でどううまくやるかですが、鞍上の横山典Jは中山のG1では丸6年馬券になっておらず(最後に複勝圏内に入ったのは15年の有馬記念、北村宏Jの代打でキタサンブラック③着)、マツリダゴッホが勝った時のように内がガラ空きにでもなれば。

[7]⑬アカイイト(幸)

 前走のエリザベス女王杯は前に行きたい馬が揃った結果、前半59.0秒のハイペースで流れ牝馬としては長距離の部類に入る2200m戦でバテる馬が続出。結果的に馬場の良い外目をスムーズに回ったこの馬が勝ちましたが、4,5着の顔ぶれを見ても展開利を味方につけた結果と見るべきでしょう。再度同じ流れになる可能性はありますが、流石に今回は牡馬相手で二度の坂越えは楽ではなく。

[7]⑭アサマノイタズラ(田辺)

 皐月賞で見せたように掛かるところがあり、しっかり折り合わせられた2走前のセントライト記念では展開利も味方につけ快勝。初コンビとなった田辺Jも差しを得意とする騎手でありこの起用が嵌った面もありました。

 前走の菊花賞は距離延長+初の関西遠征に加え、ヴィクトワールピサ産駒に3000mは流石に長すぎました。得意の中山に戻り距離短縮、しかもペースは流れそうと来ればセントライト記念の再現があっても驚けません。当時破ったソーヴァリアントはチャレンジCを完勝しましたがここに出ればそれなりに人気になったはずで、あの一戦だけで評価はできませんが少なくともこのメンバーなら噛み合った時に突っ込んでくる可能性は否定できません。

[8]⑮キセキ(松山)

 陣営は「出られなければ腹をくくる」としており、ゲートが決まらなければ前走同様のまくりに出るでしょう。元々角居厩舎の解散とともに引退の予定がありましたが、昨年の有馬記念が「不完全燃焼だった(下河辺牧場談)」こともありもう1年やることになったという背景。とすれば、昨年のような中途半端な進出ではオーナーサイドは納得しないということで、今年は惨敗しようが捲ってハナを取り切るレースをしてくるでしょう。スローペースを見越して結果的にそうなるのならともかく、決め打ちで捲られては前に居る馬にとってはたまったものではありませんし、そもそも前に2頭はいる想定でこれらを捲るとなると最後の1000mでかなりの脚を使うことになるので…

[8]⑯タイトルホルダー(横山和)

 結果的に前走前の横山武Jの弱気な発言はブラフだったわけで、詳細なレースプランが既に共有されており結果その通りになったという図式でした。

 パンサラッサの項で述べた通り今回も牧雄氏は「横山家の体内時計」を信じ詳細な作戦を鞍上に伝えていますが、プラン通りに運ぶなら今回は57~8秒で運ぶパンサラッサを自力で捕まえに行く必要があります。想定より早く前が止まれば大いにチャンスはありますが、1周目より2周目で加速しなければならないとなると14秒台に落とす余裕のあった菊花賞とはワケが違います。皐月賞の内容を考えればここでも有力候補ではありますが、不確定要素が大きく軸では狙いにくい舞台です。

 なお参考までに、過去重賞で「横山家同士での乗り替わり(横山和Jがデビューした2010年以降)」は(1,2,0,17)で単回26、複回44。3度の連対は全て父親に乗り替わったケースであり、兄弟間、および父→息子の乗り替わりで馬券に絡んだ例はありません。

<予想>
◎ステラヴェローチェ
○エフフォーリア
▲クロノジェネシス
△アサマノイタズラ
△タイトルホルダー
△シャドウディーヴァ


■阪神11R ロードラズライト

 阪神ダート1200mはOP級以上の挙行が少なく参考になるかは微妙なところもありますが、馬券の期待値としては「逃げ<先行」という構図が見て取れます。


 勝率・連対率・複勝率いずれも逃げ馬が上回っているのですが番手追走の馬にもチャンスがあり、サンプル数の違いを考えればこの回収率はかなり特徴的と言えます。

 今回は被されたくないエアアルマスとロイヤルパールスが内枠に入ってしまったため、気合をつけて出していくと見られます。特にエアアルマスの鮫島駿Jは逃げたいときは何が何でも、というタイプで(そのあとはお察し)、これに中井Jが応戦するとオーバーペースの懸念があり3番手以下の馬にチャンスが回ってくると見ます。

 ロードラズライトの前走は同じコースで行われた大スポ杯。大外16番枠から鮫島駿Jが出ムチを入れて先行し0.4差⑤着に残りましたが序盤で相当脚を使ったうえにコースロスも大きく、番手以下の馬がこぞって脱落した中唯一掲示板に残したのは評価できる内容でした。今回は枠順も好転し隊列もスンナリ決まりそうで、斤量も3kg軽くなるここは追走にも苦労しないでしょう。日曜に強く追って直前軽めという調整は浅見厩舎の通常パターン。状態面の不安も見られず狙いは立つはずです。

2021年12月25日土曜日

【12/25(土)予想】阪神Cの注目馬とねらい目レース(グレイトフルS)

■阪神11R ラヴィングアンサー

 OP昇級後1200mを3勝しているものの、この馬の最高のパフォーマンスは1400m、昨年の京王杯SCと考えます。掲示板に入った5頭のうち4頭は4角の1~4番手で、唯一この馬だけが11番手の外から末脚を伸ばして0.3差④着に食い込みました。この時勝ったダノンスマッシュはこののちG1を2勝し、結果的に重賞8勝という名スプリンターになったことを思えば不適距離とは言えそこに肉薄した内容は評価して良いと見ています。

 1400m戦は昨年8月の朱鷺Sで0.3差⑧着した時以来ですが、平坦の新潟より坂があり上りのかかる阪神コースの方が向いています。加えて外差し優位が進む今の阪神で、1200mからの距離延長で挑む馬や前目を取りたい馬が少なくなく、わかっていてもペースは速くなりそう。岩田望Jは差してこそのジョッキーで、重賞を勝つチャンスがあるとすれば意外とこういうタイプの馬の騎乗時かもしれません。


■中山11R ロードトゥフェイム

 マツリダゴッホ産駒らしく全3勝が中山。前走は菊花賞参戦で流石に壁は厚かったですが、自己条件で53kgで出られるここはチャンスです。今回は久々に菅原明Jに手が戻りますが、この馬の手綱を取ってきた3騎手の中山芝1800m以上(=コーナー4回以上、2018年以降)の成績はだいぶ開きがあります。


 「とりあえず行ってあとは何とか持たせる」だけの騎手ではワンターンの1600m以下はどうにかなっても、加減速を適切に行う必要のあるコーナー4回以上のコースでは成績差が出てしまうという格好。負傷休業中の木幡巧Jはともかく、丹内Jは中山にいて空いているのに乗せられなかったというのが陣営の答えでしょう(兄ほどではないにせよ岡田スタッドも比較的丹内Jを乗せる傾向が強いにも拘らず)。上位人気は必至ですが、菊花賞の着順の差でこちらの方が妙味は高いと見ます。

2021年12月19日日曜日

【12/19(日)予想】朝日杯FSの予想&ねらい目レース(寒椿賞、ディセンバーS、御影S)

■阪神11R ヴィアドロローサ

 前走の京王杯2歳Sではスタート直後に隣の馬がヨレた影響を大きく受けて後方からのレースを強いられ、道中は荒れた最内を進み直線も進路を探しながら追いにくい中33.5の脚を使い⑧着まで押し上げました。レース自体が前に居た馬同士の決着だったことを考えれば仕方ない展開で、最後まで脚を使っていた点から距離延長にも対応できました。加藤征師が「スタートの不利が無ければ勝てていた」といつもの調子で語れば、手綱を取った横山武Jも「あれが無ければ勝負になった」と同調。当時③着のラブリイユアアイズが先週の阪神JFで②着したことを考えれば京王杯組は不当に評価が低いと思いますし、デビュー2連勝で完成度の高さも証明済み。この舞台でも伍せる力は持っていると見ます。

 ホープフルSが出来てからというもの、このレースには距離適性の短い馬が多く集まるようになり、スピードが求められるようになりました。


 事実阪神に移行した2014年から3年間は1分34~35秒台の決着だったのが、2017年にホープフルSがG1に昇格し距離適性の長めの馬が別路線に行くようになったことで1分33秒台の決着が常態化。スピードを活かせる馬が台頭するようになり、昨年は1600m以上で勝ち星のなかったグレナディアガーズが1分32秒3の2歳レコードで勝利。特にここ2年は前半半マイルが45秒台と流れており、そのスピードについていけないと難しいレースになりつつあります。一昨年の②着馬タイセイビジョンは前半45秒台で流れた函館2歳Sの②着馬、③着グランレイも1400mの未勝利戦を勝っての参戦でした。

 今回のメンバーで4F45秒台のレースを経験しているのはヴィアドロローサとカジュフェイスの2頭だけ。カジュフェイスも押さえますが逃げでしか勝っていないことを踏まえれば、前走で戦法の幅を見せたヴィアドロローサを上位に取りたいです。


■中京10R スマートプレジール

 ダート1200mの新馬戦を0.8差で圧勝したのち挑んだ前走のファンタジーSではシンガリ負け。芝がダメだったという見方もありますが、3,4コーナーで外に逃避するようなシーンがあり必要以上に負けた側面もあります。新馬戦の危なげない走りからすれば現状ダートの左回りがベストであり、現級で3着以内の経験のある馬がいないここなら巻き返せると見ます。


■中山11R サトノクロニクル

 過去何度か言及していますが、藤井Jのスイートスポットは「芝の14,18」です。


 相変わらずこの距離条件では高い回収率を挙げており、サトノクロニクル自身も元々重賞で3度の②着がある実力馬。行きたい馬もおり外差し傾向の出ている今の中山で、この相手関係なら久々にチャンスありと見ます。


■阪神12R ファシネートゼット

 このコースで2勝しており、叩き4戦目となりますが使われながら内容も良くなっています。前走の銀嶺Sは先行馬の目標にされる厳しい内容を粘り込んで0.4差⑥着。斤量が2kg減となる上内目の枠を引け、人気どころが外に集中したことも手伝い自分のレースが出来そうな今回は走り時でしょう。

2021年12月18日土曜日

【12/18(土)予想】ターコイズSの予想

■中山11R スマートリアン

 前走の府中牝馬Sでは距離延長で行きたがる面を見せたうえ、道中は荒れた内を通らされ直線でも早めに仕掛けざるを得ない展開で⑥着。むしろ0.5差はよく踏ん張った方でした。距離短縮ローテでは(3,1,0,0)で、京成杯AHで0.1差④着した内容からも中山マイルも問題なし。加えて今回は池添Jに手が戻るわけで、オルフェーヴルに代表されるようにステイゴールド血族のイメージですが芝でキズナ産駒のキレを引き出すことにかけては抜群の成績を誇ります。


 上記は今回出走する騎手の芝でのキズナ産駒騎乗時の成績。前任者の三浦Jと比較してもそうですが、複勝率55%で複回230というのは驚異的(この平均人気で単回複回100超えのルメールJも凄い)。この馬騎乗時も(2,1,0,0)であるように手が合っており、相手関係も前走とさほど変わらないと来ればここは順当に上位争いと見ます。

2021年12月12日日曜日

【12/12(日)予想】カペラSの全頭評価とねらい目レース(阪神JF、阪神12)

■中山11R

[1]①リュウノユキナ(石橋脩)

 6歳シーズンになり取り口が安定。1200mでは6戦し4勝2着2回とパーフェクトに走れています。前走のJBCスプリントは良績のない1400m(この馬の好走は1300m以下のみ)で距離自体は度外視できますが、この馬よりも内を突いたレッドルゼルやサンライズノヴァに差された上同様に1400mが向いているわけではないモジアナフレイバーに外から差されたのは流石に負けすぎで、一連の出来からはやや落ちているのかな?という印象はぬぐえません。

[1]②ゲンパチフォルツァ(武藤)

 今年の3歳ダート戦線はかなり低レベルという話は何度かさせていただきましたが、この馬もご多分に漏れず春先の世代限定戦を勝ち上がってきたクチ。ここ2戦は古馬の壁に跳ね返されている印象で、コース相性はよくとも相手関係的には強調しにくく。

[2]③アポロビビ(吉田豊)

 全5勝すべてがこのコースでのもの。ただここ2戦はテンの速さに戸惑っている様子で、前走のながつきSも0.3差⑨着とはいえ本来得意なはずの上りのかかる展開をモノにできず。3走前の千葉S①着時のように1分11秒台で足りるようなレースが理想で、時計対応に課題を残します。

[2]④ダンシングプリンス(三浦)

 8か月ぶりの実戦。中間の坂路の時計は50秒、51秒をマークしていたここ2戦に比べるとかなり見劣りする現状で、馬体も530kg前後となるとこれはまだ仕上がり切っていないと考えた方が良さそうで…

[3]⑤デュアリスト(戸崎)

 連を外した2戦はいずれも前半3Fが34秒を切るペース。中央で勝った3戦はいずれも前半3Fが35.0秒以上。ペース的に恵まれにくそうなここでは。

[3]⑥スマートダンディー(大野)

 1200mは初挑戦。この馬の最高のパフォーマンスはやはり阪神ダート1400m戦時で、距離短縮で控えることはできても1200mのペースで溜めを作るのは難しいでしょう。

[4]⑦ミッキーワイルド(田中勝)

 前走の霜月Sでは直線半ばまで進路が出来ない中最後のひと脚で③着を確保しました。ロスなく運べはしましたが恵まれたわけではなく、人気薄でしたが復調を印象付ける好走でした。但し溜めを作れない1200mでは良績が無く、適鞍が無い以上仕方ないですがこの舞台でパフォーマンスを上げる期待は持ちにくく。

[4]⑧ロイヤルパールス(宮崎)

 中1週以下だと(4,1,1,5)で中2週以上だと(1,1,1,28)。出脚がつくかが鍵で間隔を詰めて使ってきた方が反応が良くなるタイプにつき、中5週と間隔のあいたここでは強調しにくいです。

[5]⑨オメガレインボー(岩田康)

 前走の武蔵野S時に「暑いと走り、涼しいと今一つ」という特徴を挙げましたが結果的には③着を確保しました。但し満足に追えなかったエアスピネルにも差されてしまうあたり気温の低下とともにパフォーマンスが下がっていると見ることが出来そうで、さらに気温が下がるこの舞台、初の1200mとなると実績ほどには信頼しにくいです。

[5]⑩ヨシオ(勝浦)

 かつては先行策で好成績を残してきましたが、ここ最近は行けなくなっており末脚に賭けて展開待ち、というレースが続いています。ここまで75戦を消化した戦歴にも表れている通り、使われながら調子を上げるタイプでここはいったん様子見の一戦になりそうです。

[6]⑪メイショウテンスイ(江田照)

 1400m戦で好位につけるレースで安定した成績だったのが昨年の秋。砂を被れずに運べればこのクラスでもやれる素地はありますがそれでも1400mで掲示板が精一杯という現状で、阪神・東京の1400mとは明らかに適性の違う中山1200mでは買い要素は見出しにくく。

[6]⑫ミスズグランドオー(田辺)

 3歳馬ですが3月に1勝クラスを勝ち上がった後は4か月の放牧に出され、古馬を相手に勝ち上がり。この馬は直前の調教負荷と成績がリンクする傾向にあり

前走:併せ一杯…①着
2走前:併せ馬なり…②着
3走前:併せ馬なり…②着
4走前:併せ一杯(+金曜にも併せ)…①着

という状況。今回も1日、4日と併せ馬で一杯、最終も併せ馬で強めに追われ十分に負荷をかけられている状況につきパフォーマンスを上げられる調整過程と見ます。

 前走は2番手から直線余裕で抜け出し、大勢が決してからのステッキ1発で0.4差突き放す強い競馬。ハナを切る必要は無く外目の好位を取れそうなここはいきなり通用の目があっても。

[7]⑬トウカイエトワール(石川)

 このコースで(3,0,1,0)とよく走っており、前走のNST賞はスタートから前が狭くなりポジションを取れずで参考外。但し休み明けは(0,0,1,3)で使いながら仕上げてくるタイプ。転厩初戦ということもあり本領発揮は次以降と見ます。

[7]⑭ディサーニング(横山武)

 去勢後は取り口が安定し、1200mで②①④①着。気性的にも休み明けは苦にしないタイプで、1週前には南のウッドで50.7-11.6の好時計をマーク。軽いダートもプラスでいきなりがあっても。

[8]⑮ミッキーブリランテ(菅原明)

 切れるタイプではないのでダートが合う可能性はあり、芝を走る距離の長い外枠も好都合。加えてこの馬自身も休み明けより使われて調子を上げる傾向にあり、中1週の続戦となるここはローテーション的には狙いたい局面です。

[8]⑯モズスーパーフレア(松若)

 ダートは過去2回JBCスプリントで走ったのみで、それが④③着だからと言って適性を評価できる内容かと言われると微妙なところです。そもそも前走は自分の形に持ち込みながらさらに内を2頭に掬われて0.7差ですから完敗と言ってよい内容で、それをダートに求めるのか距離に求めるのかは判断が分かれますが、ただでさえ斤量が1kg増えるこの舞台で枠だけで人気するようでは少々危険かと。

<予想>
◎ミスズグランドオー


■阪神11R ナムラクレア

 前走のファンタジーSは行きたがるのをなだめながらのレースで、ウォーターナビレラとの0.1差は折り合いひとつで逆転可能と見ます。今回は中間追い切り時にメンコを装着し敏感な面をカバー。そのかいあってか最終の坂路では52.2-11.6と2歳馬離れした好時計をマーク。元々小倉2歳Sでも控えて勝っているだけに今回も控えて運びたいクチで、外差し優勢の今の阪神のコンディションに加え、距離適性が短めな馬の多いこの舞台は機動力も重要。代打騎乗からチャンスをつかんだ浜中Jが連続騎乗となれば、人気馬が外枠に集中したこの構成で中を割って一矢報いるシーンに期待です。


■阪神12R カムカム

 人気上位は皆先行タイプ。その中心と目されるのはもちろんレモンポップですが、休養中に当時戦った馬たちの評価はダダ下がり。前走のカトレア賞で下したタケルペガサスはなぜか日本馬が良く走るUAEダービーで④着に入ったものの、鳳雛Sでは牝馬ウェルドーンに完敗。そのウェルドーンはご存知の通りJDDでキャッスルトップにすら勝てずで、ラペルーズやゲンパチフォルツァ同様早い時期に勝ち上がった馬は皆振るわないのが現状です。

 昨日の中日新聞杯のように人気薄が先行すると「どうせ垂れるだろう」と見られて仕掛けが遅くなる傾向にありますが、上位人気が先行するとその逆でそのまま行かせてはマズいという心理から仕掛けは早くなりがちです。但しカムカムは展開に合わせて動き出しを変えることが出来ないタイプの馬で、ペースがどうなろうと後方からじっくり運ぶしかなく最後に前が止まるかどうかで成績が変わります。その点を踏まえれば今回は早めに動き出した各馬の脚が止まる坂上でグングン脚を伸ばす展開が期待でき、上位台頭のチャンスと見ています。

2021年12月11日土曜日

【12/11(土)予想】中日新聞杯の注目馬とねらい目レース(境港特別、師走S)

■中京11R ショウナンバルディ

 前走のケフェウスSは控える競馬で全く良さが出ず⑧着。この馬は前につけられて前半が62秒程度の緩いペースになった時に力を出せるタイプで、コーナー4つに坂登り2回の中京2000mは本来この馬の得意条件です。岩田康Jが乗った時に行き切らないレースばかりなのが気がかりですが、前走までは連戦で使い詰めの影響もありリフレッシュした今回は直前も一杯に負荷をかけられており力は出せる態勢にあると見ます。めぼしい先行馬が見当たらないここでなら、ひきつけて逃げても最後まで持たせる期待は高いです。


■阪神10R モイ

 小柄な馬体を活かした立ち回りが身上で、その分詰まりと表裏一体というリスクを併せ持ちます。頭数は少ない方がありがたく、9頭以下のレースでは④②④着でいずれも0.4差以内に纏めています。16頭立ての前走・三陸特別も追えるスペースが出来ずまともに鞭を入れたのは最後の150m程度でしたが0.3差④着と善戦しており、勝ち切るまでは難しくともこのメンバーなら3着内は十二分にあっても。


■中山11R レピアーウィット

 マーチSの際に取り上げた通り、この馬のような大型馬に強い石橋脩Jに手が戻るのは好材料。元々揉まれたくないタイプで器用さも無いため、内枠・小回り・中枠と不利条件が続いたここ3戦は度外視できます。今回は15番枠な上、隣の大外はゲート難が定着してしまったバレッティにつきほぼ間違いなく被されずに運べそうです。57kgでも2勝しており、このメンバー唯一の古馬ダート重賞勝ちを有し実績も断然。1週前の抜群の動きからも状態に不安は無く、買わない理由は見当たりません。

2021年12月5日日曜日

【12/5(日)予想】チャンピオンズカップの全頭評価とねらい目レース(中京8、ギャラクシーS)

■中京11R

[1]①ソダシ(吉田隼)

 適性や枠の話は他の方にお任せするとして、自分がこの馬を買わない理由は「ゲート難が表れ始めている」ことに尽きます。母ブチコはゲート難により引退に追い込まれた経緯があり、この馬も前走ゲート内で前歯をぶつけて出血しているように、段々と気性的な危うさが顔を覗かせている現状です。そこに初ダートで最内枠、よりによって隣は逃げたい馬となると、かなりの確率で後手を踏む可能性がありそれ自体が不利となってしまいます。

[1]②カジノフォンテン(M.デムーロ)

 中央初参戦。交流G1の2勝はいずれも左回りで、カジノドライヴ産駒もこのコース自体はよく走れています。但しこの馬個体で考えた時に坂のあるコースへの対応力は不透明で、母ジーナフォンテンも中央在籍時の唯一の入着は新潟芝でのもの。先行馬の多いメンバー構成を考えても恵まれにくい展開になりそうで。

[2]③サンライズノヴァ(松若)

 今なら距離自体はこなせるかとは思いますが、良績はマイル以下のワンターンに集中しておりこの舞台自体がそもそも合わないと見るべきでしょう。

[2]④インティ(武豊)

 このコースでは(2,0,2,1)。唯一の着外は苦手としている不良馬場でのもので、乾いたダートならキッチリ走ってきます。ただここ数戦気になるのが、ゲートが開いたときに伸びあがるような仕草を見せる点。それもありかしわ記念・南部杯では控える競馬で③⑤着と着をまとめていますが、いずれも実質的には5~6頭立てのレースであり能力の絶対値的にこのくらいの着順にならないとおかしいという話でもあります。再度内枠を引いた今回、スタートが決まらないことにはここ2年のようなレースは望みにくく。

[3]⑤エアスピネル(藤岡康)

 距離短縮ローテでは(2,3,1,0)とキッチリ走れている一方距離延長時は(0,0,2,6)。適鞍が無いので仕方ないですが、ローテーションからして買えるタイミングではないということ、加えてムーアJを手配していたにもかかわらず急遽乗れなくなり止む無く藤岡康Jがテン乗りという背景も手を出し辛く。

[3]⑥テーオーケインズ(松山)

 JBCクラシックでは④着に敗れましたが、4角で外を取ったミューチャリー・オメガパフュームのワンツーに対し内に潜ったチュウワウィザードとこの馬は馬場差で後れを取った格好で、悲観する内容ではありませんでした。3歳春までは砂被りを嫌う側面もありましたが、ここに来て馬の後ろでもレースができるようになったのは成長で、好位を取りたいタイプにつき自在性を活かせる戦法を取りやすくなったことが好成績につながっていると推察されます。

 一方で、近年のこのレースはレース自体の上りが36秒前後かそれを切るくらいになることが多く、勝ち馬には軒並み35秒台~36秒前半の上りが求められています。この馬が36秒台前半の末脚を使ったのは3回あるのですが、平坦の京都、坂が緩く直線の長い東京とスローペースになった阪神でのもので、中京コースでは2回走って1400m戦の36.7が最高。このレースはテンよし・中よし・終いよしの総合力が問われ、良馬場でよどみなく流れかつ上りを求められる展開では一抹の不安が残ります。

[4]⑦サンライズホープ(幸)

 前走のシリウスSの勝ち時計の1.57.4は、中京ダ1900mの良馬場としては史上2番目に早い時計でした。1番は昨年の白川郷Sでハギノアレグリアスがマークした1.56.3ですが、このレースはまるでスペースシャトルの打ち上げかの如く前が次々と入れ替わる展開で、中団待機していたこの馬が好時計で差し切ったもの。3着以下は1秒以上離されたレースにつき少々特殊な時計で、サンライズホープの上記の時計は2番手から押し切ったレースで十分に評価できます。

 そもそもシリウスSの舞台である中京ダート1900mコース自体が、テンが速くなりやすく先行馬にとって不利なレイアウトですがそれを勝ったという時点で高く評価でき、同じくホームストレッチ一杯に先行争いが繰り広げられる阪神ダート2000mでも4走前に勝っているように自分のポジションを取れれば簡単には崩れません。勝ち方が地味な故人気しにくいですが枠と相手関係から今回も2~3番手が取れそうで、乾いた馬場で内前有利のセオリーならば残り目は大きいと見ています。

[4]⑧スワーヴアラミス(松田)

 前走のみやこSは直線でなぜか馬のいるところに突っ込む謎采配もありましたが、スタートが決まらず後手を踏んだのもあり終始窮屈なレースになってしまいました。6走前の平安Sのようにそれなりに周りも流れるレースになると現状では苦しく、ここも位置を取るのは厳しいと見ます。

[5]⑨オーヴェルニュ(福永)

 間隔を詰めると良くないタイプではありますが、前走のみやこSは陣営もここを意識しての叩きであることを明言しており、中身が出来ていないという感じの失速の仕方で⑫着。そもそも米国遠征で福永・川田の両ジョッキーが居ない中で使う時点で本気度の違いは明白でした。中京では3戦3勝でここに向けての仕上げも順調そのものですが、自らが速い上りを使えるタイプではないため逃げ馬が止まるような高速馬場で良績を残してきました。3走前の平安Sでは重馬場+前が止まりやすい中京1900mで余計に圧勝した側面もあり、1800mで良馬場となるとそこまでのパフォーマンスは期待できないでしょう。

[5]⑩ケイティブレイブ(内田博)

 美浦転厩後4戦目で陣営は状態の良さをアピールしていますが、良かったころの好走歴自体が平坦コースに集中しており坂のある中京に変わることはプラスではありません。前走金沢で行われたJBCクラシックでも流れ込むだけのレースで、このメンバーでも足りるとは言い切れず。

[6]⑪アナザートゥルース(坂井)

 前走のみやこSは気温低下によりコンディションが上向いた分もあり逃げて見せ場たっぷりの③着でした。向こう正面でエクスパートランが捲ってきた時に2番手以降の各馬が速めに動き出したこともあり差し決着になりましたが、その中で唯一手綱を動かさなかったのがアナザートゥルースの松山J。好発から行き切り、直線向いてもギリギリまで追い出しを待った分残た格好で先行勢総崩れの流れの中で残したことは価値は高いですが、ラップ自体は前半にしっかり緩んでおり鞍上の好判断も込みでの結果と評価すべきでしょう。逃げなくてもレースのできるタイプとは言え前走のように流れが向くとは言い切れず、先行勢も強力なここでは。

[6]⑫クリンチャー(川田)

 左回りでは芝も含めて(0,0,0,4)。現状の賞金では東京大賞典に出られないためやむなくここに向かってきたと推察されますが、それだけに賞金加算をもくろんでの参戦だったはずの前走・みやこSで⑥着に敗れたのは不可解でした。アナザートゥルースの項で述べた通り早めに動き出す展開になった分苦しかったのはありますが、この馬の場合そのような持久力勝負をモノにしてきたクチなだけにもう少し残せるかと思っていました。中央の相手関係では少しずつ苦しくなっている現状を伺わせ、左回り替わりとなると強調はしにくいかと。

[7]⑬チュウワウィザード(戸崎)

 昨年のこのレースでは強豪相手に完勝と言えるレースぶり。その前が大井で2戦連続で③着に敗れていたことを考えても、左回りでこその馬と評価できるでしょう。今年もJBCクラシックを叩いての参戦ですが、テーオーケインズの項で述べた通り着差はコース取りの差であり中身のあるレースでした。

 ただその昨年は最終が坂路で併せ馬を消化していたのに対し今年は単走。追い切りの映像を見る限りでは終始右に張っている様子で、まっすぐ走れていた昨年との比較でも状態が前年以上には見えないのが正直なところです。メンバー差を考えればここでも上位争いは必至でしょうが、現状の出来でどこまで、というレースになりそうです。

[7]⑭ダノンファラオ(横山武)

 前走のJBCクラシックは押し出されての逃げで1.9差の⑦着と大敗を喫しましたが、金沢ではご法度とされるラチ沿いを進んでのもの。カジノフォンテンに押し込められたのもありますが道中の位置取りからして単に鞍上が金沢を知らなかっただけと見られ度外視できるでしょう。但しこの馬の良績は左回りと平坦コースに集中しており、左回り替わりは良いものの急坂のある中京は必ずしもプラスとは言えずで。

[8]⑮メイショウハリオ(浜中)

 脚質的に嵌り待ちにならざるを得ず、前走のみやこSも結果的には嵌りましたが、内枠でスタート後窮屈になりそうなタイミングにも浜中Jは引かずにポジションを主張し中団から運びました。3角から追っていた割には最後ようやく届いた、という印象で、中京1900mや阪神2000mでパフォーマンスを上げるタイプと見ます。同じくみやこSで差して上位に食い込んだ中では④着だったプリティーチャンスが先日のクイーン賞で1.2差③着。流れを利しての好走という見方は否定できずでここでも恵まれないことには。

[8]⑯カフェファラオ(ルメール)

 気性的な問題故ペースは流れてほしいですし揉まれないのがベスト。そういう意味ではこの大外枠自体は歓迎ですが、前半3Fが36秒を切るようなペースでないとストレスが溜まってしまいます。強い馬が揃い決着タイムも速かった昨年でさえ36.5という入りで、今年がそれ以上になる期待は薄いです。そもそもその昨年も1角でちゃんと外に持ち出せておきながら不発だったことを考えれば大外枠の効果も限定的と見られ、あとはブリンカーでどこまで変われるか…でしょうか。

<予想>
◎サンライズホープ
○テーオーケインズ
▲チュウワウィザード
△オーヴェルニュ
△カフェファラオ


■中京8R ラフダイヤモンド

 3走前の中京芝2000m戦⑥着がなかなかの内容。牝馬限定戦ながらそれなりにメンバーが揃っており、当時の②,④着馬も既に勝ち上がり済。4角5番手以内の馬が3着までを占める展開で大外18番枠のスタートから脚を伸ばして1.0差まで押し上げてきました。前走はダート、2走前は平坦の新潟で、3走前だけ走れればここでも通用の目はあります。

 中京芝2200mはスタート位置が4角方向に200mズレるだけですが、坂下からのスタートになる上最初の直線が長くなるため先行勢がバテやすく特に下級条件では差しが利くようにもなり得ます。逃げたい馬もおりペースは平均程度が見込まれ、混戦になれば位置取りひとつで食い込みあっても。


■阪神11R バティスティーニ

 このコースで良馬場なら③②②着。いずれもOPでの成績で、特に2走前・3走前は逃げ切り決着を追い込んでの②着と相性の良さを見せています。今回もメイショウウズマサが行き切りそうな構成ですが、積極策で開花したケイアイターコイズをはじめ位置を取りたい馬は多く、最後に前が止まれば今度こそ差し切れるでしょう。


2021年12月4日土曜日

【12/4(土)予想】ステイヤーズS・チャレンジCの予想とねらい目レース(阪神12)

■中山11R アイアンバローズ

 5か月の休み明けを叩かれ3戦目。2走前の京都大賞典は+18kgもあってかポジションを取れずで、前走のアルゼンチン共和国杯はそこから-6kgと多少絞れてはきたものの、本質的に末脚比べは合わずで東京ではキレ負けの格好。3走前の緑風S①着時のように道中からじりじりとラップが上がるレースの方が得意で舞台適性も見込め、斤量増も57kgで2勝しており不安はありません。重賞勝ち馬が1頭しかいないというメンバー構成も近2走からすると大幅に恵まれるわけで、ここでなら足りる存在と見ます。


■阪神11R カツジ

 中間に障害練習を行い試験にも合格。2000m級のレースに使うのは昨年の新潟大賞典以来1年半ぶりで、短距離中心に使われてきたこともあり3000m前後の障害競走に使う上での足慣らし的な側面が強いと見られていますが、私はその見解には懐疑的な立場です。そもそも障害練習自体がトモの強化や集中力アップと言った副次的な効果で平地での成績改善を狙って行われることが少なくなく、「調教が試験を兼ねる」ことも珍しくありません。たまたま飛ばしてみたらセンスがあり平地力もある馬なので受かっただけの可能性もあり、障害試験に合格したという事実だけを以てここが叩きと見るのは早計だと考えます。

 しかも今回は岩田康Jを鞍上に迎えます。ご存知の通りこの馬に岩田康Jが乗ったのは、8走前のスワンS①着と4走前の函館SS0.1差⑤着の2度。極端な競馬で馬のやる気を引き出し好走に導いており、もし本当に今回「とりあえず無事に回ってきてほしい」という意図での参戦ならば、もっと安全に回ってこられる騎手にお願いするはずでしょう。

 この馬は母父ホワイトマズルが強く出ており、極端なレースをさせたり距離を変えるなどして目先を変えることでパフォーマンスを取り戻してきました。ここ最近は短距離で追い込むレースをさせていましたが、Bコース替わりの初日でめぼしい逃げ馬も居ない今回、一気の距離延長で今回は前目につけることが考えられ、小頭数で内回りと恵まれうる要素も十分で一発の警戒が必要な舞台と見ます。


■阪神12R アラゴネーゼ

 前走からブリンカーを装着。おかげで行きっぷりは改善されましたが内枠で押し込められてしまい道中頭を上げるシーンが。それでも直線に向いてからは伸びなおすところを見せ、スムーズなら掲示板はあったレースでした。前走で掲示板に載ったのが3頭しかおらず力量は拮抗気味で、人気どころが外に集中したのも好都合。発馬を決めて被されない位置を取れれば見せ場は十分に作れるはずで。


2021年11月28日日曜日

【11/28(日)予想】ジャパンC・京阪杯の全頭評価とねらい目レース(オリエンタル賞、カノープスS)

■東京12R

[1]①ムイトオブリガード(柴田善)

 この馬は位置を取りに行って好成績を残してきた馬で、4角通過順が5番手以内なら(5,0,0,4)なのに対しそれ以下だと(1,4,1,14)。前目で一脚を使う戦法に持ち込むのが得意なだけに、ここ最近は出脚が鈍く位置を取れていないのが気がかりです。最終追いはウッドで先着も2歳未勝利馬と併せてのもので強調できる時計でも無く、ここに来てのさらなる良化は望みにくい現状です。

[1]②コントレイル(福永)

 前走の天皇賞ではスタートの後手も響き、エフフォーリアを見ながらの運び。本来自身がやりたかったレースを勝ち馬にされる格好で、それでも上手く目標を前において直線を迎えられましたが、最後はハイペースを前目で運んで止まったグランアレグリアを交わすのが精一杯。前回とのメンバー差を考えればここでは実績上位になりますが、前走が必勝を期して臨んだだけにそこからの上積みは?で、なおかつ距離延長も歓迎材料ではなく。

[2]③ブルーム(ムーア)

 今年のサンクルー大賞(仏G1)を制し、地元アイルランド以外での初めての重賞勝ちがG1となったうえ前走はBCターフ(米G1)で0.1差の②着。地盤が柔らかく時計がかかる欧州に比べ、アメリカの芝は比較的日本に近いスピード馬場で同レースの2400mの決着タイムは2.25.9。同馬が2走前に②着したフォワ賞(仏G2)が2.31.8だったことを考えれば1000mで3秒ほどはタイムの違う馬場を高いレベルで走破しており、能力は一級品でしょう。

 この馬はキャリアで2回だけ2桁着の大敗を喫しているのですが、2走前の凱旋門賞⑪着は悪天候で決着タイムが2.37.6という超スロー。昨年のロングディスタンスC(英G2)⑬着は経験のない12f(3190m)戦でのもので、これ以外のレースは全て⑥着以上に纏めています。欧州外の国際G1で好走しているのはポイントで、父Australia(英)の母ウィジャボードが06年にBCフィリー&メアターフを制し次走のジャパンCでも③着に入るなど高速馬場への高い適性を有しているのも好材料。このメンバーであっても無視できない存在でしょう。

[2]④シャフリヤール(川田)

 前走の神戸新聞杯はやはり雨の影響が大きく、キレを身上とするこの馬にとっては不向きなコンディションで度外視できます。中間は疲労回復ののち立ち上げ、1週前に速めをやって直前は確認程度に留める調整はダービー時と一緒。ダービーを勝っているとはいえ、2400mへの適性で勝ったというよりは能力の絶対値や位置取り、鞍上の舞台経験などが噛み合ってのもの。本来は1800~2000m程度の馬であまり大味な競馬はしたくないはずで、ロスなく立ち回れるこの枠は好材料でしょう。

 但し3戦ぶりに手綱を取る川田Jのテンションはあまり上がらず。「この馬の長所は?」という問いに対し「ダービー馬であること」という、某元環境相を彷彿とさせるような言い回し。普通は「最後のキレ」とかそれっぽいことを言うべきところですし、仮にも毎日杯騎乗時は日本レコードで勝っているにも関わらず、です。「春から成長している」という話もしていましたが、何が?と聞けば「まとまりが出てバランスが良くなった」というこれまたけむに巻いたようなコメント。デビュー時450kgだった馬体は神戸新聞杯でも452kgで目に見えた成長を見せているわけでもなく、曲解すれば「長所らしい長所が無い」と捉えているのかもしれません。

 距離のことも考えればあまり積極的なレースにはならないはずで、キセキが奇跡的にスタートを決めない限りはメンバー的にもスローが予想されます。そうなると前が垂れるというよりかは自分で決めに行く脚が必要なわけで、長く良い脚を使うタイプではないだけに仕掛けどころを見定めている内に前に居る馬に押し切られる可能性も考えなければなりません。

[3]⑤キセキ(和田竜)

 6歳シーズンからゲート難が顕著になり、ここ2戦は出していくも今度は掛かるという問題点が。気分良く行かせることが非常に難しいのですが前走の京都大賞典は久々にまともなレースが出来ての②着でした。但しあのメンバーだから②着で済んだという見方もでき、好走のためにはキレ勝負でなくなし崩し的に脚を使わせるレースになる必要があります。スタートさえ決まれば自ら逃げてその形を作れますが、微妙に内側の枠に入ってしまいスタートにシビアにならざるを得ない点が悩ましく。

[3]⑥グランドグローリー(C.デムーロ)

 仏G1であるジャンロマネ賞を2走前に制しG1初制覇。前走のオペラ賞(仏G1、イカットも参戦し⑬着)でもタイム差なしの②着と充実ぶりが光ります。欧州ではセックスアローワンスが日本より牝馬にきつく、これまでのレースの斤量は56~59.5kg。今回55kgを背負ってレースに出ること自体が初めてで、牡馬との2kg差も欧州に比べれば有利にはなります。

 但しこの馬の場合、勝ち星が2100mまでしかないことに加え芝の良馬場で勝ったことがない点が気がかり。加えて追い込み一手の脚質では今回の流れでは不発に終わる可能性が高く、自分のレースをしてどこまで、という舞台になるでしょう。

[4]⑦オーソリティ(ルメール)

 府中は(3,1,0,0)。コース巧者なのは言うまでもないですが今回は中2週での臨戦がポイント。1週前から時計を出し始め、直前は3頭併せの一番外で52.4-11.6を馬なりでマークしており態勢は整ったと見ます。但し中間が馬なり3本のみという点からはやはり状態維持が最優先となっている背景が窺えるうえ、前走も強いレースでしたがそもそも2着以下は重賞でろくに勝負になっていない馬ばかりで実質G3~OP特別程度のメンバーでした。人気2頭に付け入るすきありと見てかそれなりに人気になっていますが、元々連戦(=天栄仕上げでない)が得意でない木村厩舎の特性を考えても懸念の残る舞台ではあります。


 上記は木村厩舎の連戦時成績(2018年~)。そもそも3連戦以上のローテ自体が極端に少なく、複勝回収率を見れば使うごとに期待値が下がっていくのが一目瞭然です。比較対象として下記に矢作厩舎のデータを載せますが、方針が違うので一概に比較はできないものの馬質に大差のないことを考えればやはり厩舎力という点で差異は小さくないと考えます。


[4]⑧ウインドジャマー(北村宏)

 藤沢和厩舎最後のジャパンCですが、登録があったのはこの馬と繰り上がり次点のゴーフォザサミットの2頭。芝での実績を考えれば後者の方が望みはありそうですが、藤沢師はあえてウインドジャマーを回避させずに出走という判断をしました。

 馬主の多田信尊氏は元大樹ファームのレーシングマネージャーで、同厩舎の活躍馬でもあるタイキシャトルをはじめとした各馬の海外遠征や、セリ市での購買を長年にわたりサポートしている方です。仲介が本業につき自身の持ち馬よりはペルーサ等他の馬主名義の活躍馬の方が有名で、自身の所有馬はマイナーな牧場の生産馬が殆どですがその中でも17年のキーンランドCを9歳にして制したエポワス等がいます。同厩舎を長らく支えた功労者という側面もあり、芝未勝利での参戦には記念出走の側面が無いとは言い切れないでしょう。

 但し時計がかかるようになっている点は好材料で、鞍上の北村宏Jは開催後半の馬場の伸びどころを的確に把握できる騎手でもあります。先週のレースぶりなどを見ていても上手く内から2~3頭目の位置に誘導しようという意図が感じられ、位置を取ることが出来れば掲示板くらいはあっても。

[5]⑨アリストテレス(横山武)

 コントレイルと接戦した菊花賞は完全に向こうの不得意条件で、中距離に戻ればやはりレベル差は認めざるを得ません。前走の京都大賞典にしても最後の1Fが13.0秒かかるタフな流れになったにもかかわらずマカヒキに差されてしまうあたりは現状の限界で、上りが求められるこの舞台に変わるのはプラスではありません。

[5]⑩ロードマイウェイ(三浦)

 2走前の京都大賞典は展開・メンバーに恵まれてのものでそれでも⑤着が精一杯。前走のアルゼンチン共和国杯は引き続いての56kgで前進を見込みましたがやはり道中の追走からして良かったころの姿にはないという判断で、メンバー強化+距離短縮のここでは。

[6]⑪シャドウディーヴァ(横山典)

 前走同様に終いを伸ばす形で「距離は持つ」という話ですが、その前走の府中牝馬Sもアンドラステの仕掛けがワンテンポ早かったために届いた側面もあり、自滅待ちの期待の薄いこのメンバーでは自身のレースをしてどこまで、という舞台になるでしょう。

[6]⑫サンレイポケット(鮫島駿)

 前走の天皇賞では高速上りに対応し33.6の脚を使い④着と健闘を見せましたが、やはりベストなのはワンターンかつ上りのかかる展開。このコースで勝ちがあるとはいえ2.33.1も時計のかかる不良馬場でのもので、まっとうな芝コンディションではもうワンパンチに欠けるところです。

[7]⑬モズベッロ(池添)

 多少時計がかかるとはいえ、良馬場の範疇ではやはり東京コースでは苦手な上り勝負にならざるを得ません。叩かれながらの上昇は認めますが、掛かりやすいタイプで距離延長も歓迎ではないクチで。

[7]⑭ユーバーレーベン(M.デムーロ)

 前走の秋華賞は一頓挫あってのぶっつけであったうえ、明らかに向いていない阪神内回り2000mという条件で度外視できます。舞台変わりと叩いての良化は好感持てるものの、オークスは同世代間での争いで元から2400mではまともに勝負になる馬がほとんどいない中での勝利で、それをこの舞台で通用するよりどころにはなかなかしにくいというのが正直なところです。

[7]⑮マカヒキ(藤岡康)

 前走の京都大賞典は前半61.6秒のスローペースに加え、最後の1Fが13.0と大きく失速したことで結果的に間に合いました。阪神2400mコースで重賞が挙行されるチャンスは少ないだけに、メンバーにも恵まれ上手くチャンスをモノにした格好でした。多少時計がかかるとはいえ、良馬場であれば2分23秒台の決着はほぼ確実で間に合うのは難しいかと。

[8]⑯ユーキャンスマイル(藤岡佑)

 年々追走力が衰えており、昨年は2.23.0の決着についていけず2.0差の⑫着。ここ2年は阪神大賞典でしか馬券に絡めていない点からも、まっとうな流れでは現状苦しいでしょう。

[8]⑰ワグネリアン(戸崎)

 前走の富士Sは壁を作って進めたもののキレで勝負するタイプではないため、もう少し前でレースが出来れば、という運びでした。距離延長で臨む今回はもう少し前で運べそうで、過去距離延長ではダービー①着・JC③着を含め(1,1,1,1)で、唯一の着外は雨が残った昨年の宝塚記念でそれ以外は確実に走れています。

 但し今回は中間で頓挫があり1週前がポリトラックでの追い切り。最終でウッドで併せ馬を消化しましたが格下に遅れを取る内容で、完調とは行かない点が懸念です。

[8]⑱ジャパン(武豊)

 G1を連勝したのは2年前。5歳シーズンはここまでG3を2勝しているのみで、アメリカのG1でタイム差なしの②着があるものの54.5kgで出られたもの。今回は帯同馬としての性質が強く、日本のような高速馬場への適性も未知数です。

<予想>
◎ブルーム
○シャフリヤール
▲コントレイル
△キセキ


■阪神12R

[1]①アウィルアウェイ(荻野極)

 2走前の北九州記念は上滑りする馬場で末脚を活かせず。前走のスプリンターズSは内しか伸びないコンディションでやはりこの馬には向きませんでした。今の阪神の外伸び馬場は向きそうですが、痛恨の最内枠を引いたうえこの夏から急激に体重が増えているのが気になるところ。ひと間隔開くも強めの本数は少なく、番組ありきの参戦に映るのも気がかりです。

[1]②エイティーンガール(秋山真)

 好走パターンは外差し+前崩れ展開でのもので、前走のスプリンターズSはそれが叶わなかった分の敗戦でした。馬場的にはこの馬に向きそうですがインから持ち出すとなるとロスを覚悟する必要があり、鞍上がうまく捌いてどこまで、というレースになるでしょう。

[2]③ラヴィングアンサー(岩田望)

 終いは確かですがどうしても展開頼みになる馬で、上りのかかるレースに好走歴が集中しています。今回は最後の直線の坂で上りのかかる阪神ですから浮上の余地はありますが、その脚質故多頭数の内枠は鬼門。OP入り後の3勝はいずれも8番枠より外でのもので、この枠では立ち回りが難しい懸念も。

[2]④オールアットワンス(石川)

 前走アイビスSDを勝ったものの、元々2走前の葵Sではレイハリア、ヨカヨカに続く③着で力のあるところは見せていました。目立っていく馬も居ないだけにこの馬が主導権を握りそうですが、最後の1Fで1秒近く時計がかかる阪神芝1200mではどこまでこらえられるか、今後トラックコースでの重賞を戦っていくうえで真価の問われる一戦になりそうです。

[3]⑤タイセイビジョン(幸)

 前走のスプリンターズSではスタートしてメイケイエールにぶつけられ最後方からのレースを余儀なくされました。ただでさえ出脚に難があるだけにここは負けても仕方ありません。スプリントの追走力に課題はありますがスムーズなら重賞でもやれてよい馬で、2走前のセントウルSもスタートタイミングが合わず後方からになった分の敗戦で内有利展開を0.5差⑦着なら決して悲観する内容ではありません。捌き一つで巻き返しは可能かと。

[3]⑥シヴァージ(吉田隼)

 前走のスプリンターズSではそれまでと一転して内目でポジションを取る競馬。1番枠で腹をくくった側面もあるのでしょうが、内しか伸びないコンディションも相まってレシステンシアとタイム差なしの③着は十分に評価できるものでした。今回はこの馬本来の戦法の活きる外伸び馬場で条件・相手関係も大きく好転。「出そうと思えば」位置を取れるタイプにつき枠順の不安も少なく、順当に上位争い可能でしょう。

[4]⑦ファストフォース(小崎)

 この夏の連続好走はともに小倉でのもので、前走坂のある中山ではぱったり止まってしまいました。日本レコードで勝ったCBC賞も究極の体力勝負になった面が大きく、まっとうに時計のかかる馬場では恩恵を受けにくく他馬の台頭余地も大きいだけに。

[4]⑧サヴォワールエメ(松若)

 短距離で前付けするレースで2連勝。但し軽い斤量と内目の枠に恵まれた格好もあり、斤量増+8番枠で同様のレースができるかは少々疑ってかかる必要がありそうです。

[5]⑨ミッキーブリランテ(坂井)

 キレはしないものの好位で脚を溜めてじわじわ追い込むタイプで、位置を取るのに苦労しない中枠は歓迎のクチ。但しこの馬というか矢作厩舎は休み明けの成績が芳しくなく、この馬も中2週以下で(3,1,2,2)に対し中3週以上空くと(2,1,2,12)と好走確率がガクッと下がります。ここが勝負というよりは、ここを叩いて阪神Cあたりが理想でしょうか。

[5]⑩レッドアンシェル(団野)

 重賞を2勝しているように力はあり、とにかくこの馬の場合体調が整うかが最大のポイントです。2走前の北九州記念時はCBC賞をコンディション不良で自重しての参戦で、中間2週にわたり坂路で速めと併せ馬を消化し体調は整っていましたが馬場の悪いところに押し込められた上58kgを背負い0.3差の⑤着。斤量差が出やすい短距離戦で勝ったヨカヨカと7kg差とあっては仕方ありません。

 今回は放牧明けで2か月半ぶりの実戦ですが、この馬にしては珍しく中間はウッドも取り入れ3週連続でハードに追われ、体調面の不安は無さそうです。最終こそ格下に遅れを取りましたが時計的には問題なく、その前2週にわたってウッドでしっかり負荷をかけてきており、前走が中2週で本数も少なかったことも思えばコンディションはそれ以上と窺えます。実績もあり外差し展開もプラス。台頭あっても驚けません。

[6]⑪アストラエンブレム(西村淳)

 ズルさのある馬で中距離戦を使っていたころはなかなか勝ち切れず、距離短縮で目先を変えることで馬がやる気になり好走するもそれに慣れるとまた善戦マンに逆戻り、という戦歴を繰り返しています。これで1400m以下のレースに使うのは6戦連続ですが、一番いい走りをしたのはやはり最初に1200mを走った5走前のラピスラズリS。末脚自体は健在ですがやる気を出さないことには好走の目は薄くて。

[6]⑫アイラブテーラー(浜中)

 昨年の高松宮記念に無理遣いをしたことがたたってか、それ以降はゲート難+追走難が付きまとうように。距離を伸ばし1400mに使ったここ2戦は0.4差の接戦でしたが、再度1200m戦となると置かれる懸念が大きく。

[7]⑬シゲルピンクルビー(高倉)

 間隔が詰まると良くないというのもあり、前走のセントウルSは見せ場のない内容に。2走前の北九州記念も荒れた内に押し込められての0.2差④着で、休み明けで立て直された今回は馬の出来としては見直せる機会です。先週のハーフバックをはじめここ最近短距離戦で穴を開けまくっている高倉Jに乗り替わって、馬場の良い外目を通れれば侮れません。

[7]⑭ソーグリッタリング(藤井)

 止める面が出ており、引き続いてブリンカーを着ける上距離短縮で臨む一戦。ただ元々併せないとソラを使う特性があり、集中力が持続しないのは今に始まったことではありません。流石に7歳を迎え体力的な上り目も薄いとなるとこのショック療法でどこまでの伸びしろが見込めるかは…。

[8]⑮レイハリア(亀田)

 33.2-34.9の前傾戦を2番手で押し切った2走前の葵Sが評価できる内容。今回はさらに上りがかかりそうな阪神替わりでプラスではないですが、53kgの斤量で出られるのは好材料。時計勝負では分が悪いだけに適度に掛かる今の阪神も合っており、そういう意味ではこの枠も決して悪くはありません。出たなりでポジションを落とさなければ再度の善戦も。

[8]⑯ライトオンキュー(古川吉)

 鼻出血明けで高松宮記念以来の実戦。陣営は様子を見ながら慎重に調整しており、週ごとに負荷を上げ最終では坂路でイーサンパンサーと併せ51.2-12.2の好時計をマーク。稽古駆けするタイプとはいえ及第点の時計ではありました。但しその分馬体はまだ太目残りの懸念があり、休み明けも苦にしないもののどちらかと言えば平坦コースの方が合っているクチで58kgも酷な印象。今回は無事に走ってどこまで、という舞台でしょうか。

<予想>
◎シゲルピンクルビー
○レッドアンシェル
▲シヴァージ
△レイハリア
△タイセイビジョン
△エイティーンガール


■東京9R メイショウボサツ

 現級でも②着1回③着2回の実績があり昨年の青葉賞でも⑤着している実績馬ですが、気難しさを孕み外目を取って被されずに運ぶのが理想なタイプ。今回はキャリアで初めて8枠をゲット。ワンターンの東京なら序盤にごちゃつく不安も少なく、リズムよく運べればここでも十分やれるはずで。


■阪神11R シャンパンクーペ

 このレースのカギを握るのがまくり芸でお馴染みのエクスパートラン。恐らく一旦下げてから向こう正面で上げていくはずで、前走のみやこSでは同馬の動きでペースが一気に早くなり差し勢が台頭する流れを作りました。シャンパンクーペは元々「最後に前が止まるコース」が得意な馬で、良績は「阪神2000m」「京都・中京1900m」とスタートしてホームストレッチが長く先行争いで脚を使うコースに集中しています。前走の東京戦はその真逆と言ってよいコースでこの馬の持ち味が活かせませんでしたが、今回は得意コースに戻り引き立て役もいるとなればここは一発に警戒です。

2021年11月27日土曜日

【11/27(土)予想】ねらい目レース(阪神8、茨木S、キャピタルS)

■阪神8R ハイパーステージ

 中1週以下だと(2,0,0,1)。唯一の着外は芝でのもので連戦の方が力を出せる馬ですが体質の問題でなかなか理想のローテが実現しませんでした。7か月半ぶりとなった前走は強い勝ち馬に上手く乗られた分の②着で、立ち回りや末脚を見ても勝ちに等しい評価を与えられるレースだったと見ます。中1週で使えるここは前進が見込める上、人気の中心はレベルに疑問符の付く20年もちの木賞組。(1,2,0,1)と実績あるこのコースなら。


■阪神10R メイショウヨカゼ

 このコースで⑥④④②①①③⑤着と大崩れなく走れており、3走前のオークランドRCTでは日本テレビ盃⑤着のメイショウダジンと0.2差と現級の目途は既についている状態です。2走前の柳都Sでは位置を取れずで、4角はブレーキをかけながらの進出。あれでは平坦コースは間に合わないのも当たり前でした。前走の奥羽Sもやはり後方からのレースで、良い脚は見せましたが⑩着。いずれもテン乗りの鞍上だったこともあり不完全燃焼のレースが続いていますが、今回はコンビで(2,2,0,1)の浜中Jに手が戻る上、ゲートの良くないこの馬にとっては外枠は歓迎材料です。

 ここも人気の中心は8R同様もちの木賞組。但しダノンハーロックは今回初めて距離短縮となり、タフさが売りな反面位置が取れないと3走前のようにサッパリ(1勝クラス戦でラペルーズと1.1差⑤着)という可能性も。ハンディーズピークも2走前は実質2頭立てというレースで、前走にしても勝負が決まりかけたところを差し込んできただけで0.9差⑤着を額面通りには評価できず。上位勢が信頼しにくい状況であればこの馬の出番があるのではないかと。


■東京11R スライリー

 前走の秋華賞時に「デビュー時から馬体が増えていない」点を懸念材料として挙げましたが、輸送があってもデビュー時と同じ432kgまで増えてきたのは好感でした。その名が示す通りレースでは2角まで頭を上げるやんちゃぶりを見せるも、直線では馬群の中をしっかり伸びて0.5差⑤着。タイム差なしの⑥着だったステラリア同様ストレスのかかる展開で良く辛抱しましたし、今回は距離短縮でレースもしやすくなるでしょう。

 先週からCコースに変わった東京は例年同様の内前有利馬場となっていますが、現時点で良く伸びるのは内から2~3頭分くらいのラインと見ています。好位の2~3番手につけたいこの馬にとっても絶好のコンディションで、和製ムーア・石川Jの面目躍如に期待です。

2021年11月21日日曜日

【11/21(日)予想】マイルチャンピオンシップの全頭評価とねらい目レース(福島7)

■阪神11R

[1]①ホウオウアマゾン(坂井)

 前走のスワンSでは初の1400mでも行き脚がついてハナを切っての③着。他の先行勢が残せていないことを考えれば額面以上に価値のあるレースでした。ただこの馬の場合間隔を空けて使った方が良く、連戦ローテとなったG1戦は2回走っていずれも⑨着。そもそも前走が半年ぶりで+22kgと余裕を残しながらの参戦でありながら、この中間は1週前に速めを1本乗ったのみ。開催が進み内が残せない馬場になりつつある点もマイナスで。

[1]②クリノガウディー(岩田望)

 前がかりな気性故、古馬になってからは1400m以下を使われておりここでの距離延長はプラスとは言えず。しかも相手強化+右回り替わりに加え、この馬を手の内に入れかけた岩田康Jからの乗り替わりとなっては買える要素は見当たらず。

[2]③シュネルマイスター(横山武)

 前走の毎日王冠は坂上で絶望的な位置からダノンキングリーを捉えての①着。最後の50mでソングラインを捉えたNHKマイルCを彷彿とさせるキレを見せました(あれはソングラインがヨレたのもありますが)。実際最後の3Fは11.3-11.4-11.9と決して前が止まっているわけでもなく、ダノンキングリーも早め先頭から33.7の末脚を使っていただけに決して恵まれたものではないでしょう。

 おまけにこの馬は56kgを背負っての勝利。3歳馬の毎日王冠優勝は19年ダノンキングリー、20年サリオスに続き3年連続でしたが、前2年の2頭は54kgでのものであり、斤量面でも一回り上の評価を与えられるレースでした。今回は春の安田記念から考えればグランアレグリアとの斤量差が-1kg→+1kgとなり決して楽な戦いではないですが、この馬のセールスポイントは「上りのかかる展開で差し込んでくる末脚」にあると見ています。事実敗れた2戦は距離が長くレース上りと同じだけの脚しか遣えなかった弥生賞②着とレース上り自体が33秒台の安田記念③着。今の阪神では高速決着は望むべくもなく、小頭数+スローで上り勝負になった先週のデイリー杯でさえレースの上りは33.8。16頭立てで前も流れるここは34秒以上はかかることが見込まれ、この馬向きの展開になる期待は大きいです。

[2]④サリオス(松山)

 古馬戦では毎日王冠以外馬券になっておらず早熟という見方もできますが、前走の安田記念は右トモを気遣いながらの調整でそもそもまともな状態でなく、2走前の大阪杯は重馬場に脚を取られる格好で最後はラチ沿いをやや苦しそうに走っていました。3走前、昨年のマイルCSはご存知の通りまず届かない位置から末脚だけで⑤着という内容。もし今年昨年と同じレースをすれば嵌る可能性はありますが、今回はブリンカーを装着するとのことで陣営はある程度位置を取るレースを画策していると見られます。時計がかかりそうなコンディション自体は歓迎も、内に押し込められると動きたいところで動けずになる懸念もあります。

[3]⑤サウンドキアラ(武豊)

 前走のスワンSではゴール前鋭い末脚を見せ②着。勝ち馬との差は前が詰まって追い出しが遅れた分で、復調を示すレースでした。一叩きされた今回は最終の坂路で51.7-12.2をマークし、昨年ヴィクトリアマイルで②着したとき(51.6-12.3)に近いデキにまで来ており引き続きこの馬の力は出せるでしょう。ただ当時と同じだけ走れたとしてもアーモンドアイには完敗しているわけで、6歳秋で成長を見込むのが厳しいとなるとそれなりにメンバーの揃ったここでどこまででしょうか。

[3]⑥ケイデンスコール(岩田康)

 前走の毎日王冠では内を突くも進路が開かず、鞍上もろくに追うことなく⑨着。元々2か月以上の間隔が空くと(0,0,0,6)ですから、安田記念以来となったここは織り込み済みだったのかもしれません。

 今回は1週前に坂路で51.8-11.9の好時計をマークし、直前も馬なりで終いを12.0に纏めてきました。前走時に口向きの悪さを指摘しましたが、しっかり動かした1週前は真っすぐ登坂できており力を出せる状態にはあると見ます。とはいえ春に好走した重賞のメンバーはG1ではまるで通用しておらず、紛れなしの阪神で一線級が相手となると敷居は高そうで。

[4]⑦インディチャンプ(福永)

 安田記念からマイルCSへ直行するのは去年と同じですが、陣営としては本来は叩き良化型であることは認識していて「休み明け云々と言われないように仕上げてきた」というニュアンスのコメント。できればどこかを叩きたかったという本音が透けて見えます。

 高松宮記念でも③着しておりスピードは衰えていないと見ますが、キレという意味ではやはり一昨年の頃にはない様子。坂路調教でも前がかりな気性故最後から2F目が最速になることが常態化しており、近年の中では唯一昨年のマイルCS(グランアレグリアから0.1差の②着)の時が加速ラップを踏めていました。事実その時が最高打点であったと考えればその時以下の調教で、時計のかかるコンディションというのもスピードで押し切りたいこの馬にとってはプラスにはならなさそうです。

[4]⑧ダーリントンホール(和田竜)

 発馬に課題を残す馬で、前走の富士Sでもいつも通りスタートでふらつき後手を踏みました。馬群が比較的横に広がり丁度真ん中を進めたことでポジショニングを落とさずに済み、直線では伸びる外を選択し丁度良く前も空いたのでしっかり追えましたがそれでも⑤着。さらにメンバーが強化される今回、初の関西遠征というのも課題です。

[5]⑨グレナディアガーズ(池添)

 NHKマイルC終了後、川田騎手が「秋は別路線になると思います」とコメントしており1600mは長いのかと思われましたが、秋初戦には京成杯AHを選択。控える競馬から直線は外に出してカテドラルと0.1差の②着と見せ場を作りました。

 但しこの時の中山は開幕週に関わらず差しの効くコンディションで、終盤にかけて踏み固められたインが有利な傾向が進んでいったという格好。マイルでもG1勝ちはありますが世代限定戦はスプリント路線からの参戦もあるためペースが流れやすく、事実朝日杯もNHKマイルCも前半3Fは33.7とスプリント寄りの速い流れになり力を発揮できた側面が大きいです。前半35秒前後が見込まれる今回は中距離寄りの適性が求められ、池添Jの手腕を以てしてどこまで。

[5]⑩ロータスランド(田辺)

 前走の富士Sでは内が悪くなった東京で押し出される格好でハナに立たされ、終始つつかれた上轍の上を走る格好に。外に出すこともできず終始消耗の大きい競馬で、輸送も踏まえて+10kgとやや余裕残しだったことも影響したかもしれません。それを考えれば0.9差の⑩着は健闘の部類と言えるでしょう。

 この馬は上りのかかる展開やコンディションを得意としており、入りも上りも35秒を回るくらいが理想と言えます。今の阪神はいずれもに該当するコンディションであり、このコースでも3勝を挙げる巧者ぶり。最終追いは前走と同じく坂路で馬なり調整も、全体時計を大きく詰め型通り良化。一線級との対戦経験が鍵も、時計のかかる今年の阪神は最大のチャンスであるはずです。

[6]⑪カテドラル(戸崎)

 前走の京王杯AHでは後方の内で脚を溜め、コーナーリングで上手くポジションを上げてきました。直線は一瞬前が詰まるシーンもありましたがかえってそこで馬が上手くエキサイトして最後の爆発力に繋がったとも言えるでしょう。開幕週の馬場を思えば本来はコントラチェックが残している展開で、着差以上に強かったレースでした。

 この馬もまたレース自体の上りが33秒台になるようなレースでは厳しく、上りのかかるレースで鋭いキレを見せるタイプ。出していくとダラっと脚を使ってしまうだけに、継続騎乗の戸崎Jが上手く壁を作って運べば再度チャンスでしょう。

[6]⑫グランアレグリア(ルメール)

 昨年のこのレースは緩めのペースを5番手で折り合い完勝。今年は思ったより勝ち星を積み上げられていませんが負けたレースには理由があり、前走の天皇賞にしても出たなりの位置を選択しましたが結果として人気2騎の目標にされる形になってしまいました。それでも似たような位置にいた馬がこぞって脱落する中、後半3Fが11秒台前半を刻み続けるラップでも最後まで持ちこたえたのはやはりスピード能力の高さを証明したと言えるでしょう。

 この馬の場合はやはりローテーションが懸念点。中3週以下では⑤②着といずれも取りこぼしており、春の連戦と違って今回は輸送が発生する点もポイント。追い切りは変わらずに負荷をかけられていますが、2000mのタフなコンディションを走った後の回復具合はやはり未知数ではあります。加えて、10月まで京都開催があり馬場状態が比較的良かった昨年に対しロングラン開催の今年は時計がかかる傾向に。スプリント向きの流れにはなりにくい点も歓迎とは言えず、ラストランとはいえ信頼を置くのはやや心もとない一戦です。

[7]⑬ダノンザキッド(川田)

 マイルに活路を見出そうと参戦した前走の富士Sは着順こそ④着と、骨折明けで+22kgを考えれば及第点でしたが、もともと520kgで東スポ杯を勝った馬ですから526kgが特に太いということはないはずです。終始馬場の良い外を回り直線でも満を持して追い出せたにもかかわらず、後ろにいたソングライン、タイムトゥヘヴンに差されており2歳時からの成長を見せたとは言えない内容でした。やはり促成栽培のツケがここに来て相対的な成長力となって表れている格好で、短距離王国安田隆厩舎を以てしてもこの馬の再生は難しいのではないのでしょうか。

[7]⑭リプレーザ(幸)

 恐らくこの鞍上でなかったら確実にシンガリ人気であったでしょう…芝では1200mの1勝クラス戦を勝ったのみで、兵庫CSで1870m戦を勝っているとはいえ低レベルの3歳ダート戦線で相対的に強かっただけで、距離適性の裏付けとはなりにくいです。前走のカシオペアSでも4F49.4の流れで4角から手ごたえが怪しくなった点からもマイルすら怪しく、本質的には1400mまでの馬と見ます。

[8]⑮サウンドカナロア(藤岡康)

 中央での勝ち星は1200m以下のみ。ハナは切れそうですがここ3戦は1200m戦でハナを切っても大敗する現状で、イン有利というわけでもないこの格上挑戦に勝算は見込めず無事完走して手当ゲットが現実目標でしょう。

[8]⑯レインボーフラッグ(小崎)

 ベストは左回り1400mですが、この路線は登録が殺到するためもう2年半勝っていないこの馬は出走順の算出では不利となり、使いたいレースに使えない現状。近走の成績からも使えることを優先する方針自体は間違っては無く、この馬もまた無事完走+目指せ1桁着順が現実ラインでしょう。

<予想>
◎ロータスランド
○シュネルマイスター
▲グランアレグリア
△カテドラル
△インディチャンプ
△サリオス
△グレナディアガーズ


■福島7R ヒットザシーン

 折り合いに難を抱える馬で、2走前の粟島特別は引っ張り通しの中でひと足を使い0.3差の⑥着。前走の土湯温泉特別は上手く壁を作れていましたが、外枠を引き内が止まらずの⑥着。徐々に成長が窺える中で今回は若手騎手限定競走で森裕Jへの手替わり。昨日の若手騎手競走でも丹内Jからの乗り替わりで11番人気のマイネルタイムリーで見事①着。流石にこちらは人気でしょうが、最終週の時計を要す馬場も合っておりここはチャンスです。

2021年11月20日土曜日

【11/20(土)予想】ねらい目レース(東京12、阪神3)

■阪神3R ヤマニンパンタジア

 人には誰しも「得手不得手」というものが存在します。この馬の前走はスタートで挟まれレースにならずの⑮着。その前走の手綱を取った永島まなみJは、スプリント戦を不得手とする傾向が顕著です。


 唯一1200mで勝ったのはホワイトターフの新馬戦。この時もゲート自体は平均以下でしたが、8頭立てでスタート後のプレッシャーもさほどでもなくすんなり運べました。基本的に下級条件の1200m戦は多頭数であり、ゲートの良さもそうですし馬群を的確に捌く技術が求められます。個人的には「差せる女子」として推したい騎手ではあるのですが、どうしても新人の頃は下級条件の短距離戦が主戦場になる為、成績を伸ばしにくい側面があります。古川奈Jと騎乗馬を総とっかえしたらお互いにぐんといい成績になりそうな気も…

 それはさておき、上記の戦歴から「永島Jで1200m戦を走った馬の次走」の成績を調べると…

【前走距離1200m】
(3,2,2,34)単回62/複回80

+乗り替わり
(3,1,2,26)単回79/複回97

+前走9番人気以内
(3,1,1,13)単回141/複回103

 元々見込まれていなかった馬はともかく、それなりの実力を見込まれていた馬(=9人気以内)の場合乗り替わりによって好成績を収めるケースが多く、今回のヤマニンパンタジアも上記全てに該当します。2走前は3角で行きたがった分お釣りを残せず、3走前の新馬戦では前残り展開を差し込んで0.2差④着。今回は前走で4角5番手以内だった馬が7頭おりペースも流れそうで、スムーズに外を回せれば好機です。


■東京12R ルージュアドラブル

 5か月ぶりの実戦。これまで出走時馬体重が390~392kgだった馬が今回は410kg程度で出られそうとのことで、成長が見込めるコンディションで出てこられそうなのは何よりです。前走は4角で自ら止めてしまうような動きがあり、最後は流しての大敗ですから悲観する内容ではなかったもののどうも明らかに戸崎Jとは手が合わない模様です。2走前にテンバガーと0.1差③着した三浦Jとのコンビ復活で挑む今回は、2週前、1週前とウッドで併せ馬を消化し好時計をマーク。まともに走ればこのクラスなら突き抜ける実力はあるだけに、フルゲートを上手く克服してくれればいきなりも。

2021年11月14日日曜日

【11/14(日)予想】両重賞の全頭評価

■阪神11R

[1]①レイパパレ(ルメール)

 前走のオールカマーでは人気を裏切り④着。最後止まったのは距離という見方もできますが、逃がさなかったことが大きいと見ます。川田Jは教育的観点からも逃がすのに否定的で、前走の宝塚記念も主張する馬が居たので番手から運びましたがユニコーンライオンに差し返されての③着で、前か後か思い切って運ぶレースをした方が良さが出るタイプと見ます。

 今回は絶好枠を引きましたが、ルメールJは「2200mは少し長い、誰かの後ろにつけて末脚を活かせれば」というコメントをしていました。前に行く馬もそれなりにいるメンバー構成で控えることはほぼ確定で、この馬の良さを引き出すレースにはならない懸念があります。

[1]②クラヴェル(横山典)

 前走の新潟記念は牡馬相手に健闘の③着。中団馬群から離しての追走で「準ポツン」が叶ってのレース運びでしたが、トーセンスーリヤを見ながら溜めて運んだ割にはスパッと切れず。斤量差を思えば2着は欲しかったところで、やはり勝ち切れなさと表裏一体の馬ではあります。メンバーレベルの低い条件戦では何とかなっても、一線級との戦いでは中団待機からの末脚では間に合っておらず末脚に賭けるレースが続く最近。それでもG3を勝ち切れないとなると、メンバーの揃ったここで着を上げる期待は懸け難いです。

[2]③アカイトリノムスメ(戸崎)

 前走の秋華賞はオークス以来5か月ぶりのぶっつけ。終始壁を作れず折り合いに腐心しながらのレースになりましたが、戸崎Jは無理に内に入れるのでなくあくまで位置を落とさないように導きました。結果的に包まれることなく動きたいところで動けたことが勝因で、鞍上の腕もさることながら精神面での成長を感じるレースとなりました。

 課題は中3週での再輸送で、前走後も1週間は馬体の回復を優先。速いところは先週、今週の2本のみで流石に前走の時のように50秒台の時計を出すレベルの調教は施せていませんが最終はDWで併せて52.4-11.9の好時計。コンディションの維持はできている様子で、5歳世代の主力がごっそり抜けた今年はここでも食い込めるチャンスはあるでしょう。

[2]④イズジョーノキセキ(和田竜)

 前走の西宮Sは直線で外に出す正攻法も、併せたジェラルディーナに伸び負けての②着。ジェラルディーナは世代戦では阪神JFで0.5差の⑦着、エルフィンSでも0.6差の⑩着と勝ち切れなかった馬で、同馬自身の成長もあるかと思いますがここに出ている3歳馬との力量比較でも強調はできないです。多頭数で馬群捌きの懸念もある現状では。

[3]⑤ステラリア(松山)

 前走の秋華賞では内で囲まれ、1角前では頭を上げるシーンも。それでも何とか折り合いをつけて運び、4角からの手ごたえは見どころもありました。スタート後の入りがスムーズなら掲示板もあったでしょうし、この馬なりの成長は感じられたレースでした。

 ただ今回も前走同様に「多頭数の内枠」となってしまい、スタート後の捌きが課題になります。先行馬が多く縦長の馬群になりそうなのは救いですが、この枠で外からの圧をかわすためにはある程度下げて進めることになるのでうまくやり過ごしたうえで前が止まる流れになってくれるかが鍵となります。

[3]⑥ランブリングアレー(吉田隼)

 前走のオールカマーでは、実績のある中山で休み明けローテと買える条件が揃った中で⑦着。しっかり前に壁を作り直線でも進路が出来ましたが、思いのほか伸びませんでした。ここは距離の問題かもしれず、叩き2戦目、引き続いての2200m参戦でメンバー強化となると買い要素には乏しいです。

[4]⑦シャムロックヒル(団野)

 2走前のマーメイドSは最内枠で50kgという恩恵がやはり大きく、前走のクイーンSは55kgで外枠で前に行けずの敗戦。今回も枠は悪くないですが他に速い馬もおり、さらに斤量増となると手は出し辛く。

[4]⑧テルツェット(M.デムーロ)

 前走のクイーンSでは直前からかなりの雨が降る特殊なコンディションを差し切りました。道中はじっとして脚を溜め、外を回さず馬群を縫って伸びてきたのは詰まりのリスクも考えなければいけませんが、雨によるコンディション変化に加え、手ごろな頭数で捌けると踏んだルメールJの好判断が導いた勝利でした。毎回これをやって勝てるわけではなく、この乗り方を見ればやはり距離は1600mが現状ベストと見るべきでしょうか。

[5]⑨ウインマリリン(横山武)

 前走のオールカマーでは1番枠から絶好位を取って理想通りの運び。一瞬直線で前が狭くなっても問題ありませんでした。キレる脚がない代わりにバテることも無く、馬ごみでもレースができるタフさ故牡馬相手でも良績を残せている面があります。

 ただこの馬は体質の弱さがネックで、昨秋もオークス後の頓挫で秋華賞をぶっつけで戦わざるを得なかった経緯があります。今回も肘腫の話はともかくとして中間熱発で乗り出しが遅れた分陣営のトーンも低めで、1週前にマイネルファンロンと併せて遅れたこともあってか最終追いはウッドで単走。本来もっと仕上げていきたいのであればここは併せ馬であったはずで、輸送を控えてのバランスを考慮しての調整となると今回は微妙に歯車がかみ合っていない印象です。

[5]⑩ムジカ(秋山真)

 末脚は堅実な一方勝ち切れなさを抱えるタイプで、メンバーや流れに恵まれるかどうかで着順が変わってきます。差し馬に流れは向きそうかと思いますが、坂のあるコースでこのメンバー相手ではよほど恵まれないことには。

[6]⑪ソフトフルート(岩田望)

 昨秋は秋華賞③着→エリザベス女王杯⑥着とブレイクのキッカケを作りましたが、その後自己条件に戻ってからが今一つ。8走前、夕月特別での圧勝当時は3歳馬で52kgと斤量にも恵まれたうえ当時のメンバーでその後現級を突破したのは1頭のみと、レベル的には決して協調できないレースでした。2走前のマーメイドSにしても前が残る流れを4角2番手で進んだのに0.8差⑧着と返り討ちに遭っており、昨秋以降パフォーマンスを更新できていない現状では。

[6]⑫デゼル(武豊)

 決め手はあるものそれを引き出すためには道中で溜めを作れるペースになるのが必要で、ワンターンのコースで4勝しているものの本質的には上級戦のマイルでペースが流れると末脚を爆発させられないタイプです。春に連勝した初音S・阪神牝馬Sは入りの3Fが35秒台で落ち着いた一方、2走前のヴィクトリアマイルでは3F34.3-4F46.0と同馬にとって過去最も速い流れで対応しきれませんでした。

 前走の府中牝馬Sはペースは落ち着いたものの出がけから掛かってしまい壁を作れず、やや急仕上げという背景もあってか最後は伸びきれませんでした。ガス抜きして臨む今回は型通りの上昇は見込めますが、阪神牝馬Sでは1週前、最終と馬なりの調整だったのが今回は2週連続で負荷をかけての調整というのがやや気になります。1週前強めに追って併せ馬を消化したのでは足りないという判断で日曜、水曜と一杯に追われたとするならば、まだ完調とまでは行かない可能性も含めてみるべきでしょう。

[7]⑬リュヌルージュ(富田)

 だいぶラップに起伏をつけて運んだ前走の新潟牝馬Sでさえ残せず0.7差⑥着(7頭立て)。重賞での好走はいずれも53kg以下で、まともな斤量を背負う重賞では。

[7]⑭ロザムール(池添)

 今年重賞で2度の②着がありますが、いずれも雨の残る特殊なコンディションでの好走。「他が苦にする馬場を苦にしない」というのが特徴で、皆がフェアに走れそうな良馬場予想のこの舞台では。

[7]⑮ウインキートス(丹内)

 前走のオールカマーでは中団のインを進み、直線でも脚を伸ばしウインマリリンとのワンツー。この馬についてがこれまで散々「目黒記念は恵まれただけ」という見方で全く評価してこなかったのですが、前走で前半60.7と重賞らしいペースで好走したのは想定外で完全に見くびっていました。

 この2頭の着順を分けたのは「進路取り」だったと見ています。


 直線向いて少しのところ(画像上)で、染分帽のウインキートスの前にはグローリーヴェイズがおり進路取りは2つのパターンがありました。①に飛び込めば伸びるインを確保できますが、内で詰まっているウインマリリンを塞いでしまいます。外に出せば安全ですが当時の中山のイン伸び傾向を考えれば得策とは言えません。しかし丹内Jは外=②を選択。結果的に空いた①にはマリリンが飛び込み、馬場の利も活かして勝ち切り。キートスは②着でした。

 これをどう考えるか。単純に勝負師としての判断であったならやはり丹内Jは買えない、ということにならざるを得ないでしょうが、人気差や厩舎などを考えればやはりあそこで①を選ぶのは色んな意味でリスキーだったでしょう。ここで①に飛び込める人が世間的には「勝てる」「上手い」と言われる部分もあって、丹内Jは恫喝したり返し馬で幅寄せして後輩にネチネチ文句を言わない代わりにここには飛び込めない騎手というわけです。

 相手がレイパパレとかグローリーヴェイズとかのG1馬だったわけですから、当然に上位評価できるレースであるのですが、やはり気になるのは騎手も厩舎も「関西慣れ」していない点。丹内Jは年間で数えるほどしか阪神に乗っておらず、通算でも(1,2,6,99)と実績は無いに等しいレベル。送り出す宗像師も関西で重賞を勝ったのは03年鳴尾記念のウインブレイズまで遡り、バランスオブゲームやフェイムゲームといった重賞の常連でも関西遠征では結果を残せていない厩舎です。ウインキートス自身も初の遠征、初の56kgと超えるべきハードルは多く、相手も盤石でない中チャンスがあるのは確かですがこのフォーメーションで阪神のG1となるとベストパフォーマンスを出すのは難しいと見ています。

[8]⑯アカイイト(幸)

 前走の府中牝馬Sでは重賞の壁に跳ね返された印象の⑦着。脚は使えていますが、じっくり行かせても33.4という程度ではポツン騎乗には応えきれずで、現時点ではこのクラスでは力量差があると見るべきでしょう。

[8]⑰コトブキテティス(柴田善)

 ハービンジャー産駒らしく2000m以上で4勝。いずれも牡馬に交じってのものでここに入れば馬力は上位ですが、勝ったのは東京・新潟と左回りで坂のきつくないコースばかり。中山などでは勝ちあぐねていることからも坂で止まる懸念はあり、恵まれて掲示板、というレベルでしょうか。

<予想>
◎アカイトリノムスメ
△ステラリア


■福島11R

[1]①ゴールドギア(永野)

 3走前にメトロポリタンSを勝った時は直前のウッドで50秒、51秒と好時計を連発。出来の良さが成績に繋がるタイプなのですが今回は1週前に一杯に追われて52.0がやっと。本来適鞍であったはずのアルゼンチン共和国杯を自重して不得手な小回りに参戦するのも解せずで。

[1]②ココロノトウダイ(丸山)

 福島では(3,1,0,0)。姉のフェアリーポルカ同様に立ち回りの巧さで着を拾うタイプで、内目の枠を引けたここは中心視できるでしょう。

[2]③ブラヴァス(岩田康)

 春の3戦は精彩を欠く内容。前走の鳴尾記念も直前の併せ馬ではフライライクバードに大きく後れを取る内容で、コンディション面も整ってなかったと見ます。放牧で立て直された今回、復調なれば中心視出来得る存在ですが、最終がポリトラックなのはいつものことで良いのですが前走と違って1週前が単走だったという点で当時以上の出来とはまだ見えず。

[2]④ヴァンケドミンゴ(酒井)

 2走前の七夕賞ではそれまで(4,1,1,0)だった福島で初めて3着を外しました(⑫着)が、雨の影響が残る特殊な馬場で後方待機勢には出番のないレースになってしまいました。前走のカシオペアSはここに向けての叩きでしたが内を掬ってタイム差なしの②着。そこからの中1週は予定通りで、直前もウッドで50.3-12.1で併せ馬を消化するなど体調はさらに上向き。ここに入っても実績は十分で引き続いての好走期待です。

[3]⑤ディアンドル(菅原明)

 中距離に参戦し取り口が安定。3走前の福島牝馬S(新潟)の①着はもとより、2走前のヴィクトリアマイル④着が充実ぶりを示す内容でした。ただ前走の中京記念がハナを切れたものの残せず⑧着という内容で、実質トップハンデとなる55kg(最重量はボッケリーニの57kg)は少々厳しかったでしょうか。重賞を勝ってしまった以上今後もこのハンデを克服しなければならず、牝馬限定戦に再度出てくれば期待と言ったところです。

[3]⑥サトノエルドール(横山和)

 前走のオクトーバーSでは前半に溜めを作れず失速。元々大箱コースの切れ味勝負より小回りでの早めのスパートで結果を残しており、3走前の巴賞はスローペースを捲っての勝利。2走前の函館記念も前が飛ばす中を捲り上げて0.5差⑤着なら悲観する内容ではありません。横山和Jは5走前に乗って勝っており、逃げ馬の揃ったここは折り合い面の不安も少なく見直しが必要でしょう。

[4]⑦モズナガレボシ(西村淳)

 上りのかかる展開、馬場、コースが得意で、前走の小倉記念は53kgの軽量もあり完璧なレースを見せました。但しこの時はスローなのに外差しという特殊な展開で、小頭数で多少もたついても間に合ったという恩恵もありました。フルゲートで芝の状態も良いとなると紛れなしの展開になりそうで、地力の試される一戦となります。

[4]⑧パンサラッサ(菱田)

 重馬場巧者のイメージですが精密機械という言葉がぴったりの馬で、2000m戦ならキッチリ2.00.0前後で走ってきます。事実2.00.0で勝ったことが2回もあり、ハロン12秒を基準としてタイムが±0.5秒程度の範疇なら(2,3,0,0)と好成績。但し今年の福島は春開催休止の影響もあって例年よりも芝の状態が良く、日曜の1勝クラスの時点で2.00.6が出ています。コントラチェック、ディアンドルもいるここは時計が1.59秒台前半以下になるのは必至で、自分のペースを刻むのは難しい舞台と見ます。

[5]⑨ステイフーリッシュ(坂井)

 G3戦に出るのは2年ぶり。その間強い相手と戦って善戦していますが、ここ2戦はまだ調子が戻っていない印象です。今回の最終追いも時計は悪くないのですがアクションの割に伸びず、併走相手を待たせる内容。この馬の良い時にはまだ戻っていないという印象です。

[5]⑩アラタ(大野)

 4連勝中。距離も馬場もコースも違う中で勝ってきたのは価値が高く、4歳秋で身が入ってきたことで自在性の高さが存分に発揮できるようになってきました。スローペースを前目につけての勝利も多く、切れ味勝負でどこまでやれるかという部分は未知数も極端にバイアスのない今の福島なら立ち回りで再度の好戦も可能でしょう。

[6]⑪エフェクトオン(亀田)

 2走前の阿武隈Sは前残りの流れを最内から突き抜けて快勝。当時⑤着だったモズナガレボシも含め後方待機勢が苦戦する中、一瞬の脚で決めきれるタイプで福島は合っています。前走の新潟記念は直線が長くこの馬向きではない上、伸びない内に入ってしまい外差し勢とは脚色に差がついてしまいましたがそれでも0.5差の⑧着と力のあるところを見せました。ハンデが引き続き53kgなのは好材料で、ハンデ戦らしく直線で馬群が広がれば立ち回りで一発の期待も。

[6]⑫ヒュミドール(吉田豊)

 2走前の小倉記念は外差し優位の展開を上手く味方につけての②着。それ以前にも重賞では好戦しており力の下地はあるのですが、吉田豊Jは荒れ馬場を避ける騎手で今の福島だとほぼ間違いなく外を回してくるでしょう。コース形状から早めに進出する馬も多い福島の重賞では直線で馬群が横に広がるため、それで外を回そうものなら相当なロスは覚悟は必要で、見た目の印象ほど外差しというわけではない現状では届かない懸念も。

[7]⑬バイオスパーク(泉谷)

 昨年の勝ち馬。当時からは+2kgとなりますが、同じ57kgを背負った2走前の函館記念で③着。インを取りたい馬なので外枠で軽視しましたが、想定以上にペースが流れ縦長馬群で労せずして好位を取れたことが大きかったでしょう。但しテン乗りとなる泉谷Jは差しで結果を残すタイプで、詰まりのリスクを負う先行策は苦手につきこの起用がマッチするかは微妙なところです。

[7]⑭マイネルファンロン(松岡)

 前走の毎日王冠はG1級のメンバーが揃い、流石に相手が強すぎました。2走前の新潟記念をフロック視する向きもありますが、あくまで展開に合わせた騎乗をした結果の後方一気であり、4走前の巴賞や一昨年の函館記念で②着しているように本来は折り合いさえつけばもう少し前でも問題ない馬です。

 主張したい馬も揃ったここは折り合い面の不安も軽減でき、重賞でも引き続いての56kgは恵まれた方。このレースは3年連続の参戦ですが過去2年はポジション取りを焦って行きたがってしまいレースにならず。外目の枠からソロっと出して折り合えば、松岡Jに快気祝いをプレゼントしてくれるでしょう。ってこれを書いてたら10Rのウインマーベルが勝ったので無いかも…

[8]⑮フェアリーポルカ(三浦)

 前走のクイーンSは4角で前が開きドンピシャの展開かと思われましたが、外差し勢に有利なコンディションであと一歩残せませんでした。とはいえこれまでの古馬重賞に比べればメンバーも分厚く、善戦と言ってよいレース内容ではありました。ただ弟のココロノトウダイ同様に立ち回りの良さで一脚を使いたいタイプで、この外枠は歓迎材料とは言い切れず。

[8]⑯コントラチェック(北村宏)

 先行策が叶うかという点が鍵ですが、この枠に加え同型もいる中どこまでハナを主張するかが難しいところです。北村宏Jは恐らく調教では数多く乗っていると思われますがレースでは初騎乗で、実績のない2000mで強引にでも行くかと言われると…

<予想>
◎エフェクトオン
○マイネルファンロン
▲ヴァンケドミンゴ
△ココロノトウダイ
△アラタ
△サトノエルドール

2021年11月13日土曜日

【11/12(土)予想】武蔵野Sの全頭評価とねらい目レース(奥羽S、阪神12)

■東京11R

[1]①タガノビューティー(石橋脩)

 このコースでは(3,2,1,1)。唯一着外に敗れた昨年のユニコーンSはスタートで躓きリズムを崩したものでそれ以外はパーフェクトで、待ちに待った舞台と言えます。

 3歳シーズンは伸び悩んだ時期もありヘニーヒューズ産駒の成長力の限界かと思われましたが、振り返ってみればデビュー2連勝に導いた石橋脩Jが降ろされた3戦目以降(0,3,2,3)だったのに対し、鞍上を戻してからは(4,2,0,1)。単に手が合っていたか否かという問題だったと見るべきでしょう。重賞級の馬との相手関係が鍵も、適性で見せ場は十分作れるはずです。

[1]②リアンヴェリテ(国分恭)

 勝ち上がって以降は地元戦か滞在競馬の函館でしか好走できていない現状。距離短縮はプラスですが今回は先行勢が多く、単騎逃げが叶っても直線での追い上げを凌ぐのはかなりのハードルでしょう。

[2]③ワンダーリーデル(横山典)

 叩き2戦目に最高打点を叩き出すタイプなのは既に周知のところで、加えて今年は56kgで出られるという点もプラス。グリーンチャンネルCを叩いてここに臨むローテは一昨年にこのレースを勝った時と一緒で、好走の条件は整ったと見てよいでしょう。

 但しその前走が1.4差の大敗。過去、叩き初戦でもほとんど1秒差以内に纏めていたこの馬にとって、不得手な小回りだった昨年の黒船賞(高知・⑤着)以来となる1秒差以上の敗戦でした。いつものポツンで59kgを背負いながら上りは最速だったものの、8歳の秋となりある程度の衰えは織り込まなければいけない段階に差し掛かったと見るべきかも知れません。

[2]④テイエムサウスダン(岩田康)

 勝ち星は全て1400m以下。大箱のマイル戦は明らかに不向きの条件で加えて出足のある先行勢も多いここでは苦戦は免れないでしょう。

[3]⑤ヒロシゲゴールド(亀田)

 前走のマイルCS南部杯では初の1600mにも順応し②着と健闘を見せました。元々短いところを使われておりワンターンの競馬は得意なクチ。近走ではハナを切らなくてもレースのできる自在性を見せており、ここも先行勢は多いですが楽に追走できるという点ではライバルに対し優位なポイントで、近しい相手関係の交流重賞で善戦してきた経緯からもここも注意が必要です。

[3]⑥スリーグランド(津村)

 1600mは初参戦。太宰Jが乗っていたころと違って戦法に幅が出た今ならこなせないことは無さそうですが、うまく流れに乗ることが鍵となります。5走前に勝ったバレンタインSは戦法を一変させての逃げ切りでスムーズに運んだ分再現性に乏しく、先行馬の多いここでどう運ぶか、課題は少なくないと見ます。

[4]⑦レピアーウィット(横山武)

 ヘニーヒューズ産駒ではありますが、被されずに進みたいタイプにつきコーナー4回で息を入れられる中山が向いているタイプです。OP昇級後はこのコースで2戦して⑪⑩着。外枠からスムーズに運べそうなら話は別ですが、中枠で外にも速い馬が揃ったここでは追走に懸念を残します。

[4]⑧バスラットレオン(菅原明)

 札幌の新馬戦で33.6という驚異的な上りを使ったこの馬は、前向きな気性から逃げる競馬で結果を残してきましたが陣営は差しを覚えさせる方向に馴致を施してきました。しかし結果的には気分良く行けないと能力を発揮できない馬であり、前走の富士Sは無理に抑えた結果向こう正面で制御不能に陥り大敗。2走前の京成杯AHは出遅れで見どころ無し、3走前のダービーは流石に距離が長すぎ、4走前のNHKマイルCは落馬とここ最近まともに走れていません。

 そのまともに走った5走前のニュージーランドトロフィーでは富士S③着のタイムトゥヘヴンを0.9秒ちぎる圧勝劇。3歳世代のダート馬の層の薄さは先週のメイショウムラクモの時に紹介した話ですが、芝となれば話は別。あとはこの馬自身にダート適性があるかの話ですが、スピードというよりはパワーで走るタイプで母母のザミリア(=母バスラットアマルのきょうだい)からはザマンダ、ゴールドスミスとダートでの勝ち馬が出ています。スタートで躓かなければ芝スタートでダッシュも容易く、行き切れればこの中では一番強い可能性すらあります。行き切れれば…

[5]⑨スマッシャー(坂井)

 ユニコーンSの勝ち馬で2走前のJDDは明らかに距離が長かったものですが、前走のグリーンチャンネルCでは目立った不利も無い中単純に決め脚比べでの敗戦でした。現状では3歳重賞を勝っても古馬戦で伍せる実力の裏付けにはならず、展開は向いても前走以上の相手になるここでは。

[5]⑩ブルベアイリーデ(丸山)

 前走のシリウスSでは持ち味であり立ち回りの良さを見せ、サンライズホープの後ろを取っての③着確保でしたがやはり距離は微妙に長い印象で、急坂もあり最後は伸びきれませんでした。やはり1400~1600mがベストでしょう。このコースでは④①⑤①②着で負けても0.4差。得意条件に戻るここは前進あるでしょう。

 ただ懸念点は久々の騎乗となる丸山J。


 元々「ローカル」>>>「関東主場」>「関西主場」という成績傾向の騎手ではありますが、ダートではそれが顕著に出ます。相対的に上位騎手が少ないローカルでは社台系の有力馬が宛がわれることが多く馬質の違いという考え方もできますが、日本競馬の王道は「芝中距離」である以上、社台系とのパイプの恩恵を受けにくいダートでここまで成績に差が出ているとなると、単純に「前付けして早めに追い出す乗り方が合っており、大箱の末脚勝負には向かない」という見方が出来ます。

 今回のメンバーを考えればブルベアイリーデは控えざるを得ず、そうなったときに手が合うタイプなのかと言われると…

[6]⑪オメガレインボー(横山和)

 控える競馬が板についてきており、前走のエルムSも勝ったスワーヴアラミスに内を掬われたことを考えれば勝ちに等しい内容でした。ただこの馬の傾向として気温の上昇とともに成績を上げる点があり、4-9月が(4,4,1,3)に対し10-3月が(1,1,0,8)。ここ3戦とは変わって涼しい時期のレースでパフォーマンスを上げられるかは課題です。

[6]⑫ワイドファラオ(柴田善)

 結局中央では2年前のユニコーンS以来馬券になれておらず、前走の南部杯にしても不良馬場で前に行った馬が残る中で3番手追走から足を伸ばせずインティにも差されての⑤着。着差こそわずかですが本来ならもう2つ3つ着順を上げられるはずの内容で、前付けはできてもそこからのひと脚に欠ける現状では。

[7]⑬サトノアーサー(岩田望)

 7歳シーズンを迎え、ややエンジンの掛かりが遅くなっているタイミングでの初ダート。前走は距離が長かったもので、ワンターンの1600mはベストの条件ではあります。但し、前肢の駆動で走るタイプであり不良馬場に苦慮していた点も見るとダートでパフォーマンスを上げられるかと言われると微妙なところで。

[7]⑭エアスピネル(田辺)

 ダート転向後(地方交流除く)は前半3Fが34秒台以下だと(0,2,1,0)に対し35秒以上かかると(0,0,0,2)。前走の南部杯は直線で前が狭くなりまともに追えない不利があっての⑥着で、今回はその南部杯をアルクトスで制した田辺Jに乗り替わります。鮫島駿JもフェブラリーSの②着などよく乗ってはいますがこの馬はいい脚を長く使わせたいタイプで、内を突いて一瞬の脚を活かすことを重視する一方助走をつけて追い出すような乗り方には向いていなかったと言えます。この馬自身、意外にも過去27戦で上り最速だったのは僅か2戦。差しの名手に乗り替わってもう一皮むける期待は持てそうです。

[8]⑮ダイワキャグニー(内田博)

 初ダート。昨年のエプソムCで不良馬場をこなしたように、小脚の使えるタイプでダート自体はこなせそうです。但し先行してナンボ、という馬で同型の多いここでは。

[8]⑯ソリストサンダー(戸崎)

 昨年の②着馬。その昨年は46.1-48.9のかなりの前傾戦で、差し決着に恵まれた点が大きいです。2勝クラス以降勝ち切っているのは全てローカルのダート1700mという成績が示す通り、本質的には切れ味勝負より小回りで早めのスパートから押し切りたいタイプです。ただ今年もかなり先行馬が揃ったメンバー構成につき再度恵まれうる期待も。

<予想>
◎エアスピネル
○ソリストサンダー
▲タガノビューティー
△バスラットレオン
△ヒロシゲゴールド
△ワンダーリーデル


■福島11R ライジングドラゴン

 元々現級でソリストサンダーと好戦するなど通用級の実績があり、夏の北海道2戦は調子を落とすも放牧で立て直されてきました。今回陣営は控えるレースを示唆しており、アルーフクライのまくりで動き出しが早くなりそうなレース展開につきじっくり構えた方が嵌る期待はありそうです。粘り強く追える小牧Jのテン乗りにも期待で。


■阪神12R ヴォイスオブジョイ

 いつも終いは堅実なのですが、ローカルで馬が密集して上手く追えなかったり、短距離戦は多頭数になりがちで捌ききれなかったりと乗り難しさを抱えるタイプ。そこにラフィアン×水野厩舎となるとなかなか騎手起用でも打開策を作れなかったのですが、久々にデムーロJを配したここは1400mの実績で抜けて強いメンバーもおらず立ち回り一つで通用可能。内も外も差しの効く今のコンディションであれば、インで壁を作って直線抜け出す展開に期待です。

2021年11月7日日曜日

【11/7(日)予想】W重賞の全頭評価

[1]①レクセランス(戸崎)

 小頭数のすみれSを勝ち上がってしまい、以降はクラスの壁に跳ね返されている現状。2走前の大阪-ハンブルグCは久々に掲示板を確保しましたが、差し決着の流れを後方待機から流れ込んでのもので展開利もありました。道中置いて行かれるので距離延長自体は歓迎も、再度重賞のメンバーになるここでは。

[2]②オウケンムーン(団野)

 デビュー時に466kgだった体重が6歳秋の前走で440kgと、成長を見せられていない現状。国枝師もその点を気にしてあまり攻め過ぎないようにしている旨言及があり、現に5月のメイS以降馬体を減らし続けている点も気になります。それでも近2走は④⑤着とまとめられていますが、元々勝った18年の共同通信杯は同レースとしては稀な低レベル戦(13~17年まで5年連続で勝ち馬が後にG1を勝つも、この年はこの馬含め出走全馬G1未勝利)で、そこからの成長が無いとなるとやはり古馬重賞でどうこうというレベルではないかと。

[2]③サトノソルタス(大野)

 オウケンムーンの勝った共同通信杯の②着馬。元々休み明けの方が走れるタイプにつき、叩き2戦目のここは前走(オールカマー⑥着)のパフォーマンスを上回る期待は薄いです。

[3]④ロードマイウェイ(岩田康)

 前走の京都大賞典は初めての2400m戦で0.3差⑤着と健闘を見せました。但し陣営は距離延長によって位置を取る競馬を示唆していたものの、結局はそれまでと変わらず最後方に近い位置取りでのレースになったあたり追走力の点で良かったころからの陰りは否定できない現状です。但し東京芝2500mは2回の坂越えがある為前が止まりやすく、前走同様のパフォーマンスを見せられれば仕掛けどころ1つで食い込めるメンバーではあります。

[3]⑤フライライクバード(岩田望)

 阪神2400m、中京2200mといずれも2回の坂越えがあり差しが利くコースを勝ってきており、このコースに求められる適性という点では引けを取りません。但し昨春の青葉賞では0.8差⑧着。関西圏でしか結果を出せていない点も含め、久々の重賞が遠征競馬という点は気がかりです。

[4]⑥アイアンバローズ(石橋脩)

 前走の京都大賞典では1角で強引にヒュミドールに前に入られリズムを悪くしたのは確かですが、そもそも最内から特にポジションを主張するでもなく前に行かなかった時点で、この馬のレースにならなかったというのが本音でしょう。デビュー以来最高となる504kgの馬体はやはりまだ太かったでしょうしキッチリ絞れてくれば変わり身はあっても良さそうですが、前走の時にも触れた通り3歳馬のいない春先の条件戦を連勝したとて力量の裏付けにはなりにくいのが今のレース体系で、ここはまず重賞で見せ場を作るところからでしょうか。

[4]⑦アドマイヤアルバ(吉田豊)

 前走のオールカマーではスタートから促していくもついていけず、4角でペースが早くなるタイミングでも置かれ加減でした。それでも0.7差⑧着に踏みとどまれたのは進んでいかないがためにずっとインでじっとしていた分、最後に外に持ち出した他馬に比べて馬場のいいインの恩恵を最後まで受けられたものでした。極端なバイアスもない上普通に流れれば前付けするのも厳しい現状では。

[5]⑧アイスバブル(三浦)

 3走前の函館記念では不得意と目されていた小回りコースで②着激走。洋芝適性もあったのでしょうが、元々ディープインパクトの直仔の割に「キレより伸び」を身上とするタイプで目黒記念2年連続②着などタフさが求められるコースでの好走歴を思えば納得の走りでした。

 昨年は目黒記念で0.1差②着、京都大賞典で0.5差⑧着とこのクラスでもやれるだけの力は持っており、鞍上にはテン乗りの三浦Jを迎えます。ダービー卿CTの時にも触れた通り三浦Jは「キレより伸び」を引き出すタイプ。実際にアイスバブル自身も好走歴はモレイラ、アブドゥラ、マーフィー、レーン等伸びを引き出す外人ジョッキーの騎乗時で川田、福永、浜中と言った日本のリーディング上位(≒末脚のキレを得意とする)騎手が乗った時は凡戦しており、この人選は当たりの可能性があります。

[5]⑨ディアマンミノル(荻野極)

 前走の京都大賞典では0.3差④着に健闘。流石に開幕週で外差しは厳しかったですが、4角から助走をつけて追い上げる自分の形のレースが出来た分の好走でした。2回坂を超えるコースは良いですが、阪神や中京と比べて上りの絶対値が求められる東京では末脚比べになると分が悪く、春のメトロポリタンSでも理想的なレース運びで③着どまりだったことを思えばこのメンバーで勝ち負けまでとなるとやや厳しい印象です。

[6]⑩オーソリティ(ルメール)

 骨折(1年ぶり2回目)からの半年ぶりの実戦となります。昨年はそのぶっつけでここを勝ちましたが当時は54kg。今回は57.5kgのトップハンデを背負わされる上、今回は久々の分割引が必要と(天栄仕上げの木村厩舎にしては珍しく)休み明けの割に弱気なコメント。そもそも2回も骨折していては理想的な成長曲線を描けないのも無理はありませんし、実績は認めてもここは様子見が妥当かと。

[6]⑪ゴースト(鮫島駿)

 前走の丹頂SではOP昇級後初めて複勝圏内を確保しましたが、縦長馬群でスペースには苦労しなかった割に追い出してからの伸びはもう一つですぐ前に居たボスジラすら捕らえられませんでした。6走前の準OP勝ちもスローペースを味方につけての押し切りで、重賞では恵まれないと現状厳しそうで。

[7]⑫マイネルウィルトス(M.デムーロ)

 このメンバーに入れば前走の札幌記念④着は大威張りできる臨戦過程です。その前走ではペルシアンナイトの後ろを通って進路を作って伸びてきましたがメンバーと動きにくさを考えれば0.4差は健闘の部類で、4角手前でもう少しスムーズにポジションを上げられていれば上の着順もあったかもしれません。

 春の福島民報杯の圧勝で道悪巧者という見方もありますが、元々準OPの頃から良馬場でもランブリングアレーやポタジェと言った重賞の常連と好戦しており、前走では位置を下げても最後に盛り返す末脚を見せ、戦法が限られるタイプでもないことは証明済み。意外にも2000m超えの距離は初となりますが、父スクリーンヒーロー×母父ロージズインメイという血統背景からはこなせないわけは無く、折り合いの関係で長い距離を使えなかった側面が大きいです。さらなる鞍上強化で臨めるここは絶好の舞台でしょう。

[7]⑬ボスジラ(田辺)

 このレースは丹頂Sからの参戦組が5頭いるのですが、アイスバブルやトーセンカンビーナと言った明らかに大箱向きのタイプと違ってこの馬に関しては札幌2600mで(2,2,0,0)としている通り前走がベスト舞台でした。昨年の目黒記念で0.7差⑨着に入っていますが、道中最後方追走から直線で1頭だけ大外に持ち出して伸び伸び走らせた結果で、不利を受けてないばかりか外差し馬場の恩恵を受けて54kgであそこまで、となると56kgを背負わされるわけで、丹頂Sを連覇できなかったことを考えても当時以上のパフォーマンスを繰り出せるかとなると疑問符が付きます。

[8]⑭トーセンカンビーナ(石川)

 最高のパフォーマンスを見せたのは昨春の阪神大賞典②着~天皇賞(春)⑤着のタイミングで、その前の4勝も京都・阪神で2勝ずつという戦歴を考えても4角から助走をつけて追い出すレースがこの馬には合っています。昨秋に東京で2戦していますがいずれも2秒近くの大敗で、解散に伴う移籍なので仕方ないとはいえ関東への転厩は完全に間違いだったと言わざるを得ません。

[8]⑮アンティシペイト(横山武)

 前走でOP入りしたばかりの馬に重賞連対馬と同じ55kgを背負わせるのは少々見込まれた感もありますが、前走のオホーツクSではそれまでの勝ちパターンと違って中団から足を伸ばす競馬で勝ち切りました。それ自体は外差し展開を上手く味方につけた部分もありましたが、自在性の高さを証明する勝ち方でもあったことから今回横山武Jへの手替わりはプラスと言えます。上りの速さでは見劣るものの、メンバー的に強力な先行勢も少なそうな今回はチャンスありでしょう。

<予想>
◎マイネルウィルトス
○アイスバブル
▲アンティシペイト
△オーソリティ
△フライライクバード
△ロードマイウェイ


■阪神11R

[1]①アンセッドヴァウ(池添)

 前走の平城京Sではペースが流れたこともあり後方から運び、前がバッタリ止まる展開を4角まくりでしのぎ切りました。道中ほぼ最後方にいた馬が2,3着に来ていることからも鞍上の好判断でモノにした一戦であり、重賞でそうそう前も止まらないとなると再現性は疑問で。

[1]②ロードゴラッソ(酒井)

 ここ数戦は前に行けなくなっており、良かったころの正攻法の競馬が出来ない現状。かと言って末脚が使えるタイプでもないため追いつかない程度の追い込みしかできず、恵まれても掲示板がやっとでしょう。

[2]③メイショウハリオ(浜中)

 脚質的に嵌り待ちにならざるを得ないタイプですが、前走の太秦Sは先行馬2頭の決着になりかけたところを内を突いて②着。いかにも岩田康Jらしい騎乗のおかげもありました。但し①着のライトウォーリアはそれまでOPで掲示板にも載れてなく、③着だったサンライズソアもこの3年ろくにレースに使えてなかった7歳馬で、ここに割って入ったと言ってもこのメンバーでどうかと言われると…

[2]④ヴェンジェンス(幸)

 この夏に長期休養から1年ぶりに復帰しての2戦はいずれも大敗。エルムSにしろ白山大賞典にしろ不向きな小回りコースでのもので、本来の力を発揮できる舞台出なかったことは事実です。ただそれでもこれまで2度しかなかった1.0差以上での負けを2回も続けている現状を考えると、調子の問題もあるのでしょうが長欠明けの8歳馬というので割引は必要と考えるべきでしょうか。

[3]⑤アナザートゥルース(松山)

 前走のシリウスS当日の中京は最高気温が29度(15時観測)にまで上昇し、暑さに弱いこの馬にとっては厳しいコンディションになりました。元々陣営は白山大賞典ないしは日本テレビ杯を目標にしておりハンデ戦で斤量面の不利が見込まれるここを使うのには消極的でしたが、出走枠が限られる地方交流は出走が厳しく、止む無くここに出たという経緯でありこの敗戦自体は無視できるものでしょう。

 1月の東海Sではオーヴェルニュより1kg重いハンデで0.3差の②着、昨年のアンタレスSではクリンチャーより1kg重いハンデで先着しており、暑くない時期においてはここの人気どころと互角の勝負を演じています。幸い明日の宝塚地方は最高気温20度という予報な上、この馬よりも内枠の各馬は控えるタイプにつき注文通りの位置取りが叶いそうで巻き返すには十分な舞台と見ます。

[3]⑥ロードブレス(坂井)

 前走のエルムSはトップウイナーが飛ばし、48.2-50.2の前傾ラップでタフさが試される展開になりました。ズブいことでお馴染みのスワーヴアラミスで間に合った内容がそれを物語っていますが、ロードブレスは2角と4角で位置取りを落とし鞍上が促してついて行っていた様子でした。函館はコースレイアウト的にコーナーの角度がキツく、距離延長+大箱替わり+斤量減となるこの舞台は見直せる要素は十分です。あとはここに入っての相手関係がどうか。

[4]⑦スワーヴアラミス(松田)

 ズブさが顕著になっており、鞍上も終始追い通しがデフォルトという昨今。この馬を手の内に入れた松田Jの継続騎乗で近走は安定したパフォーマンスを見せており、キレのない分脚抜きが良くなると着を落としますが良馬場見込みの今回はその心配も無さそう。近走は相手関係に恵まれた感もありますが、今の充実ぶりなら台頭可能で押さえは必要かと。

[4]⑧ニューモニュメント(藤岡康)

 追い込み一手につき嵌り待ちである上、脚抜きの良い馬場の方が着を上げるタイプ。飛ばす馬がいて距離がもう1F長ければまだしも、良馬場の阪神ダート1800mでは恵まれにくいと考えます。

[5]⑨オーヴェルニュ(和田竜)

 今年の重賞2勝が強い勝ち方で、先行して直線で突き放すという危なげないパフォーマンス。58kgも平安Sで克服済で当然にここでは中心視してしかるべき存在なのですが、陣営は暮れに向けてのたたき台であることを明言しており完調でないことは明らか。年明けに東海Sを勝った後中3週で挑んだフェブラリーS、平安Sを勝った後に挑んだ帝王賞いずれも大敗しており、連戦ローテを苦手としていることからも今回はG1に向け中身を整えることが目的のはず。福永・川田の両ジョッキーが居ないことを承知の上で使ってくる以上は勝負気配は薄く、地力でどこまで…という一戦でしょう。

[5]⑩メイショウムラクモ(柴田善)

 前走のレパードSでは鞭を落としても勝ってしまうという内容で、今の3歳勢の中では頭一つ抜けている印象です。但し、その3歳ダート戦線(特に牡馬)のレベル自体が今年は相当低く、伏竜Sで先着を許したゴッドセレクションはJDDでキャッスルトップの大駆けを許す体たらく。そもそもキャッスルトップ自体「南関クラシックに乗り遅れた組」で東京ダービーにすら出られておらず、戸塚記念、ダービーGPでは東京ダービーで着外だった馬たちにすら跳ね返されています。

 前走のレパードSにしても、2着でOP入りしたスウィープザボードはブラジルCで0.8差⑧着、3着以下でも自己条件に戻って勝ったのはタイセイアゲインのみ(その後の3勝クラス戦は大敗)という現状で、このレース自体が2勝クラスに毛が生えてるかどうかすら怪しいレベル感。2勝クラスを勝ってここに来ていたメイショウムラクモにとっては勝って当然というレースで、古馬重賞の水準には達していないと見ます。

[6]⑪クリンチャー(武豊)

 芝時代の実績からも力のいる馬場の方が走れるタイプで、前走の帝王賞③着と6走前の太秦S④着は軽いダートで差し勢が台頭する流れになった分でもありました。4走前のチャンピオンズC⑪着にしても元々芝時代から左回りは走れていなかったので度外視できる敗戦。阪神ダートでは(1,3,1,0)と崩れておらず、凱旋門賞以来3年ぶりに武豊Jを鞍上に迎えたここは連覇に向け視界良好でしょう。

[6]⑫ラストマン(小牧)

 後半がかかる条件戦の流れが向いている馬で、前走の日テレ盃もその流れになりましたがサルサディオーネを捉えきれずの④着。一気の相手強化となるここではペース的にも恵まれにくく。

[7]⑬アシャカトブ(秋山真)

 前走のシリウスSの時にも触れましたが、武藤Jは上級戦になると途端に勝てなくなってしまいます。まだ若手ですので馬質の問題とも言えますが、現にこの馬は5走前、武藤Jが騎乗停止につき戸崎Jに乗り替わったアハルテケSでキッチリ勝ち切っており、手替わりで前進が見込める素質の持ち主と見ています。

 元々ノーザン系の外厩でもないため休み明けは絞り切れずに出てくることが多く、2走前のBSN賞はデビュー以来最高の522kgでの出走となり⑪着大敗。前走のシリウスSでは510(-12)kgと額面上は減らせたものの、アハルテケS時(500kg)のフォルムと比較してもまだ絞れそうな体つきでした。休み明けを2度使われ体調は型通りに上向いており、調教でも坂路で仕掛けられると鋭く反応。この馬の力を出せる出来になっており、理想はOP特別程度の相手関係ですが手替わりとなればここで狙ってみたいです。

[7]⑭エクスパートラン(藤懸)

 長岡Jのワンダーエカルテと並んで「向こう正面捲り」のコンビとしてお馴染みの藤懸Jとこの馬。前がバテる条件戦であればこれでも良いですが、重賞で先行勢も手厚い構成となるとなかなか難しく。

[8]⑮ダンビュライト(松若)

 母系を見ればダートを走らせたくなるのも頷けますが、クリンチャーと違って力のいる馬場で成績を落としているのが現状です。戦績からは先物買いとまでは踏み切れず。

[8]⑯プリティーチャンス(藤岡佑)

 脚質的に嵌り待ちのタイプではありましたが、前走の内房Sでは3角から動いて逃げ込みを図るノーブルシルエットを捉えての勝利。展開次第で動ける自在性を見せました。但しこのレースはノーブルシルエット以外の先行勢が止まる前傾戦で、3着以下も差し・追い込み勢が占めるようなレースにつき本質的な評価は高くはありません。マルシュロレーヌの例をはじめ牝馬のダート戦線も年々層が厚くなってはいるものの、ここで伍せるかとなるとまだ様子見が妥当でしょうか。

<予想>
◎アシャカトブ
○クリンチャー
▲アナザートゥルース
△オーヴェルニュ
△スワーヴアラミス
△ロードブレス

2021年11月6日土曜日

【11/6(土)予想】京王杯2歳Sの注目馬とねらい目レース(阪神7、神奈川新聞杯)

■阪神7R メイショウウグイス

 8か月ぶりのレースですが、過去長欠明けでは7か月ぶりで0.6差④着、転入初戦の8か月半ぶりれ1.0差⑧着としています。特に後者(20年7月)の同舞台のレースでは差し・追い込み勢が台頭する中坂の途中まで見せ場十分でした。揉まれずに運びたいクチな上時計を要する流れの方が向いており、ここ4戦は1200m戦で前につけられなかったり脚抜きの良い馬場だったりと展開不向きの舞台が続きました。18年以降の近3年でこのコースでの単回282/複回208と圧倒的な成績を残す藤岡康Jへの乗り替わり+外目の枠+ハナを主張するタイプの少ないメンバー構成を考えればここは走り時と見ます。


■東京9R ナンゴクアイネット

 良馬場の芝1400mでは⑤①③⑪④③とほぼ崩れなく走れており、唯一掲示板を外した昨年の京都戦はコーナーを回り切れず前の馬に接触しそうになるロスがあっての敗戦で度外視できます。ここ4戦は1秒以上の大敗が続いていますが不適の1200m、重馬場、ダートといずれも理由ありの戦歴で、これが理由でハンデ52kgになっているのならだいぶ恵まれたと言ってよいでしょう。


■東京11R ベルウッドブラボー

 前走のダリア賞のラップが「12.8-11.3-11.9-12.1-11.8-11.1-11.0」。ゴールに向かって加速する流れを差し切っての味のある内容でした。過去ダリア賞で最後の2Fが11秒台前半だった勝ち馬は18年のアウィルアウェイ(このレースでも②着)以来で、府中の改修のあった03年以降の京王杯で「前走がゴールに向かって加速+ラスト2Fが11秒台前半で①着」となると15年の勝ち馬ボールライトニングが前走の新馬戦で「12.0-11.4-11.3」で差し切っての臨戦があるのみ。向こう正面よりも直線の方が長い東京1400mでは上りの速さが必要でこの時計の価値は相当高く、中間の調教でも2週続けてウインアグライアと併せて優勢の動き。持っているギアはこのメンバーでは一枚上と見ています。

2021年10月31日日曜日

【10/31(日)予想】天皇賞の全頭評価とねらい目レース(ルミエールAD、オータムリーフS)

■東京11R

[1]①コントレイル(福永)

 強さと実績は語るまでもないので割愛しますが、評価は3番手です。

 昨秋のJCでは菊花賞からの立て直しに苦労しながらもアーモンドアイの0.2差③着と健闘を見せました。但しそのアーモンドアイも本来ベストとは言えない中3週のローテで、前年に大敗した有馬に出すわけにもいかず情勢的に香港にも行けない中で「消去法で選ばれた引退レース」でありました。③着だったデアリングタクトにも言えますが、そのように付け入るスキがあった上同斤だったにもかかわらず勝てなかった点は不満で、今回はアーモンドアイに勝ったことのあるグランアレグリアより2kg背負うとなれば、当然それなりの成長を見せている必要があります。

 大阪杯では+16kgと馬体を増やしましたが、矢作師によれば「成長分かと思ったが結果的には重かった」と語っており、秋に帰厩して追い切りに跨った福永Jも馬体は「特に変わっていない」というニュアンスのコメント。2歳からG1を勝ち続けてきたこともあってか、ここに来ての成長度という点では歯切れの悪さを残しています。しかも1か月後には引退レースのJCを控えているにもかかわらず陣営は「メイチの仕上げ」をアピールしており、ここを勝ちに来ている姿勢を鮮明にしています。裏を返せば仕上げないとこのメンバーで伍すのは難しいと感じているとも取れ、昨秋のパフォーマンスと伸びしろから考えるとどうしても「三強」内の序列としては下になってしまいます。

[1]②カデナ(田辺)

 「良馬場でそこそこ時計がかかるコンディション」が理想なため、昼からの雨でパンパンとまでは行かない東京の今日の馬場はうってつけでしょう。但しそれでもG2で掲示板~G3で勝ち負けというのが現状での精一杯で、ここで食い込むとまでは…。

[2]③モズベッロ(池添)

 時計のかかるコンディションは歓迎も、本質的に上り勝負では分が悪く東京コースは明らかに不向きなクチ。当日からの降雨では東京の水はけならよくて稍重程度で、ひと叩きの上昇は認めても勝ち負けレベルに恵まれるかとなるとどうかでしょう。

[2]④ポタジェ(川田)

 「開幕前半のキレイな良馬場」が好走のキーで、前走の毎日王冠も開幕週で時計の出るコンディションになったことが奏功し、前目から末脚を使う理想的な展開でした。今回は内の痛みが進行し一雨もあるとなると、パフォーマンスを上げられる望みは薄いです。

[3]⑤エフフォーリア(横山武)

 前走のダービーでは折り合いを欠きながらも出来得るベストのレースはできましたが、鞍上も言う通りキレの部分ではさらに上がいるというのが正直なところ。距離が伸びてシャフリヤールに逆転を許したという点からも、適性は2000m位までかもしれません。陣営も「ダービーを勝っていれば菊花賞だったが…」と語っており、気性面、距離適性を考慮しての参戦と相成った次第です。

 皐月賞の勝ち方が示す通り元々操縦性の高さを強みとするタイプで、決め手勝負に持ち込まれると厳しいところも。その点この雨は理想的で、馬体を増やして帰ってきているのも好材料。外差しコンディションにつき何かに負ける可能性はあっても、伸びしろを考えれば争覇圏の1頭と見ます。

[3]⑥トーセンスーリヤ(横山和)

 前走の新潟記念では大外枠を克服しての②着で、馬場を考慮しそれまでと違って中団からのレース運びで進境を見せました。地力強化が窺える夏の2戦の内容でしたが、今回は先行策を示唆しているうえ内受難のコンディションとなると強くは推せないです。

[4]⑦ワールドプレミア(岩田康)

 19年神戸新聞杯③着→菊花賞①着、20年JC⑥着→有馬記念⑤着、21年日経賞③着→春天①着と、休み明けを叩いての好走パターンが続いておりここも休み明け。最終はそれなりにやれていたものの1週前では僚馬に大きく後れを取る調教で、やはり仕上がり途上であることは否定できないでしょう。

[4]⑧サンレイポケット(鮫島駿)

 新潟大賞典を勝っているようにコーナーの少ない左回りは適条件ではあるものの上りはかかった方が良く、水はけのよい東京では37秒台の上りを要するような展開にはなりにくく。

[5]⑨グランアレグリア(ルメール)

 一昨年の桜花賞を勝った後陣営はNHKマイルCを選択(結果は④→⑤着降着)しましたが、流石に「マイルか2400mか」と言われれば前者を取らざるを得ないという話で、大阪杯の内容を考えれば止まったのは馬場の問題で距離自体は守備範囲と見られます。これまで短距離戦線を進んできたのもアーモンドアイとの激突を避ける(ノーザンFの)事情があったためで、同馬が引退した今年は藤沢和師も早くからここを目指す意向を表明していました。

 春の3戦のうち大阪杯は上記の通り馬場の問題、安田記念は初の中2週ローテで疲れを取りけれなかったことが敗因でした。今回はしっかり間隔を取り入念に乗られ、出来の面では問題なく仕上がりました。あとは距離延長で折り合い面がどうかですが、好枠を引いたトーセンスーリヤが引っ張ればスローにはなら無さそうで、予報以上の雨量にならなければ実力を出し切るには十分な舞台でしょう。

[5]⑩カイザーミノル(横山典)

 前走の毎日王冠では久々の1800m戦も0.3差⑤着と善戦を見せました。但し上位2頭が強かっただけで、開幕週でさほどペースも速くなく前が残せる流れではありました。前走はそれまでのパターンを崩して直前も一杯に追われながら格下に後れを取る内容で、叩いての良化が顕著であれば…というところですが中間は本数も少なく時計も目立つものでないとなると伸びしろには少々疑問で、このメンバーで伍せるかとなると。

[6]⑪ムイトオブリガード(柴田善)

 前走の京都大賞典では発馬は悪くなかったものの控える競馬。この馬は前に行けないと好勝負は難しく、テン乗りでもない藤岡佑Jもその点は理解していたはずで、「行かなかった」のではなく「行けなかった」のだと考えられます。休み明けを苦にするタイプでもないですし、流石に7歳でパフォーマンスの衰えは否定できない段階に差し掛かっていると見ます。

[6]⑫ラストドラフト(三浦)

 前走の毎日王冠当日は10月にしてはかなり暑く(当日府中市の最高気温は16時計時の26度)熱中症の症状が見られたとのことで度外視できる敗戦ではありました。今日の天気ならパフォーマンスは上げられそうで調教の動きも抜群ではありますが、昨秋のアルゼンチン共和国杯でオーソリティの②着している点を考えればコントレイルクラスと伍せるかと言われると微妙で、それ以上と見るメンバーも揃ったここでは。

[7]⑬ペルシアンナイト(大野)

 前走の札幌記念はステイフーリッシュやトーラスジェミニの脱落で4角で絶好の位置に出せたことが大きかったです。逆に言えばあそこまでお膳立てされておきながら牝馬2騎に敗れた辺りが現状の限界でしょう。さらに相手強化されるここでは。

[7]⑭カレンブーケドール(戸崎)

 前走の宝塚記念では直前の調教が坂路で単走とかなり軽く、その点を不安視して割り引きましたが結果的に0.8差の④着。昨日のサークルオブライフの例を挙げるまでも無く、やはり理想はコースで併せ馬を消化できてこその国枝厩舎。今回は中間の本数も多く併せ馬を消化デキてはいますが坂路オンリーで、万全なら3着くらいはあってもとは思いますがそうでないとなると…

[8]⑮ヒシイグアス(松山)

 体調が整わず中山記念後の復帰が遅れに遅れ、今回も前週に硬さが見られたとのことで週末の追い切りを自重。動き自体は悪くないものの、陣営も「当日までに心身のバランスを整える」ことを課題として挙げており体調面ではまだ万全とは言えない状態。地力頼みでこのメンバーとなると良くて掲示板でしょうか。

[8]⑯ユーキャンスマイル(藤岡佑)

 左回りでゆったり進めたいクチにつき、前走は右回りで2000mと得意条件のいずれにも該当しない条件で度外視できるレースでした。左回り替わりはプラスですが、最終追いは芝でデビュー前の2歳馬に胸を貸す調教。阪神大賞典②着時にはウッドでやれていただけにしっかり負荷をかけ切れていない点は不満で、本来は距離ももう少しあった方が良いタイプにつきここを使ってJCが本線でしょうか。

<予想>
◎グランアレグリア
○エフフォーリア
▲コントレイル
△ラストドラフト


■阪神10R デンコウリジエール

 叩き良化型かつ間隔を詰めて使える時が良く、過去4勝は連闘で1勝、中1週で2勝、中2週で1勝といずれも連戦でのもの。加えていずれも関西圏(中京2勝、阪神・京都各1勝)のレースで、2走前の東京戦は出がけに掛かってしまいましたが最後まで垂れることなく⑤着に踏ん張りました。前走は直線で前が開かず不完全燃焼の一戦で、連闘で挑む今回は外目の枠も引け巻き返し可能と見ます。


■新潟11R タマモメイトウ

 直千で買いたい鮫島駿Jは東京。次いでこのコースで信頼度が高いのが津村Jで、単回144、複回94とマズマズ。特に近5年(2017年以降)に限れば単回261、複回149と手の内に収めていると言ってよい成績で、タマモメイトウは春の韋駄天Sで豪快に差し切り波乱を演出しましたが直千競馬は3回目の出走で今回初の2桁枠順を引きました。直千実績ある人馬が絶好枠を引いたとなれば逆らう手は無さそうです。


2021年10月30日土曜日

【10/30(土)予想】両重賞の予想とねらい目レース(新潟5)

■新潟5R ミズノコキュウ

 デビュー戦でゲートに難儀したことでここ2戦は柴田大Jが意識して出すようにしていましたが、スタートが無難に決まる代わりに掛かってしまい追って案外、というレースが続いています。今回は4戦目で初めて距離を詰めてのレースで、斎藤Jへの手替わりも折り合いをアシスト。

■東京11R ロムネヤ

 新馬戦では促さずとも前につけられるレースセンスの高さを示し、直線でも②着馬が迫ってくると抜かせない根性を見せました。差しでも楽逃げでもなく③着以下を0.8引き離した内容は評価でき、②着だったロードカテドラルは次走で即未勝利勝ち。中間も3週にわたりコースで併せ馬を消化し馬なりで51秒-11秒台をマークする出来の良さで、ここに入っても上位は必至でしょう。

■阪神11R マイスタイル

 前走は外枠不利な形状の中山マイル戦で行き切れず。3走前は距離延長局面で気難しさもあっての大敗でした。距離短縮ローテで挑める今回は本領を発揮できそうで、特に行きたい馬も見当たらないメンバーにつき展開面も向いてくれそうです。このメンバーなら。

2021年10月24日日曜日

【10/24(日)予想】菊花賞の全頭評価

■阪神11R

[1]①ワールドリバイバル(津村)

 2走前のラジオNIKKEI賞の②着は後方勢には苦しい雨馬場になったうえ、逃げたノースブリッジがかかって失速したり53kgという軽斤量といった要素に恵まれた部分が大きかったです。ノーマークの逃げが叶ってもペースなどの注文が多くつくタイプで、流石にG1ではスローなら早めに来られるまでで恵まれる期待は薄いです。

[1]②アサマノイタズラ(田辺)

 前走のセントライト記念は最後の最後まで追い出しを待っていたら直線では上手く進路ができ、内の大渋滞をよそにスムーズに外を伸びた理想的な内容でした。しっかりと折り合わせた田辺Jの好騎乗の賜物でもありましたが、流石に3000mも走る本番ではそこまでの渋滞は起こりにくいでしょう。

 あとは父ヴィクトワールピサの距離適性の限界だと思います。基本的に3000mに最適化された血統というのは現代では皆無なので、どの馬にとっても未知の領域なのは一緒ですがヴィクトワールピサについては私はマイル寄りの適性を持つ馬だと思っています。それゆえ距離延長はマイナスになり得ますし、アサマノイタズラ自身も中山専用機である以上ここでの前進がどこまでかと言われると…?

[2]③タイトルホルダー(横山武)

 前走のセントライト記念はルペルカーリアが垂れてくることが想定外だったのか、完全に行き場を失くしてしまいました。行き切った方がいいのは解っているはずなので、鞍上の判断ミスというよりかは陣営が本番を見据えて控えさせたという見方が正解かも知れません。

 しかし直前の横山武Jのトーンは上がらず。情状酌量の余地もある敗戦だったにもかかわらず「今回はまずレースに参加したい」と話すにとどまっています。自身の感触としてもこの距離は長いと認識しており、そうなると積極策には出にくいと考えられこの馬の良さを活かせないレースになる可能性が高いです。

[2]④ロードトゥフェイム(丹内)

 父マツリダゴッホと言えば現役時代は中山の鬼として知られ、ダイワスカーレットらを向こうに回して有馬記念を快勝したレースは鮮烈でした。ただ同馬自身はスタミナタイプというわけではなく、立ち回りの良さでトリッキーな中山コースを攻略していたクチでありました。

 産駒もそうなるのかと思いきや、良績は短距離に集中し競馬場別の成績でも特に中山が突出して良いというほどではありません。


 これはマツリダゴッホ産駒の芝での成績で、見事に距離が短くなるほど成績が良くなっているのがわかります。この表で解る通り、2500m以上を勝ったのはロードトゥフェイムの前走・九十九里特別が初のケースでした。父のイメージからか肌馬が比較的スプリント~マイル寄りのケースが多く、母方の特徴を引き出すタイプでもあるのか良績が短いところに集中しています。その点で考えると、母のラドランファーマはクイーンC3着などマイル前後の実績馬につきこの舞台がプラスとなるかは微妙なところです。

[3]⑤レッドジェネシス(川田)

 ディープインパクト産駒ながら母方の血が強く出ており、東京のような純粋なキレが求められる展開よりタフさ、持久力が問われる舞台で良さを発揮するタイプでこの舞台での前進が見込める一頭と言えます。体質の問題から仕上げが難しく、これまで最終追いは芝か坂路での単走でした。それが今回は1週前にウッドでユーキャンスマイルと併せ、最終も単走ながらウッドでしっかり負荷をかけてきました。

 息子の雄姿を特等席で観戦するために使われたダービー以外は大崩れなく走れており、休み明け2走目は(2,0,0,0)。クラシックホース不在のここなら台頭の可能性は十分にあるでしょう。

[3]⑥セファーラジエル(鮫島駿)

 クラシックには乗れず白百合Sを快勝するも、ここでの2着以下は未だに1勝クラスすら勝てておらずとてもリステッドのレベルではありませんでした。母ダークサファイアの兄弟はローガンサファイヤやコーディエライトなどマイル以下の実績馬が多く、父がキズナに替わり多少の延長は対応できてもここまで長くなるとプラスではなく、既成勢力を逆転できるかと言われると疑問符が付くところです。

[4]⑦ディープモンスター(武豊)

 幼さを残し、春先の連勝は素質だけでのもの。すみれSもフラフラしながらなんとか差し切ったというレースで、ダービーでは途中で行きたがってしまいレースになりませんでした。加えて調子の維持が難しく、エリカ賞以降の最終追いは坂路オンリー。しかしながら5か月ぶりの今回は3週連続でウッドで併せ馬。しかもいずれも騎手が乗り、2週前は小崎Jで52.2-12.1、1週前は荻野極Jで52.8-12.0、そして最終は本番にも騎乗する武豊Jを背に51.9-11.7。特に直近2週は仕上がり途上とはいえOP馬のソーグリッタリングと併せいずれも優勢でした。

 この中間は負荷をかけると同時に追走させることで折り合いを確かめる意図もあり、1週前こそやや行きたがったものの最終ではしっかり我慢を利かせて走れていました。距離延長の本番でも同様に抑えが効くかではありますが、ごちゃつきやすい春の2戦と違って馬群のばらける長距離戦の方がレースはしやすいタイプ。春の鬱憤を晴らすチャンスは十分にあると見ます。

[4]⑧エアサージュ(藤岡佑)

 夏の北海道で2連勝するも2戦合計で26kgも馬体を増やし、滞在競馬では体重増に苦労していました。在厩調整で太目残りは解消できそうと語っていますが、その割には直近で併せ馬を行った様子がないのが気になるところ。追い切り順調の実績馬も居る中で伸びしろでどこまで、という舞台になるでしょう。

[5]⑨ヴェローチェオロ(幸)

 前走の三田特別では向こう正面でラップが落ちたタイミングで押し上げていき、早めに前を動かしたことが好走に繋がりました。キレる脚に欠け勝ち切れないもののこうしたスタミナ比べでは良さを発揮できる馬ですが、デムーロJの好騎乗のおかげも大きかったです。兄弟にはハーグリーブスやベルクリアなどスプリンターがズラリと並ぶ血統で、本質的にはこの距離で良さを発揮とはなら無さそうで。

[5]⑩モンテディオ(横山和)

 ペースに応じたレースができるタイプで、2走前のルスツ特別では前傾戦を捲って①着、前走の神戸新聞杯は前半様子見ペースの中で2番手につけ粘り込んでの③着と高い自在性を見せています。ただ夏から使われ4戦目で、追い切りの動き自体は前回の方が良かっただけにそこからの上積みという点では少々物足りなさを感じる故。

[6]⑪ディヴァインラヴ(福永)

 前向きな気性にスピードがついて行かず春は不完全燃焼でしたが、距離を伸ばして2連勝。特に前走の木曽川特別は後半1200mにわたって11秒台が続く流れを3番手からしのぎ切っており、前半が緩みやすいこの舞台に求められるであろうロングスパートの能力を持っていると見られます。直前は3週にわたってウッドで併せ馬を消化し、最終も52.0-12.3と上々のタイムでまとめてきました。同型が多いのが鍵にはなりますが、後半の持久力勝負になれば牡馬相手でも伍せる期待はあるでしょう。

[6]⑫ノースザワールド(和田竜)

 アーリントンCでは前に居た馬が有利な展開の中で16番手を追走、直線だけで0.7差⑥着まで押し上げてきました。ここ2戦は後傾戦を捲り上げる形で連続②着ですが、2走前は菊花賞⑥着の実績あるロバートソンキー、前走もプリンシパルS⑤着のジャックドールと骨っぽいところに勝たれており、いずれも小頭数で前が残る展開だったことも考えれば負けて強しの内容でした。

 これまで最終追いはほとんど坂路でしたが、今回はウッドで負荷をかける形。中2週のローテも考慮し単走だったにもかかわらず、軽快なフットワークで外ラチ一杯を走って50.9-11.5と文句のつけられない内容。中京ダート1900mを勝ちレパードSでも④着と、最後の1Fがかかる展開を得意にしており、持ち味を発揮できる舞台と見ます。

[7]⑬アリーヴォ(M.デムーロ)

 前3勝はいずれも小倉でのもの。2走前は前が止まる流れで冷静に外を回し、前走は豪雨の中を内を巧く立ち回っての勝利で、小倉の勝ち方を知る川田Jらしい好騎乗が目立ちました。中京で負けた後小倉を勝ったとなると、二度坂を上るこのコースで伸びきれるかは微妙なところです。

[7]⑭ステラヴェローチェ(吉田隼)

 重賞2勝はいずれも不良馬場ですが、王道適性の求められるダービーでも0.2差③着と、バゴ産駒にしてはキレを持ち合わせているタイプです。流れとしては後半5~6ハロンにかけて11秒台のラップが続く根競べになりそうで、ダービーに近い展開と考えればこの馬に向きそうな舞台ではあります。

 ただやはり最終追いでヴェローチェオロに遅れたのは気になる部分ではあります。やればやるだけ時計が出るので意図的にセーブしたという考え方も当然できますが、相手は中2週でハードに追われていない条件馬と考えると馬なりであっても並ぶくらいはあってよいのでは、という感触ではあります。3勝は新馬戦と3か月以上の休み明けのもの。連戦よりフレッシュなローテーションの方が力を出せるタイプである点も、この臨戦で不安を抱かざるを得ない理由の1つです。

[7]⑮ヴァイスメテオール(丸山)

 前走のラジオNIKKEI賞では道中しっかりインをキープできたことに加え、直線でうまく前が開けたことが何よりの勝因でした。なし崩し的に脚を使う展開は苦手で、直線向いてスパッと伸びるレースが理想なため福島の短い直線ではどうかと思いましたが、労せずしてこれまでと同じような戦法が叶ったわけですから圧勝も当然と言えるでしょう。流石にここは最後の3Fだけで片付けるのは難しい舞台につき。

[8]⑯グラティアス(松山)

 前走のセントライト記念では直線から手ごたえが怪しくなり、左ムチで思いっきり右に寄れるなどお釣りを失くしたような負け方でした。加藤征師曰く「1コーナーで2頭(ワールドリバイバル、ルペルカーリア)に擦られて馬がエキサイトしてしまった」とのことですが、パトロールを見る限りあの程度の接触であればどんなレースでも起こり得るはずで、それを理由に走る気を無くすのではとてもフルゲートのレースなど走れません。やはり京成杯のようによほど恵まれない限りは今後も厳しいでしょう。

[8]⑰ヴィクティファルス(池添)

 前走のセントライト記念では意図的に控えていき、直線では内の渋滞の影響をもろに受けての⑤着ですから悲観する内容ではありません。但し最後の最後に前が開いたものの伸びたのは一瞬で、ゴール後の流しでも脚が余っている様子は感じられなかったので距離的には2000m未満の馬という印象です。

[8]⑱オーソクレース(ルメール)

 前走のセントライト記念は8か月の骨折休養明け。混雑を避けた分の3着でしたが、直線で案外なのはランドオブリバティが突然消えて進路が出来たのに伸びきれなかったホープフルと相変わらず。ひと叩きされ追い切りの動きは良化しているものの、キレで勝負するタイプではないので追って案外なのは変わらないでしょう。

 ただその分距離延長はプラスに出る可能性があり、母が宝塚記念を制していることを考えても底力勝負になれば大崩れはしなさそう。それだけに、この大外枠はやはり痛恨と言わざるを得ず…「18番、アリガトウゴザイマース」ということになる可能性が。

<予想>
◎ディープモンスター
○レッドジェネシス
▲ノースザワールド
△ディヴァインラヴ
△オーソクレース

2021年10月23日土曜日

【10/23(土)予想】富士Sの全頭評価

[1]①ソングライン(池添)

 前走の関屋記念ではスタートでクリスティが切れ込んできた時に怯んでしまい、道中はカラテに蓋をされる格好。加えて直線では上位勢と内外で離れてしまい、伸びる馬と併せる形を作れず目標を失った結果伸びあぐねてしまいました。

 こういう馬は相手が強く直線びっしり追う形を作った方が自身の力を出せ、メンバーの揃ったここも相手なりのレースはできるでしょう。但し最内は最悪の枠で、思い切って下げて大外を回すような奇策を取れれば話は別ですがまともに馬群の中でレースをしようとすれば、桜花賞の時のように自滅の可能性もはらむと見ています。

[1]②ザダル(石橋脩)

 前走の新潟記念時の見解が下記。

 ローテありきで間隔の詰まった菊花賞以外は崩れずに走れており、今回も2か月の休養ののち先月中旬に帰厩。その時点ではまだ手塚厩舎の管理下でしたが順調に登坂を重ね、大竹厩舎に戻った1週前には南DWで併せ51.6-11.5をマーク。但し、前走のエプソムC(①着)時は1週前の時点で同じ南DWでの併せ馬で50.6-11.8で走っており、自動計時が導入されて以後の時計の出方を考えれば一回りから二回りは物足りない数字です。直前は輸送を考慮しての軽めと割り切っても、斤量が57.5kgに増えることも加味すると前走以上とは?

 結果として見せ場を作れず⑬着。調教に原因を求めるとすれば、今回の最終追いは前走以上に時計が出ておらずここでの上積みは見込め無さそうです。

[2]③マイラプソディ(武豊)

 3歳以降は重賞では歯が立たず、OP特別で善戦するのがやっとという現状。スピードの絶対値で勝るタイプでもない以上この路線で重賞のメンバーに入ると分が悪いというのが正直な感想です。

[2]④バスラットレオン(坂井瑠)

 発馬が決まれば間違いなく強いのですが、NHKマイルCの落馬以降躓くようなスタートが続いているのが不安材料。それでもダービーのように被されない外目の枠ならまだリカバリーも効くのですが、この枠では出遅れは致命傷になりかねません。調教で動くのはいつものことで状態自体は型通りに上向いていますが、逃げを志向しない(=馬の持ち味を発揮することより作戦に忠実な)坂井Jへの手替わりという点でも強調はしにくく。

[3]⑤ロータスランド(田辺)

 時計のかかる展開で好走していた馬で前走の関屋記念ではワンターンの競馬での追走力を疑問視していましたが、好位のインをがっちり確保しペースが流れても対応を見せました。良馬場発表ながらレースの上りは34秒台で、対応できる水準にあったことも大きかったでしょう。

 今回も良馬場ながら昨日までの雨が残るコンディションであるうえ、適度に使われてきたAコースなので極端な上り勝負にはなら無さそうで好走可能な舞台と見ます。但し、外差しの傾向が出てきている点は気がかりで何かに負ける可能性はあると見ています。

[3]⑥ハッピーアワー(荻野極)

 今年は走るたびに着差を詰めておりこの馬なりの復調はうかがえますが、ゲートに難がある上使える脚が一瞬で東京向きのタイプではないでしょう。最終追いをポリトラックで済ませている点からも上積みは見込みにくく。

[4]⑦タイムトゥヘヴン(柴田善)

 2000m以上でピリッとしないレースが続いていますが、3走前のNHKマイルCの内容は評価できるものでした。直線でソングラインとの進路取りに敗れて内に切り替える形になり、デムーロJ曰く「まだこの馬には馬ごみに突っ込むメンタルがない」とのことで不本意なレースでしたが、この距離での適性は示してくれました。

 元々セントライト記念で好走できていれば明日の菊花賞を視野に入れていたはずで、同じスケジュールでの転戦につき追い切りも2週連続でウッドで併せ馬を消化。前走以上の動きを見せており出来も不安なしとなれば、ちょうどいい中枠からポジションを取って見せ場を作る可能性は十分でしょう。

[4]⑧ラウダシオン(M.デムーロ)

 流石に前半が33秒を切ったセントウルSは流れが忙しく、この馬向きの展開にならなかったのが災いしました。京王杯SCを快勝したように欲を言えばベストは1400mですが、ワンターンかつ広い東京コースはこの馬に合っており、好位外目を取れそうなメンバー構成でもあるここは見直せるはずです。

[5]⑨ダーリントンホール(横山武)

 正月の中山金杯以来の実戦ですが、じっくり乗られ調教量としては十分でしょう。但し時計面を見れば前走の方が明らかに動けており(紙面上同水準も自動計測前後では1枚ほど時計が違う)、仮に従前の出来だったとしても共同通信杯でスタートでぶつけられて以降発馬でふらつき位置を下げてしまっている点から後手に回る可能性が高く、この距離の重賞では致命傷になりかねません。

[5]⑩アルジャンナ(ルメール)

 マイラーズCは不利こそありましたが後方有利展開だったことも事実で、前走のエプソムCは好位のインで折り合い直線ではしっかり前が開いたにも関わらず見せ場なしの⑩着。加速にもたつくところがあるので東京マイル自体は良いのですが、パンパンの良馬場が理想なタイプで雨上がりの乾燥途上の馬場では前走同様案外な結果も考えられます。

[6]⑪ボンセルヴィーソ(内田博)

 ここ4戦は距離短縮もあり、前半が33秒台で流れるレースが続いていました。この馬の好走パターンは最低でも前半は34秒以上、できれば35秒くらいでゆったり運べるペースが理想で、シーズンズギフトが暴走した昨年以外は凡そ35秒前後の入りが多いこのレースでならスンナリ先行は叶いそうです。但し、昇級後の良績は右回りに集中しており、大箱の東京では1400mが理想というのもあり能力全開となる適性からはやや外れている印象です。

[6]⑫フォルコメン(大野)

 気性面の課題から3走前の節分S後に去勢を敢行。馬体はそれなりに減っているもののレース自体は進境が窺えます。但し復帰後の2戦も割とメンバーには恵まれた方で、前走の納屋橋Sでも骨折明けのサルファーコスモスに0.1差と迫られての辛勝で、そのサルファーコスモスが秋華賞で見せ場なく敗れたのも含めて、ここでどうかというのはまだ測りにくいです。

[7]⑬ソーグリッタリング(三浦)

 勝ち切れない代わりに大崩れもしない馬でしたが、ここ2戦は1秒以上の大敗。爪不安で半年ぶりのレースになりますが、最終追いでは先行しながらディープモンスターに手ごたえで見劣り先着を許す内容。まだ復調途上というのは否めないでしょう。

[7]⑭ワグネリアン(福永)

 大阪杯以降を休養に充て半年ぶりのレースですが、元々東京では①①⑤③と堅実に走っています。気のいいタイプにつきこの距離短縮も好材料で、休み明けも問題ありません。最終追いは坂路で53.3-12.5をマークしましたが、7か月半ぶりだった2走前の京都記念⑤着時が55.0-12.8の最終追いだったことを思えば状態はそれより上で、久々の得意コースで割り引く材料もないとなると上位候補に。

[8]⑮サンライズオネスト(丸山)

 血統的に東京マイルは合うはずなのですが、この馬の場合遠征競馬で勝ったことが無く全4勝は全て阪神or京都でのもの。いきなりの重賞が過去2回着外の東京で、それなりに同型もいるここで外枠となると超えるべきハードルは多いです。

[8]⑯ダノンザキッド(川田)

 皐月賞ではアサマノイタズラ(というかそれを御せなかった嶋田J)に絡まれマイペースでのレースが叶わず⑮着大敗。前向きさがある上、短距離の才能を開花させることには定評のある安田隆厩舎ですからこの距離延長は吉と出る可能性が高いと見ます。

 但し、パフォーマンスとしてはホープフルSが一番高かったという印象で、2歳の秋にドカンと体重が増えた辺りからも3歳以降は促成栽培のツケが回ってきている感も否めません。どこまでの伸びしろを見せられるか今回は試金石の一戦と見ます。

[8]⑰サトノウィザード(戸崎)

 前走の関越Sは大外に持ち出して長くいい脚を使いましたが、本来オープン特別ともなれば前にもう少し強い馬がいることが普通で、あれで間に合ったというのはメンバーレベルもさほど高くなかったことも影響していると見ます。事実関越S組でその後馬券になったのは障害入りしたアメリカズカップのみで、あのレースの価値を高くは見積もれないとなると東京新聞杯の内容からはここでは届かせるのは難しいと見ます。

<予想>
◎ワグネリアン
○ロータスランド
▲タイムトゥヘヴン
△ラウダシオン
△ソングライン
△ダノンザキッド

2021年10月17日日曜日

【10/18(日)予想】秋華賞の全頭評価とねらい目レース(オクトーバーS)

■阪神11R

[1]①スルーセブンシーズ(大野)

 前走の紫苑Sでは窮屈なコース取りから最後に脚を使って②着。オークスのパフォーマンスからは物足りないという判断でしたが、坂上からの伸びはお見事でした。ドリームジャーニー産駒らしく小回りコースでこその馬と見るべきだったかも知れませんし、オークスの敗因を距離に求めるのか中7週という過去最短のレース間隔だったのかという考え方もできます。テンションに課題を残す馬で、今回は中4週というレース間隔と初めての輸送をいかにこなすか、不安要素も少なくない状況です。

[1]②ステラリア(武豊)

 前走のオークスでは大外枠で壁を作れず、出がけから掛かってしまい直線で失速。スタート後の先行争いをどうやり過ごせるかがポイントなのですが、2走前の忘れな草賞ではスタート後に囲まれそうになり、11頭と落ち着いた頭数ながら福永Jは早々に外に出してスムーズなレースに導きました。器用さに欠け馬群の中でレースがしにくい一方で折り合いの課題を抱えるという難しい馬で、理想は小頭数の中枠。多頭数の内枠では囲まれてパニックになる懸念が大きいです。

[2]③クールキャット(和田竜)

 直前の追切は意欲的な内容でしたがそれはオークス時も一緒。やはり不器用さ故多頭数の内枠では上手く立ち回れずというここ2戦の内容からは、引き続いての内枠で前進の期待は薄いと見ます。

[2]④ソダシ(吉田隼)

 前走の札幌記念では古馬を向こうに回しての快勝でしたが、52kgという軽量、本調子とは言い切れない他の有力馬、ブラスとワンピースのまくりで動き出しが早かったレース展開とすべてが噛み合ったという見方もできます。桜花賞が強い内容だったことも思えば本質的には1800m位までがベストな馬で、最後の坂がどうかというところも考えると勝ち切るまでは?

[3]⑤エイシンヒテン(松若)

 前走のローズSは距離を不安視されたのか誰も鈴をつける馬がおらず、牝馬の中距離戦らしく他の馬が追い出しを我慢した結果残せる流れが出来たという形でした。とはいえソーヴァリアントに早めに来られた藻岩山特別を除けばこの距離で②②着と結果を残せており、そのいずれもが後傾戦。阪神芝2000mはスタート直後に坂を上るコースレイアウトから前半が落ち着きがちで、マイルならともかくこの距離ならソダシもギリギリまで追い出しを待つはずで、内が渋滞しそうなこの舞台なら残り目に注意が必要でしょう。

[3]⑥スライリー(石川)

 スムーズならしぶといですが折り合い面の不安が大きく、前走の紫苑Sは単騎の2番手を追走するも4角で手ごたえが怪しくなり大敗。デビュー時からむしろ馬体を減らしており成長力という観点からも推しにくい状況です。

[4]⑦サルファーコスモス(川田)

 エルフィンS勝利後骨折で戦線離脱。前走の納屋橋Sで7か月ぶりの実戦を②着しての臨戦ですが、その前走は直前を芝コースで追ったのに対して今回は坂路とウッドでしっかり負荷をかけられています。1週前にはウッドで併せ馬を消化し53秒台と上々の出来。相手も強化されますし距離も未経験ですが、全兄コズミックフォースはダービー③着と血統的な裏付けは問題なし。但し今年の3歳世代がG1含めバンバン古馬戦を勝ちまくっている現状にあって、いくら休み明けとはいえ前走を取りこぼしたのは少々不満で、春の勢力図を逆転出来得る存在なのかと言われると?

[4]⑧エンスージアズム(岩田望)

 前走のローズSでは馬群の中でも落ち着いてレースが出来たことは収穫でしたが、伸びない内に入ってしまったこともあり追われてからは案外でした。ポジションを取るレースが理想ではありますが陣営は今回控える戦法を示唆しており、馬の持ち味を活かし切れない懸念があります。

[5]⑨アンドヴァラナウト(福永)

 2走前の出雲崎特別は直線で行くところ行くところ前が塞がり、まともに追えた最後の400mだけでアッサリ抜け出す強い内容でした。前走のローズSではスロー見込みで折り合えるかが鍵でしたが、スパークルの後ろで折り合わせた福永Jの我慢が奏功。完勝と言っていい内容で、精神面の成長も窺える一戦でした。

 ただエアグルーヴの一族は左回りでパフォーマンスを上げる馬が多く、G1級の馬はビッグレースが東京に多いのでともかくとしてブレスジャーニーやグルーヴィット、昨日の白秋Sを勝ったスカイグルーヴなど条件~重賞クラスでもその傾向が強く出ています。右回りに変わる今回でパフォーマンスが上がるかと言われると難しいところで、通用の素地は認めますがセンスの良さでどこまで、という舞台になるでしょう。

[5]⑩アールドヴィーヴル(松山)

 前走のローズSは4角でタガノディアーナに寄られ、直線半ばまで窮屈なポジションに入ってしまい満足に追えませんでした。そこでスッと動けないあたりも含めて大箱コース向きの馬で、能力は認めても内回りの本番でも同様の懸念は残ります。馬体を気にして中間もあまり攻められていない点も気がかりで、ローテありきのクラシックではなく体調に合わせてレース選択のできる今後の方が伸びしろを見せてくれそうです。

[6]⑪ユーバーレーベン(M.デムーロ)

 前走のオークスでは向こう正面で思い切って外に出し、4角で既に先団の外目あたりまで進出できたことが勝因でした。長く良い脚を使えるこの馬の特性を鞍上が把握しており、脚を余さずに走り切ることができました。ここにサトノレイナスが居たらどうかというレースではありましたが、勝ちに行くレースをして勝ち切った内容は十分に評価できるものでした。

 但し周知のとおり屈腱周囲の炎症で一頓挫があっての直行で、陣営も「何とか間に合った」という点を認めています。加えて長くいい脚を使いたい馬で、阪神内回りもプラスとは言い難く。

[6]⑫アカイトリノムスメ(戸崎)

 オークスでは内に押し込められ4角で位置を下げたうえ、伸びない内を通っての2着ですから一番強い競馬をしたと見ます。立ち回りの良さがセールスポイントでもう少し内に入っても良かったくらいですが、小回りコースはこの馬の良さを活かせる舞台でしょう。1週前にはウッドで50秒台の好時計をマーク。戸崎Jなので馬群にこだわり過ぎるきらいはありますが、うまく捌いてこられれば自ずから上位候補でしょう。

[7]⑬ホウオウイクセル(丸田)

 元々桜花賞の時もゲート内の駐立が怪しく、前走の紫苑Sは最悪のタイミングでゲートが開いてしまい走り出す前から終了、というレースでした。立ち回りが上手くここでも内に潜り込めれば、という魅力はありますが、この外枠でゲートにも不安を残す現状となると…

[7]⑭ファインルージュ(ルメール)

 前走の紫苑Sでは状態面の不安も無く、2000mを克服しての快勝。今回は最短間隔となる中3週のローテーションですが、天栄仕上げが前提の木村師時代と違って岩戸厩舎であれば調整の不安も軽減されると見ます。


 先週の東京戦で②着したランドアーティスト(木村厩舎からの転厩馬)。この馬は昇級後間隔が詰まると駄目だったのですが、転厩2戦目の前走で中2週のローテを克服しての好走。中間も2週連続でウッドで併せ馬を消化するなど意欲的な内容ながらしっかり走れており、個体差はあれど少なくとも岩戸厩舎自体が間隔詰まった臨戦を苦手にする様子は見当たりません。木村厩舎時代からついている担当も「春は調整を上手くできず馬にかわいそうなことをしてしまった」というコメントがあり、今回は短期放牧を挟んだのち2週連続でウッドで併せ馬を消化しており調整に不安は見受けられません。

 サトノレイナスの回避によってルメールJに手綱が戻ることになりましたが、ソダシと併せると分が悪いことを理解しており「離れた外を差したい」とは鞍上の弁。ごちゃつきやすい内回りの性質を考えれば戦法としてもベターで、輸送をクリアさえすれば逆転もあり得る馬と見ます。

[8]⑮アナザーリリック(津村)

 アネモネSから桜花賞への臨戦を断念したように、間隔が短いと仕上げにくい馬なので中2か月半という点は問題ありません。但し、見せ場なく⑦着に敗れたNHKマイルCの時同様に一杯に追っても脚色で見劣りする最終追いで、出来は前走の方が上だったことも考えればここでパフォーマンスを上げてくる望みは薄で。

[8]⑯ミスフィガロ(藤岡康)

 前走の紫苑Sは縦長の馬群になり4角でスムーズに外に持ち出せた分、終いをしっかり活かす自分の形に持ち込むことが出来ました。前の2頭が飛ばしたことを思えば実質的にはさほど速いペースではなく、開幕週で内前天国だったことも加味すれば着順以上のパフォーマンスと言ってよいでしょう。ただ輸送があるわけでもないのに最終のポリトラック追いは前走よりも控えめで、やはり馬体細化を懸念しての調整にならざるを得ない点は引っかかるところで、前走以上の出来となると疑問符が付きます。

<予想>
◎ファインルージュ
○アカイトリノムスメ
▲ソダシ
△アンドヴァラナウト
△エイシンヒテン
△サルファーコスモス


■東京11R アトミックフォース

 枠順に関わらず好位を取れるかが好走のカギを握る馬で、前走は長い直線を意識してか控えてしまったことが結果的に逆効果となってしまいました。コンビ3勝の田辺Jに手綱が戻る今回はパンサラッサあたりを行かせてのレース運びが出来そうで、自分の形で勝機に持ち込めるチャンスと見ます。