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当ブログは、広尾サラブレッド倶楽部株式会社様のご厚意により、同倶楽部の所有する競走馬の写真及びWebサイト記載情報の転載許可を頂いております。

2024年6月23日日曜日

【6/23(日)予想】宝塚記念の全頭評価

■京都11R/宝塚記念

[1]①シュトルーヴェ(レーン)

3連勝でG1初挑戦。緩い流れの上り勝負に強く、その点逃げ馬不在の今回のメンバーは展開が向きそうなのですが、いかんせん京都の2200mコースとなると4角から脚を遣わないと差し勢は厳しいです。加えてこれまでで最長距離の輸送となる点も未知数で。

[2]②ジャスティンパレス(ルメール)

パレスルーマーの仔は時計のかかる馬場が得意ではなく、前走のドバイシーマCも日本との芝の違いもあってか④着に敗れています。尤も、国内でもクラシックディスタンスでは善戦どまりで勝ち切ったのは長距離戦という戦歴からも中距離の純粋な切れ勝負では分が悪く、不器用さを補える大箱もしくは長距離で台頭するというタイプであることを考えればここで強くは推しにくいのは事実です。それでもこのメンバーなら外せはしませんが…

[3]③ベラジオオペラ(横山和)

前走の大阪杯はインが生きる舞台で好位を立ち回れたことが大きく、デビューから1800m戦を3連勝してきた内容からも本質的には1600~2000mが守備範囲の馬とみています。距離延長に加え馬場の悪化が予想されるこの舞台条件はプラスとは言えずで。

[4]④ドウデュース(武豊)

重馬場では(0,0,0,2)。ただし何れもロンシャンでのもので、単純に馬場が合わなかったというのが正しいでしょう。昨年の有馬記念、またその前の勝ち星である京都記念ではいずれも展開不利をものともしない勝利で、現状このメンバーでは力が抜けていることは事実です。本来は位置を取りに行っても差し支えないタイプですし、マイルG1を勝っているように機敏さも備えているとなればこのコースでは信頼度が高い存在と言えます。

[4]⑤ディープボンド(幸)

このコースでは2020年に京都新聞杯を勝っており、前走の天皇賞③着が示す通りタフな展開も向いています。ただ、それなりに流れての体力勝負ならよいのですがスローのよーいドンのレースになってしまうとそこまでの上りを繰り出せないだけに、馬場が重くなった時の抑え要員でしょうか。

[5]⑥ヒートオンビート(坂井)

もともと使える脚が長くないため、前走の目黒記念のようにギリギリまで我慢して脚を遣わせないと止まってしまいます。その前走は詰まった結果の⑦着でそれ自体は度外視できますが、京都でそのような乗り方はできないだけに。

[5]⑦プラダリア(池添)

4角から加速して前をとらえるレースが合っており、京都で重賞2勝という実績も頷けます。3歳時に勝った青葉賞も、大逃げを打ったディライトバローズのおかげで前傾ラップになってはいますが実質的には3角から動き出すレースで、この馬の良さが活きた形になったのが大きかったです。ただ、気性の勝ったタイプで前走の大阪杯は距離短縮で見せ場を作れるかと思いましたが⑥着。さらにメンバーが強化されるここでは。

[6]⑧カラテ(岩田望)

重賞3勝はいずれもワンターンのコース。得意なはずの新潟でも見せ場を作れなかった現状に加え、爪が伸びやすく夏場は調整が難しいタイプでもあります。かつての坂路番長もここ最近は平凡な調教タイムに終始している点からも、ピークアウトの懸念は拭えません。

[6]⑨ソールオリエンス(横山武)

前が止まって一網打尽にした皐月賞以来勝てておらず、負けて強しといえるレースも3走前の有馬記念まで。年明け2戦は成長力の乏しさを示す内容で、母スキアの仔は4歳秋に富士Sを制したヴァンドギャルドを除き古馬になり尻すぼみで終わった馬ばかり。ここから再度日が昇るというシナリオは現状では描けません。

[7]⑩ローシャムパーク(戸崎)

2走前の香港Cで日本馬2頭に大きく後れを取った⑧着という内容からも、現時点では力の差があると言わざるを得ません。大阪杯はメンバーに恵まれた中での②着で、そこからさらにメンバーが強くなるここでは。

[7]⑪ヤマニンサンパ(団野)

前走の鳴尾記念は前が流れて差しが利く展開になった中での④着。OP特別でも足踏みが続く現状ではここを正攻法で勝つのは苦しいでしょう。尤も、思い切りのよい鞍上だけに逃げ馬不在のこのメンバーで主導権を握るようなレースに出れば話は別ですが…

[8]⑫ブローザホーン(菅原明)

ここ2戦は長距離戦を使われてきましたが、いずれも折り合いの不安がある中で③②着と健闘を見せました。日経新春杯を完勝しているように本質的にはこのくらいの距離が向いてもおり、このコースで道悪を勝った経験もあり。キレが求められない舞台条件であれば警戒必要でしょう。

[8]⑬ルージュエヴァイユ(川田)

川田Jは勝率を重視するタイプのため、たとえG1であっても縁がなかったり望みがなかったりする馬には基本的には乗りません。この春は騎乗経験があったり縁の深い中内田厩舎ということでG1の乗鞍が決まっていましたが、今回は特にめぼしいお手馬がいない中で関東馬でテン乗りのルージュエヴァイユを選択。このパターンで思い起こされるのは2021年に安田記念をダノンキングリーで制した時です。当時もテン乗りの関東馬、同じ馬主のダノンプレミアムがいるにも関わらずこちらを選択したのには様々な憶測が飛び交いましたが、終わってみれば川田Jなりに勝つための選択をしたというわけでした。この中間は坂路で抑えきれない手ごたえで余裕の登坂。前走の大阪杯は本来の形ではないイン強襲で③着と健闘しましたが、前が残す流れを考えれば最も強いレースをしたと言ってよく、外差しバイアスが生まれつつある最終週の京都ならむしろこの枠の方がレースしやすいでしょう。

<予想>
◎ルージュエヴァイユ
○ドウデュース
▲ジャスティンパレス
△ブローザホーン

2024年6月22日土曜日

【6/22(土)予想】ねらい目レース(青函S/天保山S/京都8R)

■函館11R/青函ステークス カワキタレヴリー

1200m戦に転じて⑩⑩⑦着と着順こそ冴えませんが、着差・走破時計ともに走るたびに詰められており適応を見せています。前走の春雷Sは外差しの高速決着を内を突いて追い上げての0.3差⑦着。外枠を引いた今回は被されずに運べそうで、スムーズに脚を使えれば通用可能でしょう。


■京都11R/天保山ステークス メイショウテンスイ

脚抜きの良い馬場が向いており、重馬場以下なら(3,1,2,2)とハイアベレージ。サマーチャンピオンで③着があるように暑い時期も向いており、スンナリハナに立てそうな内枠変わりも好都合。外にはピンシャンがいますが以前ほどのテンの速さがない現状では競りかける可能性は低そうで、斤量も落ち着いたここはチャンスと見ます。


■京都8R ナッカーフェイス

一本調子なところがあり、押し引きの必要ないワンターンが向いているタイプ。かつテンションが高くなりやすいため、距離短縮ないしは流れが速くなりやすい時の方が好走しやすいという現状です。3走前の1勝クラス戦もワンターン替わり+距離短縮でインを立ち回って③着に食い込んでおり、今回は距離こそ一緒ですが脚抜きの良い馬場で流れが速くなることは必至。気性的にいきなりも問題なく、スタートさえ決まれば食い込み余地はあると見ます。

2024年6月16日日曜日

【6/16(日)予想】マーメイドSの注目馬

■京都11R/マーメイドステークス ファユエン

最内を引いたベリーヴィーナスは何としても行きたいところですが、すでにハイペース逃げが板についたアリスヴェリテも50kgと来ればそう簡単には引いてくれないでしょう。全体の流れが速くなり前が早めに押し出される展開になると内では渋滞が発生し、外目をスムーズに回った馬が台頭する目が浮上してきます。

ファユエンは道中置かれるところがあり、本来はコーナー4つの小回りがベター。前走の新潟大賞典は牡馬相手、必ずしも得意とは言えないワンターンで0.6差の⑥着と健闘を見せました。気温の上昇とともに調子を上げるタイプでもあり、牝馬限定かつ外差しの期待値の高いこの舞台でこそ改めて狙いたいです。

2024年6月15日土曜日

【6/15(土)予想お休みします】

今週外出につき、今日の予想はお休みさせていただきます。現地行かれる皆さんは暑さにご注意くださいませ。

2024年6月9日日曜日

【6/9(日)予想】エプソムC・函館スプリントSの注目馬とねらい目レース(東京12R)

■東京11R/エプソムカップ セルバーグ

前走の新潟大賞典は出だしで躓いたことが全て。この馬の場合、開幕週のきれいな馬場を利して逃げ切るというよりはコンディションに関わらず自分の形に持ち込めるかが鍵となるため、めぼしい同型がシルトホルンしかいないここは再度期待をかけられる舞台と見ます。多少の出負けもリカバリーできるワンターンの大外枠はかえってプラスで、流石に前走のあれがあっても継続して丸山Jを配してくるとなれば作戦は決まったも同然。これでダメなら仕方ありません。


■函館11R/函館スプリントS カルネアサーダ

ペースガン無視で逃げてくるであろうアサカラキングの外を引けたのは僥倖で、前走の春雷Sは番手追走から1.07.1の高速決着を0.1差の④着と健闘したようにこちらは元々逃げなくていいタイプ。大外枠+差し決着を先行した昨年のこのレースは度外視できるうえ、福永厩舎への転厩を機にこの馬もまた気持ちの面の成長が見られフラットコースでの動きが良化。福永師を「目標とする騎手」に挙げていた鮫島駿Jの管理馬初騎乗。燃えないわけはないでしょう。


■東京12R カルツァクライン

新馬勝ちの後腱鞘炎での離脱を挟み、前走の1勝クラス戦は7か月ぶりの実戦。ゲートでソワソワしスタートで後手、おまけにスローペースで33秒台の脚を遣っても追いつけない流れで⑩着と色々向きませんでしたが、モタレ癖からデビュー時に着けていたブリンカーも外して走れるなど心身の成長を感じる内容。新馬戦ではエコロブルームを下すなど素質は確かで、その新馬勝ちしたマイルに戻るここは見直せる舞台です。

2024年6月8日土曜日

【6/8(土)予想】ねらい目レース(函館日刊スポーツ杯/京都4R)

■函館11R/函館日刊スポーツ杯 ニシノコウダイ

1Rの未勝利戦が1.07.9の逃げ切り決着と、ご多分に漏れず高速決着の函館開幕週。今回のメンバーで1分7秒台で勝ったことがある2頭のうち、ナリタローゼの勝った未勝利戦はインが悪く外枠でかえってスタートが決まった分の逃げ切りと恵まれた形。ならばHペースながらあわや前残りという流れを差し切って1.07.9のタイムを持つニシノコウダイを上に取りたいです。激化する先行争いを尻目に外目をスムーズに運べれば搔っ攫うシーンもあるでしょう。


■京都4R ムーンセット

1200m戦に慣れてきたかと思ったところで、2走前はデビュー週の吉村誠Jが伸びない内を突くチグハグな内容(あくまで判断ミスであって内を突く度胸自体は評価したいですが)で⑨着、前走はダートで大敗と噛み合わないレースが続いています。西塚Jはテン乗りですが既に昨年の15勝を上回る21勝を挙げており、勝率も倍以上と確変モード。連続開催で差しも決まる今の京都芝であれば見直す手も。

2024年6月2日日曜日

【6/2(日)予想】安田記念の全頭評価

■東京11R/安田記念

[1]①カテドラル(斎藤)

マイルで掲示板に入ったのは21年の京成杯AH①着が最後。他の馬が最後に止まる展開では強いですが、まっとうに流れる東京では厳しいでしょう。

[1]②ガイアフォース(長岡)

スピードに乗れるワンターンのマイルが一番合うタイプで、初ダートとなった前走のフェブラリーSでも②着と健闘しました。ここも舞台は良いですが、何せ長岡Jが重賞で馬券になるケースはぽっかり空いた内を差すか外を回して伸びてくるパターンのみ。インで我慢して最後にちょっと外に出す、というレースが出来ればよいですが、フルゲートでその難易度も高いとなると…

[2]③レッドモンレーヴ(横山和)

前走の京王杯SCは距離短縮で折り合えた部分が大きかったですが、休み明けの分もありウインマーベルを捉えきれず。叩いての上積みが見込める一方で、OP昇級後はマイルでは不完全燃焼のレースが続いており、上級戦に必要な末脚が溜まり切らないのだと推察されます。かといって雨が降るとダメなので…

[2]④ジオグリフ(北村宏)

相変わらず出来はいいのですが、関東圏で展開が向いたはずの中山記念で最後脚が鈍り③着という現状には皐月賞を勝って以降の成長が感じられません。ノドの不安を持つ馬でもあり、ルメールJも戸崎Jも他を選んだという時点で期待度もうかがい知れるだけに。

[3]⑤ナミュール(武豊)

前走のヴィクトリアMは少し伸びあがるようなスタートにもなり、位置取りを落とし⑧着。届かなかったのは仕方がないとはいえ、前にいたテンハッピーローズの方がいい脚を遣っていたとなると本調子ではなかったことが考えられます。中2週という臨戦過程を考えれば元々こうなることは織り込んでいたとも見え、中間は軽めも動き自体は問題ないように見えます。ただその前走のヴィクトリアM自体、ドバイターフからの中5週での参戦で中間は坂路2本のみという過程だったことを考えると良くも悪くも変わっていないわけで、良績が秋から冬に集中していることも考えるとこの時期の調整に苦労している可能性も考えられます。

[3]⑥ドーブネ(菱田)

前半4Fが47~8秒で流れれば残せますが、それより速いと止まってしまう現状。マイルのG1ではペースが厳しいでしょう。

[4]⑦[外]ロマンチックウォリアー(マクドナルド)

QE2を3連覇、昨秋はコックスプレートも勝利するなど今や香港最強馬と言える存在です。但し重賞タイトルは何れも2000m以上でのもので、マイル自体が約1年半ぶり。直前になって陣営は「宝塚記念は登録だけ」という趣旨のコメントをしていますが、本来1戦だけ使うならあちらの方が適鞍のはず。レース間隔や滞在馬房が使えるなどの理由でマイルを選択したのであれば、必ずしも額面通りの評価はしにくいかもしれません。

[4]⑧エアロロノア(幸)

前半が緩まないと好走できないのは相変わらずで、G3でもワンパンチ足りない現状では。

[5]⑨パラレルヴィジョン(ルメール)

中山マイルで連勝中ですが、ニューイヤーSは4角から突然雪が降り出した中でインが開いたもの、ダービー卿CTも渋った馬場での勝利で本質的にはキレ勝負は向かないタイプです。3勝クラス勝ちはダートでのもので、一雨降れば一考、と言ったところでしょうか。

[5]⑩ソウルラッシュ(モレイラ)

時計勝負は対応可能ですが、マイルでの純粋なキレ勝負では他に上りを使える馬が多くあと一歩という状況です。今開催の東京は比較的天候に恵まれたこともあり馬場の傷みは少なく、雨が降っても表面が荒れていないためそれなりに時計が出ることが想定されます。良馬場では善戦候補ですが、雨が降ればその分評価を上げてよいでしょう。

[6]⑪ウインカーネリアン(三浦)

前走高松宮記念は2番手追走から④着と頑張りましたが、内前有利の展開に加え渋ってもマイナスが少ない利点が活きた格好です。距離延長で前に行けはするでしょうが、キレ勝負の東京マイルは基本的には向かないだけに雨が降った時の押さえ候補でしょうか。

[6]⑫フィアスプライド(坂井)

前走のヴィクトリアMでは1400mに近いハイペースを好位3番手から立ち回り②着と、先行勢で唯一上位入線を果たしました。ただ最後の直線で右ムチが入るも右に流れていたように最後にやや苦しくなったのも事実で、ここ1年半ほど2か月以上の間隔で使われ続けてきただけにそこからの中2週は馬にとっては楽ではありません。最終追い後の木曜日に馬場に入らなかったあたりも、疲労の回復を優先していることが見て取れます。

[7]⑬ステラヴェローチェ(横山典)

前走の大阪杯ではG前で前を捉えきれず④着。決して速くない流れの中で位置を取りに行かず、直線でもインが活きるところを外差しして届かずというレースで、器用なタイプではないことは確かですが終始後手に回った印象でした。前走で一発回答した酒井Jを続けて乗せるのは理解できますがOP特別とは舞台が違うわけで、申し訳ないですがG1で買うべき騎手では無かったという話でしょう。ここは鞍上強化となり東京マイルも勝ち鞍がありますが、何せバゴ産駒だけにまっとうなマイルのキレ勝負では分が悪いので雨が降ってどこまで。

[7]⑭コレペティトール(岩田康)

マイルで勝ち切ったのは上がりの掛かる展開の時のみ。京都金杯のようにボコボコ掘れる馬場になれば話は別ですが、きれいな馬場では上りが足りないのが現状です。

[7]⑮[地]ヴォイッジバブル(パートン)

前走のチャンピオンズマイルではゴールデンシックスティに先着する③着と好走。このレース自体は内前有利展開で前々を立ち回ってのものですから過度な評価は出来ませんが、6歳シーズンになって1分33秒台で勝ち切るようになるなど充実ぶりが垣間見える近況。ドバイターフの大敗は直線で隣を走るキャットニップが落馬した際に右後脚を引っかけられたもので、遠征がダメというタイプでもないはずです。来日後はソフト調整に専念も環境の変化に対応できており、ロマンチックウォリアーと違って短距離が主戦場というタイプだけにここが本線。マイル適性だけなら逆転可能で、翻って日本馬がロマンチックウォリアーと勝負付け済と考えるならこの馬の方が上に来るケースも十分考えられます。

[8]⑯エルトンバローズ(西村淳)

元々左回りはスムーズでなく、ラチを頼らせて走らせたいのが本音。枠番決定後に杉山晴師が「どこかで内に入れたい」と言っていたのもそうした事情からでしょう。加えて今回は香港帰国後東京に滞在しての調整で、調教方法も芝ダートに限られる中調子を上げられているのかは怪しく。

[8]⑰セリフォス(川田)

前走のマイラーズCは+12kgと明らかに調整途上という仕上がりの中②着。中内田厩舎もこうした仕上げをするようになってきたのかと思いきや、師曰く「古馬になって良化がスローになっている」というコメント。どうやら思っていた通りの上昇カーブではなかった様子。それでもここに向けては軽めの調整ながら状態は良さそうで、あとは川田Jですら引っ掛かるくらいの前向きさを上手くコントロールできるかにかかっています。

[8]⑱ダノンスコーピオン(戸崎)

前走の京王杯SCでは復活の兆しを見せる④着でしたが、気性面の問題を抱えていたこの馬が中間ウッドで好時計を出せるようになっており転厩効果は大きいと思料されます。加えてこの中間は美浦滞在にもかかわらずわざわざ福永師が駆けつけ、前走同様に自ら調教をつける力の入りよう。復調気配を大いに感じる近況ではありますが、稍重は共同通信杯で⑦着、時計の掛かる香港でも1秒差以上で敗れている経緯からもキレイな良馬場でやりたいタイプなだけに。

<予想>
◎ヴォイッジバブル
○ソウルラッシュ
▲ロマンチックウォリアー
△パラレルヴィジョン
△ステラヴェローチェ
△セリフォス

2024年6月1日土曜日

【6/1(土)予想】鳴尾記念・アハルテケSの注目馬とねらい目レース(京都6R)

■京都11R/鳴尾記念 アウスヴァール

少々ペースが速くなっても行き切れた方が力を出せる馬。先行争いが見込まれるバビットは最近往時の行きっぷりになく、外枠を引いたエアサージュも前走で強引に逃げて止まった反省から無理に競り掛けることはしないでしょう。昨年の但馬Sではリューベック・ゼッフィーロと好走しており通用の素地はあると見ており、コーナー4つの平坦小回りは逃げ馬にとって絶好の舞台。先行力がモノを言う設定なら台頭可能でしょう。


■東京11R/アハルテケS サンライズジーク

前走の欅Sで長欠明けの1400mを叩かれてからの連闘。距離延長でスンナリ前に行けそうなうえ、このコースではユニコーンS②着を含む(2,1,0,0)と好相性。矢作厩舎の連闘策というだけでも警戒は必要ですが、気になるのはオシェアJが直前にはパライバトルマリンの追い切りに乗っていた点。今回三浦Jからの乗り替わりとなるわけですが、当人は前走乗っていた馬が2頭いる中でレオノーレを選択。パライバトルマリンが丸山Jということを考えればオシェアJが最終的にこちらを選んだと考えられ、鞍上の期待度も高いここは一発の気配。


■京都6R スライスヘリテージ

骨折休養明けですが、4歳で未勝利のため節があっても1勝クラスの馬が優先されることから「出られるところに出る」という出走戦略を採らざるを得ません。そのせいもあり前走は牡馬に混じってダート2400mを走るというかなりの無理筋ながら⑤着に踏ん張っており、2走前は今回と同じ牝馬限定の1勝クラス戦で0.4差の④着と現級でもやれるところは見せています。4月中旬に帰厩後は坂路主体の調整も、いつ出られるかわからない中で今の負荷の掛かる美浦の坂路で時計を5本消化できていれば十分。牝馬限定戦なら十分やれるはずです。

2024年5月26日日曜日

【5/26(日)予想】ダービーの全頭評価・目黒記念の注目馬

■東京11R/東京優駿(日本ダービー)

[1]①サンライズアース(池添)

前走の皐月賞は鞍上曰く「元気が良すぎて集中していない」とのことで、輸送で-10kgとなっていたようにまだ精神面の脆さを抱えている現状。元々勝った2戦とも4角先頭から流れ込む勝ち方で、最後の3Fでしっかり脚を遣えることが求められる東京は不向きでしょう。

[1]②レガレイラ(ルメール)

前走の皐月賞は上がり最速の33.9の脚を遣っても届かず⑥着。ただそもそも出脚が早くない馬であるうえ、周りの牡馬が前半57.5秒の超ハイラップを刻む中あの位置から差し切ろうと思ったら上りを33秒台前半でまとめなければならず物理的に無理な話でした。陸上200mで男女が一緒に走れば圧倒的に男子優位なのと同様に、ここは牝馬の性能限界だったと見ています。故にメイショウタバルが回避し乱ペースの目が無くなった今回は改めて本領発揮のチャンスで、ドスローにさえならなければ牡馬に混ざっても十分に渡り合えるはずです。

[2]③ジューンテイク(岩田望)

前走の京都新聞杯は②③着馬が1勝馬という低調なメンバー構成の中、3F目以降1600m通過まで12秒台が続く緩い流れをインから上手く抜け出したもの。実質2000m程度の勝ち方でしかなく、元々短めの距離で実績を上げていた点からもさらなる距離延長はプラスとは言えずで。

[2]④ビザンチンドリーム(西村淳)

皐月賞ではスタートで後ろ脚を突っ張ってしまい最後方から。ハイペースの中道中で取りつくために脚を使ったことに加え、4角ではレガレイラに弾かれたサンライズアースに進路をカットされミスステップする不運も。レガレイラ同様出脚が良くないタイプで、スムーズでも勝てていたかは微妙ですが少なくとも不完全燃焼のレースだったことは確かです。きさらぎ賞で評価すべきはメンバーレベルよりもあの絶体絶命の位置から差し切った爆発力。デビュー戦も阪神内回りのスローペースを4角8番手から差し切ったように、このコースで求められるギアチェンジ能力にも長けています。母父にジャングルポケットを持つ血統背景からも舞台適性が見込め、前走の敗戦を以て過剰に人気が落ちるようであれば狙いたい存在です。

[3]⑤ダノンデサイル(横山典)

京成杯は前が止まるタイミングをギリギリまで待って坂上でひと脚を繰り出した鞍上のファインプレー。左回りになればアーバンシックとの着差は逆転されると考えれば、使える脚に限りがある現状で序列上位の評価は難しいです。

[3]⑥コスモキュランダ(M.デムーロ)

アルアイン産駒らしく中山コースで④②②①②着と好成績ですが、実は他の産駒も含めて東京芝コースでは(0,1,0,23)と下級条件も含め全く勝てていません。父も現役時代のG1勝ちは皐月賞に大阪杯と上がりを求められない舞台でのもので、おまけにビッグレッドF育成とくれば東京でパフォーマンスを上げる期待はしにくいです。

[4]⑦ミスタージーティー(藤岡佑)

皐月賞はポジションを取りに行っての⑩着でしたが、上に菊花賞②着のサトノルークスが居るように本来は低速戦で力を発揮する血統。もとより中山の高速決着は向いていませんでした。距離が延びるここはレースはしやすくなるものの、勝ち切ったのは何れも10頭立て以下のレース。現状ではまだまだ成長待ちといったところです。

[4]⑧アーバンシック(横山武)

右回りだと手前変換が怪しく、皐月賞もコーナーリングで膨れなかなか手前を変えず。進路が出来てからの伸びは良かったですが、こういうタイプ故なし崩し的に脚を遣わされる展開は向いてなく④着は十分善戦の域でしょう。ウッドが左回りになるこの中間は手前変換もスムーズで51.7-10.9と上々の伸びをマーク。脚質的に外を回らされることは必然も、直線でしっかり脚を遣えれば最後は見せ場を作れるはずです。

[5]⑨ダノンエアズロック(モレイラ)

香港を離れ「渡り鳥」となったモレイラJにとっては、オーストラリアやヨーロッパでもそれぞれのシーズンに併せ転々とするために来日の際は都度短期免許の取得が必須となってきます。短期免許は基本的に「所属国での成績上位者」というルールですが、本拠を持たないモレイラJにとっては日本での成績要件(年間でG1を2勝以上)を満たすことが必要。加えて短期免許には制裁要件による制限があり、「累積制裁点が15点以上で翌年は最大2か月、30点以上は1年間申請不可」というルール。

(出典:Wikipedia)

JRAは公式に「各騎手の制裁点」は公表していませんが、制裁点の付与基準は上図の通り定められており制裁情報と照合すれば計算が可能です。元々ゴリゴリに馬を動かす反面際どい進路取りも多く、騎乗停止には至らないまでも細かな制裁を頻繁に受けており昨年は制裁点19点で既に今年は2か月までしか取得が出来ず。今年も既に13点まで来ており、過怠金3万円(斜行による進路妨害など)以上で来年の免許期間も2か月に短縮されるという状況です。

今回、モレイラJのお手馬として身元引受馬主である堀厩舎の2頭がスタンバイしていましたが、最終的にはプリンシパルSを勝ったダノンエアズロックを選択。というよりも、NHKマイルCでも過怠金を食らわされたゴンバデカーブースを避けたという考え方が正しいかもしれません。ゴンバデカーブースは気性面の問題もあり粗削りなレースしかできないタイプで、反面ダノンエアズロックはアイビーSでは先行競馬でレガレイラを封じたように安全運転の出来るタイプ。制裁点を貰うリスクを考えればこちらを選ぶのは正しい判断と言えます。但しアイビーSにしろプリンシパルSにしろ、スローの前付けから末脚を繰り出したまでのレースでありここで通用する内容とは言い切れず。

[5]⑩サンライズジパング(菅原明)

鞍上も語る通り緩い馬場は合わないタイプで、皐月賞ではその最内枠を引いてしまったことが仇となり⑨着。きれいな馬場は合いますが元々ダートで勝ち上がったように末脚を繰り出せるタイプではないだけに上がり勝負となると分が悪いです。そもそも芝を使い始めたのはJBC2歳優駿②着で中途半端に賞金が加算されてしまい(890万)、1勝クラスを勝った馬=900万が上位になってしまうため(3歳馬に2勝クラスができる来週まで)OP馬なのに出られるレースが無いという事情がありました。馬場が良くて上がりの掛かるのが理想となるとやはりダートの方が良いでしょう。

[6]⑪シュガークン(武豊)

2月デビューから4戦3勝。前走の青葉賞では乱ペースを落ち着いて進み、上りも33.9でまとめる優等生の競馬で勝ち切りました。この血統なので良くなるのは先なのでしょうが、3か月で4戦を消化してもなお走れる態勢にあるというのは相当なタフさです。ただその前走の青葉賞はパワーホールが飛ばしても前半が59.5とオーバーペースというほどではなく、シュバルツクーゲル以下の3番手集団は大体61秒くらいのスローペースと言っていいレベル。それを実質3番手のインから押し切ったとなると、後方外を回して②③着だったショウナンラプンタ、デュアルウィルダーの方が評価できるレースでありこの人気に見合うかと言われると…?

[6]⑫シックスペンス(川田)

3連勝とは言えスローの前付けでひと脚使ったに過ぎず、皐月賞回避は適性の面からも正解ではありました。ではダービーはどうかという話ですが、間隔を開けた割に1週前の木曜にウッドで併せ馬を消化してから金・土と馬場入りを控え、最終は坂路。国枝厩舎がこういう調整をするのは状態面に問題があるサイン(ウッドなら万全)ですが、そこは人気馬を預かる立場でもありコメントには出さず。背景的に人気するのは必至ですが、距離の裏付けも無くペース対応力も未知数。案外な結果になってもおかしくない存在と見ます。

[7]⑬シンエンペラー(坂井)

皐月賞は坂上で伸びあぐねた印象ですが、そもそも欧州血統にあのハイペースは厳しすぎました。距離が延びて本来の前付けが出来れば着は押し上げられそうですが、やはり本質的には上がりを求められると厳しいだけにコース替わりはマイナスと言わざるを得ません。

[7]⑭ゴンバデカーブース(松山)

爪に不安を抱えるうえノドの手術明けだった前走のNHKマイルCは最後に鈍ったものの④着と健闘。世の中的にはモレイラJが乗らないということで格下扱いですが、デビュー戦を逃げ切り、サウジアラビアRCをシンガリ一気で勝ったように思い切ったレースをしたいタイプで腹を括ったレースが出来れば見直せる存在です。中間の追い切りがずっと坂路だったので不安だったものの、最終追いをウッドで負荷をかけてきた点は好感で、あまり一か八かのレースをするタイプではない松山Jなだけにその可能性は低いですが、万が一逃げるor最後方からのレースをするようであれば見せ場も。

[7]⑮ジャスティンミラノ(戸崎)

皐月賞は異次元のスピード勝負となり中距離適性の差で押し切れた印象ですが、本来はスローでも折り合えるタイプです。距離延長自体は問題なく異なるペースを勝ってきている強みはあるものの、当時とは求められる条件が大きく異なります。まさかダービーが前半57秒台で後半も60秒を切る流れで走って来い、というレースになる可能性は少なく当時の実績で人気するのであれば疑ってかかりたいところで、1週前にしっかり負荷をかける友道厩舎にしてはその1週前追いが併走相手に見劣りかねない内容。皐月賞からの上積みという面でも強調はしにくく。

[8]⑯メイショウタバル(浜中)出走取消

[8]⑰ショウナンラプンタ(鮫島駿)

青葉賞はスタートから行きたがり向こう正面で壁が出来てもなお力みながらの走りでした。それでもホープフルSの時のようにコーナーで張る面は見せず、好位のラチ沿いを運んだシュガークンとは通ったコースの差が出た格好で②着とはいえ十分に評価できる内容でした。近年青葉賞組は本番で走れていませんが、高野厩舎は最近実戦を使って本番に向かい仕上げていくやり方を採っています。皐月賞③着からNHKマイルCを制したジャンタルマンタルにしても「皐月賞という最高の追い切りをした」と語り中間は軽めの調教で本番に臨みましたが、この馬にしても「前走の負荷をどう生かすか」をテーマに坂路で伸びやかなフットワークで運ばせることを念頭に調整を重ねています。ビザンチンドリーム同様にこの馬を評価したいのは「大箱向きのギアチェンジ性能」の高さで、前走時も取り上げた通り1秒以上の加速ラップに対応し差し切ったゆきやなぎ賞の勝ち方がまさにそれでした。乱ペースで早目に動き出さざるを得なかった前走は本来の姿ではなく、しっかり溜めて最後の600mで脚を遣うレースが出来ればもう一段の上昇があっても。

[8]⑱エコロヴァルツ(岩田康)

折り合い面に不安を抱えますが、そこさえこなせれば確実に脚は使えます。皐月賞にしてもレガレイラと並ぶ33.9の脚を遣い⑦着まで押し上げてきましたが、超Hペースでスムーズに運べた分もありました。折り合わなければいけない馬が距離延長で大外枠、さらにこの鞍上となると…

<予想>
◎ショウナンラプンタ
○レガレイラ
▲ビザンチンドリーム
△ジャスティンミラノ
△アーバンシック
△ゴンバデカーブース
△シンエンペラー
△シュガークン


■東京12R/目黒記念 ヒートオンビート

ジャスティンミラノの項でも紹介したように友道厩舎は1週前に負荷をかけ当週はサラッと、というパターンですが、この中間は1週前・当週と続けてウッドに入っておりそれほどまでに状態が良いことを示しています。坂を2回上る東京2500mは特集な条件で、過去このコースで(1,1,2,0)と舞台適性も文句なし。59kgも昨年のアルゼンチン共和国杯で経験(③着)済で、この低調メンバーなら。

2024年5月25日土曜日

【5/25(土)予想】葵Sの注目馬とねらい目レース

■京都11R/葵ステークス エポックヴィーナス

今年に入ってからの京都芝1200m戦は一部のスローペース戦を除きほとんどが差し決着となっています。ここもピューロマジックやジョーローリットといったスピードタイプのハナに立ちたい馬が揃っており平均以上の流れは必須。中団以降から運べる馬を選びたいところですが、基本的にスプリントは前に行けないとダメという馬ばかり。であればここは別路線組で一番強いレースをしているエポックヴィーナスから行きたいです。

2走前のチューリップ賞は直線で行くところ行くところ詰まってしまい脚を余しての⑤着。前走のフローラルウォーク賞は一気にスローペースに落ち折り合いが懸念されましたが、外の2番手からしっかりと折り合い完勝と言える内容でした。ここは距離短縮で位置取りは落とすでしょうが、むしろ中団から脚を遣う流れになれば自分のタイミングで追い出せるいい位置に収まりそうです。スウィープフィートがクラシックで善戦したことからもチューリップ賞だけ走れればここでは上位のハズ。


■東京11R/欅ステークス レディフォース

コーナーリングに難があり大箱の外枠が理想という馬。前走の黒船賞はよりによって高知コースの最内枠を引いてしまい④着、2走前の秋嶺Sもすぐにコーナーが来る東京1300mコースの最内枠を引き⑧着と敗因はハッキリしています。大外枠では(2,0,0,0)と結果も出しており、絶好条件のここは変わり身期待です。


2024年5月19日日曜日

【5/19(日)予想】オークスの全頭評価

■東京11R/優駿牝馬(オークス)

[1]①ミアネーロ(津村)

ダートに活路を見出したミファヴォリートを除きミスエーニョの仔(娘)は極端な早枯れ傾向が強く、姉のミスエルテ・ミアマンテは2歳に2連勝したのを最後にサッパリ。ミカリーニョ・ミディオーサも3歳夏に1勝クラスを勝ったまでで引退しており、完成度の高さでキャリア前半に最高打点を叩き出すタイプが並びます。ミアネーロの前走フラワーCにしても、中団のインを立ち回り直線で最内から進路を作って伸びてきたまでで、外を伸びた②③着馬の方が見どころのあるレースでした。ここからの上昇が見込めないとなるとごまかしの効かない東京2400mでは。

[1]②クイーンズウォーク(川田)

前走の桜花賞は終始好位のインを追走しましたが、直線入り口でなかなか進路が出来なかったうえ外が伸びるコンディションもあり⑧着。陣営は元々距離適性の観点でオークス向きと言っていましたが、器用さに欠ける面もあり広い東京コースでレースがしたいというのも本音だったでしょう。追い切りは前走時同様目立たない内容ですが、大きなストライドで登坂出来ており輸送を考えればこの程度でも問題なさそうで、末は確かなだけに馬込みを避けて運べれば。

[2]③エセルフリーダ(武藤)

2走前の1勝クラス戦はコスモキュランダ等弥生賞好走組に混ざっての⑤着健闘。1勝クラスを勝ったのは中山でしたが、3走前の東京の未勝利戦では最後の3Fでギアチェンジが必要な展開で2番手からしっかり再加速して勝ち切っており、ここに臨むだけのスタミナと末脚は十分に備えています。ショウナンマヌエラがハナを切れば目標が出来、追い出すタイミングもある程度測れるはずで、底が割れてない現状なら押さえる手も。

[2]④パレハ(田辺)

大敗した先行2頭に競られて失速した前走の忘れな草賞は参考外にしても、2走前の未勝利戦もスローを逃げ切ったまで。通用の素地は今のところ見えません。

[3]⑤コガネノソラ(石川)

しっかりと脚を引き出せる横山武J・石川Jに乗り替わって3連勝。前走のスイートピーSは展開に恵まれた面もあったとはいえ鮮やかな差し切りを決めており、近親にウインマリリンなどを持つ血統背景からも距離延長は問題ないでしょう。中2週でも調教を手控えずにやれている点も好材料で、必ずしも33秒台のキレが求められないこの舞台はビッグレッドFの牝馬が輝けるチャンス。

[3]⑥サンセットビュー(三浦)

重賞2戦は何れもいいところなし。距離は伸びた方がいいのは確かですが、控えてもレースと同じ上りしか使えていないことにも現れている通り、流れ込むだけのレースしか出来ていない現状では。

[4]⑦ステレンボッシュ(戸崎)

前走の桜花賞では栗東滞在でコンディションを整え、淀みない流れをしっかり走り切っての勝利。近年の桜花賞はスピード対応力もさることながら、道中が緩まないことからある程度の体力・スタミナも求められ距離適性がギリギリというマイラーには厳しいレースになりつつあり、アスコリピチェーノとの0.1差はその分だったとも言えます。無論2400mがベストではないですが地力は最上位。乗り替わりを差し引いても圏内には。

[4]⑧ホーエリート(原)

前走のフラワーCでは2角でハミを噛んでしまうシーンがありましたが、向こう正面で馬群が密集してからは我慢が効いていました。エンジンをふかす必要から外を回して脚を使いましたが、結果的に直線は内が伸びるコンディションで、コースロスと馬場差のぶん届かなかった格好。③着だったカンティアーモが昨日のカーネーションCを勝ち切ったようにこのレースで評価すべきは外差しに回った組で、スムーズに行かなかった中で②着に食い込んだホーエリートが最も強いレースをしたと見ています。東京コース向きのキレを持っているタイプでないことは前走時にも指摘した通りですが、それを踏まえて前を射程圏に入れるレースをするのであれば話は変わってきます。距離不安から押さえて運びたい馬が多い中、ショウナンマヌエラが逃げ、ヴィントシュティレ、エセルフリーダの番手勢を目標に仕掛けて直線半ばで先頭に立つようなレースが出来れば理想で、一発狙って乗ってくるこの鞍上なら魅力は十分です。

[5]⑨ラヴァンダ(岩田望)

前走のフローラSは好位のインを追走し、直線もギリギリまで追い出しを待ったもののアドマイヤベルに差し切られ②着。さらに距離が延びるここでは。

[5]⑩アドマイヤベル(横山武)

上にはヴィクトリアマイルを制したアドマイヤリードが居る血統。勝ち上がり後は好位からのレースで好走できており、操縦性の高さはここでも武器。初の中3週がどうかも末脚は確実で押さえは必要でしょう。

[6]⑪ヴィントシュティレ(北村宏)

母ピュアブリーゼは2011年のオークスで②着の実績。ドイツ血統でスピードに欠けるところがあり勝ち切れたのは未勝利戦のみでしたが、福島牝馬Sでも③着するなど中距離戦線で見どころを作ってきました。但しこの馬の場合そこに輪をかけてモーリスをつけられたことで重厚な血統に拍車がかかり、未勝利脱出までに5戦を要しました。上がり脚を遣えず流れ込むレースしか出来ていない現状では。

[6]⑫チェルヴィニア(ルメール)

母チェッキーノは2016年のオークスで②着の実績。前走の桜花賞では大外枠を引いたうえルメールJが乗れず、アルテミスSからの直行という過程からも仕上がり途上は明らかでした。直線では挟まれたうえ口向きの悪いところを見せており、右回りも合わなかったかもしれません。ハービンジャー産駒という血統背景からも距離延長は好材料で、主戦に手が戻った以上は押さえは必要でしょう。

[7]⑬スウィープフィート(武豊)

前走の桜花賞では最後方を走っていたライトバックと一緒に流れ込んでの④着。これ自体は道中でスピードに付いて行けなかった馬を大外から拾ってのもので大きく評価はできませんが、得てしてオークスではこうして外を回せる差し馬が台頭するだけに無視は危険でしょう。

[7]⑭ライトバック(坂井)

スウィープフィート同様に桜花賞では大外を回して③着好走。アルテミスSでキレ負けしての④着があるだけにコース適性がどうかも、当時と違って長丁場で最後まで末脚を使えるかどうかが問われる舞台なら見直せてもいいでしょう。

[7]⑮サフィラ(松山)

前走のクイーンCでは輸送で大きく体を減らし⑨着。今回はそれ以来のレースになりますが、サロミナの仔らしく小頭数or外目をスムーズに運びたいタイプだけにこの枠はプラスでしょう。サラキア、サリエラと姉たちは長めの距離で良さを出しており、スムーズならここで化ける可能性も。

[8]⑯ショウナンマヌエラ(岩田康)

前走の桜花賞は行き切れたものの失速。前に行けないと良さが出ないタイプですが、流石に牝馬で2400mを逃げ切るのはハードルが高すぎます。

[8]⑰タガノエルピーダ(M.デムーロ)

前走の忘れな草賞は前の3頭が飛ばして自滅する中を離れた4番手を追走。実質的には5頭立ての平均ペースを逃げ切ったにすぎず額面通りの評価は難しいですが、外を回して脚を遣わせるデムーロJの騎乗はこのレースにはマッチするはず。押さえは必要でしょう。

[8]⑱ランスオブクイーン(横山和)

モレイラJが2回乗ってようやく未勝利を勝ったという現状で、格上挑戦且つ手替わりとなるとここでは厳しいでしょう。

<予想>
◎ホーエリート
○コガネノソラ
▲ステレンボッシュ
△チェルヴィニア
△アドマイヤベル
△クイーンズウォーク
△サフィラ
△スウィープフィート
△ライトバック
△エセルフリーダ

2024年5月18日土曜日

【5/18(土)予想】平安Sの注目馬

■京都11R/平安S カフジオクタゴン

元々ダートは大型馬有利ですが、体力比べの京都ダート1900mでは馬体重と好走率にハッキリとした相関が見て取れます。


上記はリニューアル後のこのコースにおける馬体重別成績で、500kg以上は(21,18,19,143)で複勝内率28%超のハイアベレージ。とはいえ当然ながら今回前走500kg以上の馬体重で臨戦する馬は10頭もおり、これだけでは絞れません。そこで大型馬の叩き2走目で前進が狙える実績馬カフジオクタゴンを狙いたいです。

半年ぶりの前走は+22kgと明らかな太目残り。寒い時期は絞れないこともあり今ひとつですが、元々は3歳夏に古馬2勝クラスを制しレパードSも連勝した実績馬。暑い時期の体力勝負は歓迎のクチで、型通りに絞れてくればこのメンバーでも十分やれるでしょう。

2024年5月12日日曜日

【5/12(日)予想】ヴィクトリアマイルの全頭評価とねらい目レース(栗東S、ウォッカC)

■東京11R/ヴィクトリアマイル

[1]①ライラック(戸崎)

前走の阪神牝馬Sは割とゆったり流れたにもかかわらず、加速に対応できず1.2差の⑩着。本質的に長距離の体力勝負が向いており、マイルG1に対応できるスピードとキレは?

[2]②フィアスプライド(ルメール)

前走のターコイズSはスローペースに耐えかねて途中からまくり上げるも返り討ちに遭い⑨着。溜めを作ってしっかり脚を遣いたいこの馬にとっては展開が向きませんでしたし、柔らかい馬場も合わなかった様子。良馬場で得意のマイルに戻るここは仕切り直しの一戦ですが、陣営はインから進路を探るレースをさせたい構えで、外に進路を確保して伸び伸び脚を遣わせたいルメールJと手が合うのかは疑問があります。加えて元々は前走で引退予定だったわけで、時計面の担保が乏しい中鞍上で過剰人気するのであれば一歩引いて評価すべき舞台と考えます。

[2]③スタニングローズ(西村淳)

前走の大阪杯は流石に長欠明けと言った走りで最後ガス欠の⑧着。それでも0.5差であれば悲観する必要はないでしょう。ただ秋華賞を勝ったように距離適性はマイルではなく中距離タイプで、昨年のこのレースもやや追走に苦労するところがあり見せ場なく⑫着。ここを使って距離延長になる次走(宝塚記念?)がねらい目でしょう。

[3]④コンクシェル(岩田望)

前走の中山牝馬Sは逃げての勝利、2走前の初音Sはセンタースリールの大逃げから離れての2番手追走でしたが、実質3番手集団を従えての単騎逃げに等しい形で快勝。元々アネモネSを追い込んで②着したように周りに馬のいない形で運べた時に好走できており、陣営もようやくその特性を理解してレースを組み立てるようになってきました。7走前の鞍ヶ池特別では1.32.3の時計で逃げ切っており、少々のハイペースでも自分の形に持ち込めた方が好走可能性が高いと言えるでしょう。スンナリハナが切れそうなここでも怖い存在です。

[3]⑤ウンブライル(川田)

前走の阪神牝馬Sはスローペースを追い込んでの0.1差②着と負けて強しの内容でした。昨年の春は稍重馬場でNZT・NHKマイルCを連続②着しましたが、本来は良馬場の大箱でキレを活かしたいタイプ。馬群で集中して走らせたい点からもこの枠と鞍上はプラス評価できます。但し、母ラルケットのきょうだいは3歳にピークを迎えることが多く、上のステルヴィオ、ヒシゲッコウ、グランパラディーゾと何れも3歳を最後に勝ち星から遠ざかった経緯を持つだけに、この馬にしてもそれら兄姉をなぞる戦績をたどりつつある点は気がかりです。

[4]⑥マスクトディーヴァ(モレイラ)

3走前の秋華賞の際にも指摘しましたが、祖母ビハインドザマスクは前哨戦勝利→本番のG1で凡走を繰り返した経歴の持ち主。その秋華賞も②着なら悪くはないのですが、勝ったリバティアイランドは川田Jが必勝を期して4角から仕掛けていった分最後に甘くなったわけで、力が接近しているわけではなく仕掛けたタイミングの差で最後に迫ったように見えただけと見ています。当時のイメージで人気し続けるのであれば前哨戦はともかく本番のG1では割り引いて考えたいです。

[4]⑦ハーパー(池添)

使える上りに限界があり、距離が伸びてタフさの勝負になれば浮上できますが純粋にスピードとキレという意味ではここでは厳しいでしょう。

[5]⑧サウンドビバーチェ(松山)

昨年の阪神牝馬Sはスローの前残り展開を押し切ったもの。この馬もまた使える上りに限界があり、なおかつ復帰後の2戦いずれも4角でスイッチが切れたかのように止まってしまう負け方。馬具に工夫もないここは様子見が妥当でしょう。

[5]⑨テンハッピーローズ(津村)

スローで流れてもマイルでは勝てておらず、腹を括って最後方から末脚に賭けるレースでもすれば話は別ですが、位置を取りに行くタイプの鞍上だけにその期待も薄いでしょう。

[6]⑩ナミュール(武豊)

本来は左回りの方が走りがスムーズで、前走のドバイターフ②着の走りが本来の姿と言えます。逆に3走前のマイルCSは終始外に張る面を見せながら差し切ったあたり成長を窺わせるレースぶりで、ここは間違いなく条件が好転する舞台と言えます。強いて懸念点を挙げるとすれば距離短縮となる今回位置取りを落とした時に届くのかどうかですが、そこは自在に立ち回れる鞍上に任せれば問題ないでしょう。

[6]⑪ルージュリナージュ(横山和)

OP昇級後は3戦して掲示板無し。33秒台の末脚ではこのメンバー相手に後方一気は難しいでしょう。

[7]⑫キタウイング(杉原)

OPではスピード不足なうえ末脚も繰り出せず。割と斤量に恵まれた3歳時の重賞挑戦も不発に終わり、成長もうかがえない現状では。

[7]⑬モリアーナ(横山典)

ここ3戦は先行有利の流れを⑤④③着と自分の走りは出来ていますが、本来は長くいい脚を遣うタイプではなくもう少し位置を取って好位からひと脚を繰り出すレースが理想です。それを阻んできたのは前掛かりな気性と、キャリアの前半を武藤Jで使われてきたことで馬がレースを理解するのに時間がかかったことも挙げられます。秋華賞では13秒台に落ちた2角で行きたがるシーンがあったように、淀みなく流れる東京マイルは絶好の舞台。この枠と仕掛けどころの難しさが鍵ですが、好位を取るレースが出来れば台頭も。

[8]⑭フィールシンパシー(横山琉)

5走前の紅葉Sで1.31.9の好時計で勝ったことを考えればここで通用してもおかしくはないのですが、ベーカバド産駒の不思議な特徴として「3勝クラスが全盛期」という点が挙げられます。


上記は芝レースにおけるベーカバド産駒の戦績ですが、複勝率ベースでは3勝クラスが最も高い成績を挙げている一方、そこが山の頂上という感じでそこからクラスが上下するにつれ成績が下がっていく傾向が見られます(ちなみにダートもほぼ同様)。同産駒の活躍馬としてはダブルシャープやタイセイアベニールが挙げられますが、何れも遅くに出世した一方重賞ではあと一歩という経緯をたどりました。恐らく、完成がゆっくり=新馬に弱く古馬になってから出世するので上級上級戦に強いが、重賞になると足りないというのが産駒傾向と見られ、それと同じ戦績をたどるフィールシンパシーもここで大きな期待となると?

[8]⑮ドゥアイズ(鮫島駿)

斤量54kgでは(2,4,1,0)なのに対し55kgになった途端に(0,0,0,4)。今回初の56kgを背負う点に加え、溜めればキレるもののG1では世代限定戦でも桜花賞の⑤着が限界だったように、高速決着でキレを使えるタイプでもないだけに。

<予想>
◎モリアーナ
○コンクシェル
▲ナミュール
△マスクトディーヴァ
△ウンブライル
△フィアスプライド


■京都11R/栗東S デンコウリジエール

1泊すると落ち着きすぎて走れないタイプで、前走のオアシスSは苦手の東京遠征でしたので度外視できます。間隔を詰めて調子を上げるのが荒川厩舎のスタイルで、この馬も中3週以上では(0,0,1,13)なのに対し中2週以下だと(6,1,1,11)とガラッと戦績が良化。右回り1400mの得意条件で久々に57kgを背負うとなれば見限れません。


■東京10R/JRAウルトラプレミアム ウオッカC ユイノイチゲキ

騎手起用で本気度が測れる馬で、デビューから木幡初⑤→吉田隼①→木幡初⑩→田辺①→長岡⑭と見事に上位騎手の時だけ走っています。再び田辺Jに戻ったここも本気度高い舞台で、相手関係に恵まれた感もあるここなら十分通用するはずです。

2024年5月11日土曜日

【5/11(土)予想】京王杯スプリングCの注目馬とねらい目レース(都大路S、信濃川特別)

■東京11R/京王杯スプリングカップ スズハローム

母アイラインは18年のこのレース⑫着も、紅一点の参戦でレコード決着から0.6差と舞台適性を示す内容でした。この馬もマイルで勝ってはいますがベストは1400m。昨夏のタイラントCでは1400m戦にして前半33.3の前傾ラップを4番手で追いかけ、直線では後方待機勢の追い上げをものともせず0.8差の圧勝劇を演じるなど、ハイラップでも自分の脚を遣えるのは上級戦において大きな強みです。前走のキタサンブラックCは必ずしも得意とは言えない内回りコースで外を回して差し切りましたが、内を突いて②着のブリュットミレジメとは通ったコースが違いすぎ。着差以上に強かったと言え、そのブリュットミレジメは次走の立雲峡Sでも②着とメンバーに恵まれた勝利でもありませんでした。2走前の幕張Sの大敗は輸送の失敗で、今回は1週前に美浦入りし態勢は問題なし。末脚を活かせる東京の1400m戦なら通用あっても驚けません。


■京都11R/都大路S リューベック

昨年の但馬Sを勝ちOP入りを果たすもその後5戦掲示板無し。とはいえ5走前の中山記念では0.2差⑥着と通用級の力は示しており、昨冬に復帰して以来はなかなか調子が戻らず調整も坂路主体だったのが前走のマイラーズCでは久々にウッドで最終追いと復調を見せています。そのマイラーズCは稍重馬場に脚を取られたのが大きく、良馬場で仕切り直しとなれば見限れません。


■新潟11R/信濃川特別 エイトキングゴッド

「平坦の芝2000m」に限れば④①①⑤着と崩れておらず、2勝は何れも渋った馬場で挙げているように時計の掛かるコンディションが理想です。休み明けも(2,0,0,1)と苦にしておらず、ワンターンへの対応が鍵も頭数が落ち着いたここは好位で運べれば粘り込みの目も。

2024年5月5日日曜日

【5/5(日・祝)予想】NHKマイルCの全頭評価・新潟大賞典の注目馬

■東京11R/NHKマイルC

[1]①ダノンマッキンリー(北村友)

前走のファルコンSはハイペースに加えインの大渋滞を横目にスムーズに脚を遣えた側面が大きく、額面通りの評価は難しいレースでした。朝日杯FSの時に手綱を取ったルメールJ曰く「マイルではペースが遅く引っ掛かる」ようで距離も嵌った感がありますが、その朝日杯は34.1-46.1と2歳戦であることを考えれば決して遅いペースではなく、向こう正面で引っ掛かったことを考えれば入りのスピードより4F目・5F目で12秒台に緩んだタイミングでの対応に難儀したことが原因でした。その観点で言えばNHKマイルCというレースは良馬場で行われさえすれば道中はずっと11秒台を刻むラップになるのが一般的で、この馬が走りやすいペースになることが見込まれ、距離延長だからと言って一概に嫌うべき存在ではないかと。

[1]②ノーブルロジャー(松山)

このレースには2頭のパレスマリス産駒が出走しますが、こちらは正真正銘の外国産馬(ジャンタルマンタルは持込馬)。母父モアザンレディはケンタッキーダービー④着の実績もありますが主戦場は7f戦ということで、血統背景からも前走の毎日杯の負けは度外視できるでしょう。ただ、2走前に勝ったシンザン記念が上位入着馬を除けば1勝クラスを勝つのすら苦労しているメンツであるうえ、勝った新馬戦もドスローを2番手から押し切ったもの。これで32秒台の脚を繰り出したなどであれば話は変わってきますが、実際のところ上級戦でハイパフォーマンスを繰り出せる担保はまだないと言えます。

[2]③ディスペランツァ(鮫島駿)

マイルに転向して2連勝中。2走前の1勝クラス戦の末脚もそうですが、驚いたのは前走のアーリントンC。入りが35.8-48.8とスローになり、レースの上りは33.2と完全な後傾戦。これを中団に控えた時点で勝つのは厳しいと思ったのですが、流石はモレイラJというべきかそこから32.4の末脚を繰り出して快勝。姉ルピナスリードは中京芝で3勝、兄ファントムシーフは共同通信杯を勝つなど直線の長いコースでエンジン全開という走りが得意な兄弟の血を受け継いだか、阪神マイルで高いパフォーマンスを見せています。流石に今の日本競馬でモレイラJ以上に末脚を繰り出すのが上手い騎手は見当たらず、誰に乗り替わっても鞍上弱化となることは明らかなのですが、その中でもインをこじ開ける騎乗の出来る鮫島駿Jに落ち着いたのはベターな部類でしょう。個人的にはデムーロJが大外を回して勝った2走前だけ走れればここでも十分勝負になると考えており、乗り替わりで余計に人気を落とすならむしろ積極的に買いたいです。

[2]④イフェイオン(西村淳)

2走前のフェアリーSが先行勢で唯一上位に残った存在として評価に値するレースでしたが、前走の桜花賞は内枠で寄られてパニックになるシーンもあって良いところなしの⑪着。現状馬群の中でレースをするのはリスクが大きいうえ、ひと脚で決めきるレースが理想につき東京コースも向かないと言わざるを得ません。

[3]⑤ボンドガール(武豊)

このレース(3,2,2,11)で複勝回収率113と相性の良いダイワメジャー産駒。阪神JF前の外傷が思いのほか重傷で復帰に時間を要したものの、途上の仕上がりかつコースも向かないと見られた前走のニュージーランドトロフィーでは②着に好走。中山コースは向こう正面に出るまでにコーナー部分を走るため流れが落ち着きやすくその部分で引っ掛かってしまいましたが、前半が直線の東京コースならスムーズに運べそうです。2走前のサウジアラビアロイヤルCもコーナーで緩んだ時に力んだ分の②着で、良馬場でペースが流れればこの馬の本来の力が発揮できるはず。スンナリ運べばここでも力は通用すると見ます。

[3]⑥ロジリオン(戸崎)

末脚が良いのは事実ですが、差し切ったのは入りの3Fが35秒台掛かった時のみ。鞍上効果か何故か穴人気の気配を漂わせていますが、京王杯2歳Sでコラソンビートに敗れていることを考えれば、ここで強調するほどとは思えず…

[4]⑦チャンネルトンネル(岩田望)

前走のアーリントンCでは上がり勝負に対応し③着好走。溜めればキレるというあたりは父のグレーターロンドンそっくりではありますが、ジュニアカップでキャプテンシーを捉えきれなかったことを踏まえるとペースが流れた時の対応に懸念が残ります。福永師が1週前に直接調教を付けている点は評価したいですが、本質的には1400mの方が向いているかもしれません。

[4]⑧エンヤラヴフェイス(菱田)

ぶっちぎったデビュー戦はドスローを前目から押し切ったもの。デイリー杯②着以降はパフォーマンスを上げられておらず、もう少し長い距離の方で前目につけた方が良いかもしれません。

[5]⑨キャプテンシー(M.デムーロ)

前走のニュージーランドトロフィーはスタートでぶつけられ、立て直そうとしたときに前が壁になりエキサイト。これではまともなレースにはならず、シンガリ負けは鞍上が流した分でもあり過度に悲観する必要はないでしょう。2走前のジュニアCの内容が良く、マイルで34.8の入りから最後も34.6の脚を遣って逃げ切り。途中の区間も11.4-11.7と緩んでおらず、勝ちタイムの1.32.5自体が今年の中山開催の勝ち時計ではトップタイ。母アドマイヤリードはヴィクトリアMの勝ち馬でもあり、初の東京コースとは言えスンナリ逃げられた際のスピード能力はここに入っても通用するはず。暴走懸念のあるシュトラウスが北村宏Jでまともなレースをしてくれることが前提ですが、自分の展開に持ち込めれば2020年のラウダシオンの再現があっても。

[5]⑩ウォーターリヒト(菅原明)

シンザン記念の③着はタフな馬場で体力勝負になった側面が強く、前走の皐月賞で付いて行けていなかったことを踏まえるとG1のまっとうなペースでは厳しいでしょう。そもそもチャンスがあると思うなら幸Jが乗りに来ているはずですし。

[6]⑪アレンジャー(横山和)

前走のアーリントンCは差し勢に混ざって②着に健闘しましたが、スローペースで位置を取りに行った鞍上の好判断も大きかったです。その横山典Jが乗りに来ない(新潟大賞典のデビットバローズに騎乗)時点で勝負度は薄いと言わざるを得ませんし、ペースが流れそうなここでは。

[6]⑫ゴンバデカーブース(モレイラ)

新馬戦は逃げ切り、サウジアラビアロイヤルCは最後方からの追い込みと、ブリックスアンドモルタルの産駒らしく極端な戦法で勝ってきました。それだけに、極端な戦法を好まないモレイラJと手が合うのかというのは疑問ですし、この中間は週末の追い切りをスキップしたうえ最終は坂路で逆時計。美浦の坂路は傾斜がきついうえこの馬自身逆時計はいつものことですが、これまで最終追いをウッドで行ってきたことを考えれば明らかにソフトな調整過程。完調とは言えないうえ流石にシンガリから追い込んで届くような馬場状態では無さそうなだけに。

[7]⑬シュトラウス(北村宏)

暴走した朝日杯FSからの距離短縮で前進を図った前走のファルコンSでしたが、馬群から離して最後方を走らせるもやはり行きたがる面は抑えられず。⑨着という結果自体は詰まったためなので度外視できるのですが、距離延長は明らかにマイナスでしかなく。

[7]⑭アスコリピチェーノ(ルメール)

③着に敗れた前走の桜花賞は位置取りがどうのという声が聞かれますが、素人目にはそこまで問題のある位置では無かったかと思います。むしろ馬群に収まってからはよく持ちこたえていましたし、阪神JFとほぼ同じ走破時計かつ上がりだったことを考えれば、単純に他の馬に成長力で追い越されたと見るのが妥当でしょう。情状酌量の余地があるとすれば、下り坂からなし崩し的に脚を遣わされたことでその分脚を溜められなかったことが考えられますが、緩まずに運ぶのはこのレースも一緒。自分のレースに徹してどこまで、という舞台になるでしょう。

[7]⑮マスクオールウィン(岩田康)

前走の桜花賞では外を突いた差し馬が上位をにぎわす中、外差しに回るも伸びず⑭着。フェアリーSは急坂の中山での体力勝負で相対有利だった②着で、本質的には1f長いでしょう。

[8]⑯ジャンタルマンタル(川田)

前走の皐月賞はまさに朝日杯FSと同じような形で、前が垂れて早目に先頭に立ってしまった分の③着。若干距離が長いと思われた中レコード決着のペースに助けられたのも事実ですが、小細工なしで2000mを走り切った内容は高いスピード能力の証明でもありました。この外枠が鍵ではありますが距離短縮となる今回は上手く目標を置いて運べそうで、あとは馬自身が直線でしっかり追い出しを我慢できるかでしょう。

[8]⑰ユキノロイヤル(石橋脩)

前走のニュージーランドトロフィーは最初の3Fを36.0とスローで入れたにもかかわらず残せずの③着。ハナにはこだわらないタイプですが控えてもキレるというほどの脚は無く、スタートの信頼度の低い鞍上も懸念点。

[8]⑱アルセナール(横山武)

前走のクイーンCでは外差し勢に混じって内から馬群を割って②着と好走。しかしながらルメールJがこのような乗り方をするのは馬の調子が良くないと感じている証左で、実際に陣営も当時はまだひ弱さが残るとコメントしていました。桜花賞をパスしたこともあり体質は改善されてきたようで、1週前にはウッドで50.5-11.3の自己ベストをマークするなど負荷をかけられるようになってきました。大外枠で壁を作れるかは課題ですが、前走以上に走れれば食い込む余地はあっても。

<予想>
◎キャプテンシー
○ディスペランツァ
▲ジャンタルマンタル
△ボンドガール
△ダノンマッキンリー
△アルセナール
△アスコリピチェーノ
△ゴンバデカーブース


■新潟11R/新潟大賞典 セルバーグ

このレースは2000mとはいえワンターンのコース形状につきペースが流れやすいのがポイントで、前半が58秒を切ることも珍しくありません。普通そんなペースで飛ばせば長い直線で垂れるわけで誰も逃げたくはないのですが、そのようなペースでこそ力を発揮しそうなのがセルバーグです。前走の小倉大賞典では前半57.2というハイペースを逃げて③着に健闘。それもただのハイペースではなく、2コーナーを立ち上がった下り坂の始まる地点で11.0とレースで最速のラップを刻んでおり、中盤が最もキツいレースをしての③着ですから評価できます。ここも前半が速くなることは必至ですが、道中が下り坂の小倉に比べれば平坦の新潟はレースがしやすいはず。先行馬は何頭かいますがどれも控えても良いタイプで、再度の単騎逃げが叶いそうなここなら狙えるでしょう。

2024年5月4日土曜日

【5/4(土・祝)予想】ねらい目レース(プリンシパルS)

■東京11R/プリンシパルS キャントウェイト

デビューからずっと厳しい相手関係で走っており、新馬戦は京都新聞杯で上位人気が目されるヴェローチェエラを下しての勝利、前走のひめさゆり賞にしても京都新聞杯で人気の一角を占めそうなキープカルムとタイム差なしの②着と健闘しました。プリンシパルSは①着にしかダービーの優先出走権を与えられず、しかも中2週での参戦が前提のトライアルにつき社台系の良血馬はハナからここを狙っての参戦はあり得ません。それでも人気してしまうのは彼らの方なわけですが、先週のスイートピーSをコガネノソラ(ビッグレッドF生産)が制したことからもこのようなレースでは非社台がその本気度から低評価を覆すことが起こり得ます。接戦してきた相手関係で言えば遜色無く、ここはねらい目になるでしょう。


2024年4月28日日曜日

【4/28(日)予想】天皇賞(春)の全頭評価とねらい目レース(スイートピーS)

■京都11R/天皇賞(春)

[1]①サリエラ(武豊)

揉まれ弱い一族でもありある程度位置取りの自由度の高い中~長距離戦に起用されていますが、京都の長距離は下り坂のロングスパートに対応する持久力も必要です。近10年で京都芝3000m以上で行われたレースでは馬体重440kg未満は(0,0,1,11)と苦戦しており(そもそも出走数が少ないのもありますが)、サリエラにしても前走のダイヤモンドSのように最後の3Fでケリをつけられる条件ならよいですが、このコースは本質的に向いていないと言えます。

[1]②ヒンドゥタイムズ(団野)出走取消

[2]③プリュムドール(和田竜)

脚元に不安を抱え休み休みのローテーション。加えて強い負荷をかけきれない中でも、復帰後は1走ごとに上昇カーブを描いています。ただ、坂があって前が止まりやすい阪神で行われた前走の阪神大賞典が④着止まりだったことを考えると、調子は上向きとはいえここはさらにメンバーが強化される舞台である程度の位置取りを求められる京都では前進は望みにくいです。

[2]④ワープスピード(三浦)

前走の阪神大賞典は文字通りの「ワープ」で向こう正面から押し上げていった結果の②着。小倉での騎乗を見ているかのような川田Jの好判断でしたが、この馬本来の性能としては3勝を挙げている東京のように最後の3F勝負になる舞台が得意なクチ。前走と比してロンスパ性能が求められるここでは。

[3]⑤ブローザホーン(菅原明)

4走前の札幌日経OPを先行策からぶっ放しての圧勝劇。なし崩し的に加速が必要な舞台は向いており、2走前の日経新春杯でも前傾戦の恩恵があったとはいえ1頭だけ違う脚を遣って完勝と言える内容でした。ただ、阪神大賞典はイン有利展開で内からじっとしての③着で、コース替わりは歓迎も同じような位置にいたテーオーロイヤルに0.8差も千切られたのはステイヤー適性の差と言わざるを得ず、さらなる距離延長でパフォーマンスを上げるかと言われると?

[3]⑥ディープボンド(幸)

近走は1秒以上の大敗が続く現状。前走の阪神大賞典も例年より2~3秒は時計がかかり流れが向くかと思われましたが⑦着敗退と往時の力を見せられておらずで。

[4]⑦タスティエーラ(モレイラ)

陣営曰く、前走の大阪杯は輸送後カイバをほとんど食べなかったそうで、体調面に何らかの問題があったことを示唆しています。有馬記念も不利を受けての⑥着だったことを思えばここ2戦は度外視できるのですが、今回も前走時と一緒の直前輸送で工夫している形跡はなく、しかもデビュー以来初めて最終追いを坂路で済ませる調整過程。堀厩舎は勝ち星の大半を地元競馬(東京・中山)で稼ぐ一方遠征で勝ち切れておらず、コメント含め正直なタイプなだけにこの調整過程を素直に読み取れば調整に苦慮していると見るのが筋でしょう。尤も、制裁点の関係でG1に全集中して乗ってくるモレイラJが駆るとあればノーマークは危険ですが…

[4]⑧ゴールドプリンセス(田口)

大箱の長距離戦は得意とは言え、前走の松籟Sは後方有利展開に乗じての差し切り勝ち。ハンデ戦で53kgだった斤量もここでは56kgとなれば、このメンバーでは荷が重いでしょう。

[5]⑨シルヴァーソニック(M.デムーロ)

昨年のこのレースは最初の1000mでアフリカンゴールドとタイトルホルダーが競り合う展開。そこからアフリカンゴールドが最初のゴール前で脱落しタイトルホルダーが代わってハナに立ちましたが、2週目の向こう正面で跛行し競走中止。しかし他の馬はその異常に気付かず、単にタイトルホルダーがペースを落としたと見たのか3角の直前で13秒台にラップが落ちました。そこで先行勢は脚を溜めることができた分最後まで残せたのは大きく、インを通ったとはいえ勝ったジャスティンパレスが4角4番手から34.9の脚を遣えたことからもその展開の特異さがうかがえます。かたやその昨年の天皇賞(春)で外を回して③着だったシルヴァーソニックは、通ったコースの差を考えれば健闘したと言えます。ただ長欠明けを叩かれての2戦目ですが、昨年までのよかった頃は最終の坂路で11秒台フィニッシュで上がれていたところ今回も53.1-12.6と物足りず(しかも逆時計)。元々休み明けは苦にしなかったタイプなだけに、戻り切っていないか年齢によるものか…今の社台RHが上級戦でデムーロJを乗せるのは勝負気配が薄いことの裏返しでもあり、OP以上では19年のエルフィンSをアクアミラビリスが勝って以来17連敗中。これら要素を鑑みればここで強調できる材料には乏しいと言わざるを得ず。

[5]⑩サヴォーナ(池添)

デビュー以来ずっと坂路中心の調整だったところ、今回は初めてウッドで最終追いを行うなど一気の攻め強化。その最終追いはスカーフェイスと併せて突き抜ける好内容で、ここに来ての充実ぶりは確かでしょう。あくまで勝ち鞍は条件戦のみで、世代重賞でも勝ち切れなかった点を見れば能力の上値に疑問符はつきますが、これまでと違う姿を見せるとすれば今回でしょう。

[6]⑪マテンロウレオ(横山典)

昨年⑤着とはいえ坂上で一呼吸を置けた分残せたもので、うまく立ち回って着を拾うというこの馬自身の性質をフルに生かしての善戦でした。ハーツクライにブライアンズタイムの肌という血統背景から長めの距離は向きますが、本質的には古馬上級戦で必要なキレを有してはおらず、前走の日経賞で出していったこと考えればここもぶっ放してどこまで、というレースになるでしょう。

[6]⑫ドゥレッツァ(戸崎)

昨夏までのローテーションと成績を見れば確かに中距離馬なのでしょうが、2走前の菊花賞では2週目の向こう正面で後続を引き付ける逃げを見せての勝利。あれは騎乗馬のスタミナに絶対的な自信が無いとできない乗り方ですし、そもそも本当に中距離馬と思っているならハナから大阪杯を狙っていたはずです。最後の4Fにわたって11秒台を刻んで勝った内容はいかにもここへの適性の高さを伺わせるもので、調子も完調ではなく世代レベル云々はありますがこのメンバーなら格好は付けられるはずです。

[7]⑬スカーフェイス(松若)

元々展開待ちのところはありますが、最近は恵まれてもOPで掲示板が精いっぱいという内容。距離適性も未知数で、恵まれてもG1ではどうか…

[7]⑭テーオーロイヤル(菱田)

前走の阪神大賞典では3番手を運び上がり最速で押し切るという強い内容。ダイヤモンドS2連覇が語る通り瞬発力も備えており、京都開催の天皇賞は待ちに待った舞台と言えます。但し気になるのは最終追い。これまで意図して負荷をかけない場合は直前は坂路を使ってきましたが、今回はウッドで3頭併せ、しかも内を通したにもかかわらず少し仕掛けた程度の格下に後れを取る内容。状態を上げたいという狙いと裏腹に動きが付いてきていない現状を見ると、この馬にとっては最大目標とは言え流石に半年間で中長距離戦を5戦するのは使いすぎだったのかもしれません。実力では最上位と言ってもおかしくないだけに外せはしませんが…

[7]⑮メイショウブレゲ(酒井)

万葉Sは実質準OPというメンバーの中で体力争いに勝ったに過ぎず、ここでどうこうというレベルではないでしょう。

[8]⑯チャックネイト(鮫島駿)

デビューが3歳の2月と遅めで、ノドの手術や去勢など順調に使えない中でもデビュー以来15戦すべてで掲示板を確保している堅実派。堀厩舎には珍しく中京で2勝を挙げるなど遠征競馬も苦にしません。やたらと①着と③着が多いことにも現れている通り勝ち切れない面はあるものの、6走前の長良川特別は上がり勝負、3走前の六社Sは抑揚のないラップを差し切り、前走のAJCCは上がりの掛かる展開と、あらゆるコンディションで勝っているのは展開の不確実性の大きい長距離戦では頼れる要素です。堀師もデビューから「晩成の長距離型」と言及していた通りここに来て成長曲線とローテが嵌りつつあり、大箱で早目にエンジンをかけるレースをしたいタイプでこのコースも向くはず。底を見せていない存在でここでも。

[8]⑰スマートファントム(岩田望)

スローの重馬場を差し切った前走の御堂筋Sの内容はなかなかでした。ただここ2戦は時計の掛かる馬場を味方につけたもので、京都コースも初めて。上りには限界のあるタイプで相手関係も含めてここは力試しといったところでしょう。

[8]⑱ハピ(浜中)

割と後方待機勢に展開が向いたはずの前走でも0.8差の⑩着止まり。元々ダートでも使える脚が一瞬で勝ち切れなかっただけに、芝の良馬場、しかも大外枠では如何ともしがたく。

<予想>
◎チャックネイト
○サヴォーナ
▲タスティエーラ
△テーオーロイヤル
△ドゥレッツァ


■東京11R/スイートピーステークス モアニ

19年の勝ち馬カレンブーケドールがオークス②着したことで何とかリステッドの体裁は保っていますが、ここ2年は勝って権利を取った馬が本番に出走すらしないという異常事態。1勝馬が中心となるメンバー構成は元からですが、そもそもハイレベルのメンバーにもまれた経験を持つ馬自体が少なく、未勝利を勝ち上がったばかりの馬よりレベルの高い条件戦を戦ってきた馬に妙味が生まれ得ます。

モアニの前走はチューリップ賞⑤着のエポックヴィーナスとタイム差なしの②着。スローで行く馬がおらず押し出されての先行策でしたが、本来は2走前のように控えて末脚を活かしたいタイプです。東京の1800mコースはほぼマイルと変わらず、1600mが走れる馬なら十分守備範囲。良馬場の末脚比べなら十分勝負可能でしょう。

2024年4月27日土曜日

【4/27(土)】青葉賞・ユニコーンSの注目馬

■東京11R/テレビ東京杯青葉賞 ショウナンラプンタ

3歳春までは長めの距離のレースは限られますが、そのレアケースである「前走2400m組」が過去10年で5勝を挙げているのが青葉賞。ここでは3頭が該当しますが、スロー展開を差し切るパフォーマンスを見せたショウナンラプンタを最上位に採ります。

この馬にここで◎を打つのは3回目…ホープフルSで盛大に掛かったところを見て前走のゆきやなぎ賞も懸念していたのですが、超スローにもかかわらず馬群の中で我慢し直線では33.4の末脚を繰り出し差し切り勝ち。特筆すべきはギアチェンジ能力の高さで、レースの4F-3Fが12.2-11.0と1秒以上も急加速する流れでは本来後ろにいる馬は物理的に不利なところ、7頭立ての5番手から前を捉えた内容はいかにも大箱向きと言えます。進境がうかがえる今なら改めて重賞でも期待できるでしょう。


■京都11R/ユニコーンS アラレタバシル

条件替わりで全く別のレースになってしまったユニコーンS。京都ダート1900mはこのブログでも再三触れていますが差し有利のコース形態で、なおかつ3歳馬だとレースの経験値が少なく「なんとなく流れに乗って勝ってきた」タイプの先行馬が多いため、余計に差しが決まりそうなレースになると見ています。

アラレタバシルはダートに転向し①②①②着と底を見せておらず、しかも敗れた2戦もタイム差はなし。前走の勝ち馬はケンタッキーダービーに挑戦するテーオーパスワード、3走前の勝ち馬は羽田盃②着のアンモシエラですから、(フォーエバーヤングは別格にしても)現状の3歳ダート戦線では上位に位置する馬と接戦を演じてきたわけです。南関3冠路線はJRA枠が少なく、2勝していないと賞金不足でトライアルすら出られません。その上澄みが走っているのがJpn1級レースと考えれば、そこに出るメンバーと接戦したこの馬の力量を素直に買いたいです。

2024年4月21日日曜日

【4/21(日)予想】フローラS・マイラーズCの注目馬とねらい目レース(福島中央テレビ杯)

■東京11R/サンケイスポーツ賞フローラS ユキワリザクラ

他のトライアルレースにも言えることですが、特にこのフローラSに関しては何らかの問題があって桜花賞に出られなかった馬が集まるわけで、G2という格に対し自ずからレベルは低くなってしまいます。それが例えばウインマリリンのように「桜花賞を目指すほどのスピードが無かった馬」であればまだしも、勝ち上がったものの気性面に課題がある、体質に不安がある等で重賞戦線で結果を残せなかったタイプが、他に適鞍も無いからとここに出てきては人気を吸って敗退するというのが一番厄介です。過去10年で1番人気が馬券圏内に来たのはわずかに3度という結果からも、このレースの見定めの難しさを実感します。今回も2戦2勝のクリスマスパレードにバロネッサ、カニキュル、アドマイヤベル等いかにも人気しそうな良血馬がズラリ。しかしながらこうした馬たちは教育的側面も踏まえ末脚を活かしたいがために控えることが多く、結果としてゴールデンハインドやジョディー等人気薄の先行馬の台頭を許す構図が繰り返されてきました。

では今年先手を取りそうな馬は?と考えましたが、前走逃げた2頭のうちエルフストラックは控える競馬を示唆。一方で前走の未勝利戦で逃げて直線差し返す勝負根性を見せたユキワリザクラは、強みを生かすためにも先行策に出ると見ました。ここまで2戦は坂路での最終追いでしたが、今回はコースで猛時計を披露。6Fのタイムが14.5-12.4-12.2-12.6-12.4-11.9と長くアクセルを踏んで止まらずに走れており、こういうタイプは自ら動いて主導権を握れば「なるべく動きたくない」騎手心理が働くトライアルでは優位に運べるはず。本番につながるかどうかはともかく、自分のレースが出来ればここでは面白い存在です。


■京都11R/読売マイラーズカップ ソーヴァリアント

前走の中山記念は陣営曰く「装鞍所からイレ込みがきつかった」とのことで、距離延長でハミを思い切り噛んでしまった分もあり大敗もやむ無し。その前のマイルCSでもゲートで隣のシュネルマイスターがガタガタしてたのに触発され落ち着きを欠き、リズムに乗れず⑫着敗退。経験自体は少ないものの3走前の富士Sで1.32.0の好時計で③着している内容からもマイル適性は高いと見ており、土曜の2勝クラス戦で1.32.1の勝ちタイムが出たことからも時計勝負は必至。立て直されたここは再度期待できる番でしょう。


■福島11R/福島中央テレビ杯 ショウナンアメリア

今開催の福島芝1200mは逃げ馬が(4,2,1,4)と圧倒。昨年の同開催では(4,1,1,10)だったことを考えれば逃げ有利に拍車がかかっており、今日午前の未勝利戦も逃げ馬が②着するなど最終週もその傾向に変わりはありません。ショウナンアメリアは前走の中山戦で前半33.4という流れを逃げて⑤着。少々無理をしても今のコンディションなら十分残せるはずで、絶好枠から逃げるのみでしょう。

2024年4月20日土曜日

【4/20(土)予想】福島牝馬Sの注目馬とねらい目レース(湘南S)

■福島11R/福島牝馬S エリオトローピオ

福島コース(3,1,1,0)に対しその他は(0,0,0,17)と絶大な当地相性を誇ります。昨年同様に格上挑戦でハンデ戦の福島民報杯を使う予定も除外になりここに回ってきましたが、3歳春までの賞金でここにいる馬も少なくないメンバー構成で近走実績と比して力の差は少ないと見ています。先週の福島はコーナー4つの芝レース(1800~2000m戦)で差し決着が4本というコンディションで、スムーズに外から進出するレースが理想。スタートが不安な鞍上には目を瞑って買いたいです。


■東京10R/湘南S シュヴェルトライテ

前走はキャリア初の1200m戦に使われスピード負けすることなく0.2差の⑥着に健闘。輸送で-18kgと大きく体を減らした中で恰好をつけられたのは大きく、陣営も今後は1200~1400m戦を主戦場にする意向を示しています。距離延長ローテでは昨年のフリーウェイS⑪着→白川郷S③着と結果を残しており、加えて良績は開催前半の良好な馬場状態の時に集中。そういった意味ではじっくり構えていては間に合わないであろう開幕週の東京1400mは絶好の条件で、流れに乗って運べればここは一発期待です。

2024年4月14日日曜日

【4/14(日)予想】皐月賞の全頭評価とアンタレスSの注目馬

■中山11R/皐月賞

[1]①サンライズジパング(菅原明)

2走前のホープフルSでは前半に意識して位置を取ったうえで差し勢が上位を独占する流れの中を③着と健闘。レガレイラに併せようとしたシンエンペラーに進路をカットされる不利もあり、その後に若駒Sを勝ち切ったことからもフロックでないことは明らかです。弥生賞をフレグモーネで回避したもののここ2週の調教を見る限り不安は皆無。最終週で緩い芝のインを引いてしまったことが悔やまれますが、立ち回り一つで進出可能な能力の持ち主と見ます。

[1]②メイショウタバル(浜中)

前走の毎日杯は自ら逃げて最後も34.4に纏め圧勝。重馬場適性の差もあったにせよ無視できないパフォーマンスで、下手に控えるより行ききったほうが良いタイプでもあるでしょう。ただし今回はホウオウプロサンゲが逃げる方針で、潰しにかかられた際にどこまで踏ん張れるかでしょう。

[2]③エコロヴァルツ(武豊)

前走の共同通信杯はスローの影響もあったにせよ終始行きたがる面を見せ、末脚を繰り出せずの⑤着。今回はもう少しペースも流れるでしょうが、ワンターンの1800mでも行きたがってしまったのは懸念材料。コスモス賞、朝日杯FSが必ずしもハイレベルでなかったことも踏まえれば、マイルで展開に恵まれた時にどうか、というレベルなのが現状です。

[2]④シリウスコルト(三浦)

前走の弥生賞では展開のスキを突いての先行策で③着。デビューは1200mでしたが短い距離で急かされると走りがバラバラになり、このくらいの距離でゆったり走らせるのが向いているタイプです。但し今回も陣営は先行策を示唆しており、折角末脚を持っているのにわざわざ馬場の悪いインを自ら取りに行くのは悪手でしょう。

[3]⑤ミスタージーティー(藤岡佑)

2走前の共同通信杯ではモロに掛かって末脚を繰り出せず⑦着、その前のホープフルSでは矢作師がハッキリと「騎乗ミス」と言及するほどの詰まり方で⑤着と敗れたレースはいずれも敗因がハッキリしています。その一方で勝ち切ったのは比較的頭数が落ち着いたレース(新馬:8頭立て、若葉S:10頭立て)でもあり、多頭数戦の捌きには不安を残します。

[3]⑥アレグロブリランテ(横山和)

前走のスプリングSは1000m通過が63.1というトライアルにしても遅すぎるペース。これを仮に勝ち切っていたとしても評価はできませんが、シックスペンスに千切られての②着。土台連対したレースは全て芝1800mで1分50秒台を回っての走破タイムで、ここでついていけるスピード能力は窺えません。

[4]⑦ルカランフィースト(松山)

2走前の若竹賞は前が止まったところを差し切り、前走のスプリングSはスローペースで流れ込んだものでしたがアレグロブリランテさえ捕まえられず。ここで通用する素地は窺えません。

[4]⑧ジャンタルマンタル(川田)

前走の共同通信杯では異次元のスローペースで前を捉えきれずの②着でしたが、道中は行きたがるところを川田Jが必死に抑えながら馬群の中を進ませていました。今回の共同会見でも明かされましたが、これは2000mを走り切ることを見越しての予行演習で、目先の勝利ではなく本番で折り合うことを目的にある意味「捨てに行ったレース」だったという解釈ができます。元々朝日杯FSでもかなり行きたがっており、直線で上手く進路が出来たことが大きかったとはいえペース的には今回の方が流れる上、中枠で馬群に上手く入れられそうなのは好材料。人馬が穏やかに走り切れれば、自ずから結果はついてくるでしょう。

[5]⑨アーバンシック(横山武)

京成杯組は③着以下が次走今ひとつという現状で、立ち回りで勝ち星を拾ったダノンデサイルより不器用ながら最後に脚を使ったアーバンシックの方が評価できるレースでした。特段スローペースでなかった中、今回の方がさらにメンバー強化となるうえ平坦の方が持ち味が生きるタイプにも見えますが、進路が出来れば脚は見せられるだけに押さえは必要でしょう。

[5]⑩レガレイラ(北村宏)

牝馬の皐月賞挑戦と言えば思い出されるのが2017年のファンディーナ(1番人気⑦着)。それまで3戦を危なげなく勝利し「怪物」とまで評されましたが、牡馬相手の締まったペースに手ごたえを失くし直線で失速。これをきっかけに自信を失くしてしまったのか、その後3戦も掲示板すら確保できず引退。主戦だった岩田康Jもこの年を最後に年々勝ち星を減らしていることも含めて、挑戦の難しさを実感した出来事でありました。

レガレイラの場合は既にホープフルSで牡馬相手にG1を勝っておりパフォーマンスを見ればそのような不安はあたらないのでしょうが、そのホープフルS自体が外有利の展開を差し切ってのものであり、アイビーSではスローペースとはいえホウオウプロサンゲに先着も許した過去。1番人気になることは理解できますが、果たして抜けた存在かと言われると疑問も残ります。それでも現状の中山も外差し優位のコンディションは明らかで、伸びどころを的確に把握できる北村宏Jであれば格好は付けられるはずでしょう。

[6]⑪ホウオウプロサンゲ(菱田)

連対したレースは何れも前半が61秒を回るスローペース。ここは無理してハナを取ると返り討ちに遭うでしょう。

[6]⑫コスモキュランダ(モレイラ)

前走の弥生賞は絶妙のタイミングでまくり上げた鞍上の好判断の賜物でしたが、前半5Fは60.4秒での通過と必ずしもスローというわけでは無く、どちらかというと馬場の悪いところを通らずに加速出来た分が大きい勝利でした。そこから中間はさらに一歩強い負荷をかけられ、鞍上も全力でG1を獲りに来るモレイラJとくれば上昇は必至。最後の3Fで決まるレースになると分が悪いですが、早目に動ける強みを活かせればここも好勝負可能でしょう。

[7]⑬ジャスティンミラノ(戸崎)

前走の共同通信杯は他の馬たちが折り合いに苦慮する中、スローと見て2番手を取ってピタリと折り合い、直線でも32.6の末脚を繰り出しての勝利。ただレース自体は新馬戦かと思うほどのペースで、デビューから2戦とも「スローの東京戦で前目から押し切っただけ」のパフォーマンスに過ぎません。締まったペースで揉まれた時に同様のレースができるかは怪しく。

[7]⑭シンエンペラー(坂井)

1頭になるとフワフワする面があり、馬群の中で運びながら併せ馬に持ち込みたいタイプです。ただそれが仇となってか、2走前のホープフルSも前走の弥生賞も内に押し込められ馬場の悪いところを走った形で、直線では外を回ってきた馬にやられての②着というレースが続きました。ホープフルSは外差し決着を思えば悪くなく、前走の弥生賞も最初のホームストレッチでトロヴァトーレにゴリゴリやられてインに追いやられたもの。相当にストレスの高いレースを経験できたのはここへ参戦することを考えれば大きく、まだ機敏さに欠ける面があり外目の枠を引けたのも好材料。兄ソットサスを物差しにする矢作師のコメントは冴えませんが、ここに入れば間違いなくNo.1を争える逸材。タイプ的に勝ち切れるかはどうかも上位候補としては信頼できる存在です。

[7]⑮サンライズアース(M.デムーロ)

前走のすみれSは、道中最もペースが緩んだタイミングでまくり上げた省エネ走法での勝利でした。コスモキュランダの弥生賞もそうですがまくりをやらせればデムーロJの右に出る者はいないと言えるほどで、ペース判断が完璧だったほかありません。逆にこの手の戦法が嵌るのは、各馬が本番を見据えた走りをするためペースが落ち着きやすい前哨戦に多く、流石にこの本番では13秒台の区間ができることは望みにくいだけに。

[8]⑯ダノンデサイル(横山典)

前走の京成杯は前目のポジションから坂上まで追い出しを待ったうえでキッチリ前を捉えた勝利でした。ゴール版から逆算しているのかと思うほどの鞍上の完璧な仕掛けタイミングの賜物で、今回はここからさらに2秒ほど時計を詰めなければいけないと考えると楽ではありません。

[8]⑰ビザンチンドリーム(ムルザバエフ)

前走のきさらぎ賞は到底届かなそうなところからの差しが決まっての勝利。メンバーレベルは確かに強調できませんが、日本競馬への適性に疑問符のあったピーヒュレクJが駆って勝ち切れたのは能力の高さを感じさせるものでした。ただ、テンションが高いことがネックなこの馬が今回初輸送。デビュー戦も厩舎装鞍せざるを得ないほどだったことを思えば、当日のテンション次第でパフォーマンスは大きく左右されかねないだけにアテにはしにくいです。

[8]⑱ウォーターリヒト(幸)

河内厩舎最後のクラシック参戦。前走のスプリングSは究極のスローペースに泣かされての⑨着でしたが、上りは33.5と自分の脚は使えていました。シンザン記念で速めの流れを差し込むレースも経験しており、どんな競馬にも対応できるのは強みでしょう。ただ、ここまで戦ってきた相手は強調しにくく。

<予想>
◎シンエンペラー
○コスモキュランダ
▲レガレイラ
△ジャンタルマンタル
△サンライズジパング
△アーバンシック
△メイショウタバル
△ビザンチンドリーム


■阪神11R/アンタレスS ケイアイパープル

サウジC・ドバイWCへの参戦が増えたことに加え、昨年まで2月に実施されていた川崎記念が4月に移行。このアンタレスSの立ち位置は年々微妙になりつつあり、実績馬と呼べる存在が少ないメンバー構成に。ケイアイパープルはご存じの通り交流重賞2勝の実績馬でここに入れば十分に威張れますが、近走は状態が整わず。ここに来てようやく体調が上向いてきたこともあって、この中間は久々に加減せずに調教が出来ており復調を伺わせます。藤岡康Jはこの馬と手が合っており、ここも無事なら乗っていたであろうことを思えば何ともやるせない気持ちになりますが、復活のチャンスがあるならここでしょう。

2024年4月13日土曜日

【4/13(土)予想】アーリントンCの注目馬

■阪神11R/アーリントンカップ ケイケイ

前走の1勝クラス戦は35.5-34.9の後傾戦を差し切ってのもので、その上で勝ち時計1.33.7はなかなか優秀。レースに集中しきれない部分がありデビュー前から去勢されたほどですが、前走はブリンカーを外しての一戦でも馬群の中でしっかり折り合い脚を使えたように、精神面での進境は目を見張るものがあります。姉にはアルテミスS・ローズS③着で秋華賞⑤着のラテュロスがいる血統で仕上がりの早さも裏付けられており、時計だけなら上位人気と引けは取りません。遠征の意欲も買って一発期待です。

2024年4月7日日曜日

【4/7(日)予想】桜花賞の全頭評価

■阪神11R/桜花賞

[1]①ワイドラトゥール(北村友)

新馬戦、紅梅Sはかなり恵まれたメンバー構成で、前走のチューリップ賞は労せずして先手を取れたかに見えましたが直線でサッパリ。紅梅Sで先着したセキトバイーストを捕らえられなかったばかりかイン有利にもかかわらず伸びが無く⑬着に敗れたあたり、現状まともにペースが流れると1600mは厳しい印象です。

[1]②クイーンズウォーク(川田)

前走のクイーンCはラスト3F目が11.1と最も速くなるラップで、後方から押し上げる馬にとっては一番キツイところで脚を遣わされたレースでした。それを外からまくり上げたこの馬(とルージュスエルテ)は強いレースをしたと言ってよく、坂下から動き出さなければいけない桜花賞に向いた走りができるタイプです。但しその前走は器用さに欠けるところを大外枠でリカバリーできた部分が大きく、昨年のリバティアイランド同様内枠からどのように立ち回るかが課題です。調教で良く見せるタイプではないとは言え1週前、最終と併せ馬で遅れたあたりも気がかりで、やはり次を見据えた仕上げであることは否めないでしょう。

[2]③イフェイオン(西村淳)

前走のフェアリーSでは外枠で壁を作れず力みながらの追走でしたが、直線で一足を使い後続を完封。この馬以外の上位馬は差し勢が独占したことからも決して展開に恵まれた勝利ではなく、好位から上手く脚を使える強みが活きました。ただ、デビューから3戦何れも直線の短いコース(京都内回り&中山)しか経験がなく、母のイチオクノホシも内回り巧者でした。この枠なので上手く立ち回れればチャンスはありますが、長い直線でどこまで脚を使えるのかは未知数という存在です。

[2]④キャットファイト(松山)

アスター賞の勝ち方からも持てるポテンシャルは高いのですがいかんせんテンションが上がりやすく、初めての関西圏での競馬となった阪神JFでもスタートが決まらず大敗。2走前のフェアリーSでもテン乗りの坂井Jで御しきれず⑥着と、関東圏+乗り慣れた鞍上(現状では大野J)が理想というタイプ。輸送に加え大野Jがアクシデントで乗り替わりとなった今回は厳しいでしょう。

[3]⑤シカゴスティング(浜中)

前走のフィリーズレビューは前半33.8のハイペースの中、控える競馬を試みましたが折り合いを欠き⑫着大敗。ファンタジーSでは上手く前に壁を作り③着に好走、阪神JFでは行く気に任せてハナを切り⑤着と、位置取りどうこうというより喧嘩せずに走れるかがポイントです。そういった意味では連勝は何れも距離短縮ローテでのもので、距離延長となるここは再び折り合いの懸念が。

[3]⑥ハワイアンティアレ(池添)

ゲートがもっさりしていて左に張る癖があり、それを何とか矯正しながら走っている現状。まともに追えない中でも新馬戦では33.8の末脚を繰り出しており力はあるのですが、真っすぐ走れないのでは馬群に入れて運ぶのはリスクが高く、この枠からだと一旦下げて直線で捌けるかどうかというレースになりそうです。前走のチューリップ賞では直線で上手く捌いて脚を使いましたが、外を回して距離ロスの大きかったスウィープフィートとは脚色の差が歴然。ゴール前で鈍っていたことを考えれば坂があるコースは現状不得手のようです。

[4]⑦スウィープフィート(武豊)

前走のチューリップ賞は開幕2週目でまだインが活きるコンディションでしたが、後方から大外を回す大味なレースで差し切り勝ち。3角で噛んでしまいスムーズさを欠いた阪神JF⑦着以外は全て③着以内という堅実派で毎度末脚は確実に使いますが、ちょっとここでは力が違ったというレベルの勝利でした。スイープトウショウの孫らしく外回り向きのエンジンを持っており、スタートが悪くてもレースを組み立てられる強みは多頭数戦向き。昨夏のデビューから2か月以内の間隔でここが7戦目というローテはプラスではないものの、動き出しが早くなり上り35秒台の決着となれば出番も。

[4]⑧コラソンビート(横山武)

前走のフィリーズレビューは陣営曰く仕上がり途上で、好位のインを進む絶好の展開ながら伸びきれず②着。元々賞金的には足りておりわざわざトライアルを使う必要のない中で、初めてでもない輸送競馬を使ったのは叩きの目的もあったと考えれば悲観する内容ではないでしょう。引き続き栗東滞在で調整された今回はコース追いに戻して動きの良さを取り戻しており、前走以上の出来にあると言えるでしょう。ただ完成度の高さを考えれば阪神JFでの上位2頭との末脚の違いは歴然で、1F延長となるここは好位を取ってどこまで、というレースになるでしょう。

[5]⑨アスコリピチェーノ(北村宏)

熱発で帰厩が遅れたとはいえ、コースを中心に熱心に追われ週ごとに時計も良化。前走の阪神JFでは道中馬群に押し込められる窮屈なレースながら我慢を利かせて直線ひと足という優等生な競馬で勝ってもおり、操縦性の高さという意味では伸びどころにきちんと誘導できる北村宏Jとも手が合っています。3歳にピークを迎えることの多いダイワメジャー産駒でもあり、現時点での完成度でも一歩リード。極端に位置を落としさえしなければ堅実に上位争いできる存在でしょう。

[5]⑩セキトバイースト(藤岡佑)

前走のチューリップ賞は想定よりも速いペースながらハナを取り切って②着好走。稍重馬場+内有利のコンディションが手伝った面は大きいものの、これまで逃げたことが無かった中で新たな一面を見せました。その前走で初コンビを組んだ藤岡佑Jがエトヴプレを蹴っての継続騎乗で、中間も2週連続で攻めに跨るなど力を込めています。デクラレーションオブウォー産駒はどういうわけか多頭数戦に弱いというデータが出ており、仮説として揉まれ弱さを内包する可能性が考えられます。そういった意味では無駄に控えるレースをしていたこれまでではなく、前走のように極端なレースをした方が気分良く走れるということも言え、引き続きハナに立つレースが出来た時には注意が必要な存在かもしれません。

[6]⑪ライトバック(坂井)

2走前のアルテミスSでは力んだ分もあり伸びきれず④着。前走のエルフィンSでも向こう正面で怪しい部分はありましたが馬群の中で辛抱して直線でも間を割っての差し切り勝ち。精神面での進境がうかがえるレース内容でした。ただ勝った2つのレースは前半の入りが36秒以上かかった平坦コースでのもので、坂のあるコース且つまともにペースが流れた時にどこまで脚を使えるかは未知数です。

[6]⑫ステレンボッシュ(モレイラ)

前走の阪神JFではデビュー以来初めて最終追いを単走で済ませての臨戦。陣営曰く、初の栗東調整でカイ食いが細ってしまったとのことでレースも-6kgでの出走でしたが、直線では進路を見つけると鋭く伸びてタイム差なしの②着に好走。ルメールJが馬群の中に進路を求めるときは調子の悪いサインで、今回は2回目の栗東で中間も順調、最終追いもウッドで併せ馬とくれば本領発揮のタイミングでしょう。

[7]⑬テウメッサ(岩田望)

2走前の未勝利戦は坂上まで進路を探りながらのレースで、いざ追い出されるとぐんぐん伸びての圧勝でした。ただ前走のアネモネSはほとんどが1勝馬という組み合わせの中キャットファイトを捉えきれずの②着で、加えて2代母のライラプスは春2冠で前哨戦好走→本番凡走を繰り返したトライアルホース。ここでの上がり目はと言われると?

[7]⑭ショウナンマヌエラ(岩田康)

前走のチューリップ賞は出遅れが全ての敗戦でしたが、切り替えて後ろから脚を遣い上り34.9はメンバー中3位。但しハワイアンティアレ同様坂で鈍っていたのに加え、新潟・東京での2戦はキレ負けを露呈してのもの。位置取りが改善すれば見せ場は作れそうですが、阪神外回り向きの末脚は現状見せられておらずで。

[7]⑮エトヴプレ(藤岡康→鮫島駿)

前走のフィリーズレビューでは前半3F33.8のハイペースを逃げ切り勝ち。イン有利のコンディションに加えてコラソンビートが本調子になかったなどアシスト要素はありましたが、スプリント戦とあまり変わらないペースで押し切ったのはスピード能力を示した一戦でした。父のトゥーダーンホットはドバウィ産駒で、デットーリJを背にサセックスSを制するなど1400~1600mで活躍した快速馬。ここはセキトバイーストがハナに立つと見られ下手に競り合ってしまうと共倒れの懸念がありましたが、元来逃げを好まない鮫島駿Jへの手替わりで状況は一変。元々番手からのレースで勝っており、2番手で折り合い後続に蓋をする役目が果たせればセキトバイーストのアシストになるばかりか自身も残せる可能性が。

[8]⑯セシリエプラージュ(M.デムーロ)

前走のフィリーズレビューは内有利の馬場コンディションながら外を回して脚を遣い③着に好走。インがごちゃつく中で外に進路を取った鞍上の判断が嵌った格好ですが、不自由なく追えた割にはもうひと足が欲しかったところ。母アットザシーサイドも4勝中3勝が平坦コースであったように、本来は2走前に上がり最速をマークした京都や前走のような内回りコースなどの方が向いているタイプ。ここも外枠は歓迎ですが、坂で鈍る分をカバーするという乗り方は出来ない鞍上だけに。

[8]⑰マスクオールウィン(津村)

500kg近い馬体の持ち主で、前走のフェアリーSでは急坂向きのパワーが活きての②着。先行馬が止まった分でもあり、お構いなしに脚を使えるメンバーが揃ったここでは前進は難しいでしょう。

[8]⑱チェルヴィニア(ムルザバエフ)

父ハービンジャー、母はフローラS勝ちのチェッキーノという血統背景からも適性がマイルにないのは明らかで、代役の選定が抽選結果が出るまでずれ込んだのも「ここで勝つため」のチョイスではなく「手戻りする前提でいかにスムーズにやり過ごせるか」を模索した線が強く、手は合っていそうですがここで全力、という態勢では無いでしょう。

<予想>
◎ エトヴプレ
◯ステレンボッシュ
▲セキトバイースト
△アスコリピチェーノ
△スウィープフィート
△クイーンズウォーク
△チェルヴィニア
△コラソンビート

2024年4月6日土曜日

【4/6(土)予想】ニュージーランドT・阪神牝馬Sの注目馬とねらい目レース(船橋S)

■中山11R/ニュージーランドトロフィー ドリーミングアップ

開催終盤の中山は得てして差しが利きやすくなりますが、ここも出走馬の約半数が先行タイプでよどみなく流れそう。器用さにこそ欠けるものの末脚は確実で、昇級後はシックスペンスやチャンネルトンネルといった重賞好走馬とも小差のレースをしています。前走のフローラルウォーク賞は最後方から運ぶも直線で終始進路が出来ずノーステッキで④着。ほとんどレースをしていない中でも33.6の末脚を使えており、馬群がばらけそうな今回は内枠もプラスに働きそう。理想は良馬場ですがこれ以上雨が降らなければ対応可能と見ます。


■阪神11R/サンケイスポーツ賞阪神牝馬ステークス モズゴールドバレル

前走の京都牝馬Sでは差し有利展開の中で先行馬最先着となる0.4差⑧着。元々叩き良化型で休み明けの敗戦は度外視できるうえ、2走前の秋色Sではコレペティトールを下して勝ってもおり重賞でも通用級のパフォーマンスは既に見せています。ここは4歳勢VS古馬勢という構図ですが、牡馬牝馬共に現4歳世代が今ひとつ人気に応えきれていない現状からすれば、近走実績からも相対的に売れにくい古馬勢に妙味アリと見ます。その中でも有馬記念からいきなりのマイル戦というローテで位置取りを落としそうなライラックよりは、落ち着いた流れの中で位置を取れそうなモズゴールドバレルを取りたいです。


■中山10R/船橋S ブルースピリット

過去1桁馬番ではG1を含め掲示板を外しておらず(2,3,1,3)と安定した成績。ここ2戦は外目の枠を引き⑥⑦着も着差はわずかで、昨夏の北海道シリーズで2度の②着という戦歴から時計の掛かる馬場も合っています。抜けた存在のいないここなら十分に通用するはずで。

2024年3月31日日曜日

【3/31(日)予想】大阪杯の注目馬

■阪神11R/大阪杯 ステラヴェローチェ
※スケジュールの都合により、全頭評価は割愛させていただきます。ご容赦ください。

ご存じの通り、ドバイ遠征が日本でもポピュラーになった今において大阪杯の地位は低下傾向を続けており、キタサンブラックなどが居た頃はおろか有力馬が春へのステップとして使ってくるG2時代と比較してもどうか?というメンバー構成。一応の中心は国内で底を見せていないローシャムパークや昨年のダービー①~③着馬となるでしょうが、その中に入れば実績断然と言えるのがステラヴェローチェです。

3歳時は皐月賞でタイトルホルダーとタイム差なしの②着、ダービーでもシャフリヤール・エフフォーリアと0.2差の③着と健闘し、同年の有馬記念でもゴール前迫るところを見せ0.3差の④着の実績があります。屈腱炎から復帰した昨秋の2戦は坂路オンリーの調整過程でまだ負荷をかけきれていませんでしたが、年が明けて従来の調整パターン(1週前CW→当週坂路)に戻せており、復調を裏付けるかのように前走の大阪城Sで後続を完封。ダービーで見せたように目標を置いて走れればどこまでも伸びていくような末脚が身上で、3歳時はやや控えすぎたレースもありました。有馬記念当時も指摘しましたが本来は位置を取りに行っていい馬で、陣営も今回はハナに立つことも厭わない姿勢を見せており、確たる逃げ馬が不在となる今回は再度自分のペースで運べそうです。この手のタイプは離れたところから一瞬の末脚でかっさらっていく馬が居ると対応できないのですが、メンバーレベル、阪神芝2000mコースの性質も考えればこの馬の勝ちパターンを脅かす存在は見当たらず。それなりに人気してはいますが復活があっても不思議ではなく、実績がオッズに織り込まれていない今回は狙い時でしょう。

2024年3月30日土曜日

【3/30(土)予想お休みします】

 終日外出のため、お休みいたします。ここまで晴れたら流石に中山も回復してくれるでしょう。

2024年3月24日日曜日

【3/24(日)予想】高松宮記念の全頭評価とマーチSの注目馬

[1]①ビッグシーザー(吉田隼)

2歳から3歳にかけOP級を3連勝し将来を嘱望されましたが、古馬戦になって一見苦戦しているように見えます。しかしながら初の古馬戦となったセントウルSは休み明け+時計が速すぎた分、オパールSは直線で詰まりまくって何も出来ず、京阪杯は終始ヴァトレニに絡まれたうえ外伸び展開を内から踏ん張っての⑤着と、何れも理由のある敗戦でした。元々二の足が速くなく、前走のオーシャンSはデビュー以来初めて2桁枠番を引いてしまった分もあり位置取りを落としましたが、最後はトウシンマカオと同じだけの脚を使っての②着と力は見せました。最内枠を引け時計が求められないこの舞台であれば注意は必要かと。

[1]②マッドクール(坂井)

昨年のスプリンターズSでは好位のインを立ち回り②着。元々暑い時期が良くなくその前CBC賞では熱中症のような症状を見せ大敗、当時の最終追いも右に寄れながら逆時計を踏むラップで決して状態が良さそうには見えませんでした。レース自体もポジションを主張した先行勢が自滅する流れの中でスピードの絶対値で残せたもの。今回調整は格段に良くなっていますが、どちらかというと1400m向きの距離適性と末脚が求められるこの舞台は向いているとは言えず。

[2]③ナムラクレア(浜中)

休み明け緒戦から全力で走るタイプ故、これまで「前哨戦で高いパフォーマンス→本番で着を落とす」という戦績が続いてきました。流石に今回はぶっつけで来るのかと思いきや、よせばいいのに京都牝馬Sを叩いての参戦(②着)。その前走は明らかに余裕残しの仕上げでここに向けお釣りを残そうという陣営の意図はよくわかりましたが、その思惑通りには馬が仕上がらなかったようで1週前追い切りでは格下に後れを取る内容。見かねた長谷川師が最終追いで自ら跨り一杯に追いましたが、そもそも2週前の時点でも同様に負荷をかけており「そこまでやるか?」という調整過程。力量は認めますが、やはりこれまでと同様に前走からの上積みとなると疑問符が。

[2]④モズメイメイ(藤岡佑)

久々に1400mを使われた前走の京都牝馬Sは⑫着。陣営は距離を敗因に挙げていますが、そもそも古馬戦は5回走って何れも2桁着順と対応できるスピードが付いてきていないと考えるのが妥当でしょう。

[3]⑤トウシンマカオ(ルメール)

右回りで高いパフォーマンスを発揮できる一方で、陣営も左回りが課題と認めています。これまでは間隔を詰めてもそれなりに時計を出していましたが、今回はかなりソフトな調整過程でもあり状態面でもプラスは見込めません。

[3]⑥ルガル(西村淳)

スタートが決まれば強い馬で、現に3勝いずれも0.5差以上の大差をつけて勝っています。芝で唯一複勝圏内を外した3走前のスワンSは、ゲートで後ろに突っ張るような格好のタイミングでスタートが切られたものでやむを得ない敗戦でした。但し裏を返せばそのようなリスクを常に抱えているわけでもあり、加えて芝を使われてからは平坦コース(京都・新潟)しか経験がありません。不良馬場は橘Sで勝っているように問題にならないものの、力のいる馬場で急坂対応がどう出るかという一抹の不安は付きまといます。

[4]⑦テイエムスパーダ(富田)

中京芝1200mコースはスタートして100mほど進むとすぐに下り坂となり、最後の300m付近で急坂が待っています。故に下り坂が占める割合の大きくスタミナを削がれやすいコースで、スピードで押し切りたいタイプには不利と言えます。テイエムスパーダ自身も過去中京では(0,0,0,3)。控えて味のないタイプでもあり自分のレースをするだけですが、ビクターザウイナーが超絶スタートの上手い馬でありハナを叩くまでにかなり苦労するはずで、そこに最後の急坂となると楽ではありません。

[4]⑧ソーダズリング(武豊)

折り合いに怪しいところを抱える馬が距離短縮で力を発揮できるように。前走の京都牝馬Sにしても、スプリンター上がりのスピード自慢が上位を独占する中で中団から脚を伸ばし勝ち切った内容は評価できます。さらなる距離短縮ローテとなる点も好感ですが、一つ気がかりなのは中間の速めの本数が2本とこれまでより少ないこと。過去連戦でも3本以上は速めをやっていたことを考えると、前走の京都の馬場が想定以上にタフだった可能性もあります。時計自体はいつも通り十分すぎるほど出ているだけに判断が難しいですが、見えない疲れ云々で言い訳をされても決して文句は言えないというのは確かかと。

[5]⑨シャンパンカラー(吉田豊)

3走前のNHKマイルCでは得意の東京コースで時計がかかった分間に合ったという色合いが強く、焦らず控える選択をした内田博Jの好判断も大きい勝利でした。安田記念の敗戦を見る限りまっとうなスピード争いでは分が悪いうえ、前走フェブラリーSで復帰する過程も不透明なものでした。ここに来ての手替わりはゲートの改善を狙ってのものでしょうが、いきなり2Fの短縮となると首尾よく出せても追走は簡単ではありません。万が一ドロドロの不良馬場にでもなれば出番はありそうですが、例年と違いまた今年2週しか使われていない中京の芝コンディションも考えれば、勝負というよりはこの路線で戦えるかどうかの確認作業と見た方が良さそうです。

[5]⑩[外]ビクターザウイナー(リョン)

前走の香港G1・センテナリースプリントCを逃げ切りG1初制覇(重賞勝ち自体初めて)。ですが4走前にはジョッキークラブスプリントで香港スプリントの覇者ラッキースワイネスとタイム差なしの②着に善戦しており、元々香港スプリント戦線で主役を張れるだけの実力があったと言えます。この馬の最大の特徴はゲートセンス。スタートした瞬間1馬身は抜け出すかという抜群の出の早さと二の足を持っており、3走前の香港スプリントでもジャスパークローネがハナを叩くのに苦労するほど。それほどまでにゲートは上手いです。

しかしながら、裏を返せば控えて味が無いというタイプでもあり、実際その香港スプリントではジャスパークローネにハナを譲りましたが直線では伸びきれず0.3差の④着。近年では珍しい「スタートから先手を奪い押し切る」タイプの、一昔前のスプリンターとでも言いましょうか現状では行けてこその馬であり、ここもテイエムスパーダが何が何でもハナを叩くとなれば相当のハイペースの中で番手追走を強いられるはず。レーティングが示す通りここに入れば本来主役級の存在ですが、左回り・坂のあるコースへの対応も未知数となるとあとは相手関係でどこまで残せるかでしょう。

[6]⑪メイケイエール(池添)

左回りは絶好の舞台で、良馬場想定であれば本命も打てるかと考えましたがあいにくの空模様。加えてこの中間は逆時計を連発しており、やはり今年から折り返し手綱が使えなくなった影響は小さくなさそうです。

[6]⑫ロータスランド(岩田康)

ここ3戦は連続して8枠を引く不運に見舞われながら小差の好走。但しベストの1400m戦でも掲示板に載るか載らないかというレベルに留まっていることを考えるとやはりピークは過ぎたと言わざるを得ず、一回りメンバーが強くなるここでさらに前進となると?

[7]⑬ウインカーネリアン(三浦)

前走の東京新聞杯は得意コースに加えコーナー径の大きいDコース開催でもあり、内目の枠から自分のレースが出来た分の②着でした。ただ同じペースだった昨年はそれで逃げ切れており、やはり年齢を重ねた分の割引は必要なことに加え前走はブリンカーを着用してようやく逃げられたという現状。前半33秒台のペースはそもそも未経験で、控えて味が出るタイプでも無し。一気に2Fの短縮となると良さを出せずに終わってしまう可能性が大きいです。

[7]⑭ママコチャ(川田)

この馬もまた距離を詰めながら折り合いをつけられておりますが、昨年のスプリンターズSでは飛ばした先行勢が揃って自滅した中スピード能力の違いで押し切った格好でした。前走で1400m戦を使ったのもここで折り合わせるための逆算ローテであり敗戦自体は度外視できますが、その前走も600mが33.1とかなりのハイペースで本来流れはママコチャ向きでした。末脚が使えるタイプでなく、33秒を切るようなペースでも行きたがってしまう気性の持ち主ゆえ、それよりは落ち着くであろう中京のラップにどこまで対応できるかが鍵になりそうです。

[7]⑮ディヴィーナ(M.デムーロ)

ハルーワスウィートの一族らしく左回りは得意で、特に中京では(4,2,0,1)と抜群の成績。但し1200mは初めてで、位置取りを落とすと良さの出ないタイプでもありここで自分のパターンに持ち込むのはかなり難しいでしょう。

[8]⑯ウインマーベル(松山)

1400m戦で2連勝。以前はブリンカーを着けても馬込みを怖がる面があり苦戦していましたが、内枠でもしっかり勝てるようになり精神面での成長がうかがえます。中京では3歳時に葵Sを勝っており、前走の阪急杯のように上がりが掛かるタフな展開でも勝ち切れる脚も持っています。ただしゲート難を抱えるこの馬にとってこの外枠はプラスではなく、加えて気がかりなのが2週前までポリトラック調整で加減しておきながら1週前と日曜にウッドで速めを乗っているその調整過程。タフな馬場を走った後のダメージを気にかけたのでしょうが、結果として追い切り不足で慌てて対応した面は否めず、これまでの臨戦と比較してプラスとまでは言えない状態です。

[8]⑰マテンロウオリオン(横山典)

前走のオーシャンSが初めてのスプリント戦。スタートから特に押さず行く気に任せた格好でしたが、道中は前がかりになる面を見せながらも後方待機からひと脚を使い⑧着でした。但し前傾戦のわりに最後も止まらず、道中10番手以下の馬はショウナンハクラクの⑥着が最高だったことを踏まえれば悪くない内容でした。NHKマイルC②着など実績のある左回りに替わるのは好材料で、現に中京もシンザン記念を勝った舞台です。


加えてダイワメジャー産駒は「重>稍重>良>不良」という性質(上図)を持ち、昼からの降雨が予想されている今日の中京は重より良くなることは無さそう。体力勝負の度合いが増すコンディションで大外ポツンが嵌れば一発も。

[8]⑱シュバルツカイザー(大野)

OPでの2勝は何れも1分7秒台の勝ちタイムで、時計勝負に対応できるスピードは持っています。ただこれまでの戦歴自体がほとんど右回りで、左回りは(0,0,0,3)。ローカル回りが長く経験が少ないとも言えますが、ダークエンジェル産駒自体が右回りと左回りでは好走率がダブルスコアで違う(下図)という事実からも、ここでは推しにくいです。


<予想>
◎マテンロウオリオン
○ソーダズリング
▲ビッグシーザー
△ビクターザウイナー
△ルガル
△ナムラクレア
△ウインマーベル
△ママコチャ
△マッドクール


■中山11R/マーチS ウェルカムニュース

前走の仁川Sではスタートが良すぎて掛かり気味に。あれだけ行けるのであれば先行勢の少ない今回も楽にポジションを取れるでしょう。3走前にはペプチドナイル等を下してカノープスSを勝っているようにOP級なら上位の存在で、比較的メンバーに恵まれることの多い関東圏のOP特別を勝ってきた人気勢との比較でも上位争いは必至と見ます。

2024年3月23日土曜日

【3/23(土)予想】毎日杯の注目馬

■阪神11R/毎日杯 サトノシュトラーセ

2走前の毎日杯は差し・まくり勢が上位を占める展開を好位外目から運び0.1差の③着。勝ったシンエンペラーはもとより、当時下したメンバーも京成杯を勝ったダノンデサイル、弥生賞を勝ったコスモキュランダ、共同通信杯③着のパワーホール、スプリングS③着のルカランフィーストとかなり強力でした。重馬場も3走前の未勝利戦①着時に経験済で、頭数の落ち着いたここは外枠でもロスなく運べれば好走可能でしょう。

2024年3月17日日曜日

【3/17(日)予想】スプリングS・阪神大賞典の注目馬

■中山11R/フジテレビ賞スプリングS ログラール

近3年は稍重以下で行われてきたこのレースも、流石に今年は良馬場で開催できそうです。コーナー4つという条件自体は同じ皐月賞トライアルの弥生賞と変わりませんが、スプリングSは良馬場で行われると短距離血統の馬が活躍する傾向にあります。


良馬場で行われた2020~2014年の勝ち馬7頭を見ると、父か母父のいずれかにマイル以下を主戦場とした短距離馬が居ることがわかります(マウントロブソンの母父ミスターグリーリーは6F~7Fで重賞3勝、BCスプリント②着)。今回の出走馬で言えばチャンネルトンネル(父グレーターロンドン)とログラール(父モーリス)が該当しますが、中山で重賞勝ちもあるモーリス産駒のログラールをチョイスします。

テンションの高さが課題ですが、前走の未勝利戦は外有利展開の中抑えきれずに2番手から運び押し切ったように能力も折り紙付き。母ディアデラマドレは500万下→1000万下を2連勝して格上挑戦で挑んだエリザベス女王杯で0.6差の⑨着、その2走後にこれも格上挑戦でマーメイドSを制するなど、上級戦でペースが流れた方が力を発揮できる血統です。比較的先行して勝ってきた馬がそろったここならペースも流れそうで、壁を作って運べれば。


■阪神11R/阪神大賞典 ショウナンバシット

シルバーステート産駒が大の苦手とする東京戦を除けば決して大きく負けているわけではなく、4走前の菊花賞にしても4角で窮屈になりスムーズに動けなかった分の⑪着でありました。3走ぶりに手綱を取るデムーロJが最終追いにも騎乗し、3頭併せの内で特に動かさず後れを取る内容でしたがこれは鞍上が好調を感じ取っているサインです。阪神大賞典は逃げ残りの確率が低く控えて脚を使うタイプの方が台頭するレースでもあり、道中じっとして4角あたりから動かしていくスタイルがこのレースに嵌ると見て抜擢です。

2024年3月16日土曜日

【3/16(土)予想】フラワーC・ファルコンSの注目馬

■中山11R/フラワーカップ ホーエリート

勝ち上がり後、百日草特別・フリージア賞とクラシックを狙う有力牡馬が集まる条件戦を使われ⑥⑦着。東京向きのスパッと切れるタイプではないものの、エンジンの掛かりにやや時間がかかることから大箱の長めの距離を使われてきた背景がありました。しかしながら前走のフリージア賞では直線で最後まで前が開かず、脚を使いたくても使えない中で0.2差と小差で健闘を見せました。コーナー径が大きいうえ直線が長くコーナーから加速する必要のない東京では逆に前が開かないリスクとの戦いでもあり、4角からばらけやすい中山であればかえってレースがしやすいはず。全員が1勝馬というメンバー構成なら差はないでしょう。


■中京11R/中日スポーツ賞ファルコンS フェンダー

先週の金鯱賞の際も触れたように、今年は年始開催が無かった分中京はインが活きています。元々ファルコンS自体ここ3年連続で1桁馬番がワンツーを決めているように内枠有利の傾向があり、前に行くにしろ差すにしろ内目の進路を取りたいところ。今年は良馬場で行われるのに加え開催からの使い込みが浅いことを踏まえれば、前を取れる馬が有利になるでしょう。では誰が前を取るかですが、戦法の定まっていない段階でもあり「前走でどのようなペースを経験したか」が大きなウェイトを占めると見ており、前走で激流に見舞われたフェンダーの一発に期待します。

その前走は入りの3Fが32.6、4Fが43.4というアイビスSD並の超のつくハイペース。フェンダー自身1200mは初めてということもあり全くついていけず、最後もルメールJは鞭を入れずほぼ流しての入線でした。それでも上りはメンバー4位の34.8をマークしているようにスピード能力は高いものがあり、再ブリンカーで臨む今回は集中して走れそうです。初勝利を挙げた5走前の未勝利戦はハナを主張してハイペースを0.7差をつけての圧勝とポテンシャルは通用してもおかしくなく、今年の馬場ならチャンスはあるでしょう。

2024年3月10日日曜日

【3/10(日)予想】金鯱賞・フィリーズレビューの注目馬とねらい目レース(アネモネS、阪神8R)

■中京11R/金鯱賞 バラジ

大阪杯の前哨戦として3月施行になった2017年以降、7年のうち6回逃げ馬が③着以内(2,3,1,1)と好走しています。中山記念などにも言えることですが、古馬中距離路線のステップレースは有力馬が多く集まる一方で、先を見据えた仕上げで臨むことがほとんどであることからここを目標にしてきた馬の台頭が可能になります。加えて本番での折り合いを気にして先行馬の譲り合いが発生することで、ハナを切った馬が比較的残りやすいという土壌も生まれます。しかも今年はこれまでと違い、変則開催で「1回中京開催の開幕週」に開催される金鯱賞。「誰が逃げるか」は例年以上に重要なファクターになり得ます。

ただ今年は確固たる逃げ馬が不在。展開次第で行ってもいい馬はヤマニンサルバムなど何頭かいますが、何れも実績馬であり本番を見据えればここで出していくことは得策ではないでしょう。それであれば、ここを目標に仕上げてきた中で先行力のあるバラジのチャンスはないでしょうか。

この中間は柔軟性の改善を目的に去勢を敢行。元々身体の固いタイプで、故に大箱の中距離戦しか使えてきませんでした。その割に大箱コースに求められるキレが無く、ここ4戦は東京・新潟と末脚勝負の舞台で苦戦を強いられてきました。それでも3走前の目黒記念は差し追い込み決着を2番手追走から0.4差⑥着に踏ん張っており、2走前の新潟記念でも当時2kgのハンデ差があったノッキングポイントから0.4差の⑤着に健闘しており、OPでも通用の素地は見せていました。最終追いこそ地味だったものの、これまでは併せ馬で内を回っても遅れていたところ併入でまとめられているのはこの馬なりの進境でしょう。実績馬はそれぞれ一長一短あるメンバー構成からも、複穴として推せる価値は十分にあると見ます。


■阪神11R/報知杯フィリーズレビュー セシリエプラージュ

新馬戦は岩田望Jが乗り内で詰まって何も出来ず⑩着、前走の1勝クラス戦は鮫島駿Jが乗り外伸び展開で内を突いて④着と、コース取りが噛み合わずに取りこぼしたレースが2つもありました。フィリーズレビューはスピードを活かして短距離戦を勝ち上がってきた馬が多く集まるレースで、最後の直線はインが詰まりがち。昨年も直線で外に進路を取った各馬が上位を独占しており、故に勝負所で外目を上手く立ち回ってこれるかが鍵になります。その点インにこだわらないデムーロJにここで手が替わるのはプラスで、母アットザシーサイドも2016年のこのレースで②着の実績があり、内回り向きのスパッと切れる末脚は親譲り。人気どころがインでもたつくようなら一気の台頭も。


■中山11R/アネモネS ソルトクイーン

関東圏唯一の桜花賞トライアルではありますが、近年ではレース間隔を嫌って本気で桜花賞に行きたい関東馬はクイーンCやフェアリーSに回るので、以前にもましてトライアルとしての地位は低下しています。メンバーレベルが下がることで、動き出しが早くなりやすいトライアルレースでは後方待機勢が漁夫の利を得やすい展開になりがちで本来はそこを狙いたいのですが、今年は控えると明言しているのが芝で未勝利のエチャケナのみ。昨年のコンクシェルのように距離短縮で臨む馬もおらずで、次点で好走候補として狙いたいのは動き出しの早いこのレースでも耐えられる「1400m戦のようなきつめのラップを前目から勝っている馬」です。「前半34秒台のマイル戦を5番手以内から勝利」を基準にすると、該当するのはサクセスカラーとソルトクイーンですが、ここでは1800mの経験もあり、その新馬戦でベラジオボンドの③着したソルトクイーンを上に採ります。シルバーステート産駒で中山適性も見込め、母系はバブルガムフェロー、ザッツザプレンティ等を輩出したProdiceの一族。3歳からの活躍が見込める血統背景で、意欲の東上を買いたいです。


■阪神8R タイセイランナー

集中力が無く短距離しか使えず、そのうえスタートが悪く他の馬を気にする面があることから外枠が欲しいというかなり注文が多い馬。それでも大外枠を引いた5走前は④着と目途の立つ走りは出来ており、外枠を引けたうえ初ブリンカーで臨む今回は一変好走のチャンスと言えるでしょう。

2024年3月9日土曜日

【3/9(土)予想】中山牝馬Sの注目馬とねらい目レース(コーラルS、中山8R)

■中山11R/ローレル競馬場賞中山牝馬ステークス アレグロモデラート

前走の愛知杯(小倉)は前半1000m通過が57.4というかなりのハイペースで、先を行った馬が3角から垂れて押し出されるようにして先頭へ。川田Jのガチ騎乗で勝ちに来たミッキーゴージャスに捕まった時点で勝負ありかと思われましたが、最後まで粘り腰を見せ0.5差の④着と健闘しました。格上挑戦でこれだけ良いレースが出来れば次は自己条件で人気必至かと思われましたが、運よくここも格上挑戦で出走が叶う形に。しかもハンデは50kgとさらに軽くなり、前走③着のコスタボニータとは5kgも差があります。距離は1800mになりますが、例年であれば60秒前後の入りとなるのがこのレースでありむしろ展開は楽になるはずで、全姉ナスノシンフォニーはホープフルS⑤着と中山適性も示す血統背景。めぼしい逃げ馬も居ないここは先手必勝で改めて期待したい舞台です。


■阪神11R/コーラルS メタマックス

2走前のカペラSは前3頭がそのまま残りそうな流れを差し込んでの③着と、OPでのめどを立てる走りが出来ました。前走のすばるSは⑨着敗退も、最終追いがテンで飛ばし終いバタバタという内容で失速もやむ無しの調整過程でした。今回は終いを伸ばす形での調教が出来ており、3走前に0.5差をつけ準OPを快勝した1400mに戻って再度期待です。


■中山8R スマートオリーブ

集中力が続かないところがあり、ブリンカーを着けこの条件に矛先を向けてから⑦②③⑬着。大敗した2戦は何れも前半33秒台のペースで揉まれまいとハナを主張し、差し有利展開を前受けしてしまったものでした。今回は隣のプラティクレールがハナを取りそうで、外の2番手が確保できそうなメンバー構成。脚抜きのいいダートでも走れており、被されずに運べれば好走可能でしょう。

2024年3月3日日曜日

【3/3(日)予想】弥生賞の注目馬とねらい目レース(大阪城S・関門橋S)

■中山11R/報知杯弥生賞ディープインパクト記念 トロヴァトーレ

昨日のチューリップ賞にもまして弥生賞は「トライアルとしての意義の低下」が顕著で、ここを使って次走皐月賞を勝ったのは2010年①着のヴィクトワールピサが最後という現状。但し出走するメンバーの質としては昨年のタスティエーラ、一昨年のアスクビクターモア、3年前のタイトルホルダーとG1馬がズラリ。皐月賞を勝てるかどうかはともかく、ここは「G1級の素質を持つ馬が活躍するレース」と考えれば、ここまでのパフォーマンスが1枚上のトロヴァトーレを素直に信頼すべき局面と考えます。

追い出してからの反応の良さが抜群で、初戦はルメールJが直線半ばまで追い出しを我慢したうえで33.8の末脚で内の各馬をまとめて交わし、2戦目の葉牡丹賞は4角から直線入り口まで前が塞がりスムーズとは言えない立ち回りの中で前が開くとスパッと伸び、こちらも33.9の末脚を繰り出し差し切り勝ち。何れも直線でフルに追っていない中でのこの上がりですから、中山コースに求められる反応の良さを備えていると言えるでしょう。1戦1戦高いパフォーマンスを見せているだけにここを使って皐月賞だと間隔が短くなる懸念があり、本番でレガレイラへの騎乗が決まっているルメールJを配してきたあたりもここはキッチリ賞金加算というのが本音のはず。シンエンペラーに加え無敗で臨む馬が4頭おりオッズも分散されることから、パフォーマンスの高さを考えれば十分買いと言える範疇でしょう。


■阪神11R/大阪城S ルージュスティリア

全4勝を福永元Jの手綱で挙げたことにも現れている通り、折り合いが難しい馬。前走の愛知杯は前半が流れたことではリズムよく運べてはいましたが、キレを引き出す騎乗が苦手なモリスJが乗っていたことに加え距離も長く最後は止まってしまいました。ワンターンの1800m、しかも最内であれば前に目標を置いて運べますし、馬場が良馬場まで回復したことも好材料。ハンデも53kgはかなり恵まれたと言え、ここは格好をつけられる舞台かと。


■小倉11R/関門橋S フィデル

2走前のウェルカムSは積極騎乗タイプのマーカンドJ騎乗で末を失くし⑪着、前走の壇之浦Sは直線で進路が開かず⑤着。それでも0.2差まで詰めてはおり、やはり新馬戦を勝ったように小倉への適性は高いと見ます。加えて坂路を50秒台で駆け上がってくる最終追いは6走前の再度山特別①着時以来で、立て直されて状態も問題なし。時計の掛かるコンディションも合っており、メンバーの落ち着いたここはチャンスでしょう。

2024年3月2日土曜日

【3/2(土)予想】チューリップ賞・オーシャンSの注目馬

■阪神11R/チューリップ賞 ショウナンマヌエラ

2歳戦の充実化に伴い、近年は牡馬・牝馬共にトライアルレースの地位低下が顕著です。かつて桜花賞への最重要ステップとされたチューリップ賞も、16年②着だったジュエラーを最後に桜花賞馬を輩出できていません。ひとえにローテーションの多様化がレベルの低下を引き起こしており、具体的には「阪神JF→チューリップ賞→桜花賞」というかつての王道ローテを歩む馬が少なくなったことが挙げられます。そしてそれはそのまま展開にも結び付いていると考えられ、レベルが高ければ瞬発力を持つ馬の出番が増える⇔逆に低ければ緩いペースで前残りになりやすい、という傾向が見て取れます。

【前走阪神JF組の頭数と③着内馬の4角通過位置】
23年 1頭 1-6-3
22年 4頭 8-8-4
21年 1頭 1-3-2
20年 4頭 2-4-1(※)
19年 3頭 3-12-10

20年だけハイレベルかつ前残りでしたが、この時は上位3頭(マルターズディオサ、クラヴァシュドール、レシステンシア)が力量が抜けていた結果であり、そこから0.2差の範囲にいた④~⑥着馬は「13-10-7」番手にそれぞれいましたので後方待機勢に向く流れであったとは言えます。

それで言うと今年は阪神JF組の参戦は「0頭」。抽選除外で朝日杯に回ったタガノエルピーダをカウントしてもわずか1頭ですから、今年は前残りの展開が期待できそうです。ただ、3歳春の段階で積極策を仕掛けるのは後の折り合いを考えるとリスクが高く、あまりやりたがる陣営は居ません。それでも先行しようとする馬はすなわち「逃げた方が良いと実績で証明している」タイプなわけで、今回のメンバーで言えば逃げて新潟2歳S②着しているショウナンマヌエラがそれに該当します。溜めて切れる脚を使えるわけではないためここも積極策を取ることが想定され、間隔を開けた方がいいタイプなだけに本番よりもむしろここでの賞金加算が本音でもあるでしょう。スタートさえ決まれば粘り込みの目も。


■中山11R/夕刊フジ賞オーシャンステークス ジュビリーヘッド

3角で挟まれたスプリンターズSと重馬場で前残りの決着となった昨年の春雷S以外はこのコースで堅実に走れており、そもそも1番人気⑤着だった昨年のこのレースでも4角から直線にかけ進路をカットされる不利を受けており、近走の着順が振るわないのも適条件に使われていないことが本質です。得意コースでG3クラスであれば十分やれるはずで、ここまで人気を落としているなら狙う価値はあるでしょう。

2024年2月25日日曜日

【2/25(日)予想】中山記念・阪急杯の注目馬とねらい目レース(小倉6R)

■中山11R/中山記念 マテンロウスカイ

開幕週に行われる重賞というだけあって、過去10年の内9年で4角4番手以内の馬が勝ち切っています。コース形態的に上がりの競馬にはなりにくいことに加え、基本的には先を見据えた馬が集まるレースになるため本番での折り合いへの影響を抑えるべく控えるレースを志向する人馬が多くなることも挙げられます。今年の場合テーオーシリウスがいますが、あの逃げについていくことは得策でないと皆わかっているため、かえって好位集団がかわいがられる展開が考えられます。

マテンロウスカイは前付けして速い脚が使えるタイプですが抑えると味がなく、2走前のリゲルSを勝った時のようにペースメーカーをおいて番手のレースができるのが理想です。前走の東京新聞杯は①~④着をラチ沿いを通った馬が独占した中で外を通っての⑤着と、重賞でも差のない力量を見せた一戦でした。今日1日中山の芝を見ましたがインは信頼して良さそうで、メインの幕張Sを勝ったニシノスーベニアのように好位からの抜け出しが決まれば頭まで。


■阪神11R/阪急杯 ルプリュフォール

前走の京都金杯はマイル戦でもペースが流れる想定で本命にしましたが、大事に乗っても3角でハミを嚙んでしまったように現状でもまだ息の入る距離は苦手で、やはり1400mが向いています。師曰く「開幕週の馬場でもあり、先入観を持たずに運んでほしい」とのことで、いつもの大外一気では間に合わないことを自覚してか位置にはこだわらない姿勢。テン乗りとなる岩田康Jの起用もその意識の表れでしょう。実際にこのコースで3勝クラス戦を勝った一昨年の斑鳩Sでは内枠から馬群の中を追走し、直線で抜け出す優等生の競馬が出来ていました。力量だけで言えば一昨年のスワンS③着に昨年のこのレースも⑥着と、メンバーの手薄な1400m戦であれば食い込める余地はあります。芝が掘れていない状態の重馬場であればなおのことコースロスを少なく回れるかが鍵となるはずで、馬場を気にして前が流れればチャンス大と見ます。


■小倉6R リルフロスト

昨夏の北海道で芝1200m戦を使われ③④④着。この3戦で先着を許した馬は既に全馬勝ち上がっており、ハイレベルなメンバーの中で善戦した経歴の持ち主です。前走で3走ぶりに芝1200m戦を使われましたが、陣営曰く4角でノメった際に蹄鉄がひしゃげてしまい、最後は流さざるを得なかったとのこと。先週の連闘も予定されていた(非抽選除外)くらいで蹄に問題は無く、この相手関係であれば力量は上位と見ます。

2024年2月24日土曜日

【2/24(土)予想】ねらい目レース(中山12R・小倉12R)

■中山12R チュウワスプリング

前走の1勝クラス戦は前半33.4という芝のスプリント戦並のハイラップを刻んでの逃げ切り。渋った馬場ではよくある話ですが、ホープフルSのあった当日は良馬場かつ4角の含水率1%台というカラカラのダート、しかも3歳牝馬が55kgを背負って過去これ以上のラップおよび勝ち時計で逃げ切った馬はなく、牡馬混合戦の1番枠(最も芝部分を走る距離が短い)でのパフォーマンスという点もポイントが高いです。昇級初戦でもここは牝馬限定戦ということもありメンバーは低調で、人気を分け合う各馬は何れも控えたいタイプ。強力な同型不在のここなら3連勝も視野に入るでしょう。


■小倉12R ホイッスルソング

ゲートで一呼吸遅れる癖がありどうしても後ろからになってしまいますが、その分4角から助走をつけられる小倉は合っています。2走前の八幡特別は外伸び馬場で内に押し込められエンジンを吹かせずの⑧着、前走の1勝クラス戦は直線で前の馬が外に張ったせいでろくに追えず0.4差④着と何れも不完全燃焼のレースで、スムーズに運べさえすれば現級突破の実力の持ち主です。内を空けなくていい今日のコンディションなら進路取りの難易度は下がるはずで、このメンバーなら十分勝負に。

2024年2月18日日曜日

【2/18(日)予想】フェブラリーSの全頭評価と小倉大賞典の注目馬

■東京11R/フェブラリーステークス

[1]①[地]イグナイター(西村淳)

キャリアのほとんどは1400m以下のレースに加え、好走歴のある盛岡ダ1600mコースはスプリンターが好走しやすいコース形態でもあります。(まともなスピードの馬が揃う)多頭数戦の経験も乏しく、この枠ですと馬群にもまれて何もできない懸念が。

[1]②シャンパンカラー(内田博)

昨秋の復帰予定が伸びた理由はハッキリとしていませんが、富士Sに特別登録を済ませたうえ当週まで追い切られていたわけで少なくとも夏負けの類ではなく、しかも木曜になって回避となると何らかのトラブルがあったのでしょう。そこから年内休養で復帰戦がダートという経緯を考えれば、およそまともに勝負を見込んでここに出してきているとは思えません。

[2]③[地]ミックファイア(矢野)

ダートは体力勝負の色が強く、当然ながら3歳馬と古馬とでは大きな差が出ます。ミックファイアにしても強いのはあくまで同世代間でのレースの話で、前走の東京大賞典2.4差⑧着というのが現在地でしょう。それでも前日時点では地方馬3頭の中で人気最上位に推されていますが少なくとも御神本Jは昨年⑥着のスピーディキックの方を上に見ているという話で、中央のスピード勝負についていける戦歴の担保もない現状では手は出しにくく。

[2]④ドゥラエレーデ(ムルザバエフ)

ここ2戦はダート最強クラス+ウィルソンテソーロの後塵を拝し連続③着ですが、何れも古馬との斤量差が1kgしかなかったことを考えれば勝ちに等しい健闘と言えます。但し元々指摘している通りこの馬はラストで切れる脚を使えるタイプではなく、ここ2戦は上がりの掛かるコースで前付けが叶っての好戦。今回初のマイル戦となり位置取りを落とすことは必至で、この馬の良さを生かし切れない懸念が大きいです。

[3]⑤オメガギネス(ルメール)

前走の東海Sは初の関西圏での競馬に加え距離延長の一戦。向こう正面で行きたがるところを良く辛抱しての②着でしたが、スローペースの1800m戦を叩いてここに向かうローテは当初からの理想だったはずです。但し、強い勝ち方を見せた2走前のグリーンチャンネルCは脚抜きの良い不良馬場。良馬場ではレパードSでライオットガールを捕まえ切れなかった経緯もあり、冬場でさらに時計の掛かる砂でどこまでの走りを見せられるかはまだ未知数です。

[3]⑥カラテ(菅原明)

この馬は爪が伸びやすく、暖かい時期になると調整が難しくなります。加えてコーナーワークに難があり、重賞3勝は何れもワンターンのコースで挙げたもの。故にこれらの条件を満たすG1はフェブラリーSとマイルCS程度しかないですが、芝よりコーナー径の小さいダートではまた話も違ってきます。一度見切りをつけたはずのマイル戦に再び戻ってくることで位置取りを落とす懸念も大きいです。

[4]⑦ガイアフォース(長岡)

昨春の始動戦で「マイラーズCか天皇賞か」という普通ならあり得ない二択に悩んだ陣営。いつぞやのキングヘイローやダンツフレームを彷彿とさせますが、その真意は「新装京都のきれいな芝でスピードを活かしたい」というものでした。3歳時に連勝した小倉と中山も3角からスピードに乗りそのまま押し切るレースの出来るこの馬にとって向いていたコースで、そこまでスピードを活かすことにこだわっていたにもかかわらず、適鞍が無さそうと見るやここに使ってきたのは理解に苦しみます。芝の二軍扱いだった昔ならまだしも、今のダート界は最初からダートで活躍することを見越した馬たちが上位を占めており、よほどの大雨でも降らない限りはこの馬の良さを出すレースにはならないでしょう。

[4]⑧セキフウ(武豊)

手前を変えなかったり暑いとやる気を出さなかったりとあてにしずらいタイプなうえ、3歳時のユニコーンS②着時以来東京遠征では大敗続き。武幸厩舎は気性面の問題を矯正するどころか悪化させる傾向があり、ドーブネやウォーターナビレラ等のOP馬も3歳時より適性距離が短くなっています。この鞍上で折り合いの心配をするのも野暮な話ですが、仮にそれがクリアされたとて、セキフウ自身がリミッターを解除してくれるかは走ってみないとわからずで。

[5]⑨ペプチドナイル(藤岡佑)

元々逃げなくても競馬ができるタイプではありましたが、2走前のベテルギウスSでは大外枠から無理をせず馬の後ろに入れて運び、最後にひと脚を使うレースで勝利し進境を見せました。マイルは初めてですが気のいい方ですから追走に手間取ることも無さそうです。ただ、近年の藤岡佑Jは戦法を決め打ちしてくる騎乗が多く、相対的に騎手レベルの低いローカル戦では無双できます(大外ぶん回しの多い丹内Jやイン突きにこだわる鮫島駿Jにも同じことが言えます)が、リーディング上位勢があの手この手のプランBを繰り出してくるメイン場では成績が低下。今年挙げた9勝も全て小倉でのもので、自分の思い通りにレースが運ばないときの脆さはジャックドールの降板劇にも現れています。これは体形などにも起因する個々の騎乗スタイルの問題なので今更どうこうという話ではなく、こういう舞台で積極的に買える騎手ではない、というのが個人的な評価です。

[5]⑩タガノビューティー(石橋脩)

前走の根岸Sは出遅れもそうですが、前半3Fが35.8、4F通過も48.3とまるで2000m戦かと見間違うくらいのスローペースで末脚を繰り出しても追いつけなかったことが痛かったです。この馬自身も35.4で上がってきており、昨年の根岸Sの35.3と大差ない脚を使えてはいました。石橋脩JはクイーンCのテリオスサラでも同様の出遅れをかましており、相対的にもスタートの信頼度が低い騎手であることは間違いないのですが、前走の結果を以てこの馬の能力を低く見積もる理由にはならないはずで、締まったペースの本番は改めて実力を発揮してくれるはずです。

[6]⑪キングズソード(岩田望)

マイルの経験はなく、それ以下の距離も1勝クラス時代に1400mで0.8差⑥着という実績があるのみです。5走前のアンタレスS③着時のように前半のペースが流れると取りこぼすタイプで、1700mの勝ち星も50kgの今村J騎乗時と「小倉の勝ち方を知る」川田Jの手腕で挙げたもの。前走の東京大賞典ではJBCクラシックの鮮やかな勝ち方がウソのような⑤着で、相当騎手を選ぶ馬であることは間違いないうえ、全兄キングズガードも東京コースの重賞(=1600m以下のレース)では(0,0,0,6)。この舞台で前進を望む要素は見当たりません。

[6]⑫[地]スピーディキック(御神本)

末脚は素晴らしいものを持っていますが、中央相手のペースだと使える脚が一瞬で直線の長い東京コースでは脚の使いどころが難しいです。昨年のこのレースでは⑥着と健闘を見せましたが、伸びかけたのは前が壁になり追い出しを待たされた分脚が溜まった結果であり、実際の上がりタイムはレースと同じ36.5でした。前走の東京シンデレラマイルも、2kgのハンデ差とは言えJBCレディスクラシックで2.9差⑧着と歯が立たなかったラブラブパイロ相手にタイム差なし、それも圧倒的な差し有利展開での辛勝だったわけでここでの通用と言われると?

[7]⑬レッドルゼル(北村友)

間隔を開けた臨戦で好走するタイプで、昨年のフェブラリーSも3か月の休み明けで②着と善戦。前走の武蔵野Sは夏負けが尾を引き完調ではなかった中で③着と力を見せており、まだまだここで走れるだけの力量は持っています。本質的にマイルは長いうえ戦法が限られることからどうしても展開や馬場の助けが必要ですが、ダート経験が少なかったり被されたくない馬が内枠に多い今回は前半からそれなりにペースが流れることが想定され、良馬場想定もこの馬には向いてくれるでしょう。但し、この年にして調教で相当行きたがっている面を見せているのは距離延長局面では懸念材料で、陣営もテンションに配慮して木曜追いでソフトに仕上げざるを得なかった点は少なからず割引が必要です。安田隆厩舎最後のG1にもかかわらず、川田JがG1を勝ってもいないサトノグランツの遠征(それもカタールのG3)を優先したあたりもここへの気合の入り方が透けて見えるだけに。

[7]⑭ウィルソンテソーロ(松山)

チャンピオンズCはスタートで出遅れるもレモンポップから0.1差の②着、東京大賞典は積極策でウシュバテソーロから0.2差の②着という戦績を考えれば、ここでは能力最上位というのは疑いないでしょう。そもそも交流重賞3勝、ダートでは掲示板を外したことが無かっただけに「実力馬が実力通りに走った」というだけの話ですが、それでもここ2戦がそれぞれ12番人気、6番人気と伏兵扱いされていたのは、この馬自身にG1経験が無かったこともそうですが重賞未勝利の原Jが鞍上だったということが全てでした。確かに明らかにマイナスな乗り替わりもある中、原Jをはじめ「実力が過小評価されている」タイプの騎手は配当面では妙味しかなく積極的に狙いたいですが、(騎乗経験のある戸崎Jでないのは何故、というツッコミはさておき)実績十分の松山Jが乗るとなればボーナスタイムは終了。この人気が本来のこの馬の実力を示しているというべきで、むしろこれでもまだオメガギネスのお蔭で2番人気に甘んじているという考え方もできます。

[8]⑮ドンフランキー(池添)

33秒台も厭わない速いペースで入り、最後は止まりながらも押し切るという典型的なダートのスプリンターです。ダートではマイル経験はなく、1800mで1.0差⑦着が一度あるのみで距離適性の裏付けには乏しいうえ、直線の長い東京で37秒台の上がりでは間に合わないでしょう。

[8]⑯アルファマム(キング)

折り合い面の課題もあり、良績は1300m以下に集中。2走前の霜月Sはかなりのハイペースで差し有利展開になって届いたもので、今回同じ展開になったとしても初のマイル戦で脚が持つかどうかは未知数です。

<予想>
◎ウィルソンテソーロ
○タガノビューティー
▲レッドルゼル
△オメガギネス
△ドゥラエレーデ


■小倉11R/小倉大賞典 マイネルファンロン

この馬は調教の動きと調子が直結するタイプで、この中間はウッドで長めから時計を出し5F65.2-12.1をマーク。6F以前から時計を出しつつ5F65秒台をマークするのは、21年の新潟記念を勝った時以来の好時計です。障害から戻ってのここ2戦は着順こそ⑦⑩着と地味ですが、2走前の中日新聞杯は0.5差と着差程負けてはおらず、前走の中山金杯にしても最後まで進路が開かなかった中0.7差まで押し上げており力量差はわずか。最終週で直線馬群がばらければあとは伸びるのみで、年齢で軽視するのは危険でしょう。

2024年2月17日土曜日

【2/17(土)予想】ダイヤモンドS・京都牝馬Sの注目馬

■東京11R/ダイヤモンドS ハーツイストワール

最後の3Fでギアチェンジするレースが得意なタイプで、東京コースは(3,6,0,3)と良績が集中。得てして長距離戦は残り1000mくらいから加速が始まるレースが多いですが、その多くは阪神や京都といった3~4角の下り坂でラップの上がるコースで行われていることに起因します。ここはめぼしい逃げ馬も見当たらず、かつ距離に不安のある馬ばかり。淡々と流れて最後の直線勝負になりそうな流れはこの馬に向くはずです。


■京都11R/京都牝馬S シングザットソング

ここも主戦場が1200mだったり左回りの方が向いている馬が多く、1400mの重賞を勝っているのはこの馬を含め3頭だけ。うちメイケイエールは右回りで信頼度が一枚落ちるタイプで、ロータスランドは流石に7歳という年齢に加えて今年も大外枠を引いてしまい、前付けしたいこの馬にとってはマイナスな条件です。それならばここに来て折り合いに進境を見せている昨年のフィリーズレビューの覇者を狙いたいです。

2走前のオパールSで初めて1200mを使われ、控える競馬から脚を伸ばし0.1差の②着。前走の京阪杯も中団後ろで折り合えましたが、直線で行くところ行くところ進路が塞がれ不完全燃焼の⑨着でした。陣営も今ならば1400mに戻しても良いと手ごたえを得ており、今開催の京都ならば最後の直線も馬群がばらけ捌きには苦労しないはず。得意距離での巻き返しに賭ける手はあるでしょう。


2024年2月11日日曜日

【2/11(日・祝)予想】共同通信杯の注目馬とねらい目レース(北九州短距離S)

■東京11R/共同通信杯(トキノミノル記念) ベラジオボンド

先週のきさらぎ賞の時にも話題にした通り、近年皐月賞への重要ステップレースとして有力馬の出走が増えているのが共同通信杯です。東京芝1800mというコース自体はワンターンでマイルに近い適性が求められますが、このレースに限って言えばより長いレースを志向する馬たちの集まりということもあり、中盤がしっかり緩んで最後の3Fが11秒台前半の上がり勝負になるという中距離戦らしいラップを刻みます。今回の出走メンバーの中で「最終3Fが全て11.5以下のレースを勝った経験がある馬」はベラジオボンドとジャスティンミラノの2頭。ただジャスティンミラノの勝った東京戦は1400m区間までずっと12秒台を刻んだただのドスローなのに対し、ベラジオボンドの阪神戦は36.0-37.4-34.1としっかり緩急のついたペースで脚を使えており、こちらの方が共同通信杯の適性が高いと見て本命にします。何かと株を下げるレースが続いている岩田望Jですが、余計に嫌われている今が買い時でもあるでしょう。


■小倉11R/北九州短距離S カリボール

短期免許期間を1か月残し帰国したイギリスのモリスJ。結局(1,3,7,60)という散々な成績で日本競馬への適性は証明できませんでした。彼の最大の問題は「自分の(=欧州流の)騎乗を証明したい」というスタンスで終始日本のレースに臨んでいた点に尽きると考えています。馬場も馬の造りも欧州と全く違う日本の競馬では明らかに早仕掛けと思えるレースを連発(これはバシュロJ等他の欧州組にも言えることですが)しており、それを修正する気もないのであれば関係者の信頼を得られないのは当然です。

そのモリスJが前走跨ったカリボールも、本来出していくと甘くなるタイプ。それでも前走は内有利馬場のお蔭で0.4差⑥着に粘りましたが、理想は昨年のこのレースで0.2差⑧着した時のようにじっくり溜めるレースです。今の小倉なら1分8秒台で差しの決まるレースが期待でき、この馬の持ち時計でも十分対応可能。久々に最終をコース追いでやれており状態も心配なさそうで、中枠に先行タイプが多いこの並びからも前崩れ期待で狙います。


※京都記念は人気どころに信頼を置けず、台頭を期待できる伏兵も見当たらないことから予想は見送りといたします。

2024年2月10日土曜日

【2/10(土)予想】クイーンCの注目馬とねらい目レース(紫川特別)

 ■東京11R/デイリー杯クイーンカップ  コスモディナー

前走の阪神JFでは輸送で−22kgと大きく体重を減らした上、最内枠で押し込まれストレスの掛かる競馬に。それでもゴール前で併せる形になるともう一伸びを見せた内容は悪くなく、まともなら掲示板は伺えるかと思わせるレースぶりでした。この中間2週にわたりウッドで好時計を連発したところを見ると身体は問題なさそうで、関東圏に戻って万全の状態で走れれば一発の魅力は十分です。

■小倉11R/紫川特別  アカノストロング

中央再転入後は⑦⑪着(交流除く)と地味な成績ですが、⑪着の前走はハイペースの中ヤマニンウルスを追いかけて失速したもの。⑦着だった1勝クラス戦にしても外の好位を取るまでに時間がかかった分で、直線でも下がらなかった内容を見れば外枠を引ければ変わる余地はあると見ています。上記2戦はメンバーも強く、今回絶好枠から無理せず好位の外目を取れればやれてもおかしくはありません。

2024年2月4日日曜日

【2/4(日)予想】東京新聞杯・きさらぎ賞の注目馬とねらい目レース(白嶺S)

■東京11R/東京新聞杯 ホウオウビスケッツ

過去10年で逃げ切りが3回、逆に4角10番手以下からの差し切りが2回しかなく、切れ味勝負になりやすい東京で行われる重賞としては少々特殊な傾向があります。2月の東京は芝の生育面で春や秋の開催に劣るうえ、Dコース開催でコーナー径が最も大きい時期に開催されることもあり外を回るロスが大きくなってしまいます。故に、好発を決めた逃げ先行勢がポジション的に優位になるわけですが、それでもレースの上がりは34秒台が水準。行った行ったのレースで勝つタイプでは駄目で、速い上りで走り切れる能力が求められます。

今回の上位人気を見渡すとマスクトディーヴァ、ウンブライル、ジャスティンカフェと見事に後ろから行くタイプだらけ。しかしジャスティンカフェは昨年取りこぼしたようにこの時期の東京は合ってなく、4歳牝馬2騎はリバティアイランドやブレイディヴェーグのお蔭で人気していますがレベルが高いのはそれら一部のトップクラスのみで、現4歳世代が5頭出走した昨年のターコイズSはソーダズリングの④着が最高と、斤量差を以てしても壁を崩せていません。本当に強い可能性もありますが、世代限定戦のみの経験で買われているのは少々過剰人気かと。それならば適条件に戻ってくるホウオウビスケッツに期待したいです。

実際、牡馬も上がり馬のドゥレッツァが菊花賞を制したりクラシックホース2騎が有馬記念で及ばなかったように、レベルとして疑問符がつくことは事実です。しかしながら、5走前にフリージア賞をレコード勝ちしたようにスピードを生かしたいホウオウビスケッツについては、ここ4戦は不適条件に使われ続けたおかげで着を落としていると踏んでいます。スプリングS・皐月賞は重馬場の中山、ダービーは距離が長いうえコーナー4つ、中日新聞杯もコーナー4つの急坂コースで、ベラジオオペラくらいしか相手がいなかったスプリングS②着も含め敗因はハッキリしています。その中でもダービーはパクスオトマニカがハナを主張し出がけに思いっきり引っ掛かった中、坂上まで見せ場を作っての0.2差⑥着。最後脚が上がりながらも3Fを34.0でまとめてきたところにはやはり高いスピード能力がうかがえます。

今回はそのフリージア賞以来のワンターンで折り合い面も不安なく、先行優位の今の東京も味方につけられると見ています。極めつけは中間3週連続で岩田康Jが駆けつけ調教をつけている点。ノースブリッジに代表されるように在厩調整に定評のある奥村武厩舎ですが、その3週ともウッドで52-11秒台の加速ラップを刻み、負荷のかけ方としては過去一と言ってよいレベル。夏負けで毎日王冠を見送った経緯もあり、気候的にもこの時期の方が力を出せそうでここは大きく狙いたい局面です。


■京都11R/きさらぎ賞 テイエムリステット

昔のきさらぎ賞と言えばスペシャルウィーク、ナリタトップロード、ネオユニヴァース等クラシックに直結する出世レースでした。しかし元々この時期の重賞は頭数が揃いにくいことに加え、2歳路線の整備により有力馬がここで賞金を加算する意義が薄れたこともありメンバーは年々手薄に。2月の京都は雨や雪など天候に恵まれないことも多く荒れた馬場を避けたいという理由に加え、最近ではトライアルを使わず春のクラシックを見据えた遠征をこの時期に経験させたいという関西陣営の思惑もあり、今や出世レースの座は共同通信杯に取って代わられています。

それで何が起こっているかと言えば「非ディープのよくわからない穴馬が突っ込む」ケース。京都開催の2020年以前を見ても、20年の勝ち馬は7番人気のコルテジア(父シンボリクリスエス)、19年も②着に6番人気タガノディアマンテ(父オルフェーヴル)、③着に7番人気ランスオブプラーナ(父ケープブランコ)と非ディープ系の善戦が見られます。メンバーが揃わない=社台系の主流血統馬が少ないということでもあり、それは決着時計の遅さに現れています(16年にサトノダイヤモンドが勝った時は1.46.9、以降は1.48以下の勝ち時計)。今の京都のような馬場ならなおさら、ディープを持たないクラシックを見据えた3歳春の重賞ではいかにも人気しないような馬でもチャンスがあると言えるわけです。

モーリス産駒のテイエムリステットは前走のシンザン記念で0.6差⑥着。ノーブルロジャー、ウォーターリヒトといった上位陣が外を回す中ラチ沿いの轍を進んで小差の健闘を見せた内容は評価してよく、ダートで勝ち上がった実績もあり痛みの進んだ今の京都の芝は合っています。ここ2戦はゲートで飛んでいきそうになったり芝の切れ目に驚いたりとまだ若さを存分に見せながらも結果を残しており、空き巣レースで手堅く賞金を稼ぎに来た藤原英厩舎のファーヴェントを除けば抜けた実績馬は見当たらず。この相手関係なら食い込める余地はあるでしょう。


■東京10R/白嶺S カズプレスト

再転入後連を外したのは距離不適の1800m戦とスタートで躓いた6走前の麦秋Sのみ。カレンブラックヒル産駒らしくワンターンでスピードを活かすレースが合っており、再転入後の2勝は何れも今回と同じ左回り+芝スタート+ワンターンの中京1400m戦。狙いすました東上で(0,3,0,0)の津村Jに手が戻るのも好材料。上位争いは必至と見ます。

2024年2月3日土曜日

【2/3(土)予想】ねらい目レース(アルデバランS、春菜賞、テレビ山梨賞)

■東京9R/春菜賞 キャンシーエンゼル

前走のファンタジーSはインを突いた馬が上位を占める中、終始外を回らされる苦しい展開。前に壁も作れず力みながらの走りで最後はガス欠というレースでした。小頭数の内枠であればスムーズなレースが可能なはずで、小倉2歳Sで牝馬最先着の③着という内容はここでは一枚上。前走大敗で人気を落とすようならここは妙味アリと見ます。


■東京10R/テレビ山梨賞 アルママ

約7か月ぶりの前走は輸送で大きく体を減らし-12kgでの出走。好位から直線では見せ場なく下がってしまい⑩着でしたが、0.8差に踏ん張れたのは収穫でした。休み明けを叩かれ府中に戻る今回は見直せてよく、前走現級で掲示板が3頭、昇級初戦が1頭という低調メンバーなら十分通用しても。


■京都11R/アルデバランS ゼットリアン

地元競馬が合うタイプ。3歳時のヒヤシンスSでは-14kg、前走の師走Sも-8kg遠征競馬では大きく体重を減らしてしまい力を発揮できませんでした。距離を延ばしてからは安定して末脚を使えてもおり、最後に前が止まりやすい京都1900mコースは2走前に観月橋Sで勝っている格好の舞台です。人気どころも一長一短というメンバー構成で、人気どころのスンナリ先行を許さじと各馬が早めに動く展開にもなれば頭まで。

2024年1月27日土曜日

【1/28(日)予想】根岸S・シルクロードSの注目馬

■東京11R/根岸ステークス タガノビューティー

中央競馬でダート1400mの重賞というのはそもそもプロキオンSとこのレースの2つしかなく、地方交流競走は枠も限られることから実績馬が揃う上、ペースも流れやすい舞台設定となっています。イメージとしては34秒台で入り35秒台で出てくるようなスピードとキレが求められ、故に上り37秒くらいでスピードだけで押し切るタイプや、前半の位置取りを落とす他力本願の末脚特化型の馬は厳しくなります。

かつては末脚特化型だったタガノビューティーですが、昨年のこのレースからブリンカーを装着し速い流れでもついていき確実に末脚を使うようになってから成績が安定。その昨年こそ強い上位勢の前に④着に屈しましたが、その後コーラルSで2年ぶりの勝利を挙げるとかしわ記念でも②着、昨年の武蔵野Sでも②着に好走。連を外した2走前の南部杯は前が止まらない短距離馬向きの展開の中④着、その前のプロキオンSは異常歩様で参考外と言えます。元々朝日杯FSでも④着の実績がありスピード勝負に対応しうる素地はある上、東京コースでは5勝の実績。強力先行勢の中でも確実に脚を使える存在として、人気でも中心視でしょう。


■京都11R/シルクロードS トゥラヴェスーラ

連続開催の京都は先週・今週とBコースを使用。重馬場の先週ほどではないにせよ依然として時計は掛かっており、今日の最終レースの1.21.7という勝ち時計は昨秋の開催最終盤の2歳未勝利戦と同水準の勝ちタイム。京都開催のシルクロードSは年を追うごとに時計がかかっており、前回2020年のアウィルアウェイの1.09.0という水準を考えれば、限りなく1分10秒台に近い決着が見込まれます。

トゥラヴェスーラのここ3戦は1分7秒台前半の決着が続き④⑥④着。大きくは負けていないものの時計面の限界もあり善戦どまりとなっています。過去3年、重以下で行われた高松宮記念で④④③着と時計の掛かる決着は得意とするところで、かつドリームジャーニー産駒で荒れたタフな馬場にも実績十分で、左回りかつもう少し内目の枠がベストでしたが今回は久々に時計的には間に合うチャンスと見ます。9歳馬に重賞未勝利の鞍上と人気を落とす要素は満載も、決して弟子への温情ではなく師が「今なら合う」と満を持して永島Jを起用してきました。2週前、1週前と坂路で好時計からの当週軽めはいつものパターン。鼻出血持ちのこの馬にとっては一戦一戦が落とせないレースで、陣営の本気度を見誤らずに狙いたいです。

【1/27(土)予想】ねらい目レース(東京8R、小倉12R)

■東京8R キタサンドーシン

右回りで(0,0,0,4)に対し左回りで(2,2,2,4)。着外の内1回は⑤着、2回は芝、ダートで⑧着に敗れた東京戦も他の馬に寄られて向こう正面で位置を下げる不利があってのものでした。右回りの前走は度外視でき、力のいる良馬場も得意にしています。北村宏J・永野Jいずれも負傷により、6戦ぶりに手綱を取る岩田康Jは今日この1鞍のためだけに東京へ。園田時代を含めても「東京遠征で平場1鞍だけの騎乗」はこれが初めてで、勝機を意識しての東上にも期待です(逆にこれで勝てなければ、今の同騎手の立ち位置はこんなものという証明にもなってしまいますが…果たして)。


■小倉12R ロードリライアブル

いつも自分の脚は使えるのですが、周りも速い上りを使われてしまうと間に合わないというタイプ。前走の1勝クラス戦は前半まともに掛かってしまいレースにならずで、距離短縮で臨む今回は折り合いもマシになるうえ、良馬場且つ荒れ馬場の今の小倉であれば最後に周りが止まって間に合う期待大。

2024年1月21日日曜日

【1/21(日)予想】AJCC・東海Sの注目馬とねらい目レース(京都7R)

■中山11R/アメリカジョッキークラブカップ クロミナンス

人気を分け合うのが「今や宝塚記念へのステップレースとしての意義を失い伝統だけの空き巣G2」である目黒記念を勝ったボッケリーニとマイネルウィルトス、チャックネイト等重賞未勝利のメンバー。反動の大きいタイプでもあるボッケリーニは前走タイム差なし②着の後の中6週でどこまでパフォーマンスを戻せるかが未知数ですし、マイネルウィルトスは馬場適性は認めてもトリッキーな中山コースへの対応が鍵。チャックネイトは近2走何れも差し有利展開に乗じての好走で、スローペース+末脚を削がれるであろうこの舞台に適応できるかが課題という現状です。

クロミナンスは明け7歳。前走のノベンバーSでようやくOP入りしましたが、これまで3度の骨折があり順調に使えてこなかったこともありまだキャリアはわずかに10戦。前走は東京でキレ勝負を制しましたが、元々中山でも2勝しており好位から勝負できるタイプです。今回のメンバーを見渡すと控えたい馬が多く、場合によってはこの馬が逃げる可能性も。ゲートが開いて瞬時の判断で前につけられる可能性があるこの鞍上であれば、今日の展開利を最も享受できる存在と見ました。


■京都11R/東海テレビ杯東海S オーロイプラータ

先ず一言。
中京でやらないなら東海S名乗るのやめてくれませんかねぇ…紛らわしいことこの上ない。

今回G1級の古馬の参戦はなく、3歳時から古馬相手に善戦してきた馬がその成長力で伍する可能性は十分にあると考えています。その筆頭はオメガギネスですが、前走のグリーンチャンネルカップは②着のベルダーイメルと実に5kgの斤量差があっての0.6差勝ち。単純に1kg=0.2秒と考えれば実はベルダーイメルに負けてしまっているわけで額面通りの評価はできず、加えてワンターンの前走と今回とでは舞台条件も全く異なるうえ、大和田厩舎は関西以西で(1,4,7,112)と極度の遠征下手。勝ち星の大半は東京・中山で、開業以来京都の平地では勝ち星がありません。オメガギネス自身も唯一の遠征競馬となった2走前のレパードSはライオットガールに不覚を取っており、泥をかぶりたくないと考える各馬が好位を取ろうと先行争いが激化すると前半の消耗が大きくなる懸念もあります。

こうなると、末脚タイプかつ大外枠を引いたオーロイプラータに期待したいです。前走のカノープスSではインを立ち回った上位2騎に対し外を回して③着と力を見せ、斤量も勝ったウェルカムニュースとは1kg差。今回も5歳以上馬との斤量差は1kgのままですから、成長と展開利が加算されれば十分足りてよく、ハイペースで最後に前が止まる流れになれば。


■京都7R ブリタニア

芝に転向した前々走・前走で掲示板に載った馬たちは何れも次走で入着。特に前走を勝ったマイネルエンペラーに至っては昇級初戦の尾張特別を連勝しており、ハイレベルなメンバーの中で善戦しています。元々はダートで新馬勝ちしておりこの2戦は良馬場のキレ勝負についていけていない感じでしたが、今日の馬場コンディションなら英国産種牡馬ハービンジャーの血が騒ぐはずで。

2024年1月20日土曜日

【1/20(土)予想】ねらい目レース(中山6R・東雲賞)

■中山6R クラート

ここ2戦は格上挑戦で、自己条件(未勝利)に戻るのは3戦ぶり。2歳の1勝クラスやOPは頭数が少なくなりがちで、ミルファームや田頭氏の所有馬、また森厩舎の管理馬などが多く格上挑戦していました。その多くは⑨着(OPなら⑩着)以内に進呈される出走奨励金(1着賞金の2%~)目当てで、特に以前はOP競走ならタイムオーバーでも満額支給されていたので出るだけで得だったのですが、2019年から未勝利馬に限りタイムーオーバーの場合は支給されなくなりました(発端となった事象は「ヘヴィータンク事件」を参照ください)。これによりおよそ勝負にならない馬は出しても意味がないため、以前より未勝利馬のOP挑戦は減ってしまいました。それが何だという話ですが、このクラートはミルファームの馬でデビュー戦で⑨着したのち未勝利の身でダリア賞に挑戦し、2.8差の⑨着で出走奨励金+特別出走手当+内国産馬奨励賞の173万5,000円を満額ゲット。前走の芙蓉Sでも1.6差の⑧着で同額を持ち帰っており、「OPでもタイムオーバーにならない程度の実力」は持っているどころか逆にタイム差を縮めており、ミルファームの伝統芸と片づけられないレベルの健闘を見せています。

加えてデビュー以来なかなか負荷をかけられてこれませんでしたが、この中間は古馬を相手にウッドで1.3秒先着するなど急上昇。減り続けていた身体も戻っており、ようやく本領発揮となれば未勝利では侮れません。


■中山10R/東雲賞 マイネルニコラス

前走の初日の出賞は微妙に距離が長かったことに加え、3角でまくってきた馬の直撃を受けハミをかむ場面もあり最後に止まってしまいました。前に馬を置いて折り合わせる形なら見直せてよく、戸崎Jがグランドラインでなくこちらを選んだ背景も加味すれば好勝負必至でしょう。

2024年1月14日日曜日

【1/14(日)予想】日経新春杯・京成杯の注目馬とねらい目レース(中山5R・8R)

■京都11R/日経新春杯 ヒンドゥタイムズ

前走の京都大賞典は開幕週でイン有利の展開を外を回して0.2差④着と悪くない内容。去勢して幾らかマシになったとはいえやはり寒い時期の方が調子を上げる馬で、ハービンジャー産駒らしく力のいる馬場も得意とするところです。人気薄での好走が目立つルメートルJへの手替わりもプラスで、前走だけ走れればここでも十分通用するはずです。


■中山11R/京成杯 ダノンデサイル

前走の京都2歳Sはシンエンペラーから0.1差の④着。直線では進路を切り替えるロスもあり、ゴール前の末脚だけならこの馬が一番見どころがありました。安田翔厩舎は昨年オメガリッチマンを遠征させ②着しているようにこのレースをターゲットにしており、横山典Jを配してきた今回は勝負気配でしょう。


■中山5R メイパワー

関東馬にもかかわらず阪神の新馬戦におろして⑤着。16番枠からのスタートで終始壁を作れず、メリハリのない競馬になってしまった割には最後まで頑張りました。


上記の通り、元々ファインニードル産駒は阪神コースを鬼門としており、最も出走数が多いにもかかわらず唯一勝利がありません。中山替わり、内枠替わりで好転は必至で、好発から壁を作って進めれば。


■中山8R プラウドヘリテージ

過去6戦すべてダートを使われていますが、今回と同じダートスタートで(2,0,0,0)に対し芝スタートでは(0,0,0,4)。前走の2勝クラス戦も芝スタートの東京ダ1600mで、芝部分の行き脚はひと息。デビュー戦は1700mを逃げ切っておりコーナー4つの1800m戦なら守備範囲と見られ、近走逃げた馬が居ないメンバー構成からもスンナリが叶えば一発。

2024年1月13日土曜日

【1/13(土)予想】愛知杯の注目馬とねらい目レース(淀短距離S、ニューイヤーS、中山6R)

■小倉11R/愛知杯 アレグロモデラート

2走前の能勢特別の内容を評価したいです。当時は56kgを背負い、55kgで②着だった3歳牡馬アスクドゥポルテを完封。後半4F11秒台が続くラップを押し切っており、向こう正面から下り坂が続く小倉のコース形態もこれに似たラップを刻むことから舞台適性は高いと見ています。このレースは修学院S組から3頭が出ていますが、当時の斤量差で言えば勝ち馬ミッキーゴージャスと0.7差⑥着だったこの馬は同斤で、今回3kg(=約3馬身≒0.6差)の斤量差は妥当と言えるでしょう。その上で、当時⑤着だったセントカメリアに対しては斤量差が1kg→3kgに拡がるので計算上は優位に立っていること、器用な立ち回りが要求される小倉2000mコースで内目の枠を引けたことを踏まえれば人気差ほどの力量差は無いはずです。


■京都11R/淀短距離S キャプテンドレイク

冬場に良績が集中する馬で、かつ休み明けは太目が残りやすく走らないタイプ。前走のタンザナイトSは+16kgとお釣りを残した仕上がりでしたが、最後方から0.5差⑥着まで押し上げてきました。芝が脆く先行勢がスピードを生かしにくい今の京都の馬場ならば間に合ってよく、得意時季、叩き2走目の前進期待です。


■中山11R/ニューイヤーS フィールシンパシー

中山マイルで崩れずに走れていますが、2走前の紅葉Sでは1.31.9の勝ち時計をマークしており時計勝負への対応力も見せています。月曜の最終レースで1.32.5の時計が出たように今の中山は高速決着が見込まれ、メンバー中唯一マイルで1分31秒台の時計を持っているこの馬の出番と見てよいでしょう。


■中山6R バビロン

過去2戦とも東京の1800m戦に使われ⑥⑦着。前走の未勝利戦は直線で進路を探しながらの分もありましたが、何れも速い上りに対応できていませんでした。現3歳世代が初年度となる父アルアインは現役時代皐月賞・大阪杯と上がり勝負になりにくいG1を2勝しており、サンプルは少ないながらも東京芝は延べ15頭が出走し(0,1,0,14)と苦手な様子。半兄のワセダインブルー、ハイエストピーク、ダイワチャーチルも揃って東京で勝てず→中山で未勝利勝ちという経歴をたどった兄弟で、この舞台替わりが吉と出れば。

2024年1月8日月曜日

【1/8(月・祝)予想】シンザン記念の注目馬とねらい目レース(寿S)

■京都11R/日刊スポーツ賞シンザン記念 デルシエロ

今開催の京都は昨秋の傷み自体は残っていないものの、オーバーシードされた洋芝の根付きが悪いようで良馬場にも拘らず金杯デーからボコボコと芝がめくれていました。その結果、その金杯こそ岩田康Jのお家芸が炸裂するほどイン有利だったのが日曜になり表面の掘削が進み差し有利馬場に一変。昨日の最終レースも田口Jのグランツベリーが難なくハナを奪い、前半3F34.4という無難なペースからも勝ちパターンかと思われましたが、最後は差し勢の台頭に遭い⑤着。差しの効く馬場になっていることは明らかですがかといって外が有利かと言われるとそうでもなく、掘れ方からして恐らく馬場の五分どころあたり(下記画像緑枠)までオーバーシードされていると思われ、さらにその外を回そうとすればかなりのコースロスを覚悟しなければなりません。


加えて上がりも相当かかっており、例えば前開催で最後のマイル戦となった3勝クラスの清水Sのレース上りは33.6、最速は③着だったスズハロームの32.6でした。一方昨日行われた同じ3勝クラスの新春Sは清水Sより1F短く速い上りが出てもおかしくない条件にも拘らず、レース上りは35.5、上がり最速で勝ったサンライズロナウドでさえ34.4と2秒ほど上りを要しています。こうも上りが掛かると、人気になるであろう東京勝ち上がり組やノーザンファーム生産のキレキレタイプよりタフなタイプを狙うのが理にかなっているでしょう。

本命を打ったデルシエロは徹底した昼夜放牧で鍛え上げられた岡田スタッドの生産馬(ちなみに隣のノーブルロジャーはノルマンディーですが外国産馬)。レイデオロ産駒らしくキレキレというよりはタフさで勝負するタイプで、ここ2戦は距離不足で位置取りを落としていた分もありました。距離延長で位置取りは楽になるうえ元々はマイルの新馬戦を勝っており、適度に時計の掛かる今の京都も合っています。18頭立てで内目の枠を引けた利も大きく、積極騎乗が板についてきた坂井Jの手綱なら侮れません。


■京都10R/寿S エーデルブルーメ

前走の魚沼Sは雨中の不良馬場で進みが悪かったのに加え、ラチ沿いを進んだ2頭が①③着に残す決着でラチから離れての追走で④着。平坦のコーナー4つは向いており、8枠スタートも過去(2,1,0,0)と得意にしています。定年の近い師匠・安田隆師の管理馬に乗る機会も残り少なくなった川田Jが手綱を取るここは頭期待。

2024年1月7日日曜日

【1/7(日)予想】フェアリーSの注目馬とねらい目レース(中山7R)

■中山11R/フェアリーステークス テリオスサラ

前走の赤松賞では外を突いた上り上位の3頭が台頭する中、次走阪神JFで②着するステレンボッシュから0.2差②着と健闘しました。2000m、1800mと距離を縮めながら好走できており、上りの求められる東京からタフさが求められる中山への舞台替わりは好材料です。父のロジャーバローズも短い現役生活の中で34秒以下の上がりを使えた試しが無く、ダービーを先行押し切りで制したように本質的にはキレ勝負よりパワーを兼ね備えた資質が求められるレースに向いていました。スタートにケチがつくタイプでもなく、好位をスムーズに取れれば好戦可能と見ます。


■中山7R ネオシルバー

前走のプラタナス賞は先行2騎の決着で、しかも勝ったイーグルノワールが次走で兵庫ジュニアGP制覇、一緒に追い込んで③着したアマンテビアンコも次走でカトレアSを勝つ等レベルの高い一戦でした。元々デビュー戦はこのコースで勝っており、前半64秒のスローペースをまくり気味に押し切った内容も評価できるもの。新馬勝ちの舞台に戻って順当に好勝負と見ます。

2024年1月6日土曜日

【1/6(土)予想】東西金杯の注目馬

本年もよろしくお願いいたします。

■中山11R/日刊スポーツ賞中山金杯 リカンカブール

シルバーステート産駒の珍しい特徴として「東京コースが苦手」という点が挙げられます。


上記は昨年末時点での同産駒の芝コースにおける開催場別成績。御覧のように北海道・東京・九州で極端に成績が悪く、中山・中京で高い成績を挙げています。これは京都金杯に出走するセッションにも言えることですが、末脚に限界があるタイプで上りの絶対値が求められる東京のような舞台は向いていないと考えられます。故に急坂で上がりの速さが求められない中山へのコース替わりはプラスで、昨年暮れの開催がイン有利だったことを考えればCコース替わりの内枠はだいぶ有利と考えてよいでしょう。終い一手を好まない津村Jへの手替わりで位置取りが改善すればこのメンバーでも通用するはずで。


■京都11R/スポーツニッポン賞京都金杯 ルプリュフォール

今年で8歳ですがこれがまだキャリア28戦目。過去27戦の内17戦で上がり最速をマークしている切れ者ですが、折り合い難を抱えており終い一手&短い距離しか使えず、追い込むも届かないというレースが続いています。元々京都芝1600m戦は2戦2勝(内回り・外回りで1勝ずつ)と相性が良く、テンに行きたがることも無い今なら距離が問題になる可能性は少ない(=折り合えるのに1400mにこだわり続けてきただけ)と見ます。大外一気のイメージが強いですが今の京都ではそれは難しく、陣営も「上手く捌いてほしい」と馬群内でのレースプランを描いている模様です。

4戦連続で手綱を取る秋山真Jは末脚のある馬でしか成績を残せないタイプで、エイティーンガールの京阪杯やダイメイプリンセスの北九州記念など大外を回すロスの大きい騎乗も厭わないスタイルではありますが、(改修で調整されたとはいえ)京都コースは4角で前がばらけやすくインで腹を括れば最短距離を伸びてこられます。同騎手が最後に京都で勝ったのは20年1月の寿S(ウインクルサルーテ)で、この時も後方からのレースを強いられた中インで我慢し直線前が開いたところを突き抜けたもの。距離延長で内枠を引いた以上極端に引かない限りはそこそこの位置からのレースになるはずで、有力馬がこぞって外目を引きペースも流れる想定なら末脚で足りるはずです。